説明

記録再生装置及び記録再生装置の制御方法

【課題】 光ディスクに記憶されたコンテンツに対して再生指示された場合であっても、自装置中にオリジナルコンテンツが記憶されている場合には、光ディスクの装着を継続することなくオリジナルコンテンツの画像を視聴することが出来る記録再生装置を提供する。
【解決手段】 記録再生装置2は受信したコンテンツXを、記憶部4で第1の鍵14を用いて暗号化しコンテンツX1としてHDD6に記憶する。複製指示された場合はコンテンツX1から所定の種類の情報を抽出し、ODD8で第2の鍵15を用いて符号化したコンテンツX2を光ディスク1に書き込む。コンテンツ識別情報CIとディスク識別情報DIとを対応付けて記憶情報管理部5に記憶する。コンテンツX2の再生指示された場合は、再生判別部9にて記憶情報管理部5を参照してコンテンツX2に対応するコンテンツX1がHDD6に残存するか否かを判別し、残存する場合はHDD再生部10にて再生を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツの記憶及び再生を制御する記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテンツの著作権保護の観点から、デジタルテレビジョン放送のコンテンツにはコピー制御情報が付加されている。1回のみ記憶することを許されたコンテンツ(いわゆるコピーワンスのコンテンツ)に対してムーブ動作を行った場合、コピーワンス規定を遵守しながらも、記録再生装置内蔵ハードディスク装置(以下、「内蔵HDD」と記す)にコンテンツを残して使い勝手を向上させた技術として以下のものが知られている。
【0003】
即ち、内蔵HDDから着脱可能な光ディスクへとムーブ動作を行う際に、夫々に対して光ディスクの鍵を用いてコンテンツを暗号化して記憶させる。
【0004】
この手法を用いることで、内蔵HDDに記憶されたコンテンツの再生中は、鍵を有する光ディスクを記録再生装置に装着している必要がある。これによりコンテンツの著作権を保護し、ムーブをしても内蔵HDDにコンテンツを残すことが可能になる。且つ光ディスクによる再生よりも再生速度の速い内蔵HDDにより再生できるものである(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−85815(第9頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コピーワンス規定緩和の暫定措置として、現在ダビング10規定が運用されており、従来のコピーワンスの場合に比して複製回数の条件が緩和されている。従って、内蔵HDDに記憶したコンテンツと(以下、「オリジナルコンテンツ」とも言う)、この内蔵HDDのコンテンツを複製元として、光ディスクに複製したコンテンツ(以下、「コピーコンテンツ」とも言う)の2つコンテンツを同時に保管することが可能となった。
【0006】
一方、内蔵HDDから光ディスクに複製する場合には、例えばDVD−VR(Digital Versatile Disk Video Recording)等の所定のルールに準拠して複製されるために、光ディスクに記憶されるコンテンツは映像データ等の所定の情報のみを抽出している。即ち、コピーコンテンツは、オリジナルコンテンツよりも情報量が少ないものとなっている。
【0007】
従って、光ディスクに記憶されているコンテンツを再生しようとする場合において、記録再生装置内の内蔵HDD内にオリジナルコンテンツを有している場合には、情報量が多いオリジナルコンテンツを再生してコンテンツを視聴したいという要求がある。
【0008】
しかしながら、上述した技術では、複数回の複製が可能なダビング10を採用した現時点においてでさえも、光ディスクを挿入させたままの必要がある。即ち、上述した技術ではダビング10規定で受信していたコンテンツであるにも関わらず内蔵HDDに記憶されたコンテンツの再生中には必ず光ディスクを装着していることが必要となり、却って使い勝手が悪くなってしまうという問題点があった。
【0009】
そこで本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、光ディスクに記憶されたコンテンツに対して再生指示がされた場合であっても、自装置中に抽出元であるオリジナルコンテンツが記憶されている場合には、光ディスクの装着を継続することなくオリジナルコンテンツの画像を視聴することが出来る記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る記録再生装置は、デジタル形式の第1のコンテンツを受信する受信手段と、前記受信手段により受信した前記第1のコンテンツを自装置に固有の第1の鍵を用いて前記自装置に記憶する第1の記憶手段と、前記第1の記憶手段により記憶した前記第1のコンテンツから所定の種類の情報を抽出した第2のコンテンツを、前記自装置とは別体の記憶媒体に、この記憶媒体に固有の第2の鍵を用いて前記記憶媒体に記憶する複製手段と、前記複製手段により前記第2のコンテンツを前記記録媒体に記憶する場合に、前記第1のコンテンツの識別情報と前記記憶媒体の識別情報とを対応付けて前記自装置に記憶する第2の記憶手段と、前記2のコンテンツについて再生指示がされた場合、前記第2の記憶手段により記憶された前記第1のコンテンツの識別情報と前記記憶媒体の識別情報とを用いて、前記再生指示がされた第2のコンテンツの抽出元となった前記第1のコンテンツが前記自装置に記憶されているか否かを判別し、前記第1のコンテンツが前記自装置に記憶されていると判別した場合には、前記自装置の前記第1の鍵を用いて前記自装置に記憶された前記第1のコンテンツを再生する再生手段とを具備することを特徴としている。
【0011】
また、本発明に係る記録再生装置の制御方法は、受信したデジタル形式の第1のコンテンツを自装置に固有の第1の鍵を用いて前記自装置に記憶させ、複製指示がされた場合に、前記第1のコンテンツの識別情報と、前記自装置とは別体である複製先の記憶媒体の識別情報を対応付けて前記自装置に記憶させ、且つ前記第1のコンテンツから所定の情報が抽出された第2のコンテンツを前記記憶媒体に固有の第2の鍵を用いて前記記憶媒体に記憶させ、前記第2のコンテンツについて再生指示がされた場合に、前記自装置に記憶された前記第1のコンテンツの識別情報と前記記憶媒体の識別情報とを用いて、前記再生指示がされた前記第2のコンテンツの抽出元となった前記第1のコンテンツが前記自装置に記憶されているか否かを判別させ、前記第1のコンテンツが前記自装置に記憶されていると判別された場合には、前記自装置の前記第1の鍵を用いて前記自装置に記憶された前記第1のコンテンツを再生させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光ディスクに記憶されたコンテンツに対して再生指示がされた場合、自装置中に抽出元であるオリジナルコンテンツが記憶されている場合には、光ディスクの装着を継続することなくオリジナルコンテンツの画像を視聴することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図1〜図6を用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態における記録再生装置2の概念図である。記録再生装置2は、少なくとも記憶機能と、複製機能と、再生機能との3つの機能を有している。記録再生装置2の記憶機能は、放送局12からの電波に載せて放送されるデジタルテレビジョン放送等のコンテンツを、アンテナ13を介して受信し、記録再生装置2内に内蔵されている記憶装置である後述するHDD(ハードディスクドライブ)6に記憶する。尚、記録再生装置2は、放送局12から配信されるコンテンツをIPネットワーク経由でも受信するように構成しても良く、この場合も同様にHDD6に記憶する。
【0015】
記録再生装置2の複製機能は、挿入された光ディスク1に対して記録再生装置2のHDD6に記憶しているコンテンツを光ディスク1に複製(コピー)する。
【0016】
記録再生装置2の再生機能は、HDD6又は光ディスク1に記憶されている指定されたコンテンツを再生し、記録再生装置2に接続されたテレビ等の表示装置100に出力する。
【0017】
尚、HDD6は、例えば半導体メモリ等の他の記憶装置でも良い。また、光ディスク1はSD(Secure Digital)メモリ等の他の記憶装置でもよい。
【0018】
図2は、本発明の実施の形態における記録再生装置2の機能ブロックを示した図である。記録再生装置2は、放送受信部3と、記憶部4と、記憶情報管理部5と、HDD6と、複製部7と、ODD8と、再生判別部9と、HDD再生部10と、光ディスク再生部11とを主たる構成要素としている。
【0019】
放送受信部3は、アンテナ13を介して放送局12が送出したオリジナルコンテンツ(「コンテンツX」と言うことにする)を受信し、受信したコンテンツXを記憶部4に送出する。また、放送受信部3は、放送局12が送出したコンテンツXをIPネットワーク経由で受信した場合にも、受信したコンテンツXを記憶部4に送出する。ここでコンテンツXは、コピー制御情報CCやコンテンツ識別情報CIが付加されたデジタル形式のコンテンツである。
【0020】
記憶部4は、記憶情報管理部5に記憶されている記録再生装置2に固有の鍵である第1の鍵14を用いて、放送受信部3から受信したデジタル形式のコンテンツXを暗号化し(暗号化後のコンテンツを「コンテンツX1」と言うことにする)、HDD6に送出する。
【0021】
ここで暗号化とは、記録再生装置2に固有の第1の鍵14を用いて行い、例え同一の機種であったとしても他の記録再生装置2においては、復号化が不可能であるように変換することである。一方、後述する符号化は、他の記録再生装置2においても復号化が可能である変換を指す。
【0022】
記憶部4は、受信したコンテンツXに付随するコピー制御情報CCやコンテンツ識別情報CIを記憶情報管理部5に送出する。コピー制御情報CCとは、コピー不可、1回のみコピー可、10回コピー可、コピーフリー等のコンテンツのコピー可能回数を示す。例えば有料放送のようにコピー(複製)を防止したいコンテンツではコピー不可又は1回のみコピー可の指定を行い、無料放送のように高度なコピーの防止を施す必要の無いコンテンツでは10回コピー可又はコピーフリーを指定する。コンテンツ識別情報CIとは、コンテンツを識別するためのコンテンツに固有の識別情報であり、コンテンツID等と呼ばれることもある。
【0023】
記憶情報管理部5は情報を記憶・管理する役割を担う。記憶情報管理部5は、第1の鍵14の他、記憶部4から受信したコピー制御情報CCや、コンテンツ識別情報CIを記憶する。
【0024】
記憶情報管理部5は、コンテンツのファイル名(ファイル名FN)と、コンテンツ識別情報CIとを対応付けて記憶・管理する。ファイル名FNは自動付加されるとしてもよいし、ユーザーが定義できるとしても良い。また、記憶情報管理部5は、後述するように、複製の指示がされた場合には光ディスク1の識別情報(ディスク識別情報DI)をコンテンツ識別情報CIに対応させて記憶する。
【0025】
図3は、本発明の実施の形態における記憶情報管理部5における情報管理の概念図の例である。図3に示すように、記憶情報管理部5は、HDD6に記憶されたコンテンツX1のファイル名であるファイル名FNと、コンテンツXの識別情報であるコンテンツ識別情報CIと、光ディスク1の識別情報であるディスク識別情報DIとを夫々対応付けて記憶することで、これらの情報を管理している。
【0026】
具体的には、ファイル名FNが「ドラマ」のものは、コンテンツ識別情報CIが「A」を示した内容のコンテンツであり、このコンテンツ識別情報CIが「A」なるコンテンツは、過去にディスク識別情報DIが「α」なる情報を有した光ディスクに複製(コピー)されている。同様に、ファイル名FNが「スポーツ」のものは、コンテンツ識別情報CIが「B」を示した内容のコンテンツであり、このコンテンツ識別情報CIが「B」なるコンテンツは、過去にディスク識別情報DIが「β」なる光ディスクに複製(コピー)されている。ファイル名FNが「映画」「バラエティ」のものは、コンテンツ識別情報CIが夫々「C」「D」を示した内容のコンテンツである。コンテンツ識別情報CIが「C」「D」なるコンテンツは、双方とも過去にディスク識別情報DIが「γ」なる光ディスクに複製(コピー)されていることを示している。
【0027】
HDD6は、記憶部4により暗号化されたコンテンツX1を受信して記憶する。尚、ユーザーによる記録再生装置2への操作命令として、HDD6上に記憶したコンテンツX1を削除する操作命令を受信した場合は、記録再生装置2内の図示せぬ削除部がHDD6に記憶したコンテンツX1と、記憶情報管理部5に記憶したファイル名FNと、コンテンツ識別情報CIと、ディスク識別情報DI等を削除する。
【0028】
上述した放送受信部3、記憶部4、受信部5、HDD6を用いることで記録再生装置2は、放送局12から受信したコンテンツXを記憶する記憶機能としての役割を果たすこととなる。
【0029】
複製部7は、ユーザーにより記録再生装置2に対して複製の指示がされた場合、HDD6に記憶されている暗号化されたコンテンツX1を読み込む。複製部7は記憶情報管理部5によって記憶されている第1の鍵14を読み込み、暗号化されたコンテンツX1を復号化して、デジタル形式であるコンテンツXに戻した上でODD8に送出する。複製部7は複製を行う回数に応じて、記憶情報管理部5に記憶しているコピー制御情報CCに対してコピー可能回数を算出した上で、記憶情報管理部5のコピー制御情報CCを更新させる。
【0030】
ここで記憶情報管理部5に記憶しているコピー制御情報CCにおいて、コピー可能回数がゼロ回を示す場合は、HDD6に記憶したコンテンツX1と、記憶情報管理部5に記憶したそのファイル名FNと、コンテンツ識別情報CIと、ディスク識別情報DI等を削除する。この動作により、HDD6上に再生させないコンテンツX1を残すことなくムーブが実行され、コンテンツXに付されたコピー制御情報CCが守られる。
【0031】
ODD8は複製先として自装置に光ディスク1が装着されているか否かを判別し、光ディスク1のディスク識別情報DIを記憶情報管理部5に通知する。次にODD8は、複製部7から受信したデジタル形式のコンテンツXを光ディスク1に固有の第2の鍵15を用いて符号化し(符号化後のコンテンツを「コンテンツX2」と言うことにする)、光ディスク1にコンテンツX2を書き込む。ここで符号化とはコンテンツXを光ディスク1に収容できる容量に圧縮することを指す。上述のように、暗号化したコンテンツX1は他の記録再生装置2において再生不可能であるが、符号化したコンテンツX2は他の記録再生装置2においても再生可能である。符号化形式の例としてMPEG(Moving Picture Experts Group)2、MPEG4、AVC/H.264(Advanced Video Coding)等がある。
【0032】
再生判別部9は、光ディスク1に記憶されたコンテンツX2の再生指示がされたか否かを判別する。次に、再生判別部9はODD8で認識した光ディスク1のディスク識別情報DIが記憶情報管理部5に存在するか否かを判別する。次に、再生判別部9は再生指示がされたコンテンツ識別情報CIが記憶情報管理部5に存在するか否かを判別する。また再生判断部9は、光ディスク1のディスク識別情報DI及び再生指示がされたコンテンツ識別情報CIが記憶情報管理部5に存在するか否かの判別結果を、HDD再生部10や光ディスク再生部11へ送出する役割も担う。
【0033】
HDD再生部10は、HDD6に記憶されているコンテンツX1を復号化して、コンテンツXを再生する。
【0034】
光ディスク再生部11は、光ディスク1に記憶されているコンテンツX2を復号化して、復号化したコンテンツ(「コンテンツX3」と言うことにする)を再生する。
【0035】
上述した記憶情報管理部5、HDD6、複製部7、ODD8を用いることで、記録再生装置2は複製機能としての役割を果たす。また、上述した記憶情報管理部5、HDD6、ODD8、再生判別部9、HDD再生部10、光ディスク再生部11を用いることで再生機能としての役割を果たす。
【0036】
図4は、本発明の実施の形態における記録再生装置2における記憶機能と、複製機能とを使用した場合の記憶されるコンテンツの情報内容を示した図である。図4において、図4(a)はHDD6に記憶された抽出元のコンテンツX1の情報内容を示しており、図4(b)は光ディスク1に記憶されたコンテンツX2の情報内容を示している。
【0037】
図4(a)に示すようにHDD6に記憶したコンテンツX1は、映像情報16aと、データ放送情報17と、字幕情報18とから構成され、夫々は記録再生装置2に固有の第1の鍵14を用いて暗号化されている。映像情報16は例えば映画やテレビ番組等の映像データである。データ放送情報17は、例えばコンテンツ内容に関連する情報や、番組と連動した双方向サービス等に関連するデータである。字幕情報18は、音声を言語に変換したデータや、音声を他言語に翻訳したデータである。
【0038】
図4(b)に示すように、光ディスク1に記憶した複製先のコンテンツX2は、光ディスク1に固有の第2の鍵15で符号化された映像情報16bのみで構成される。光ディスク1の内、映画やテレビ番組の複製(コピー)には、DVD(Digital Versatile Disk)が主に利用されている。コピー制御情報CCが付加されたコンテンツの記憶を行う場合はCPRM(Content Protection Recordable Media)と呼ばれる著作権保護技術に対応する必要がある。
【0039】
DVDメディアにおいてはDVD−VR規格のみがCPRMへ対応している。このDVD−VR規格で複製を行うと、データ放送情報17や字幕情報18は複製されず、結果として欠落してしまう。従って、図4(b)に示すように光ディスク1に記憶した複製先のコンテンツX2は、光ディスク1に固有の第2の鍵15で符号化された映像情報16bで構成される。即ち、複製先のコンテンツX2はコンテンツX1から映像情報部分を対象に抽出したものである。従って、各コンテンツを復号化し再生を行う場合、コンテンツX1はデジタル形式のコンテンツXに逆変換可能であるが、コンテンツX2は上記抽出を行っているためコンテンツXとは異なるコンテンツX3に変換することになる。
【0040】
ここで、第2の鍵15で符号化した映像情報16bは、第1の鍵14で暗号化した映像情報16aに比して、符号化されたことで画質と音質が劣化している。従って、HDD6に記憶されている抽出元のコンテンツX1を再生する場合には、データ放送情報17及び字幕情報18付きの映像を再生することができる。このコンテンツX1は、光ディスク1に記憶されたコンテンツX2に比して高品質な映像音声である。
【0041】
またHDD6に記憶された抽出元のコンテンツX1と光ディスク1に記憶されたコンテンツX2とは異なる鍵(第1の鍵14、第2の鍵15)で暗号化、または符号化がされているため、HDD6と光ディスク1の再生を夫々独立に行うことが可能である。
【0042】
記憶情報管理部5に記憶されているコピー制御情報CCがゼロ回を示す場合は、複製部7によりHDD6に記憶されていたコンテンツX1は既に削除されているので、光ディスク1に書き込む動作はムーブにあたる。
【0043】
次に本実施の形態による記録再生装置2の再生動作を説明する。図5は、本発明の実施の形態における記録再生装置2の再生を示したフローチャートである。
【0044】
はじめにODD8が、自装置に光ディスク1が装着されているか否かを判別する(ステップS11)。
【0045】
その結果、ODD8が自装置に光ディスク1が装着されていないと判別した場合には(ステップS11のNo)、ODD8が自装置に光ディスク1が装着されたと判別するまで以後の処理は行わない。
【0046】
ODD8が自装置に光ディスク1が装着されていると判別した場合には(ステップS11のYes)、再生判別部9が光ディスク1に記憶されたコンテンツX2の再生指示がされたか否かを判別する(ステップS12)。
【0047】
その結果、再生判別部9が光ディスク1に記憶されたコンテンツX2の再生指示がされていないと判別した場合には(ステップS12のNo)、再生判別部9が光ディスク1に記憶されたコンテンツX2の再生指示がされたと判別するまで以後の処理は行わない。
【0048】
再生判別部9が光ディスク1に記憶されたコンテンツX2の再生指示がされたと判別した場合には(ステップS12のYes)、再生判別部9は認識した光ディスク1のディスク識別情報DIが記憶情報管理部5に存在するか否かを判別する(ステップS13)。
【0049】
その結果、再生判別部9が記憶情報管理部5に該当するディスク識別情報DIが存在しないと判別した場合(ステップS13のNo)、再生判別部9は、光ディスク再生部11にその旨の通知を送出する(ステップS14a)。光ディスク再生部11は、再生判別部9から該当するディスク識別情報DIが存在しない旨の通知を受け、この通知を受けたことをトリガとして光ディスク1内のコンテンツX2を復号化しコンテンツX3を再生する(ステップS14b)。
【0050】
光ディスク再生部11における再生動作については公知の技術であるので詳述しないが、光ディスク再生部11は光ディスク1に記憶されたコンテンツX2を読み出し、光ディスク1から第2の鍵15を読み込んで、これを用いて復号化し、コンテンツX3を再生する。
【0051】
この再生により、記録再生装置2に接続された表示装置100から指定されたコンテンツX3が出力される。このステップS14bでの再生は、光ディスク1に記憶したコンテンツX2を復号化したコンテンツX3を再生する為、HDD6に記憶されたコンテンツX1に比して、データ放送情報17や字幕情報18が欠落し、画質と音質の劣った映像が再生されることとなる。
【0052】
尚、記憶情報管理部5において該当するディスク識別情報DIが存在しない場合とは、その記録再生装置2において記憶を行っていない場合と、その記録再生装置2において記憶を行った場合の内、コンテンツX1のムーブ後の場合やユーザーによってHDD6からコンテンツX1が削除された場合に当たる。
【0053】
一方、再生判別部9がODD8において認識した光ディスク1のディスク識別情報DIが記憶情報管理部5に存在すると判別した場合(ステップS13のYes)、再生判別部9は再生指示がされたコンテンツ識別情報CIが記憶情報管理部5に存在するか否かを判別する(ステップS15)。
【0054】
その結果、再生判別部9が再生指示されたコンテンツ識別情報CIが記憶情報管理部5に存在しないと判別した場合(ステップS15のNo)、再生判別部9は、光ディスク再生部11にその旨の通知を送出する(ステップS16a)。光ディスク再生部11は、再生判別部9から光ディスク1のディスク識別情報DIが存在しない旨の通知を受けて光ディスク1内のコンテンツを既述したステップS14bでの処理と同様に再生する(ステップS16b)。
【0055】
一方、再生判別部9が再生指示されたコンテンツ識別情報CIが記憶情報管理部5に存在すると判別した場合(ステップS15のYes)、再生判別部9は、HDD再生部10にその旨の通知を送出する(ステップS17a)。HDD再生部10は、再生判別部9から再生指示されたコンテンツ識別情報CIが記憶情報管理部5に存在する旨の通知を受け、この通知を受けたことをトリガとしてHDD6内のコンテンツX1を復号化しコンテンツXを再生する(ステップS17b)。
【0056】
このコンテンツX1の再生により、記録再生装置2に接続された表示装置100から指定されたコンテンツXが出力される。HDD再生部10における再生動作については公知の技術であるので詳述しないが、HDD6に記憶されている再生指示されたコンテンツX1を読み出し、記録情報管理部5に記憶されている第1の鍵14を用いて復号化してコンテンツXに戻し、このコンテンツXを再生表示する。このためデジタル放送に含まれるデータ放送情報17・字幕情報18付き、且つ高品質な映像音声の再生が可能である。
【0057】
尚、再生指示されたコンテンツ識別情報CIを判別することで複数のコンテンツが光ディスク1に記憶されている場合にも、再生指示されたコンテンツがHDD再生部10により再生表示することができる。例えば図3に示したように、ディスク識別情報DIが「γ」である光ディスク1に、コンテンツ識別情報CIが「C」と「D」であるコンテンツが記憶されている場合でも、再生指示されたコンテンツ識別情報CIを判別することで再生指示されたコンテンツがHDD再生部10で再生できる。
【0058】
以上のように、本発明の実施の形態における記録再生装置2を用いることで、光ディスク1に記憶されたコピーコンテンツ(コンテンツX2)に対して再生指示がなされた場合であっても、自装置中に抽出元であるオリジナルコンテンツ(コンテンツX1)が記憶されている場合には、光ディスク1の装着を継続することなくコンテンツX1(デジタル放送に含まれるデータ放送情報17・字幕情報18付き、且つ高品質な映像音声)を視聴することが出来る。
【0059】
尚、本実施の形態では、記録再生装置2とは別に表示装置100を有しているように説明したが、記録再生装置2自身が表示装置100を有していても良い。
【0060】
(本発明の実施の形態の変形例)
以下に、本発明の実施の形態の変形例を説明する。上述した記録再生装置2は、ODD8を内蔵している構成として説明したが、以下に説明する本変形例のように、ODD8を外部装置として、記録再生装置2にUSB(Universal Serial Bus)等を介して接続しても良い。
【0061】
図6は、本発明の実施の形態の変形例における記録再生装置2の再生を示したフローチャートである。図6のフローチャートにおいて、図5と同一のステップは同一の符号で示してある。
【0062】
ODD8を記録再生装置2とは別装置とし、USBを介して接続する構成とした場合、はじめに再生判別部9はUSBにODD8が接続されたか否かを判別する(ステップS10)。
【0063】
その結果、USBにODD8が接続されていないと判別した場合(ステップS10のNo)、USBにODD8が接続されたと判別するまで以後の処理は行わない。
【0064】
一方、USBにODD8が接続されていると判別した場合(ステップS10のYes)、ODD8が、自装置に光ディスク1が装着されたか否かを判別する(ステップS11)。ステップS11以降のステップは既述の本実施の形態と同様である。
【0065】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例においても、光ディスク1に記憶されたコピーコンテンツ(コンテンツX2)に対して再生指示がされた場合であっても、自装置中に抽出元であるオリジナルコンテンツ(コンテンツX1)が記憶されている場合には、光ディスク1の装着を継続することなくコンテンツX1(デジタル放送に含まれるデータ放送情報17・字幕情報18付き、且つ高品質な映像音声)を視聴することが出来る。
【0066】
記憶再生装置2に内蔵される記憶装置は、複製先の別体の記憶装置に比して再生速度が速い構成をとることが望ましい。即ち本発明の実施の形態及び変形例により、記録再生装置2に内蔵された記憶装置によるオリジナルコンテンツの再生を行う場合に、高速の再生動作が可能であり更に使い勝手が良いものとなる。
【0067】
またHDD6の大容量化に伴い、多くのコンテンツの保存が可能になる反面、ユーザーがHDD6上に記憶した全コンテンツを把握することは困難である。本実施の形態及びその変形例によれば、HDD6上でオリジナルコンテンツ(コンテンツX1)を探す手間を取らずに、複製した光ディスク1を挿入するのみで、HDD6上のオリジナルコンテンツ(デジタル放送に含まれるデータ放送情報17・字幕情報18付き、且つ高品質な映像音声)の再生が可能になる。
【0068】
更に光ディスク1を装着しHDD6上のオリジナルコンテンツの再生が開始すれば、光ディスク1を取り外すことができる。従って、光ディスク1を他の記録再生装置においてもコピーコンテンツ(コンテンツX2)の再生が可能であり、利便性が高い。
【0069】
上述の説明において、コンテンツXは放送局12から送出されるものとしたが、コンテンツXの供給源として動画配信を行うウェブサーバー等でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施の形態における記録再生装置の概念図。
【図2】本発明の実施の形態における記録再生装置の機能ブロックを示した図。
【図3】本発明の実施の形態における記憶情報管理部における情報管理の概念図の例。
【図4】本発明の実施の形態における記録再生装置における記憶機能と、複製機能とを使用した場合の記憶されるコンテンツの情報内容を示した図。
【図5】本発明の実施の形態における記録再生装置の再生を示したフローチャート。
【図6】本発明の実施の形態の変形例における記録再生装置の再生を示したフローチャート。
【符号の説明】
【0071】
1 光ディスク
2 記録再生装置
3 放送受信部
4 記憶部
5 記憶情報管理部
6 HDD
7 複製部
8 ODD
9 再生判別部
10 HDD再生部
11 光ディスク再生部
12 放送局
13 アンテナ
14 第1の鍵
15 第2の鍵
16a 第1の鍵で暗号化された映像情報
16b 第2の鍵で符号化された映像情報
17 第1の鍵で暗号化されたデータ放送情報
18 第1の鍵で暗号化された字幕情報
100 表示装置
X オリジナルコンテンツ
X1 第1の鍵で暗号化されたコンテンツ
X2 第2の鍵で符号化されたコンテンツ
X3 X2を復号化したコンテンツ
CC コピー制御情報
CI コンテンツ識別情報
DI ディスク識別情報
FN ファイル名

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル形式の第1のコンテンツを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記第1のコンテンツを自装置に固有の第1の鍵を用いて前記自装置に記憶する第1の記憶手段と、
前記第1の記憶手段により記憶した前記第1のコンテンツから所定の種類の情報を抽出した第2のコンテンツを、前記自装置とは別体の記憶媒体に、この記憶媒体に固有の第2の鍵を用いて前記記憶媒体に記憶する複製手段と、
前記複製手段により前記第2のコンテンツを前記記録媒体に記憶する場合に、前記第1のコンテンツの識別情報と前記記憶媒体の識別情報とを対応付けて前記自装置に記憶する第2の記憶手段と、
前記2のコンテンツについて再生指示がされた場合、前記第2の記憶手段により記憶された前記第1のコンテンツの識別情報と前記記憶媒体の識別情報とを用いて、前記再生指示がされた第2のコンテンツの抽出元となった前記第1のコンテンツが前記自装置に記憶されているか否かを判別し、前記第1のコンテンツが前記自装置に記憶されていると判別した場合には、前記自装置の前記第1の鍵を用いて前記自装置に記憶された前記第1のコンテンツを再生する再生手段と
を具備することを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
前記複製手段はDVD−VR(Digital Versatile Disk Video Recording)規格に準拠して記憶を行うことを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項3】
前記自装置中で記憶を行う装置はハードディスクであり、前記記憶媒体は光ディスクであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の記録再生装置。
【請求項4】
受信したデジタル形式の第1のコンテンツを自装置に固有の第1の鍵を用いて前記自装置に記憶させ、
複製指示がされた場合に、前記第1のコンテンツの識別情報と、前記自装置とは別体である複製先の記憶媒体の識別情報を対応付けて前記自装置に記憶させ、且つ前記第1のコンテンツから所定の情報が抽出された第2のコンテンツを前記記憶媒体に固有の第2の鍵を用いて前記記憶媒体に記憶させ、
前記第2のコンテンツについて再生指示がされた場合に、前記自装置に記憶された前記第1のコンテンツの識別情報と前記記憶媒体の識別情報とを用いて、前記再生指示がされた前記第2のコンテンツの抽出元となった前記第1のコンテンツが前記自装置に記憶されているか否かを判別させ、前記第1のコンテンツが前記自装置に記憶されていると判別された場合には、前記自装置の前記第1の鍵を用いて前記自装置に記憶された前記第1のコンテンツを再生させること
を特徴とする記録再生装置の制御方法。
【請求項5】
前記記憶媒体に記憶させる場合はDVD−VR規格に準拠して記憶させることを特徴とする請求項4に記載の記録再生装置の制御方法。
【請求項6】
前記自装置中で記憶を行う装置はハードディスクであり、前記記憶媒体は光ディスクであることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の記録再生装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−67321(P2010−67321A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233939(P2008−233939)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】