説明

記録媒体処理装置

【課題】市場の大勢に臨機応変に対応しながら、認証に要する時間の短縮化を図ることができる記録媒体処理装置を提供すること。
【解決手段】マネーカード内のデータにアクセスするための認証鍵をバージョン毎に複数記憶するメモリ110と、載置されたマネーカードに対し、メモリ110に記憶される認証鍵を用いてマネーカード内のデータにアクセスし、アクセスが許容された場合にデータの読み取り及び書き込みを行う読み書き制御部102とを備えた電子マネーチャージ機において、読み書き制御部102は、マネーカード内のデータへのアクセスが許容された場合に、このアクセスに用いたバージョンの認証鍵をメモリ110の不揮発性領域111に一時的に記憶し、その後にマネーカードが新たに載置された場合に、メモリ110の不揮発性領域111に一時的に記憶されるバージョンの認証鍵を用いて該マネーカード内のデータにアクセスするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体処理装置に関し、より詳細には、例えばICチップ等の記憶素子を搭載したICカードや携帯電話機等の記録媒体に対し、記憶手段に記憶される認証鍵を用いて記録媒体内のデータにアクセスする記録媒体処理装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばICチップを搭載したICカードや携帯電話機等の記録媒体に電子マネーに関する情報を記録し、この記録媒体に記録された電子マネーを用いて商品の購入やサービスの提供に関する決済を行う電子決済システムが普及している。
【0003】
このような電子決済システムにおいては、電子マネーチャージ機と称される記録媒体処理装置が用意されており、この記録媒体処理装置を通じて、投入された金銭に対応する入金情報(電子マネー)を記録媒体にチャージ(積み増し)するようにしている(例えば、特許文献1又は特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−036466号公報
【特許文献2】特開2005−284359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1及び特許文献2には明確に開示されていないが、上記電子マネーチャージ機においては、所定の通信可能領域に記録媒体が保持された場合に、この記録媒体と電子マネーチャージ機との間で認証処理が実施されるのが一般的である。このような認証処理は、記録媒体内に暗号化された状態で記憶されるデータへのアクセスが正当なものであるか否かを判断するためのものである。具体的には、電子マネーチャージ機が予め有する特定の認証鍵を用いて記録媒体内のデータにアクセスし、データ照合の結果、かかるアクセスが正当なものであるか否かを判断する。これにより、アクセスが許容されれば、電子マネーチャージ機は、記録媒体内のデータを読み取り又は書き込み等の処理を行うことが可能になる。
【0006】
一方、近年、セキュリティレベルの向上を図るために記録媒体も所定のタイムサイクル毎にバージョンアップするのが一般的であり、これにより市場には複数のバージョンの記録媒体が流通することになる。
【0007】
このように複数のバージョンの記録媒体が市場に流通する事態に対応すべく、電子マネーチャージ機はバージョン毎に複数の認証鍵を有しており、これら認証鍵を予め決められた順序に従って、例えば古い世代のバージョンの認証鍵から順々に用いることにより、通信可能領域に保持された記録媒体との間で認証処理が実施されている。
【0008】
しかしながら、予め決められた順序に従って認証鍵を用いているために、次のような問題があった。すなわち、市場では最新世代のバージョンの記録媒体が最も多く流通している場合であっても、例えば古い世代のバージョンの認証鍵から順々に用いることが設定されていたら、市場の大勢に臨機応変に対応することができずに認証に要する時間の長大化を招来する虞れがあった。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて、市場の大勢に臨機応変に対応しながら、認証に要する時間の短縮化を図ることができる記録媒体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る記録媒体処理装置は、記録媒体内のデータにアクセスするための認証鍵を種類毎に複数記憶する記憶手段と、所定の通信可能領域に保持された記録媒体に対し、前記記憶手段に記憶される認証鍵を用いて前記記録媒体内のデータにアクセスし、アクセスが許容された場合にデータの読み取り及び書き込みを行う読み書き制御手段とを備えた記録媒体処理装置において、前記読み書き制御手段は、前記記録媒体内のデータへのアクセスが許容された場合に、このアクセスに用いた種類の認証鍵を前記記憶手段に一時的に記憶し、その後に所定の通信可能領域に記録媒体が新たに保持された場合に、前記記憶手段に一時的に記憶される種類の認証鍵を用いて該記録媒体内のデータにアクセスすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2に係る記録媒体処理装置は、上述した請求項1において、前記読み書き制御手段は、前記記憶手段に一時的に記憶された種類の認証鍵を用いての記録媒体内のデータへのアクセスが拒否された場合には、前記記憶手段に記憶される認証鍵を予め決められて順序に従って用いて該記録媒体内のデータにアクセスすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、読み書き制御手段が、記録媒体内のデータへのアクセスが許容された場合に、このアクセスに用いた種類の認証鍵を記憶手段に一時的に記憶し、その後に所定の通信可能領域に記録媒体が新たに保持された場合に、記憶手段に一時的に記憶される種類の認証鍵を用いて該記録媒体内のデータにアクセスするので、認証処理を複数回繰り返すうちに、最も認証に用いられる種類の認証鍵を記憶手段に記憶するようになる。従って、市場の大勢に臨機応変に対応しながら、認証に要する時間の短縮化を図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る記録媒体処理装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。尚、以下の実施の形態においては、記録媒体処理装置の一例として電子マネーチャージ機について説明する。
【0014】
図1及び図2は、それぞれ本発明の実施の形態である電子マネーチャージ機(記録媒体処理装置)を簡略して示したものである。ここで例示する電子マネーチャージ機は、入金操作が行われた場合にICチップを搭載した記録媒体であるICカードや携帯電話機(以下ではこれらの記録媒体を単に「マネーカード」と称して説明する)に対して、非接触通信により電子マネー情報の読み書き処理を行うものである。本実施の形態では、特に、紙幣を用いた現金決済によるチャージ処理の他、クレジットカードを用いたクレジット決済によるチャージ処理やデビットカードを用いたデビット決済によるチャージ処理が可能なものを例示している。尚、以下においては便宜上、これらクレジットカードやデビットカードを総称する場合に「決済カード」とし、決済カードによる決済を総称する場合に「カード決済」として説明を行う。
【0015】
図からも明らかなように、電子マネーチャージ機は、本体キャビネット1及び前扉2を備えている。本体キャビネット1は、鋼材を適宜組み合わせることにより前面が開口した箱状に構成したものである。前扉2は、本体キャビネット1の前面開口1aを開閉するように本体キャビネット1の一側部に配設したもので、閉動作させた場合に本体キャビネット1の前面開口1aを完全に閉塞することが可能である。
【0016】
これら本体キャビネット1と前扉2との間には、前扉施錠手段3が設けてある。前扉施錠手段3は、前扉2によって本体キャビネット1の前面開口1aを閉塞した状態において施錠した場合に前扉2の開放移動を阻止するものである。図には明示しないが、前扉施錠手段3としては、キー操作によってキーシリンダを動作させることで施錠/解錠することができるものを適用することができる。
【0017】
前扉2の前面には、表示部4、入力部5、紙幣挿入口6、決済カード挿入口7、印字出力口8及びマネーカード載置台9が設けてある。表示部4は、利用者等に対して各種案内表示を行うためのもので、例えば液晶パネルによって構成してある。入力部5は、電子マネーチャージ機に対して各種情報を入力するためのもので、例えば押ボタンスイッチ及びキーボードを備えて構成してある。尚、本実施の形態では、上述した表示部4としてタッチパネル式のものを適用しており、このタッチパネルを入力部5として各種の情報を入力することも可能である。
【0018】
紙幣挿入口6は、現金決済のための紙幣を挿入するための開口であり、また決済カード挿入口7は、カード決済に用いるクレジットカードやデビットカードを挿入するための開口である。印字出力口8は、図示せぬプリンタによって印字された記録紙を排出するためのものである。マネーカード載置台9は、電子マネー情報のチャージ対象となるマネーカードを載置するための台状部である。このマネーカード載置台9は、その上面が後述するリーダライタの通信可能領域になるように構成してある。尚、図2中の符号20は、紙幣挿入口6から挿入された紙幣を収容するための金庫である。
【0019】
図3は、上述した電子マネーチャージ機の制御系を示すブロック図である。図3に示すように、電子マネーチャージ機は、通信処理部11、入金処理部12、リーダライタ13及び主制御部100を備えている。
【0020】
通信処理部11は、インターネットや専用回線を介して電子マネーサーバ200、クレジットサーバ300、デビットサーバ400と接続され、これらのサーバ装置200,300,400との間においてデータの送受信処理を行うものである。
【0021】
入金処理部12は、利用者によって入金操作された場合にその入金情報を主制御部100に送信するものである。図には明示していないが、本実施の形態では、紙幣鑑別器及び決済カード読取機を備えて入金処理部12が構成してある。この入金処理部12では、例えば紙幣挿入口6から紙幣が挿入された場合、挿入された紙幣の真偽及び金種を鑑別し、鑑別結果を現金入金情報として主制御部100に送信する。一方、決済カード挿入口7から決済カードが挿入され、かつ入力部5を通じて入金額が指定された場合には、決済カードの記録情報を読み取り、この読取結果に入力部5からの入金額を含めてカード入金情報として主制御部100に送信する。
【0022】
リーダライタ13は、マネーカードがマネーカード載置台9に載置された場合に、マネーカードに搭載されたICチップとの間において非接触通信によりデータの読み取り及び書き込みを行うものである。
【0023】
主制御部100は、予め与えられたプログラムに従って処理を行い、入金処理部12、通信処理部11、入力部5、リーダライタ13からの入力情報に応じて電子マネーチャージ機の動作を統括的に制御するものである。この主制御部100は、操作設定部101、読み書き制御部102、チャージ処理部103及び履歴管理部104を備えている。
【0024】
操作設定部101は、予め設定した条件に従って操作者毎に実施可能となる操作を設定し、これを選択メニューとして表示部4に表示するものである。
【0025】
読み書き制御部102は、リーダライタ13を通じてマネーカードに記録されたデータの読み取りを行う一方、リーダライタ13を通じてデータの書き込みを行うものである。より詳細には、読み書き制御部102は、メモリ110に予め記憶された特定の認証鍵を用いてマネーカードにアクセスし、このアクセスが許容された場合に、リーダライタ13を通じてマネーカードに記録されたデータの読み取りを行うものである。
【0026】
チャージ処理部103は、入金処理部12から入金情報が与えられ、かつ読み書き制御部102を通じてマネーカード載置台9にマネーカードが載置されたことを確認した場合、上述したサーバ装置200,300,400との間において適宜処理を実施し、電子マネーサーバ200からのチャージ許可に従って入金額に応じた電子マネー情報をマネーカードに積み増しすべく、読み書き制御部102に対して書き込み指令を送信するものである。
【0027】
具体的には、マネーカード載置台9にマネーカードが載置された状態で入金処理部12から現金入金情報が与えられた場合、チャージ処理部103は、電子マネーサーバ200に対してチャージ要求を送信し、電子マネーサーバ200からのチャージ許可を待つ。この間、電子マネーチャージ機からチャージ要求を受信した電子マネーサーバ200では、チャージ要求に含まれるマネーカードの識別情報に基づいてマネーカードが正規のものであるか否かが判断され、正規のものであると判断した場合、チャージ要求の送信元である電子マネーチャージ機に対してチャージ許可を送信することになる。
【0028】
これに対してマネーカード載置台9にマネーカードが載置された状態で入金処理部12からカード入金情報が与えられた場合、チャージ処理部103は、決済カードの発行元であるサーバ装置300,400に対して決済要求を送信し、電子マネーサーバ200からのチャージ許可を待つ。この間、電子マネーチャージ機から決済要求を受信したサーバ装置300,400では、入金処理部12との間において認証処理が実施される。認証によって正規の決済カードによる決済要求であると判断した場合には、サーバ装置300,400から電子マネーサーバ200に対してチャージ要求が送信される。サーバ装置300,400からチャージ要求を受信した電子マネーサーバ200では、先と同様、チャージ要求に含まれるマネーカードの識別情報に基づいてマネーカードが正規のものであるか否かが判断され、正規のものであると判断した場合、決済要求の送信元である電子マネーチャージ機に対してチャージ許可を送信することになる。
【0029】
履歴管理部104は、読み書き制御部102の実施したマネーカードに対する読み書き処理の履歴、及び入金処理部12を通じて取得した入金の履歴を含む履歴データをメモリ110に順次格納するものである。
【0030】
図4は、上述した電子マネーチャージ機の主制御部100において所定のサイクルタイム毎に繰り返し実施される処理の内容を示したフローチャートである。以下、この図を参照しながら電子マネーチャージ機の動作について説明する。
【0031】
上述した電子マネーチャージ機では、図示せぬ電源が投入されると、まず、主制御部100の操作設定部101によって利用者のための操作群が設定され、この操作群に含まれる操作が操作メニューとして表示部4に表示される(ステップS1)。この結果、電子マネーチャージ機の利用者は、表示部4に表示された操作メニューから自身の所望とする操作を選択し、入力部5を通じてこれを指示することができるようになる。
【0032】
操作メニューを表示した主制御部100は、利用者からの操作入力の有無を監視し、チャージ処理が選択された場合(ステップS2:Yes)、認証処理及びチャージ処理を実施する(ステップS3,ステップS4)。
【0033】
図5は、図4に示した認証処理の処理内容を示すフローチャートである。この認証処理の説明の前提として、電子マネーチャージ機は、例えば3つのバージョンの認証鍵(すなわち、最も古い世代のバージョン1の認証鍵、バージョン1よりも新しい世代のバージョン2の認証鍵、最新世代のバージョン3の認証鍵)をメモリ110に記憶しているものとする。
【0034】
この認証処理において主制御部100は、認証処理が初めてであるか否か、すなわち初回起動であるか否かを判断し(ステップS301)、初回起動である場合には、予め決められた順序に従ってメモリ110に記憶されるバージョン1の認証鍵を認証鍵Aとして設定する(ステップS301:Yes→ステップS302)。
【0035】
一方、初回起動でない場合、すなわち認証処理を何度も行っている場合には、詳細は後述するが、メモリ110の不揮発性領域111に記憶されるバージョンn(n:1〜3)の認証鍵を認証鍵Aとして設定する(ステップS301:No→ステップS303)。以下においては、まずステップS301で初回起動であった場合の処理について説明し、その後にステップS301で初回起動でなかった場合について説明する。
【0036】
バージョン1の認証鍵を認証鍵Aとして設定した主制御部100は、予め設定された時間が経過するまでの間、読み書き制御部102を通じてリーダライタ13によりマネーカード載置台9にマネーカードが載置されているか否かを判断する(ステップS304,ステップS305)。尚、上記ステップS2においてチャージ処理が選択された場合には、チャージ処理を開始する旨の表示を行うととともにマネーカードをマネーカード載置台9に載置させる操作を促すための表示を行うことが好ましい。予め設定された時間が経過するまでの間に、マネーカード載置台9にマネーカードが載置されない場合、あるいはリーダライタ13を通じてマネーカードが載置されていることを検出できなかった場合、主制御部100は、手順をリターンして今回の処理を終了する(ステップS304:No→ステップS305:Yes)。
【0037】
マネーカード載置台9にマネーカードが載置されたことを検出すると(ステップS304:Yes)、主制御部100の読み書き制御部102は、メモリ110に記憶されており、かつステップS301で設定した認証鍵A(バージョン1の認証鍵)を用いて、リーダライタ13を通じてマネーカードに記憶されるデータにアクセスする(ステップS306)。アクセスした結果、アクセスが許可された場合には(ステップS307:Yes)、アクセスに用いた認証鍵A(バージョン1の認証鍵)をメモリ110の不揮発性領域111に一時的に記憶する(ステップS308)。かかる不揮発性領域111に認証鍵Aを記憶した主制御部100の読み書き制御部102は、リーダライタ13によりマネーカードに対して記録情報の読み取りを実施し(ステップS309)、その後に手順をリターンして今回の処理を終了する。
【0038】
上記ステップS306でのアクセスが許可されずに拒否された場合(ステップS307:No)、主制御部100の読み書き制御部102は、認証鍵A(バージョン1の認証鍵)が最新のものであるか否かを確認する(ステップS310)。ここで、認証鍵Aとして設定したものはバージョン1の認証鍵であるから認証鍵Aは最新のものではなく、主制御部100の読み書き制御部102は、メモリ110に記憶されるバージョン2の認証鍵を新たに認証鍵Aと設定する(ステップS310:No→ステップS311)。
【0039】
ステップS311でバージョン2の認証鍵を認証鍵Aと設定した主制御部100の読み書き制御部102は、ステップS304〜ステップS306の処理を繰り返し、アクセスが許可された場合には(ステップS307:Yes)、メモリ110の不揮発性領域111に認証鍵A(バージョン2の認証鍵)を一時的に記憶して、ステップS309の処理を実施する。その一方、アクセスが拒否された場合には(ステップS307:No)、主制御部100の読み書き制御部102は、認証鍵A(バージョン2の認証鍵)が最新のものであるか否かを確認することになるが(ステップS310)、認証鍵Aとして設定したものはバージョン2の認証鍵であるから認証鍵Aは最新のものではなく、主制御部100の読み書き制御部102は、メモリ110に記憶されるバージョン3の認証鍵を新たに認証鍵Aと設定する(ステップS310:No→ステップS311)。
【0040】
そして、バージョン3の認証鍵を認証鍵Aと設定した主制御部100の読み書き制御部102は、ステップS304〜ステップS306の処理を繰り返し、アクセスが許可された場合には(ステップS307:Yes)、メモリ110の不揮発性領域111に認証鍵A(バージョン3の認証鍵)を一時的に記憶して、ステップS309の処理を実施する。その一方、アクセスが拒否された場合には(ステップS307:No)、主制御部100の読み書き制御部102は、認証鍵A(バージョン3の認証鍵)が最新のものであるか否かを確認することになるが(ステップS310)、認証鍵Aとして設定したものはバージョン3の認証鍵であるから最新のものであり、主制御部100の読み書き制御部102は、メモリ110に記憶されるバージョン1の認証鍵を新たに認証鍵Aと設定し(ステップS310:Yes→ステップS312)、上述したステップS304以降の処理を繰り返す。
【0041】
次に、認証処理が初回起動でなかった場合には、主制御部100の読み書き制御部102は、前回の認証処理のステップS308でメモリ110の不揮発性領域111に一時的に記憶されるバージョンn(n:1〜3)の認証鍵を認証鍵Aと設定し、上述したステップS304〜ステップS306の処理を実施し、かかる認証鍵Aを用いてのアクセスが許可された場合には(ステップS307:Yes)、メモリ110の不揮発性領域111に認証鍵A(バージョンnの認証鍵)を一時的に記憶して、ステップS309の処理を実施する。その一方、アクセスが拒否された場合には(ステップS307:No)、主制御部100の読み書き制御部102は、認証鍵A(バージョンnの認証鍵)が最新のものであるか否かを確認することになる(ステップS310)。ここで、バージョンnの認証鍵がバージョン3の認証鍵であれば、認証鍵Aとして設定したものは最新のものであり、主制御部100の読み書き制御部102は、メモリ110に記憶されるバージョン1の認証鍵を新たに認証鍵Aと設定し(ステップS310:Yes→ステップS312)、上述したステップS304以降の処理を繰り返す。その一方、バージョンnの認証鍵がバージョン1又はバージョン2の認証鍵であれば、認証鍵Aとして設定したものは最新のものではなく、主制御部100の読み書き制御部102は、メモリ110に記憶されるバージョン(n+1)の認証鍵、すなわちバージョン2又はバージョン3の認証鍵を新たに認証鍵Aと設定し(ステップS310:Yes→ステップS311)、上述したステップS304以降の処理を繰り返す。
【0042】
上述した認証処理を実施した主制御部100は、その後にチャージ処理を行う。図6は、図4に示したチャージ処理の処理内容を示すフローチャートである。このチャージ処理において主制御部100のチャージ処理部103は、上記ステップS309で記録情報の読み取りを実施したマネーカードが、読み書き制御部102を通じてのリーダライタ13により読み書きが可能なものであるか否かを判断する(ステップS401)。リーダライタ13によって読み書きを実施できないと判断した場合、主制御部100は、手順をリターンして今回の処理を終了する(ステップS401:No)。
【0043】
一方、リーダライタ13によって読み書きが可能なものと判断した場合、すなわちマネーカード載置台9に載置されたマネーカードが正常なものであると判断した場合(ステップS401:Yes)、主制御部100は、表示部4に入金を行うための画面を表示し(ステップS402)、その後、予め設定された時間が経過するまでの間、入金待ちとなる(ステップS403,ステップS404)。設定時間までに入金操作が行われなかった場合、主制御部100は、手順をリターンして今回の処理を終了する(ステップS403:No→ステップS404:Yes)。
【0044】
これに対して設定時間までに利用者によって入金操作が行われ、これに伴って入金処理部12から入金情報が与えられると、主制御部100は、チャージ処理部103を通じて入金情報を適宜処理することにより、サーバ装置200,300,400に対してチャージ(決済)要求を送信し(ステップS405)、その後、サーバ装置200,300,400からの応答受信待ちとなる(ステップS406)。
【0045】
サーバ装置200,300,400から受信した応答がチャージ許可であった場合(ステップS406:Yes→ステップS407:Yes)、主制御部100は、チャージ処理部103を通じて読み書き制御部102に書き込み指令を送信し、入金額分を積み増した電子マネー情報をマネーカードに書き込む処理を実施する(ステップS408)。尚、サーバ装置200,300,400からの応答がチャージ許可でない場合(ステップS406:Yes→ステップS407:No)、主制御部100は、手順をリターンして今回の処理を終了する。
【0046】
上述した一連の処理が終了すると、主制御部100は、履歴管理部104を通じて履歴データ112の更新処理を実施する(ステップS409)。具体的には、ステップS409において主制御部100は、上述したように読み書き制御部102の実施したマネーカードに対する読み書き処理の履歴、及び入金処理部12を通じて取得した入金の履歴をメモリ110の履歴データ112に順次追加する処理を実施する。履歴管理部104を通じた履歴データ112の更新処理を終了した主制御部100は、手順をリターンする。
【0047】
以上説明したように、上記電子マネーチャージ機によれば、主制御部100の読み書き制御部102は、マネーカードの内部のデータへのアクセスが許容された場合に、このアクセスに用いた種類の認証鍵Aをメモリ110の不揮発性領域111に一時的に記憶し、その後にマネーカード載置台9にマネーカードが新たに載置された場合に、メモリ110の不揮発性領域111に一時的に記憶される認証鍵Aを用いて該マネーカードの内部のデータにアクセスするので、認証処理を複数回繰り返すうちに、最も認証に用いられるバージョンの認証鍵をメモリ110の不揮発性領域111に記憶するようになる。従って、市場の大勢に臨機応変に対応しながら、認証に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0048】
尚、上述した実施の形態では、認証鍵の種類としてバージョン毎の種類について説明したが、本発明ではバージョン毎に限られるものではなく、認証鍵の種類として決済ブランド毎の種類であっても構わない。
【0049】
また、上述した実施の形態では、非接触通信によってデータの読み書き処理を行うものを例示しているが、必ずしも非接触通信によってデータの読み書き処理を行うものである必要はない。
【0050】
上述した実施の形態では認証鍵Aをメモリ110の不揮発性領域に記憶するものであったが、本発明では、認証鍵を不揮発性領域ではなくて、揮発性メモリに記憶するものであっても構わない。また、本発明では、バージョン毎、あるいは決済ブランド毎の種類のみを記憶手段の不揮発性領域に記憶するものであっても構わない。
【0051】
上述した実施の形態では、各バージョンの認証鍵を予めメモリ110に記憶してあるものとして説明したが、本発明では、認証鍵そのものは揮発性メモリに記憶、あるいはその都度ダウンロードさせるようにしても良い。これによれば、電子マネーチャージ機が盗まれたとき等の認証鍵に対するセキュリティレベルを向上させることができるので好ましく、また単なる電源遮断に対しては、バージョン又は種類情報が電源復帰時にそのまま残っているため、運用がし易い等の利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本発明に係る記録媒体処理装置は、所定の通信可能領域に保持されたマネーカードに対して、投入された金銭に対応する入金情報を付与するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態である電子マネーチャージ機(記録媒体処理装置)を簡略して示す斜視図である。
【図2】図1に示した電子マネーチャージ機において前扉を開放移動させた状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示した電子マネーチャージ機の制御系を示すブロック図である。
【図4】図3に示した主制御部が実施する処理内容を示すフローチャートである。
【図5】図4に示した認証処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図6】図4に示したチャージ処理の処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
4 表示部
13 リーダライタ
100 主制御部
102 読み書き制御部
103 チャージ処理部
110 メモリ
111 不揮発性領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体内のデータにアクセスするための認証鍵を種類毎に複数記憶する記憶手段と、
所定の通信可能領域に保持された記録媒体に対し、前記記憶手段に記憶される認証鍵を用いて前記記録媒体内のデータにアクセスし、アクセスが許容された場合にデータの読み取り及び書き込みを行う読み書き制御手段と
を備えた記録媒体処理装置において、
前記読み書き制御手段は、前記記録媒体内のデータへのアクセスが許容された場合に、このアクセスに用いた種類の認証鍵を前記記憶手段に一時的に記憶し、その後に所定の通信可能領域に記録媒体が新たに保持された場合に、前記記憶手段に一時的に記憶される種類の認証鍵を用いて該記録媒体内のデータにアクセスすることを特徴とする記録媒体処理装置。
【請求項2】
前記読み書き制御手段は、前記記憶手段に一時的に記憶された種類の認証鍵を用いての記録媒体内のデータへのアクセスが拒否された場合には、前記記憶手段に記憶される認証鍵を予め決められて順序に従って用いて該記録媒体内のデータにアクセスすることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−211318(P2009−211318A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−52695(P2008−52695)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】