説明

記録再生装置

【課題】記録再生装置における再生開始までの時間を短くする。
【解決手段】低消費電力状態から、記録された映像データを読み出すことが可能な状態に遷移するまでの時間が短い第1の記録媒体(フラッシュメモリ)103と、その時間が第1の記録媒体よりも長い第2の記録媒体(HDD又はDVDドライブ)101,102とを備える。第2の記録媒体101,102に記録されている映像コンテンツを再生する場合に、当該第2の記録媒体101,102が読み出し可能な状態にない場合には、部分データを記録した第1の記録媒体103を読み出し可能な状態に遷移させて、該当コンテンツの冒頭部分を再生することにより、再生までに要する第2の記録媒体101,102の起動時間を隠蔽し、即座にユーザの再生要求に応える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データのアクセスが可能になるまでの起動時間が異なる2つ以上の記録媒体を有する記録再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある従来技術によれば、ハードディスクドライブ(HDD)と光ディスクドライブとの組み合わせが映像コンテンツの記録に供される。具体的には、コンテンツデータの全体を光ディスクに、その先頭部分を含むファイル情報をHDDにそれぞれ記録しておき、再生要求があった場合、まずHDD内のデータを用いて再生を開始し、残りの部分のデータを光ディスクから読み出してHDDに転送して記録しながら、当該HDD内のデータを順に再生する。つまり、光ディスクドライブを低速デバイスに、HDDを高速デバイスにそれぞれ位置付けてアクセスを高速化するキャッシュ技術が採用され、キャッシュミスがあれば、低速デバイスから高速デバイスへのデータ転送動作が入り、直接のアクセスは高速デバイスが主体となる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−14110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、近年のハードディスク等の記録媒体の大容量化に伴い、電源投入からデータの読出しが可能になるまでの記録媒体の起動時間が長くなり、再生開始までに要する時間が大きくなる問題が顕著化してきた。
【0004】
また、大容量記録媒体は消費電力が大きく、これらの記録媒体にアクセスが発生しない場合には、消費電力を抑えることができるローパワーモードにすることが望ましい。しかし、従来の構成では、ローパワーモードにすると、データの読み出しが可能な通常の状態までに遷移する時間が必要となり、低消費電力とアクセスの快適さが両立できない。
【0005】
本発明は上記従来の問題点を解決するものであり、上記の再生開始までに要する時間を短くするという課題を解決することのできるシステム構成を有する記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記のような目的を達成するため、本発明による記録再生装置は、低消費電力状態から、記録された映像データを読み出すことが可能な状態に遷移するまでの時間が短い第1の記録媒体と、その時間が前記第1の記録媒体よりも長い第2の記録媒体と、前記第1及び第2の記録媒体を制御して、記録されている映像コンテンツを再生する再生制御手段とを具備し、まず読み出し可能状態への遷移が速い第1の記録媒体より映像コンテンツを再生し、次に第2の記録媒体が読み出し可能状態へ遷移した後は、第2の記録媒体より続きのコンテンツを再生する。
【0007】
本構成により、大容量であるが低消費電力状態からアクセス可能状態までの遷移が遅いような記録媒体の欠点を補い、再生要求が起こってから再生が開始されるまでの時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、再生の開始までに要する時間を短縮でき、以て高速な再生起動が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の記録再生装置における一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態における記録再生装置の構成を模式的に表したものである。101はHDD、102はDVDドライブ、103はフラッシュメモリ、104は記録媒体と画像処理LSIとのインターフェースを制御するインターフェース制御部、105はエンコーダ、106はエンコーダ105がエンコード処理に使用するエンコーダ用SDRAM、107はデコーダ、108はデコーダ107がデコード処理に使用するデコーダ用SDRAM、109は記録フォーマットを変換する記録フォーマット変換部、110は画像処理LSIである。
【0011】
本記録再生装置は、エンコーダ105を通して画像データを符号化し、HDD101、フラッシュメモリ103、DVDドライブ102に書き込む。また、再生時にはHDD101、フラッシュメモリ103、DVDドライブ102から、記録されたコンテンツをデコードし動作する。
【0012】
記録再生装置の記録媒体となる、HDD101、DVDドライブ102、フラッシュメモリ103には、コンテンツが記録再生される。インターフェース制御部104は、画像処理LSI110に供給するコンテンツを、これらの記録媒体の中から選択し、コンテンツを転送する。エンコーダ105は入力画像をエンコード処理する。デコーダ107は再生コンテンツをデコードする。記録フォーマット変換部109は、記録容量削減のために、本記録再生装置におけるフラッシュメモリ103からの再生に不要な情報を削除する。
【0013】
ここで、HDD101やDVDドライブ102は、一般的に消費電力が多く、使用しない場合はできればローパワーモードにすることが望ましい。ただし、これらの記録媒体は、一旦ローパワーモードにすると、利用可能になるまでには時間が大きい。
【0014】
なお、HDD101、DVDドライブ102は上記のようなデバイスの例として挙げており、これらのデバイスに代えて、例えばネットワークストレージなどのような応答に時間がかかる場合があるものでも発明の本質を損なわない。
【0015】
HDD101の具体例として、1.8インチHDD(120GB容量)の場合には消費電力約1W、起動時間最大2秒程度であり、2.5インチHDD(250GB容量)の場合には消費電力約1.4〜2.5W、起動時間最大3秒程度である。また、3.5インチHDD(1TB容量)の場合には、消費電力約10W前後、起動時間最大13秒程度である。
【0016】
反対にフラッシュメモリ103は、ローパワーモードから電源ONにした場合に、アクセス可能になるまでの時間がきわめて短い。ここでもフラッシュメモリ103を上記のようなデバイスの例として挙げているが、SSD(Solid State Drive)などの記録媒体がアクセス可能になるまでの時間が短い記録媒体であればかまわない。
【0017】
本発明は、このような応答の速い記録デバイスと、応答の遅い記録デバイスとの特徴を組み合わせて効果を発揮させるものである。更に注意すべきは、応答の遅いということは、アクセス速度が遅いこととは違う意味であることを理解しておくべきである。
【0018】
フラッシュメモリ103とHDD101とを比べると、HDD101のほうがデータ転送速度も速く、容量も大きい。このような複数のメモリ利用では、アクセス速度が速いメモリを使ってスピードを高速化するキャッシュ技術がよく知られているが、本発明はアクセス速度が速いメモリを必ずしも使うものではなく、記録媒体の起動時間に注目していることを注意しておく。また、2種類の記録デバイスのうち、1種類はある限られた状況のみ使用される。
【0019】
通常のキャッシュ技術ではキャッシュミスがあれば、高速デバイスへの転送動作が入り、直接のアクセスは高速デバイスが主体となる。しかし本発明の技術は、データがないときは、他のデバイスから入手するだけであり、通常動作中の転送は行なう必要がない。
【0020】
本実施形態の記録再生装置が従来と大きく異なるのは、フラッシュメモリ103の搭載である。このフラッシュメモリ103の起動時間は、HDD101に比較して圧倒的に短い。
【0021】
HDD101やDVDドライブ102が利用可能な状態になっている場合、フラッシュメモリ103は使わずHDD101やDVDドライブ102から再生を行う。このようなHDD101が起動してからの動作は、従来と特に差がないため、省略し、HDD101がローパワー状態から、再生開始、再生から停止といった状況について説明する。つまり、本発明の特徴は、HDD101やDVDドライブ102が読み出し可能な状態にない場合の動作であるため、このときの動作について以下に詳細に説明する。
【0022】
読み出し可能でない状況というのは、具体的に言えば電源をONした直後や、ローパワーモードになっているような状況である。このような状況で再生操作を行っても、HDD101が立ち上がるまでは何もできなかったのが従来のHDDレコーダであった。本発明のHDDレコーダは、このような問題を解決するため、以下の手順で動作する。
【0023】
以下、図2のフローチャートを参照して、詳細動作について説明する。まず、HDD101が起動されているかどうかを調べ、起動されていれば従来のHDDレコーダと同様に振舞う(S201)。
【0024】
次に、フラッシュメモリ103を立ち上げる。これは前述したように一瞬である(S202)。そして、フラッシュメモリ103から初期メニュー表示データを取得しユーザに提供する(S203)。ここで表示されるメニューは、フラッシュメモリ103に記録されたデータから構成できるメニューを主として表示したほうが望ましい。例えば、見る頻度が高いデータであったり、つい最近記録したデータであったり、直前まで見ていたデータであったりすればよい。これらはフラッシュメモリ103に記録されている可能性が高い。フラッシュメモリ103にどのようにしてデータを書き込むかについては後述する。また、コンテンツデータがフラッシュメモリ103に全く存在しない場合には、別画面として用意しユーザがすぐには選択できないようにしておいてもよい。なお、メニュー自身も全てフラッシュメモリ103に書いておく必要はなく、頻度が低いと思われるメニューに関しては、HDD101から読み込んでもよい。いずれにしても、最初に表示するメニューは、ユーザからの要求が起こった直後にフラッシュメモリ103から表示可能になるため、非常に高速に表示できる。
【0025】
次に、選択されたコンテンツがフラッシュメモリ103から再生できる時間情報と、そのコンテンツの続きのデータが入っているメディアが残りどのくらいでリード可能になるかを調べる(S204)。このため、フラッシュメモリ103上のコンテンツには、コンテンツとそのコンテンツをフラッシュメモリ103から再生できる時間情報とが対応付けられて記録されていることが望ましい。また、HDD101があとどれくらいで起動完了するかのタイマーがHDD101自身にあれば便利であるが、なくてもワースト時間で推測してもよい。図1のHDD101には起動残り時間を示すタイマーが装備されている。
【0026】
ステップS204の計算結果より、フラッシュメモリ103からのコンテンツ再生が終了した後、その続きのコンテンツをHDD101よりシームレスに再生できるかどうかを調べる(S205)。もしシームレスな再生ができないと判断した場合は、特定時間だけ待つ(S206)。これを繰り返し、フラッシュメモリ103とHDD101からのコンテンツの再生がシームレスに行えるようになるポイントまで待つ。通常は、HDD101の起動に要する時間分のコンテンツデータをフラッシュメモリ103に格納しておくため、ここで大きな待ち時間が発生することはない。なお、ステップS204〜S206の本質は、シームレスなメディア切り替えの再生が実現できる一例であり、必ずしもこの例に限定されるものではない。
【0027】
次に、フラッシュメモリ103内のコンテンツデータをデコーダ107に供給し、再生を行う(S207)。
【0028】
そして、フラッシュメモリ103内のコンテンツデータの再生が終了する(S208)と、ステップS204で求めた切り替え情報を元に、フラッシュメモリ103より再生したコンテンツデータの続きのデータを、HDD101からデコーダ107に供給し、再生する(S209)。ステップS205〜S206により、フラッシュメモリ103からのコンテンツ供給が終わったときには、HDD101からの読み出しが可能になっていることが高い確率で保証される。
【0029】
以上のフローで明らかなとおり、フラッシュメモリ103内のコンテンツは動画を全て記録しておく必要はなく、そのコンテンツ本体が入っているメディアが読み出し可能になるワースト時間だけ持っていれば十分である。したがって、フラッシュメモリ103中のコンテンツのデータ量は、それほど多くなくても十分である。
【0030】
また、ユーザがHDD101の起動を待たなくてもすぐに所望のコンテンツを選択できるように、フラッシュメモリ103に入れるべきコンテンツは、各コンテンツの先頭部分であればよい。
【0031】
ここで、HDD101の起動時間が最大13秒であり、アナログ放送(SD)を記録する場合の記録ビットレートが6Mbpsであり、地上デジタル放送(HD)を記録する場合の記録ビットレートが25Mbpsであるものとして、本発明の定量的な効果を見積もると、次のようになる。
【0032】
まず、アナログ放送を1時間記録した場合の記録容量は、6Mbps×3600秒=21.6Gb(ギガビット)となる。一方、地上デジタル放送を1時間記録した場合の記録容量は、25Mbps×3600秒=90.0Gbとなる。したがって、フラッシュメモリ103の容量が100Gbであると仮定しても、コンテンツ全体をフラッシュメモリ103に記録した場合、アナログ放送で5コンテンツ、地上デジタル放送に至っては1コンテンツしか記録できない。
【0033】
一方、本実施形態のようにHDD101が起動するまでの各コンテンツの先頭部分のみをフラッシュメモリ103に格納した場合は、アナログ放送の場合6Mbps×13秒=78Mb、地上デジタル放送でも25Mbps×13秒=325Mbで収まる。したがって、記録再生装置に格納されるコンテンツ数を十分実用的な50コンテンツであるとすると、全コンテンツをHDで録画した場合でも、フラッシュメモリ103の容量は325Mb×50=16.25Gbだけあればよい。つまり、従来の記録再生装置にフラッシュメモリ103を追加することによるシステムコストの増加も、必要最小限に抑えることが可能である。
【0034】
図3は、上記再生のステップにおける、記録媒体の切り替わりを示したものである。コンテンツの再生は、まず装置の起動時間がほとんど必要ないフラッシュメモリ103から行われる(301)。フラッシュメモリ103からのコンテンツ再生が終了すると、コンテンツ本体が入っているHDD101又はDVDドライブ102からの再生へ切り替わり、続きのデータが再生される(302、303)。見る頻度が低いコンテンツなどの、フラッシュメモリ103にコンテンツデータがない場合は、従来のHDDレコーダと同様に常にHDD101からの再生(302)へ固定、又はDVDドライブ102からの再生(303)へ固定となる。
【0035】
図4は、本実施形態におけるコンテンツ再生時の、各記録媒体へのコンテンツの格納状況を模式的に示したものである。401はHDD101に記録されているコンテンツデータを模式的に示したもの、402はフラッシュメモリ103に記録されているコンテンツデータを模式的に示したもの、403は再生コンテンツがデコードされるバッファリングの様子を時系列で示したものである。
【0036】
図4に示された矩形及び矩形内の数字は、コンテンツを構成する単位であるとする。ここで、HDD格納コンテンツ401の「1」とフラッシュメモリ格納コンテンツ402の「1’」は等価なストリームである。同様に「2」と「2’」、「3」と「3’」、・・・「26」と「26’」も等価なストリームである。デコードデータ403は、全て同時に格納されているのではなく、時間の経過に沿って、格納されているデータは変化する。
【0037】
コンテンツの再生要求が起こると、前述したようにフラッシュメモリ103に格納されているコンテンツの先頭部分402が、「1’」、「2’」、「3’」・・・「25’」、「26’」と順次フラッシュメモリ103よりデコーダ107に供給され、デコードデータ403の「1’」、「2’」、「3’」・・・「25’」、「26’」となる。
【0038】
また、フラッシュメモリ103からコンテンツの再生を行っている間は、HDD101はアクセス可能状態にないため、HDD101からのストリーム再生は行えない。
【0039】
フラッシュメモリ103からのコンテンツの先頭部分の再生が終了するときにはHDD101の起動が完了しており、続きのデータとなるHDD格納コンテンツ401の「27」がデコーダ107へ供給され、デコードデータ403の「27」となる。以降、「28」、「29」、「30」・・・とHDD101に格納されているコンテンツから、再生が行われる。
【0040】
次に、スリープ状態から再生動作に入る場合について説明する。ここでは、以下のような状況を想定している。すなわち、HDD101からコンテンツを再生している途中で、再生を停止する。すると当該記録再生装置は、チューナーからの映像を出力するようになる。このとき、HDD101からのコンテンツの読み出しは停止することになり、消費電力の観点から、できればHDD101をローパワーモードにすることが望ましい。ここから再び再生ボタンを押したとすると、その直前まで見ていたコンテンツの続きから再生が開始されるのが望ましい。
【0041】
図5は、そのときのHDD101をローパワーモードへ遷移させる際のフローチャートである。図5によれば、停止ボタンを押したとき、映像の切り替えが起こる(S501)。このとき、デコーダ107が停止した時刻から、再生を再開したときに必要となるコンテンツデータを特定し、フラッシュメモリ103にコピーすべき再生データ量を取得する(S502)。コピーすべきデータ容量は、HDD101がローパワーモードから電源ONされ、通常モードへ遷移するまでに要する時間分のデータ量である。
【0042】
次に、ステップS502で指定されたコンテンツデータを、HDD101からフラッシュメモリ103へコピーする(S503)。このときコピーされたコンテンツデータを、デフォルト再生データとする。次に、コピーしたデータの続きのデータ位置の情報をフラッシュメモリ103に記録する(S504)。最後に、HDD101をローパワーモードにする(S505)。
【0043】
図6は、HDD101がローパワーモードへ遷移した後、再び再生ボタンを押したときの動作を示す。再生ボタンを押すと、フラッシュメモリ103より図5のステップS504で設定されたデフォルト再生データの再生を開始し、同時にHDD101の起動を行う(S601)。なお、ここでも図2にてステップS204〜S207に示した、フラッシュメモリ103とHDD101とのシームレス切り替えを行うための動作を行う。そして、フラッシュメモリ103からのコンテンツデータ再生が終了すると(S602)、この続きのデータ位置を読み込み、デコーダ107に対してその続きのデータを供給する(S603)。
【0044】
このように、メディアのアクセスが遅くなるような処理(ローパワーモードへの遷移)に入る前に、再開後そのメディアが最初に読み出すべきコンテンツデータ部分を、起動が速いメモリ(本実施形態ではフラッシュメモリ103)に読み込んでおくわけである。
【0045】
そうすることで、コンテンツ再生を再開した場合でも、メディアの起動時間を待つ必要がなく、ユーザが快適に操作できる。また、消費電力の大きいメディアをローパワーモードに遷移させることで消費電力を抑えることも可能である。
【0046】
最後に、チューナからの受信映像などを記録する場合について説明する。まず注目すべきは、記録された各コンテンツは、その記録開始地点をアクセスすることが多いということである。これは、ユーザが再生要求を出したときに最初に表示されるメニューに、各コンテンツの初めの映像が出ることが望ましいからである。よって、すでに説明したように記録開始地点から一定時間以上のコンテンツの一部を、HDD101と共にフラッシュメモリ103に格納しておけば、次回からの再生要求があったときに望ましいメニュー表示となる。また、ユーザがコンテンツを編集した際に追加したチャプター情報などの編集点も、フラッシュメモリ103に記録しておくにふさわしいであろう。
【0047】
その他、シーンのサーチを考慮して、MPEGのIピクチャのみをフラッシュメモリ103に書き込んでいってもよい。ユーザのコンテンツサーチに役立つこのような映像をフラッシュメモリ103に記録しておけば、ユーザがシーンサーチをしている間にHDD101の起動を完了させることができるので、HDD101の起動待ちといったようなことが実質殆ど起きないようにすることができる。
【0048】
以上、様々な例を挙げたが、起動直後にアクセス頻度が高いと思われるストリーム部分がフラッシュメモリ103に記録されるようにしておけば、非常に効果的であることがわかる。フラッシュメモリ103には、HDD101に記録されている全コンテンツに関して、各コンテンツの一部のみが記録されていることが望ましい。フラッシュメモリ103の容量が限られている場合は、記録された日時が新しいコンテンツや、アクセス頻度が高いコンテンツに関してフラッシュメモリ103に記録しておいてもよい。
【0049】
また、記録しておくべき内容を圧縮することで、各コンテンツの容量を小さくしてもよい。フラッシュメモリ103には、説明してきたように、コンテンツの先頭部分、再生中の停止直後のコンテンツ、コンテンツサーチ用のデータなどを入れるわけであるが、このときのコンテンツデータは、必ずしもHDD101などに記録されている記録フォーマットと同じである必要はない。特にDVDに書き込む場合などは規格の制限によりナビゲーション用にランダムアクセスするためのデータが定期的に書き込まれる。しかし、フラッシュメモリ103においては、比較的時間が短いため規格に合致するようなデータは必ずしも必要としない。そのため不必要なデータを削除した状態でフラッシュメモリ103に転送できる。また、コンテンツデータ自体を独自のフォーマットで再圧縮してもよいし、異なるフォーマットで圧縮しなおしてもよい。
【0050】
なお、これらコンテンツをHDD101とフラッシュメモリ103の2つの記録媒体に記録するわけであるが、セキュリティなどの関係からすればフラッシュメモリ103に記録する場合、暗号化しておくことが望ましい。
【0051】
ここまで主としてHDD101を用いて本実施形態の特徴及び動作を説明してきたが、DVDドライブ102でも同様に考えることができる。
【0052】
以上のように本実施形態によれば、データのアクセスが可能になるまでの起動時間が異なる2つ以上の記録媒体を有し、一方をデータのアクセスが可能になるまでの時間が大きいが、記録可能な容量が大きいHDD101とし、他方にデータのアクセスが可能になるまでの装置の起動時間が小さいが、記録容量も小さいフラッシュメモリ103を使用し、常に起動時間の短いフラッシュメモリ103からコンテンツの再生を開始することで、再生開始までに要する時間を短くすることができる。
【0053】
また、従来のHDDレコーダでは、HDD101をローパワーモードへ遷移させた場合、次回の再生時にHDD101の起動を待たなければならなかった。一方、本実施形態ではHDD101がローパワーモードになっていても、フラッシュメモリ103より即座にユーザの再生要求に応じることができる。そのため、アクセスが発生しない時には、消費電力の大きいHDD101をローパワーモードに落とすことで、消費電力を削減でき、更に次回再生時にもHDD101の起動を待つ必要がない。
【0054】
特に本実施形態は、HDD101へのアクセスが可能になるまでに要する時間分のデータのみフラッシュメモリ103に記録することを特徴とする。このような形態をとることで、フラッシュメモリ103に複数のコンテンツを効率的に格納でき、フラッシュメモリ103の追加によるシステムコストも低く抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上説明してきたとおり、本発明による記録再生装置は、データのアクセスが可能になるまでの起動時間が異なる2つ以上の記録媒体を有し、再生時にそれらの記録媒体を切り替えて再生することにより、再生までに要する時間を短くすることが可能となり、記録再生装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る記録再生装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の記録再生装置の再生動作を示すフローチャート図である。
【図3】図1の記録再生装置の記録媒体切り替え動作を示す概念図である。
【図4】図1の記録再生装置の再生シーケンスを示すタイムチャート図である。
【図5】図1の記録再生装置の再生停止動作を示すフローチャート図である。
【図6】図1の記録再生装置の再生再開動作を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0057】
101 HDD
102 DVDドライブ
103 フラッシュメモリ
104 インターフェース制御部
105 エンコーダ
106 エンコーダ用SDRAM
107 デコーダ
108 デコーダ用SDRAM
109 記録フォーマット変換部
110 画像処理LSI
301 フラッシュメモリへの切り替えスイッチ
302 HDDへの切り替えスイッチ
303 DVDドライブへの切り替えスイッチ
401 HDD格納コンテンツ
402 フラッシュメモリ格納コンテンツ
403 デコードデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低消費電力状態から、記録された映像データを読み出すことが可能な状態に遷移するまでの時間が短い第1の記録媒体と、その時間が前記第1の記録媒体よりも長い第2の記録媒体と、前記第1及び第2の記録媒体を制御して、記録されている映像コンテンツを再生する再生制御手段とを具備した記録再生装置であって、
前記再生制御手段は、前記第2の記録媒体に記録されている映像コンテンツを再生する場合に、前記第2の記録媒体が読み出し可能な状態にない場合には、前記第1の記録媒体を読み出し可能な状態に遷移させて、該当コンテンツを再生することを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
前記再生制御手段は、前記第2の記録媒体に記録されている映像コンテンツを再生する場合に、前記第2の記録媒体が、低消費電力状態から、記録された映像データを読み出すことが可能な状態に遷移するまでの間、前記第1の記録媒体から映像コンテンツを再生し、前記第2の記録媒体が読み出し可能状態に遷移した後は、前記第1の記録媒体から再生した映像コンテンツの続きのデータを前記第2の記録媒体から再生することを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項3】
前記第1の記録媒体に記録されたコンテンツと、前記第1の記録媒体より再生できるそのコンテンツの再生時間情報とを対応付けて前記第1の記録媒体に記録し、前記コンテンツの再生時間情報と、前記第2の記録媒体が低消費電力状態から記録された映像データを読み出すことが可能な状態に遷移するまでの時間情報とを元に、前記第1及び第2の記録媒体からの再生の切り替えをシームレスに行うことを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項4】
前記第2の記録媒体が低消費電力状態から記録された映像データを読み出すことが可能な状態に遷移するまでの時間情報を得るために、前記第2の記録媒体内に遷移の状態の経過を示すタイマーを更に具備することを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項5】
前記第2の記録媒体より映像コンテンツを再生中に、前記第2の記録媒体を読み出し可能状態から、低消費電力状態へ遷移させスリープ状態へ移行する場合、前記第2の記録媒体からの再生が停止した直後のコンテンツデータ、又は停止した前後のコンテンツデータを前記第1の記録媒体へコピーし、
前記第2の記録媒体からの再生再開の要求が起こった場合、前記第2の記録媒体が読み出し可能な状態に遷移するまでの間、前記第1の記録媒体を読み出し可能な状態に遷移させて、前記第1の記録媒体へコピーされたコンテンツデータを再生し、前記第2の記録媒体が読み出し可能状態に遷移した後は、前記第1の記録媒体から再生した映像コンテンツの続きのデータを前記第2の記録媒体から再生することを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項6】
前記第2の記録媒体に記録されている映像コンテンツから、前記第1の記録媒体を用いた映像コンテンツの再生に不要な情報を削除する記録フォーマット変換部を更に具備し、
前記フォーマット変換された映像コンテンツを前記第1の記録媒体に記録し、前記記録された映像コンテンツを前記第1の記録媒体より再生することを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項7】
前記第1の記録媒体は、不揮発性半導体メモリであることを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項8】
前記第2の記録媒体は、磁気ディスクメディア、光ディスクメディアのいずれか、又はその組合せであることを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−110612(P2009−110612A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283154(P2007−283154)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】