説明

記録シート

【課題】感圧記録が可能な記録層を備えた層と、例えば感熱記録層を備えた他の層とが擬似接着層を介して接着したものであって、地肌汚れがなく、巻物状にすることもできる記録シートを提供する。
【解決手段】第1の基材層12と感圧記録層(感圧記録が可能な記録層)13とを少なくとも備える第1層11と、第2の基材層16を少なくとも備える第2層18とを有し、前記第2層18が擬似接着層19を介して前記第1層11の前記感圧記録層13側に積層した記録シート10Aであって、前記擬似接着層19は、ウェットラミネート法で形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも感圧記録が可能な記録層を有する記録シートに関する。
【背景技術】
【0002】
加圧により記録がなされる感圧記録は、記録と同時に複写もできる記録方法であるため、領収書や預り書などに古くから採用されている。近年では、例えば特許文献1などに記載されているように、感圧記録が可能な層と、感熱記録層などの他の層とが重ねられた多層構造の記録シートも提案されている。このような多層構造の記録シートにおいては、通常、各層がずれたり、バラバラになったりしないように、端部のみを部分的に接着しておく方法、各層の端部にスプロケットホールを形成し、ここに紙送りロールのピンを嵌合させて各層がずれないように保持する方法などが一般に採用されている。
【特許文献1】特開2004−142141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、端部のみが部分的に接着された記録シートや、スプロケットホールにピンを嵌合させて各層がずれないように保持された記録シートでは、これを巻物状にすることが困難である。そのため、このような記録シートは、特許文献1の図6にも示されているように連続帳票の形態とされる場合が多かったが、連続帳票は、巻物状のものにくらべて取り扱いにくいという問題点があった。
【0004】
このような問題を解決するためには、記録シートの層間にドライラミネート法などで接着層を形成し、この接着層を介して各層を貼り合わせ、一体化したうえで、巻物状にすることも考えられる。
そして、この際、接着層として、近年、記録シートの分野で実用化されている、接着対象の2層を剥離可能に、かつ、再貼付不可能に接着する擬似接着層を設けると、巻物状にでき、しかも、擬似接着層を介して2層に剥離でき、例えば領収証などとしての使用も可能な幅広い用途の記録シートを提供できると考えられる。
【0005】
ところが、ドライラミネート法では、対象となる2層のうちの一方の表面に擬似接着剤を塗布、乾燥した後、これに他方を重ね合わせ圧着させるため、接着時には高い圧力が加わることとなる。そのため、感圧記録が可能な記録層を備えた記録シートの場合には、この圧力により該記録層が発色し、得られた記録シートには地肌汚れが生じてしまうという問題がある。そのため、感圧記録が可能な記録層を備え、かつ、擬似接着層により層間が接着した記録シートの実用化は困難であった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、感圧記録が可能な記録層を備えた層と、例えば感熱記録層を備えた他の層とが擬似接着層を介して接着したものであって、地肌汚れがなく、巻物状に形成することも可能な記録シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討した結果、感圧記録が可能な記録層を有する層と他の層とが接着するための擬似接着層を、ウェットラミネート法で形成することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の記録シートは、第1の基材層と感圧記録が可能な記録層とを少なくとも備える第1層と、第2の基材層を少なくとも備える第2層とを有し、前記第2層が擬似接着層を介して前記第1層の前記記録層側に積層した記録シートであって、前記擬似接着層は、ウェットラミネート法で形成されたことを特徴とする。
前記記録シートの前記記録層は、発色剤と顕色剤とを含有する自己発色性の感圧記録層であってもよい。
また、前記記録シートは、前記記録層が発色剤または顕色剤のうちの一方を含有する非自己発色性の感圧記録層であるとともに、前記第2層が他方を含有する感圧記録誘発層をさらに有し、前記感圧記録層と前記感圧記録誘発層とが、前記擬似接着層を介して隣接するように配置されたものであってもよい。
前記第1層および/または第2層は、感熱記録層を有していてもよい。
また、前記記録シートは、前記記録層が、前記感圧記録とともに感熱記録も可能な感圧・感熱記録層であってもよく、その場合、前記第2層は、感熱記録層をさらに有していてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、感圧記録が可能な層を備えた層と、例えば感熱記録層を備えた他の層とが擬似接着層を介して接着したものであって、地肌汚れがなく、巻物状にすることも可能な記録シートを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の記録シートは、第1の基材層と感圧記録が可能な記録層とを少なくとも備える第1層と、第2の基材層を少なくとも備える第2層とを有し、第2層が擬似接着層を介して第1層の記録層側に積層した記録シートである。そして、擬似接着層は、ウェットラミネート法で形成されたものである。
以下、本発明の記録シートについて、実施形態例を挙げて詳細に説明する。
なお、本発明において「感圧記録が可能な記録層」とは、少なくとも加圧により発色する層のことを指し、発色剤と顕色剤とを含有する自己発色性の感圧記録層であってもよいし(第1〜第5実施形態例)、発色剤と顕色剤のどちらか一方を含有し、他方を含有する他の層(本発明においては感圧記録誘発層という。)との圧接により発色する非自己発色性の感圧記録層であってもよい(第6実施形態例)。さらには、感圧記録に加えて感熱記録も可能とされた感圧・感熱記録層であってもよい(第7実施形態例)。
【0010】
[第1実施形態例]
図1は第1実施形態例の感圧・感熱併用式の記録シート10Aを示すものであって、第1の基材層12の片面に、自己発色性の感圧記録層(感圧記録が可能な記録層)13と感熱記録層14とが順次形成された第1層11と、第2の基材層16の片面に感熱記録層17が形成された第2層18とが、ウェットラミネート法で形成された擬似接着層19を介して積層したものである。この例では、第1層11の感熱記録層14と、第2層18の第2の基材層16とが、擬似接着層19を介して隣接するように配置されている。
この例の記録シート10Aは、第2層18の感熱記録層17の外面側から加圧されたり加熱されたりすることで、文字、画像などが記録されるものである。
【0011】
(第1の基材層12および第2の基材層16)
ここで第1の基材層12および第2の基材層16としては、パルプを主成分とする紙基材、各種樹脂を主成分とするフィルム基材などが使用でき、単層のものでも複数の層からなる多層のものでもよいが、擬似接着層19がウェットラミネート法で形成されたものであるため、これら基材層12,16のうち少なくとも一方は、透気性を有するものであることが好ましい。すなわち、詳しくは後述するが、擬似接着層19を形成する場合には、第1層11または第2層18の一方の片面に擬似接着層形成用の塗工液を塗布し、他方を貼り合わせた後、乾燥する。そのため、第1の基材層12および/または第2の基材層16が透気性を有していると、塗工液中の溶媒が外部に蒸散しやすい。
第1の基材層12の厚みには特に制限はないが、接着加工適性、取扱性などの点から、40〜100μmが好ましい。
【0012】
第2の基材層16の厚さにも特に制限はないが、第2の基材層16の厚さが小さいほど、第1層11の感熱記録層14に伝達される熱量が大きくなるため、感熱記録層14に記録される情報の記録濃度が高くなり、鮮明となる。一方、厚さが大きいほど、第2の基材層16の加工性が向上する。これらの観点から、第2の基材層16は、坪量が3〜60g/mであることが好ましく、5〜40g/mであることがより好ましい。
また、第2の基材層16の密度が高いほど、第1層11の感熱記録層14に伝達される熱量が大きくなるため、感熱記録層14に記録される情報の記録濃度が高くなり、鮮明となる。また、第2の基材層16が紙基材の場合、その密度が高いほど透明性も高くなる。そのため、第2の基材層16としては、密度が0.80g/cm以上のものが好ましく、0.85〜1.6g/cmの範囲内のものがより好ましい。特に、紙基材である場合には密度0.85〜1.3g/cmのものが好ましく、フィルム基材である場合には、密度0.9〜1.6g/cmのものが好ましい。
【0013】
(感圧記録層13)
この例の感圧記録層13は、発色剤を含有するマイクロカプセルと顕色剤とを含有する、いわゆる自己発色性のものであって、加圧によりマイクロカプセルが破壊され、発色剤と顕色剤とが接触、反応することで発色するものである。
このような感圧記録層13は、発色剤を含有するマイクロカプセルを含み、顕色剤を含まない層(以下、発色剤層という場合もある。)と、顕色剤を含み、発色剤を含有するマイクロカプセルを含まない層(以下、顕色剤層という場合もある。)とが別々に形成された多層構造のものでも、発色剤を含有するマイクロカプセルと顕色剤との両方を含有する層(以下、発色剤・顕色剤層という場合もある。)からなる単層構造のものでもよい。
【0014】
発色剤としては、通常、電子供与型有機発色剤が使用され、顕色剤としては、通常、電子受容型有機顕色剤が使用されるが、顕色剤として無機顕色剤を使用してもよい。
電子供与型有機発色剤としては、トリアリールメタン系化合物、ジアリールメタン系化合物、キサンテン系化合物、チアジン系化合物、スピロピラン系化合物、ラクタム系染料、フルオラン系染料等が使用でき、一般に感圧記録材料や感熱記録材料に用いられているものが好適に使用できる。これらは1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0015】
具体的には、例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(すなわち、クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインド−ル−3−イル)フタリドなどのトリアリールメタン系化合物、4,4−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリルベンジルエーテル、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミンなどのジフェニルメタン系化合物、7−ジエチルアミノ−3−クロロフルオラン、7−ジエチルアミノ−3−クロロ−2−メチルフルオラン、2−フェニルアミノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオランなどのフルオラン系化合物、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルーなどのチアジン系化合物、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピペランなどのスピロ系化合物等、特公昭58−5940号、同49−17489号、同63−51113号、特公平4−5064号、同4−5065号、同4−5066号、同4−5068号、特開昭62−243652号、同62−243653号、同62−257970号、同62−288078号、同63−102975号、同63−37158号、同63−154389号、同63−185674号、同63−230387号、特開平4−173288号、同5−32040号等の各公報に記載の化合物などが挙げられる。
【0016】
発色剤を含有するマイクロカプセルは、通常、油(以下、カプセル油という場合もある。)に発色剤が溶解した液滴を内包した形態になっている。
カプセル油としては、ジアリールアルカン系、アルキルナフタレン系、アルキル化ビフェニル、水添ターフェニルなどの芳香族合成油、ケロシン、ナフサ、パラフィン油、塩素化パラフィンなどの脂肪族合成油、綿実油、大豆油、亜麻仁油などの植物油等が使用でき、一般にノーカーボン感圧記録材料に用いられているものが好適に使用できる。これらのなかでは、染料溶解性、安定性などから、芳香族合成油が特に好ましい。これらは1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0017】
感圧記録の分野では、マイクロカプセルとしては、従来、コアセルベーション法によるゼラチン系カプセルが主流であったが、原材料が安く安定に供給される点、高濃度マイクロカプセルエマルジョンが得られる点、製造工程が簡単である点などから、現在では界面重合法による合成樹脂系マイクロカプセルが主流となっている。具体的には、油水の界面で、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂等を生成させる方法(特公昭42−446号、特公昭42−771号、特公昭47−1763号、特公昭54−6506号、特開昭58−55036号等)や、in−situ重合法によって尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノアルデヒド樹脂をカプセル壁膜として用いる方法(特開昭51−9079号、特開昭54−49984号、特開昭56−51238号、特開昭56−102934号)等が挙げられる。本例においてもこれら合成樹脂系マイクロカプセルが好ましく使用される。
【0018】
in situ重合法カプセル化に用いられる乳化剤は、高分子電解物質が好ましい。具体的には、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ベンジルメタクリレート−無水マレイン酸共重合体、α−アルキルスチレン−無水マレイン酸共重合体、核モノアルキル置換スチレン−無水マレイン酸共重体、核ジアルキル置換スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸モノアルキルエステル共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体等の水溶液またはこれらの混合水溶液が用いられる。
【0019】
界面重合法に用いられる乳化剤としては、in situ重合法において例示したものに加えて、PVA、CMC、HEC、各種(小麦、馬鈴薯、とうもろこし等)澱粉等の水溶液またはこれらの混合水溶液も用いられる。なお、乳化剤には、マイクロカプセル化に問題を生じない程度に、ノニオン系、カチオン系、両イオン系の界面活性を持つ公知の物質を添加し、併用してもよい。
【0020】
発色剤を含有するマイクロカプセルの大きさ(コールターカウンターでの50%体積平均直径)は、0.5〜20μmの範囲が好ましく、特に1〜10μmの範囲が好ましい。
【0021】
電子受容型有機顕色剤および無機顕色剤としては特に限定されず、例えば有機顕色剤としては、フェノール−アルデヒド重合体、フェノール−アセチレン重合体等のフェノール重合体またはそれらの多価金属塩、サリチル酸誘導体、サリチル酸系樹脂等の芳香族カルボン酸系化合物またはこれらの多価金属塩等、一般にノーカーボン感圧記録材料、感熱記録材料の分野で用いられるものが好適に使用される。これらは1種単独で使用しても2種以上を併用してもよいが、これらのなかでは芳香族カルボン酸系化合物やこれらの多価金属塩は印字濃度が高く、また日光等の光に対する堅牢性に優れていることから好ましい。
【0022】
サリチル酸誘導体としては、3−フェニルサリチル酸、5−フェニルサリチル酸、3−ベンジルサリチル酸、5−ベンジルサリチル酸、3−(α−メチルベンジル)サリチル酸、5−(α−メチルベンジル)サリチル酸、3−(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、5−(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジフェニルサリチル酸、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジベジルサリチル酸、3,5−ジ(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ(4−メチルベンジル)サリチル酸等、芳香族置換基を少なくとも1個有する化合物が挙げられる。これらは、好ましくは多価金属塩として用いられる。
サリチル酸系樹脂としては、前記のサリチル酸誘導体とスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン等のスチレン誘導体を、モル比1:0.5〜10で共酸触媒下にフリーデルクラフツ反応させて得られるサリチル酸系樹脂が例示でき、好ましくは多価金属塩化したものが使用される。
また、特開平2−563号公報に開示されているサリチル酸類や、それと多価金属化合物とからなる多価金属塩も好ましい顕色剤として挙げることができる。サリチル酸類としては、総炭素数が8以上、特に8〜20でアルキル基を有するサリチル酸誘導体が好ましく用いられる。
これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0023】
多価金属塩は、例えば、次のような方法で製造される。サリチル酸誘導体をエーテル類、ケトン類、酢酸エステル類等の溶媒に溶解し、多価金属と無機アンモニウム塩を加えて、40〜100℃で1〜6時間加熱し、生成物の濾過、蒸留を行ない、未反応の無機化合物と溶媒を除去する。
多価金属の具体的な例としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル等が挙げられ、これらは1種単独で使用しても2種以上を併用してもよいが、亜鉛が好ましい。
また、無機顕色剤としては、酸性白土、アタパルガイトクレー、半合成固体酸などが挙げられる。
【0024】
感圧記録層13が発色剤層と顕色剤層とを有する多層構造である場合、発色剤層は、発色剤を含有するマイクロカプセルの他にバインダーを含有し、顕色剤層は、微粒子状にされた顕色剤の他にバインダーを含有する。また、発色剤層と顕色剤層には、必要に応じて顔料が含まれてもよい。
【0025】
バインダーとしては、例えばポリビニルアルコール及びその誘導体、澱粉及びその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタアクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、カゼイン、ゼラチン及びそれらの誘導体等の水溶性高分子材料、並びに、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエマルジョンやスチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体などの水不溶性重合体のラテックスなどをあげることができる。
【0026】
顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、二酸化チタン、カオリン、クレー、焼成カオリン、デラミネーテッドカオリン、構造化カオリン、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム等の無機顔料およびポリスチレン樹脂微粒子、尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機顔料(プラスチックピグメント)等が使用される。これらバインダーや顔料は、1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
また、発色剤層および顕色剤層は、必要に応じて耐水化剤、硬化剤、架橋剤、消泡剤、着色剤、濡れ剤、流動変性剤、防腐剤、界面活性剤等の各種添加剤を適宜含んでもよい。
【0027】
感圧記録層13が発色剤・顕色剤層からなる単層構造である場合には、この層には、発色剤を含有するマイクロカプセルと、微粒子状の顕色剤と、バインダーと、顔料とが含まれる。バインダー、顔料、添加剤としては、先に例示したものを適宜使用できる。
【0028】
(感熱記録層14,17)
感熱記録層14,17は、加熱により発色するものであって、反応性染料を含み、顕色剤を含まない層(以下、反応性染料層という場合もある。)と、顕色剤を含み、反応性染料を含まない層(以下、顕色剤層という場合もある。)とが別々に形成された多層構造のものでも、反応性染料と顕色剤の両方を含有する層(以下、染料・顕色剤層という場合もある。)が形成された単層構造のものでもよい。
【0029】
反応性染料および顕色剤としては、各種公知のものを使用でき、具体的な反応性染料と顕色剤との組み合わせとしては、ロイコ化合物(ロイコ染料)と電子受容性物質、イミノ化合物とイソシアナート化合物、長鎖脂肪酸鉄塩と多価フェノール等が挙げられる。これらの中で、ロイコ化合物と電子受容性物質との組み合わせは、熱応答性が良いこと、発色濃度が高いこと、比較的安定であることから好ましい。また、イミノ化合物とイソシアナート化合物との組み合わせは、その発色が界面活性剤の影響を受けにくく、保存安定性に優れるため好ましい。
【0030】
ロイコ化合物としては、例えば、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系等の化合物が挙げられる。
具体的には、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−N−メチル−N−イソブチル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソアミル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロルフルオラン、3−(N−エチル−N−p−トリル)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−{N−3’−トリフルオルメチルフェニル)アミノ}−6−ジエチルアミノフルオラン、2−{3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム}、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−N−メチル−N−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2’,4’−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(N ,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N ,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6’−クロロ−8’−メトキシ−ベンゾインドリノ−ピリロスピラン、6’−ブロモ−3’−メトキシ−ベンゾインドリノ−ピリロスピラン、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−クロルフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−ニトロフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジエチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−メチルフェニル)フタリド、3−(2’−メトキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−ヒドロキシ−4’−クロル−5’−メチルフェニル)フタリド、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロルフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−イソプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4’−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4’、5’−ベンゾフルオラン等が挙げられる。
これらのロイコ化合物は、1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0031】
ロイコ化合物と接触してこれを発色させる電子受容性物質としては、特に限定されず、例えば、フェノール性化合物、チオフェノール性化合物、チオ尿素誘導体、有機酸及びその金属塩等が挙げられる。
具体的には4−tert−ブチルフェノール、4−アセチルフェノール、4−tert−オクチルフェノール、4,4’−sec−ブチリデンジフェノール、4−フェニルフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、およびビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、などのフェノール性化合物、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、4−ヒドロキシ安息香酸−sec−ブチル、4−ヒドロキシ安息香酸フェニル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸トリル、4−ヒドロキシ安息香酸クロロフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどのフェノール性化合物、または、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、トリクロル安息香酸、テレフタル酸、サリチル酸、3−tert−ブチルサリチル酸、3−イソプロピルサリチル酸、3−ベンジルサリチル酸、3−(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸などの芳香族カルボン酸、およびこれらフェノール性化合物、芳香族カルボン酸と例えば亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムなどの多価金属との塩などの有機酸性物質、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(p−ブトキシカルボイル)ウレア、N−p−トリルスルホニル−N’−フェニルウレア等のウレア化合物が挙げられる。これらの電子受容性物質は、1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0032】
イミノ化合物は、少なくとも1個のイミノ基(=NH)を有する化合物であり、たとえば下記一般式で表わされる常温固形の無色または淡色の化合物が挙げられる。
【0033】
【化1】

[式中、Xは、隣接するC=Nと共役系を形成しうる芳香族性化合物残基を表す。]
【0034】
イミノ化合物として、具体的には、3−イミノイソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,6,7−テトラブロモイソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,6,7−テトラフルオロイソインドリン−1−オン、3−イミノ−5,6−ジクロロイソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,7−トリクロロ−6−メトキシ−イソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,7−トリクロロ−6−メチルメルカプト−イソインドリン−1−オン、3−イミノ−6−ニトロイソインドリン−1−オン、3−イミノ−イソインドリン−1−スピロ−ジオキソラン、1,1−ジメトキシ−3−イミノ−イソインドリン、1,1−ジエトキシ−3−イミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン、1−エトキシ−3−イミノ−イソインドリン、1,3−ジイミノイソインドリン、1,3−ジイミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン、1,3−ジイミノ−6−メトキシイソインドリン、1,3−ジイミノ−6−シアノイソインドリン、1,3−ジイミノ−4,7−ジチア−5,5,6,6−テトラヒドロイソインドリン、7−アミノ−2,3−ジメチル−5−オキソピロロ〔3,4b〕ピラジン、7−アミノ−2,3−ジフェニル−5−オキソピロロ〔3,4b〕ピラジン、1−イミノナフタル酸イミド、1−イミノジフェン酸イミド、1−フェニルイミノ−3−イミノイソインドリン、1−(3’−クロロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’,5’−ジクロロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’,4’,5’−トリクロロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’−シアノ−4’−ニトロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’−クロロ−5’−シアノフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’,6’−ジクロロ−4’−ニトロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’,5’−ジメトキシフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’,5’−ジエトキシフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’−メチル−4’−ニトロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(5’−クロロ−2’−フエェノキシフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(4’−N,N−ジメチルアミノフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(3’−N,N−ジメチルアミノ−4’−メトキシフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’−メトキシ−5’−N−フェニルカルバモイルフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2’−クロロ−5’−トリフルオロメチルフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(5’,6’−ジクロロベンゾチアゾリル−2’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(6’−メチルベンゾチアゾリル−2’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(4’−フェニルアミノフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(p−フェニルアゾフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ナフチル−1’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(アンスラキノン−1’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(5’−クロロアンスラキノン−1’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(N−エチルカルバゾリル−3’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ナフトキノン−1’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ピリジル−4’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ベンズイミダゾロン−6’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(1’−メチルベンズイミダゾロン−6’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(7’−クロロベンズイミダゾロン−5’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ベンズイミダゾリル−2’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ベンズイミダゾリル−2’−イミノ)−3−イミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン、1−(2’,4’−ジニトロフェニルヒドラゾン)−3−イミノイソインドリン、1−(インダゾリル−3’−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(インダゾリル−3’−イミノ)−3−イミノ−4,5,6,7−テトラブロモイソインドリン、1−(インダゾリル−3’−イミノ)−3−イミノ−4,5,6,7−テトラフルオロイソインドリン、1−(ベンズイミダゾリル−2’−イミノ)−3−イミノ−4,7−ジチアテトラヒドロイソインドリン、1−(4’,5’−ジシアノイミダゾリル−2’−イミノ)−3−イミノ−5,6−ジメチル−4,7−ピラジイソインドリン、1−(シアノベンゾイルメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(シアノカルボンアミドメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(シアノカルボメトキシメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(シアノカルボエトキシメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(シアノ−N−フェニルカルバモイルメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノ−N−(3’−メチルフェニル)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノ−N−(4’−クロロフェニル)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノ−N−(4’−メトキシフェニル)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノ−N−(3’−クロロ−4’−メチルフェニル)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−(シアノ−p−ニトロフェニルメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(ジシアノメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノ−1’,2’,4’−トリアゾリル−(3’)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノチアゾイル−(2’)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノベンズイミダゾリル−(2’)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノベンゾチアゾリル−(2’)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノベンズイミダゾリル−(2’)−メチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノベンズイミダゾリル−(2’)−メチレン〕−3−イミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2’)−メチレン〕−3−イミノ−5−メトキシイソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2’)−メチレン〕−3−イミノ−6−クロロイソインドリン、1−〔(1’−フェニル−3’−メチル−5−オキソ)−ピラゾリデン−4’〕−3−イミノイソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2’)−メチレン〕−3−イミノ−4,7−ジチアテトラヒドロイソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2’)−メチレン〕−3−イミノ−5,6−ジメチル−4,7−ピラジイソインドリン、1−〔(1’−メチル−3’−n−ブチル)−バルビツル酸−5’〕−3−イミノイソインドリン、3−イミノ−1−スルホ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−6−クロロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−5,6−ジクロロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−4,5,6,7−テトラクロロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−4,5,6,7−テトラブロモ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−4,5,6,7−テトラフルオロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−6−ニトロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−6−メトキシ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−4,5,7−トリクロロ−6−メチルメルカプト安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホナフトエ酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−5−ブロモナフトエ酸イミド、3−イミノ−2−メチル−4,5,6、7−テトラクロロイソインドリン−1−オン等が挙げられる。
【0035】
イミノ化合物と接触してこれを発色させるイソシアナート化合物としては、常温固体の無色または淡色の芳香族イソシアナート化合物または複素環イソシアナート化合物が挙げられ、具体的には、2,6−ジクロロフェニルイソシアナート、p−クロロフェニルイソシアナート、1,3−フェニレンジイソシアナート、1,4−フェニレンジイソシアナート、1,3−ジメチルベンゼン−4,6−ジイソシアナート、1,4−ジメチルベンゼン−2,5−ジイソシアナート、1−メトキシベンゼン−2,4−ジイソシアナート、1−メトキシベンゼン−2,5−ジイソシアナート、1−エトキシベンゼン−2,4−ジイソシアナート、2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイソシアナート、2,5−ジエトキシベンゼン−1,4−ジイソシアナート、2,5−ジブトキシベンゼン−1,4−ジイソシアナート、アゾベンゼン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアナート、ナフタリン−1,4−ジイソシアナート、ナフタリン−1,5−ジイソシアナート、ナフタリン−2,6−ジイソシアナート、ナフタリン−2,7−ジイソシアナート、3,3’−ジメチル−ビフェニル−4,4’−ジイソシアナート、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルジメチルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ベンゾフェノン−3,3’−ジイソシアナート、フルオレン−2,7−ジイソシアナート、アンスラキノン−2,6−ジイソシアナート、9−エチルカルバゾール−3,6−ジイソシアナート、ビレン−3,8−ジイソシアナート、ナフタレン−1,3,7−トリイソシアナート、ビフェニル−2,4,4’−トリイソシアナート、4,4’,4″−トリイソシアナト−2,5−ジメトキシトリフェニルアミン、4,4’,4″−トリイソシアナトトリフェニルアミン、p−ジメチルアミノフェニルイソシアナート、トリス(4−フェニルイソシアナート)チオフォスフェート等が挙げられる。これらのイソシアナート化合物は、必要に応じて、フェノール類、ランタム類、オキシム類等との付加化合物である、いわゆるブロックイソシアナートの形で用いてもよく、ジイソシアナートの2量体、例えば1−メチルベンゼン−2,4−ジイソシアナートの2量体、および3量体であるイソシアヌレートの形で用いてもよく、また、各種のポリオール等でアダクト化したポリイソシアナートとして用いることも可能である。
【0036】
感熱記録層14,17中の反応性染料の含有量は、発色性を考慮すると、感熱記録層14,17中、10〜50質量%が好ましく、10〜20質量%がより好ましい。また、感熱記録層14,17中の顕色剤の含有量は、反応性染料100質量部に対し、100〜700質量部が好ましく、150〜400質量部がより好ましい。
【0037】
感熱記録層14,17は、反応性染料および顕色剤に加えてさらに、バインダーを含有する。
バインダーとしては、感圧記録層13において例示したものから、適宜選択できる。
感熱記録層14,17中のバインダーの含有量は、感熱記録層14,17中、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。
【0038】
感熱記録層14,17は、さらに、発色感度を調節するために、増感剤を含有することが好ましい。増感剤としては、従来から感熱記録体の増感剤として知られている化合物を使用でき、例えば、比較的低融点で反応性染料、顕色剤に相溶性の良好な有機物(以下、熱可融性物質という)が挙げられる。熱可融性物質は、反応性染料、顕色剤と相溶することによりこの両成分の接触確率を高めて増感作用を発揮する。
熱可融性物質としては、例えばパラベンジルビフェニル、ジベンジルテレフタレート、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、シュウ酸ジベンジル、アジピン酸ジ−o−クロルベンジル、1、2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、シュウ酸ジ−p−メチルベンジル、シュウ酸ジ−p−クロルベンジル、1、2−ビス(3、4−ジメチルフェニル)エタン、1、3−ビス(2−ナフトキシ)プロパンなどをあげることができる。
感熱記録層14,17中の熱可融性物質の含有量は、反応性染料100質量部に対し、25〜500質量部が好ましく、100〜300質量部がより好ましい。
【0039】
感熱記録層14,17は、さらに、感熱記録された文字、画像などの保存性向上を主な目的として、画像安定化剤を含有してもよい。
画像安定化剤としては、例えば1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−〔1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスフェノール、および4,4’−〔1、3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスフェノールなどのフェノール系の化合物、4−ベンジルオキシフェニル−4’−(2−メチル−2、3−エポキシプロピルオキシ)フェニルスルホン、4−(2−メチル−1、2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン、および4−(2−エチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン等のエポキシ化合物、並びに1,3,5−トリス(2,6−ジメチルベンジル−3−ヒドロキシ−4−tert−ブチル)イソシアヌル酸などのイソシアヌル酸化合物から選ばれた1種以上を使用できる。
感熱記録層14,17中の画像安定化剤の含有量は、反応性染料100質量部に対し、5〜100質量部が好ましく、10〜60質量部がより好ましい。
【0040】
感熱記録層14,17は、耐水性を向上させるために、上述したバインダーを三次元硬化させるための架橋剤を含有してもよい。
架橋剤としては、例えば、グリオキザール等のアルデヒド系化合物、ポリエチレンイミン等のポリアミン系化合物、エポキシ系化合物、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、ジメチロールウレア化合物、アジリジン化合物、ブロックイソシアネート化合物、並びに過硫酸アンモニウムや塩化第二鉄、および塩化マグネシウム、四ホウ酸ソーダ、四ホウ酸カリウム等の無機化合物又はホウ酸、ホウ酸トリエステル、ホウ素系ポリマー等が挙げられる。
感熱記録層14,17中の架橋剤の配合量は、感熱記録層14,17中、1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
【0041】
感熱記録層14,17には、顔料を含有させることもできる。
顔料としては、たとえば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、焼成クレー、シリカ、ケイソウ土、合成ケイ酸アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、表面処理された炭酸カルシウムやシリカなどの無機顔料、並びに、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂、ポリスチレン樹脂等の有機顔料が挙げられる。
感熱記録層14,17中、顔料の含有量は、発色濃度を低下させない量であることが好ましく、感熱記録層14,17中、50質量%以下であることが好ましい。
また、反応性染料100質量部に対し、1〜100質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましい。
【0042】
感熱記録層14,17には、さらに必要に応じて、感熱記録体に一般的に用いられている各種添加剤を添加することができる。該添加剤としては、たとえば、ワックス類、金属石鹸、有色染料、蛍光染料、撥油剤、消泡剤、粘度調節剤等が挙げられる。
ワックス類としては、例えば、パラフィンワックス、カルナバロウワックス、マイクロクリスタリンワックス、およびポリエチレンワックス等のポリオレフィンワックスなどのワックス類、並びに例えばステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、およびその誘導体などをあげることができる。
特にメチロール化脂肪酸アミドを感熱記録層14,17に添加すると、耐地肌かぶり性を悪化せずに増感効果を得ることができる。
金属石鹸としては、高級脂肪酸多価金属塩、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、およびオレイン酸亜鉛等をあげることができる。
【0043】
(擬似接着層19)
本例における擬似接着層19は、第1層11と第2層18とを剥離可能に、かつ、再貼付不可能に接着するものであって、ウェットラミネート法により形成されたものである。
擬似接着層19は、接着成分として、擬似接着に用いられ、ウェットラミネート法の適用が可能な各種擬似接着剤を含有するとともに、さらに接着力調節剤を含有することが好ましい。
このような擬似接着剤としては、たとえば天然ゴム、合成ゴム等のゴム系粘着剤;アクリル酸および/またはアクリル酸エステルを主なモノマー成分として含有するアクリル系粘着剤;酢酸ビニル重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の酢酸ビニルを主なモノマー成分として含有する酢酸ビニル系粘着剤;澱粉、アルギン酸ナトリウム等の多糖系粘着剤やデキストリン系粘着剤等の水溶性接着剤などが使用できる。
これらのなかでは、ゴム系、アクリル系、酢酸ビニル系、デキストリン系の粘着剤が、接着性を任意に幅広くコントロールできるため好ましく、接着強度等を考慮して適宜選択されるが、さらに、この擬似接着層19はウェットラミネート法で形成されるため、特に酢酸ビニル系および/またはデキストリン系の粘着剤が好ましい。
擬似接着層19中の擬似接着剤の含有量は、擬似接着層19中、10〜100質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましい。
【0044】
接着力調節剤としては、感熱記録層14,17に含まれる添加剤として例示したポリエチレンワックス等のワックス類、金属石鹸、無機顔料および有機顔料等が挙げられる。これらの接着力調節剤は、擬似接着層19中に分散し、擬似接着層19の凝集力を低減する効果を有している。擬似接着層19の凝集力を低減することにより、第1層11と第2層18とは剥離しやすくなる。
擬似接着層19中の接着力調節剤の含有量は、第1層11と第2層18との接着強さや擬似接着層19の凝集力等を考慮して適宜決定される。特に、第1層11と第2層18の間の接着強さが後述する範囲内となる量が配合されることが好ましく、例えば、擬似接着層19中、0〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましい。
【0045】
擬似接着層19における第1層11と第2層18との間の接着強さは、JIS K 6854−3に規定されるT形はく離試験法に準拠して、50〜1000mN/25mm(はく離速度300mm/分)であることが好ましく、さらに、80〜600mN/25mm(はく離速度300mm/分)であることがより好ましい。
T形はく離試験法による接着強さが50mN/25mm未満であると、第1層11と第2層18とが簡単に剥離したり、カールや皺が生じて外観が悪化したりする恐れがある。またT形はく離試験法による接着強さが1000mN/25mmを超えると、第1層11と第2層18とを剥離する際に、第1層11および/または第2層18が破損する可能性や、流れ方向に強いカールが付き筒状になり易くなるおそれがある。
T形はく離試験法による接着強さは、使用される擬似接着剤の種類やそれに基づく浸透性、塗布量、塗布してから張り合わせるまでの時間、乾燥温度などによって適宜調節することができる。
【0046】
ここで、JIS K 6854−3に規定されるT形はく離試験法による接着強さは以下の手順で測定できる。すなわち、試料を23℃、50%RHの環境下に24時間以上放置した後、300mm/分のはく離速度ではく離試験を行う。接着強さは試験サンプル巾25mm当りのmNで示される。
【0047】
(記録シート10Aの製造方法)
図1の例の記録シート10Aの製造方法としては、第1層11と第2層18とをウェットラミネート法による擬似接着層19で接着させる方法であればよく、制限はないが、第1層11と第2の基材層16とをウェットラミネート法による擬似接着層19で接着した後、第2の基材層16の上に感熱記録層17を形成する方法が好ましい。この方法によれば、第2の基材層16に皺などが生じにくく、外観に優れた記録シート10Aが得られる。例えば第2の基材層16が紙基材である場合、擬似接着層19を形成する際に水を吸収して、伸び、皺、断紙等が生じる場合があるし、フィルム基材である場合にも、特にその厚さが薄い場合などには、腰が弱くなって皺等の変形が生じたり、扱いにくくなったりする可能性がある。これに対して、第1層11と第2の基材層16とを擬似接着層19で接着した後、第2の基材層16の上に感熱記録層17を形成することにより、これらの問題を改善できる。
【0048】
具体的な製造方法としては、まず、感圧記録層13を形成するための塗工液(以下、感圧記録層形成用塗工液という場合もある。)を調製し、これを第1の基材層12の片面に塗布、乾燥する。
ここで感圧記録層13が、発色剤層と顕色剤層とが別々に形成された多層構造の場合には、感圧記録層形成用塗工液として、発色剤層を形成するため塗工液と顕色剤層を形成するための塗工液とをそれぞれ調製し、いずれか一方を第1の基材層12の片面に塗布、乾燥した後、その上に他方を塗布、乾燥する。発色剤層を形成するため塗工液は、発色剤を含有するマイクロカプセルとバインダーと必要に応じて使用される顔料や添加剤とを水などの分散媒体に分散させることで得られ、顕色剤層を形成するため塗工液は、微粒子状の顕色剤とバインダーと必要に応じて使用される顔料や添加剤とを水などの分散媒体に分散させることで得られる。
【0049】
この場合、発色剤層と顕色剤層は、どちらが第1の基材層12に接するように形成されてもよいが、この例の記録シート10Aは、第2層18の感熱記録層17の外面側から加圧されて記録されるものであるため、第1の基材層12と接するように顕色剤層が形成され、その上に発色剤を含有するマイクロカプセルを有する発色剤層が形成された方が、加圧によりマイクロカプセルが破壊されやすくなると考えられ好ましい。
また、発色剤層を形成するための塗工液は、乾燥質量で2.0〜7.0g/m2塗布されることが好ましく、3.0〜6.0g/m2がより好ましい。顕色剤層を形成するための塗工液は、乾燥質量で3.0〜10.0g/m2塗布されることが好ましく、4.0〜7.0g/m2がより好ましい。
【0050】
一方、感圧記録層13が、発色剤・顕色剤層からなる単層構造の場合には、発色剤と顕色剤とバインダーと必要に応じて使用される顔料や添加剤とを水などの分散媒体に分散させた感圧記録層形成用塗工液を調製し、これを第1の基材層12の片面に塗布、乾燥する。この場合には、乾燥質量で5.0〜15.0g/m2塗布することが好ましく、7.0〜10.0g/m2がより好ましい。
【0051】
各塗工液の調製には、例えば、ボールミル、アトライター、サンドミルなどの攪拌・粉砕機を用いることができる。
各塗工液の塗布には、エアーナイフコーター、ブレードコーター、ショートドウェルコーター、ロッドブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、サイズプレスコーター、ビルブレードコーター等が使用できる。これらのなかでは、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター等を使用した場合、塗布対象物に対して過度の圧力が加わらないため、第1の基材層12にすでにマイクロカプセルを含有する発色剤層が形成されていて、この上に顕色剤層を形成する場合などには、マイクロカプセルの破壊を抑えるためにこれらのコーターを選択することが好ましい。
【0052】
このようにして第1の基材層12に感圧記録層13を形成した後、この感圧記録層13の上に、感熱記録層14を形成するための塗工液(以下、感熱記録層形成用塗工液という場合もある)を塗布、乾燥し、感熱記録層14を形成する。
ここで感熱記録層14は、上述したように反応性染料層と顕色剤層とが別々に形成された多層構造であってもよいが、反応性染料と顕色剤の両方を含有する染料・顕色剤層からなる単層構造の方が、反応性、熱応答性に優れ好ましい。
この場合には、反応性染料と顕色剤とバインダーと、必要に応じて使用される顔料や添加剤を水などの分散媒体に分散して感熱記録層形成用塗工液を調製し、これをすでに形成されている感圧記録層の上に塗布、乾燥する。また、この場合、反応性染料と顕色剤とを別々の分散媒体に分散して2種の分散液を調製し、感熱記録層14を形成する際に、これら2種の分散液を混合することが好ましい。
【0053】
感熱記録層形成用塗工液の塗工量としては、発色性を考慮すると、乾燥質量で1〜10g/mが好ましく、2〜5g/mがより好ましい。
また、感熱記録層形成用塗工液の調製や塗布には、感圧記録層13の形成において例示した各種攪拌・粉砕機や、各種コーターを使用できる。
【0054】
このように感熱記録層14が形成されて、第1の基材層12と感圧記録層13と感熱記録層14とが順次形成された第1層11が得られる。
なお、感熱記録層14の外面には、スーパーカレンダーやソフトカレンダーなどの既知の平滑化方法を用いて平滑化処理してもよい。これにより、その発色感度を高めることができる。平滑化処理においては、感熱記録層14の外面を、カレンダーの金属ロールおよび弾性ロールのいずれに当てて処理してもよい。
【0055】
ついで、擬似接着層19を形成するための塗工液(以下、擬似接着層形成用塗工液という場合もある。)を調製する。そして、これを第1層11の感熱記録層14または第2の基材層16の表面に塗布し、この塗工液を乾燥させずに第1層11と第2の基材層16とを貼り合わせた後、乾燥するウェットラミネート法により、第1層11と第2の基材層16とが擬似接着層19で接着した記録シート中間体を製造する。
擬似接着層形成用塗工液としては、酢酸ビニル系等の擬似接着剤を水系エマルジョンとしたものや、デキストリン系などの水溶性の擬似接着剤を水に溶解して水溶液としたものなどが好適に使用でき、必要に応じて接着力調節剤を配合する。この塗工液の塗布方法としては、第1層11における感圧記録層13の場合と同様に行うことができる。
擬似接着層形成用塗工液の塗工量としては、記録特性に優れることから、0.5〜10g/mが好ましく、1〜5g/mがより好ましい。
【0056】
このようなウェットラミネート法によれば、塗布された塗工液が乾燥しないうちに第1層11と第2層18とを貼り合わせるため、貼り合わせの際にほとんど圧力を必要とせず、線圧980N/m(1kg/cm)以下でも充分に擬似接着させることができる。よって、この例のように、第1層11が加圧により発色する感圧記録層13を有する場合でも、貼り合わせの際の加圧により感圧記録層13が発色してしまうことがなく、地肌汚れが生じない。さらに、ウェットラミネート法によれば、貼り合わせの際に、塗工液中の水分が緩衝材として作用するため、貼り合わせ時に感圧記録層13に伝わる圧力がより緩和されるというメリットもある。ここで仮に、接着剤を第1層に塗工後、乾燥させてから第2の基材層を圧着するドライラミネート法を採用した場合には、線圧19600N/m(20kg/cm)程度の圧力で圧着する必要があり、この方法では、貼り合わせの際の加圧により感圧記録層には地肌汚れが生じてしまう。また、第1層と第2層との間に高温の溶融樹脂を押し出して、これらを貼り合わせる押出ラミネート法を採用しようとしても、本実施形態例や後述の第2および第3実施形態例のように、第1層が感熱記録層を有するものである場合には、感熱記録層が溶融樹脂の熱により発色してしまうという大きな問題がある。
【0057】
また、ウェットラミネート法によれば、擬似接着層用塗工液の塗工量もドライラミネート法の場合に比べて少なくてすむため、乾燥に要する時間も短い。よって、高速での大量生産が可能となるなど、生産性、製造コストの点で優れる。また、擬似接着層用塗工液の塗工量が少ないと、5μm以下の薄さの第2の基材層16を使用できるとともに、擬似接着層19自体も薄くできるため、第1層11の感熱記録層14への熱の伝達や感圧記録層13への圧力の伝達が良好であり、明瞭な記録を行うことができる。さらに、記録シート10Aの総厚みを薄くでき、巻物状としての取り扱いにも適したものとなる。ここで仮に押出ラミネート法で擬似接着層を形成した場合には、形成される層はある程度の厚さを有するものとなるため、これよりも下層側に配置されている感圧記録層や感熱記録層へ熱の伝達や圧力の伝達が不良となるという欠点がある。
【0058】
ついで、得られた記録シート中間体の第2の基材層16上に、感熱記録層形成用塗工液を塗布、乾燥して感熱記録層17を形成することにより、図1の記録シート10Aが得られる。
この場合の感熱記録層17の形成は、第1層11における感熱記録層14の形成と同様に行うことができる。
【0059】
このようにして得られた記録シート10Aには、第2層18の感熱記録層17の外面側から加圧したり、加熱したりすることで、文字、画像などの記録を行うことができる。よって、契約書などとして有効に使用できる。
例えば、甲があらかじめ第2層18の感熱記録層17の外面の一部分に、感熱式プリンタで契約内容を示す文章を感熱印刷しておく。この際、第1層11の感熱記録層14にも同じ文章が記録されることとなる。
ついで、甲と乙とが記録シート10Aに記録されている契約内容に合意した場合には、第2層18の感熱記録層17の外面における上記一部分以外の部分に、それぞれ筆記具でサインする。この際、筆記とともに加圧もなされるために、第1層11の感圧記録層13にも両者のサインが記録されることとなる。
そして、第1層11と第2層18とを擬似接着層19内の凝集破壊による層間剥離により、2枚に剥離することで、一方は甲が保管するための契約書となり、他方は乙が保管するための契約書となる。また、この擬似接着層19は再貼付ができないものであるため、第1層11と第2層18とを再度貼り合わせて契約書を改ざんすることもできない。よって、より信頼性の高い契約書とすることができる。
【0060】
[第2実施形態例]
図2は第2実施形態例の記録シート10Bを示すものであって、第1層11における感熱記録層14と感圧記録層13との位置が、第1実施形態例の記録シート10Aとは逆になっていて、感圧記録層13が擬似接着層19と接するように配置されている。
このような記録シート10Bでも、第1実施形態例の記録シート10Aと同様に、第2層18の感熱記録層17の外面側から加圧したり、加熱したりすることで、文字、画像などの記録を行うことができ、契約書などとして有効に使用することができるが、第1層11の感熱記録層14への感熱記録時の伝熱性が第1実施形態例の記録シート10Aよりは低くなるため、第1層11の感熱記録層14をより熱応答性の高いものにする必要がある。
【0061】
[第3実施形態例]
図3は第3実施形態例の記録シート10Cを示すものであって、第2層18が感熱記録層を備えておらず、第2の基材層16のみから構成されている点で第1実施形態例の記録シート10Aとは異なっている。
このような記録シート10Cに対して、第2の基材層16の外面側から加熱したり、加圧したりして、第1層11の感熱記録層14や感圧記録層13に記録した場合、第2の基材層16が光透過性を有していないものであると、記録の時点では記録の内容を外側から視認できず、擬似接着層19を境にして第1層11と第2層18とを剥離して初めて視認できる。よって、第3者には非公開の個人情報を特定の個人にのみ通知する各種通知書などとしての応用が考えられ、1つの記録シート10Cに、役所のA課からの通知内容は感熱記録され、B課からの通知内容は感圧記録されるなどの区別も可能となる。
また、擬似接着層19は再貼付ができないものであるため、特定の個人が通知内容を確認する前に第3者がこれを見たか否かを知ることができる。
【0062】
[第4実施形態例]
図4は第4実施形態例の記録シート10Dを示すものであって、第1層11が感熱記録層を備えていない点で第1実施形態例の記録シート10Aとは異なっている。
このような記録シート10Dに対して、第2層18の感熱記録層17の外面側から加圧して、第1層11の感圧記録層13に記録した場合、第2の基材層16や感熱記録層17が光透過性を有していないものであると、記録の時点では記録の内容を外側から視認できず、擬似接着層19を境にして第1層11と第2層18とを剥離することによって初めて視認できる。また、第2層18の感熱記録層17の外側から加熱することで、あらかじめ視認の必要のある内容については、第2層18の感熱記録層17に感熱記録することができる。この例の記録シート10Dも、第3者には非公開の個人情報などを特定の個人にのみ通知するための通知書などとしての応用が考えられる。
また、擬似接着層19は再貼付ができないものであるため、特定の個人が通知内容を確認する前に第3者がこれを見たか否かを知ることができる。
【0063】
[第5実施形態例]
図5は第5実施形態例の記録シート10Eを示すものであって、第1層11と第2層18とがともに感熱記録層を備えていない点で第1実施形態例の記録シート10Aとは異なっている。
このような記録シート10Eに対して、第2層18の外面側、すなわち、第2の基材層16の外面側から加圧して、第1層11の感圧記録層13に記録した場合、第2の基材層16が光透過性を有していないものであると、記録の時点でその内容を外側から視認できず、擬似接着層19を境にして第1層11と第2層18とを剥離することによって初めて視認できる。よって、この場合にも、第3者には非公開の個人情報などを特定の個人にのみ通知するための通知書などとしての応用が考えられる。
また、擬似接着層19は再貼付ができないものであるため、特定の個人が通知内容を確認する前に第3者がこれを見たか否かを知ることができる。
【0064】
[第6実施形態例]
図6は第6実施形態例の記録シート10Fを示すものであって、第1の基材層12の片面に感圧記録層(感圧記録が可能な記録層)13が形成された第1層11と、第2の基材層16の片面に感圧記録誘発層13’が形成された第2層18とが擬似接着層19を介して積層したものであって、第1層11の感圧記録層13と第2層18の感圧記録誘発層13’とが擬似接着層19を介して隣接するように配置されている。この例の記録シート10Fの感圧記録層13は、第1〜第5実施形態例の場合とは異なり、発色剤または顕色剤のうち顕色剤のみを含有する非自己発色性のものであって、第2の基材層16の外面側から加圧されることで、発色剤または顕色剤のうち発色剤のみを含有している感圧記録誘発層13’と圧接することにより、発色するものである。
【0065】
この例の記録シート10Fは次のようにして製造できる。
まず、第1の基材層12を用意し、その片面に、顕色剤層形成用塗工液を塗布、乾燥して感圧記録層13を形成し、第1層11を製造する。一方、第2の基材層16を用意し、その片面に、発色剤形成用塗工液を塗布、乾燥して感圧記録誘発層13’を形成し、第2層18を製造する。
そして、擬似接着層形成用塗工液を調製して、第1層11の感圧記録層13または第2層18の感圧記録誘発層13’の表面にこれを塗布し、第1層11と第2層18とを貼り合わせた後、乾燥する(ウェットラミネート法)。
各基材層12,16の種類、各塗工液の調製法、塗工法、塗工量などは、第1実施形態例で例示したものを同様に選択できる。
【0066】
ウェットラミネート法によれば、第1層11と第2層18とを貼り合わせるための圧力をほとんど必要としないため、第1〜第5実施形態例の場合と同様に、得られた記録シート10Fには、感圧記録層13の発色による地肌汚れが生じない。
さらに、ウェットラミネート法によれば、擬似接着層形成用塗工液の塗工量が少なくてすみ、非常に薄い擬似接着層19を形成できるため、本実施形態例のような構成であって、実用可能な記録シート10Fを提供できる。すなわち、ウェットラミネート法による擬似接着層19であれば、感圧記録層13と感圧記録誘発層13’との間に介在していても、記録時に第2の基材層16の外面側から加圧されることで、感圧記録層13の顕色剤と感圧記録誘発層13’の発色剤とが接触、反応でき、感圧記録層13が良好に発色する。また、この場合、発色性をより高めるために、擬似接着層形成用塗工液に無機顔料を添加してもよい。無機顔料を含有する擬似接着層形成用塗工液を使用すると、形成された擬似接着層19は、無機顔料の周囲にわずかな空隙を備えたものとなる。このような擬似接着層19によれば、この空隙において、感圧記録層13の顕色剤と感圧記録誘発層13’の発色剤とが良好に接触、反応することができる。
【0067】
従来、このように感圧記録層と感圧記録誘発層との間に他の層が介在すると、顕色剤と発色剤との接触、反応が阻害され、感圧記録層の発色が困難になるために、感圧記録層を有する第1層と感圧誘発記録層を有する第2層とが擬似接着層を介して積層したこの例のような構成の記録シートの実用化は難しかった。そのため、例えば領収証などの用途において、第1層と第2層とが重ねられて使用される場合でも、これらを擬似接着層であらかじめ全面的に接着しておくことはできず、第1層と第2層の端部のみを部分的に接着しておく方法、第1層と第2層の端部にスプロケットホールを形成し、ここに紙送りロールのピンを嵌合させて第1層と第2層とをずれないように保持する方法などが採用されるのみに限られていた。このような記録シートは、接着箇所が事前に剥離してしまったり、第1層と第2層とがずれたりしやすいという問題や、巻物状にすることが難しいという問題があり、取扱性が良好ではなかった。しかしながら、この例の記録シート10Fによれば、ウェットラミネート法の採用により、感圧記録層13の発色を妨げることなく第1層11と第2層18とを全面的に擬似接着層19で接着できるため、接着箇所の事前の剥離や、第1層11と第2層18とがずれるという問題が発生しにくく、巻物状にすることも可能であり、取扱性が良好となる。
【0068】
なお、この例では、感圧記録層13が顕色剤を含有し、感圧記録誘発層13’が発色剤を含有した形態となっているが、感圧記録層13が発色剤を含有し、感圧記録誘発層13’が顕色剤を含有した形態であってもよい。
さらに、この例の感圧記録層13には、感熱記録用の反応性染料および顕色剤とがさらに含まれ、感圧記録とともに感熱記録が可能とされていてもよい。
【0069】
[第7実施形態例]
図7は第7実施形態例の記録シート10Gを示すものであって、感圧記録が可能な感圧記録層として、感圧記録とともに感熱記録も可能な感圧・感熱記録層20を有しているものである。すなわち、第1の基材層11の片面に、感圧記録層13と感熱記録層14とが別々に形成されている代わりに、1層の感圧・感熱記録層20が形成されている点でのみ、第1実施形態例と異なっている。このような記録シート10Gであっても、第1実施形態例の記録シート10Aと同様に、第2層18の感熱記録層17の外面側から加圧したり、加熱したりすることで、文字、画像などの記録を行うことができ、契約書などとして有効に使用することができる。
【0070】
このような感圧・感熱記録層20の形成には、感圧記録用の発色剤を含有するマイクロカプセルおよび顕色剤と、感熱記録用の反応性染料および顕色剤と、バインダーと、必要に応じて使用される顔料や添加剤とを水などの分散媒体に分散させた感圧・感熱記録層形成用塗工液を用いればよい。
また、この例においても、第1の基材層11の片面に、1層の感圧・感熱記録層20が形成されているかぎりは、第2層が第2の基材層のみからなっていてもよい。
【0071】
[その他]
本発明の記録シートは、第1の基材層と感圧記録が可能な記録層とを有する第1層の記録層側に、少なくとも第2の基材層を有する第2層がウェットラミネート法による擬似接着層を介して積層したものであればよく、その具体的な構成は第1〜7実施形態例に限定されない。
例えば、これらの各例の記録シートの少なくとも一方の最外面に、帯状、網目状、千鳥状、スポット状、文字、地紋等などの印刷を施したり、金属箔、金属蒸着フィルムを貼り付けたりして遮蔽層を形成することで、これら記録シートをたとえ光にかざした場合であっても、記録されている情報を外側から視認できないようにすることができる。
また、例えば、第3実施形態例において、第2の基材層としてPET、PP、PEなどのフィルム基材や、グラシン紙などの紙基材など、光透過性のあるものを採用することにより、第1層の感熱記録層に記録されている情報を外側から視認できるようにしてもよい。この場合、第2の基材層は、感熱記録層を保護する作用を奏する。また、この場合、第2の基材層の外面上に、部分的に帯状、網目状、千鳥状、スポット状、文字、地紋等などの印刷を施したり、金属箔、金属蒸着フィルムを貼り付けたりして遮蔽層を形成し、感熱記録層に形成されている情報の一部を外側から視認できないようにしてもよい。
さらに、これら各例の記録シートには、必要に応じて、記録シートの任意の箇所に、記録シートを厚さ方向に貫通するミシン目などの切断予定線を形成したり、厚さ方向に貫通しないハーフカット加工を施したりしてもよいし、第1の基材層および/または第2の基材層の外面上に、遮蔽以外の目的の任意の文字や画像を設けておいてもよい。
【0072】
さらに、各層の間に、各層間の密着の程度を制御することなどを目的とした層を設けてもよい。例えば、擬似接着層の片面または両面に、シリコン樹脂、ポリエチレンワックス等の剥離剤を塗布して剥離剤層を設けて、第1層と第2層とを剥離しやすくしてもいいし、第1の基材層や第2の基材層に下塗層を設けてから、その上に他の層を形成してもよい。特に、顔料および接着剤を主体とし、従来から感熱記録材料に使用されている公知の下塗層を形成すると、その上に感熱記録層を形成した際に、その発色感度を上げることができる。このような効果を奏する下塗層の顔料としては、シリカ、焼成カオリンなどのような空隙率の高い顔料が例示でき、さらに下塗層中にプラスチックピグメント、中空粒子、発泡体などを含有させることにより、より効果的になる。さらには、第1層や第2層における擬似接着層との接着面に、あらかじめ部分的に点状、線状などの印刷部を設け、この印刷部の形成密度を変化させることによって、接着面と擬似接着層との密着の度合いをコントロールしてもよい。
また、設けられる感熱記録層や感圧記録層の上に、顔料や接着剤を主体とし、従来から感熱記録材料に使用されている公知の保護層を形成してもよい。
【0073】
さらに、第1の基材層の裏面に粘着剤、再湿接着剤、ディレードタック型の粘着剤などによる塗布加工を施して、本発明の記録シートを粘着紙、再湿接着紙、ディレードタック紙として使用したり、第1の基材層の裏面や記録シートの表面の一部に、磁気記録可能な層(磁気記録層)を形成して、磁気記録も可能な記録シートとしたりして、より高い機能を付与することもできる。
【実施例】
【0074】
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。また、特に断りのない限り、例中の「部」および「%」はそれぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
[実施例1]
以下のようにして、第1実施形態例の記録シートを製造した。
<感熱発色成分の調整>
(1)A液調製(ロイコ染料の分散)
3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン20部、メチルセルロースの5%水溶液5部及び水15部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.0μmになるまで粉砕した。
(2)B液調製(顕色剤の分散)
ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン20部、メチルセルロースの5%水溶液5部及び水15部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.0μmになるまで粉砕した。
(3)C液調製(増感剤の分散)
1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン20部、メチルセルロースの5%水溶液5部及び水15部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.0μmになるまで粉砕した。
【0075】
<感熱記録層形成用塗工液の調製>
シリカ(商品名:ミズカシルP−527、水沢化学製)の30%分散液60部、A液20部、B液50部、C液10部、ステアリン酸亜鉛の水分散液(商品名:ハイドリンZ−7−30、固形分31.5%、中京油脂社製)13部、SBRラテックス(商品名:L−1571、濃度48%、旭化成社製)40部 、およびケイ素変性ポリビニルアルコール(商品名:R−1130、分子量1700、クラレ社製))の10%水溶液40部を混合攪拌して感熱記録層形成用塗工液を得た。
【0076】
<第1層の作製>
第1の基材層の上に自己発色性の感圧記録層が形成された王子製紙製セルコンペーパー〔KSコピー・ブライト、番手:N50、発色:ブルー〕の該感圧記録層上に、上記の感熱記録層形成用塗工液を、グラビアコーターで乾燥後の塗布量が4g/mとなるように塗布、乾燥して感熱記録層を形成し、第1層を得た。なお、使用したセルコンペーパーの自己発色性の感圧記録層は、単層構造であって、発色剤としては、クリスタルバイオレットラクトンをマイクロカプセル内に含む発色剤CVL(山本化学製、クリスタルバイオレットラクトン)を含有し、顕色剤としてはR−054−K(三光化学製、サリチル酸亜鉛系)を含有している。
【0077】
<記録シートの形成>
第1層の感熱記録層上に、グラビアコーターで、擬似接着剤(商品名:フルタイトFB131(酢酸ビニル系接着剤)、有効成分44%、三井物産ソルベントコート株式会社製)を、乾燥後の塗工量が2g/mとなるように塗布し、この擬似接着剤を乾燥せずに第2の基材層16としてグラシン紙(坪量25g/m、密度0.92g/cm)を貼付した後、乾燥し、第1層/擬似接着層/第2の基材層からなる記録シート中間体を得た。
次に、この記録シート中間体の第2の基材層上に、グラビアコーターで、上記の感熱記録層形成用塗液を、乾燥後の塗工量が5g/mとなるように塗布、乾燥して、感熱記録層を形成し、第1層/擬似接着層/第2層からなる記録シートを得た。
得られた記録シートにおける第1層と第2層との間のT形はく離試験法による接着強さは180mN/25mm(はく離速度300mm/分)であった。
【0078】
[実施例2]
実施例1で使用した王子製紙製セルコンペーパーを〔KSコピー・ブライト、番手:N40、発色:ブラック〕に代えた以外は実施例1と同様にして実施例2の記録シートを得た。
【0079】
各実施例で得られた記録シートは地肌汚れがなく、各記録層における印字も鮮明なものであった。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】第1実施形態例の記録シートの断面図である。
【図2】第2実施形態例の記録シートの断面図である。
【図3】第3実施形態例の記録シートの断面図である。
【図4】第4実施形態例の記録シートの断面図である。
【図5】第5実施形態例の記録シートの断面図である。
【図6】第6実施形態例の記録シートの断面図である。
【図7】第7実施形態例の記録シートの断面図である。
【符号の説明】
【0081】
10A〜10G 記録シート
11 第1層
12 第1の基材層
13 感圧記録層
13’感圧記録誘発層
14,17 感熱記録層
16 第2の基材層
18 第2層
19 擬似接着層
20 感圧・感熱記録層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基材層と感圧記録が可能な記録層とを少なくとも備える第1層と、第2の基材層を少なくとも備える第2層とを有し、前記第2層が擬似接着層を介して前記第1層の前記記録層側に積層した記録シートであって、
前記擬似接着層は、ウェットラミネート法で形成されたことを特徴とする記録シート。
【請求項2】
前記記録層は、発色剤と顕色剤とを含有する自己発色性の感圧記録層であることを特徴とする請求項1に記載の記録シート。
【請求項3】
前記記録層が発色剤または顕色剤のうちの一方を含有する非自己発色性の感圧記録層であるとともに、前記第2層が他方を含有する感圧記録誘発層をさらに有し、
前記感圧記録層と前記感圧記録誘発層とは、前記擬似接着層を介して隣接するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の記録シート。
【請求項4】
前記第1層または前記第2層の少なくとも一方は、感熱記録層をさらに有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の記録シート。
【請求項5】
前記記録層は、前記感圧記録とともに感熱記録も可能な感圧・感熱記録層であることを特徴とする請求項1に記載の記録シート。
【請求項6】
前記第2層は、感熱記録層をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の記録シート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−125847(P2007−125847A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−321993(P2005−321993)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【出願人】(000191320)王子特殊紙株式会社 (79)
【Fターム(参考)】