説明

記録ディスクにパターンを書き込む方法及びデータ記憶装置

【課題】サーボ・パターン書き込み処理において、記録ディスクに正確に位相の合ったパターンを書き込む。
【解決手段】 TSSWはTime Aligned Patternを使用してProduct Servo Patternを書き込む。Product Servo Pattern書き込みにおいて、ID側トラックのTime Aligned Pattern間の時間間隔を測定し、Product Servo Patternを書き込むタイミングを決定する。Time Aligned Patternの検出を基準に、決定された書き込みタイミングに従ってOD側のProduct Servo Patternを書き込む。これによって、隣接トラックのProduct Servo Patternの円周方向位置を正確に揃えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録ディスクにパターンを書き込む方法及びデータ記憶装置に関し、特に、回転する記録ディスクにサーボ・パターンを書き込む処理におけるパターンの書き込みに関する。
【背景技術】
【0002】
データ記憶装置として、光ディスクや磁気テープなどの様々な態様のメディアを使用する装置が知られている。その中で、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)は、コンピュータの記憶装置として広く普及し、現在のコンピュータ・システムにおいて欠かすことができない記憶装置の一つとなっている。さらに、コンピュータ・システムにとどまらず、動画像記録再生装置、カーナビゲーション・システム、あるいはデジタル・カメラなどで使用されるリムーバブルメモリなど、HDDの用途は、その優れた特性により益々拡大している。
【0003】
HDDで使用される磁気ディスクは、同心円状に形成された複数のトラックを有しており、各トラックにはサーボ・パターンと、ユーザ・データが記憶される。薄膜素子で形成された磁気ヘッドがサーボ・パターンに従って所望の領域(アドレス)にアクセスすることによって、データ書き込みあるいはデータ読み出しを行うことができる。データ読み出し処理において、磁気ヘッドが磁気ディスクから読み出した信号は、信号処理回路によって波形整形や復号処理などの所定の信号処理が施され、ホストに送信される。ホストからの転送データは、信号処理回路によって同様に所定処理された後に、磁気ディスクに書き込まれる。
【0004】
上記のように、各トラックはユーザ・データが記憶されるユーザ・データ領域とサーボ・パターンが記憶されるサーボ領域とを備えている。サーボ領域には、サーボ・データとして、シリンダID(Gray Code)、Burst Patternなどが記憶されている。シリンダIDはトラックのアドレスを示す。Burst Patternはトラックに対する磁気ヘッドの相対位置情報を有している。サーボ・パターンは各トラックにおいて円周方向に離間して複数セクタ形成されており、全トラックに渡る各セクタのサーボ・パターンは、円周方向において位置(位相)が揃っている。磁気ディスクに対するデータの読み出しまたは書き込みは、磁気ディスクが回転している状態において、サーボ・パターンによって磁気ヘッドの位置を確認しながら実行される。
【0005】
サーボ・パターンは、製品としてHDDが出荷される前に工場内において磁気ディスクに書き込まれる。従来の典型的なサーボ・パターンの書き込みは、外部装置としてのサーボ・ライタを使用して行われている。トップ・カバーを外した状態のHDDがサーボ・ライタにセットされ、サーボ・ライタはHDD内のヘッドをポジショナ(外部位置決め機構)によって位置決めし、サーボ・パターン生成回路が生成したサーボ・パターンを磁気ディスクに書き込む。
【0006】
現在、サーボ・データの書き込み工程(Servo Track Write : STW)は、HDDの製造コストの中で主要な位置を占めている。特に近年、HDDは高容量化の競争が激化し、これに伴いTPI(Track Per Inch)の増加が進んでいる。TPIが増加する事により、Track数は増え、Track幅が小さくなる、これらはSTW時間の増加及びサーボ・ライタの高精密化を進め、STWのコスト増加の要因となっている。このコストを削減する為にサーボ・ライタのコスト削減、STW時間の短縮等が進められている。例えば、SSW(Self Servo Write)は今までのSTWとは異なり、典型的には、HDDにトップ・カバーをつけた状態でサーボ・パターンを書き込む。SSWは、メカ部分はHDD本体のみを使い、外部回路からHDD内のスピンドル・モータ(SPM)とボイス・コイル・モータ(VCM)をコントロールし、外部回路を用いてServo Patternを書き込む。これによって、サーボ・ライタのコスト削減を図っている。
【0007】
SSWの一例は、例えば特許文献1に開示されている。磁気ディスクの一面には、予め回転方向の位置を検出するための位置検出用パターンが記録されている。この位置検出用パターンは、周方向に所定の間隔を以って記録されているクロック・パターンである。クロック・パターンのプリライト動作は、ディスク単板毎のサーボ・ライタにより実行される。クロック・パターンが書き込まれたディスクは、HDDに組み込まれる。
【0008】
特許文献1のSTWは、予めクロック・パターンが記録された磁気ディスク上に、サーボ・パターンを書き込む。初期シーケンスにおいてヘッドをディスクの最内周に位置決めして、基準となるサーボ・パターンを書き込む。以下順次、記録したサーボ・パターンを利用して、ライト・エレメントを位置決めする。サーボ・パターンのライトにおいて、ディスク上の全面に記録されたクロック・パターンを使用して、書き込みタイミングの設定動作を実行する。従って、サーボ・パターンの高周波数化や、磁気ディスクの回転ジッタの影響により、クロッキング(書き込みタイミングの設定)精度が低下することを抑制できる。
【0009】
【特許文献1】特開2004−063043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
STWにおいて重要な点の一つは、円周方向におけるサーボ・パターンの書き込みタイミングを正確に制御することである。特に、各セクタにおける隣接トラックのサーボ・パターンの書き込みタイミングが一致せず、サーボ・パターン円周方向の位相(書き込み位置)がずれている場合、ヘッドによるサーボ・パターンの読み取り振幅が小さくなり、サーボ・パターンを正確に読み取ることができなくなる。上記特許文献1のSTWは、クロック・パターンを使用することによって、サーボ・パターンの書き込みタイミングのずれを抑制することができる。しかし、クロック・パターンを磁気ディスクに予め記録することが必要であり、クロック・パターンの書き込みのための専用の装置及び専用の工程が必要とされる。
【0011】
本発明は上記のような事情を背景としてなされたものであって、本発明の目的は、、記録ディスクへのパターンの書き込み処理において、パターン書き込みのタイミングを効果的に制御することである。本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下に課題を解決するための手段を開示する。本項目において、いくつかの構成要素は、実施の形態において説明された構成要素と対応付けられている。しかし、この対応付けは発明の理解の容易のためになされたものであって、各要素は実施の形態の対応要素にのみ限定されるものでない。
【0013】
本発明の一つの態様は、データ記憶装置に実装されている回転記録ディスクに、ディスクの径方向に位置が異なるリード・エレメントとライト・エレメントを有する内部ヘッドを使用して、パターンを書き込む方法であって(a)連続する複数トラックのそれぞれに形成され円周方向の位置が揃っている複数パターン(例えば、図13に示されたTime Aligned Patternもしくは図20に示されたProduct Servo Pattern)で構成されたパターン列を、円周方向に離間して複数セクタ形成し、(b)前記複数トラックの一つのトラックにおいて、2つのセクタのパターン間の時間間隔を測定し、(c)測定した前記時間間隔に基づき書き込みタイミングを決定し、(d)前記2つのセクタのパターンの内の第1セクタのパターンを検出した後の前記書き込みタイミングにおいて、前記複数のトラックとは異なる第1サーボ・トラックに第1のサーボ・パターン(例えばProduct Servo Pattern)を書き込むものである。一つのトラックにおける2つのパターン間の時間間隔から他のトラックのパターンの書き込むタイミングを決定することによって、円周方向におけるパターン書き込み位置を効果的に制御することができる。
【0014】
前記連続する複数トラックの径方向距離は、前記連続する複数トラックの端のトラックに前記リード・エレメントがある位置における前記内部ヘッドのリード/ライト・オフセット以上である。これによって、所望のトラック数の連続するパターンを新たに書き込んでいくことができる。あるいは、前記複数セクタのパターン列の各パターンはサーボ・パターン(例えばProduct Servo Pattern)であることができる。これによって、サーボ・パターンを使用してサーボ・パターンを書き進むことができる。
【0015】
前記第1のサーボ・パターンは、前記2つのセクタのパターンの内の第2セクタのパターンと円周方向において揃った位置に形成されることができる。あるいは、前記一つのトラックの隣接トラックにおける前記2つのセクタのパターンと同一セクタの2つのパターンついて、更に前記(b)及び(c)の処理を実行し、(e)前記隣接トラックにおける2つのセクタのパターンの内の第1セクタのパターンを検出した後の前記書き込みタイミングにおいて、前記第1サーボ・パターンと円周方向における位置が揃っている第2サーボ・パターンを、前記第1サーボ・トラックと隣接する第2サーボ・トラックに書き込むことができる。これによって、円周方向の位置が揃ったパターンを書き込んでいくことができる。
【0016】
さらに、前記一つのトラックにおいて、各隣接セクタのパターンについて、更に前記(b)、(c)及び(d)の処理を実行し、前記第1サーボ・トラックに複数セクタのサーボ・パターンを書き込み、前記一つのトラックの隣接トラックにおいて、各隣接セクタのパターンについて、前記(b)、(c)及び(e)の処理を実行し、前記第1サーボ・トラックの複数サーボ・パターンのそれぞれと円周方向における位置が揃っている複数のサーボ・パターンを前記第2サーボ・トラックに書き込むことができる。これによって、複数トラックに渡り径方向に連続し、各トラックにおいて円周方向に離間するサーボ・パターンを順次書き込んでいくことができる。
【0017】
前記一つのトラックにおける各隣接セクタのパターンについて、更に前記(b)、(c)及び(d)の処理を実行し、前記第1サーボ・トラックに複数セクタのサーボ・パターンを形成し前記複数セクタのサーボ・パターンの内の2つのセクタのサーボ・パターン間の時間間隔を測定し、測定した前記サーボ・パターン間の時間間隔に基づき書き込みタイミングを決定し、前記2つのセクタのサーボ・パターンの一つの検出後の前記書き込みタイミングにおいて、前記第1サーボ・トラックとは異なる第3サーボ・トラックにサーボ・パターンを書き込むことができる。これによって、新たに書き込まれたサーボ・パターンを使用して、さらに先のトラックにサーボ・パターンを書き込むことができる。
【0018】
さらに、前記第1サーボ・トラックの各隣接セクタのサーボ・パターンについて、更に前記(b)、(c)及び(d)の処理を実行し、前記第3サーボ・トラックに複数のサーボ・パターンを書き込むことができる。これによって、新たに書き込まれたサーボ・パターンを使用して、さらに先のトラックにサーボ・パターンを書き込むことができる。さらに、前記第1及び第2サーボ・トラックのそれぞれに形成されるセクタ数は、前記記録ディスクのユーザ・データ・アクセスに使用されるサーボ・セクタ数の偶数倍である(例えば、図20に示された円周方向に2NsのProduct Servo Pattern)。これによって、ユーザ・データ・アクセスに使用されるサーボ・セクタの書き込みを1回のディスク回転内において実行することができる。
【0019】
あるいは、前記第3サーボ・トラックへのサーボ・パターンの書き込みにおいて、前記第3サーボ・トラックの1周回において前記第1のサーボ・トラックの偶数番目のセクタのサーボ・パターンを使用して奇数番目のセクタのサーボ・パターンを書き込み、他の1周回において偶数番目のセクタのサーボ・パターンを書き込むことができる。これによって、ユーザ・データ・アクセスに使用されるサーボ・セクタの書き込みを1回のディスク回転内において実行することができる。
【0020】
前記複数セクタのパターン列の各パターンは、前記記録ディスクのサーボ・パターンと異なるものであり、前記パターン列の径方向距離は、前記内部ヘッドのリード/ライト・オフセット以上であり、前記第1サーボ・パターンは、前記複数セクタのパターン列とは周方向において位相の異なる位置に形成されることができる。これによって、他のパターンから所望のトラックに渡るサーボ・パターン書き込みを可能とすることができる。さらに、前記(c)の処理において、前記時間間隔に基づき複数の書き込みタイミングを決定し、前記第1セクタのパターン検出語の前記複数の書き込みタイミングのそれぞれにおいて、前記第1サーボ・トラックにサーボ・パターンを書き込むことができる。これによって、1トラックにおいて所望数のサーボ・パターンを書き込むことができる。
【0021】
前記連続する複数トラックのそれぞれにおいて、各隣接セクタのパターンについて更に前記(b)、(c)及び(d)の処理を実行し、前記第1サーボ・トラックに複数セクタのサーボ・パターンを形成し、前記複数セクタのサーボ・パターンの内の2つのセクタのサーボ・パターン間の時間間隔を測定し、測定した前記サーボ・パターン間の時間間隔に基づき書き込み時間を決定し、前記2つのセクタのサーボ・パターンの一つの検出から前記書き込み時間経過後のタイミングにおいて、前記第1サーボ・トラックとは異なる第2サーボ・トラックにサーボ・パターンを書き込むことができる。これによってサーボ・パターンと異なるパターンのパターン列からサーボ・パターンを書き込み、さらに書き込まれたサーボ・パターンから新たにサーボ・パターンを書き込んでいくことができる。
【0022】
前記処理(a)において、複数セクタに分割された連続する複数の基準パターン・トラックの各セクタに、基準パターン(例えば、図13におけるBase Patten(1)-(16))を書き込み、前記複数セクタの各セクタにおいて、隣接基準パターン・トラックの基準パターン間の時間間隔を測定し、前記複数の基準パターン・トラックのそれぞれに前記リード・エレメントを位置決めした状態において、各前記基準パターン・トラックの各基準パターンの検出から各書き込み時間の経過後にパターンを書き込むことによって、円周方向に位置が揃った複数のパターン(例えば、図13におけるTime Aligned Patten(1)-(16))から構成されるパターン列を複数セクタ書き込み、前記複数セクタの各セクタにおいて、隣接基準パターン・トラックの基準パターン間の書き込み時間の差は、前記隣接トラックの基準パターン間の時間間隔であることができる。これによって、内部ヘッドによって書き込まれた基準パターンを使用して、連続する複数トラックのそれぞれに形成され円周方向の位置が揃っている複数パターンで構成されたパターン列を、円周方向に離間して複数セクタ形成することができる。
【0023】
さらに、前記パターン列の最初のトラックのパターン書き込み処理において、前記最初のトラックに対応する最初の基準パターン・トラック(例えば、図13におけるBase Patten(1))に前記リード・エレメントを位置決めした状態において、複数の基準パターンのそれぞれの検出から各書き込み時間後のタイミングで前記最初のトラックに複数のパターン(例えば、図13におけるTime Aligned Patten(1)-(16))を書き込み、前記複数の基準パターンの各隣接基準パターン間における書き込み時間の差は、予め定められた時間と前記隣接基準パターン間の時間間隔の差であることができる。これによって、パターン列の間隔を正確に制御することができる。
【0024】
前記処理(a)において、第1の基準パターン・トラックに第1の基準パターン(例えば、図13におけるBase Patten(1))を書き込み、前記第1の基準パターン・トラックと異なる第2の基準パターン・トラックに第2の基準パターン(例えば、図13におけるBase Patten(2))を書き込み、前記第1の基準パターンと前記第2の基準パターンの間の時間間隔を測定し、前記リード・エレメントを前記第1のトラックに位置決めした状態で、前記第1の基準パターンの検出から第1の書き込み時間の経過後に、第1のパターン(例えば、図13におけるTime Aligned Patten(1))を書き込み、前記リード・エレメントを前記第2の基準パターン・トラックに位置決めした状態で、前記第2の基準パターンの検出から第2の書き込み時間経過後に第2のパターン(例えば、図13におけるTime Aligned Patten(2))を書き込み、前記第1の書き込み時間と前記第2の書き込み時間の差は前記基準パターン間の時間間隔である。これによって、内部ヘッドによって書き込まれた基準パターンを使用して、連続する複数トラックのそれぞれに形成され円周方向の位置が揃っている複数パターンで構成されたパターン列を、円周方向に離間して複数セクタ形成することができる。
【0025】
さらに、前記第1の基準パターン・トラックは、前記パターン列の最初にパターン書き込みされるトラックに対応し、前記第1の基準パターン・トラックに複数の基準パターンを書き込み、前記第1の基準パターン・トラックに前記リード・エレメントを位置決めした状態において、複数の基準パターンのそれぞれの検出から各書き込み時間後のタイミングで前記最初のトラックに複数のパターンを書き込み、前記複数の基準パターンの各隣接基準パターン間における書き込み時間の差は、予め定められた時間と前記隣接基準パターン間の時間間隔の差である。これによって、パターン列の間隔を正確に制御することができる。
【0026】
本発明の他の態様は、データ記憶装置に実装されている回転記録ディスクにサーボ・パターンを書き込む処理において、ディスクの径方向に位置が異なるリード・エレメントとライト・エレメントを有する内部ヘッドを使用して、前記回転記録ディスクにパターンを書き込む方法であって、第1のパターン(例えば、Base Pattern、Time Aligned PatternもしくはProduct Servo patern)と前記第1のパターンと円周方向の位置が異なる第2のパターン(例えば、Base Pattern、Time Aligned PatternもしくはProduct Servo patern)を書き込み、前記第1のパターンと前記第2のパターンの間の時間間隔を測定し、前記第2のパターンのトラックに前記リード・エレメントを維持し、前記第2のパターンの検出から、前記時間間隔に基づき決定された時間の経過したタイミングにおいて、前記回転記録ディスクに第3のパターンを書き込む。これによって、書き込み位置が制御されたパターンを内部ヘッドによって正確に書き込むことができる。
【0027】
前記記録ディスクへのパターンの書き込み開始を制御するライト・ゲート信号をアクティブにセットし、前記ライト・ゲート信号をアクティブにセットした後に前記ヘッドへの書き込み信号の出力を開始して前記回転記録ディスクに第3のパターンを書き込むことができる。ライト・ゲート信号をアクティブにセットした後にヘッドへの書き込み信号の出力を開始することによって、より正確なタイミングでの書き込みが可能となる。
【0028】
本発明の他の態様は、データ記憶装置に実装されている回転記録ディスクにサーボ・パターンを書き込む処理において、内部ヘッドを使用して、前記回転記録ディスクにパターンを書き込む方法であって、前記記録ディスクへのパターンの書き込み開始を制御するライト・ゲート信号をアクティブにセットし、前記ライト・ゲート信号をアクティブにセットした後に前記ヘッドへの書き込み信号の出力を開始し、前記記録ディスクにパターンを書き込むものである。さらに、前記ライト・ゲート信号がアクティブにセットされたことに応答して、前記記録ディスクの一部領域をDC消去し、前記ライト・ゲート信号をアクティブにセットした後に前記ヘッドへの書き込み信号の出力を開始し、前記DC消去された一部領域に続く領域にパターンを書き込むことができる。ライト・ゲート信号をアクティブにセットした後にヘッドへの書き込み信号の出力を開始することによって、より正確なタイミングでの書き込みが可能となる。
【0029】
本発明の他の態様は、記録ディスクにサーボ・パターンを書き込むデータ記憶装置であって、前記記録ディスクへのデータ書き込み及びデータ読み取りを行うヘッドと、前記ヘッドを保持し移動する移動機構と、前記記録ディスクへのデータ書き込み及び読み出しを制御する制御部と、を備え、前記ヘッドは、円周方向の位置が揃っている連続する複数トラック上のパターンで構成されたパターン列を、円周方向に離間して複数セクタに書き込み、前記制御部は、前記複数トラックの一つのトラックにおいて、前記ヘッドが読み取った2つのセクタのパターン間の時間間隔を測定し、前記制御部は、測定した前記時間間隔に基づき書き込みタイミングを決定し、前記ヘッドは、前記2つのセクタのパターンの内の第1セクタのパターン検出後の前記書き込みタイミングにおいて、前記一つのトラックとは異なるサーボ・トラックにサーボ・パターンを書き込むものである。一つのトラックにおけるパターン間の時間間隔から他のトラックのパターンの書き込むタイミングを決定することによって、円周方向におけるパターン書き込み位置を効果的に制御することができる。
【0030】
前記連続する複数トラックの径方向距離は、前記内部ヘッドのリード/ライト・オフセット以上であることができる。これによって、パターン列によって書き込まれたサーボ・パターンから、さらに所望トラック数のパターンを書き込むことができる。あるいは、前記サーボ・パターンは、前記2つのセクタのパターンの内の第2セクタのパターンと円周方向において揃った位置に形成されることができる。これによって、円周方向に位置が揃ったパターンを径方向に書き進んでいくことができる。
【0031】
本発明の他の態様はデータ記憶装置であって、データを記録する記録ディスクと前記記録ディスクへのデータ書き込み及びデータ読み取りを行うヘッドと、前記ヘッドを保持し移動する移動機構と、前記記録ディスクへのデータ書き込み及び読み出しを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記記録ディスクへのパターンの書き込み開始を制御するライト・ゲート信号をアクティブにセットし、前記ライト・ゲート信号をアクティブにセットした後に前記ヘッドへの書き込み信号の出力を開始し、前記ヘッドは、前記書き込み信号に応答して前記記録ディスクにパターンを書き込む。ライト・ゲート信号をアクティブにセットした後に前記ヘッドへの書き込み信号の出力を開始することによって、書き込みタイミングを正確に制御することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、記録ディスクへのパターンの書き込み処理において、パターン書き込みのタイミングを効果的に制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、本発明を適用可能な実施の形態が説明される。以下の説明は、本発明の実施形態を説明するものであり、本発明が以下の実施形態に限定されるものではない。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略及び簡略化がなされている。又、当業者であれば、以下の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。尚、各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0034】
本形態のハード・ディスク・ドライブ(HDD)において、従来の自己サーボ・書き込み(Self Servo Write(SSW))において外部回路が行っていた機能が、製品カード(完成品としてのHDDの各ICが実装されている基板)上の内部回路自体に組み込まれている。これによって、HDDは、外部装置としてのサーボ・ライタ装置に直接的に依存することなく、実質的に製品カードのみによって磁気ディスクへのサーボ・パターン書き込み処理を実行することができる。HDDは、外部の制御装置からのスタート信号に応答して内部回路に実装された機能によってサーボ・パターンを磁気ディスクに書き込む。以下において、本形態のSSWをTSSW(True Self Servo Write)と呼び、従来のSSWと区別する。
【0035】
本形態のTSSWは図1に示すように、Index信号を使用したBase Patternの書き込み(S10)、Base Patternを使用したTime Aligned Patternの書き込み(S20)、Time Aligned Patternを使用したProduct Servo Patternの書き込み(S30)、Product Servo Patternを使用したProduct Servo Patternの書き込み(S40)の各シーケンスを順次実行する。Product Servo Patternは、ユーザ・データのアクセスに使用されるサーボ・パターンを含むパターンである。
【0036】
Base Pattern を使用したTime Aligned Patternの書き込みにおいて、同一トラックにおいて隣接するBase Pattern間の時間間隔を使用して円周方向に所定間隔のTime Aligned Patternを書き込む。また、各セクタにおいて隣接するトラックのBase Pattern間の時間間隔を使用して、円周方向に位置が揃った複数のTime Aligned Patternを書き込む。Base Patternの円周方向位置は必ずしも正確ではないが、Base Patternの時間間隔からタイミングを決定することで、円周方向に位置が揃った(書き込みタイミングが揃った)Aligned Patternを書き込むことができる。
【0037】
また、Time Aligned Patternの書き込みあるいはProduct Servo Patternの書き込み処理において、ID(内周)側のトラックに書き込まれているパターン間(Time Aligned Pattern間あるいはProduct Servo Patter間)の時間間隔(インターバル)を測定し、OD(外周側)のトラックにパターン(Time Aligned PatternもしくはProduct Servo Pattern)を書き込むタイミングを決定する。つまり、ID側トラックのパターンの検出を基準に、決定された書き込みタイミングに従ってOD側のパターンを書き込む。このような処理を繰り返すことで、円周方向におけるパターンの書き込みタイミング(書き込み位置)を制御することができる。特に、隣接トラックのパターン間の円周方向位置(書き込みタイミング)を正確に揃えることが可能となる。
【0038】
以下においては、まずHDD構造の全体構成について概略を説明した後、Time Aligned Patternの磁気ディスクへ書き込み及びそれに関連する処理について説明する。さらに、Time Aligned Patternを使用したProduct Servo Patternの磁気ディスクへ書き込み処理及びそれに関連する処理について説明する。その後、TSSWのためにHDDのハードウェア構成に実装され使用される機能及び、ヘッド特性の測定について説明する。最初のシーケンスにおいて、アクチュエータをクラッシュ・ストップに押し付けた状態でヘッド特性を測定する。ヘッド特性は、VCM(Voice Coil Motor)の駆動電流値で特定される。測定されるヘッド特性は、Read/Writre Offsetライト幅(ライト・エレメントの半径方向の長さ)などである。
【0039】
HDDの全体構成
本形態のTSSWを説明するため、HDDの構造に関する全体構成について概略を説明する。図2は、本形態に係るHDDの概略構造を示す平面図である。HDD1は、ディスク・エンクロージャ内に各部品を収容している。ディスク・エンクロージャは、上部が開放した箱状のベース11と、ベース11の上部の開口を塞ぐカバー(不図示)とによって構成されている。ベース11内にはスピンドル・モータ(SPM)12が配置され、SPM12のスピンドル軸によって1もしくは複数枚の磁気ディスク13が支持されている。磁気ディスク13はスピンドル・モータ12によって所定の回転速度で回転駆動される。
【0040】
アクチュエータ14は、ピボット15を介してベース11に回動可能に固定されている。アクチュエータ14は、その先端部に、磁気ディスク13へのデータの書き込み及び磁気ディスク13からのデータ読み取りのためのヘッド素子部16(以下、ヘッド)を備えている。ヘッド16は、磁気ディスク13への記憶データに応じて電気信号を磁界に変換するライト・エレメントと、磁気ディスク13からの磁界を電気信号に変換するリード・エレメントを備えている。
【0041】
ヘッド16は、アクチュエータ14先端部に固定されたスライダの側面にある。アクチュエータ14の後端部に、ボイス・コイル171が設けられている。マグネットとヨークを備えるステータ172がボイス・コイル171に対向し、ボイス・コイル171とステータ172とによってボイス・コイル・モータ(VCM)17が構成される。VCM17は、ピボット15を中心としてアクチュエータ14を回動させる。
【0042】
アクチュエータ14の回動範囲(回動角度)を磁気ディスク13の内周側、外周側のそれぞれで規定するためのインナー・クラッシュ・ストップ18及びアウター・クラッシュ・ストップ19が、ベース11に取り付けられている。インナー・クラッシュ・ストップ18は、磁気ディスク13をスピンドル・モータ12に固定するトップクランプ20にアクチュエータ14を接触させない機能を有し、また、磁気ディスク13に対してサーボ・パターンを書き込む際にアクチュエータ14の位置決めに寄与する。一方、磁気ディスク13の外周側へのアクチュエータ14の回動を規制するアウター・クラッシュ・ストップ19は、アンロード時にヘッド16を退避させるランプ21を、ヘッド16が通り過ぎることを防止する。
【0043】
図3は、本形態のヘッド16におけるリード・エレメント161とライト・エレメント162の位置関係を示している。TSSWは磁気ディスク13の内周側(ID)のトラックから開始するため、リード・エレメント161がライト・エレメント162よりも磁気ディスク13の内周側に配置されている。内周側からパターンを書き込むことによって、ライト・エレメント162により先に書き込まれたパターンをリード・エレメント161が読み取ることができる。これによって、リード・エレメント161が読み取ったパターンによってヘッド16の位置合わせを行いながら、ライト・エレメント162が新たなパターンの書き込みを行うことができる。尚、リード/ライト・エレメント161、162の位置を変更することによって、磁気ディスク13の外側(OD)からTSSWを開始することも可能である。尚、リード・エレメント161がライト・エレメント162よりもVCM17側に位置するが、本形態のTSSWにおいては、円周方向における各エレメントの位置は特に限定されない。
【0044】
図3は、リード・エレメント161とライト・エレメント162の位置の相違が規定するいくつかの値を示している。一つはRead/Write Separationである。Read/Write Separationはリード・エレメント161とライト・エレメント162の磁気ディスク13の円周方向の時間的な差である。例えば、あるトラック上にデータが書かれていて、リード・エレメント161がこのTrack Centerに位置した場合を考える。データがリード・エレメント161の位置に来てから、磁気ディスク13の回転中心からこのデータの先端に伸ばした線がライト・エレメント162の位置(円周方向において一致する位置)に到達するまでの時間をRead/Write Separation Timeと呼ぶ。
【0045】
もう一つは、Read/Write offsetである。Read/Write offsetは、リード・エレメント161とライト・エレメント162との間の半径方向における距離である。具体的には、リード・エレメント161とライト・エレメント162の各センター(Read Element Center/Write Element Center)間の、磁気ディスク13の半径方向における距離である。Read/Write offsetはヘッド16の半径方向の位置によって変化し、OD側へ向かうにつれて小さくなる。本形態のヘッド16は、最もOD側のトラック位置においてもRead/Write offsetが存在する。これによって、これによって、内周側に書き込んだProduct Servo Patternを読み出してヘッド16の位置合わせを行い、最もOD側のトラックまでProduct Servo Patternを書き込むことができる。
【0046】
以下において、本形態の各シーケンスが説明される。各シーケンスは、HDD1の制御回路に実装されるHDC/MPUの制御下においてR/Wチャネル(図27参照)の機能を利用して実行される。シーケンスの説明においては、説明の明確化のため制御回路について詳しく言及しない。制御回路については、後に詳述される。まず、Time Aligned Patternの書き込み処理について説明する。
【0047】
Time Aligned Patternの書き込み処理
以下において、TSSWのServo Writeの初期シーケンスである、Base Patternを書く処理、このBase PatternからTime Aligned Pattern を書く処理及びTime Aligned Patternを使用したヘッド16のRead/Write Separation Timeの測定について述べる。本シーケンスは、図4に示すように、(1)Initial Servo Track Pitchの定義(S11)、(2)Base Patternの書き込み(S12)、(3)Base Patternのタイミング測定及びTime Aligned Patternの書き込み(S21)及び(4)Head Read/Write Separationの測定(S22)の各シーケンスを順次実行する。これらのシーケンスは、後に説明される回路構成に実装される機能を使用して実行することができる。以下において上記各シーケンスについて説明する。
【0048】
(1) Initial Servo Track Pitchの定義(S11)
このシーケンスは、正確なトラック・ピッチのパターンを書き込むためのVCM電流を決定する。より具体的には、各トラックに位置決めされたヘッド16の半径方向の位置が、予め設計(設定)されたServo Track Pitchと一致するVCM電流を、カット・アンド・トライの繰り返し操作によって見出す。ここで決定されたVCM電流はBase Pattern形成のシーケンスで使用される。本シーケンスはTSSWの初期シーケンスであり、すべての操作はアクチュエータ14をインナー・クラッシュ・ストップ18に押し付けた状態で行う。本シーケンスは、インナー・クラッシュ・ストップ18の弾性とアクチュエータ14を押し付ける力が釣り合う状態で行われる。尚本明細書における各シーケンスは、シーケンスと同様に、インナー・クラッシュ・ストップ18の弾性とアクチュエータ14を押し付ける力が釣り合う状態で行われる。
【0049】
ヘッド16の半径方向の位置調節はインナー・クラッシュ・ストップ18の弾性による反発力とVCM17に流れる一定電流によるアクチュエータ14を押し付ける力の釣り合いで行う。つまり、ヘッド16の半径方向の位置制御(の伝達関数)はオープン・ループである。本シーケンスは、図5に示すように、(i) Pre-Servo Patternの書き込み(S111)、(ii) Servo Track Pitchの測定及びVCM電流設定値の修正(S112)及び(iii) Pre-Servo PatternのDC Erase(DC消去)(S113)の各シーケンスを順次実行し、これらを所定トラック・ピッチのVCM電流が決定されるまで繰り返す。以下にこれらのシーケンスの詳細を説明する。
【0050】
(i) Pre-Servo Patternの書き込み
図6は、このシーケンスで磁気ディスク13に書き込まれるPre-Servo Pattern(但しBurstが1つ)のデータ・フォーマットを示している。Pre-Servo Patternは、図7に示す様に、トラックが存在していないので、最も内側のServo Trackとなるべき位置から16 Servo Trackに渡って、磁気ディスク13に書き込まれる。
【0051】
Burst(Pre-Servo Pattern)の書き込みは、Index信号を基準にして、図7の様に各Burst Patternを時間的にずらして行う。図7は、2つのセクタを示している。ここでIndexは、スピンドル・モータ12を駆動するドライバ(不図示)が生成する信号であって、スピンドル・モータ12の回転周期によって規定される。書き込むServo Track数に関しては、ヘッド16のRead/Write Offsetの量によって増やす必要がある場合もあるが、現在のHDD構成においては、16Trackで十分である。
【0052】
予め設定されている一定電流をVCM17に流しアクチュエータ14をインナー・クラッシュ・ストップ18に押し当てた状態で、HDD1は、Burst b0を必要なセクタ数分書く。セクタ数には特に制限はないが、後にBurstの振幅平均値を計算するので、多い方が好ましい。次にb0の時のよりVCM電流を予め設定された値に少し減らし、ヘッド16(ライト・エレメント162)を少しOD側に移動させて、b1を同様に必要なセクタ数分書き込む。この時、同一セクタ内において隣接するBurstが重ならないように、Indexからの書き込みタイミングをb0に対して時間的(円周方向の位置)に少しずらす。
【0053】
以下、同様にVCM電流を減らしながらb2〜b15を書き込む。図7においては、b8で円周方向の位置をb0と同じに戻しているが、b8をb0の位置まで戻さないでb8〜b15を書き込むことも可能である。ここで全てのVCM電流は、アクチュエータ14をインナー・クラッシュ・ストップ18に押し当てた状態で、インナー・クラッシュ・ストップ18の弾性範囲に入るように設定する。
【0054】
(ii) Servo Track Pitchの測定及びVDM電流設定値の修正
次に、HDD1はそれぞれのBurstの振幅を利用してPre-Servo PatternのServo Track Pitchを測定する。まずVCM電流をb0 Burstを書いた時の値にセットする。次にVCM電流を少しずつ小さくし、ヘッド16をOD方向に動かし、リード・エレメント161の中心がb1 Burstの中心に来る様にVCM電流をセットする。
【0055】
b1 Burstの中心点は、b0 Burstとb2 Burstの振幅が同じ位置に相当する。振幅の計算では円周方向の全てのセクタにおけるBurst Patternの振幅の平均値を用いる。次にこの位置でb0、b2 Burstの振幅の合計とb1 Burstの振幅との比率を計算する((B0+B2)/B1:Bkはbkの振幅値)。この比率をここではPattern Overlapと呼ぶ。次にVCM電流を少しずつ減らしリード・エレメント161の中心がb2 Burstの中心(b1,b3 の振幅が同じ位置)に来る様にヘッド16を移動する。この位置でも同様にPattern Overlapを計算する。ここではb1 Burstとb3 Burstの振幅の合計とb2 Burstの振幅との比率((B1+B3)/B2)である。この様にヘッド16のリード・エレメント161の中心をb3,b4,b5〜b14 Burstの各中心に移動し、それぞれの位置でPattern Overlapを計算する。
【0056】
HDD1は、Pattern Overlapの計算が終了した後、これらの値を予め設定しておいた目標値と比較する。目標値の一例として0.9が挙げられる。Burst振幅の測定から計算したPattern Overlapと目標値との差から次のステップの為に予め設定されていたVCM電流を修正する。基本的には計算したPattern Overlapが目標値より大きい場合はVCM電流の間隔を大きくする。また小さい場合は間隔を小さくする。
【0057】
Pattern Overlapが目標値より大きい場合は、b0 Burstを書く時のVCM電流は設定値に維持され、b2,b3...b15 Burstを書く時のVCM電流の刻みを大きくする(それぞれのPatternを書き込む時のVCM電流の差を大きくする)。またPattern Overlapが目標値より小さい場合、逆にb2,b3,..b15 Burstを書く時のVCM電流の刻みを小さくする。例えば、それぞれのヘッド16位置でのPattern Overlapの値をpo1(b1 Burst中心に対応),po2,..po14とする。まずb0を書く時のVCM電流は変えない。b1を書く時の新しいVCM電流(NVCM)は、以下の様に計算する。
NVCM1=SVCM1+a1(Target−po1)
つまり目標値TargetからPattern Overlap(po1)値を引いた値にある比例乗数a1を掛けた値を補正値とし、その値を元のb1を書いた時に使ったVCM電流(SVCM1)に加える。
【0058】
b2 Burstを書く時の新しいVCM電流はb1 Burstの時と同じ補正値を使い、この値を元のb2 Burstを書いた時に使ったVCM電流(SVCM2)に加える。つまり、
NVCM2=SVCM2+a(Target−po1)
となる。
【0059】
b3 Burstを書く時の新しいVCM電流(NVCM3)の演算は、目標値からPattern Overlap(po2)を引いた値にある比例乗数aを掛け、その値にb2 Burstで計算した補正値(a(Target1−po1)=delta2)を加える。その値をb3 Burst用の補正値とする。その補正値を元のb3 Burstを書いた時に使ったVCM電流(SVCM3)に加える。つまり、
NVCM3=SVCM3+(a(Target−po2)+delta2)
となる。
【0060】
b4〜b15を書く時の新しいVCM電流は、b3と同様な方法で行う。つまり例えばb4 Burstの場合は、目標値からPattern Overlap(po3)を引いた値にある比例乗数を掛け、その値にb3 Burstで計算した補正値(delta3=(a(Target−po3)+delta2))を加算する。その値をb4 Burst用の補正値とする。その補正値を元のb4 Burstを書いた時に使ったVCM電流に加える。つまり、
NVCM4=SVCM4+(a(Target−po3)+delta3)
以下同様に、
NVCM(n)=SVCM(n)+(a(Target−po(n-1))+delta(n-1)):n=4~15
となる。
【0061】
(iii) DC Erase(DC消去)
次のステップにおいて、HDD1は磁気ディスク13上に書き込まれたPre-Servo PatternをDC Eraseを使って消去する。DC Eraseは、ヘッド16のWrite電流を一定値にした状態で磁気ディスク13を一回転させることによって磁気ディスク13上のパターンを消去する。VCM電流を、b0〜b15を書いた時の値にセットし、それぞれの位置でDC Eraseを行う。
【0062】
(iv) 以上の操作の繰り返し
HDD1は、シーケンス(ii)で新しく算出されたVCM電流を使ってシーケンス(i)〜(iii)を繰り返す。シーケンス(ii)で計算されるPattern Overlapと目標値との差があるCriteriaの範囲(基準範囲)に入るまで、このシーケンスを続ける。Criteriaの例としては、2%を挙げることができる。誤差(Pattern Overlapと目標値との差)がCriteriaの範囲にはいる最終的なVCM電流を決定した後、次のシーケンスの為に全てのPre-Servo PatternをDC Eraseする。以上のシーケンスを終了した時点で、目標のPattern Overlapに合うPre-Servo Pattern(Burst Pattern)b0〜b15を書く為の最終的なVCM電流が決定される。これらの最終VCM電流をそれぞれi0,i1,i2,...i15と定義する。
【0063】
ここで、以後使用する記号の定義を示す。
Ts [S]:製品の理想Servo Sector 時間(円周方向のProduct Servo Pattern 間隔)
Ns:製品のTrack当りのServo Patternのセクタ数
n=Ns:Track当りのBase Pattern, Time Aligned Patternのセクタ数
Ms [rpm]:Motor Speed
Ts [S]=60/Ms/Ns
【0064】
(2) Base Patternの書き込み(S12)
このシーケンスは、前のシーケンスで定義されたVCM電流を使って半径方向にServo Track Pitchで配列されたBase Patternを書き込む。Base Pattern は、後のシーケンスにおいてTime Aligned Pattenを書き込むために使用される。Base PatternはProductServo Patternと同じ周期で書かれ、隣り合うTrackのBase Patternが重ならない様に、各Base Patternは円周方向の位置(書き込みタイミング)において少しずつずらして書き込まれる。Base Patternは、Base Patternの時間間隔測定の為のSync Field, Sync Markと、半径方向の位置検出の為のBurst Patternとから構成されている。
【0065】
図8は、Base Patternのデータ・フォーマットを示している。Sync Fieldは一定の周波数の磁化Pattern、Sync Markはリード・ライト・チャネルIC(図17参照)がDetectできる特殊な磁化Pattern, Burst Patternは一定の周波数の磁化Patternである。図9に示すように、HDD1は、前のステップで決められた最終VCM電流i0〜i15を使用してライト・エレメント162を各トラック(s_trk)に移動し、各トラックにおいて複数セクタのBase Patternを磁気ディスク13に書き込む。Base Patternのセクタ数は、Product Servo Patternのセクタ数と同じにする。HDD1は、各トラックにおいてBase PatternをTs (Ts:製品のServo Sector間の時間間隔)で、Ns(n)セクタ分書き込む。Base Patternは複数トラックに渡り書き込まれる。図9においては、16トラックのBase Patternを書き込む例が示されている。
【0066】
図9に示されたBase Patternの書き込み処理について説明する。まず、HDD1は、VCM電流をi0にセットし、最内周トラックのBase Pattern(1)はIndexを基準にしてTs時間間隔で書く。これによって、最内周トラックの各セクタにおけるBase Pattern(1)が書き込まれる。次にVCM電流をi1にセットして一つ外側のトラックにライト・エレメント162を移動し、Base Pattern(2)を同様にTs時間間隔で書く。この時Base Pattern(2)をBase Pattern(1)から円周方向に少しずらして書く(Indexから書き込み開始までの時間をずらす)。図9に例においては、1/4Ts時間ずれている。ここで、一つのセクタ内のBase Patternのずれの合計がTs内に収まる様に、Base Pattern間のずれ量は決定される。
【0067】
以下同様に、前のステップで決定した最終VCM電流を使用して外側の各トラックにライト・エレメント162を移動し、Base Pattern(3)〜Base Pattern(16)を円周方向の位置をずらしながら書き込んでいく。図9ではBase Pattern4つごとに円周方向の位置を元に戻し,Base Pattern4つごとに円周方向の位置が一致している。しかし、必ずしもこのFormatに限定されるものではない。例えば、Base Pattern8つごとに円周方向の位置が一致するように、,Base Patternを形成することなども可能である。
【0068】
上記のように、Base PatternはそれぞれのVCM電流(トラック)において、Indexを基準として円周方向に製品のセクタ数(n個)書き込まれる。個々のBase Patternの呼び方として、以下、Index直後から円周方向に向かってBase Pattern(1)_0、Base Pattern(1)_1、...Base Pattern(1)_n-1と呼ぶ。ここでBase Pattern(k)の(k)はBase Pattern番号であり、その次の_0、_1、_n-1はセクタ番号を意味する。
【0069】
円周方向におけるBase Pattern間隔は、例えば、隣接セクタのBase Pattern(1)間の時間間隔、同一セクタのBase Pattern(1)とBase Pattern(2)の時間間隔、同一セクタのBase Pattern(1)とBase Pattern(3)の時間間隔のそれぞれは、理想的にはTs、1/4*Ts、1/2*Tsと正確に一致する。しかし、実際には磁気ディスク13の回転むら等の影響により均一に書かれていない。このため、後のシーケンスにおいて、各Trackにおいて時間的にTs間隔で均一に書かれたTime Aligned Patternの書き込みを行う。以上の処理で書かれた各Base PatternのCenter(トラック)をs_trk-01,s_trk-02...s_trk-16と定義する。例えばVCM電流i0で書かれたBase Pattern(1)のCenterをトラックs_trk-01と呼ぶ。
【0070】
(3) Base Patternのタイミング測定及びTime Aligned Patternの書き込み(S21)
次に、Base Patternを使用したTime Aligned Patternの書き込みについて説明する。Time Aligned Patternの書き込みタイミングは、Base Patternのタイミング測定によって決定される。このため、各Servo Trackにおいて、Base Patternのタイミング測定とTime Aligned Patternの書き込みのそれぞれが実行される。図10に示すように、本シーケンスは、リード・エレメントをトラック・センタに位置決めし(S211)、最初の1回転でBase Pattern間の時間間隔を測定する(S212)。さらに、同一周においてインターバルを基にTime Aligned Patternの書き込みタイミングを計算する(S213)。続いて、ライト・エレメント162が次の回転でTime Aligned Patternを書き込む(S214)。Time Aligned Patternが書き込まれると、リード・エレメント161を隣接トラックに移動し(S215)、位置合わせ(S211)からの処理を繰り返す。
【0071】
例えば、HDD1は、リード・エレメント161が一番ID(内側)のトラックs_trk-01のBase Pattern上にある時、磁気ディスク13の最初の1回転でPattern(1)間の間隔を測定し、可能であれば同じ回転内でそれを基にTime Aligned Patternの書き込みタイミングを計算する。HDD1は次の回転でTime Aligned Patternを書き込む。以上の操作が終了するとOD(外側)の隣のServo Track(s_trk-2)にヘッド16のリード・エレメント161を移動して同じ操作を繰り返す。本例は、16のサーボ・トラックについてs_trk-16まで上記処理を繰り返す。
【0072】
尚、Servo Trackの数(本形態においては16)はヘッド16のRead/Write Offset(図3を参照)に関係する。つまり、常に(Servo Track Pitch)×(Base Pattern Track数)>(Read/Write Offset)が成立するように設定する。現在の通常のヘッドでは16 Servo Trackで十分Read/Write Offsetより大きくなる。将来、必要ならばこのBase Patternの数を増やす。ここで、Read/Write Offsetはリード・エレメント161が最もID側のトラックに位置したときの値を意味する。
【0073】
最初に、「Base Patternのタイミング測定」について説明する。
このシーケンスは、前のシーケンスが書いたBase Pattern間の時間間隔(インターバル)を測定する。Base Patternのタイミング測定のために、リード・エレメント161を各トラックに対して位置決めする必要がある。そこで、まず、リード・エレメント161の位置決め方法について述べる。HDD1は、VCM電流をi0から少しずつOD方向にアクチュエータが動く様に変えながら、Burst PatternのRead Back Signalの振幅を観察する。
【0074】
リード・エレメント161の幅(半径方向の長さ)は、ライト・エレメント162よりも小さい。そのため、リード・エレメント161の幅は、Base Pattern の幅よりも小さい。このため、s_trk-01とs_trk_16の中心はそれぞれBase Pattern(1)とBase Pattern(16)のBurstの振幅が最大値になった時と定義する。また、その他のTrackの中心点はそれぞれのTrackの両隣のTrackに書かれているBurst Patternの振幅が同じ値になった時と定義する。例えばs_trk-02の中心は、Base Pattern(1)_kとBase Patter(3)_kのBurstの振幅が同じになったときのリード・エレメント161の位置である。
【0075】
続いて、各トラックにおけるBase Patternのタイミング測定の具体的方法について、図11を参照して説明する。HDD1は、最初にリード・エレメント161をs_track-01の中心に移動する。VCM電流をi0から少しずつ減らし、最初に見えてくるBase Pattern(1)_kの振幅が最大になった点でVCM電流を一定にする。これによって、リード・エレメント161をs_track-01の中心に位置合わせすることができる。s_track-01において、Base Pattern(1)_kのSyncMark間の時間間隔T0_0,T0_1、T0_2、・・・T0_n-1(nは1トラックs_trackにおけるBase Patternの数(セクタ数))を測定する。ここで後半のSuffix_0、_1、・・・_n-1はセクタ番号を意味する。
【0076】
次にリード・エレメント161をs_trk-02の中心に持って行き、同一セクタ内のBase Pattern(1)_kとBase Pattern(2)_kのSyncMark間の時間,T1_0,T1_1,T1_2...T1_n-1を測定する。VCM電流はBase Pattern(1)_kとBase Pattern(3)_kの振幅が等しくなる様に調節することで、リード・エレメント161をs_trk-02の中心に位置決めすることができる。
【0077】
続いてリード・エレメント161をs_trk-03の中心に移動し、Base Pattern(2)_kとBase Pattern(3)_kのSyncMark間の時間,T2_0,T2_1,T2_2...T2_n-1を測定する。VCM電流はBase Pattern(2)_kとBase Pattern(4)_kのBurst振幅が等しくなる様に調節する。同様にリード・エレメント161をs_trk-04の中心に移動し、Base Pattern(3)_kとBase Pattern(4)_kのSyncMark間の時間,T3_0,T3_1,T3_2...T3_n-1を測定する。さらに、リード・エレメント161をs_trk-05の中心に移動し、Base Pattern(4)_kとBase Pattern(5)のSyncMark間の時間,T4_0,T4_1,T4_2...T4_n-1を測定する。Base Pattern(4)_kとBase Pattern(5)_kの間の時間測定では、Base Pattern(5)_kがBase Pattern(4)_kより前に検出される。以下同様にBase Pattern(15)_kとBase Pattern(16)_kのSyncMark間の時間T15まで測定する。図12に、リード・エレメント161の位置、時間間隔が測定されたBase Pattern及びその時間間隔をまとめた表を示す。
【0078】
次に、「Time Aligned Patternの書き込み」について説明する。
このシーケンスは、前のプロセスが書き込んだBase Patternと前のプロセスが測定したBase Patternの実際に測定された時間間隔を使用する。時間間隔を使用して、Track間に渡り時間的にタイミングの合った Time Aligned Patternを磁気ディスク13に書き込む。図13は、Base Pattern及びBase Patternを使用して形成されたTime Aligned Patternを示している。図13は、ヘッド16のRead/Write Offset = 9 Servo Track Pitchの例を示している。この例において、Time Aligned Patternは16 Servo Trackに渡り、時間的にタイミングの合ったTs時間間隔のPatternである。このTime Aligned Patternを使用して、次のProduct Servo Patternが書き込まれる。Product Servo Patternの形成方法については、後に説明する。
【0079】
形成されるTime Aligned Patternは、半径方向において16 Servo Trackに渡りタイミングの合った(円周方向の位置が揃った)Pattern列を構成し、各トラックにおいて円周方向にTs間隔となっている。つまり、各Servo Trackにおいて円周方向にTs間隔離れたパターンがセクタ数(n)形成される。また、各Servo Trackに形成された16Patternが半径方向に配列されたPatternのグループが、セクタ数(n)形成される。各グループにおいて、半径方向に配列された16Patternのそれぞれはタイミングが合っており、円周方向における偏角が実質的に同一である。
【0080】
Time Aligned Patternの半径方向の位置はヘッド16のリード/ライト・エレメント161、162のOffsetにより決まる。つまり、Base PatternからOD方向へのずれはRead/Write Offsetに一致する。ただし、このずれはTSSWの次のプロセスになんら影響を与えない。つまり、製品ごと、または同一製品内で異なったRead/Write OffsetのHeadに対して、同じ方法でTime Aligned Patternを書ける。実際のPatternの書き込みは、各Servo TrackでBase Patternタイミング測定の直後に行う。以下そのプロセスを説明する。
【0081】
(i) Time Aligned Pattern (1)の書き込み
上記のように、まずHDD1は、リード・エレメント161をs_trk-01の中心に移動し、Base Pattern(1)間の時間間隔T0_0、T0_1、T0_2、・・・T0_n-1を測定する(磁気ディスク13の1回転における測定。次にBase Pattern(1)を基準にしてTime Aligned Patternを書くためのタイミングを計算する。Time Aligned Pattern書き込み処理の処理速度の観点からBase Pattern(1)間の時間間隔測定と同一回転内においてこの計算を完了することが好ましいが、数回転を利用することも可能である。このタイミング計算。によって、Time Aligned Pattern(1)_kを書き込むための以下の値(時間)が得られる。具体的には、Base Pattern(1)_kの検出タイミングからTime Aligned Pattern(1)_kを書き始めるまでの時間が計算される。ここで、Time Aligned Pattern(1)_kの(1)は内周側からの順序あるいはトラックs_trk-01に対応することを意味し、_kはトラック内における順序あるいはセクタ番号[k]に相当する。
【0082】
以下に、各Base Pattern(1)_kに対応する、Base Pattern(1)_kのSyncMarkの検出タイミング(SyncMark detection)からTime Aligned Pattern(1)_kを書き始めるまでの時間(t0_k)を表す数式を示す。数式におけるTsdは、Base PatternのSyncの開始からSync Markの終わりまでの理論的時間である。尚、Time Aligned PatternがBase Patternと重ならない位置に形成されるように、初期値(1.125*Ts)が決定されている。この値は、特にこれに限定されるものではなく、例えば、2.25*Tsなどに設定することも可能である。
t0_0 = 1.125*Ts−Tsd
t0_1 = 1.125*Ts−(T0_0−Ts)−Tsd
t0_2 = 1.125*Ts−(T0_0 + T0_1−2*Ts) −Tsd
t0_3 = 1.125*Ts−(T0_0 + T0_1 + T0_2−3*Ts) −Tsd
・・・
t0_n-1 = 1.125*Ts−( T0_0 + T0_1 +...+ T0_n-1−( n−1)*Ts ) −Tsd
【0083】
上記のように、Time Aligned Patternの最初のトラックの書き込みにおいては、各Time Aligned Pattern(1)の書き込み時間が決定されている。各Base Pattern(1)_kの検出からTime Aligned Pattern(1)_kを書き込むまでの書き込み時間は、隣接するBase Pattern(1)の間の時間間隔をから決定されている。特に、隣接するBase Pattern(1)(もしくはTime Aligned Pattern(1))の間において、書き込み時間の差は、予め定められた値と隣接Base Pattern(1)間の時間間隔の差と一致する。ここで予め定められた値は、セクタ間の時間間隔であるTsである。例えば、t0_0(Base Pattern(1)_0)とt0_1 (Base Pattern(1)_1))の差は(T0_0−Ts)であり、t0_1(Base Pattern(1)_1)とt0_2(Base Pattern(1)_2)の差は(T0_1−Ts)となっている。これによって、Ts間隔はなれたTime Aligned Pattern(1)を書き込むことができる。尚、Tsに磁気ディスク13の回転時間の整数倍の時間を加えることが可能であるが、回転による誤差を防止するために上記例に従うことが好ましい。
【0084】
尚、Tsdは一定値(例えば0)にしても良い。その場合、Time Aligned Patternの円周方向の位置が前のBase Pattern方向に少しずれる。次の磁気ディスク13の一回転でBase Pattern(1)_0〜Base Pattern(1)_n-1と計算したタイミングt0_0, 〜t0_n-1を使用して、Time Aligned Pattern(1)_0〜Time Aligned Pattern (1)_n-1を書き込む。HDD1は、リード・エレメント161によってBase Pattern(1)_kのSyncMark を検出すると、その検出タイミングから時間t0_k後に、ライト・エレメント162によってTime Aligned Pattern(1)_kを磁気ディスク13に書き込む。各Time Aligned Pattern(1)_kについて書き込み処理が実行される。
【0085】
(ii) Time Aligned Pattern(2)の書き込み
次のステップは、Time Aligned Pattern(1)_kの外周側に隣接するTime Aligned Pattern(2)_kを書き込む。まず、Base Patternの時間間隔測定で説明したように、リード・エレメント161をs_trk-02の中心に移動し、Base Pattern(1)−Base Pattern(2)間の時間間隔T1_0, T1_1,T1_2,....T1_n-1をそれぞれ測定する。次にBase Pattern(2)を基準にしてTime Aligned Patternを書くためのタイミング(時間)を計算する。Base Pattern(1)_kと同様に、Base Pattern(2)_kの検出タイミングからTime Aligned Pattern(2)_kを書き始めるまでの時間(t1_k)が計算される。
【0086】
以下に、Pattern(2)_kのSyncMark detectionから、Time Aligned Pattern(2)_kを書き始めるまでの時間(t1_k)を表す数式を列挙する。
t1_0 = t0_0−T1_0
t1_1 = t0_1−T1_1
t1_2 = t0_2−T1_2
t1_3 = t0_3−T1_3
・・・
t1_n-1 = t0_n-1−T1_n-1
【0087】
HDD1は、次の磁気ディスク13の一回転で、Base Pattern(2)_0〜Base Pattern (2)_n-1と計算したタイミング(時間)t1_0〜t1_n-1を使ってTime Aligned Pattern(2)_0〜Time Aligned Pattern(2)_n-1を書き込む。書き込みの方法は、Time Aligned Pattern(1)と同様である。
【0088】
(iii) Time Aligned Pattern(3)の書き込み
次のステップは、Time Aligned Pattern(2)_kの外周側に隣接するTime Aligned Pattern(3)_kを書き込む。HDD1はリード・エレメント161をs_trk-03の中心に移動する。さらに、Pattern(2)−Pattern(3)間の時間間隔T2_0, T2_1,T2_2,....T2_n-1を測定する。次にBase Pattern(3)_kを基準にしてTime Aligned Patternを書くためのタイミング(時間)を計算する。Base Pattern(1)_kと同様に、Base Pattern(3)_kの検出タイミングからTime Aligned Pattern(3)_kを書き始めるまでの時間(t2_k)が計算される。
【0089】
以下に、Pattern(3)_kのSyncMark detectionから、Time Aligned Pattern(3)_kを書き始めるまでの時間(t2_k)を表す数式を列挙する。
t2_0 = t1_0−T2_0
t2_1 = t1_1−T2_1
t2_2 = t1_2−T2_2
t2_3 = t1_3−T2_3
・・・
t2_n-1 = t1_n-1−T2_n-1
【0090】
HDD1は、次の磁気ディスク13の一回転で、Base Pattern(3)_0〜Base Pattern(3)_n-1と計算したタイミングt2_0〜t2_n-1を使ってTime Aligned Pattern(3)_0〜Time Aligned Pattern (3)_n-1を書き込む。書き込みの方法は、Time Aligned Pattern(1)と同様である。以下同様のプロセスによって、Time Aligned Pattern(4)〜Time Aligned Pattern(16)までが磁気ディスク13に書き込まれる。Base Patternと、各Base Pattern に対応するBase Pattern detectionからTime Aligned Pattern書き込み開始までの時間を図14の表にまとめる。
【0091】
上記のように、最初にTime Aligned Patternが書き込まれるトラック以降のトラックについては、隣接トラックのTime Aligned Patternの書き込み時間と隣接トラックに形成されたBase Pattern間の時間間隔に基づき決定された書き込み時間を使用してTime Aligned Patternを書き込む。各Time Aligned Pattern (k)は、リード・エレメント161がBase Pattern (k)を検出し、決定された書き込み時間の経過後に、ライト・エレメント162によって書き込まれる。各セクタにおいて、隣接トラックに形成されるTime Aligned Patternの各書き込み時間の差は、対応するBase Pattern間の時間間隔から決定され具体的にはこれに一致する。例えば、図14に示すように、Time Aligned Pattern(1)とTime Aligned Pattern(2)の書き込み時間の差(t0_k−t1_k)は、Base Pattern (1)とBase Pattern (2)の間の時間間隔であるT1_kとなっている。同様に、Time Aligned Pattern(2)とTime Aligned Pattern(3)の書き込み時間の差(t1_k−t2_k)は、Base Pattern (2)とBase Pattern (3)の間の時間間隔であるT2_kとなっている。
【0092】
このように、Base Pattern検出からの書き込み時間をBase Pattern間の時間間隔と一致することによって、円周方向の位置が一致したTime Aligned Patternを書き込むことができる。特に、各隣接トラックについて書き込み時間の差をBase Pattern間の時間間隔と一致させることで、隣接トラックのTime Aligned Patternの位置を正確に揃えることができ、データ読み出しエラーを効果的に防止することができる。尚、書き込み時間の差は、Base Pattern間の時間間隔に磁気ディスク13の回転時間の整数倍を加えることも可能であるが回転による誤差を防止するため、Base Pattern検出から磁気ディスク13の1回転内においてTime Aligned Patternを書き込むことが好ましい。
【0093】
図15にTime Aligned Patternのデータ・フォーマットの詳細を示す。Time Aligned PatternはSync Field、Sync Mark、STM、Dummy Gray Code (Track Number)、Burstから構成されている。Sync FieldとSync MarkはTime Aligned Patternの間の時間を測定するのに使用される。Time Aligned Patternの間の時間を測定は、Sync Mark の検出タイミングで決定される。STM以降は、Burstが一部異なる以外、ユーザ・データへのアクセスに使用されるProduct Servo Patternと同じFormatである。これらのPatternはヘッド16のリード・エレメント161の半径方向の位置を検出するのに使う。STMはServo Patternをdetectするのに用いられる。Dummy Gray CodeはProduct Servo Patternと同じFormatを用いるが、Product Servo Patternと区別する為にProduct Servo Patternと区別できるuniqueな番号を使用する。
【0094】
リード・エレメント161の半径方向の位置検出はこのGray CodeとBurst振幅を用いるが、もともとProduct Servo Pattern用にHDD1の制御回路に組み込まれた機能を使用することによりHardware部分を節約することができる。Busrt部分は、図15に示すように、Trackごとに書き込むタイミングを円周方向に少しずつずらして重なり合わない様にする。Burstは半径方向のTrack間の距離をヘッド16のリード/ライト・エレメント幅を基準にして測定するのに必要である。この様にTrimmingされていないBurstをProduct Servo PatternにあるTrimmingされたBurstと区別する為に2nd Burstと呼ぶ。
【0095】
(4) Head Read/Write Separationの測定
最後にこのTime Aligned Patternを利用した、ヘッド16のRead/Write Separation Timeの測定方法について説明する。このシーケンスは、Time Aligned Patternを利用して、ヘッド16のRead/Write Separation Timeを測定する。Read/Write Separation Timeはヘッド16のリード・エレメント161とライト・エレメント161の磁気ディスクの円周方向の時間的な差である(図3を参照)。TSSWはRead/Write Separation Timeをモニタし、次のProduct Servo Patternの書き込み処理は常にこの遅れを考慮する。この点については後述される。
【0096】
図16に、Read/Write Separation Timeの測定方法を示す。HDD1は、Time Aligned Patternを書き終えた後で、例えばリード・エレメント161をTime Aligned Pattern(2)の位置に移動させる。Time Aligned Pattern(2)への移動において、HDD1はVCM電流を最も内側のトラックに対応するi0から少しずつヘッド16がOD方向に移動する様に変化させ、Time Aligned Pattern(2)のGray Codeを探す。リード・エレメント161の幅は2nd Burst の幅以下であるので、Time Aligned Pattern(2)のTrack CenterはTime Aligned Pattern(1)とTime Aligned Pattern(3)の2nd Burstの振幅が同じになる位置とする。この時のVCM電流は一定値に維持され、インナー・クラッシュ・ストップ18の弾性とVCM17がアクチュエータ14を押す力の釣り合いで位置決めする。
【0097】
その位置(Time Aligned Pattern(2)のTrack Center)で、リード・エレメント161がTime Aligned Pattern(2)のSyncMarkをdetectしてからTs/2後に、ライト・エレメント162はSyncとSyncMarkからなるPattern(25)を書く。同じ処理を各セクタのTime Aligned Pattern(2)について実行し、Pattern(25)を磁気ディスク13の一周に渡り書く。Pattern(25)を書く方法はTime Aligned Patternを書いた時と同じ方法である。
【0098】
HDD1は、次にリード・エレメント161をOD方向に移動し、先に書いたPattern(25)の中心付近(半径方向の中心付近)に位置合わせする。Pattern(25)の中心は、そのSync Filedの振幅で判断する。その半径位置で、Time Aligned Pattern[0]のSyncMarkを検出してから、円周方向に隣接して形成されたPattern(25)のSyncMarkを検出するまでの時間T_meas1を測定する。さらに、そのPattern(25)のSyncMarkの検出タイミングから、円周方向に隣接して形成されたTime Aligned Pattern[1]のSyncMarkの検出タイミングまでの時間T_meas2を測定する。
【0099】
つまり、2つのTime Aligned Pattern [0]、Time Aligned Pattern [1]間に形成されたPattern(25)と、その2つのTime Aligned Pattern [0]、 [1]のそれぞれとの間の時間を測定する。Time Aligned Pattern [0]からPattern(25)がT_meas1、Pattern(25)からTime Aligned Pattern[1]がT_meas2であり、Pattern(25)はRead/Write Separation Time分だけ円周方向にずれた位置に書き込まれているので、Read/Write Separation Timeは以下の式で定義できる。
Read/Write Separation Time = ( T_meas1−T_meas2 )/2
この方法はSyncMarkをdetectしてからWrite Operationを実行するまでの電気回路の遅れ時間も測定時間に含まれる。以下Read/Write Separartion Timeにはこの電気回路の遅延も含む。
【0100】
Product Servo Patternの書き込み処理
TSSWの初期シーケンスにおけるProduct Servo Patternの書き込みシーケンス及びそれに付随、関連するシーケンスについて説明する。TSSWは、Time Aligned Patternを基準にして複数トラックのProduct Servo Patternを書き込み(S30)、その後、書き込まれたProduct Servo Patternを基準に外周側のProduct Servo Patternを磁気ディスク13に書き込んでいく(S40)。以下において、(1) Time Aligned Patternを基準にしたProduct Servo Patternの書き込み、(2) Product Servo Patternを基準にしたProduct Servo Patternの書き込みの各シーケンスに分けて説明する。
【0101】
(1)Time Aligned Patternを基準にしたProduct Servo Patternの書き込み処理(S30)
ここでは、製品の最終的なServo Patternと同じ時間間隔(インターバル)で書かれたTime Aligned Patternを使って、製品の最終的なServo Patternの半分の時間間隔でProduct Servo Patternを書く方法について述べる。最終的に必要とされるProduct Servo Pattern の2倍のProduct Servo Pattern が書き込まれることになる。この点については後に詳述する。
【0102】
本シーケンスはTSSWの初期シーケンスであり、すべての操作はアクチュエータ14をインナー・クラッシュ・ストップ18に押し付けた状態で行う。ヘッド16の半径方向の位置調節はこのインナー・クラッシュ・ストップ18の弾性による反発力とVCM17に流れる一定電流によるアクチュエータ14を押し付ける力の釣り合いで行われる。つまりヘッド16の半径方向の位置制御はOpen Loopである。リード・エレメント161の半径方向の位置検出はTime Aligned Patternの2nd Burstの振幅を使用し、VCM電流を細かく変えながらインナー・クラッシュ・ストップ18の反発力と釣り合わせながら希望する位置にヘッド16を移動させる。
【0103】
本シーケンスは、図17に示すように、リード・エレメントをTime Aligned Patternの一つのトラック・センタに位置決めした後(S31)、Time Aligned Pattern間の時間間隔を測定(S32)する。さらに、測定した時間間隔を使いProduct Servo Patternの書き込みタイミング値を計算する(S33)。計算したタイミングを使いTime Aligned Patternを基準にProduct Servo Patternを書き込む(S34)。一つのトラックについてProduct Servo Patternの書き込みが終了すると、リード・エレメント161を外側の隣接トラックに移動する(S35)。移動先のトラックで同一の処理を繰り返す。
【0104】
以下においては、上記各処理について説明する。具体的には、(i) 2nd Burstを使ったリード・エレメント161の半径方向の位置検出、(ii) Time Aligned PatternのSyncMarkを使ったPattern Intervalの測定、(iii) Pattern IntervalからProduct Servo Patternの書き込みタイミングの計算方法、(iv) Product Servo PatternのWrite手法及び(v) Product Servo Pattern Formatについて説明する。
【0105】
(i) 2nd Burstを使ったリード・エレメントの半径方向の位置検出
まず、リード・エレメント161をTime Aligned Pattern(2)へ移動する。1トラックを挟む2トラックの2nd Burstを使用してリード・エレメントの半径方向の位置検出を行うため、Product Servo Patternの書き込みは、Time Aligned Pattern(1)からではなく、リード・エレメント161がTime Aligned Pattern(2)の半径方向の中心点にある位置から始める。この時、ライト・エレメント162はRead/Write Offset分だけOD側に位置している。図18にその時のリード・エレメント161の位置を示す。
【0106】
リード・エレメント161をTime Aligned Pattern(2)の中心に移動させる方法は、一度VCM電流をTime Aligned Pattern(1)を書いた時の値に戻し、そこから少しずつVCM電流を減らしながら、Time Aligned Patternの2nd Burst(1)の振幅を観察する。Time Aligned Pattern(1)の2nd Burst(1)の振幅B1とTime Aligned Pattern(3)の2nd Burst(3)の振幅B3が等しくなる値でVCM電流値を一定にする。
【0107】
(ii) Time Aligned PatternのSyncMark間の時間間隔の測定
次のステップは、リード・エレメント161がTime Aligned Pattern(2)の中心点の位置にある状態で、Time Aligned PatternのSyncMark間の時間間隔を測定する。図19にその概要を示す。Index直後のTime Aligned Patternから、隣接する各Time Aligned PatternのSyncMark間の時間間隔をTa2_0、Ta2_1、Ta2_2、・・・、Ta2_n-1と呼ぶ。Ta2の“2”はTime Aligned Pattern(2)を意味し、後のsuffix _0、_1、_2・・・_n-1はセクタ番号を示している。Time Aligned Pattern間の時間間隔の測定は、それぞれのTime Aligned Patternについて、そのTime Aligned PatternでProduct Patternを書く前に実行する。
【0108】
(iii) Product Servo Pattern Timingの計算
次にTime Aligned Patternの時間間隔を使ってProduct Servo Patternの書き込みタイミング値を計算する。Time Aligned Patternのそれぞれについて、1つのTime Aligned Patternを使って2つのProduct Servo Patternを書く。このため、2つのタイミング値を計算する。最初のTime Aligned Patternを基準にしたProduct Servo Patternの書き込みタイミングは、
ta2_00 = 1/4*Ta2_0 −Tsd
ta2_01 = 3/4*Ta2_0−Tsd
である。また、TsdはTime Aligned PatternのSyncの開始からSyncMarkの終わりまでの理論的時間である。尚、この値は一定値、例えば0にしても良い、その場合Time Aligned Patternの円周方向の位置が前のTime Aligned Pattern方向に少しずれる。
【0109】
同様に次のセクタのProduct Servo Patternの書き込みタイミングは
ta2_10 = 1/4*Ta2_1−Tsd
ta2_11 = 3/4*Ta2_1−Tsd
と計算される。以下同様にそれぞれのセクタで測定したTime Aligned Pattern間の時間間隔を使ってProduct Patternの書き込みタイミングを計算する。
【0110】
(iv) Product Servo Pattern Write
以上計算したタイミングを使いTime Aligned Patternを基準にしてProduct Servo Patternを書く。図19は、上記のシーケンスで書かれたTime Aligned Pattern(2)を基準にして書かれたProduct Servo Patternを示している。図19は、ヘッドのRead/Write Offsetが9 Servo Trackである例を示している。以上のシーケンスを、リード・エレメント161がTime Aligned Pattern(3)〜(15)のそれぞれの中心にある位置においても実行する。1トラックを挟む2トラックの2nd Burstを使用してリード・エレメントの半径方向の位置検出を行うため、Time Aligned Pattern(16)の中心位置においては実行されない。
【0111】
リード・エレメント161をTime Aligned Pattern(2)の中心からTime Aligned Pattern(3)の中心に移動させる方法は、Time Aligned Pattern(2)と同様にVCM電流を少しずつ減らしながらTime Aligned Patternの2nd Burstの振幅を観察する。Time Aligned Pattern(2)の2nd Burstの振幅B2とTime Aligned Pattern(4)の2nd Burstの振幅B4が等しくなる位置でVCM電流値を一定にする。以下同様にそれぞれのTime Aligned Patternで比較する2nd Burstを1つずつずらしていくことで、各Time Aligned Patternの中心にリード・エレメント161を位置決めすることができる。
【0112】
図20に以上のシーケンスの結果を示す。図20は、Time Aligned Patternを使用して書き込んだProduct Servo Patternを示している。この方法では、各Product Servo Patternは円周方向にTs/2間隔で書き込まれている。つまり実際に必要なProduct Servo Patternの1/2倍の時間間隔で形成される。このため、実際に必要な2倍の数、つまり2Ns(2n)のProduct Servo Patternを各トラックにおいて書いている。このように、本形態ではProduct Servo Patternを本来必要なセクタ数の2倍書いているが、もちろんセクタ数と同じ、もしくはセクタ数の4倍等の偶数倍でも理論的には必要なProduct Servo Patternを書き込むことができ、本発明に含まれる。2倍の数は実際の製品へのApplicationにおける経験的な最適値である。
【0113】
また、ここでは14 Servo Trackに渡りProduct Servo Trackが書けている。尚、最もOD側のProduct Servo Track(15)_kはトリミングされていないため、半径方向の大きさが他のProduct Servo Trackよりも大きい。このServo Trackの数はHeadのRead/Write Offsetに関係する。つまり常に、
Servo Track Pitch * Product Servo Pattern Track数>Read/Write Offset
に成る様に設定する必要がある。本発明のここまでのシーケンスで書かれるProduct Servo Patternの数は、
Product Servo Pattern Track数=Time Aligned Servo Pattern Track数−2
Time Aligned Servo Pattern Track数=Base Pattern Track数
Base Pattern Track数=Pre-Servo Pattern Track数
の関係がある。従って、ヘッドのRead/Write Offsetが大きい場合はTSSWの最初のシーケンスでのPre-Servo Pattern Track数を増やす必要がある(図4を参照)。現在の通常のヘッドでは14 Servo Trackで十分Read/Write Offsetより大きくなっている。
【0114】
(v) Product Servo Pattern Format
つぎに本発明のシーケンスで書かれたProduct Servo PatternのFormatについて説明する。図21にFormatを示す。このPatternは主要な3つの部分から出来ている。
1. Sync + SyncMark:Product Servo Pattern間の時間間隔を測定するのに使用する。
2. Sync + STM + Gray (Cylinder ID) + Burst_A + Burst_B + Burst_C + Burst_D:本来のProduct Servo Pattern本体で、製品になってからはこの部分だけが使われる(図13でのTrack番号(Trk:1〜7)は仮の番号である。)。つまり、本形態においては、ユーザ・データのアクセスに使用されるProduct Servo Pattern本体の他、サーボ・パターンを書き込むために必要とされる付加的なパターンを含むものもProduct Servo Patternと呼ばれる。以下においてProduct Servo Patternは、このパターンを意味する。
【0115】
3. 2nd Burst:TSSW中にヘッドの半径方向の変位を検知する為に使われる。2nd Burstは、隣のTrack (OD) Write時にTrimmingされないように、Servo Trackごとに円周方向の位置がずらしてある。
尚、本発明のProduct Servo PatternにSyncとSyncMarkがあるのは、本形態のRead/Writeチャネルの機能を使う為であり、その他のチャネルを使う場合は必ずしも必要でない。
【0116】
(2)Product Servo Patternを基準にしたProduct Servo Patternの書き込み(S40)
ここでは、Time Aligned Patternを使い、書けるだけ全てのProduct Servo Patternを書いた後に、今度はProduct Servo Pattern自身を使いさらにOD側にProduct Servo Patternを書き伸ばして行く方法について述べる。本シーケンスは、図22に示すように、リード・エレメント161を、基準にするProduct Servo Patternに移動する(S41)。、Product Servo Pattern間の時間間隔(インターバル)を測定する(S42)。さらに、同一周において、測定した時間間隔からProduct Servo Patternの書き込みタイミングを計算する(S43)。
【0117】
次に、Product Servo Patternを基準に書き込みタイミングを使用してProduct Servo Patternを書き込む(S44)。Product Servo Patternの書き込みは、1トラックのProduct Servo Patternの半数ずつ行う。つまり、磁気ディスク13が2周することで、Product Servo Patternの書き込み処理が完了する。一つのトラックにおけるProduct Servo Patternの書き込みが終了すると、OD側の隣接トラックへリード・エレメント162を移動し(S45)、上記処理を繰り返す。
【0118】
以下において上記シーケンスに従い、(i) Burstを使ったリード・エレメントの半径方向の位置検出、(ii) Product Servo PatternのSyncMarkを使ったPattern Intervalの測定及びPattern IntervalからProduct Servo Patternの書き込みタイミングの計算方法、そして(iii) Write手法について説明する。
【0119】
上記のように、本例シーケンスは、Time Aligned Patternを使って書かれた14のProduct Servo Patternを基準にして、さらにProduct Servo PatternをOD側に書いて行く。図23はTime Aligned Patternを使って14のProduct Servo Patternを書き終えた直後のTime Aligned Pattern、Product Servo Pattern、ヘッドの半径方向の位置関係を示す。この状態からProduct Servo Pattern自体を使ったProduct Servo Patternの書き込みに入って行く。尚、図23はRead/Write Offsetが6.4の例を示している。
【0120】
(i) Burstを使ったリード・エレメントの半径方向の位置検出
まず、この状態でProduct Servo PatternのTrack Number、PES(Position Error Signal:位置誤差信号)のDemodulationを行う。PESのdemodulationとはBurstの振幅を測定してその振幅の比率からリード・エレメント161のTrack中心からのずれ量を計算することである。このPESの値はTrack Centerの近傍でTrack Centerからの距離に比例する値を持つ。PESの計算方法については公知なのでここでは省略する。PESのdemodulationは、Product Servo PatternのBurst A、B、C、Dを使ったものと、その後の2nd Burst4個を使ったものがあり、2種類PESが算出される。図23の例では、例えば、Track=49997、Product BurstによるPES=100、2nd Burstによる2nd PES=−0.4となる(それぞれの値は一例に過ぎない)。
【0121】
次にリード・エレメント161をOD側に1 Servo Trackだけ移動させる。つまり目標場所は、Track=49996、Product BurstによるPES=228、2nd Burstによる2nd PES=−0.4である。この位置でProduct Servo Patternを書くとProduct Servo Pattern(15) TRK= 1のOD側に1 Servo TrackだけProduct Servo Patternが上積みされる(Track 49993(不図示))。同様に次のPattern Writeの為のリード・エレメントの位置はTrack=49996、Product BurstによるPES=100、2nd Burstによる2nd PES=−0.4である。Product Servo PatternによるProduct Servo Patternの書き込みにおけるリード・エレメント161半径方向の位置(PESの値)の一例を図24に示す。
【0122】
リード・エレメント161の半径方向の移動はVCM電流を少しずつ減らしながらそれぞれのBurst振幅を測定してPESを計算し、目標のPESに到達した時のVCM電流を一定にする事により達成される。尚、Burst振幅は全てのセクタでの測定値の平均を使う。この様にして半径方向の磁気ディスクのOD側に向かったPropagationは達成できる。Propagation用のリード・エレメント161の目標位置は、Product Burst、2nd Burstのいずれを使っても計算出来る。
【0123】
2nd Burstの用途は、以下に述べるServo Track間隔の補正に使われる。2nd BurstのPattern Overlapを計算することによりTrack間隔を補正することができる。Product Servo Patternを書いていく過程で、定期的にリード・エレメントを1つの2nd BurstのCenterに移動させる(これをb1とする。)。これは、VCM電流を調節しながら両隣の2nd Burstの振幅が同じになる位置を見つけ、その位置でVCM電流を一定にすることで実現される(両隣の2nd Burstをb0、b2とする。)。そこで両隣の2nd Burstの振幅の合計と中心の2nd Burstの振幅との比率を計算する。振幅の計算では円周方向の全てのBurst Patternの振幅の平均値を用いる。ここで、b0、b1、b2の(平均)振幅をB0、B1、B2とすると、2nd BurstのPattern Overlapは下の式で表される。
Pattern Overlap=(B0+B2)/B1
【0124】
以上の方法で定期的(例えば数Trackおき)にPattern Overlapを計算し、目標値、例えば0.9よりも測定値が大きければTrack Pitch(Track幅)が目標値より小さい事を意味するのでTrack 幅を広げる様に目標のPESの値を調節する。逆にOverlap値が小さければTrack Pitchが目標値より大きい事を意味するのでTrack Pitchを狭める様に目標のPESの値を微調節する。
【0125】
以上の方法で、Product Servo Patternを書き進めて行くために、半径方向OD側にヘッドを移動していくことができる。今までの説明では全ての処理がアクチュエータをインナー・クラッシュ・ストップ18に押し当てた状態で行われているのでVCM電流はそれぞれのヘッドの位置で一定値であった。この半径方向の伝播を進めて行くとある点でアクチュエータ14がインナー・クラッシュ・ストップ18から離れて行く。アクチュエータ14がインナー・クラッシュ・ストップ18から離れて行く少し前の時点からヘッドの半径方向の位置制御をClosed Servo Loop方式に切り替える。Open Loop方式から段階的にClosed Servo Loop方式に切り替えて行く方法およびインナー・クラッシュ・ストップ18からアクチュエータ14が離れた事を検知する方法は既に知られた技術あり説明を省略する。
【0126】
(ii) Product Servo PatternのSyncMarkを使ったPattern Intervalの測定及びPattern IntervalからProduct Servo Patternの書き込みタイミングの計算
次にProduct Servo Pattern書き込みのタイミングについて説明する。ヘッドのリード・エレメント161をPattern Writeをする位置に移動した後に、その場所でのProduct Servo PatternのSyncMarkの時間間隔を測定する図24はリード・エレメント161が最初の場所Track=49996、PES=228、2nd PES=−0.4にある時に、Product Servo PatternのSyncMarkの時間間隔を測定している例である。
【0127】
測定は今までの方法と同様にIndexを基準にして行う。この場合Index直後のProduct Servo Patternから測定結果をTP_00、TP_01、TP_02、・・・TP_02*Ns-1と定義している。ここで、後半のsuffix 00、01、02、・・・2*Ns-1 はセクタ番号で、この場合のサーボ・セクタ数は製品のサーボ・セクタ数の2倍の数だけある。Product Servo Patternの時間間隔は、Ts/2となる。また図25ではIndex Signalの後の最初のProduct Servo Patternを[0]として次のProduct Servo Pattern[1]との時間間隔をTp_00と定義している。
【0128】
この測定結果を基に、時間的に1つ前(1つ前のセクタ)のProduct Servo Patternを基準としてProduct Servo Patternを書くタイミングを計算する。各値を図26の表にまとめる。表に示すように、タイミングの計算においては、ヘッド16のRead/Write Separation Time Spと、Time Aligned PatternのSyncの開始からSyncMarkの終わりまでの理論的時間であるTsdの補正を行っている。Product Servo Patternを基準にしてProduct Servo Patternを書くシーケンスにおいては、Tsd=0とせずに、Tsdの補正を行う。Tsd=0とすると、その時書かれたProduct Servo Patternは前に書かれたID側にあるProduct Servo PatternからTsdの分だけシフトする。つまり隣のTrack のServo Patternと円周方向のタイミングが一致しなくなるからである。
【0129】
(iii). Product Servo Pattern Writing
以上の計算結果と時間的に1つ前のProduct Servo Patternを使ってProduct Servo Patternを書く。方法は前述したものと同じ方法である。この時のWriteで今までの他のPatternの書き込みと異なる点は、Product Servo Patternの書き込みを、磁気ディスク2回転を使用して行う事である。つまり最初の回転で[1]、[3]、[5]、[7]・・・と奇数のProduct Servo Patternを基準にして偶数のProduct Servo Patternを書く。次の回転で[0]、[2]、[4]、[6]・・・と偶数のProduct Servo Patternを基準にして奇数のProduct Servo Patternを書く(この順番は逆でもかまわない。)。この理由としては、通常、ヘッドが書き込み処理をしている時は読み取りをすることは出来ない。その為、例えばIndex直後のProduct Servo Pattern[0]を基準に最初のPattern[1]を書いている時にはリード・エレメントはPattern[1]が読めないからである。
【0130】
以上の結果で書かれたProduct Servo Patternは実際に必要なProduct Servo Patternの2倍の数が書かれている。製品としてProduct Servo Patternを使う場合、このうちの半分(奇数のみあるいは偶数のみ)を使用する。もちろん、Time Aligned Patternから同じ数のProduct Servo Patternを書く事も可能である。この場合奇数と偶数セクタをそれぞれ別々の回転で書く必要がある。Product Servo Patternの書き込みを磁気ディスク2回転で行った場合、1回転目と2回転目に書かれたServo Patternの間に大きな半径方向のずれが生じ、これが問題となることがあるが、2倍の方法で書き込むことによって磁気ディスク13の1回転で、最終製品で必要なセクタ数のProduct Servo Patternを全て書き込むことができるので、これを防止することができる。
【0131】
HDD制御回路に実装される機能及びヘッド特性の測定
上記のように、本形態のサーボ・ライトは、HDD1の制御回路の機能を使用して実行される。以下において、上記説明したサーボ・パターンの書き込みにおいて利用される、HDD1の制御回路に実装される機能について説明する。特に、TSSWのために必要とされる新規な機能は主に、HDC/MPU、R/Wチャネルに装備される。TSSWのために必要な機能を内部回路内に実装することによって外部装置としてのサーボ・ライタの機能を削減することができる。また、ユーザ・データのリード/ライトにためにHDD1内部に実装されている機能を使用することによって、サーボ・ライトに必要な構成を簡略化することが可能となる。まず、HDD1の制御回路の概略について説明する。
【0132】
図27は、HDD1のハードウェア(回路)構成の概略を示すブロック図である。HDD1は、エンクロージャ内に、ヘッド16から及びヘッド16への信号の増幅、制御を行うアーム電子回路(アームエレクトロニクス:AE)51を備える。さらに、HDD1は、エンクロージャの外側に固定された回路基板(カード)60を備えている。回路基板60上には、リード・ライト・チャネル(R/Wチャネル)61、モータ・ドライバ・ユニット62、ハード・ディスク・コントローラ(HDC)/MPU集積回路(HDC/MPU)63、及びRAM64を備えている。尚、これら構成は一例に過ぎず、例えば、各構成を一つのチップに実装することも可能である。
【0133】
外部ホスト(不図示)からの書き込みデータは、HDC/MPU63によって受信され、R/Wチャネル61、AE51を介して、ヘッド16によって磁気ディスク13に書き込まれる。また、磁気ディスク13に記憶されているデータは、ヘッド16によって読み出され、読み出しデータは、AE51、R/Wチャネル61を介して、HDC/MPU63から外部ホストに出力される。図の例において磁気ディスク13は、データを記録する記録面を両面に備え、各記録面に対応するヘッド16が設けられている。
【0134】
モータ・ドライバ・ユニット62は制御信号に応じて駆動電流をVCM17に供給する。モータ・ドライバ・ユニット62はSPM12を駆動し、SPM12は所定の速度で磁気ディスク13を回転する。なお、磁気ディスク13は1枚以上あればよく、記録面は磁気ディスク13の片面のみに形成すること、あるいは、その両面に形成することができる。尚、一般的にAEには、接続されている全てのヘッドに対して同時にWriteできる機能が備わっている。通常のセルフ・サーボ・ライトでは、選択された1本のヘッド(Propagation Head)からのRead信号を使い全ての磁気ディスクに同じPatternを同時に書く。この様にすることによって複数のヘッドが備わった磁気ディスク装置のセルフ・サーボ・ライトに要する時間を短縮することができる。そのため、AE51はチャネルからの信号を全てのヘッドに同時に送る機能を備えている。この機能は通常の動作中には用いることはなく、セルフ・サーボ・ライトの時のみに使用する特別なものである。
【0135】
AE51は、複数のヘッド16の中からデータ・アクセスが行われる1つのヘッド16を選択し、選択されたヘッド16により再生される再生信号を一定のゲインで増幅(プリアンプ)し、R/Wチャネル61に送る。また、R/Wチャネル61からの記録信号を選択されたヘッド16に送る。R/Wチャネル61は、ライト処理において、HDC/MPU63から供給されたライト・データをコード変調し、さらにコード変調されたライト・データをライト信号(電流)に変換してAE51に供給する。また、リード処理において、R/Wチャネル61はAE51から供給されたリード信号を一定の振幅となるように増幅し、取得したリード信号からデータを抽出し、デコード処理を行う。読み出されるデータは、ユーザ・データとサーボ・データを含む。デコード処理されたリード・データは、HDC/MPU63に与えられる。
【0136】
HDC/MPU63は、MPUとHDCが一つのチップに集積された回路である。MPUは、RAM64にロードされたマイクロ・コードに従って動作し、ヘッド16のポジショニング制御、インターフェース制御、ディフェクト管理などのHDD1の全体の制御のほか、データ処理に関する必要な処理を実行する。HDD1の起動に伴い、RAM64には、MPU上で動作するマイクロ・コードの他、制御及びデータ処理に必要とされるデータが磁気ディスク13あるいはROM(不図示)からロードされる。
【0137】
R/Wチャネル61によって読み出されるデータは、ユーザ・データの他に、サーボ・データを含んでいる。HDC/MPU63は、サーボ・データを使用したヘッド素子部12の位置決め制御を行う。HDC/MPU63からの制御信号(デジタル信号)はモータ・ドライバ・ユニット62に出力される。
【0138】
上記のProduct Servo Patternの書き込みについての説明から理解されるように、TSSWを達成するために必要とされる機能は、(1)Read Gate(リードの開始・終了を制御する信号)、Write Gate(ライトの開始・終了を制御する信号)を所定の信号(本例においてはIndex信号)を基準にして、自在に希望するタイミングで開閉すること、(2)Pattenの時間間隔を正確に高精度に測定すること、(3 )Pattenの検出から予め設定された時間の後に正確に所望のPatternを書くことが可能であり、さらに、複数個の異なったパターンを異なった遅れ時間で書くこと、そして、(4)SPM、VCMの制御である。
【0139】
TSSWを達成するために、HDC/MPU63とR/Wチャネル61とに所定の機能が実装される。HDC/MPU63とR/Wチャネル61の間で送受信される信号を図28に示す。HDC/MPU63からR/Wチャネル61に対して、SRVGATE(Servo Pattern Timing信号)、-RG(Read操作start信号)、-WG(Write操作start信号)の各信号が送信される。R/Wチャネル61からは、Read Data Byteに同期したRWCLKが送信される。R/WのデータであるNRZ_DATAは、双方間で送受信される。
【0140】
HDC/MPU63はレジスタに設定された変数に従って制御動作を実行し、以下の機能を備えている。Indexを基準にして設定されたタイミングで、設定された時間、回数、周期でWrite Gateを開く(アクティブ(active)にセットする)。また、Indexを基準にして設定されたタイミングで、設定された時間、回数、周期でWrite GateとRead Gateを別々に開く(アクティブにセットする)。また、Indexを基準にして設定されたタイミングで、設定された時間、回数、周期でRead Gateを開く。長いPatternに対応して従来のBurst数よりの多くのBurstをサンプルできる。そして、SRVGATEを基準にして設定されたタイミングでRead GateとWrite Gateを開く。
【0141】
R/Wチャネル61は、以下の機能を備えている。SyncMark間の時間を正確に測定する。SyncMark間の時間はSystem Clockを使用してその間のClock数で測定する。さらに、Phase Mixerの機能を使用してこの数十分の1、例えば、1/50まで精度を上げることができる。さらに、SyncMarkから設定されたタイミングで設定されたPatternを書くことができる。SyncMarkの検出からWrite操作までのタイミングは、上記と同様の精度で設定することができる。
【0142】
実際には、Write GateはHDC/MPU63が制御しているため、ここでは、R/Wチャネル61からヘッド16へのWrite Data出力タイミングを意味している。Write GateとWrite Data出力タイミングに差がある場合、Write Gateが先に開いていればDC Eraseになり、Write Data出力タイミングが先だとWrite Gateが開くまでの間のデータはWriteされない。Write Gateを先に開くことによって、正確なタイミングでのパターン書き込みを行うことができる。書き込みタイミングと書き込むData Patternは一つのSyncMarkの検出に対して、それぞれ独立に複数個指定することができる。
【0143】
次に、HDC/MPU63の機能について詳細を説明する。HDC/MPU63は、いくつかのモードを備える。
(i) Indexed Write Mode
図29にこのモードのタイミング・チャートを示す。Indexを基準にして、変数S0で設定された時間後に-WGを開く。-WGの開く長さ(時間)は変数WWID、周期は変数PERIODで設定する。時間の設定は、HDC/MPU63のSystem ClockのClock数(時間はClock数×Clock周期で決まる)、あるいは、R/Wチャネル61からのクロック信号であるRWCLKを基準にする。-WGの開く回数は変数WSで設定する。
【0144】
(ii) Indexed Phase Aligned Write Mode-1
図30にこのモードのタイミング・チャートを示す。Indexを基準にして、S0で設定された時間後に-RGを開き、S0+PWDELAY後に-WGを開く。-RG、-WGは同一周期で繰り返し開かれる。その周期は変数PERIODで設定し、回数は変数WSで設定する。-RGの開いている長さは変数RWIDで、-WGの開いている長さは変数WWID-PWDELAYで設定する。変数SDTLENでWrite DataのByte数を設定する。時間設定はHDC/MPU63のSystem Clockを基準とする。尚、Index信号の代わりにSRVGATE信号を基準にすることができる。
【0145】
(iii) Indexed Phase Aligned Write Mode-2
図31にこのモードのタイミング・チャートを示す。このモードはIndexed Phase Aligned Write Mode-1と-WGのタイミングが異なる。-RGが1周期で1回開くことこと対して、-WGを設定されたタイミングで2回開くことができる。
【0146】
(iv) Indexed Read Mode
図32にこのモードのタイミング・チャートを示す。Indexを基準にして、変数S0で設定された時間後に-RGを開く。この-RGは2種類の周期を繰り返す。その周期は、変数PERIOD1とPERIOD2で設定する。-RGの開いている長さは変数RWIDで、RGの開く回数は変数WSで設定する。時間設定はHDC/MPU63のSystem Clockを基準とする。
【0147】
(v) Servo / Propagation Control
図33にこのモードのタイミング・チャートを示す。本例においては、図33(a)に示すように、SERVOAREA信号が立ち上がってから、1024System Clockの間まで信号のタイミングが設定できる(従来のBurst Samplingは256 Clock)。これによって、TSSWの長いパターンに対応することができる。Burstは8までサンプルすることができ、Product Burstに加えて2nd Burstまでサンプルすることができる。尚、2つ目の機能は、図33(b)に示すように、レジスタの設定によって+SERVOGATE(SERVOAREAと同じ信号)の変化タイミングを、Indexから変数S0後にセットし、さらに、周期を変数PERIODで設定することができる。
【0148】
続いて、上記に説明された機能を使用するTSSWのいくつかのシーケンスの例を示す。上記のように、TSSWの初期シーケンスは、アクチュエータ14をインナー・クラッシュ・ストップ18に当てた状態において、Base Patternを書く。Base PatternはTime Aligned Patternを書くためのパターンであり、各トラック間でパターンが同期していない。上記のように、各トラックにおいてIndexを基準としてセクタ数分Base Patternを書く。図34に示すように、HDC/MPU63は、上記の(i) Indexed Write Modeを使用して、Indexを基準としてR/Wチャネル61にWrite操作させる。Write Dateは、Sync、SyncMark、Burstに設定する。
【0149】
Base Patternの書き込み処理において、各Base Patternの半径方向の間隔を知るために、Burstの振幅を測定することが必要とされる。この場合、図35に示すように、HDC/MPU63は、上記の(v) Servo/Propagation Controlを使用して、Indexを基準にしたタイミングでSERVOGATEを開いてHDC/MPU63のもつサーボ制御機能によりBurstの振幅を測定する。
【0150】
Time Aligned Patternを書くために、Base Patternの時間間隔を測定することが必要となる。HDC/MPU63は、(iv) Indexed Read Modeを使用してBase Patternの時間間隔を測定する。図36に示すBase Patternの時間間隔を測定するためには、Indexed Read Modeにおいて、S0、PERIOD1、PERIOD2をリード・エレメント161の位置に応じて変化させる。例えば、図に示すにように、リード・エレメント161がトラック1にある場合、2つのSyncMarkの時間間隔T0_0を測定する。
【0151】
このとき、-RGを図の-RG1のタイミングで開く(Low Active)。R/Wチャネル61は、-RGが開いた状態でSyncMarkのサーチを開始し、検出した時刻をレジスタに書き込む。次に-RGが開いたら、同様にSyncMarkのサーチを開始して検出した時刻をレジスタに書き込む。HDC/MPU63はそれぞれの値を読み込んでその差をとることによりT0_0の時間を測定することができる。リード・エレメント161がトラック2にある場合には、T1_0を測定するため、-RGの開くタイミングを、図の-RG2のように変える。以下同様に、他のトラックにおいてもSyncMarkの時間間隔を測定することができる。
【0152】
最後に、HDC/MPU63は、Base Pattern とBase Pattern の時間間隔を使用して、隣接するトラック間において円周方向に同期した(位置がそろった)Time Aligned Patternを書く。HDC/MPU63は、(ii) Indexed Phase Aligned Write Modeを使用してTime Aligned Patternを書く。図37に示すように、HDC/MPU63は、Indexを基準にして、-RGと-WGを開く。このタイミングの精度はHDC/MPU63のClockの周波数で決定される。Write operation(Write DataがR/Wチャネル61から出力されるタイミング)は、R/Wチャネル61がSyncMarkを検出してから予めR/Wチャネル61に設定された遅れ時間後に行われる。
【0153】
遅れ時間の設定には、前のシーケンスで測定したBase Patternの時間間隔が使用される。HDC/MPU63による-WGのタイミング精度は高いものではないが、Write DataがR/Wチャネル61から出力されるタイミングは、上記のようにR/Wチャネル61によって正確に制御される。このため、トラック間で正確に同期したTime Aligned Patternを書くことができる。尚、-WGの立下りから実際にWrite DataがR/Wチャネル61から出力されるまでの間、Write Dataの出力終了から-WGの立ち上がるまでの間は、DC Erase状態となる。
【0154】
Time Aligned Patternは、Sync、SyncMark、Sync、STM、Gray Code、A、B、C、Dの他に2nd Burstを備えている。この2nd Burstを書く為にはWrite Gateを一度開きSync、SyncMarkなどを書き、次に一度Write Gateを閉じて再び開いて2nd Burstを書く。HDC/MPU63は、図38に示すように、1周期でWrite Gateが2回開く(iii) Indexed Phase Aligned Write Mode-2を使用して2nd Burstを書くことができる。このモードは、-RG1回に対して-WGを設定されたタイミングで2回開くことができる。1回の2nd Burstはトリミングせずに書き込むため、各Servo Trackで2度目のWrite GateのOpenのタイミングを少しずらす。
【0155】
最後に、TSSWの最初期のシーケンスで実行されるヘッド特性の測定について説明する。ヘッド16の特性は、HDD1内の全てのヘッド16について実行される。測定結果は、全てのヘッド16がサーボ・トラック・ライトを行うための性能を備えているかの判定(ヘッド16のPass/Failの判定)、Propagation Headの選定、次のプロセスのための参照値として使用される。測定される項目は、Read Check、Read/Write Offset Measurement、そしてWrite幅(ライト・エレメント162の幅に相当)Measurementである。測定方法は、以下のシーケンスから構成される。(1) Burst Pattern Write 、(2) Burst Pattern Read、(3) ヘッド特性測定、(4) Propagation Head選択の各シーケンスである。Burst Pattern Writeを読み出した場合の信号によってヘッド16(リード・エレメント161)位置を特定し、VCM電流によってヘッド特性を表す。以下に各シーケンスの詳細を説明する。各シーケンスは、HDC/MPU63の制御に下に実行される。
【0156】
(1) Burst Pattern Write
インナー・クラッシュ・ストップ18にアクチュエータ14を押し当てた状態において、Burst Patternを書く。このときのVCM電流は一定値に設定する(I_mid)。通常は、インナー・クラッシュ・ストップ18が弾性をもった状態において、ヘッド16が最もID側に位置する電流値を使用する。パターンの書き込みにおいては、HDC/MPU63はIndexed Write Modeを使用する。HDC/MPU63はIndexを基準としてトラック1周にわたり一定長さの一定周波数のBurst Patternを複数書く。
【0157】
(2) Burst Pattern Read
次に、ヘッド16の位置を徐々にOD側に移動しながらR/Wチャネル61のVGA(Variable Gain Amplifier)ゲインの値を読む。R/Wチャネル61内のAGC(Auto Gain Controller)は、VGAのゲインを変化させることで、入力信号の増幅度を制御する。HDC/MPU63はIndexed Read Modeを使用する。-RGの開くタイミングはIndexを基準とする。-RGの開く長さを前のシーケンスでの-WGの長さより短くすることによって、-RGが時間的に確実にBurst Pattern上で開くようにする。
【0158】
R/Wチャネル61は、-RGが開くたびにVGAゲインを測定し、レジスタに書き込む。VGAゲインとBurst Pattern振幅とは反比例の関係(ただし直線的ではない)にあるので、これによって、Burst Pattern振幅の測定ができる。ヘッド16の位置を徐々にOD側に動かすにはVCM電流をI_midから小刻みに変えていく。それぞれの測定点においてVCM電流は一定に維持される。VCM電流を変えることによって、インナー・クラッシュ・ストップ18の弾性を利用してヘッド16の位置を変える。
【0159】
(3) ヘッド特性測定
Burst Patternを書いた後、ヘッド16の位置を徐々に変化させながらVGAゲインを測定することによってヘッド16の特性を測定する。具体的には、Read Check、Read/Write Offset、そしてWrite幅を測定する。まず、図39に示すように、ヘッド16が最もID側にある、つまりVCM電流をI_midに維持してBurst Patternを書き込む。この段階で、読み出し信号の一例であるVGAゲインは最大値Gmaxを示す。その後、徐々にVCM電流を変化させながらVGAゲインを測定する。リード・エレメント161がOD側に移動し、Burst Patternに近づくにつれて、検出されるBurst Pattern の振幅が増加し、VGAゲインが減少する。VCM電流がI_centerとなり、リード・エレメント161がBurst Pattern の真上にきたとき、VGAゲインは最小値Gmin(極値)になる。さらにリード・エレメント161がOD側に移動するとVGAゲインは増加し、最終的に最大値Gmaxを示す。
【0160】
リード・エレメント161とライト・エレメント162の半径方向におけるオフセットであるRead/Write Offsetは駆動信号の一例であるVCM電流を使用して表すことができる。つまり、VGAゲインは最小値Gmin のときのVCM電流I_centerとVCM電流I_midの差で表される。つまり、Read/Write Offset=I_center−I_midである。次に、このシーケンス中にVGAゲインが予め設定されている値Gricよりも小さくならなかった場合、リード・エレメント161からの出力信号が十分に大きくならなかったことを意味する。この場合、Read系に不具合があったと判断する。
【0161】
Write幅も同様にVCM電流によって表される。Gmin及びGmaxのときのBurst Patternの振幅(R/Wチャネル61への入力信号)V1、V2を計算する。V1、V2の半分の値であるVh=(V1+V2)/2となるときのVGAゲインであり、GminとGmax の中間の中間値であるGhを計算する。リード・エレメント161をIDからODへ移動させる過程において、Ghとなるタイミングは2回ある。それぞれのVCM電流をI_-50、I_+50とする。Write幅はこのVCM電流の差として定義することができる。つまり、Write Width=I_+50−I_-50と定義される。尚、本例においては、VGAゲインを直接使用してヘッド特性を測定しているが、VGAゲインを演算処理して利用すること、あるいはこの他の信号を利用することも可能である。例えば、入力信号の大きさを利用する場合、変化はVGAゲインと逆となり、最小値を示した後、最大値(極大値)を示しその後減少していく。また、Write幅もVCM電流の値を所定の演算処理した値を使用することも可能である。
【0162】
(4) Propagation Head選択
以上の測定を、HDD1内の全てのヘッド16について実行する。測定結果からTSSWのPropagation Headの選定を行う。Propagation Headは、TSSWにおいてServo PatternのSyncMarkの検出、タイミング測定、またBurst 振幅の測定によるヘッド位置検出に使用されるので、ノイズの少ない最良のヘッド16を選択することが必要とされる。選択の条件としては、VGAゲインの値が設計値に最も近い、Write幅が最も大きいなどを挙げることができる。
【0163】
尚、本形態のProduct Servo Pattern書き込み処理は、磁気ディスクに限らず、回転する記録ディスクにデータを記録する他の態様のディスク・ドライブに適用することが可能である。本形態においては好ましい態様としてTSSWについて説明されたが、Product Servo Pattern書き込みのための各シーケンスは、通常のSSWにおいて実行することも可能である。本形態は、Base PatternからTime Aligned Patternを書き込むが、Base PatternからProduct Servo Patternを書き込むことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】本実施形態に係るサーボ・パターン書き込む処理の全体工程を説明するフローチャートである。
【図2】本実施形態に係るHDDの全体機構を模式的に示す平面図である。
【図3】本実施形態に係るヘッドの概略構成を模式適に示す平面図である。
【図4】本実施形態に係るBase Pattenの書き込み処理を説明するフローチャートである。
【図5】本実施形態に係るTrack Pitchの定義を説明するフローチャートである。
【図6】本実施形態に係るPre-Servo Patternのデータ・フォーマットを示す図である。
【図7】本実施形態に係るPre-Servo Patternが磁気ディスク上に記録されている様子を示す図である。
【図8】本実施形態に係るBase Pattenのデータ・フォーマットを示す図である。
【図9】本実施形態に係るBase Pattenが磁気ディスク上に記録されている様子を示す図である。
【図10】本実施形態に係るTime Aligned Patternの書き込み処理を説明するフローチャートである。
【図11】本実施形態に係るBase Pattenの間の時間間隔測定を説明する図である。
【図12】本実施形態に係るTime Aligned Patternの書き込み処理において測定される、Base Pattenの時間間隔を示す図である。
【図13】本実施形態に係るTime Aligned Patternが磁気ディスク上に記録されている様子を示す図である。
【図14】本実施形態に係るTime Aligned Patternの書き込み処理における、Time Aligned Pattern の書き込みタイミングを示す図である。
【図15】本実施形態に係るTime Aligned Patternのデータ・フォーマットを示す図である。
【図16】本実施形態に係るTime Aligned Patternを使用したRead/Write Separation Timeの測定を説明する図である。
【図17】本実施形態に係るTime Aligned Patternを基準にしたProduct Servo Pattenの書き込み処理を説明するフローチャートである。
【図18】本実施形態に係るTime Aligned Patternとリード・エレメントの位置関係を示す図である。
【図19】本実施形態に係るTime Aligned Patternを基準にしたProduct Servo Pattenの書き込み処理を説明する図である。
【図20】本実施形態に係るProduct Servo Pattenが磁気ディスク上に書き込まれた様子を示す図である。
【図21】本実施形態に係るProduct Servo Pattenのデータ・フォーマットを示す図である。
【図22】本実施形態に係るProduct Servo Pattenを基準にしたProduct Servo Pattenの書き込み処理を説明するフローチャートである。
【図23】本実施形態に係るTime Aligned Pattern 、リード・エレメント、ライト・エレメント及びProduct Servo Pattenの位置関係を示す図である。
【図24】本実施形態に係るProduct Servo Pattenを基準にしたProduct Servo Pattenの書き込み処理における、リード・エレメントの位置合わせにおける測定値を示す図である。
【図25】本実施形態に係るProduct Servo Pattenを基準にしたProduct Servo Pattenの書き込み処理を説明する図である。
【図26】本実施形態に係るProduct Servo Pattenを基準にしたProduct Servo Pattenの書き込み処理における、時間間隔の測定と書き込みタイミングの関係を示す図である。
【図27】本実施形態に係るHDDの全体回路構成を模式的に示すブロック図である。
【図28】本実施形態に係るHDC/MPUとR/Wチャネルとの間の通信データを説明する図である。
【図29】本実施形態にIndexed Write Modeのタイミング・チャートである。
【図30】本実施形態に係るIndexed Phase Aligned Write Mode-1のタイミング・チャートである。
【図31】本実施形態に係るIndexed Phase Aligned Write Mode-2のタイミング・チャートである。
【図32】本実施形態に係るIndexed Read Modeのタイミング・チャートである。
【図33】本実施形態に係るServo / Propagation Controlのタイミング・チャートである。
【図34】本実施形態に係るBase Pattenの書き込み処理におけるIndexed Write Modeのタイミング・チャートである。
【図35】本実施形態にBase Patternの半径方向の時間間隔を測定におけるServo/Propagation Controlのタイミング・チャートである。
【図36】本実施形態に係る本実施形態にBase Patternの半径方向の時間間隔を測定におけるIndexed Read Modeのタイミング・チャートである。
【図37】本実施形態に係るTime Aligned Pattern書き込み処理におけるIndexed Phase Aligned Write Modeのタイミング・チャートである。
【図38】本実施形態に係るTime Aligned Pattern書き込み処理において2nd Burstを書くためのIndexed Phase Aligned Write Mode-2のタイミング・チャートである。
【図39】本実施形態に係るヘッド特性測定処理におけるヘッド位置とVGAゲインとの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0165】
1 HDD、11 ベース、12 SPM、13 磁気ディスク、
14 アクチュエータ、15 ピボット、16 ヘッド、
17 VCM、18 インナー・クラッシュ・ストップ、
19 アウター・クラッシュ・ストップ、20 トップクランプ、21 ランプ、
51 AE、60 回路基板、61 R/Wチャネル、
62 モータ・ドライバ・ユニット、63 HDC/MPU、64 RAM、
161 リード・エレメント、162 ライト・エレメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ記憶装置に実装されている回転記録ディスクに、前記ディスクの径方向に位置が異なるリード・エレメントとライト・エレメントを有する内部ヘッドを使用して、パターンを書き込む方法であって、
(a)連続する複数トラックのそれぞれに形成され円周方向の位置が揃っている複数パターンで構成されたパターン列を、円周方向に離間して複数セクタ形成し、
(b)前記複数トラックの一つのトラックにおいて、2つのセクタのパターン間の時間間隔を測定し、
(c)測定した前記時間間隔に基づき書き込みタイミングを決定し、
(d)前記2つのセクタのパターンの内の第1セクタのパターンを検出した後の前記書き込みタイミングにおいて、前記複数のトラックとは異なる第1サーボ・トラックに第1のサーボ・パターンを書き込む、方法。
【請求項2】
前記連続する複数トラックの径方向距離は、前記リード・エレメントが前記連続する複数トラックの端のトラックにあるときの前記内部ヘッドのリード/ライト・オフセット以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数セクタのパターン列の各パターンはサーボ・パターンである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のサーボ・パターンは、前記2つのセクタのパターンの内の第2セクタのパターンと円周方向において揃った位置に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記一つのトラックの隣接トラックにおける前記2つのセクタのパターンと同一セクタの2つのパターンついて、更に前記(b)及び(c)の処理を実行し、
(e)前記隣接トラックにおける2つのセクタのパターンの内の第1セクタのパターンを検出した後の前記書き込みタイミングにおいて、前記第1サーボ・パターンと円周方向における位置が揃っている第2サーボ・パターンを、前記第1サーボ・トラックと隣接する第2サーボ・トラックに書き込む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記一つのトラックにおいて、各隣接セクタのパターンについて、更に前記(b)、(c)及び(d)の処理を実行し、前記第1サーボ・トラックに複数セクタのサーボ・パターンを書き込み、
前記一つのトラックの隣接トラックにおいて、各隣接セクタのパターンについて、前記(b)、(c)及び(e)の処理を実行し、前記第1サーボ・トラックの複数サーボ・パターンのそれぞれと円周方向における位置が揃っている複数のサーボ・パターンを前記第2サーボ・トラックに書き込む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記一つのトラックにおける各隣接セクタのパターンについて、更に前記(b)、(c)及び(d)の処理を実行し、前記第1サーボ・トラックに複数セクタのサーボ・パターンを形成し
前記複数セクタのサーボ・パターンの内の2つのセクタのサーボ・パターン間の時間間隔を測定し、
測定した前記サーボ・パターン間の時間間隔に基づき書き込みタイミングを決定し、
前記2つのセクタのサーボ・パターンの一つの検出後の前記書き込みタイミングにおいて、前記第1サーボ・トラックとは異なる第3サーボ・トラックにサーボ・パターンを書き込む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1サーボ・トラックの各隣接セクタのサーボ・パターンについて、更に前記(b)、(c)及び(d)の処理を実行し、前記第3サーボ・トラックに複数のサーボ・パターンを書き込む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1及び第2サーボ・トラックのそれぞれに形成されるセクタ数は、前記記録ディスクのユーザ・データ・アクセスに使用されるサーボ・セクタ数の偶数倍である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第3サーボ・トラックへのサーボ・パターンの書き込みにおいて、前記第3サーボ・トラックの1周回において前記第1のサーボ・トラックの偶数番目のセクタのサーボ・パターンを使用して奇数番目のセクタのサーボ・パターンを書き込み、他の1周回において偶数番目のセクタのサーボ・パターンを書き込む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記複数セクタのパターン列の各パターンは、前記記録ディスクのサーボ・パターンと異なるものであり、
前記パターン列の径方向距離は、前記内部ヘッドのリード/ライト・オフセット以上であり、
前記第1サーボ・パターンは、前記複数セクタのパターン列とは周方向において位相の異なる位置に形成される、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記(c)の処理において、前記時間間隔に基づき複数の書き込みタイミングを決定し、
前記第1セクタのパターン検出語の前記複数の書き込みタイミングのそれぞれにおいて、前記第1サーボ・トラックにサーボ・パターンを書き込む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記連続する複数トラックのそれぞれにおいて、各隣接セクタのパターンについて更に前記(b)、(c)及び(d)の処理を実行し、前記第1サーボ・トラックに複数セクタのサーボ・パターンを形成し
前記複数セクタの内の2つのセクタのサーボ・パターン間の時間間隔を測定し、
測定した前記サーボ・パターン間の時間間隔に基づき書き込み時間を決定し、
前記2つのセクタのサーボ・パターンの一つの検出から前記書き込み時間経過後のタイミングにおいて、前記第1サーボ・トラックとは異なる第2サーボ・トラックにサーボ・パターンを書き込む、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記処理(a)において、
複数セクタに分割された連続する複数の基準パターン・トラックの各セクタに、基準パターンを書き込み、
前記複数セクタの各セクタにおいて、隣接する基準パターン・トラックの基準パターン間の時間間隔を測定し、
前記複数の基準パターン・トラックのそれぞれに前記リード・エレメントを位置決めした状態において、各前記基準パターン・トラックの各基準パターンの検出から各書き込み時間の経過後にパターンを書き込むことによって、円周方向に位置が揃った複数のパターンから構成されるパターン列を複数セクタ書き込み、
前記複数セクタの各セクタにおいて、隣接基準パターン・トラックの基準パターン間の書き込み時間の差は、前記隣接トラックの基準パターン間の時間間隔である、
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記パターン列の最初のトラックのパターン書き込み処理において、
前記最初のトラックに対応する最初の基準パターン・トラックに前記リード・エレメントを位置決めした状態において、複数の基準パターンのそれぞれの検出から各書き込み時間後のタイミングで前記最初のトラックに複数のパターンを書き込み、
前記複数の基準パターンの各隣接基準パターン間における書き込み時間の差は、予め定められた時間と前記隣接基準パターン間の時間間隔の差である、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記処理(a)において、
第1の基準パターン・トラックに第1の基準パターンを書き込み、
前記第1の基準パターン・トラックと異なる第2の基準パターン・トラックに第2の基準パターンを書き込み、
前記第1の基準パターンと前記第2の基準パターンの間の時間間隔を測定し、
前記リード・エレメントを前記第1のトラックに位置決めした状態で、前記第1の基準パターンの検出から第1の書き込み時間の経過後に、第1のパターンを書き込み、
前記リード・エレメントを前記第2の基準パターン・トラックに位置決めした状態で、前記第2の基準パターンの検出から第2の書き込み時間経過後に第2のパターンを書き込み、前記第1の書き込み時間と前記第2の書き込み時間の差は前記基準パターン間の時間間隔である、
請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の基準パターン・トラックは、前記パターン列の最初にパターン書き込みされるトラックに対応し、
前記第1の基準パターン・トラックに複数の基準パターンを書き込み、
前記第1の基準パターン・トラックに前記リード・エレメントを位置決めした状態において、複数の基準パターンのそれぞれの検出から各書き込み時間後のタイミングで前記最初のトラックに複数のパターンを書き込み、前記複数の基準パターンの各隣接基準パターン間における書き込み時間の差は、予め定められた時間と前記隣接基準パターン間の時間間隔の差である、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記処理(d)は、前記記録ディスクへのパターンの書き込み開始を制御するライト・ゲート信号をアクティブにセットし、前記ライト・ゲート信号をアクティブにセットした後に前記ヘッドへの書き込み信号の出力を開始して前記第1のサーボ・パターンを書き込む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
データ記憶装置に実装されている回転記録ディスクにサーボ・パターンを書き込む処理において、リード・エレメントとライト・エレメントを有する内部ヘッドを使用して、前記回転記録ディスクにパターンを書き込む方法であって、
第1のパターンと前記第1のパターンと円周方向の位置が異なる第2のパターンを書き込み、
前記第1のパターンと前記第2のパターンの間の時間間隔を測定し、
前記第2のパターンのトラックに前記リード・エレメントを維持し、前記第2のパターンの検出から、前記時間間隔に基づき決定された時間の経過したタイミングにおいて、前記回転記録ディスクに第3のパターンを書き込む、方法。
【請求項20】
前記記録ディスクへのパターンの書き込み開始を制御するライト・ゲート信号をアクティブにセットし、前記ライト・ゲート信号をアクティブにセットした後に前記ヘッドへの書き込み信号の出力を開始して前記回転記録ディスクに第3のパターンを書き込む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
データ記憶装置に実装されている回転記録ディスクにサーボ・パターンを書き込む処理において、内部ヘッドを使用して、前記回転記録ディスクにパターンを書き込む方法であって、
前記記録ディスクへのパターンの書き込み開始を制御するライト・ゲート信号をアクティブにセットし、
前記ライト・ゲート信号をアクティブにセットした後に前記ヘッドへの書き込み信号の出力を開始し、前記記録ディスクにパターンを書き込む、方法。
【請求項22】
さらに、前記ライト・ゲート信号がアクティブにセットされたことに応答して、前記記録ディスクの一部領域をDC消去し、
前記ライト・ゲート信号をアクティブにセットした後に前記ヘッドへの書き込み信号の出力を開始し、前記DC消去された一部領域に続く領域にパターンを書き込む、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記記録ディスクへのデータ書き込み及びデータ読み取りを行うヘッドと、
前記ヘッドを保持し移動する移動機構と、
前記記録ディスクへのデータ書き込み及び読み出しを制御する制御部と、を備え、
前記ヘッドは、第1のパターンと前記第1のパターンと円周方向の位置が異なる第2のパターンを書き込み、
前記制御部は前記第1のパターンと前記第2のパターンの間の時間間隔を測定し、
前記移動機構は前記第2のパターンのトラックに前記リード・エレメントを維持した状態で、前記ヘッドは、前記第2のパターンの検出から、前記時間間隔に基づき決定された時間の経過したタイミングにおいて、前記回転記録ディスクにパターンを書き込む、
データ記憶装置。
【請求項24】
記録ディスクにサーボ・パターンを書き込むデータ記憶装置であって、
前記記録ディスクへのデータ書き込み及びデータ読み取りを行うヘッドと、
前記ヘッドを保持し移動する移動機構と、
前記記録ディスクへのデータ書き込み及び読み出しを制御する制御部と、を備え、
前記ヘッドは、円周方向の位置が揃っている連続する複数トラック上のパターンで構成されたパターン列を、円周方向に離間して複数セクタに書き込み、
前記制御部は、前記複数トラックの一つのトラックにおいて、前記ヘッドが読み取った2つのセクタのパターン間の時間間隔を測定し、
前記制御部は、測定した前記時間間隔に基づき書き込みタイミングを決定し、
前記ヘッドは、前記2つのセクタのパターンの内の第1セクタのパターン検出後の前記書き込みタイミングにおいて、前記一つのトラックとは異なるサーボ・トラックにサーボ・パターンを書き込む、データ記憶装置。
【請求項25】
前記連続する複数トラックの径方向距離は、前記内部ヘッドのリード/ライト・オフセット以上である、請求項24に記載のデータ記憶装置。
【請求項26】
前記サーボ・パターンは、前記2つのセクタのパターンの内の第2セクタのパターンと円周方向において揃った位置に形成される、請求項24に記載のデータ記憶装置。
【請求項27】
データを記録する記録ディスクと
前記記録ディスクへのデータ書き込み及びデータ読み取りを行うヘッドと、
前記ヘッドを保持し移動する移動機構と、
前記記録ディスクへのデータ書き込み及び読み出しを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記記録ディスクへのパターンの書き込み開始を制御するライト・ゲート信号をアクティブにセットし、前記ライト・ゲート信号をアクティブにセットした後に前記ヘッドへの書き込み信号の出力を開始し、
前記ヘッドは、前記書き込み信号に応答して前記記録ディスクにパターンを書き込む、
データ記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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