説明

記録媒体内蔵構造体、記録媒体内蔵構造体積層物及びそれらを用いた非接触型記録方法

【課題】レーザ光を用いて非接触状態で可視情報の記録の書き換えを行う際に、レーザ光による記録媒体表面の熱破壊、汚れを洗浄する際の耐久性(浮きはがれ)、輸送時の衝撃による記録媒体及びICタグの損傷、太陽光などの光による発色性の劣化などの課題を解決し得る技術を提供する。
【解決手段】レーザ光により、非接触で可視情報の書き換え手段を少なくとも有する記録媒体を内部に保持した樹脂製の構造体であって、当該記録媒体が、外部からのレーザ光の照射により、情報の記録・消去を行うことができ、かつ前記樹脂製構造体において、レーザ光照射面から当該記録媒体間における、使用する波長域のレーザ光線透過率及び可視光線透過率が、それぞれ55%以上である記録媒体内蔵構造体、及び前記記録媒体内蔵構造体を用いて、非接触情報の書き換えを行う非接触型記録方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体内蔵構造体、記録媒体内蔵構造体積層物及びそれらを用いた非接触型記録方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、レーザ光により、非接触で可視情報の書き換え手段を少なくとも有する記録媒体を内部に保持した樹脂製構造体及びその積層物であって、繰り返し行うレーザ照射光に対する記録媒体の耐久性向上、記録媒体表面への汚れ付着防止、外的衝撃からの保護などを図ることができる記録媒体内蔵構造体及び記録媒体内蔵構造体積層物、並びにこれらを用いて、非接触状態で可視情報又は可視情報と不可視情報の記録を行う方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、物品の管理に使用されているラベル、例えば食品を輸送するプラスチックコンテナ(通い箱)に貼るラベル、電子部品の管理に用いるラベル、段ボールなどに貼る物流管理ラベルなどは、感熱記録材料(ダイレクトサーマル紙など)を表面基材に用いたものが主流となっている。
この感熱記録材料は、支持体上に電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前駆体と電子受容性の顕色剤とを主成分とする感熱記録層が設けられており、熱ヘッド、熱ペン等で加熱することにより、染料前駆体と顕色剤とが瞬時に反応し記録画像が得られるものである。このような感熱記録材料は、一般に一度画像を形成すると、その部分を消去して再び画像形成前の状態に戻すことは不可能である。
これまで、前記の物品管理に使用されるラベルにおいては、表面基材として、このような感熱記録材料が主として使用され、接触型のサーマルプリンタなどを用いて、宛先、送り主、品名、数量、重量、製造年月日、賞味期限、固有識別番号、ロット番号などの情報や、それらをバーコード化したものを印字し、被着体に貼付していた。そして、ラベルとしての役目が終了すると、被着体であるコンテナや段ボールなどを再利用するために、ラベルを人手で剥がすのに多くの時間と手間を要していた。また、ラベルが剥がされた被着体は、別のラベルが再度貼付され、繰り返し利用される。
このように、被着体が繰り返し利用される度に、ラベルの剥離及び貼付が行われているのが実状である。このため、ラベルを被着体からその都度剥がすことなく、被着体に貼付した状態で繰り返し情報の記録及び消去が可能なリライトサーマルラベルが注目され、例えば支持体上に染料前駆体と可逆性顕色剤を含む感熱発色層を設けてなる可視情報記録・消去手段を有する非接触型可逆性感熱記録材料が開発されている(例えば、特許文献1〜3参照)。また、可視情報が書き換え可能なリライト記録媒体に加え、不可視情報の書き換え可能なICタグを組み合わせた仕様も開示されている(例えば、特許文献4参照)。
一方、レーザ光を用いて非接触で書き込み及び/又は消去が可能な可視情報の記録を複数回繰り返し行う場合に、繰り返し照射されるレーザ光によって記録媒体の表面が熱破壊してしまう問題があった。レーザ光吸収熱変換材料を用いることで、その破壊状態は軽減できるが、完全な解決には至っていなかった。また、記録媒体に汚れが付着して印字の支障をきたしたり、輸送中、記録媒体表面にその他物品や容器が衝突して記録媒体の変形や脱落及びICタグ機能を損なうなどの問題が存在していた。
【特許文献1】特開2003−118238号公報
【特許文献2】特開2006−231647号公報
【特許文献3】特許第2741435号公報
【特許文献4】特開2004−265249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、このような事情のもとで、レーザ光を用いて非接触状態で可視情報の記録の書き換えを行う際に、レーザ光による記録媒体表面の熱破壊、汚れを洗浄する際の耐久性(浮きはがれ)、輸送時の衝撃による記録媒体の変形や脱落及びICタグの損傷、太陽光などの光による発色性の劣化などの課題を解決し得る技術を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、レーザ光により、非接触で可視情報の書き換え手段を少なくとも有する記録媒体を内部に保持した樹脂製構造体及び該樹脂製構造体を用いた積層物により、繰り返し行うレーザ照射光に対する記録媒体の耐久性向上、記録媒体表面への汚れ付着防止、外的衝撃からの保護などを図ることができることを見出した。
また、樹脂製構造体のレーザ光照射面から当該記録媒体間における、使用する波長域のレーザ光線透過率及び可視光線透過率を、それぞれ55%以上とすることにより、記録速度や記録濃度を低下させることなく、記録が可能となる上、レーザ光によって樹脂構造体表面の破壊も少なく、かつ可視情報を視認し得ることを見出した。
さらに、内蔵する記録媒体が、非接触で可視情報の書き換え手段を有すると共に、IC機能を備え、不可視情報の記録・消去手段を有する場合、当該記録媒体を内蔵する樹脂製構造体は、その搬送途中にて、リーダ/ライタによりICチップの不可視情報と、同時に表面からのレーザ光により可視情報の両方に対して、非接触状態で情報の書き込み及び/又は消去を容易に行い得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1]レーザ光により、非接触で可視情報の書き換え手段を少なくとも有する記録媒体を内部に保持した樹脂製の構造体であって、当該記録媒体が、外部からのレーザ光の照射により、情報の記録・消去を行うことができ、かつ前記樹脂製構造体において、レーザ光照射面から当該記録媒体間における、使用する波長域のレーザ光線透過率及び可視光線透過率が、それぞれ55%以上であることを特徴とする記録媒体内蔵構造体、
[2]樹脂製構造体の樹脂材料が、ポリスチレン、低密度ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリアミドの中から選ばれる少なくとも1種である上記[1]項に記載の記録媒体内蔵構造体、
[3]記録媒体が、支持体上に可逆性感熱発色層を有するものである上記[1]又は[2]項に記載の記録媒体内蔵構造体、
[4]使用するレーザ光の波長が700〜1500nmであって、可逆性感熱発色層がレーザ光吸収熱変換剤を含有するか、又は可逆性感熱発色層上にレーザ光吸収熱変換層が設けられてなる上記 [3]項に記載の記録媒体内蔵構造体、
[5]樹脂製構造体の内部に保持された記録媒体が、該樹脂製構造体におけるレーザ光照射面から、35mm以内の深さに位置する上記[1]〜[4]項のいずれかに記載の記録媒体内蔵構造体、
[6]記録媒体が、非接触で可視情報の書き換え手段を有すると共に、不可視情報の記録・消去手段を有する上記[1]〜[5]項のいずれかに記載の記録媒体内蔵構造体、
[7]不可視情報の記録・消去手段が、ICチップと、それに接続されるアンテナ回路から構成されている上記[6]項に記載の記録媒体内蔵構造体、
[8]上記[1]〜[7]項のいずれかに記載の記録媒体内蔵構造体を、他の構造体表面に取り付けてなる記録媒体内蔵構造体積層物、
[9]上記[1]〜[5]項のいずれかに記載の記録媒体内蔵構造体を用い、その表面からのレーザ光により、あるいは上記[8]項に記載の記録媒体内蔵構造体積層物を用い、記録媒体内蔵構造体の表面からのレーザ光により、可視情報の書き換えを行うことを特徴とする非接触型記録方法、及び
[10]上記[6]又は[7]項に記載の記録媒体内蔵構造体、あるいは上記[8]項に記載の記録媒体内蔵構造体積層物の搬送途中にて、リーダ/ライタによりICチップの不可視情報と、同時に表面からのレーザ光により可視情報の両方に対して、非接触状態で情報の記録及び/又は消去を行うことを特徴とする非接触型記録方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、レーザ光により、非接触で可視情報の書き換え手段を少なくとも有する記録媒体を内部に保持した樹脂製構造体及びその積層物であって、繰り返し行うレーザ照射光に対する記録媒体の耐久性向上、記録媒体表面への汚れ付着防止、外的衝撃からの保護などを図ることができる記録媒体内蔵構造体及び記録媒体内蔵構造体積層物、並びにこれらを用いて、非接触状態で可視情報又は可視情報と不可視情報の書き換えを行う方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の記録媒体内蔵構造体は、レーザ光により、非接触で可視情報の書き換え手段を少なくとも有する記録媒体を内部に保持した樹脂製構造体であって、当該記録媒体が、外部からのレーザ光の照射により、情報の記録・消去を行うことができる機能を有している。
本発明の記録媒体内蔵構造体において、前記記録媒体を内部に保持するための樹脂製構造体の樹脂材料としては、この樹脂製構造体のレーザ光照射面から、当該記録媒体間における、使用する波長域のレーザ光線透過率及び可視光線透過率が、それぞれ55%以上であればよく、特に制限されず、様々なレーザ光透過性の非晶性樹脂や結晶性樹脂を用いることができる。
レーザ光透過性非晶性樹脂としては、例えばポリスチレン、低密度ポリエチレン、ポリカーボネートなどを好ましく挙げることができ、レーザ光透過性結晶性樹脂としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミドなどを好ましく挙げることができる。また、衝撃吸収性の面から、前記樹脂にゴム弾性を付与するように変性した樹脂を用いることもできる。本発明においては、前記のレーザ光透過性樹脂を1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、レーザ光を透過しやすく、ガラス転移温度Tgが高くて耐熱性を有する樹脂が好ましい。また、この樹脂製構造体は、前記の透過率の要件が損なわれない範囲で着色されていてもよい。
本発明において、樹脂製構造体の内部に、当該記録媒体を保持させる手段に特に制限はなく、例えば当該記録媒体の裏面に設けられた粘接着剤(粘着剤又は接着剤を指す。)を介して、成形工程内で接着させたり、粘接着剤を利用しないで、当該記録媒体を金型内に挟み込んで、射出成形と同時に金型内で樹脂裏面側に記録媒体を位置させるインモールド成形法を用いることができる。樹脂製構造体の内部に記録媒体を保持させた状態とは、樹脂製構造体の樹脂内部に、記録媒体を埋め込んだ状態のことをいう。
【0007】
さらに、当該記録媒体の表面側に、硬化樹脂材料からなる保護層を設け、硬化させることにより、架橋構造の樹脂製保護層を形成し、この記録媒体の裏面側を、例えば粘接着剤を介して樹脂構造体に接着させ一体化することにより、記録媒体内蔵構造体を作製することができる。この場合も、該保護層は前述したレーザ光線透過率及び可視光線透過率の要件を満たすことが必要である。また、保護層に使用する樹脂は、レーザ光を透過しやすく、ガラス転移温度Tgが高くて耐熱性を有する樹脂が好ましく、前記樹脂製構造体の樹脂材料として列挙したものを挙げることができる。
また、本発明においては、前記のようにして得られた記録媒体内蔵構造体を、他の構造体の表面に接合することができる。この場合、他の構造体は樹脂製であってもよく、非樹脂製であってもよい。他の構造体が樹脂製の場合、記録媒体内蔵構造体を、他の構造体表面に熱により溶融接着して接合してもよいし、粘接着剤を介して接合してもよい。また、他の構造体と前記のレーザ光透過性樹脂から得られた構造体の間に、当該記録媒体を介挿し、熱融着して両構造体を接合してもよいし、粘接着剤を介して接合してもよい。
一方、他の構造体が非樹脂製の場合には、通常、記録媒体内蔵構造体を、粘接着剤を介して、他の構造体表面に接合する方法が用いられる。
なお、本発明の記録媒体内蔵構造体は、前記のレーザ光透過性樹脂のブロー成形により、当該記録媒体を挿入させることができる空間部を有する構造体を作製し、その空間部に当該記録媒体を挿入した形態のもの、あるいは袋状のポケットを有する構造体を作製し、そのポケットに当該記録媒体を挿入させた形態のものも包含する。また、本発明において、当該記録媒体を内蔵させる前記のレーザ光透過性樹脂構造体の成形方法については特に制限はない。さらに、成形時の冷却を速めることで、樹脂製構造体の透明性が上がり、レーザ光線透過率や可視光線透過率の低下を低減することができる。
【0008】
本発明の記録媒体内蔵構造体においては、レーザ光照射面から当該記録媒体間における、使用する波長域のレーザ光線透過率及び可視光線透過率がそれぞれ55%以上であることを要し、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上である。該レーザ光線透過率を55%以上とすることで記録速度や記録濃度を低下させることなく記録が可能となり、また、レーザ光によって樹脂製構造体表面の破壊も少ない。また、可視光線透過率を55%以上とすることで、可視情報の視認が可能となる。ただし、バーコードの読み取りを行う際には、バーコードリーダで用いる波長にて、それ以上の透過率が必要となる。
また、樹脂製構造体の内部に保持された記録媒体の位置(レーザ光照射面からの深さ)は、深すぎると、構造体を構成する樹脂によるレーザ光の吸収が多くなり、エネルギー不足による発色不良、消去不良、樹脂製構造体の表面破壊などの問題が発生するので、レーザ光照射面から35mm以内の深さに位置することを要し、30mm以内の深さに位置させるのが好ましい。
記録及び消去の可視情報の書き換えができ、樹脂製構造体表面を破壊することなく、その内部に位置する記録媒体の可逆性感熱記録層の発色及び消去に必要な熱量を付与するには、前述のように、レーザ光エネルギーを損失しないように55%以上のレーザ光線透過率が必要であり、可逆性感熱発色層に記録された可視情報の視認性及びバーコード読み取り適性を配慮して、可視光域の透過率も55%以上となる樹脂層が記録媒体上に0.01〜35mmの範囲で位置するように、構造体を作製することが好ましい。
このように、樹脂製構造体内部に記録媒体を保持することにより、従来困難であった耐溶剤性や耐光性などの外的要因からの保護にも寄与し、また静電気で付着する汚染物質を付着させないためには、構造体表面に帯電防止剤を塗布又は内部へ添加することにより解決することができる。
記録又は消去に用いるレーザ光の波長としては、樹脂製構造体の表面を破壊しないためにも、700〜1500nmの近赤外レーザ光を必要最低出力で用いることがよい。
波長がそれ以上の場合、又は樹脂製構造体のレーザ光線透過率が低く、レーザ光を吸収してしまうと、該構造体の表面が熱で破壊しやすくなる。
本発明の記録媒体内蔵構造体においては、レーザ光線透過率及び可視光線透過率が、それぞれ55%未満にならない範囲で、必要に応じて、内蔵する記録媒体より表面側(レーザ光照射面側)に位置する樹脂内部又は表面に、紫外線や可視光の吸収効果をもたらす材料を添加又はコーティングすることも可能である。可視光の吸収には透過率を損なわないように着色することも有効である。これにより、記録媒体の可逆性感熱発色層における染料前駆体の分解を抑制することができ、記録画像の保存性及び消去の際の消え残りを低減することができる。
【0009】
本発明の記録媒体内蔵構造体において、内蔵される記録媒体は、非接触で可視情報の書き換え手段を少なくとも有するものであって、支持体上に可逆性感熱発色層を有するものを用いることができる。
前記支持体としては特に制限はなく、例えばポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのプラスチックフィルム、合成紙、不織布、紙などが挙げられる。支持体の厚さとしては特に制限はないが、通常10〜500μm、好ましくは20〜200μmの範囲である。また、支持体としてプラスチックフィルムを用いる場合には、その表面に設けられるアンカーコート層や粘着剤層との密着性を向上させる目的で、所望により酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は支持体の種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。
また、レーザ光による情報の記録を行う際の熱を効果的に利用するために、断熱効果の高い発泡フィルムを支持体として用いることも有効である。さらに、支持体としては、繰り返し使用適性に優れるプラスチックフィルムが好ましい。
【0010】
また、前記支持体の一方の面にアンカーコート層を設けることができる。このアンカーコート層は、可逆性感熱発色層と支持体との密着性を向上させるため、及び次工程の可逆性感熱発色層を設ける際に用いられる塗工液中の溶剤から支持体を保護するためのものであり、このアンカーコート層を設けることにより、耐溶剤性の乏しい支持体も使用が可能となる。
該アンカーコート層を構成する樹脂としては、特に制限はなく、各種のものが使用可能であるが、耐溶剤性に優れる架橋化樹脂が好適に用いられる。この架橋化樹脂としては、例えば架橋化することのできるアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。支持体として、耐溶剤性に劣るものを用いる場合には、アンカーコート層の形成に有機溶剤型でない塗工液、例えば水溶液型や水分散型塗工液の使用が好ましい。また、架橋方法としては特に制限はなく、従来公知の様々な方法の中から、使用する樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。
さらに、無溶媒型として、紫外線や電子線などの電離放射線で架橋硬化する樹脂の使用も有効である。この電離放射線硬化型樹脂は、照射線量を変えることにより、架橋密度を容易に調整することができる上、架橋密度の高い架橋化樹脂を形成することができる。
【0011】
前記支持体表面に設けられる可逆性感熱発色層は、一般に無色ないし淡色の染料前駆体、可逆性顕色剤及び必要に応じて用いられるバインダー、消色促進剤、無機顔料、各種添加剤などから構成されている。
前記染料前駆体としては特に制限はなく、従来感熱記録材料において、染料前駆体として用いられている公知の化合物の中から、任意のものを適宜選択して使用することができる。例えば3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリドなどのトリアリールメタン系化合物、ローダミンBアニリノラクタム、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランなどのキサンテン系化合物、4,4'−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミンなどのジフェニルメタン系化合物、3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピランなどのスピロ系化合物、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルーなどのチアジン系化合物などの中から1種を選び用いてもよく、2種以上を選び組み合わせて用いてもよい。
【0012】
一方、可逆性顕色剤としては、加熱後の冷却速度の違いにより、前記染料前駆体に可逆的な色調変化を生じさせるものであればよく、特に制限はないが、発色濃度、消色性、繰り返しの耐久性などの点から、長鎖アルキル基を有するフェノール誘導体からなる電子受容性化合物が好ましい。
前記フェノール誘導体は、分子中に酸素、硫黄などの原子やアミド結合を有していてもよい。アルキル基の長さや数は、消色性と発色性のバランスなどを考慮して選定されるが、アルキル基としては、炭素数8以上のものが好ましく、特に8〜24程度のものが好ましい。また、長鎖アルキル基を側鎖にもつヒドラジン化合物、アニリド化合物、尿素化合物なども使用することができる。
このような長鎖アルキル基を有するフェノール誘導体としては、例えば4−(N−メチル−N−オクタデシルスルホニルアミノ)フェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N'−n−オクタデシルチオ尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N'−n−オクタデシル尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N'−n−オクタデシルチオアミド、N−[3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N'−オクタデカノヒドラジド、4'−ヒドロキシ−4−オクタデシルベンズアニリドなどを挙げることができる。
このような可逆性顕色剤の結晶性を利用して、情報を記録する際には、加熱後急冷することにより、一方消去する際には、加熱後徐冷を行うことにより、繰り返し情報の記録及び消去が可能となる。
なお、当該記録媒体を樹脂製構造体に内蔵させた場合、該樹脂製構造体における樹脂の保温効果により、冷却が徐冷となる場合が多く、したがって、記録時に発色状態を安定させるために、当該記録媒体を内蔵した樹脂製構造体を、空冷又は冷風などにより、冷却する手段を講じることができる。
【0013】
また、可逆性感熱発色層を構成する各成分の保持、均一分散性を維持するなどの目的で、必要に応じて用いられるバインダーとしては、例えばポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコールなどの重合体やそれらを構成するモノマーの共重合体を挙げることができる。
さらに、必要に応じて用いられる消色促進剤としては、例えばアンモニウム塩などが、無機顔料としては、例えばタルク、カオリン、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウムなどが、その他添加剤としては、例えば公知のレベリング剤や分散剤などが挙げられる。
【0014】
可逆性感熱発色層を形成するには、まず適当な有機溶剤中に、前記の染料前駆体、可逆性顕色剤及び必要に応じて用いられる各種添加成分を溶解又は分散させて塗工液を調製する。この際、有機溶剤としては、例えばアルコール系、エーテル系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系などを用いることができるが、特にテトラヒドロフランが分散性などに優れ、好適である。染料前駆体と可逆性顕色剤の割合については特に制限はないが、染料前駆体100質量部に対し、可逆性顕色剤が、通常50〜700質量部、好ましくは100〜500質量部の範囲で用いられる。
次に、このようにして調製された塗工液を、従来公知の手段で塗工し、乾燥処理することにより、前記支持体上に可逆性感熱発色層を形成する。乾燥処理温度については特に制限はないが、染料前駆体が発色しないように低温で乾燥するのが望ましい。このようにして形成された可逆性感熱発色層の厚さは、通常1〜10μm、好ましくは2〜7μmの範囲である。
【0015】
本発明の書き換え可能な記録媒体においては、このようにして形成された可逆性感熱発色層上に、樹脂シート層や保護層を設けることができるが、前記可逆性感熱発色層中に、レーザ光吸収熱変換剤や発色濃度を維持する目的で紫外線吸収剤などを含有させてもよいし、あるいは可逆性感熱発色層と樹脂シート層や保護層との界面に、レーザ光吸収熱変換剤を含む層や紫外線吸収剤を含む層を設けてもよい。
前記レーザ光吸収熱変換剤は、照射するレーザ光を吸収して熱に変換する作用を有するものであって、使用するレーザ光によって、適宜選択される。レーザ光としては、樹脂製構造体の樹脂材料のレーザ光透過性や、装置の簡便性や走査性などの面から、発振波長が700〜1500nmの範囲にあるものを選定するのがよく、例えば半導体レーザ光(830nm)及びYAGレーザ光並びにFAYbレーザ光(1064nm)が好適である。
該レーザ光吸収熱変換剤は、このような近赤外のレーザ光を吸収し、発熱するものであって、可視光域の光はあまり吸収しないものが好ましい。該レーザ光吸収熱変換剤が可視光を吸収すると本発明の書き換え可能な記録媒体の視認性やバーコード読み取り性が低下する。このような要求性能を満たすレーザ光吸収熱変換剤としては、有機染料及び/又は有機金属系色素を挙げることができる。具体的には、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、アントラキノン系色素、アズレン系色素、スクワリリウム系色素、金属錯体系色素、トリフェニルメタン系色素、インドレニン系色素などの中から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中で、高い光熱変換性を有することから、インドレニン系色素が好適である。
【0016】
当該記録媒体における各層の形成順序に特に制限はないが、例えば支持体の一方の面に、必要に応じてアンカーコート層、可逆性感熱発色層、必要に応じてレーザ光吸収熱変換層及び樹脂シート層や保護層の順に設ける。
なお、レーザ光吸収熱変換剤を可逆性感熱発色層中に含有させると、発色や消色効率がさらに向上する。
前記アンカーコート層、可逆性感熱発色層及びレーザ光吸収熱変換層は、それぞれの塗工液を、ダイレクトグラビア、グラビアリバース、マイクログラビア、マイヤーバー、エアーナイフ、ブレード、ダイ、ロールナイフ、リバース、カーテンコートなどのコート法や、フレキソ、レタープレス、スクリーンなどの印刷方法で塗工、乾燥し、必要ならばさらに加熱することにより、形成することができる。特に、可逆性感熱発色層は、発色しないように低温で乾燥するのが望ましい。また、電離放射線硬化型の場合は、電離放射線を照射して硬化させる。
【0017】
次いで、前記の必要に応じてレーザ光吸収熱変換剤を含む可逆性感熱発色層又は必要に応じて設けられるレーザ光吸収熱変換層の上に、樹脂シート層や保護層を積層する。なお、前記の可逆性感熱発色層又はレーザ光吸収熱変換層の上に、予め印刷を行い、その後に樹脂シート層や保護層を設けてもよいし、樹脂シート層や保護層を設けた後で、その上に印刷を施してもよい。この場合、印刷層部分は、レーザ光による書き換え可能印字部分とは異なる位置とすることが肝要である。
樹脂シート層や保護層としては、使用するレーザ光によって熱破壊が起こりにくい材質が用いられる。使用するレーザ光の透過率が55%以上で、かつ可視光線透過率が55%以上の要件を満たせば任意の樹脂材料を用いることができる。樹脂シート層や保護層の厚さとしては0.01〜35mmが好ましい。0.01mm未満の厚さの場合、衝撃に対する保護機能が不十分となる場合もあり、35mmを超えると、光透過率が下がるため、視認性が低下するとともに、レーザ光による記録や消去の効率が低下し、書き換えに時間を要してしまう場合もある。また、レーザ出力を上げると、樹脂表面の破壊に繋がるため好ましくない。
また、樹脂シート層や保護層が紫外線の吸収性を有していると、記録された媒体が記録後に放置された場合、太陽光をはじめとする紫外線による画像濃度の低下、染料前駆体である色素やレーザ光吸収熱変換剤の分解を抑制できるため、記録媒体の耐光性向上に大きく寄与することができる。
【0018】
このようにして得られた非接触で可視情報の書き換え手段を少なくとも有する記録媒体を、前述した方法に従って、樹脂製構造体の内部に保持させることにより、本発明の記録媒体内蔵構造体が得られる。この記録媒体内蔵構造体は、そのまま非接触での情報の書き換えに用いてもよいし、他の構造体の表面に取り付けた状態、すなわち記録媒体内蔵構造体積層物として、非接触での情報の書き換えに用いてもよい。
図1は、本発明の記録媒体内蔵構造体積層物の構成の1例を示すイメージ図である。
支持体1の一方の面に、可逆性感熱発色層2、レーザ光吸収熱変換層3及び樹脂シート層4が順に積層された、非接触で可視情報の書き換え手段を有する記録媒体15を、樹脂製構造体25の内部に保持してなる記録媒体内蔵構造体30が、他の構造体40の表面に接合された状態を示している。
このような構成を有する本発明の記録媒体内蔵構造体及び記録媒体内蔵構造体積層物は、繰り返し行うレーザ照射光に対する記録媒体の耐久性向上、記録媒体表面への汚れ付着防止、外的衝撃からの保護などの機能を効果的に発揮することができる。
なお、図1において、記録媒体15は、支持体1の可逆性感熱発色層2とは反対側の面に、接着剤層を介して後で説明するようにICタグを備えていてもよい。このように、記録媒体15がICタグを備えることにより、搬送途中にて、リーダ/ライタによりICチップの不可視情報と、同時にレーザ光により可視情報の両方に対して、非接触状態で情報の記録及び/又は消去を行うことができる。
【0019】
本発明の記録媒体内蔵構造体及び記録媒体内蔵構造体積層物においては、記録媒体とレーザ光源の距離は、照射出力によって異なるが、1cmないし100cmの範囲が好ましい、また、レーザ光のビーム径は、当該記録媒体表面で1〜300μm程度に集光させることが、画像形成面で好ましい。走査速度は速いほど記録時間が短くて有利であり、0.5m/秒以上が好ましく、特に3m/秒以上が望ましい。レーザの出力としては、50mW以上であればよいが、印字速度を上げるためには300〜50000mW程度が実用上好ましい。
このようにしてレーザ光を照射した後に、自然冷却を含めた冷却を行うことにより画像を得ることができる。蓄熱や環境条件で冷却速度が遅くなると、画像濃度が低下したり、消色したりすることがある。この冷却作業は、レーザ光の走査と交互に行ってもよいし、同時に行ってもよい。
【0020】
本発明の記録媒体内蔵構造体及び記録媒体内蔵構造体積層物は、物品の輸送などの目的を果たしたのち、再度利用するために、必要に応じて洗浄される。洗浄方法としては、エアーを吹き付けてゴミなどを除去する方法、水洗い方法、アルカリ温水による洗浄方法などが用いられる。
使用済の構造体や積層物を再度利用するために、内蔵されている記録媒体の情報を、新しい情報へ書きなおす必要がある。この場合、まず、構造体に内蔵された記録媒体に熱を加える。この熱としては、50〜180℃程度、好ましくは70〜150℃の範囲の温度が有利である。この温度は、可逆性感熱発色層における可逆性顕色剤や消色促進剤の種類によって変化させることができる。加熱方法としては、熱ロールなどを接触させる方法、熱風を吹付ける方法、レーザ光の照射の時間を長くしたり、出力を上げて記録媒体に加熱された温度が徐々に下がるような方法を用いることができる。加熱後、記録媒体を構造体ごと自然冷却又は冷風などにより、ゆっくり冷却することにより記録情報を消去する。この徐冷環境は冷却方法以外にも、加熱時間や加熱温度の制御によっても徐冷効果をもたらすことができる。本発明において構造体を通過して消去用の加熱を行う最も適した手段としては、後で説明するように、レーザ光によるものを挙げることができる。
【0021】
次に、このようにして情報を消去したのち、前述で説明した非接触方式により、新しい情報の記録を行う。このように、前記工程を繰り返すことにより、構造体及び記録媒体を繰り返し利用することができる。
本発明においては、この記録と消去の繰り返し回数は1000回以上が可能である。所定回数利用した構造体及び記録媒体は、必要に応じて一緒にリサイクル工程へ送ることも可能であるが、その場合は支持体や樹脂シートの材質と構造体や樹脂製構造体の材質は同一又は互いに相溶するものが好ましい。また、後述のようにICチップや回路が設けられている場合は、リサイクル前に記録媒体を除去するのが望ましい。この場合、本発明の記録媒体内蔵構造体を、他の構造体表面に取り付けた状態、すなわち記録媒体内蔵構造体積層物として用い、目的を果たしたのち、該記録媒体内蔵構造体を、他の構造体から離脱できるようにすることが好ましい。
従来、被着体をリサイクルする場合、記録媒体が異物となり、リサイクル品の強度低下などが生じるため、記録媒体を除去する必要があった。また、従来の感熱発色剤は熱により発色して汚れとなるため、媒体ラベルを被着体と共にリサイクルすることは不可とされていた。これに対し、本発明で用いる可逆性感熱発色剤は、従来の感熱発色剤とは異なり、徐冷で消色するため、リサイクル工程で発色しないものであり、記録媒体の支持体を構造体の材質と同材質とすることにより、構造体と共にリサイクルすることも可能となる。
【0022】
本発明においては、レーザ光(レーザビーム)として、前述のように波長が700〜1500nmの範囲にある近赤外レーザビームを用いることが好ましい。波長が700nmより短いものは、視認性及び光学反射読み取り記号の読み取り性が低下するため好ましくない。波長が1500nmより長いものは、熱の影響が大きいため構造体や保護層の表面が徐々に破壊され、繰り返し記録、消去を行う耐久性が低下する傾向がある。本発明においては、特定の光学特性を有する構造体や保護層に対して、特定波長のレーザ光を照射することにより、この問題を解決することができる。
また、本発明における記録方式としては、スキャニングミラーを、レーザ光の発振を行うことなく連続駆動させ、レーザ光を発振した場合に想定されるレーザビームの軌跡(仮想レーザビーム)が実質上等速運動している場合のみに、レーザ光を発振させてレーザ光の走査を行い、描画する記録方式が好ましい。
【0023】
本発明における記録画像の消去方法は、レーザ光による加熱、熱風による加熱などが挙げられ、特に加熱手段を限定するものではないが、700〜1500nmの近赤外レーザビームを照射することが好ましい。
構造体への熱ダメージを考慮すると、レーザ光照射により、構造体表面や保護層表面から効率よく消去に必要な熱を与えることが好ましい。消去の際のレーザ光の照射条件としては、走査線幅が1.4mmの場合(照射距離235mm)、1〜30Wの出力で行うことができ、好ましくは8〜15Wである。走査速度は50〜5000mm/秒、好ましくは、300〜1000mm/秒である。出力との兼ね合いでこの限りではない。
本発明における書き換え方法は、画像消去後、再び画像記録を行う場合、最初の記録と同様に記録を行う。特にこの場合、構造体に内蔵する記録媒体であっても、非接触の状態でレーザビームを照射することにより、書き換えを実現することができる。
【0024】
次に、本発明で用いる記録媒体において、支持体の可逆性感熱発色層とは反対側の面にICタグ(ICチップとアンテナ回路を内蔵)を設けた記録媒体付ICタグについて説明する。
本発明に用いる記録媒体付ICタグにおける可視情報の記録及び消去は、レーザ光で行うことができ、レーザヘッドからの記録可能な距離及び消去可能な距離と、不可視情報の記録及び消去における記録・消去用部材からの記録・消去可能な距離を異ならせることができるので、同一装置内に、可視情報の記録・消去用のレーザヘッドと、不可視情報の記録・消去用部材の位置を変えて搭載することで、同一装置によって、前記ICタグに対して、非接触で情報の消去及び記録が可能な効率的なリーダ/ライタとすることができる。
本発明によれば、非接触で書き込み及び消去が可能な、不可視情報記録・消去手段と可視情報記録・消去手段とを備え、レーザ光による可視情報の記録が可能な記録媒体を内蔵した構造体を提供することができる。
【0025】
このような不可視情報記録・消去手段と可視情報記録・消去手段を備えた書き換え可能な記録媒体においては、可視情報はタグの大きさにもよるが、記録可能な情報量としては数十文字程度であるのに対し、ICタグは数千文字程度の不可視情報を記録可能である。したがって、本発明によれば必要最小限の情報を可視情報として記録し、他の詳細な情報は不可視情報として記録させることにより、小型で多くの情報量を保持した記録媒体付ICタグを提供することができる。
さらに、耐衝撃性に優れ、ICチップやアンテナ回路の破壊もなく、レーザ光による表面破壊も少ない繰り返し書き換えを行うことができる。
また、前記記録媒体付ICタグにおける不可視情報記録・消去手段及び可視情報記録・消去手段の両方に対して、同一装置により非接触で情報の消去及び書き込みが可能である記録媒体付ICタグ用リーダ/ライタ、及び物流管理などに適用される前記記録媒体付ICタグを用いたシステムを提供することができる。すなわち、上記不可視情報記録・消去手段と可視情報記録・消去手段は非接触でのデータの記録・消去が可能であることから、データの記録・消去工程の自動化が可能なシステムを提供することができる。
【0026】
このような記録媒体付ICタグは、支持体表面に、非接触で記録及び消去が可能な、不可視情報記録・消去手段と可視情報記録・消去手段とを有しており、以下、RWT−ICタグと称することがある。
また、このRWT−ICタグにおける不可視情報記録・消去手段としては、通常のICタグに一般に用いられているICチップと、それに接続されるアンテナ回路から構成されているものを挙げることができる。
図2及び図3は、それぞれ本発明で用いるRWT−ICタグの異なる例の概略断面図である。
図2において、RWT−ICタグ20aは、支持体1の一方の面に、所望により設けられるアンカーコート層5を介して可逆性感熱発色層2が設けられ、さらにその上に所望によりレーザ光吸収熱変換層3、粘接着剤層6及び樹脂シート層4が設けられることにより、非接触で可視情報の書き換え手段を有する記録媒体15が形成されると共に、前記支持体1の他方の面に、接着剤層7を介して形成されたアンテナ回路8及びそれに接続されているICチップ9を有し、不可視情報記録・消去手段であるICタグが形成された構造を有している。なお、符号10は絶縁インキ、11はICチップ9を実装するための接着剤、14は絶縁インキ上に設けた導電性ペーストである。
一方、図3において、RWT−ICタグ20bは、前記図1におけるアンテナ回路8及びそれに接続されているICチップ9が、剥離シート13付き粘着剤層12によって、被覆された構造を有している。
【0027】
次に、本発明で用いるRWT−ICタグを作製する方法について説明する。
まず、不可視情報記録・消去手段として支持体1の一方の面に、接着剤層7を介して設けられるアンテナ回路8の形成及びそれに接続されたICチップ9の実装は、以下のようにして行うことができる。
支持体1の一方の面に、接着剤層7を介して銅箔又はアルミニウム箔などの導電性金属箔を貼着する。この場合、図2及び図3では接着剤層7が設けられているが、支持体1上に、直接蒸着や金属溶射などにより、銅薄膜又はアルミニウム薄膜などの導電性金属薄膜を設けてもよい。次いで、例えばリソグラフィー技術を用いるエッチング加工によりアンテナパターンを形成する。また、これら以外の方法として、支持体1上に、導電性ペーストをシルクスクリーン印刷法などにより塗布し、アンテナパターンを形成してもよい。上記導電性ペーストは、銀粉末などの金属粒子、接着用樹脂、可塑剤、溶剤などを含有するものである。
このようにしてアンテナパターンを形成したのち、絶縁インキ10及び導電性ペースト14を用いてアンテナ回路8を形成すると共に、接着剤11を用いてICチップ9を実装する。
図2の場合は、このままでよいが、図3の場合には、このようにして、支持体1の一方の面に、接着剤層7を介して形成されたアンテナ回路8及びそれに接続されているICチップ9を、剥離シート13付き粘着剤層12によって被覆する。図3においては、粘着剤層12は単層のものを示しているが、不織布やプラスチックなどの中芯の両側に粘着剤層を有する両面粘着テープのようなものを用いてもよい。
次に、支持体1の他方の面に、可視情報記録・消去手段を有する前記記録媒体を粘接着剤層(両面粘着テープなど)を介して支持体同士を接合して一体化することにより、図2及び図3に示す非接触で可視情報の書き換え手段を有する記録媒体15を形成する。
最後に、所定形状に裁断することにより、所望のRWT−ICタグが得られる。
裁断においては、図3に示したように、剥離シート13は、RWT−ICタグよりも大きくてもよいし、RWT−ICタグと同じ大きさでもよい。
本発明で用いるRWT−ICタグの形状については特に制限はなく、例えばラベル型、カード型、コイン型、スティック型などがあるが、一般的にはラベル型(方形状)である。そのサイズは用途にもよるが、ラベル型の場合、通常5〜100mm×5〜100mm程度であり、また厚さは100〜1000μm程度である(剥離シートを含まず)。
【0028】
このようにして作製された図2に示すRWT−ICタグ及び図3に示すRWT−ICタグは、いずれも本発明の記録媒体内蔵構造体における記録媒体として用いることができる。これらのRWT−ICタグを、非接触で可視情報の書き換え手段を有すると共に、不可視情報の記録・消去手段を有する記録媒体として、樹脂製構造体に内蔵させる場合、該記録媒体の可逆性感熱発色層が、該構造体のレーザ光照射面に対面するように配置する。
図3で示されるRWT−ICタグの場合、ICタグ面に粘着剤層が設けられているので、剥離シートを剥がすことで、内蔵時の位置の固定が容易である。
本発明はまた、前述した本発明の記録媒体(非接触で可視情報の書き換え手段を有する記録媒体)内蔵構造体、あるいは記録媒体内蔵構造体積層物を用い、その表面からのレーザ光により、可視情報の書き換えを行うことを特徴とする非接触型記録方法、及び前述した本発明の記録媒体(非接触で可視情報の書き換え手段を有すると共に、不可視情報の記録・消去手段を有する記録媒体)内蔵構造体、あるいは記録媒体内蔵構造体積層物の搬送途中にて、リーダ/ライタにより、ICチップの不可視情報と、同時に表面からのレーザ光により可視情報の両方に対して、非接触状態で情報の記録及び/又は消去を行うことを特徴とする非接触型記録方法をも提供する。
このような方法を採用することにより、非接触で情報の消去又は記録を自動的に行う物品管理システムを構築することができる。特に、RWT−ICタグを内蔵した構造体を物品管理に使用することにより、該RWT−ICタグの不可視情報記録・消去手段及び可視情報記録・消去手段の両方に対して、非接触で情報の消去又は記録を行うことができるため、該RWT−ICタグ内蔵構造体は、物品管理システムの構築に好適に用いられる。
【0029】
本発明の記録媒体内蔵構造体及び記録媒体内蔵構造体積層物は、下記の効果を奏する。
(1)レーザ照射光に対する記録媒体の耐久性向上、記録媒体表面への汚れ付着防止、外的衝撃からの保護などの機能を効果的に発揮することができる。
(2)可視情報の記録・消去を繰り返し行っても、記録媒体の記録面へ与える熱破壊の損傷がなく、1000回以上の再利用が可能となり、記録媒体の再利用回数の増加に伴い、廃棄物削減の環境面や1回あたりの利用にかかるコストも削減できる。
(3)樹脂製構造体の樹脂材料として特定のものを用い、かつ特定の深さに記録媒体を位置させることによって、レーザ光による記録や消去、可視情報の視認容易性、バーコードリーダでのバーコード読み取り性を低下させることがない。
(4)可視情報の視認性は、当該構造体や積層物(コンテナなど)を配送する際に、人間が可視情報で情報を確認しながら、配送作業を行えるため、配送作業が格段に容易となる。付随して、当該記録媒体内蔵構造体や記録媒体内蔵構造体積層物を利用した管理方法によって、配送ミスなど、人間による識別ミスも極端に低減することができる。
(5)記録媒体として、非接触で可視情報の書き換え手段を有すると共に、不可視情報の記録・消去手段を有するRWT−ICタグを用いることにより、上記(1)の機能と相俟って、製造分野におけるFA工程、在庫の入出庫工程、出荷工程、出荷後の流通工程のすべてにおいて自動化を図ることが可能であり産業上、多大な利便性をもたらすことができる。
【実施例】
【0030】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られた書き換え可能記録媒体の性能評価は、以下に示す方法に従って行った。
<記録(印字)方法>
レーザビームを照射するレーザマーカーとして、FAYbレーザ(波長1064nm)[サンクス(株)製、商品名「LP−V10」]を用いて記録を行った。
照射距離180mm、レーザ出力10W、デューティ100%、スキャンスピード1000mm/秒、連続発振で文字の始点終点でON/OFFを切り替え、線幅0.1mm、塗りつぶし間隔0.05mmになるように調節し、文字の太さ0.3mm、文字の大きさ1cm角のアルファベットA〜Jまでの10文字の記録を行った。
<消去方法>
記録に使用した同じレーザマーカーで、媒体までの照射距離230mm、レーザ出力10W、デューティ100%、スキャンスピード350mm/秒、消去エリアの始点終点でレーザのON/OFFを切り替えて、走査線幅1.4mm、塗りつぶし間隔0.05mmになるように調節して、先に記録した画像の消去を行った。消去としてレーザを走査するエリアは、記録エリアより幅、長さともに5mm大きいエリア範囲に設定した。
<書き換え試験>
上述の記録及び消去を0回、500回繰り返し行った。それぞれの表面破壊の有無を目視にて評価した。
<記録画像評価方法>
各実施例、比較例の所定回数の記録を行ったサンプルの表面破壊の状態を目視及び光学顕微鏡で観察を行った。特に記録文字アルファベットAの頂点の交差部分を評価した。また、視認性の評価は10回書き換え時の記録状態の目視における視認性を確認した。
以下の評価基準にて評価した。
優:文字が鮮明であり、容易に視認及び判読できる。
可:文字が視認でき、判読可能である。
不可:文字の判読が不可能である。
<レーザ光線透過率、可視光線透過率>
レーザ光照射面から記録媒体間における、使用するレーザ光線1064nm及び可視光線550nmの透過率を(株)島津製作所製「UV−3100PC」分光光度計にて測定した。
<耐衝撃性試験>
デュポン衝撃試験機 JIS K 5600−5−3に準拠して、荷重9.8N、高さ10cm、撃芯12.7mm、測定環境23℃、50%RHで構造体表面(記録媒体面)の衝撃試験を実施した。試験後の外観変化の確認とRFID通信(読み取り)が可能かどうかの確認を行った。
<ICタグ 通信試験>
記録媒体から10cmの距離で、(株)ウェルキャット製無線ICタグリーダ/ライタ「RCT−200−01」を用いて通信結果の確認を行った。
<記録濃度>
記録発色部分の光学濃度をマクベス光学濃度計「RD918」にて測定した。
<洗浄試験>
水道水を用いた高温水洗車機を用いて、50℃の温水を吐出量800L/時間、吐出圧4900kPa、角度45°、距離1mから記録媒体内蔵構造体表面へ1分間噴射させた後の外観変化を確認した。特に構造体Aと構造体Bの界面の端部の浮きあがりや剥がれを観察した。
変化なし:記録媒体の浮きあがりや剥がれなし。
剥がれあり:記録媒体の浮きあがりや剥がれが目視で確認された。
【0031】
製造例1 可逆性感熱発色層形成用塗工液(A液)の調製
染料前駆体として、トリアリールメタン系化合物である3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド100質量部、可逆性顕色剤として4−(N−メチル−N−オクタデシルスルホニルアミノ)フェノール30質量部、分散剤のポリビニルアセタール1.5質量部及び希釈溶剤テトラヒドロフラン2500質量部を、粉砕機及びディスパーにより粉砕、分散させて、可逆性感熱発色層形成用塗工液(A液)を調製した。
製造例2 光吸収熱変換層形成用塗工液(B液)の調製
近赤外光吸収熱変換剤(ニッケル錯体系色素)[(株)トスコ製、商品名「SDA−5131」]を、1質量部、紫外線硬化型バインダー(ウレタンアクリレート)[大日精化工業(株)製、商品名「PU−5(NS)」]100質量部及び無機顔料(シリカ)[日本アエロジル工業(株)製、商品名「アエロジルR−972」]3質量部を、ディスパーにより分散させて、光吸収熱変換層形成用塗工液(B液)を調製した。
【0032】
実施例1
(1)記録媒体の作製
記録媒体の支持体基材として厚さ40μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム[二村化学(株)製、商品名「FOA40」]に、製造例1で調製したA液をグラビア方式にて乾燥後の厚さが4μmとなるように塗布し、60℃のオーブンで5分間乾燥させ、可逆性感熱発色層を形成した。次いで、この可逆性感熱発色層上に、製造例2で調製したB液を、乾燥後の厚さが1.2μmになるようにフレキソ方式にて塗布し、60℃のオーブンで1分間乾燥させた後、紫外線を光量220mJ/cm2で照射してレーザ光吸収熱変換層を作製した。
(2)ICタグの製造(図2参照)
不可視情報記録・消去手段であるICチップと、それに接続されているアンテナ回路から構成されている非接触ICタグは以下の方法で作製した。
銅箔と厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体1)を貼り合せたもの[ニッカン工業社製、商品名「ニカフレックス」]に、エッチング加工によりアンテナパターンを形成した。絶縁インキ10[日本アチソン社製、商品名「ML25089」]をアンテナパターン上に印刷後、導電性ペースト14[東洋紡績社製、商品名「DW250L−1」]を用いてスクリーン印刷によりアンテナ回路8を形成するとともに、接着剤11[京セラケミカル社製、商品名「TAP0402E」]にてICチップ9[フィリップス社製、「ICode」]を実装することにより、ICタグを作製した。
(3)記録媒体の接合
(1)で作製した可視情報記録媒体と(2)で作製したICタグを両面テープ[リンテック社製、商品名「TL−85S−50」]を用いて貼合して両記録媒体を接合した。
(4)記録媒体内蔵構造体の作製
(3)で作製した記録媒体を次の要領で構造体内部へ内蔵した。
構造体Aとして、ポリプロピレン樹脂[日本ポリプロ(株)製「ノバテックPP」]を射出成形機[住友重機械工業(株)製、機種名「ネスタールネオマット」]により、100mm×100mmサイズ、厚さ1mmで成形した。シリンダー温度220℃、金型温度30℃、射出速度17cm3/s、冷却時間60秒で作製した。その後、(3)で作製した記録媒体70mm×70mmサイズの試料の記録面を構造体裏面へ接合して、再加温して加熱及び保持接着させて試料を作製した。構造体A表面から記録媒体表面の距離(成形樹脂厚さ)は1mmである。
次に、この試料を、サイズ150mm×150mm、厚さ50mmの構造体Aと同じポリプロピレン樹脂からなる構造体B表面に、記録媒体が対面するように当接して溶着により接合することによって、記録媒体内蔵構造体を作製し、性能を評価した。結果を第1表に示す。
【0033】
実施例2
実施例1(4)において、構造体Aの厚さ(構造体A表面から記録媒体表面間距離)を10mmに変更した以外は、実施例1と同様にして記録媒体内蔵構造体を作製し、その性能を評価した。結果を第1表に示す。
実施例3
実施例1(4)において、構造体Aの厚さ(構造体A表面から記録媒体表面間距離)を30mmに変更した以外は、実施例1と同様にして記録媒体内蔵構造体を作製し、その性能を評価した。結果を第1表に示す。
実施例4
実施例1(4)において、構造体A及びBの材料を、それぞれポリスチレン[旭化成(株)製、商品名「スタイロン」]に変更した以外は、実施例1と同様にして記録媒体内蔵構造体を作製し、その性能を評価した。結果を第1表に示す。
実施例5
実施例1(4)において、構造体Bの成形後に、その表面側に、袋状に予め80mm×80mm、厚さ0.5mmに成形されたポリプロピレン製の成形体を加熱圧着してポケット状の成形体を設けて、その内部へ記録媒体を挿入することにより、記録媒体内蔵構造体を作製した以外は、実施例1と同様に実施した。性能評価結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1(3)で得られた記録媒体の裏面に、粘着剤[東洋インキ製造(株)製、商品名「BPS−5127」]を25g/m2塗布したラベルをそのまま、実施例1(4)で得られた構造体Bの表面に貼付した試料(記録媒体の内蔵なし)について、その性能を評価した。結果を第1表に示す。
比較例2
実施例1(4)において、構造体Aの厚さ(構造体A表面から記録媒体表面間距離)を40mmに変更した以外は、実施例1と同様にして記録媒体内蔵構造体を作製し、その性能を評価した。結果を第1表に示す。
比較例3
実施例1(3)で得られた記録媒体のレーザ光吸収熱変換層上に、厚さ20μmのポリプロピレン粘着ラミネート材[リンテック(株)製、商品名「PP20 PLシン 7LK」]を設けてなる記録媒体をそのまま、実施例1(4)で得られた構造体Aの表面に貼付した試料(記録媒体の内蔵なし)について、その性能を評価した。結果を第1表に示す。
【0034】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の記録媒体内蔵構造体及び記録媒体内蔵構造体積層物は、レーザ光により、非接触で可視情報の書き換え手段を少なくとも有する記録媒体を内部に保持した樹脂製構造体及びその積層物であって、繰り返し行うレーザ照射光に対する記録媒体の耐久性向上、記録媒体表面への汚れ付着防止、外的衝撃からの保護などの機能を効果的に発揮することができ、極めて多くの記録・消去の繰り返し回数を実現することができる。
特に、当該記録媒体として、RWT−ICタグを用いた場合、不可視情報記録・消去手段及び可視情報記録・消去手段の両方に対して、情報の消去又は記録を行うことができるため、物品管理システムの構築に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の記録媒体内蔵構造体積層物の構成の1例を示すイメージ図である。
【図2】本発明で用いるRWT−ICタグの1例の概略断面図である。
【図3】本発明で用いるRWT−ICタグの異なる例の概略断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 支持体
2 可逆性感熱発色層
3 レーザ光吸収熱変換層
4 樹脂シート層
5 アンカーコート層
6 粘接着剤層
7 接着剤層
8 アンテナ回路
9 ICチップ
10 絶縁インキ
11 接着剤
12 粘着剤層
13 剥離シート
14 導電性ペースト
15 記録媒体
20a、20b RWT−ICタグ
25 樹脂製構造体
30 記録媒体内蔵構造体
40 他の構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光により、非接触で可視情報の書き換え手段を少なくとも有する記録媒体を内部に保持した樹脂製の構造体であって、当該記録媒体が、外部からのレーザ光の照射により、情報の記録・消去を行うことができ、かつ前記樹脂製構造体において、レーザ光照射面から当該記録媒体間における、使用する波長域のレーザ光線透過率及び可視光線透過率が、それぞれ55%以上であることを特徴とする記録媒体内蔵構造体。
【請求項2】
樹脂製構造体の樹脂材料が、ポリスチレン、低密度ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリアミドの中から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の記録媒体内蔵構造体。
【請求項3】
記録媒体が、支持体上に可逆性感熱発色層を有するものである請求項1又は2に記載の記録媒体内蔵構造体。
【請求項4】
使用するレーザ光の波長が700〜1500nmであって、可逆性感熱発色層がレーザ光吸収熱変換剤を含有するか、又は可逆性感熱発色層上にレーザ光吸収熱変換層が設けられてなる請求項3に記載の記録媒体内蔵構造体。
【請求項5】
樹脂製構造体の内部に保持された記録媒体が、該樹脂製構造体におけるレーザ光照射面から、35mm以内の深さに位置する請求項1〜4のいずれかに記載の記録媒体内蔵構造体。
【請求項6】
記録媒体が、非接触で可視情報の書き換え手段を有すると共に、不可視情報の記録・消去手段を有する請求項1〜5のいずれかに記載の記録媒体内蔵構造体。
【請求項7】
不可視情報の記録・消去手段が、ICチップと、それに接続されるアンテナ回路から構成されている請求項6に記載の記録媒体内蔵構造体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の記録媒体内蔵構造体を、他の構造体表面に取り付けてなる記録媒体内蔵構造体積層物。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれかに記載の記録媒体内蔵構造体を用い、その表面からのレーザ光により、あるいは請求項8に記載の記録媒体内蔵構造体積層物を用い、記録媒体内蔵構造体の表面からのレーザ光により、可視情報の書き換えを行うことを特徴とする非接触型記録方法。
【請求項10】
請求項6又は7に記載の記録媒体内蔵構造体、あるいは請求項8に記載の記録媒体内蔵構造体積層物の搬送途中にて、リーダ/ライタによりICチップの不可視情報と、同時に表面からのレーザ光により可視情報の両方に対して、非接触状態で情報の記録及び/又は消去を行うことを特徴とする非接触型記録方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−126411(P2008−126411A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−310112(P2006−310112)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】