説明

記憶媒体用の防犯ケース

【課題】 カード式記憶媒体を収容してロックプレートを挿入した防犯ケースの提供。
【解決手段】 本体1にはカード式記憶媒体13を収容する収容部5を設けると共に該収容部5には開閉可能なカバー11を取付け、そして収容部5の載置面12は傾斜すると共に載置面12の長さはカード式記憶媒体13より短くして該カード式記憶媒体13の先端を載置面12からはみ出し、カード式記憶媒体13の基部側を挟むツメ14を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカード式記憶媒体を収容してロックプレートにて蓋体が開かないようにロックすることが出来る防犯ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
音楽を再生する機器としては従来からCDプレーヤーが用いられ、映像を再生する機器としてはDVDプレーヤーが知られている。又、CDプレーヤーの小型機器としては、持運び出来るサイズに構成したウォークマン(登録商標)が販売されて来ている。一方、映像を記憶したDVDはテレビに接続して再生するDVDプレーヤーの他に、パソコンを用いて再生することも可能である。
【0003】
ところで、CD、DVD等の円盤状記憶媒体を購入する場合もあるが、レンタルショップにおいて一時的に借りて使うことも多い。むしろ、色々な音楽を聴いたり、色々な映画を見たりする場合にはレンタルした方が便利であり、我国では所々にCDやDVDなどのレンタルショップが数多く存在している。
【0004】
CDやDVDは一般にその外径が120mmあり、これを再生する機器はCDやDVDが収容出来る大きさが必要であり、常に携帯するには不便を感じることも多い。また、CD、DVDを再生するには、該CD、DVDを回転する為のドライブモータ及び光を照射して読み取る為のピックアップ機構も必要であり、外形サイズは大きくなると共にコストも高くなる。近年では「アイポッド」(登録商標)と称される再生機器が使用され、この機器を洋服の胸ポケットに入れてイヤホンで音楽を聴いたり、又は手のひらサイズの機器の表示面から映像を見ることが出来る。
【0005】
この再生機器にセットする記憶カードはCDやDVDに比較して非常に小さく、しかし記憶容量は非常に大きい。再生手段としては、何も「アイポッド」に限ることはなく、パソコンに該記憶カードを挿入することで映像を見ることが出来、又はテレビの画面に映しだすことも可能である。
【0006】
ところで、最近では小さいカード式記憶媒体をCDやDVDの場合と同じようにレンタルすることが求められている。しかし、大きさが小さい為に盗難され易く、その為に盗難防止対策が一段と重要になる。CDやDVDの場合には、貸出しケースが開かないようにロックプレートが挿入されていて、該ロックプレートにはタグシールが貼着されている為に、ロックプレートを外さないで店から持ち出すならば、ゲートが反応して警報音が鳴るようにしている。
【0007】
盗難防止機能を備えた従来のCDやDVDの貸出しケースに関しては、特許第3459997号に係る「盗難防止機能を備えたDVD等の貸出しケース」、
特許第3978686号に係る「盗難防止機能を備えたDVD等の貸出しケース及び解錠具」を参照すれば明らかである。しかし、カード式記憶媒体のように小さいものは、ケースをこじ開けて盗まれる虞があり、CD,DVDと同じような防犯構造では十分でない。
【0008】
特開2007−241581号に係る「メモリーカード用収納体」は、サイズの小さなSDメモリーカードやプレイステーション2用のメモリーカードなどを保管するに際し、紛失しにくくしたメモリーカード用収納体であり、平板状の盤体にSDメモリーカードを盤体の一方の面より嵌め込むためにSDメモリーカードの外形に合う形の孔部が形成されている。
しかし、盗難防止を考える場合、このようなメモリーカード用収納体を貸出しケースとしてそのまま店に展示することは出来ない。
【特許文献1】特許第3459997号に係る「盗難防止機能を備えたDVD等の貸出しケース」
【特許文献2】特許第3978686号に係る「盗難防止機能を備えたDVD等の貸出しケース及び解錠具」
【特許文献3】特開2007−241581号に係る「メモリーカード用収納体」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、カード式記憶媒体を貸出しケースに収容して貸出すには上記のごとき問題がある。また、小さいカード式記憶媒体をケースに設けた収容部に着脱することが容易でない。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、カード式記憶媒体を収容することが出来、しかも盗難に遭うことのない記憶媒体用の防犯ケースを提供する。この記憶媒体用の防犯ケースは貸出し用として、又は販売用として使用することが出来る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る記憶媒体用の防犯ケースは、カード式記憶媒体を収容することが出来るように構成している。ここで、カード式記憶媒体とは音楽又は映像が記憶されているカード(チップ)であり、具体的な記憶内容を限定するものではない。そして、カードは厚さが薄い板状体をしているが、具体的な形状及びサイズも限定しないことにする。
【0011】
ところで、記憶媒体用の防犯ケースは従来のケースと同じく本体と蓋体を有し、蓋体は開閉軸を中心として揺動することで開閉することが出来る。また、蓋体は開閉軸を中心として開閉する場合のみならず、スライド式であったり、本体に被せる構造としたり、その開閉構造は色々存在する。そして、本体には収容部を設けてカード式記憶媒体が収容され、該収容部には更にカバーが開閉可能に取付けられている。
一方、カード式記憶媒体の収容手段として別部材として構成したカードケースが用いられ、このカードケースにカード式記憶媒体を収容する収容部が設けられている。そして、該カードケースが記憶媒体用防犯ケースに収容される。上記カードケースは小さいカード式記憶媒体を収容することが出来る容器であり、該カードケースは防犯ケースの本体に着脱自在に取付けられる。該カードケースの蓋は軸を中心として開閉したり、スライドしたり、着脱可能であったり、その具体的な開閉構造は限定しない。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る記憶媒体用の防犯ケースは内部にカード式記憶媒体が収容されている。しかも、カード式記憶媒体は収容部に収容されてロックプレートにてロックされることで盗難に遭うことはない。収容部はケース本体に直接設ける場合もあれば、別部材として製作したカードケースに形成し、このカードケースを本体に取付けて蓋体を閉じてロックすることも出来る。何れにしても、ロックプレートは従来のケースと同じく、タグシールが貼着されている為に、ロックプレートを外さないで持ち出すことは出来ない。
【0013】
また、収容部にもカバーが取付けられることで二重閉鎖構造としており、小さいカード式記憶媒体が盗まれることはない。そして、該カード式記憶媒体は防犯ケースの本体、又はカードケースに形成される収容部に入れられるが、収容部を傾斜することで該収容部から小さいカード式記憶媒体を取出し易くしている。特に、カバーを開くことでカバーに設けたリブによってカード式記憶媒体の先端側を持ち上げて指で摘み易くしている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】蓋体が閉じた場合の記憶媒体用防犯ケース。
【図2】蓋体が開いた場合の記憶媒体用防犯ケース。
【図3】本体に設けた収容部の平面図。
【図4】収容部に取付けたカバーが開く行程。
【図5】蓋体が一部開いた場合の記憶媒体用防犯ケースを示す他の実施例。
【図6】蓋体が開いてカードケース及びシートを取外した場合の記憶媒体用防犯ケース。
【図7】本体に取付けられるカードケースの具体例。
【図8】カードケースに設けられる収容部の具体例。
【図9】カードケースを示す他の具体例。
【図10】カードケースに設けた収容部をカバーを開く行程。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明に係る記憶媒体用の防犯ケースを示し、蓋体が閉じた状態であるが、カード式記憶媒体の収容部、ロックプレートを透かして表している。内部には小さいカード式記憶媒体が収容される収容部が設けられ、カード式記憶媒体はこの収容部に収容されてカバーされている。そして、ロックプレートが取付けられている為に、蓋体を開くことは出来ない。
【0016】
図2はロックプレートを取外して蓋体を開いた場合を示しているが、同図において1は本体、2は蓋体、3は開閉軸、4はロックプレートを表している。記憶媒体用防犯ケースは、厚さの薄い四角形をしたケースであり、本体1にはカード式記憶媒体が収容される3個の収容部5,5,5が設けられている。そして、四角形をした本体1の側辺には縁6,6・・・が起立し、同じく蓋体2の側辺にも縁7,7・・・が起立している。
【0017】
ロックプレート4が挿入される部分に縁6,7がなく、蓋体2を閉じた場合にロックプレート4の挿入口が形成される。このように、本体1及び蓋体2の側辺に縁6,6・・、7,7・・を起立することで、収容部5,5,5に収容されているカード式記憶媒体が抜取られることはない。該カード式記憶媒体の盗難防止に関しては従来通りであり、上記ロックプレート4を解錠して取外さない限り蓋体2を開くことは出来ない。
そこで、ロックプレート4を解錠しないで記憶媒体用防犯ケースごと店から持ち出すならば、ロックプレート4に貼着しているダグシール8が店の出入口に設置しているゲートに反応して警報音が発生する。そこで、記憶媒体用防犯ケースを貸出す場合には、タグシール8が貼着されているロックプレート4が取外されることで持ち出すことが出来る。
【0018】
ところで、本発明の記憶媒体用防犯ケースには収容部5,5,5が設けられ、この収容部5,5,5にカード式記憶媒体が収容されている。また、該記憶媒体用防犯ケースの蓋体2の内側にはシート9が開閉軸側に設けたツメ10,10に挟まれて取付けられている。シート9の内容は限定しないが、カード式記憶媒体に記憶されている内容のタイトル、概要、又は広告などが表示されている。図3は収容部5を単独で示す平面図であり、該収容部5には開閉出来るカバー11が取付けられている。カバー11は周囲に縁を有して、閉じる場合には収容部5の上面及び周囲を覆うことが出来、カード式記憶媒体は二重の盗難防止構造と成っている。そして、該カバー11は蓋体2を開かない限り開くことは出来ない。
【0019】
図4は収容部5の内部断面を示しているように、収容部5の載置面12は傾斜しており、カード式記憶媒体13はこの傾斜した載置面12に載っている。そして先端側の一部は載置面12からはみ出し、基部側はツメ14にて挟まれている。図4(b)に示すようにカバー11は軸を中心として旋回して開かれるが、(c)に示すようにカバー11が開かれると、該カバー11の軸側に設けたリブ15がカード式記憶媒体13の先端側下面に当って持ち上げられる。このように、小さいカード式記憶媒体13であっても先端側が持ち上げられることで簡単に指で摘んで取出すことが出来る。そして、カバー11が閉じ、蓋体2が閉じることで該カバー11を開くことは出来ず、二重閉鎖構造としている。
【0020】
図5は本発明に係る記憶媒体用防犯ケースの他の実施例であり、ロックプレート4を取外して蓋体2を開く段階であり、本体1にはカードケース16が取付けられている。前記実施例の場合には、本体1に収容部5,5,5を設けているが、図5に示す記憶媒体用防犯ケースの場合には、本体1に収容部5,5,5は無く、独立したカードケース16に収容部を形成している。
【0021】
すなわち、カードケース16は本体とカバーを有した厚さの薄い独立したケースであり、このカードケース16の本体に収容部を設け、該収容部にカード式記憶媒体が収容されている。図6は蓋体2を開き、カードケース16を本体1から取外し、シート9を蓋体2から外した場合を示している。本体1にはリブ17,17・・・が底面から起立し、これら各リブ17,17・・・にてカードケース16は位置決めされて取付けられる。
【0022】
図7はカードケース16を単独で示し、該カードケース16は本体18とカバー19で構成され、カバー19は継手を介して開閉可能と成っている。同図はカバー19が開いている場合であり、本体18には3つの収容部20,20,20を設けている。そして、該収容部20にはカード式記憶媒体13が収容され、該収容部20から外れ難く、取出し易い構造としている。
【0023】
図8は収容部20を単独で表している。該収容部20の隣りには取出し部21を設け、該取出し部21の底面22は傾斜し、該底面22は収容部側を高くしている。収容部20の両側にはガイド23,23が設けられ、このガイド23,23を案内としてカード式記憶媒体13が取付けられ、そしてガイド23,23に沿ってカード式記憶媒体13はスライドして取出し部21へ移行する。取出し部21へスライドして移行したカード式記憶媒体13はその基部側が底面22からはみ出すことで指で摘んで取出し易くなる。すなわち、取出し部21の底面22の長さはカード式記憶媒体13より短く成っていることで、基部側が底面からはみ出す。
【0024】
図9はカードケース24の他の実施例を表している。外観は四角形を成していて、本体1に取付けられる。この点は前記図7に示したカードケース16と同じである。しかし、図9に示すカードケース24の場合は、上面の3ヶ所に収容部25,25,25を有して内部にカード式記憶媒体13,13,13を収容している。そして、該収容部25,25,25を被覆することが出来るカバー26,26,26を表面に開閉可能に取付けている。すなわち、カードケースの本体全体を被覆するカバーではなく、個々の収容部25,25,25にカバー26,26,26を設けている。
【0025】
図9では2ヶ所の収容部25,25のカバー26,26は閉じ、1ヶ所の収容部25のカバー26は開いた状態にある。図10は収容部25に収容されているカード式記憶媒体13の断面図を表している。図10(a)はカバー26が閉じている場合であり、カード式記憶媒体13は傾斜した状態で収容部25に収容され、基部側はツメ27に係止すると共に、先端はカバー26に当って押圧されている。
【0026】
ツメ27は弾性変形することでカバー26が閉じるとカード式記憶媒体13の先端側が押圧されてツメ27は撓み変形する。そして、カバー26を開くならば、ツメ27が弾性復元することでカード式記憶媒体13の先端は浮上して押上げられる。(b)はカバー26を開き始めた段階を示し、(c)はカバー26が完全に開いた場合である。
【0027】
このように、小さいカード式記憶媒体13の先端が持ち上げられることで、指で摘み易くなり、カードケース24の収容部25から簡単に取出すことが出来る。
そして、カバー26が閉じてカードケース24が記憶媒体用防犯ケースの本体1に取付けられ、蓋体2が閉じるならば上記カバー26を押えることに成り、該カバー26を開くことは出来ない。このことは、前記図7に示すカードケース16の場合も同じであり、本体1に取付けて蓋体2を閉じることで二重閉鎖構造となり、盗難防止効果は大きくなる。
【符号の説明】
【0028】
1 本体
2 蓋体
3 開閉軸
4 ロックプレート
5 収容部
6 縁
7 縁
8 タグシール
9 シート
10 ツメ
11 カバー
12 載置面
13 カード式記憶媒体
14 ツメ
15 リブ
16 カードケース
17 リブ
18 本体
19 カバー
20 収容部
21 取出し部
22 底面
23 ガイド
24 カードケース
25 収容部
26 カバー
27 ツメ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード式記憶媒体を収容してロックプレートを挿入した防犯ケースにおいて、該ケースは本体の1辺に設けた開閉軸を中心として蓋体を開閉可能に取付け、本体には上記カード式記憶媒体を収容する収容部を設けると共に該収容部には開閉可能なカバーを取付け、そして収容部の載置面は傾斜すると共に載置面の長さはカード式記憶媒体より短くして該カード式記憶媒体の先端を載置面からはみ出し、カード式記憶媒体の基部側を挟むツメを設けたことを特徴とする記憶媒体用防犯ケース。
【請求項2】
上記カバーには開閉軸側にリブを設け、カバーを開く場合にリブによって載置面からはみ出したカード式記憶媒体の底に当って先端側を持ち上げるようにした請求項1記載の記憶媒体用防犯ケース。
【請求項3】
カード式記憶媒体を収容してロックプレートを挿入した防犯ケースにおいて、該ケースは本体の1辺に設けた開閉軸を中心として蓋体を開閉可能に取付け、本体にはカードケースを着脱可能に取付け、そしてカードケースの本体にはカード式記憶媒体を収容する収容部を設けると共に、該収容部に隣接して取外し部を有し、取外し部の底は収容部側を高くして傾斜し、収容部の両側にはカード式記憶媒体がガイドしてスライドすることが出来るガイドを形成し、上記カード式記憶媒体はガイドに沿ってスライドすることで取外し部側へ移行することが出来、そして収容部を設けた本体にはカバーを取付けたことを特徴とする記憶媒体用防犯ケース。
【請求項4】
カード式記憶媒体を収容してロックプレートを挿入した防犯ケースにおいて、該ケースは本体の1辺に設けた開閉軸を中心として蓋体を開閉可能に取付け、本体の上面には収容部を設けると共に該収容部を覆うカバーを軸を中心として開閉可能に取付け、収容部の載置面はカバーの軸側を高く傾斜すると共に載置面に載ったカード式記憶媒体の先端側がはみ出す長さとし、そして載置面に載ったカード式記憶媒体の基部側を挟むツメを設けたことを特徴とする記憶媒体用防犯ケース。
【請求項5】
上記蓋体の内面にシートを取付ける為のツメを設けた請求項3、又は請求項4記載の記憶媒体用防犯ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−25446(P2012−25446A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166587(P2010−166587)
【出願日】平成22年7月24日(2010.7.24)
【出願人】(595049622)株式会社ジャストコーポレーション (44)
【Fターム(参考)】