説明

記録媒体およびインクジェット画像形成方法

【課題】両面印刷用記録媒体に印刷する際、欠陥による画像品質の低下を効率的に回避し、更に、ロール状の長尺の両面印刷用記録媒体を用いた場合に、欠陥による画像品質の低下をより効率的に回避可能なインクジェット画像形成方法を提供することである。また、その画像形成方法に用いることができる記録媒体を提供することである。
【解決手段】支持体の両面上にそれぞれ少なくとも1層のインク受容層が設けられた記録媒体であって、前記記録媒体に存在する各欠陥の情報が、各欠陥が存在する位置の前記記録媒体の幅方向の位置で、かつ前記記録媒体の両面に記録されていることを特徴とする記録媒体。その記録媒体に印刷するインクジェット画像形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体およびインクジェット画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
両面印字に適したロール紙等の記録媒体の印刷面に求められる品質特性の一つとして、印刷面の欠陥発生の抑制が挙げられる。ここでいう欠陥とは、印刷前の記録媒体に存在する不純物、ピンホール、極端な厚みのムラ、記録媒体の製造中に付着した異物、特にインクジェット用記録媒体においては、インク受容層の塗工欠陥等を意味する。これらの欠陥に対しては、欠陥を低減させる方法等が種々提案されているが、欠陥を完全に除去することは困難である。また、両面に印刷が可能な記録媒体の場合、片方の印刷面に欠陥が無い場合でも、もう一方の面に欠陥が存在する場合には印刷後の画像の品質に不具合を生じる場合がある。特にロール状の記録媒体では、一方の面に先に印刷する際に、もう一方の面の欠陥の情報を得ることは難しく、印刷後に欠陥の存在が明らかになるなど記録媒体に無駄が生じる場合があった。
【0003】
従来、欠陥を有する面の反対の位置にその欠陥の位置を示すマークが示されているシート状物質がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−338111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、欠陥の位置を示すマークは片面側にしか設けられておらず、もう一方の面を印刷する際にその欠陥の情報を得ることが困難な場合があった。
【0006】
本発明の目的は、両面印刷用記録媒体に印刷する際、欠陥による画像品質の低下を効率的に回避し、更に、ロール状の長尺の両面印刷用記録媒体を用いた場合に欠陥による画像品質の低下をより効率的に回避可能なインクジェット画像形成方法を提供することである。また、本発明の目的は、その画像形成方法に用いることができる記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、上記の課題は下記の本発明によって達成される。本発明により、支持体の両面上にそれぞれ少なくとも1層のインク受容層が設けられた記録媒体であって、前記記録媒体に存在する各欠陥の情報が、各欠陥が存在する位置の前記記録媒体の幅方向の位置で、かつ前記記録媒体の両面に記録されていることを特徴とする記録媒体が提供される。また、本発明により、前記記録媒体に印刷するインクジェット画像形成方法であって、前記各欠陥の情報が記録された位置の前記記録媒体の幅方向の位置を避けて印刷を行うことを特徴とするインクジェット画像形成方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、両面印刷用記録媒体に印刷する際、欠陥による画像品質の低下を効率的に回避し、更に、ロール状の長尺の両面印刷用記録媒体を用いた場合に欠陥による画像品質の低下をより効率的に回避可能なインクジェット画像形成方法が提供される。また、本発明により、その画像形成方法に用いることができる記録媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の記録媒体の一例を示す模式図であり、(a)は一方の面(A面)から見た場合の平面図、(b)はもう一方の面(B面)から見た場合の平面図である。
【図2】本発明の記録媒体の別の例を示す模式図であり、(a)は一方の面(A面)から見た場合の平面図、(b)は、もう一方の面(B面)から見た場合の平面図である。
【図3】(a)〜(c)はそれぞれ本発明において、欠陥の検出から欠陥の情報を記録するまでの工程の例を説明するための図である。
【図4】本発明の記録媒体の両面印刷物の例を示す模式図であり、(a)は一方の面(A面)から見た場合の平面図、(b)はもう一方の面(B面)から見た場合の平面図である。
【図5】本発明の記録媒体の両面印刷物の別の例を示す模式図であり、(a)は一方の面(A面)から見た場合の平面図、(b)はもう一方の面(B面)から見た場合の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(記録媒体)
本発明の記録媒体は、支持体と、支持体の両面上にそれぞれ少なくとも1層のインク受容層とを含む。本発明の記録媒体が有する支持体、インク受容層およびその製造方法等は、特開2006−289864号公報等に記載されているような公知のものを用いればよい。また、前記記録媒体は、前記支持体およびインク受容層の他に光沢発現層としての最表層や、インク吸収層としての下塗り層を含むことができる。インク受容層は必ずしも支持体の表面に接している必要はなく、インク受容層と支持体とインク受容層との間に他の層があっても良い。また、インク受容層より表面側(支持体と反対側)に他の層があっても良い。
さらに、前記記録媒体は、その記録媒体に存在する各欠陥の情報が、前記記録媒体の両面、すなわち一方の面だけでなく、もう一方の面にまで記録されている。なお、欠陥の情報とは、印刷前の記録媒体のインク受容層、支持体およびその他の層中に存在する不純物、記録媒体の製造中に付着した異物、インク受容層のピンホール、極端な厚みのムラ等、視認が可能な欠陥が存在していることを示す印を意味する。面とは、記録媒体のうちの、例えばインクジェット記録方式等によって印刷が施される部位を意味する。
【0011】
本発明の記録媒体を以下のようにして用いることができる。両面(一方の面をA面、もう一方の面をB面とする)印刷可能な本発明の記録媒体は、一方の面(A面)に、記録媒体に存在する欠陥の情報が記録されている。このため、前記A面に印刷する際に、例えば印刷装置に前記記録媒体に記録された欠陥情報を読み取る装置を備えさせることで、記録媒体にある欠陥の位置を避けて印刷することが可能となる。また、前記B面にも記録媒体に存在する欠陥の情報が記録されているため、B面への印刷の際にもA面の時と同様な方法で欠陥の位置を避けて印刷をすることが可能となる。結果的に両面に欠陥の無い高品位な画像を得ることが可能となる。
例えば、記録媒体の両面に欠陥が存在する場合は、両面印刷可能な本発明の記録媒体は、先に印刷する面(A面)に、もう一方の面(B面)の欠陥の情報が記録されている。このため、前記A面に印刷する際に、例えば印刷装置に前記記録媒体に記録された欠陥情報を読み取る装置を備えさせることで、B面にある欠陥の位置を避けて印刷することが可能となる。また、前記B面にも前記B面に存在する欠陥の情報が記録されているため、B面への印刷の際にもA面の時と同様な方法で欠陥の位置を避けて印刷をすることが可能となる。結果的に両面に欠陥の無い高品位な画像を得ることが可能となる。
【0012】
更には、両面印刷可能な記録媒体のうちの一方の面(B面)に、もう一方の面(A面)の欠陥の情報が記録されている。このため、前記B面に印刷する際に、例えば印刷装置に記録媒体に記録された欠陥情報を読み取る装置を備えさせることで、A面に存在する欠陥の位置を避けて印刷することが可能となる。また、前記A面にはさらに前記A面に存在する欠陥の情報が記録されているために、前記A面に印刷をする際に、同様な方法で前記A面に存在する欠陥の位置を避けて印刷することが可能となる。前記B面には、前記B面に存在する欠陥の情報と共に、前記A面に存在する欠陥の情報も記録されており、一方前記A面も両面の欠陥情報が記録されているため、各面とも両面に存在する欠陥を避けて印刷することが可能となる。
【0013】
(欠陥情報記録方法)
本発明では、支持体の両面上にそれぞれ少なくとも1層のインク受容層が設けられた記録媒体を用いる。印刷時の操業性の観点から、記録媒体が長尺状であることが好ましい。図1(a)および(b)は、本発明の記録媒体である欠陥個所が表示されたシート(記録媒体)の一例を示す図であり、図面の上下方向が記録媒体の幅方向を表し、図面の左右方向が記録媒体の長さ方向を表す。図1(a)および(b)に例示した記録媒体は、図面中、先に印刷する面(A面)を示す面2ではなく、もう一方の面(B面)を示す面3のみに欠陥5が存在しており、前記A面、および前記B面の両面に前記欠陥5の情報を示すマーク4が付けられている。なお、図1(a)はこの記録媒体をA面から見た場合の平面図を表し、図1(b)はこの記録媒体をB面から見た場合の平面図を表す。マーク4は矢印、文字、数字、模様、図形、彩紋、等の各種マーキングなどを用いることができるが、特に限定されるものではない。
本発明の記録媒体に印刷する場合、印刷に用いるインクジェットプリンタには、本発明の記録媒体に記録されている欠陥情報を読み取るセンサー、及びそのセンサーからの情報を得て記録を行う記録駆動装置を備えたものを適宜用いることができる。これらの装置(システム)に関しては、一般的に周知の装置を用いることができ、特に限定されるものではない。
【0014】
図2(a)および(b)は、本発明の記録媒体である欠陥個所が表示されたシートの別の例を示す図であり、図面の上下方向が記録媒体の幅方向を表し、図面の左右方向が記録媒体の長さ方向を表す。図2(a)および(b)に例示した記録媒体は、図面中、先に印刷する面(A面)を示す面2と、もう一方の面(B面)を示す面3にそれぞれ欠陥5が存在しており、前記A面、及び前記B面の各面に両面の欠陥5の情報を示すマーク4が付けられている。なお、図2(a)はこの記録媒体をA面から見た場合の平面図を表し、図2(b)はこの記録媒体をB面から見た場合の平面図を表す。
【0015】
本発明の記録媒体が有する可能性がある欠陥5としては、印刷前の記録媒体に存在する不純物、ピンホール、極端な厚みのムラ、記録媒体の製造中に付着した異物、特にインクジェット用記録媒体においては、インク受容層の塗工欠陥等が挙げられる。なお、前記塗工欠陥とはインク受容層形成時に、インク受容層用材料を支持体上に塗工する時に発生するはじきによるピンホールや、塗工ムラによる厚みのムラ、インク受容層の擦れによる光沢異常や傷等が挙げられる。一般的に、この種の欠陥は種類が多いが、視覚的には欠点と見えても、実用上の支障がないものもあり、通常、用途に即して、問題とすべき欠陥の種類を予め定めておく。また、欠陥の程度についても実用上、無視し得る軽微なものがある。通常、実用的な見地からあるいは経済的な見地から欠陥として認定するものの限度を定め、例えば、一定寸法以上の異物を欠陥とみなす旨を決め、限度未満の欠陥は、数え上げないようにしており、本発明においても、同様にしてよい。
【0016】
記録媒体の欠陥の検出に始まって、記録媒体に欠陥の情報を記録するまでの段階は、図3(a)に示す例のようにして行うことができる。図3(a)において、記録媒体1は図面中、向かって左側から向かって右側にバックアップロール10により連続的に走行しており、記録媒体1の一方の面側、例えば上方に設置されたラインセンサ7により欠陥5を検知する。この欠陥の検知システムに関しては、一般的に周知の記録媒体の欠陥検出手段を用いることができ、特に限定されるものではない。検出された欠陥の存在、および位置の情報を受けた記録駆動手段が信号を発信し、記録媒体の両面側、例えば上下にそれぞれ設置された記録装置8を用いて、記録媒体1の両面にそれぞれ各欠陥の情報を記録する。その記録方式は特に限定されるものではなく、水性ペンや油性ペンでマークを付ける等の方法が挙げられるが、インクジェット記録媒体へ記録を行う際は、インクジェット記録方式が好ましい。インクジェット記録方式で記録を行う際には、インクの吐出方向の観点から、図3(b)に示すように、記録媒体1の上方から、記録装置8を用いて記録媒体の両面に各欠陥の情報を記録することが好ましい。すなわち、2台の記録装置8のうちの1台を用いて、一方の面に各欠陥の情報を記録した後、その記録媒体を巻き上げ、もう一台の記録装置8を用いて、もう一方の面に各欠陥の情報を記録することが好ましい。なお、図3(a)および(b)に示す装置を用いた場合、もう一方の面に対しても同様の操作を行い、ラインセンサにより欠陥を検知し、両面にそれぞれ各欠陥の情報を記録する。
【0017】
記録媒体1の両面側からラインセンサ7を用いて欠陥5を検知する場合は、図3(c)に示す装置を用いることができる。すなわち、ラインセンサ7を記録媒体1の両面側、例えば上下に配置し、その欠陥の情報を各センサーから記録媒体の両面側、例えば上下に配置された記録駆動装置8へそれぞれ発信し、記録媒体1の両面にそれぞれ各欠陥の情報を記録する。
【0018】
欠陥情報を示すマーク4を記録する場所は、欠陥5の情報を示すため、図1(a)および(b)に記載されている通り欠陥5が存在する位置の記録媒体の幅方向の位置11であれば特に限定はされない。欠陥が存在する位置の記録媒体の幅方向の位置とは、記録媒体の面において、存在する欠陥を通り、かつ記録媒体の幅方向に対して平行な全ての直線上の位置を意味する。しかし、印刷後の品位を考慮した場合には、欠陥5が存在する位置の記録媒体の幅方向の位置のうちの記録媒体1の印刷領域外6の位置に記録されることが好ましい。印刷領域外とは、インクジェット画像を形成する際に、画像を形成する範囲以外の部位のことを意味する。
【0019】
(インクジェット画像形成方法)
本発明のインクジェット画像形成方法は、前記記録媒体に印刷する際に、各欠陥の情報が記録された位置の前記記録媒体の幅方向の位置を避けて印刷を行うインクジェット画像形成方法である。なお、欠陥の情報が記録された位置の記録媒体の幅方向の位置とは、記録媒体の面において、記録された欠陥の情報(例えば、マークなど)を通り、かつ記録媒体の幅方向に対して平行な全ての直線上の位置を意味する。ただし、欠陥の情報が記録された位置の記録媒体の幅方向の位置を避けて印刷する際には、その位置を含みその位置から記録媒体の長さ方向に多少の余裕を持たせた領域を避けて印刷しても良い。
このように、記録媒体に印刷する際に、各欠陥の情報が記録された位置の記録媒体の幅方向の位置を避けて印刷することで、結果として、記録媒体に存在する各欠陥を避けて印刷することが可能となる。
また、本発明のインクジェット画像形成方法は、両面印刷用記録媒体の両面に印刷する場合にも用いることができるし、片面に印刷する場合にも用いることができる。
【0020】
以下に、一方の面のみに欠陥が存在する本発明の記録媒体から印刷物を作製するインクジェット画像形成方法の一例を説明する。
【0021】
図4(a)および(b)は一方の面3(B面)のみに欠陥が存在する本発明の記録媒体を、本発明のインクジェット画像形成方法を用いて両面印刷して得た印刷物を各面から見た場合の平面図を示している。図4(a)および(b)において、図面の上下方向が記録媒体の幅方向を表し、図面の左右方向が記録媒体の長さ方向を表す。
なお、印刷に用いるインクジェットプリンタは、上述したように前記センサーおよび前記記録駆動装置を備えたものを適宜使用することができる。まず、先に印刷する面2(A面)に印字する際に、もう一方の面3(B面)に存在する欠陥5の情報を示すA面中のマーク4の位置が、インクジェットプリンタの欠陥情報を読み取るセンサーによって予め読み取られる。そのセンサーからの情報により、A面中のマーク4(欠陥の情報が記録された位置)の記録媒体の幅方向の位置を含みその位置から長さ方向に余裕を持たせた領域(印刷されない領域12)に対しては印刷されずそれ以外の領域(印刷される領域9)には印刷される。次にB面を印刷する際には、B面に存在する欠陥5の情報を示すB面中のマーク4を予めセンサーによって読み取られる。そして、そのセンサーからの情報により、B面中のマーク4の幅方向の位置を含みその位置から記録媒体の長さ方向に余裕を持たせた領域(印刷されない領域12)には印刷されず、それ以外の領域(印刷される領域9)には印刷される。このような操作を経ることで、図4(a)および(b)に示す印刷物を得ることができる。このような印刷方式を取ることで、両面印刷の際に片面の印刷をした後に、もう一方の面の欠陥に気付き、印刷行為、記録媒体、及びインクを無駄にすることを防ぐことが可能となる。
【0022】
以下に、両面に欠陥が存在する本発明の記録媒体から印刷物を作製するインクジェット画像形成方法の一例を説明する。
【0023】
図5(a)および(b)は両面に欠陥が存在する本発明の記録媒体を本発明のインクジェット画像形成方法を用いて両面印刷して得た印刷物を各面から見た場合の平面図を示している。図5(a)および(b)において、図面の上下方向が記録媒体の幅方向を表し、図面の左右方向が記録媒体の長さ方向を表す。なお、印刷に用いるインクジェットプリンタは、上述のものを適宜使用することができる。先に印刷する面2(A面)に印字する際に、A面に存在する欠陥5の情報を示すA面中のマーク4の位置、およびB面3に存在する欠陥5の情報を示すA面中のマーク4の位置が、インクジェットプリンタの欠陥情報を読み取るセンサーによって予め読み取られる。そして、そのセンサーからの情報により、A面中のマーク4の幅方向の位置を含みその位置から記録媒体の長さ方向に余裕を持たせた領域(印刷されない領域12)に対しては印刷されず、それ以外の領域(印刷される領域9)には印刷される。次にB面を印刷する際には、B面に存在する欠陥5の情報を示すB面中のマーク4、A面に存在する欠陥の情報を示すB面中のマーク4が予めセンサーによって読み取られる。そして、そのセンサーからの情報により、記録媒体のB面中のマーク4の幅方向の位置を含みその位置から記録媒体の長さ方向に余裕を持たせた領域(印刷されない領域12)には印刷されず、それ以外の領域(印刷される領域9)には印刷される。このような操作を経ることで、図5(a)および(b)に示す印刷物を得ることができる。このようなインクジェット画像形成方法によれば、両面印刷の際に印刷行為、記録媒体、及びインクを無駄にすることを防ぐことが可能となる。
【0024】
(巻き芯、及び巻き取り方法)
本発明のインクジェット用記録媒体は、印刷時の操業性の観点から、長尺状で巻き芯の外周にロール状に巻回されたものを用いることが好ましい。
【0025】
記録媒体を巻き芯の外周に巻き上げロール状にする場合、巻き芯は特に限定されるものではなく、例えば、硬質紙管原紙を巻回し円筒状に加工した後、所望の長さに切断した紙管が挙げられる。紙管としては、必要に応じて表面を研磨仕上げ、あるいはウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂棟で吹き付け塗装後研磨仕上げしたものを用いると良い。紙管原紙の巻回・成形方法は特に限定されるものではなく、原紙を所望の大きさに切断後、樹脂等を含浸させて数回平巻きにし、熱プレス等の方法により表面を硬化させる方法を用いることができる。また、断面を台形状、平行四辺形状に加工した帯状の紙管原紙に樹脂等を含浸させた後、切断加工面を重ね合わせながら螺旋状に巻き上げ、熱プレス等の表面を硬化させる方法等も用いることができる。
【0026】
本発明において、記録媒体を巻き取る巻き取り機の方式は、特に限定されるものではないが、ゴムロール等のタッチロールを記録媒体に押しあてながら巻き取りドラムを駆動させる方式が、蛇行等を防止する観点から好ましい。
【0027】
本発明において、巻き取り時の張力は特に限定されるものではないが、2kg/m以上、20kg/m未満であることが好ましい。2kg/m以上の場合には、インクジェット用ロール紙の運搬中に巻ズレ等が発生することを優れて防ぐことができる。20kg/m未満の場合には、記録媒体のインク受容層が変形することを優れて防ぎ、印刷特性の低下を引き起こすことを優れて防ぐことができる。また、巻き取り時の張力は、巻き芯に近い内周部から外周部にかけて均一でも良いが、徐々に強くすることも巻ズレ防止とインク受容層の変形防止とを両立するのに有効である。
【実施例】
【0028】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。但し、本発明の内容は実施例によって限定されるものではない。
【0029】
(記録媒体の製造方法)
(基材(支持体)の作製例)
軽質炭酸カルシウム20質量部を、広葉樹晒クラフトパルプ100質量部からなるスラリー中に添加した。続いてそれにカチオン澱粉2質量部、無水アルケニルコハク酸系中性サイズ剤0.3質量部を添加し、十分に混合して抄紙原料とした。長網多筒式抄紙機を用いてその抄紙原料の水分を10質量%まで乾燥させ、サイズプレスで酸化澱粉の7質量%溶液を両面にそれぞれ4g/m2塗布、乾燥し、水分7質量%まで乾燥させて坪量140g/m2の基紙を作製した。その基紙の表裏両方の面に低密度ポリエチレン70質量部と低密度ポリエチレン20質量部とからなる、樹脂組成物をそれぞれ30g/m2塗工し、坪量200g/m2、長尺の基材Aを作製した。
【0030】
(インク受容層用塗工液の作製例)
イオン交換水314.7質量部中に、無水酢酸2.0質量部を添加し、十分攪拌したのち、無機微粒子としてアルミナ水和物(商品名:Disperal HP14:SASOL製)を100質量部添加し、十分攪拌し、コロイダルゾルを得た。得られたコロイダルゾル中のアルミナ水和物が22質量%となるように、イオン交換水で希釈してコロイダルゾルAを得た。
【0031】
一方、ポリビニルアルコール(商品名:PVA235クラレ(株)製、重合度:3500、ケン化度:88モル%)をイオン交換水中に溶解させて、固形分濃度8.0質量%のポリビニルアルコール(PVA)水溶液を得た。そして、上記で調製したコロイダルゾルAに前記作製したPVA溶液を、アルミナ水和物の固形分に対して、PVA固形分換算((PVA)/(アルミナ水和物)×100)が9質量%となるように混合した。次に、3.0質量%ホウ酸水溶液を、アルミナ水和物の固形分に対してホウ酸固形分換算で1.7質量%となるように混合して、インク受容層用の塗工液を得た。
【0032】
(記録媒体の作製例)
上記長尺の基材Aの一方の面に、上記インク受容層用の塗工液を乾燥後の塗工量が30g/m2となるように塗布した。なお、塗工液の塗工は、スライドダイを用いて40℃で行った。次に、これを60℃で乾燥して、次いで、インク受容層の設けていない面に、上記インク受容層の塗工液を乾燥後の塗工量が30g/m2となるようにスライドダイを用いて塗布し、60℃で乾燥してロール状に巻き取り記録媒体1を作製した。
【0033】
<実施例1>
記録媒体1を幅220mm、長さ100mに断裁しながら、図3(b)に示した装置で、前記記録媒体の先に印字する面(A面)ではない、もう一方の面(B面)の欠陥を検知した。この欠陥は直径2mmの円状のピンホールであった。なおこの記録媒体には、これ以外の欠陥は存在しなかった。図1(a)および(b)に示したように、前記記録媒体の両面に、B面に存在する欠陥の情報を、欠陥の幅方向の位置11のうちの印刷領域外6に、記録媒体の進行方向に対して右側に幅10mm、長さ10mmのマークとして記録しながら巻き上げた。
上記の欠陥の情報を記録した記録媒体を、欠陥の情報が存在する位置を含めて幅220mm、長さ297mmに断裁した。続いて、まず、欠陥の存在しない先に印刷する面(A面)を、前記マークを読み取るセンサーを備えたインクジェットプリンタを用いて画像を印刷した。その結果、A面中のもう一方の面の欠陥の情報を記録した部分(A面中のマークの幅方向の位置:幅220mm、長さ10mm)には印刷されなかった。その後、欠陥の存在する面(B面)を印字すると、図4(a)および(b)に示した通り、B面中の欠陥の情報を記録した部分(B面中のマークの幅方向の位置:幅220mm、長さ10mm)には印刷されなかった。このように両面の印刷を通して、欠陥の存在する部分には印刷されなかった。
【0034】
<実施例2>
記録媒体1を幅220mm、長さ100mに断裁しながら、図3(c)に示した装置で、前記記録媒体の両面の欠陥を検知した。続いて、図2(a)および(b)に示したように両面に存在する各欠陥の情報を、各欠陥の幅方向の位置11のうちの印刷領域外6に、記録媒体の進行方向に対して右側に幅10mm、長さ10mmのマークとして両面に記録しながら巻き上げた。上記各欠陥の情報を記録した記録媒体を、欠陥情報が存在する位置を含めて幅220mm、長さ297mmに断裁した。続いて、まず、片面を、前記マークを読み取るセンサーを備えたインクジェットプリンタを用いて画像を印刷したところ、欠陥の情報を記録した部分(各マークの幅方向の位置:幅220mm、長さ10mm)には印刷されなかった。その後、他方の面を印刷すると、欠陥の情報を記録した部分には印刷されず、両面の印刷を通して、図5(a)および(b)に示した通り、欠陥の存在する部分には印刷されなかった。
【0035】
<比較例1>
記録媒体1を幅220mm、長さ100mに断裁しながら、欠陥の情報を記録せずに巻き上げた。上記欠陥の情報が記録されていない記録媒体のうち、欠陥が存在する部分を含めて、幅220mm、長さ297mmに断裁し、両面に印刷した。この結果、欠陥が存在する部分にも印刷された。
【0036】
上記の結果より、記録媒体に存在する各欠陥の情報を両面に記録した記録媒体を用いることで、両面印刷を行う際に、記録媒体の欠陥を効率的に避けることが可能であることが確認された。
【符号の説明】
【0037】
1 記録媒体
2 A面
3 B面
4 マーク
5 欠陥
6 印刷領域外
7 ラインセンサ
8 記録装置
9 印刷される領域
10 バックアップロール
11 欠陥が存在する位置の記録媒体の幅方向の位置
12 印刷されない領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の両面上にそれぞれ少なくとも1層のインク受容層が設けられた記録媒体であって、前記記録媒体に存在する各欠陥の情報が、各欠陥が存在する位置の前記記録媒体の幅方向の位置で、かつ前記記録媒体の両面に記録されていることを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
前記各欠陥の情報が、前記記録媒体の印刷領域外に記録されている請求項1に記載の記録媒体。
【請求項3】
前記記録媒体が長尺状であり、巻き芯の外周にロール状に巻回されている請求項1または2に記載の記録媒体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載された記録媒体に印刷するインクジェット画像形成方法であって、前記各欠陥の情報が記録された位置の前記記録媒体の幅方向の位置を避けて印刷を行うことを特徴とする、インクジェット画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−56706(P2011−56706A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206916(P2009−206916)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】