説明

記録媒体再生装置、記録媒体再生方法、記録媒体再生プログラムおよび記録媒体再生プログラムを格納した記録媒体

【課題】交替データへのアクセスが発生しても、消費電力の増加や安定待ち時間の増加を少なくすることができる記録媒体再生装置、記録媒体再生方法、記録媒体再生プログラムおよび記録媒体再生プログラムを格納した記録媒体を提供する。
【解決手段】光ディスク12のユーザデータ領域を複数のゾーンに予め区切っておき、各ゾーンにおける欠陥セクタの密度を算出して、その密度が予め定めた閾値よりも高いか否か判断して、密度が閾値よりも高いゾーンを読み込む際は通常の読み取り速度よりも速い速度で読み取って再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録領域中の欠陥領域の替わりにデータが記録される交替領域を有した記録媒体を再生する記録媒体再生装置、記録媒体再生方法、記録媒体再生プログラムおよび記録媒体再生プログラムを格納した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばBD−R(Blu-ray Disc - Recordable)などのように記録可能とされる記録媒体が知られている。このような記録媒体に対しては、記録領域に対してレーザ光の照射を行ってデータの記録を行うようにされるが、その記録領域において、当該ディスクの製造上の欠陥、製造後に生じた傷や汚れなどによって、データの記録/再生を行うことができない欠陥領域が生じてくる。そこで、この欠陥領域による記録容量の損失を補うために、交替用の記録領域(交替領域)が確保されている。したがって、本来欠陥領域に書き込まれるはずであったデータは交替領域に記録することができるようになり、所望するデータは全てディスク上に記録されることになる。
【0003】
しかし、記録媒体の読み出しを行う場合に、そのデータの一部が交替領域に記録されていると、記録領域から交替領域に、そして交替領域から記録領域にアクセスする度に光ピックアップのシーク動作が生じることになる。このシーク動作により、データの読み出しが一時的に中断され、その間読み出しデータの転送も行われなくなるので、再生データの転送レートが低下してしまうという問題があった。
【0004】
この場合、交替領域に記録されたデータを再生前にメモリ等に全て読み込んでおき、再生時はメモリ等に読み込んだデータを使用すれば、上述したシーク動作を無くすことができるが、交替領域は容量が大きいことが多く、読み込みに時間がかかるため再生開始までの時間が長くなるという問題がある。また、容量が大きいために記憶するためのメモリ等の容量も多くしなければならずコストアップになってしまうという問題もある。したがって、一般的には上述したように欠陥領域を検出した際に交替領域へシークし、対応する交替領域のデータを読み込んだ後に記録領域へシークするという動作が行われている。
【0005】
ここで、シーク動作により再生データの転送レートが低下してしまうという問題に対しては、特許文献1に記載された光ディスク装置が提案されている。特許文献1に記載された光ディスク装置は、再生動作時に交替セクタへの交替処理を伴う欠陥セクタ付近では、その欠陥セクタよりも先行する事前セクタの位置から再生速度を標準再生速度よりも速い高速再生速度に速めて代替セクタまでの再生動作を行わせて、再生された一連のセクタデータを一時的にセクタバッファに格納させてからホスト側に転送出力させるようにしている。このようにすることで、交替領域へのシーク時間を短縮して再生データの転送レートを確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−216737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された光ディスク装置では、例えば、欠陥セクタが短い間隔で複数連続するような場合に再生速度が頻繁に切り替わることとなり、そのために消費電力が多くなってしまう。
【0008】
また、再生速度を切替えるとディスクの回転数が変化するためにその回転数が安定するまでの待ち時間(安定待ち時間)も余分にかかってしまう。この安定待ち時間はシーク時間に影響し、再生速度が頻繁に切り替わると、再生中にシーク時間が占める割合が多くなって再生データの転送レートが低下するという問題があった。そして、再生データの転送レートが低下すると、セクタバッファなどが空になる可能性が高まり、それによって例えば光ディスクに記録されている音や映像などの再生が途切れてしまうという問題が発生する虞もある。
【0009】
そこで、本発明は、交替データへのアクセスが発生しても、消費電力の増加や安定待ち時間の増加を少なくすることができる記録媒体再生装置、記録媒体再生方法、記録媒体再生プログラムおよび記録媒体再生プログラムを格納した記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の記録媒体再生装置は、記録領域及び交替領域並びに前記記録領域に含まれる欠陥領域の情報が記録される管理領域を有した記録媒体からデータを読み込み再生する再生手段と、前記再生手段が再生したデータを格納する再生データ格納手段と、前記再生データ格納手段に格納されたデータを出力する出力手段と、を備えた記録媒体再生装置において、前記記録媒体を複数のゾーンに区切り、前記管理領域に記録された欠陥領域の情報から前記複数のゾーン毎の欠陥領域の密度を算出する欠陥密度算出手段と、前記欠陥密度算出手段が算出した前記複数のゾーン毎の欠陥領域の密度が予め定めた閾値を超えたか否か判断し、前記閾値を超えていると判断したゾーンからデータを読み込む際は、通常よりも速い速度で前記再生手段にデータを読み込ませる再生制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項6に記載の記録媒体再生方法は、記録領域及び交替領域並びに前記記録領域に含まれる欠陥領域の情報が記録される管理領域を有した記録媒体からデータを読み込み再生し、その再生されたデータを再生データ格納手段に格納し、前記再生データ格納手段に格納されたデータを出力する記録媒体再生方法において、前記記録媒体を複数のゾーンに区切り、前記管理領域に記録された欠陥領域の情報から前記複数のゾーン毎の欠陥領域の密度を算出し、その算出した前記複数のゾーン毎の欠陥領域の密度が予め定めた閾値を超えたか否かを判断し、前記閾値を超えていると判断されたゾーンからデータを読み込む際は、通常よりも速い速度でデータを読み込むように制御することを特徴としている。
【0012】
請求項7に記載の記録媒体再生プログラムは、記録領域及び交替領域並びに前記記録領域に含まれる欠陥領域の情報が記録される管理領域を有した記録媒体からデータを読み込み再生する再生手段と、前記再生手段が再生したデータを格納する再生データ格納手段と、前記再生データ格納手段に格納されたデータを出力する出力手段と、してコンピュータを機能させる記録媒体再生プログラムにおいて、前記記録媒体を複数のゾーンに区切り、前記管理領域に記録された欠陥領域の情報から前記複数のゾーン毎の欠陥領域の密度を算出する欠陥密度算出手段と、前記欠陥密度算出手段が算出した前記複数のゾーン毎の欠陥領域の密度が予め定めた閾値を超えたか否か判断し、前記閾値を超えていると判断したゾーンからデータを読み込む際は、通常よりも速い速度で前記再生手段にデータを読み込ませる再生制御手段と、して前記コンピュータを機能させることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例にかかる光ディスク再生装置のブロック図である。
【図2】図1に示された光ディスク再生装置で再生される光ディスクのデータ格納領域の構造を示した説明図である。
【図3】交替処理の説明図である。
【図4】ゾーン内の欠陥セクタの密度と読み込み速度との関係を示した説明図である。
【図5】図1に示された光ディスク再生装置における再生動作のフローチャートである。
【図6】ゾーン内の欠陥セクタの密度と読み込み速度との関係を示した説明図である。
【図7】現在再生位置を基準としたゾーンの移動を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態にかかる記録媒体再生装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる記録媒体再生装置は、識別手段が記録媒体に交替処理が行われていると識別した場合に、欠陥密度算出手段で記録媒体を複数のゾーンに区切り、管理領域に記録された欠陥領域の情報から複数のゾーン毎の欠陥領域の密度を算出し、再生制御手段で欠陥密度算出手段が算出した複数のゾーン毎の欠陥領域の密度が予め定めた閾値を超えたか否か判断して、その閾値を超えているゾーンから再生手段がデータを読み込む際には、通常よりも速い速度でデータを読み込ませているので、欠陥領域が多く密度が高いゾーンは常に通常よりも速い速度でデータを読み込むために、データの読み込み速度の変更が頻繁に発生しない。したがって、消費電力の増加や安定待ち時間の増加によるシーク時間の増加を少なくすることができる。
【0015】
また、再生制御手段は、欠陥密度算出手段が算出した複数のゾーン毎の欠陥領域の密度のうち、互いに隣接するゾーン各々の欠陥領域の密度が閾値を超えた場合は、通常よりも速い速度を継続したまま互いに隣接するゾーンからデータを再生手段に読み込ませてもよい。このようにすることにより、欠陥領域の密度が高いゾーンが連続している場合は、ゾーン間で読み込み速度を変化させることなく通常よりも速い速度のままデータを読み込ませることができる。したがって、データの読み込み速度の変更を更に少なくすることができる。
【0016】
また、密度算出手段は、記録領域の先頭から所定間隔ごとに区切って複数のゾーンを予め設定してもよい。このようにすることにより、予めゾーンを区切ることができ、そのゾーンに基づいて欠陥領域の密度を算出することができる。
【0017】
また、密度算出手段は、現在の読み取り位置を先頭としてこれから再生する領域に対して複数のゾーンを設定してもよい。このようにすることにより、現在の読み取り位置を基準としてゾーンを設定することでゾーンの範囲を動的に移動することができる。したがってゾーンの境界によって欠陥領域の密度が高い領域が分断されてしまうことを回避できる。
【0018】
また、再生制御手段は、複数のゾーン毎の欠陥領域の密度が予め定めた複数の閾値を超えたか判定し、複数の閾値を超えるほど再生手段がデータを読み込む際の速度を速くしてもよい。このようにすることにより、欠陥領域の密度が高いゾーンほど高速でデータを読み込ませることで、交替処理が頻繁に行われても転送レートの低下やセクタバッファが空になることを防ぐことができる。
【0019】
また、本発明の一実施形態にかかる記録媒体再生方法は、記録媒体に交替処理が行われていると識別した場合に、記録媒体を複数のゾーンに区切り、管理領域に記録された欠陥領域の情報から複数のゾーン毎の欠陥領域の密度を算出し、欠陥密度算出手段が算出した複数のゾーン毎の欠陥領域の密度が予め定めた閾値を超えたか否か判断して、その閾値を超えているゾーンからデータを読み込む際には、通常よりも速い速度でデータを読み込んでいるので、欠陥領域が多く密度が高いゾーンは常に通常よりも速い速度でデータを読み込むために、データの読み込み速度の変更が頻繁に発生しない。したがって、消費電力の増加や安定待ち時間の増加によるシーク時間の増加を少なくすることができる。
【0020】
また、本発明の一実施形態にかかる記録媒体再生プログラムは、識別手段が記録媒体に交替処理が行われていると識別した場合に、欠陥密度算出手段で記録媒体を複数のゾーンに区切り、管理領域に記録された欠陥領域の情報から複数のゾーン毎の欠陥領域の密度を算出し、再生制御手段で欠陥密度算出手段が算出した複数のゾーン毎の欠陥領域の密度が予め定めた閾値を超えたか否か判断して、その閾値を超えているゾーンから再生手段がデータを読み込む際には、通常よりも速い速度でデータを読み込ませているので、欠陥領域が多く密度が高いゾーンは常に通常よりも速い速度でデータを読み込むために、データの読み込み速度の変更が頻繁に発生しない。したがって、消費電力の増加や安定待ち時間の増加によるシーク時間の増加を少なくすることができる。
【0021】
また、上述した記録媒体再生プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよい。このようにすることにより、記録媒体再生プログラムを機器に組み込む以外に単体でも流通させることができ、バージョンアップ等も容易に行える。
【実施例】
【0022】
本発明の一実施例にかかる記録媒体再生装置としての光ディスク再生装置1を図1乃至図7を参照して説明する。光ディスク再生装置1は、図1に示すようにディスクモータ2と、光ピックアップ3と、キャリッジモータ4と、リードスクリュー5と、RFアンプ6と、サーボ信号処理部7と、ドライバ8と、音声/映像信号処理部9と、バッファ10と、マイクロコンピュータ11と、を備えている。
【0023】
ディスクモータ2は、光ディスク再生装置1にセットされた記録媒体としての光ディスク12を回転させるためのモータであり、スピンドルモータなどで構成されている。
【0024】
光ピックアップ3は、光ディスク12に照射するレーザ光を発生させるレーザダイオードや、光ディスク12上にレーザダイオードからのレーザ光を集光するための対物レンズ、サーボ信号処理部7からの信号によりフォーカス方向やトラッキング方向に対物レンズを駆動するためのアクチュエータおよび光ディスク12から反射された反射光を受けるフォトダイオードや、レーザ光を対物レンズへ導いたり、反射光を受光器へ導く光学系などを備え、フォトダイオードの出力から光ディスク12に記録されている映像や音楽などのトラックデータを含むRF信号やフォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号などを生成しRFアンプ6へ出力する。
【0025】
キャリッジモータ4は、後述するリードスクリュー5を通じて光ピックアップ3を光ディスク12の径方向に移動させるためのモータでありステッピングモータなどで構成されている。
【0026】
リードスクリュー5は、円柱状に形成されてその外周面にネジ溝とネジ山が形成され、光ディスク12の径方向と平行に設置されている。リードスクリュー5は、キャリッジモータ4の回転軸と機械的に接続されておりキャリッジモータ4の回転に合わせて回転する。リードスクリュー5のネジ溝やネジ山は光ピックアップ3に形成された図示しないネジ山やネジ溝と噛み合っており、リードスクリュー5が回転することで光ピックアップ3が光ディスク17の径方向に沿って移動する。
【0027】
RFアンプ6は、光ピックアップ3から入力される信号を所定の値に増幅し、サーボ信号処理部7へ出力する。
【0028】
サーボ信号処理部7は、RFアンプ6から入力されるフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号などの制御信号を基に光ピックアップ3のアクチュエータを駆動させてフォーカスおよびトラッキングの制御などを行い光ディスク12に記録された情報を正確に読めるようにする。また、入力されたフォーカスエラー信号のレベルをマイクロコンピュータ11へ出力する。さらに、光ディスク12に記録された映像や音楽などを含むRF信号をアナログ/デジタル変換して音声/映像信号処理部9へ出力する。
【0029】
ドライバ8は、サーボ信号処理部7から入力された信号からディスクモータ2および光ピックアップ3のアクチュエータおよびキャリッジモータ4への駆動信号を生成し出力する。
【0030】
音声/映像信号処理部9は、サーボ信号処理部7から入力された信号にエラー訂正などを行った後復調やデコードを行いデータを再生してバッファ10へ出力する。そしてマイクロコンピュータ11からの要求に従ってバッファ10から読み出してホストコンピュータ20へ出力する。
【0031】
ここで、ディスクモータ2、光ピックアップ3、キャリッジモータ4、リードスクリュー5、RFアンプ6、サーボ信号処理部7、ドライバ8、音声/映像信号処理部9で光ディスク12からデータを読み取って再生する再生手段としての再生部15を構成する。
【0032】
バッファ10は、振動などによって再生が途切れないように所定量一時的に音声/映像信号処理部9で再生された映像や音声などのデータを格納するためのメモリであり、半導体メモリで構成される。
【0033】
識別手段、欠陥密度算出手段、再生制御手段としてのマイクロコンピュータ11は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)とを内蔵し、ホストコンピュータ20からの命令に基づいて光ディスク12の挿入や排出、再生や停止およびトラックサーチなどの各操作における光ディスク再生装置1全体の制御など行う。また、マイクロコンピュータ11は、光ディスク12を複数のゾーンに分割し、それらゾーンごとに欠陥セクタの密度を算出して、その密度が所定の閾値を超えた場合は光ディスク12からのデータの読み取り速度を上げるようにドライバ8などに指示する。
【0034】
光ディスク12は図2に示すようにリードイン領域と、データ領域と、リードアウト領域と、を有している。管理領域としてのリードイン領域には、後述するユーザデータ領域における欠陥領域としての欠陥セクタのアドレスやその欠陥セクタに対応する交替領域内の交替セクタ(交替データ)のアドレスなどが記録されている。リードアウト領域にはデータ領域の終端を示す情報が記録されている。
【0035】
データ領域は、ユーザデータ領域と、交替領域と、を有し、記録領域としてのユーザデータ領域には光ディスク再生装置1で再生するデータが記録され、交替領域には、ユーザデータ領域内の欠陥セクタに本来記録すべきデータが記録されている。なお、図2では交替領域は複数箇所設けられているが1箇所でもよい。また、1つの交替領域が複数セクタで構成されていてもよい。つまり、複数の欠陥セクタに対応するデータが1つの交替領域に記録されていてもよい。
【0036】
交替処理について従来技術でも説明したが図3を用いて具体的に説明する。交替処理とはユーザデータ領域に欠陥セクタがある場合、本来そのセクタに記録する予定だったデータを交替領域に記録し、欠陥セクタのアドレスや交替領域のアドレスなどの交替情報をリードイン領域に記録し、データを読み込むときに、欠陥セクタにアクセスした際には交替情報を参照して交替領域からデータを読み込む処理である。図3の場合、ユーザデータ領域のセクタ1からセクタ9までのうち欠陥セクタがセクタ3とセクタ7であり、それぞれに対応する交替データが記録されたセクタが交替領域内のセクタCとセクタFであったとすると、セクタ1から順次アクセスする場合には、セクタ1、2、C、4、5、6、F、8、9の順にアクセスされる。
【0037】
次に、本実施例における再生動作を図4を参照して説明する。図4は図2に再生位置における再生速度の関係を追加した図である。図4内の×印は欠陥セクタの位置を示している。図4ではユーザデータ領域を先頭から所定間隔ごとに予め5つのゾーンに区切っている。
【0038】
図4ではゾーン1に欠陥セクタが0箇所、ゾーン2に欠陥セクタが5箇所、ゾーン3に欠陥セクタが0箇所、ゾーン4に欠陥セクタが4箇所、ゾーン5に欠陥セクタが1箇所存在する。そして、各ゾーンにおける欠陥セクタの密度を算出し、その密度が予め定めた閾値を超えていた場合はそのゾーン内の全てのデータの読み取り速度を通常(標準速度)よりも速い速度に変更して読み取る。例えば閾値としてゾーン当たり4以上の欠陥セクタがある場合は欠陥セクタ密度の高いゾーンとすると、ゾーン2、4ではゾーン内の全てのデータ(交替処理を含む)を標準よりも速い速度でデータを読み取るようにする。ゾーン5は欠陥セクタの密度が予め定めた閾値を超えていないために従来と同様に欠陥セクタの直前で読み取り速度を速い速度に変更する。
【0039】
なお、欠陥セクタの密度はゾーン当たり何個という算出方法でもよいし、何セクタ当たり何個(例えば2000セクタ当たり3個など)という算出方法でもよい。つまり、複数の欠陥セクタが密集していることを検出できればよい。
【0040】
図5に上述した動作の詳細な動作のフローチャートを示す。図5に示したフローチャートはマイクロコンピュータ11で実行される。
【0041】
まず、ステップS1において、欠陥セクタ密度の高いゾーンを特定して、ステップS2に進む。本ステップでは、リードイン領域から読み込んだ欠陥セクタのアドレスなどから各ゾーンそれぞれにおいて欠陥セクタの密度を算出し、その密度が予め定めた閾値を超えているゾーンを特定している。すなわち、管理領域に記録された欠陥領域の情報から複数のゾーン毎の欠陥領域の密度を算出し、欠陥密度算出手段が算出した複数のゾーン毎の欠陥領域の密度が予め定めた閾値を超えたゾーンを判断している。
【0042】
次に、ステップS2において、現在再生している再生位置は欠陥セクタの密度が高いゾーンか否かを判断し、欠陥セクタの密度が高いゾーンの場合(YESの場合)はステップS3に進み、欠陥セクタの密度が高いゾーンでない場合(NOの場合)はステップS4に進む。
【0043】
次に、ステップS3において、現在再生している再生位置が欠陥セクタの密度が高いゾーンであったので、通常よりも速い読み取り速度で再生を行いステップS5に進む。通常よりも速い読み取り速度とは通常再生(標準再生)時よりも光ディスク12を高速に回転させることであり、この際の回転数の増分は任意に定めればよい。すなわち、閾値を超えていると特定されたゾーンからデータを読み込む際には、通常よりも速い速度で前記再生手段にデータを読み込ませている。
【0044】
一方、ステップS4においては、現在再生している再生位置が欠陥セクタの密度が高いゾーンでないので、通常(標準)の読み取り速度で再生を行いステップS5に進む。
【0045】
次に、ステップS5において、ホストコンピュータ20などから再生終了が指示されたか否かを判断し、再生終了が指示された場合(YESの場合)は終了し、再生終了が指示されていない場合(NOの場合)はステップS2に戻る。
【0046】
本実施例によれば、光ディスク12のユーザデータ領域を複数のゾーンに予め区切っておき、各ゾーンにおける欠陥セクタの密度を算出して、その密度が予め定めた閾値よりも高いか否か判断して、密度が閾値よりも高いゾーンを読み込む際は通常の読み取り速度よりも速い速度で読み取って再生するので、欠陥セクタが多く密度が高いゾーンは常に通常よりも速い速度でデータを読み込むために、データの読み込み速度の変更が頻繁に発生しない。したがって、消費電力の増加や安定待ち時間の増加によるシーク時間の増加を少なくすることができる。
【0047】
なお、上述した実施例において、欠陥セクタの密度が閾値よりも高いゾーンが連続している場合は、例えば図6に示したようにゾーンの境界で読み取り速度を落とすことなく高速のまま読み取りを継続してもよい。図6の場合は欠陥セクタの密度が閾値よりも高いゾーンがゾーン2、ゾーン3と連続しているためにこの2つのゾーンは高速のまま連続して読み取りを行っている。
【0048】
また、上述した実施例では、ゾーンの設定は図4のようにユーザデータ領域の先頭を基準にして5つに区切っていたが、図7に示したように現在再生位置を基準にして以降に再生される領域を複数のゾーンに区切ってもよい。すなわち、現在の読み取り位置を先頭としてこれから再生する領域に複数のゾーンに設定してもよい。図7の場合、現在再生位置Aを基準としたゾーン分けではゾーン2とゾーン3に跨って欠陥セクタが集中しているが、閾値をゾーン当たり4以上の欠陥セクタがある場合と設定すると、ゾーン2、3とも欠陥セクタ密度の高いゾーンとは判定されない。しかし、それから再生が進み現在再生位置Bを基準としてゾーン分けした場合はゾーン2´が欠陥セクタ密度の高いゾーンと判定され欠陥セクタが密集する領域を検出することができる。このように、再生中に例えば千セクタおきなど所定間隔におきにゾーン設定をやり直して欠陥セクタの密度を算出しなおすことで、上述した実施例のようなゾーン分けを固定した場合と比較して、ゾーンの境界に跨って欠陥セクタが集中した場合に、欠陥セクタ密度の高いゾーンとの判定がなされずに読み取り速度の変更が頻発してしまうことを少なくすることができる。
【0049】
また、図7のようにゾーンの範囲が再生位置によって移動する場合、現在再生位置Aを基準としたゾーン4は欠陥セクタが4以上あるので欠陥セクタ密度の高いゾーンと判定され、現在再生位置Bを基準としたゾーン4´も欠陥セクタが4以上あるので欠陥セクタ密度の高いゾーンと判定される。このように、特定の欠陥セクタの密集領域に対して、それぞれ先頭と終端が異なる複数のゾーンが欠陥セクタ密度の高いゾーンと判定した場合は、それら複数のゾーンの和集合をとった領域全て(図7の場合ゾーン4とゾーン4´の示す領域全て、つまり、ゾーン4の先頭からゾーン4´の終端まで)を高速で読み取るようにすればよい。
【0050】
また、ゾーン毎の欠陥領域の密度を判断するための閾値を複数設けて、それら複数の閾値を超えるほど再生部15がデータを読み込む際の速度を速くするようにしてもよい。例えば、閾値を1段目としてゾーン当たりの欠陥セクタを3個、2段目としてゾーン当たりの欠陥セクタを5個と2段階設けておき、1段目の閾値を超えたら通常よりも速い速度で読み込み、2段目の閾値を超えた場合は、1段目よりもさらに速い速度で読み込むようにする。このようにすると、欠陥セクタの密度が高いゾーンほど高速でデータを読み込ませることができるので、交替処理が頻繁に行われても転送レートの低下やセクタバッファが空になることを防ぐことができる。
【0051】
また、上述した実施例では記録媒体としてBD−Rなどの光ディスクで説明したが、それに限らずMD(Mini Disc)などの光磁気ディスクや磁気ディスクなど交替処理が行われる記録媒体であれば適用可能である。
【0052】
前述した実施例によれば、以下の光ディスク再生装置1、記録媒体再生方法および記録媒体再生プログラムが得られる。
【0053】
(付記1)ユーザデータ領域及び交替領域並びにユーザデータ領域に含まれる欠陥セクタの情報が記録されるリードイン領域を有した光ディスク12からデータを読み込み再生する再生部15と、再生部15が再生したデータを格納するバッファ10と、バッファ10に格納されたデータを出力する音声/映像信号処理部9と、を備えた光ディスク再生装置1において、
光ディスク12を複数のゾーンに区切り、リードイン領域に記録された欠陥セクタの情報から複数のゾーン毎の欠陥セクタの密度を算出するマイクロコンピュータ11と、
マイクロコンピュータ11が算出した複数のゾーン毎の欠陥セクタの密度が予め定めた閾値を超えたか否か判断し、閾値を超えていると判断したゾーンからデータを読み込む際は、通常よりも速い速度で再生部15にデータを読み込ませるマイクロコンピュータ11と、
を備えたことを特徴とする光ディスク再生装置1。
【0054】
この光ディスク再生装置1によれば、欠陥セクタが多く密度が高いゾーンは常に高速にデータを読み込むために、データの読み込み速度の変更が頻繁に発生しない。したがって、消費電力の増加や安定待ち時間の増加によるシーク時間の増加を少なくすることができる。
【0055】
(付記2)ユーザデータ領域及び交替領域並びにユーザデータ領域に含まれる欠陥セクタの情報が記録されるリードイン領域を有した光ディスク12からデータを読み込み再生し、その再生されたデータをバッファ10に格納し、バッファ10に格納されたデータを出力する記録媒体再生方法において、
光ディスク12を複数のゾーンに区切り、リードイン領域に記録された欠陥セクタの情報から複数のゾーン毎の欠陥セクタの密度を算出し、その算出した複数のゾーン毎の欠陥セクタの密度が予め定めた閾値を超えたか否か判断し、閾値を超えていると判断されたゾーンからデータを読み込む際は、通常よりも速い速度でデータを読み込むように制御することを特徴とする記録媒体再生方法。
【0056】
この記録媒体再生方法によれば、欠陥セクタが多く密度が高いゾーンは常に高速にデータを読み込むために、データの読み込み速度の変更が頻繁に発生しない。したがって、消費電力の増加や安定待ち時間の増加によるシーク時間の増加を少なくすることができる。
【0057】
(付記3)ユーザデータ領域及び交替領域並びにユーザデータ領域に含まれる欠陥セクタの情報が記録されるリードイン領域を有した光ディスク12からデータを読み込み再生する再生部15と、再生部15が再生したデータを格納するバッファ10と、バッファ10に格納されたデータを出力する音声/映像信号処理部9と、としてコンピュータを機能させる記録媒体再生プログラムにおいて、
光ディスク12が、交替処理が行われているか否かを識別するマイクロコンピュータ11と、
光ディスク12を複数のゾーンに区切り、リードイン領域に記録された欠陥セクタの情報から複数のゾーン毎の欠陥セクタの密度を算出するマイクロコンピュータ11と、
マイクロコンピュータ11が算出した複数のゾーン毎の欠陥セクタの密度が予め定めた閾値を超えたか否か判断し、閾値を超えていると判断したゾーンからデータを読み込む際は、通常よりも速い速度で再生部15にデータを読み込ませるマイクロコンピュータ11と、
して前記コンピュータを機能させることを特徴とする記録媒体再生プログラム。
【0058】
この記録媒体再生プログラムによれば、欠陥セクタが多く密度が高いゾーンは常に高速にデータを読み込むために、データの読み込み速度の変更が頻繁に発生しない。したがって、消費電力の増加や安定待ち時間の増加によるシーク時間の増加を少なくすることができる。
【0059】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 光ディスク再生装置(記録媒体再生装置)
9 音声/映像信号処理部(出力手段)
10 バッファ(再生データ格納手段)
11 マイクロコンピュータ(識別手段、欠陥密度算出手段、再生制御手段)
12 光ディスク(記録媒体)
15 再生部(再生手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録領域及び交替領域並びに前記記録領域に含まれる欠陥領域の情報が記録される管理領域を有した記録媒体からデータを読み込み再生する再生手段と、前記再生手段が再生したデータを格納する再生データ格納手段と、前記再生データ格納手段に格納されたデータを出力する出力手段と、を備えた記録媒体再生装置において、
前記記録媒体を複数のゾーンに区切り、前記管理領域に記録された欠陥領域の情報から前記複数のゾーン毎の欠陥領域の密度を算出する欠陥密度算出手段と、
前記欠陥密度算出手段が算出した前記複数のゾーン毎の欠陥領域の密度が予め定めた閾値を超えたか否か判断し、前記閾値を超えていると判断したゾーンからデータを読み込む際は、通常よりも速い速度で前記再生手段にデータを読み込ませる再生制御手段と、
を備えたことを特徴とする記録媒体再生装置。
【請求項2】
前記再生制御手段は、前記欠陥密度算出手段が算出した前記複数のゾーン毎の欠陥領域の密度のうち、互いに隣接する前記ゾーン各々の欠陥領域の密度が前記閾値を超えた場合は、通常よりも速い速度を継続したまま前記互いに隣接するゾーンからデータを前記再生手段に読み込ませることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体再生装置。
【請求項3】
前記密度算出手段は、前記記録領域の先頭から所定間隔ごとに区切って前記複数のゾーンを予め設定することを特徴とする請求項1または2に記載の記録媒体再生装置。
【請求項4】
前記密度算出手段は、現在の読み取り位置を先頭としてこれから再生する領域に対して前記複数のゾーンを設定することを特徴とする請求項1または2に記載の記録媒体再生装置。
【請求項5】
前記再生制御手段は、前記複数のゾーン毎の欠陥領域の密度が予め定めた複数の閾値を超えたか判断し、前記複数の閾値を超えるほど再生手段がデータを読み込む際の速度を速くすることを特徴とする請求項1から4に記載の記録媒体再生装置。
【請求項6】
記録領域及び交替領域並びに前記記録領域に含まれる欠陥領域の情報が記録される管理領域を有した記録媒体からデータを読み込み再生し、その再生されたデータを再生データ格納手段に格納し、前記再生データ格納手段に格納されたデータを出力する記録媒体再生方法において、
前記記録媒体を複数のゾーンに区切り、前記管理領域に記録された欠陥領域の情報から前記複数のゾーン毎の欠陥領域の密度を算出し、その算出した前記複数のゾーン毎の欠陥領域の密度が予め定めた閾値を超えたか否かを判断し、前記閾値を超えていると判断されたゾーンからデータを読み込む際は、通常よりも速い速度でデータを読み込むように制御することを特徴とする記録媒体再生方法。
【請求項7】
記録領域及び交替領域並びに前記記録領域に含まれる欠陥領域の情報が記録される管理領域を有した記録媒体からデータを読み込み再生する再生手段と、前記再生手段が再生したデータを格納する再生データ格納手段と、前記再生データ格納手段に格納されたデータを出力する出力手段と、してコンピュータを機能させる記録媒体再生プログラムにおいて、
前記記録媒体を複数のゾーンに区切り、前記管理領域に記録された欠陥領域の情報から前記複数のゾーン毎の欠陥領域の密度を算出する欠陥密度算出手段と、
前記欠陥密度算出手段が算出した前記複数のゾーン毎の欠陥領域の密度が予め定めた閾値を超えたか否か判断し、前記閾値を超えていると判断したゾーンからデータを読み込む際は、通常よりも速い速度で前記再生手段にデータを読み込ませる再生制御手段と、
して前記コンピュータを機能させることを特徴とする記録媒体再生プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の記録媒体再生プログラムを格納したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−176760(P2010−176760A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19204(P2009−19204)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】