説明

記録制御装置、記録制御方法、及び、プログラム

【課題】記録装置において記録媒体を節約する機能に関し、設定変更を行う際の手間を軽減して、操作性の向上を図る。
【解決手段】プリンタ3を制御して、印刷対象文書をロール紙100に印刷させるホストコンピュータ1は、印刷対象文書の印刷方向を指定する情報と、印刷対象文書中の余白を除いて印刷する余白節約機能に関する情報とが入力されると、入力された情報に基づいて、印刷対象文書の印刷方向と、余白節約機能に関する設定を行い、この設定に従って、印刷装置によって印刷対象文書を印刷させる一方、印刷対象文書の印刷方向と余白節約機能とに関する設定がされた状態で、新たに印刷対象文書の印刷方向を示す情報が入力された場合に、余白節約機能に関する設定を変更する必要があるか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を記録する記録装置を制御する記録制御装置、記録制御方法、及び、これらを実現するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録用紙(記録媒体)を節約するため、記録対象文書に含まれる空白部分を削除して記録用紙に記録する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された装置は、記録媒体の幅方向に延びる1ラインが全て空白となっている空白ラインが所定の本数以上連続している場合に、これらを削除して残りの部分を記録する。
【特許文献1】特開平06−038001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、記録装置においては、上記の空白の削除に加えて様々な記録動作に関する設定を行うことが可能であり、例えば、記録方向(記録媒体の向きと記録対象文書の向きとの関係)を任意に設定できる。しかしながら、記録方向を変更すると、これに伴って、記録対象文書における上記の空白の向きや位置も当然に変化するので、削除すべき空白に関する設定をやり直す必要があった。
つまり、記録媒体を節約するために空白を除く機能は、他の機能に関する設定内容の影響を受けるので、他の機能に関する設定の変更に伴って、空白を除く機能に関する設定との整合性を確認する必要があった。このため、一つの設定を変更する毎に他の設定を確認する作業が必要になるため、設定変更の手順が煩雑なものとなっていた。
そこで、本発明は、記録装置において記録媒体を節約する機能に関し、設定変更を行う際の手間を軽減し、操作性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明は、記録媒体に画像を記録する記録装置を制御して、記録対象文書を前記記録媒体に記録させる記録制御装置において、前記記録対象文書の記録方向を指定する情報と、記録対象文書中の余白を除いて記録する余白除去機能に関する情報とを入力する入力手段と、前記入力手段により入力された情報に基づいて、前記記録対象文書の記録方向と、前記余白除去機能とに関する設定を行う設定手段と、前記設定手段による設定に従って、前記記録装置によって前記記録対象文書を記録させる記録制御手段と、前記設定手段により前記記録対象文書の記録方向と前記余白除去機能とに関する設定がされた状態で、前記入力手段によって新たに前記記録対象文書の記録方向を示す情報が入力された場合に、前記余白除去機能に関する設定を変更する必要があるか否かを判定する判定手段と、を備えることを特徴とする記録制御装置を提供する。
この構成によれば、記録対象文書の記録方向を指定する情報と、余白除去機能に関する情報とが入力され、これらの情報に基づいて記録方向と余白除去機能とに関する設定がされた状態で、入力手段によって新たに記録対象文書の記録方向を示す情報が入力された場合に、余白除去機能に関する設定を変更する必要があるか否かが判定される。つまり、記録方向の設定を変更する操作が行われた場合に、その影響を受ける余白除去機能について設定を変更するべきか否かが自動的に判定される。これにより、記録方向の設定を変更する際に、合わせて余白除去機能の設定との整合性を確認する手間を省くことができ、作業負担を軽減するとともに、操作性の向上を図ることができる。また、記録方向の設定を変更する際の確認を忘れてしまっても、誤った設定のまま記録を行ってしまうことがないので、設定を行うオペレータの負担感を軽減することもできる。
【0005】
上記構成において、前記設定手段は、前記判定手段によって前記余白除去機能に関する設定を変更する必要があると判定された場合に、前記入力手段によって新たに入力された情報に基づいて、自動的に前記余白除去機能に関する設定を変更するものとしてもよい。
この場合、新たに記録対象文書の記録方向を示す情報が入力された場合に、余白除去機能に関する設定を変更する必要があれば、その設定が自動的に変更されるので、記録方向の設定を変更する際に余白除去機能の設定との整合性を確認し、設定を変更する手間を省くことができ、作業負担を大幅に軽減し、操作性の向上を図ることができる。さらに、記録方向の設定を変更する際の確認を忘れてしまっても設定が適切に変更されるので、設定を行うオペレータの負担感を大幅に軽減できる。
【0006】
上記構成において、前記設定手段は、前記入力手段により入力された情報に基づいて、前記余白除去機能に関する情報として、前記記録対象文書のページ内の上部に位置する余白及び下部に位置する余白の各々について、記録時に除去するか否かを設定するものとしてもよい。
この場合、記録対象文書のページ内の上部に位置する余白及び下部に位置する余白の各々について記録時に除去するか否かを設定可能なため、記録対象文書の上下方向と記録媒体の搬送方向とが一致する場合には、特に効果的に記録媒体を節約できる。そして、記録方向を変更する入力がなされた場合には、ページ内の上下に位置する余白の除去に関する設定が変更されるので、仮に設定変更に伴う確認を怠っても、誤った設定により除去すべきでない側の余白が除去される等の記録ミスを防止できる。これにより、記録媒体を効果的に節約することが可能になる上、設定変更時の確認や再設定の手間を省くことができ、より一層の操作性の向上を図ることができる。また、誤った設定による記録ミスを防止できるという利点がある。
【0007】
また、上記構成において、前記入力手段により情報が入力される際に、前記記録対象文書のページ内の上部に位置する余白及び下部に位置する余白の各々を記録時に除去するか否かの組み合わせに対応する選択候補を、表示画面上に選択可能に一覧表示させるとともに、前記設定手段によって、前記判定手段による判定に基づいて自動的に設定を変更する際に、設定変更の通知を前記表示画面上に表示させる表示制御手段を備えるものとしてもよい。
この場合、入力時に、ページ内の上下に位置する余白を除去するか否かの組み合わせに対応する選択候補が選択可能な状態で表示画面上に一覧表示されるので、これら一覧表示された選択候補を選択する操作により、簡単に、入力を行うことができる。さらに、判定手段による判定に基づいて自動的に設定を変更する際に、設定変更の通知が表示画面上に表示されるので、オペレータは、自動的に設定が変更されたことを速やかに知ることができる。従って、表示画面における表示を利用して、簡単な入力操作でミスなく入力を行えるようにし、さらに自動的に設定が変更された場合に速やかに通知を行うことで、操作性の大幅な向上を実現できる。
【0008】
上記構成において、前記判定手段は、前記入力手段により新たに入力された前記記録対象文書の記録方向が、前記設定手段により既に設定された前記記録対象文書の記録方向を、90度を超えて270度以内で回転させる方向である場合に、前記余白除去機能に関する設定を変更する必要があると判定すること、前記設定手段は、前記判定手段によって前記余白除去機能に関する設定を変更する必要があると判定された場合に、前記記録対象文書のページ内の上部に位置する余白及び下部に位置する余白に対する設定を、上下逆の設定に変更するものとしてもよい。
この場合、ページ内の上下に位置する余白の除去に関する設定がなされている場合に、90度を超えて270度以内で記録方向を回転させるよう入力が行われると、この入力に応じて、余白に対する設定を上下逆の設定に変更するので、記録方向の変更に合わせて、記録媒体の方向に対する除去される余白の相対位置が変わらないように、自動的に設定を変更できる。これにより、当初の設定の意図を損なわないように、設定を適切に、自動的に変更することができ、作業負担を大幅に軽減できる。
【0009】
上記構成において、前記記録媒体は長尺の記録用シートをロール状に巻いたものとしてもよい。
この場合、記録媒体の使用量を節約することによって経済的効果及び環境負荷に関する効果が顕著に現れる構成において、作業負担を大幅に軽減し、操作性の向上を図ることができる。
【0010】
また、本発明は、記録媒体に画像を記録する記録装置を制御して、記録対象文書を前記記録媒体に記録させる記録制御方法であって、前記記録対象文書の記録方向を指定する情報と、記録対象文書中の余白を除いて記録する余白除去機能に関する情報とが入力されると、入力された情報に基づいて、前記記録対象文書の記録方向と、前記余白除去機能に関する設定を行い、この設定に従って、前記記録装置によって前記記録対象文書を記録させる一方、前記記録対象文書の記録方向と前記余白除去機能とに関する設定がされた状態で、新たに前記記録対象文書の記録方向を示す情報が入力された場合に、前記余白除去機能に関する設定を変更する必要があるか否かを判定すること、を備えることを特徴とする記録制御方法を提供する。
この方法によれば、記録対象文書の記録方向を指定する情報と、余白除去機能に関する情報とが入力され、これらの情報に基づいて記録方向と余白除去機能とに関する設定がされた状態で、新たに記録対象文書の記録方向を示す情報が入力された場合に、余白除去機能に関する設定を変更する必要があるか否かが判定されるので、記録方向の設定を変更する際に、合わせて余白除去機能の設定との整合性を確認する手間を省くことができ、作業負担を軽減するとともに操作性の向上を図ることができる。また、記録方向の設定を変更する際の確認を忘れてしまっても、誤った設定のまま記録を行ってしまうことがないので、設定を行うオペレータの負担感を軽減することもできる。
【0011】
また、本発明は、記録媒体に画像を記録する記録装置を制御して、記録対象文書を前記記録媒体に記録させるコンピュータにより実行可能なプログラムにおいて、前記コンピュータを、前記記録対象文書の記録方向を指定する情報と、記録対象文書中の余白を除いて記録する余白除去機能に関する情報とを入力する入力手段と、前記入力手段により入力された情報に基づいて、前記記録対象文書の記録方向と、前記余白除去機能とに関する設定を行う設定手段と、前記設定手段による設定に従って、前記記録装置によって前記記録対象文書を記録させる記録制御手段と、前記設定手段により前記記録対象文書の記録方向と前記余白除去機能とに関する設定がされた状態で、前記入力手段によって新たに前記記録対象文書の記録方向を示す情報が入力された場合に、前記余白除去機能に関する設定を変更する必要があるか否かを判定する判定手段と、して動作させるプログラムを提供する。
なお、この制御プログラムは、フレキシブルディスクやハードディスク装置等の磁気的記録媒体、MO等の光磁気記録媒体、CD−R、CD−RW、DVD±R、DVD±RW、DVD−RAM等の光学式記録媒体、半導体記憶デバイスを用いた記憶装置等の各種記録媒体に、コンピュータによって読み取り可能な形式で記録された形態としてもよい。
【0012】
このプログラムをコンピュータが実行することで、記録対象文書の記録方向を指定する情報と、余白除去機能に関する情報とが入力され、これらの情報に基づいて記録方向と余白除去機能とに関する設定がされた状態で、新たに記録対象文書の記録方向を示す情報が入力された場合に、余白除去機能に関する設定を変更する必要があるか否かが判定されるので、記録方向の設定を変更する際に、合わせて余白除去機能の設定との整合性を確認する手間を省くことができ、作業負担を軽減するとともに操作性の向上を図ることができる。また、記録方向の設定を変更する際の確認を忘れてしまっても、誤った設定のまま記録を行ってしまうことがないので、コンピュータを操作して設定を行うオペレータの負担感を軽減することもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、記録方向の設定を変更する際に余白除去機能の設定との整合性を確認する手間を省くことができ、作業負担を軽減するとともに、操作性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るホストコンピュータ1の概略構成を示す図である。
ホストコンピュータ1(記録制御装置)にはケーブル4を介してプリンタ3(記録装置)が接続されている。プリンタ3は、ロール状に巻かれた感熱紙からなるロール紙100を記録媒体として用い、ロール紙100の印刷面に接するサーマルヘッドにより、文字を含む画像を記録するサーマルプリンタである。プリンタ3は、後述するように、ロール紙100を幅方向に切断するカッタ機構を内蔵している。ホストコンピュータ1は、プリンタ3に対し、ケーブル4を介して画像データや制御データを含む印刷ジョブのデータを送信し、プリンタ3を制御することによって、ロール紙100に画像を印刷させる。ホストコンピュータ1は、各種の画像・映像を表示するディスプレイ1a(表示画面)やオペレータにより操作されるキーボード1b等を備えたコンピュータである。
【0015】
図2は、ホストコンピュータ1及びプリンタ3の構成を示すブロック図である。
ホストコンピュータ1は、各種プログラムを実行することによりホストコンピュータ1及びプリンタ3を制御するCPU(Central Processing Unit)10、CPU10により実行される基本制御プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)11、CPU10が実行するプログラムや処理されるデータ等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)12、ディスプレイ1a(図1)に各種画面を表示する表示装置13、キーボード1b(図1)やマウス等の入力デバイスを備え、これら入力デバイスの操作による入力を検出する入力装置14(入力手段)、ケーブル4を介してプリンタ3に接続されるインタフェース(I/F)15、及び、各種データやプログラムを記憶する記憶装置20を備え、これらの各部はバス16により相互に接続されている。
【0016】
CPU10は、ROM11に記憶されている基本制御プログラムを読み出して、RAM12に設けられるワークエリアに展開して実行することにより、ホストコンピュータ1の各部を制御する。また、CPU10は、記憶装置20から、後述する制御プログラム21やアプリケーションプログラム23を読み出して、ホストコンピュータ1の各種機能を実現する。さらに、CPU10は、後述するプリンタドライバ22を記憶装置20から読み出して実行することにより、本発明の設定手段、記録制御手段、及び表示制御手段として機能し、プリンタ3の動作に係る設定を行い、この設定に従ってプリンタ3を制御する。
【0017】
ROM11は、CPU10により実行される基本制御プログラム等を記憶する不揮発性の記憶装置である。RAM12は揮発性のメモリ素子等を用いて構成され、CPU10により使用されるワークエリアを形成する。
記憶装置20は、磁気的、光学的記憶媒体又は半導体メモリ素子等からなる記憶領域に、各種プログラムやデータを記憶する。例えば、記憶装置20は、ホストコンピュータ1の各部の初期化や、アプリケーションプログラム23の要求に応じてホストコンピュータ1を制御するための制御プログラム21、プリンタ3を制御するためのプリンタドライバ22(本発明のプログラムに対応)、ホストコンピュータ1によって特定の機能を実現するためのアプリケーションプログラム23等を記憶する。
【0018】
表示装置13は、CPU10の制御に従って、CRTや液晶表示パネルからなるディスプレイ1aに、各種画面を表示する。入力装置14は、キーボード1bやマウス、タブレット、或いは、ディスプレイ1aに重畳配置されたタッチパネル等の入力デバイスを備え、これら入力デバイスから入力される操作信号を解析して、入力された内容をCPU10に出力する。
インタフェース15は、CPU10の制御に従って、ケーブル4を介してプリンタ3との間の通信を行う。具体的には、インタフェース15は、後述するようにCPU10が生成する印刷ジョブのデータを、ケーブル4を介してプリンタ3に送信する。
【0019】
一方、プリンタ3は、プリンタ3の各部を制御するコントローラ31、コントローラ31の制御に従ってケーブル4を介した通信を行うインタフェース(I/F)33、コントローラ31の制御に従ってサーマルヘッド35、搬送モータ36、及びカッタ機構37を駆動する駆動回路34を備えている。
駆動回路34に接続されたサーマルヘッド35は、複数の発熱素子を搭載し、ロール紙100(図1)に当接して発熱素子を発熱させることでロール紙100に画像を印刷する印刷ヘッドである。駆動回路34は、コントローラ31の制御に従って、サーマルヘッド35の発熱素子を通電させることにより、各発熱素子を必要なタイミングで発熱させる。
搬送モータ36は、例えばステッピングモータを用いて構成される搬送モータ(図示略)と、この搬送モータにより回転駆動される搬送ローラ(図示略)とを備えて構成される。ここで、搬送ローラは、上記サーマルヘッド35に対向してロール紙100をサーマルヘッド35との間に挟むプラテンの機能を兼ねるものであってもよいし、その数については限定されない。駆動回路34は、コントローラ31の制御に従って、搬送モータ36に対して駆動電流と駆動パルスとを出力することにより、搬送モータ36を必要なタイミングで必要量だけ回転させる。
【0020】
カッタ機構37は、サーマルヘッド35により画像が記録された後にロール紙100が通る搬送経路に設けられ、ロール紙100を幅方向に切断するカッタ(図示略)と、カッタを駆動するカッタ駆動部(図示略)とを備える。カッタは、例えば、ロール紙100の搬送経路を挟んで対向する固定刃と、この固定刃に噛み合うように上記カッタ駆動部により駆動される1又は複数の可動刃とを有する。このカッタは、可動刃の駆動量を調整することで、ロール紙を完全に切断することも、ロール紙の端又は中央の一部を僅かに残して切断することも可能である。駆動回路34は、コントローラ31の制御に従ってカッタ駆動部(図示略)に通電し、必要なタイミングで必要量だけ可動刃を動かす。
インタフェース33は、コントローラ31の制御に従って、ホストコンピュータ1との間の通信を実行し、ホストコンピュータ1から送信される印刷ジョブのデータを受信して、コントローラ31に出力する。
【0021】
コントローラ31は、インタフェース33を介して受信した印刷ジョブのデータを解析し、ロール紙100に印刷すべき画像データを、内蔵するメモリに展開する。また、コントローラ31は、受信した印刷ジョブのデータから、印刷時における印刷条件及び印刷前後における動作を指定する制御データを抽出し、この制御データに従って動作する。この制御データは、ロール紙100のサイズ、印刷時の印刷濃度等、或いはカッタ機構37の動作を指定する情報等を含む。
コントローラ31は、制御データ及び画像データに従って駆動回路34を制御し、制御データにより指定された動作を実現すべく搬送モータ36及びカッタ機構37を動作させ、内蔵するメモリに展開した画像データの通りに印刷を行うためにサーマルヘッド35を駆動させる。これにより、プリンタ3は、ホストコンピュータ1の制御のもとにロール紙100に画像を印刷し、出力する。
【0022】
図3は、プリンタドライバ22(図2)の実行時にホストコンピュータ1(図2)により実現される機能の構成を示す機能ブロック図である。図3に示す各機能ブロックは、CPU10及び記憶装置20によって仮想的に実現される。図3に示す構成は、本発明の記録制御装置に相当する。
CPU10は、要求受付部102、情報表示制御部103(表示制御手段)、入力制御部104、余白節約制御部105(設定手段)、印刷データ生成部106、送信制御部107、及び、これら各部を制御する制御部101を備える。
要求受付部102は、アプリケーションプログラム23(図2)によるプリンタ3に対する印刷要求を、印刷対象の文書とともに受け付ける。
情報表示制御部103は、要求受付部102により受け付けた印刷対象文書(記録対象文書)に対応するプリンタ3の設定に関する情報を、記憶装置20の画面フォーマット記憶部201に記憶されている画面フォーマット及び設定情報記憶部202に記憶されている設定情報に基づいて、表示装置13の表示画面に表示させる。
【0023】
入力制御部104は、情報表示制御部103により表示されたプリンタ3の設定に関する情報について、入力装置14の操作によって所望の情報の選択や入力が行われた場合に、この入力を受け付ける。本実施形態では、後述するように、ロール紙100における印刷方向、及び、余白節約機能に関する設定項目を含む各種項目について、入力装置14により設定を行うことができる。
ここで、ホストコンピュータ1の制御のもとにプリンタ3において実現される余白節約機能(余白除去機能)について説明する。
図4は、余白節約機能を説明する図であり、図4Aは余白節約機能を用いない場合の印刷状態を示し、図4Bは余白節約機能により余白を除いた場合の印刷状態を示す。
図4Aに示すように、多くの印刷対象文書のデータである印刷対象文書データ50には、文字や画像が配置された印刷部51の上下に、上余白52及び下余白53が存在する。例えば横書きの文書は、横方向に伸びる行がロール紙100の上下に伸びていく。従って、文書の長さ、文字サイズ、行間隔、ページの縦サイズ、ページあたりの行数、及びページ区切りの位置等により、下余白53のサイズは様々に変化する。また、最小限確保すべき下余白53の絶対的なサイズが、入力制御部104により入力されることもある。一方、上余白52は、文書の長さに関わらず、文字サイズ、行間隔、ページの縦サイズ、及びページあたりの行数等により決定され、上余白52の絶対的なサイズが入力制御部104により入力されることもある。
【0024】
図4Aに示すような印刷対象文書データ50を、長尺のロール紙100に印刷する場合、上余白52及び下余白53が不要な場合には、上余白52及び下余白53に相当する部分を除去して、印刷部51のみを印刷すると、ロール紙100の節約になる。この場合、1ページ分の印刷対象文書データ50の長さは各ページの印刷部51の長さによって変化するため、1ページのサイズが一定しないという特徴はあるが、この特徴がデメリットとならない場合にはロール紙100を節約できるという効果により、有用である。
そこで、ホストコンピュータ1は、プリンタ3を制御して、図4Bに示すように、ロール紙100に印刷部51のみを印刷する余白節約機能を有する。この余白節約機能では、図4Bに示すように全ての上余白52及び下余白53を除く動作だけでなく、上余白52と下余白53とのいずれか一方のみを除くことも可能である。
【0025】
ところで、図4Bに示すように余白節約機能を使用する場合には、図中に符号Aで示すロール紙100の搬送方向と、印刷対象文書データ50の印刷方向(ページの縦方向)との関係に影響される。
すなわち、プリンタ3においてはロール紙100の搬送方向Aと印刷対象文書データ50の印刷方向とを、90度単位で指定することが可能である。例えば、図4A〜Bに示すように搬送方向Aと印刷方向とが一致している場合に加え、図4A〜Bに示す状態から印刷対象文書データ50の縦方向を、右廻りに90度、180度、270度回転させることができる。例えば180度回転させた場合、印刷対象文書データ50は、図4A〜Bに示す状態から上下が反転した状態となる。
【0026】
余白節約機能の実行時、ホストコンピュータ1のCPU10は、もとの印刷対象文書の上余白52及び下余白53のうち削除が指示された余白を除いて、印刷用の画像データを生成する。従って、図4Aに示す印刷方向で上余白52を削除するよう設定し、その後、印刷方向を180度回転させると、上余白52が削除された画像データが180度回転されることから、ロール紙100の先頭に下余白53が位置する。このため、ロール紙100上端の余白を除くよう設定されたはずが、実際にはロール紙100の上端に余白が配置されてしまう。
【0027】
そこで、CPU10は、余白節約機能により上余白52及び下余白53の少なくとも一方を削除するよう設定された状態で、印刷方向の設定が変更された場合は、この印刷方向の変更に合わせて余白節約機能で削除する余白の設定を変更する。
具体的には、CPU10は、余白節約機能により上余白52及び下余白53のいずれか一方のみを削除するよう設定された状態で、印刷方向の設定を、現在の設定から180度または270度回転させるよう入力された場合には、削除する余白の上下を逆にするよう設定を変える。90度を超えて回転させるような印刷方向の変更は、実質的に、印刷対象文書の上下が逆になるためである。この変更により、上余白52を削除するよう設定されている場合は、下余白53を削除する設定に変更され、下余白53を削除するよう設定されている場合は、上余白52を削除する設定に変更される。なお、印刷方向を270度を超えて回転させる場合には、ページ内の上下の余白の位置とロール紙100の搬送方向との相対関係は、上下反転する状態を超えるので、この場合は余白節約機能に係る設定の変更を行わない。同様に、CPU10は、印刷方向を現在の方向から90度以内で回転させるよう変更される場合は、余白節約機能に係る設定の変更を行わない。さらに、CPU10は、余白節約機能で上余白52及び下余白53の両方を削除するよう設定された場合、及び、両方とも削除しないよう設定された場合も、余白節約機能に係る設定の変更を行わない。
【0028】
余白節約制御部105は、入力制御部104によって受け付けたプリンタ3の余白節約機能に関する情報に基づいて、余白節約機能による余白の削除をするか否か、及び、印刷対象文書の余白のうち余白節約機能により削除する余白の位置等を設定し、設定情報記憶部202に記憶させる。
また、余白節約制御部105は、余白節約機能に余白の削除を行うよう設定されている状態で、入力制御部104により印刷方向を変更する入力が行われた場合には、この変更に伴って余白節約機能に関する設定を変更する必要があるか否かを判定する。そして、設定を変更する必要があると判定した場合、余白節約制御部105は、余白節約機能に関する設定を自動的に変更して、設定情報記憶部202に変更後の設定を記憶させる。
【0029】
印刷データ生成部106は、要求受付部102がアプリケーションプログラム23から受け付けた要求に従って、アプリケーションプログラム23が出力した印刷対象文書のデータをもとに、ロール紙100に印刷される画像データを生成する。この画像データには、設定情報記憶部202に記憶された印刷方向や余白節約機能の設定が反映されている。印刷データ生成部106は、この画像データと、印刷時のカッタ機構37の動作やロール紙100のサイズ等を指定する制御データとを合わせて、印刷ジョブのデータを生成する。この印刷ジョブのデータは記憶装置20の印刷データ記憶部203に記憶される。
送信制御部107は、印刷データ生成部106により生成された印刷ジョブのデータを、印刷実行を要求する印刷要求のコマンドとともにプリンタ3に送信する。なお、印刷ジョブのデータ自体が印刷要求のコマンドを兼ねるようにしてもよい。
そして、印刷データ生成部106及び送信制御部107は記録制御手段として動作し、これらによって生成及び送信されるジョブのデータに従って、プリンタ3が設定された通りに動作する。
制御部101は、要求受付部102、情報表示制御部103、入力制御部104、余白節約制御部105、印刷データ生成部106、及び送信制御部107の各部を相互に関連づけて制御する。
【0030】
また、プリンタドライバ22の実行時、記憶装置20は、画面フォーマット記憶部201、設定情報記憶部202、及び印刷データ記憶部203として機能する。画面フォーマット記憶部201は上述したように、情報表示制御部103により表示装置13の表示画面に設定用画面等を表示するための画面フォーマットのデータを記憶する領域である。設定情報記憶部202は、入力制御部104により入力された、プリンタ3の動作に係る設定情報を記憶する領域であり、印刷データ記憶部203は、印刷データ生成部106により生成された印刷ジョブのデータを記憶する。
【0031】
図5は、プリンタドライバ22の実行中におけるホストコンピュータ1の動作を示すフローチャートであり、特に、印刷に係る各種の設定を行う場合の動作を示す。
CPU10は、入力装置14における操作により設定開始要求がなされると(ステップS11)、情報表示制御部103の機能として、設定情報記憶部202に記憶されている現在の設定状態を取得し(ステップS12)、さらに画面フォーマット記憶部201に記憶されている画面フォーマットを取得して、設定画面をディスプレイ1aに表示させる(ステップS13)。
【0032】
ここで、CPU10は、入力制御部104の機能として、設定画面が表示された状態における設定画面の表示中における入力装置14の操作を検出し、設定する項目として選択された項目を判定する(ステップS14)。
選択された設定項目が余白節約機能である場合、CPU10は、情報表示制御部103の機能により余白節約設定画面をディスプレイ1aに表示する(ステップS15)。
【0033】
図7は、上述した図5のステップS15において、ディスプレイ1aに表示される余白節約設定画面61の構成例を示す図である。
この図7に示す例では、書式設定として設定可能な項目が画面上部に一覧表示され、ここで設定対象項目として余白節約が選択されると、画面下部に選択設定部62が現れ、この選択設定部62に選択可能な余白節約モードが一覧表示される。余白節約モードとしては、上余白52(図4A)のみを削除する「上用紙節約」モード、下余白53(図4A)のみを削除する「下用紙節約」モード、上余白52と下余白53の両方を削除する「上下用紙節約」モードが用意されている。これら3つの余白節約モードは、印刷対象文書の上下の余白の各々について削除するか否かを設定するケースを網羅しており、また、選択設定部62には、余白節約機能を使わないことを設定する「用紙節約しない」との選択候補も表示される。このため、選択設定部62に一覧表示された選択候補から一つを選択する操作だけで、余白節約機能の設定を簡単に行うことができる。
【0034】
図5に戻り、余白節約設定画面が表示された状態で、入力装置14の操作が行われると、CPU10は入力制御部104の機能により操作内容を特定し、選択された余白節約モードを特定する(ステップS16)。
このようにして余白節約モードが選択された後、確定操作が行われると(ステップS17;Yes)、CPU10は選択された余白節約モードを設定情報記憶部202に記憶させ(ステップS18)、ステップS19に移行する。
ステップS19で、CPU10は、設定操作を終了するか否かを判別し、設定を終了する旨の入力操作が入力装置14により行われた場合は本処理を終了し、設定を継続する場合はステップS12に戻る。
【0035】
一方、設定画面が表示された状態で選択された設定項目が用紙方向である場合、CPU10は、情報表示制御部103の機能により印刷方向設定画面をディスプレイ1aに表示する(ステップS20)。
図8は、上述した図5のステップS20において、ディスプレイ1aに表示される印刷方向設定画面63の構成例を示す図である。また、図9は、印刷方向設定画面63における操作に伴ってディスプレイ1aに表示される画像等の構成例を示す図であり、図9A〜Dは後述する説明グラフィックの例を示し、図9Eはメッセージ66の構成例を示す。
【0036】
図8に示す印刷方向設定画面63は、ロール紙100のサイズや印刷位置の調整等を合わせて行うことが可能な画面であり、画面のほぼ中央に印刷方向選択部64が配置されている。印刷方向選択部64には、4通りの印刷方向が、ラジオボタンで選択可能に一覧表示されている。印刷方向選択部64で選択可能な印刷方向のうち「標準」はロール紙100の搬送方向と印刷対象文書の縦方向とが一致する状態を指し、この状態を基準として、印刷対象文書の縦方向を時計回りに回転させるように、印刷方向を設定できる。例えば図8に示したように、印刷方向は、「90度回転」、「180度回転」、「270度回転」と、上記の「標準」とを含めた4通りに設定できる。
そして、印刷方向選択部64でいずれかの印刷方向がラジオボタンにより選択されると、選択された印刷方向に対応する説明グラフィックが、印刷方向選択部64の横に配置された説明グラフィック表示部65に表示される。
【0037】
説明グラフィック表示部65に表示される説明グラフィックは、例えば、図9A〜Dに例示するように、ロール紙100の搬送方向を示す矢印と、印刷対象文書の向きを明示する文字列とを組み合わせて、印刷方向を視覚的に示す画像である。なお、説明グラフィック中の文字列は横書きの印刷対象文書に対応して印刷方向を示しているが、印刷方向が直観的に分かるようにしたためであり、縦書きの印刷対象文書を印刷する場合も印刷方向の設定は有効である。
図9Aは印刷方向選択部64(図8)の「標準」を選んだ場合に表示される説明グラフィックの例であり、ロール紙100の搬送方向と印刷対象文書の縦方向とが一致し、ロール紙100の先端側と印刷対象文書の先頭とが一致している。図9Bは印刷方向選択部64で「90度回転」が選択された場合に表示される説明グラフィックであり、図9Cは印刷方向選択部64で「180度回転」が選択された場合に表示される説明グラフィックであり、図9Dは印刷方向選択部64で「270度回転」が選択された場合に表示される説明グラフィックである。これら図9A〜Dの説明グラフィックにより、説明グラフィック表示部65を見れば印刷方向とロール紙100の搬送方向との関係が直観的にわかるので、簡単な操作でミスなく設定を行える。
【0038】
図5のフローチャートに戻り、印刷方向設定画面で印刷方向を選択する操作が行われると(ステップS21)、CPU10は入力制御部104の機能により操作内容を特定し、情報表示制御部103の機能によって、選択された印刷方向に対応する説明グラフィックをディスプレイ1aに表示する(ステップS22)。
ここで、CPU10は、余白節約制御部105の機能により、印刷方向設定画面で選択された印刷方向と、現在設定されている印刷方向との差に基づいて、余白節約に関する設定を変更する必要があるか否かを判定する(ステップS23)。
【0039】
このステップS23における判定の基準は、例えば、
1.余白節約機能で上余白または下余白の一方のみを削除するよう設定されている、
2.上述したように印刷方向設定画面で選択された印刷方向が、現在設定されている印刷方向を90度を超えて270度以内で回転させる方向である、
との条件を2つのとも満たすか否かである。
具体的な例としては、2.の条件は、
2−1.現在は「標準」が設定されている場合に「180度回転」または「270度回転」が選択された場合、
2−2.現在は「90度回転」が設定されている場合に「270度回転」または「標準」が選択された場合、
2−3.現在は「180度回転」が設定されている場合に「標準」または「90度回転」が選択された場合、
2−4.現在は「270度回転」が設定されている場合に「90度回転」または「180度回転」が選択された場合、
の4通りが挙げられる。
【0040】
CPU10は、余白節約に関する設定を変更する必要があると判定した場合(ステップS23;Yes)、余白節約機能に関する上余白と下余白の設定を上下逆にするよう設定の変更を行うとともに、余白節約の設定を自動的に変更した旨のメッセージをディスプレイ1aに表示し(ステップS24)、ステップS25に移行する。
ステップS24でディスプレイ1aに表示されるメッセージは、例えば、図9Eに例示したメッセージ66である。
【0041】
また、余白節約機能に関する設定を変更する必要がないと判定した場合(ステップS23;No)、CPU10は、そのままステップS25に移行する。
ステップS25で、CPU10は、確定操作が行われたか否かを判別し、確定操作が行われた場合は、選択された印刷方向と余白節約モードとを設定情報記憶部202に記憶させ(ステップS26)、ステップS19に移行する。
このように、プリンタドライバ22の実行時には、ディスプレイ1aに表示される余白節約設定画面61や印刷方向設定画面63を利用して、入力装置14を用いた簡単な操作を行うことで、余白節約機能の設定、及び、印刷方向の設定を行うことができる。余白節約設定画面61における余白節約機能の設定では、選択設定部62に一覧表示された余白節約の組み合わせを選択するだけで選択を行うことができる。また、印刷方向設定画面63における印刷方向の設定では、説明グラフィック表示部65に表示される説明グラフィックを見て印刷方向を目で確認しながら、印刷方向選択部64の候補を選択すればよく、簡単な操作でミスなく設定を行える。
【0042】
さらに、印刷方向の設定時には、それまで設定されていた印刷方向が変更されることになるので、CPU10により、印刷方向の設定に伴って余白節約機能の設定を変更する必要があるかが判定される。このため、余白節約機能の設定と印刷方向の設定との矛盾や混同が生じないように判定を行える。そして、余白節約機能の設定を変更する必要があれば自動的に設定が変更されるので、オペレータが意識しなくても設定の矛盾や混同が解消され、当初に意図した通りに印刷が行われる。また、設定を変更した場合にはメッセージ66がディスプレイ1aに表示されるので、オペレータが設定変更を知ることができ、例えば、オペレータ自身が再確認を行うなどの対応ができる。
【0043】
図6は、プリンタドライバ22の実行中におけるホストコンピュータ1の動作を示すフローチャートであり、特に、印刷実行に係る動作を示す。
CPU10は、実行中のアプリケーションプログラム23により印刷の要求がなされると、要求受付部102として機能し、この要求を受け付ける(ステップS31)。続いてCPU10は、情報表示制御部103の機能により設定情報記憶部202に記憶された設定情報を取得し(ステップS32)、続いて、要求受付部102の機能により、アプリケーションプログラムが出力した印刷対象文書のデータを取得する(ステップS33)。
【0044】
ここで、CPU10は、余白節約制御部105としての機能により、設定情報記憶部202に記憶された設定に基づいて、余白節約機能に関する設定の有無を判別する(ステップS34)。
余白節約機能に関する設定がある場合(ステップS34;Yes)、CPU10は、この設定により指定された余白(図4Aの上余白52または下余白53)を除いた印刷用の画像データを、印刷対象文書の各ページのデータをもとに生成する(ステップS35)。
一方、余白節約機能を使わないよう設定されている場合は(ステップS34;No)、印刷対象文書の各ページのデータをもとに印刷用の画像データを生成する(ステップS36)。
【0045】
印刷用の画像データを生成した後、CPU10は、ステップS32で取得した他の設定情報(印刷方向など)に従って制御データを生成し(ステップS37)、生成した制御データと画像データとを含む印刷ジョブのデータを生成して(ステップS38)、印刷データ記憶部203に記憶させるとともに、送信制御部107としての機能により印刷ジョブのデータをプリンタ3へ送信して(ステップS39)、本処理を終了する。
なお、この動作においては、ステップS35、S36で印刷用の画像データを生成する際に、印刷方向の設定に従って印刷用の画像データを生成してもよい。この場合、制御データにおいて印刷方向を設定する必要がなくなるので、プリンタ3は、ホストコンピュータ1から送信された印刷ジョブのデータに含まれる画像データを、そのまま印刷すればよく、プリンタ3における処理負荷を軽減することができ、プリンタ3の機能を単純化できる。
【0046】
以上のように、本発明を適用した実施形態に係るホストコンピュータ1によれば、プリンタドライバ22を実行することにより、印刷対象文書の印刷方向と余白節約機能に関する設定がされた状態で、入力装置14によって新たに印刷方向を示す情報が入力された場合に、余白節約機能に関する設定を変更する必要があるか否かがCPU10により判定される。つまり、印刷方向の設定を変更する操作が行われた場合に、その影響を受ける余白節約機能について設定を変更するべきか否かが自動的に判定される。これにより、印刷方向の設定を変更する際に合わせて余白節約機能の設定との整合性を確認する手間を省くことができ、作業負担を軽減するとともに、操作性の向上を図ることができる。また、印刷方向の設定を変更する際の確認を忘れてしまっても、誤った設定のまま印刷を行ってしまうことがないので、設定を行うオペレータの負担感を軽減することもできる。
【0047】
また、CPU10は、余白節約機能に関する設定を変更する必要があると判定した場合に、入力装置14によって新たに入力された情報に基づいて、自動的に余白節約機能に関する設定を変更するので、印刷方向を変更する際に余白節約機能の設定状態との整合性を確認する手間や設定を変更する手間を省くことができ、作業負担を大幅に軽減し、操作性の向上を図ることができる。
さらに、印刷方向の設定を変更する際の確認を忘れてしまっても設定が適切に変更されるので、設定を行うオペレータの負担感を大幅に軽減できる。
【0048】
加えて、余白節約機能に関しては、印刷対象文書のページ内の上部及び下部に位置する余白の各々について印刷時に除去するか否かを設定できるので、印刷対象文書の上下方向とロール紙100の搬送方向とが一致する場合には、特に効果的にロール紙100を節約できるという利点がある。さらに、プリンタ3においてロール紙100の使用量を節約すれば経済的効果及び環境負荷に関する効果を顕著に得ることが可能であり、このような構成において作業負担を大幅に軽減し、操作性の向上を図ることで、経済的効果及び環境負荷に関する効果と操作性とを両立できる。
また、入力装置14により情報が入力される際には、ディスプレイ1aに表示される余白節約設定画面61において、選択設定部62に表示された選択候補を選択するだけで、印刷対象文書のページ内の上下に位置する余白を除去するか否かを容易にミスなく設定できる。
【0049】
さらにまた、CPU10は、入力装置14により新たに入力された印刷方向が、既に設定されている印刷方向を、90度を超えて270度以内で回転させる方向であった場合、ページ内の上部及び下部に位置する余白に対する設定を上下逆の設定に変更する。このため、印刷方向の変更に合わせて、ロール紙100の搬送方向と除去される余白との相対位置が変わらないように、設定を適切に変更できる。
【0050】
なお、上記実施形態においては、ホストコンピュータ1がプリンタドライバ22を実行した場合の印刷方向の設定は、90度単位で0度、90度、180度、270度の4段階の印刷方向を設定可能な構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば1度単位で任意の角度を入力可能な構成としてもよい。この場合、ホストコンピュータ1のCPU10は、入力された角度を印刷方向として設定するとともに、既に設定されている印刷方向を90度を超えて270度以内で回転させる方向か否かを判定し、90度を超え、かつ270度以内である場合は、余白節約機能の設定を変更するようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、ホストコンピュータ1とプリンタ3とがケーブル4により直接優先接続された構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ホストコンピュータ1とプリンタ3とが、それぞれネットワーク(LAN等)に接続され、このネットワークを介してホストコンピュータ1がプリンタ3を制御して印刷を行わせるようにしてもよいし、ホストコンピュータ1が備えるインタフェース15及びプリンタ3が備えるインタフェース33が、いずれも無線通信インタフェースで構成されていてもよい。
【0052】
さらに、上記実施形態ではCPU10により実行されるプリンタドライバ22を予め記憶装置20に記憶している場合について説明したが、各種磁気ディスク、光ディスク、メモリカードなどの記録媒体にプリンタドライバ22をあらかじめ記録し、これらの記録媒体からホストコンピュータ1がプリンタドライバ22を読み込み、インストールするように構成することも可能である。また、通信インタフェースを設け、インターネット、LANなどのネットワークを介してホストコンピュータ1がプリンタドライバ22をダウンロードし、インストールして実行するように構成することも可能である。
【0053】
さらにまた、プリンタ3が感熱ロール紙100に画像を記録するサーマルプリンタである場合について説明したが、プリンタ3はホストコンピュータ1から送信された指示に従って画像を記録するものであれば何でも良く、その記録方式は任意である。具体的には、記録媒体として、ロール紙100に代えて普通紙等の発色しないシートを用い、加熱により溶融するインクが付着されたインクリボンを上記シートに当接させ、このインクリボンに熱エネルギーを与えて画像を記録する、いわゆる熱転写方式のプリンタにも適用可能である。また、発色しないシートを用い、加熱によりインクを昇華させてシートに付着させる昇華型プリンタや、液状又はジェル状のインクを噴射又は滴下してシートに付着させることにより画像を記録するインクジェットプリンタ、感光体にレーザー光を照射して感光体上にトナー等を付着させて画像を形成し、この画像をシートに転写するレーザープリンタ、インクを付着させたインクリボンをシートに重ねて打撃又は圧力を加えることによりインクをシートに付着させるドットインパクトプリンタ、カプセル状の発色体を付着させたシートに熱や圧力を加えることにより画像を形成するプリンタ等、各種の記録方式を用いるプリンタに対して適用可能であり、さらに、各種の電子機器に内蔵され、或いは他の電子機器と一体となって複合機として機能するプリンタに対しても適用可能である。
同様に、プリンタ3を制御するホストコンピュータ1は、パーソナルコンピュータの形態に限定されず、PDA(Personal Digital Assistant)として構成してもよいし、制御対象のプリンタ3と一体となった装置のコンピュータにより実現されてもよい。この場合、制御対象のプリンタ3を具備した装置本体に、ディスプレイ1aに対応する表示画面及び入力装置14に対応する入力デバイスが設けられ、プリンタドライバ22を実行することにより、この装置本体により表示される画面を見ながら、この装置本体を操作して設定を行うことが可能であればよい。
その他、プリンタ3においてロール紙100を搬送する機構等の細部構成についても、任意に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施形態に係るホストコンピュータの概略構成を示す図である。
【図2】ホストコンピュータ及びプリンタの構成を示すブロック図である。
【図3】プリンタドライバにより実現される構成を示す機能ブロック図である。
【図4】余白節約機能を説明する図である。
【図5】ホストコンピュータの動作を示すフローチャートである。
【図6】ホストコンピュータの別の動作を示すフローチャートである。
【図7】設定時にディスプレイに表示される画面の構成例を示す図である。
【図8】設定時にディスプレイに表示される別の画面の構成例を示す図である。
【図9】設定時にディスプレイに表示される画像等の例を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1…ホストコンピュータ(記録制御装置)、1a…ディスプレイ(表示画面)、1b…キーボード、3…プリンタ(記録装置)、4…ケーブル、10…CPU(設定手段、記録制御手段、表示制御手段)、13…表示装置、14…入力装置(入力手段)、20…記憶装置、21…制御プログラム、22…プリンタドライバ(プログラム)、23…アプリケーションプログラム、31…コントローラ、34…駆動回路、35…サーマルヘッド、36…搬送モータ、50…印刷対象文書データ、51…印刷部、52…上余白、53…下余白、61…余白節約設定画面、62…選択設定部、63…印刷方向設定画面、64…印刷方向選択部、65…説明グラフィック表示部、66…メッセージ、100…ロール紙(記録媒体)、101…制御部、102…要求受付部、103…情報表示制御部(表示制御手段)、104…入力制御部、105…余白節約制御部(設定手段)、106…印刷データ生成部(記録制御手段)、107…送信制御部(記録制御手段)、201…画面フォーマット記憶部、202…設定情報記憶部、203…印刷データ記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を記録する記録装置を制御して、記録対象文書を前記記録媒体に記録させる記録制御装置において、
前記記録対象文書の記録方向を指定する情報と、記録対象文書中の余白を除いて記録する余白除去機能に関する情報とを入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された情報に基づいて、前記記録対象文書の記録方向と、前記余白除去機能とに関する設定を行う設定手段と、
前記設定手段による設定に従って、前記記録装置によって前記記録対象文書を記録させる記録制御手段と、
前記設定手段により前記記録対象文書の記録方向と前記余白除去機能とに関する設定がされた状態で、前記入力手段によって新たに前記記録対象文書の記録方向を示す情報が入力された場合に、前記余白除去機能に関する設定を変更する必要があるか否かを判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする記録制御装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記判定手段によって前記余白除去機能に関する設定を変更する必要があると判定された場合に、前記入力手段によって新たに入力された情報に基づいて、自動的に前記余白除去機能に関する設定を変更すること、
を特徴とする請求項1記載の記録制御装置。
【請求項3】
前記設定手段は、前記入力手段により入力された情報に基づいて、前記余白除去機能に関する情報として、前記記録対象文書のページ内の上部に位置する余白及び下部に位置する余白の各々について、記録時に除去するか否かを設定すること、
を特徴とする請求項2記載の記録制御装置。
【請求項4】
前記入力手段により情報が入力される際に、前記記録対象文書のページ内の上部に位置する余白及び下部に位置する余白の各々を記録時に除去するか否かの組み合わせに対応する選択候補を、表示画面上に選択可能に一覧表示させるとともに、
前記設定手段によって、前記判定手段による判定に基づいて自動的に設定を変更する際に、設定変更の通知を前記表示画面上に表示させる表示制御手段を備えること、
を特徴とする請求項3記載の記録制御装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記入力手段により新たに入力された前記記録対象文書の記録方向が、前記設定手段により既に設定された前記記録対象文書の記録方向を、90度を超えて270度以内で回転させる方向である場合に、前記余白除去機能に関する設定を変更する必要があると判定すること、
前記設定手段は、前記判定手段によって前記余白除去機能に関する設定を変更する必要があると判定された場合に、前記記録対象文書のページ内の上部に位置する余白及び下部に位置する余白に対する設定を、上下逆の設定に変更すること、
を特徴とする請求項3または4記載の記録制御装置。
【請求項6】
前記記録媒体は長尺の記録用シートをロール状に巻いたものであること、
を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の記録制御装置。
【請求項7】
記録媒体に画像を記録する記録装置を制御して、記録対象文書を前記記録媒体に記録させる記録制御方法であって、
前記記録対象文書の記録方向を指定する情報と、記録対象文書中の余白を除いて記録する余白除去機能に関する情報とが入力されると、入力された情報に基づいて、前記記録対象文書の記録方向と、前記余白除去機能に関する設定を行い、
この設定に従って、前記記録装置によって前記記録対象文書を記録させる一方、
前記記録対象文書の記録方向と前記余白除去機能とに関する設定がされた状態で、新たに前記記録対象文書の記録方向を示す情報が入力された場合に、前記余白除去機能に関する設定を変更する必要があるか否かを判定すること、
を備えることを特徴とする記録制御方法。
【請求項8】
記録媒体に画像を記録する記録装置を制御して、記録対象文書を前記記録媒体に記録させるコンピュータにより実行可能なプログラムにおいて、
前記コンピュータを、
前記記録対象文書の記録方向を指定する情報と、記録対象文書中の余白を除いて記録する余白除去機能に関する情報とを入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された情報に基づいて、前記記録対象文書の記録方向と、前記余白除去機能とに関する設定を行う設定手段と、
前記設定手段による設定に従って、前記記録装置によって前記記録対象文書を記録させる記録制御手段と、
前記設定手段により前記記録対象文書の記録方向と前記余白除去機能とに関する設定がされた状態で、前記入力手段によって新たに前記記録対象文書の記録方向を示す情報が入力された場合に、前記余白除去機能に関する設定を変更する必要があるか否かを判定する判定手段と、
して動作させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−157788(P2009−157788A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337327(P2007−337327)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】