説明

記録媒体及びそれを用いた画像形成装置並びに画像形成方法

【課題】画像形成時以外の通常時は電荷の作用を受け難く、環境の変化や静電気等の影響によって画像が経時的に変化することを防止でき、画像品質の安定性に優れ、幅広い用途に使用することが可能で汎用性、量産性、取扱い性に優れた記録媒体の提供。
【解決手段】接地又は電圧印加や電荷注入の要因により自由電子が増加し、要因を除去することにより自由電子が減少する要因導電性基材と、要因導電性基材上に形成され電荷の作用により書込みや消去が可能な表示層と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体の裏面に要因導電性基材が形成され電荷の作用により画像の書換えが可能な記録媒体及びそれを用いた画像形成装置並びに画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、(特許文献1)に示すように、電子写真方式とは別方式の静電潜像形成方式である、イオン照射方式が開発されてきている。
電子写真方式が一様帯電+露光という2工程で、一様帯電した感光体上の露光した部分の電荷を逃がすことで、静電潜像担持体としての感光体上に静電潜像を形成するのに対し、イオン照射方式では、イオン生成可能な雰囲気中(大気中等)においては、放電電極からの電子の放出により発生するイオンの照射による選択的帯電(静電潜像形成帯電)のみで静電潜像担持体(絶縁体であれば良いので、必ずしも感光体である必要はない)上に静電潜像の形成を完了できるので、より簡素化された静電潜像形成方式である。
また、(特許文献2)には、水平プリンタ対応型のイオン照射型印字ヘッドの具体的な形状及びそれを備えた画像形成装置が開示されている。
特に、(特許文献1)や(特許文献2)に示す加熱放電方式は、放電電極に印加しただけでは放電が発生せず加熱することにより放電が発生する電圧(放電制御電圧)を印加した状態で、放電電極への加熱の有無を制御することにより、放電の有無を制御してイオンの発生制御を行うものであり、放電電極に印加する電圧の制御が不要である。その結果、発熱抵抗体等による加熱の制御に使用する5V駆動のような低耐電圧対応のドライバICで放電の発生を制御することができ、放電の制御の観点からは最も優れた制御方式であると言える。
因に、現時点におけるデジタルペーパとしては、微小なボールを二色(例えば白黒)に色分けし、各色の電気特性の違いによりボールを回転して任意の一色を表示するツイストボール方式、微小なボール中に二色(例えば白黒)の微粉末を混入し、各色の微粉末が持つ電気特性の違いにより一色のみを浮上させて表示する電気泳動方式、液晶板あるいは微小な液晶ブロックの液晶シャッターを開閉して、シャッターを開けた部分の背景色を表示する液晶方式等がある。
【特許文献1】特開2003−326756号公報
【特許文献2】WO2005/087496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)、(特許文献2)の加熱放電型印字ヘッドを備えた画像形成装置は、放電の制御が容易で静電現像方式の記録媒体に非接触で書込むには最適なものであるが、静電荷により書換えが可能な従来の静電現像方式の記録媒体は、特に冬場などにおいて、人等の静電気によって画像に乱れが発生してしまい画像を継続的に表示する際の画像品質の信頼性に欠け、短期間で画像の書換えを行うものに用途が限定され、汎用性に欠けるため、静電現像方式の記録媒体の普及における課題となっていた。
(2)記録媒体の基材としては、一般的にステンレス板やアルミ板等の金属材やPET(ポリエチレンテレフタレート)シート上にITOを蒸着したものが使用されてきたが、加熱放電型印字ヘッドの放電電極の絶縁破壊対策として、放電制御電圧の一部又は全部を記録媒体の基材側に印加すると、基材全体に高電圧がかかる為、画像形成装置の搬送路を絶縁しなければならず、装置の量産性、取扱い性、信頼性に欠けるという課題を有していた。
また、記録媒体を搬送させながら画像を形成する際に、基材全体に高電圧が印加された状態で記録媒体が装置外にはみ出していると、人が手で触れる可能性があるので、記録媒体が装置外にはみ出さないように、装置を大型化したり、搬送路を複雑化したりする必要があり、装置の取扱い性、省スペース性に欠けるという課題を有していた。
さらに、記録媒体の基材としてステンレス板やアルミ板等の金属材を使用した場合、一度変形してしまうと、形が付いてしまうため、記録媒体の取扱いを慎重にしなければならないという課題を有していた。
また、PET(ポリエチレンテレフタレート)シート上にITO等の導電体などを蒸着したものは、書込み時に書込み(記録面)側から接地若しくは電圧印加を行わなければならないため、記録媒体の側面(端面)側等に電極を露出させなければならず、記録媒体の生産性、取扱い性に欠けると共に、装置が大型化し易く、動作の信頼性に欠けるという課題を有していた。さらに、PET(ポリエチレンテレフタレート)シート上にITOの導電体を蒸着したものはITOが無機物であるので、多数回屈曲したりすると割れが発生し、導電性が損なわれることが多く、耐久性に欠けるという課題を有していた。
(3)以上のような観点から、環境の変化などの影響を受け難く、長期に渡って表示画像を維持することができ、画像品質の安定性に優れると共に、電極を形成する必要がなく、量産性、取扱い性に優れた書換え可能な記録媒体の開発が強く要望されていた。
(4)本願発明者が鋭意研究を重ねた結果、上記画像に乱れが発生する原因が、基材内全体に存在する自由電子にあることが明らかとなった。つまり、静電気を帯びた人等が記録媒体に触れると、人等の帯電部に対応して基材内全体に存在する自由電子が集まり、電界を形成することにより、画像の乱れが発生するということを突き止めた。
(5)基材内全体の自由電子の動きを悪くすれば、上記課題を解決することができるが、自由電子が動かない状態では、電界による書込みができなくなる。そこで、通常時(非書込み時)には記録媒体の基材内全体に存在する自由電子の動きが悪いが、書込み時には印字ヘッド近傍にて自由電子の動きがよいという相反する状態を実現するために、鋭意検討を行い、本願発明をするに至った。
【0004】
本発明は上記課題を解決するもので、画像形成時以外の通常時は電荷の作用を受け難く、環境の変化や静電気等の影響によって画像が経時的に変化することを防止でき、画像品質の安定性に優れ、幅広い用途に使用することが可能で汎用性、量産性、取扱い性に優れた記録媒体の提供、及びその記録媒体を用いて繰返し画像の書込みと消去を行うことができる省資源性、省スペース性に優れた画像形成装置の提供、並びにその記録媒体を用いて画像の書込みと消去を簡便かつ確実に行うことができる画像品質の信頼性に優れた画像形成方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明の記録媒体及びそれを用いた画像形成装置並びに画像形成方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の記録媒体は、接地又は電圧印加や電荷注入の要因により自由電子が増加し、前記要因を除去することにより自由電子が減少する要因導電性基材と、前記要因導電性基材上に形成され電荷の作用により書込みや消去が可能な表示層と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)接地又は電圧印加や電荷注入の要因により自由電子が増加し、要因を除去することにより自由電子が減少する要因導電性基材を有するので、画像形成時にのみ要因導電性基材への接地又は電圧印加や電荷注入を行うことにより自由電子を増加させることができ、表示層の表面側からイオン照射等を行って選択的に電荷を注入することにより、電位差によって要因導電性基材内の自由電子をその厚み方向に移動させ、表示層の表裏に電荷を作用させて画像の書込みや消去を行うことができると共に、画像形成後の通常時は要因導電性基材内の自由電子を減少させて電荷の作用を受け難くし、環境の変化や静電気等の影響による画像の乱れを防止することができ、長期に渡って表示画像を維持することが可能で画像品質の安定性に優れる。
(2)表示層の裏面側に要因導電性基材を形成することにより、別途、電極を形成する必要がなく、量産性、取扱い性に優れる。
【0006】
ここで、この記録媒体の表示層は、電荷の作用により画像の書込みや消去が可能なものであればよい。表示層に、透過型のネマティック液晶やスメクティック液晶等のシャッター機能を有する液晶材料を用いた液晶方式或いは白色又は黒色を選択的に表示可能なツイストボール方式,電気泳動方式,粉体移動方式等の画像表示材料が封入されたものが好適に用いられる。
これらの表示層において、カラー表示の表示原色の組合せは適宜、選択することができる。カラー表示の表示原色として、少なくとも加法混色法における三原色(R,G,B)を持つカラーフィルタや減法混色法における三原色(Y,M,C)を持つカラー反射層を組合せた場合、フルカラー表示を行うことができる。また、カラーフィルタやカラー反射層を組合せる代わりに、減法混色法における三原色(Y,M,C)等に着色したツイストボールや微粒子等の画像表示材料を表示原色の色毎に配列してカラー表示を行うこともできる。尚、表示層を複数の領域に分割し、領域毎に異なる色を表示するようにしてもよい。
【0007】
要因導電性基材としては、通常時(非書込み時)は自由電子が少ない状態で、画像形成時に接地又は電圧印加や電荷注入を行うことにより自由電子が増加するものであればよいが、有機重合体中にカーボン粉,金属粉などの導電粉を混入してシート状に形成したものが好適に用いられる。
この記録媒体では、要因導電性基材への接地又は電圧印加や電荷注入を行うと共に、表示層の表面側から選択的にイオン照射などを行うことにより、電位差によって要因導電性基材内の自由電子が、その厚み方向に移動し、表示層の表裏に電荷が作用して、画像の書込みや消去を行うことが可能となる。尚、表示層の表面側の電荷注入位置は、印字ヘッドなどによって位置決め、選択することができるので、要因導電性基材を表示層の画素単位に分割する必要はなく、表示層の全面に共通なベタ状に形成することができ、生産性に優れる。
尚、要因導電性基材の表面抵抗値としては、105Ω・cm〜1013Ω・cmであることが好ましい。要因導電性基材の表面抵抗値が105Ω・cmより小さくなるにつれ、表面に載せた電荷が面上で移動し易くなり、画像がぼやける傾向があり、1013Ω・cmより大きくなるにつれ、帯電し易くなり、静電気などの影響により画像が乱れる傾向があり、いずれも好ましくない。要因導電性基材の表面抵抗値を105Ω・cm〜1013Ω・cmとすることにより、画像形成後に内部の電荷が速やかに消滅し、画像が乱れることがなく、画像品質の信頼性に優れる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の記録媒体であって、前記要因導電性基材が、導電性シートで形成された構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)要因導電性基材が導電性シートで形成されていることにより、記録媒体全体が柔軟性、可撓性を有するので、画像形成装置で画像を形成する際に湾曲させても破損することがなく、搬送経路の制約を受け難く、耐久性、取扱い性、搬送性に優れる。
ここで、導電性シートとしては、ポリカーボネート,ポリプロピレン,ポリアミド等の中にカーボンを分散させたものが好適に用いられる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の記録媒体であって、前記要因導電性基材が、厚み方向にのみ導電性を有する異方導電性シートで形成された構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)要因導電性基材が、厚み方向にのみ導電性を有する異方導電性シートで形成されていることにより、表示層の表裏の所望の位置に選択的に電位差を発生させて画像の書込みや消去を行うことができ、画像品質の信頼性に優れる。
ここで、異方導電性シートとしては、金属細線を絶縁性シリコーンの厚さ方向に高密度に配向したものなどが好適に用いられる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の記録媒体であって、前記要因導電性基材が、導電性ポリカーボネートで形成された構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)要因導電性基材が導電性ポリカーボネートで形成されていることにより、要因導電性基材の厚さがばらつき難く、記録媒体の全面に渡って略均一な導電性を得ることができ、量産性に優れ、画像の濃度斑や書込み不良を防止することができ、画像品質の信頼性に優れる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の記録媒体であって、前記要因導電性基材が、無添加帯電防止フィルムで形成された構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)要因導電性基材が無添加帯電防止フィルムで形成されていることにより、量産性、取扱い性に優れると共に、樹脂内のイオン伝導体により表示層の表裏の所望の位置に選択的に電位差を発生させて画像の書込みや消去を行うことができ、画像品質の信頼性に優れる。
【0012】
ここで、無添加帯電防止フィルムは、帯電防止剤等が添加されているものではなく、フィルムの原料に非帯電性(帯電防止)効果があるものである。これにより、安定した表面抵抗値を得ることができ、湿度による依存性が無いので、取扱い性に優れる。
例えば、熱可塑性樹脂にポリエーテルエステル系の制電ポリマーを特定量配合することにより、永久帯電防止性に優れる熱可塑性樹脂組成物が得られる。より具体的には、熱可塑性樹脂に相溶性と機械的強度、耐熱性等に優れた特定のポリエーテルエステルブロック共重合体と高分子化合物と金属イオンが相互作用している化合物とを適量混合すると、優れた永久帯電防止性が付与できる(特許第3455670号参照)。
市販されている無添加帯電防止フィルムとして、株式会社テクノスタット工業製のSTAT−3S(スタット・スリーエス)やワコー樹脂株式会社製のものなどを好適に用いることができる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の記録媒体であって、前記要因導電性基材が、複数の導電部と、前記複数の導電部の間を絶縁する絶縁部と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)要因導電性基材が、複数の導電部と、複数の導電部の間を絶縁する絶縁部を有することにより、複数の導電部の位置で記録媒体の表裏に選択的に電位差を発生させて画像の書込みや消去を行うことができ、画像品質の信頼性に優れる。
ここで、複数の導電部は、絶縁部によって互いに絶縁されていればよく、形状や配置は、適宜、選択することができる。例えば、円形状や矩形状などに形成された導電部を島状に点在させてもよいし、ハニカム状などに規則的に配置してもよい。

【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の内いずれか1項に記載の記録媒体であって、前記要因導電性基材と前記表示層との間に形成された密着層を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至6の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)要因導電性基材と表示層との間に密着層を形成することにより、要因導電性基材と表示層の間を隙間なく確実かつ強固に密着させて剥離の発生を防止することができ、画像形成時に必要な導電性を確保することができ、耐久性、画像品質の安定性に優れる。
【0015】
ここで、密着層としては、要因導電性基材及び表示層と密着性(親和性)を有するものであればよいが、銅,アルミナ,SiO2などを蒸着するものが好適に用いられる。特に、密着層を導電性材料で形成した場合、要因導電性基材の厚さや要因導電性基材中の導電粉の分散状態のばらつき等によって生じる要因導電性基材の導電性のばらつきを吸収し、記録媒体の全面に対して略均一な導電性を得ることができる。これにより、表示層の任意の位置に所望の画像を確実に形成することができ、濃度斑や書込み不良の発生を防止でき、画像品質の安定性、信頼性に優れる。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の内いずれか1項に記載の記録媒体であって、前記要因導電性基材の前記表示層側と反対側の表面に形成された絶縁性を有する複数の凸部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至7の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)要因導電性基材の表示層側と反対側の表面に絶縁性を有する複数の凸部を形成することにより、要因導電性基材の表面が直接、接地することがなく、帯電を防止することができ、静電気等の影響による画像の乱れが発生せず、画像品質の安定性に優れる。
【0017】
ここで、凸部としては円柱状や角柱状などの突起を縦横に配置してもよいし、凸条を行単位や列単位或いは格子状(メッシュ状)に配置してもよい。
尚、凸部の材質としては、絶縁性を有するものであればよいが、ポリイミド,アラミド,ポリエーテルイミド等の合成樹脂が好適に用いられる。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の記録媒体であって、前記凸部がメッシュ状に形成された構成を有している。
この構成により、請求項8の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)凸部をメッシュ状に形成することにより、凸部によって記録媒体の全面を確実に支持することができ、要因導電性基材の表面が直接、他の物体に接触することを効果的に防ぐことができ、帯電防止の信頼性に優れる。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至7の内いずれか1項に記載の記録媒体であって、前記要因導電性基材の前記表示層側と反対側の表面に覆設された絶縁保護層を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至7の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)要因導電性基材の表示層側と反対側の表面に絶縁保護層を覆設することにより、要因導電性基材の表面が直接、他の物体に接触して接地することがなく、帯電を確実に防止することができ、静電気等の影響による画像の乱れが発生せず、画像品質の安定性に優れる。
(2)絶縁保護層で要因導電性基材の表面を保護することにより、要因導電性基材の破損を防止することができ、記録媒体の取扱い性、長寿命性に優れる。
ここで、絶縁保護層の材質としては、ポリイミド,アラミド,ポリエーテルイミド等の合成樹脂が好適に用いられる。
【0020】
本発明の請求項11に記載の画像形成装置は、請求項1乃至10の内いずれか1項に記載の記録媒体を用いた画像形成装置であって、前記記録媒体の前記表示層側の表面に画像情報に基づいて選択的に電子やイオンを照射する印字ヘッドと、前記印字ヘッドと前記記録媒体の前記要因導電性基材との間に電位差を設定する電位差設定部と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)記録媒体の表示層側の表面に画像情報に基づいて選択的に電子やイオンを照射する印字ヘッドと、印字ヘッドと記録媒体の要因導電性基材との間に電位差を設定する電位差設定部を有するので、印字ヘッドから発生した電子やイオンを電位差によって記録媒体の表示層側の表面に引き寄せることや印字ヘッドと記録媒体の要因導電性基材との間に設定した電位差によって放電を発生させて記録媒体の表示層側の表面に電子やイオンを照射することができ、その電荷の作用により簡便かつ確実に記録媒体への画像の書込みや消去を行うことができる。
【0021】
ここで、印字ヘッドは、電子又はイオンを発生させることができるものであればよい。例えば、ワイヤ電極や針電極等に高電圧を印加してコロナ放電を発生させるものや電極を加熱して熱電子を放出させるもの以外に、特許第3725092号や特許第3974923号等に記載された加熱放電型印字ヘッド等を用いることができる。
電位差設定部は、印字ヘッドと記録媒体の要因導電性基材との間に所定の電位差を設定できるものであればよい。
印字ヘッドとして、ワイヤ電極や針電極等に高電圧を印加してコロナ放電を発生させるものや電極を加熱して熱電子を放出させるものを用いる場合、電位差設定部は、記録媒体の要因導電性基材に、印字ヘッドで発生した電子やイオンと逆極性の電圧を印加したり、電荷を注入したりするものが好適に用いられる。これにより、印字ヘッドと記録媒体の要因導電性基材との間の電位差により、印字ヘッドから発生した電子やイオンを記録媒体の表示層側の表面に引き寄せて電荷を付与することができ、画像を形成することができる。
印字ヘッドとして、加熱放電型印字ヘッドを用いる場合、電位差設定部は、加熱放電型印字ヘッドの放電電極と記録媒体の要因導電性基材との間に放電制御電圧に相当する電位差を発生させるものが用いられる。放電制御電圧とは、その電位差だけでは加熱放電型印字ヘッドと記録媒体との間で放電は起こらないが、放電電極を加熱することにより放電が起こる電圧域を言う。よって、加熱放電型印字ヘッドの放電電極と記録媒体の要因導電性基材との間に放電制御電圧に相当する電位差が設定された状態で、画像情報に基づいて放電電極を選択的に加熱することにより、放電を発生させることができ、放電に伴って生じた電子やイオンを記録媒体の表示層側の表面に照射して電荷を付与することができ、画像を形成することができる。尚、加熱放電型印字ヘッドの放電電極と記録媒体の要因導電性基材との間に放電制御電圧に相当する電位差が発生していればよいので、放電電極及び要因導電性基材の各々に印加する電圧或いは注入する電荷は任意に選択して分配することができる。また、放電電極又は要因導電性基材の一方に放電制御電圧に相当する電圧を印加し、他方を接地してもよい。
【0022】
本発明の請求項12に記載の画像形成装置は、請求項1乃至10の内いずれか1項に記載の記録媒体を用いた画像形成装置であって、前記記録媒体の前記表示層側の表面に対向配置される導電性部材と、前記導電性部材と前記記録媒体の前記要因導電性基材との間に電位差を設定する電位差設定部と、前記記録媒体の前記表示層側の表面に画像情報に基づいて選択的に熱エネルギー又は光エネルギーを付与するエネルギー付与手段と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)記録媒体の表示層側の表面に対向配置される導電性部材と、導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に電位差を設定する電位差設定部を有することにより、記録媒体の表裏に、画像の書込みや消去に必要な電荷を作用させることができると共に、エネルギー付与手段で記録媒体の表示層側の表面に画像情報に基づいて選択的に熱エネルギー又は光エネルギーを付与して、表示層に封入された電気泳動方式の画像表示材料に含まれる分散媒を選択的に軟化させることができるので、軟化した分散媒の中に分散させた着色粒子のみを電位差によって移動させ、任意の画像を形成することができる。
【0023】
ここで、記録媒体の表示層には、電気泳動方式の画像表示材料が封入されている。電気泳動方式の画像表示材料は、例えば白色と黒色等の異なる色に着色された2種類の着色粒子により単色表示を行う以外に、加法混色法における三原色(R,G,B)を持つカラーフィルタや減法混色法における三原色(Y,M,C)を持つ反射層と組合せてカラー表示を行うことができる。また、カラーフィルタや反射層と組合せる代わりに、白色等の背景色を表示する着色粒子以外を減法混色法における三原色(Y,M,C)等の表示原色に着色してカラー表示を行うこともできる。例えば白色と複数の表示原色の内のいずれか一色に着色された2種類の着色粒子を組合せて分散媒と共にマイクロカプセルや隔壁で仕切られた空間等に封入することにより、複数の表示原色を選択的に表示することができる。1つのマイクロカプセルや隔壁で仕切られた空間等に一緒に封入される2種類の着色粒子の内の少なくとも一方が正又は負の電荷を帯びた電気泳動粒子であれば、白色と黒色又は表示原色を選択的に表示することができる。2種類の着色粒子の内のいずれか一方のみを電荷を帯びた電気泳動粒子とする場合、他方を電気泳動粒子よりも粒径の小さな微粒子として分散させることにより、電気泳動粒子の移動を妨げることがなく、白色と黒色又は表示原色を選択的に表示することができる。2種類の着色粒子の一方が正電荷を帯び、他方が負電荷を帯びた電気泳動粒子である場合、それぞれの着色粒子を電荷によって確実に移動させることができ動作安定性に優れる。
【0024】
分散媒としては、熱エネルギー又は光エネルギーが付与されると軟化し粘度が低下するものを使用する。熱エネルギー(加熱)によって軟化する分散媒としては、脂肪族炭化水素,芳香族炭化水素,脂環式炭化水素,ハロゲン炭化水素,各種エステル,アルコール系溶媒,その他の油類等やそれらの混合物に、ポリアルキレン或いは天然系のワックスを混合したものを用いることができる。このようなワックスとしては、ポリエチレン,ポリプロピレン,カルナバワックス,キャンデリラワックス,ライスワックス,アミド系ワックス,ケトン系ワックス等を用いることができる。特に、20〜40cpsの範囲における温度に対する粘度曲線が鋭敏に変化する比較的分子量の揃っているものを用いるのが好ましい。温度感受性を高めるためである。
光エネルギー(光照射)によって軟化する分散媒としては、通常は個体であるが、光が照射されると、光分解性有機化合物が分解することにより軟化あるいは液化する光軟化組成物を用いることができる。光分解性有機化合物としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシー2ーフェニルアセトフェノン、ベンゾインメチルエーテル等を用いることができる。
【0025】
電位差設定部は、導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に所定の電位差を設定できるものであればよい。導電性部材の材質としては、金、銀、銅、アルミニウム等の金属やカーボン等が好適に用いられる。
電位差設定部は、記録媒体の要因導電性基材に、導電性部材に印加した電圧と逆極性の電圧を印加したり、電荷を注入したりするものが好適に用いられる。これにより、導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間の電位差により、分散媒の中に分散させた前述の着色粒子(電荷を帯びた電気泳動粒子)を記録媒体の表示層のいずれか一方の表面に引き寄せることができ、画像を形成することができる。
電位差設定部は、記録媒体の表示層の表裏に着色粒子(電荷を帯びた電気泳動粒子)を移動させるだけの電位差を発生させることができればよいので、導電性部材及び要因導電性基材の各々に印加する電圧は任意に選択して分配することができる。また、導電性部材又は要因導電性基材の一方に必要な電圧を印加し、他方を接地してもよい。
【0026】
エネルギー付与手段としては、選択的に熱エネルギー又は光エネルギーを付与できるものであればよい。熱エネルギーを付与するものとしては、記録媒体の表示層に発熱部などを直接接触させて加熱を行うものが好適に用いられる。記録媒体と離間した位置からレーザ光や赤外線などの光を照射するものは、熱エネルギー又は光エネルギーを付与するものとして用いることができる。
【0027】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の画像形成装置であって、前記エネルギー付与手段が、サーマルヘッドである構成を有している。
この構成により、請求項12の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)エネルギー付与手段が、サーマルヘッドであることにより、その発熱部を記録媒体の表示層側の表面に接触させて確実に加熱を行って必要な熱エネルギーを付与することができ、省エネルギー性、効率性に優れる。
ここで、サーマルヘッドとしては、従来の感熱式のファクシミリに使用されるものと同様の構成を有するものが好適に用いられる。具体的には、発熱部と電気的に接続されたドライバICで発熱部の発熱を制御するものである。
【0028】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の画像形成装置であって、前記導電性部材が、前記サーマルヘッドの発熱部に覆設された保護層上に配設されている構成を有している。
この構成により、請求項13の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)導電性部材が、前記サーマルヘッドの発熱部に覆設された保護層上に配設されていることにより、エネルギー付与手段(サーマルヘッド)と導電性部材を1つの駆動系で走査することができるので、複雑な制御が不要で、記録媒体上の画像形成位置を簡便に選択でき、画像形成の効率性に優れる。
(2)エネルギー付与手段(サーマルヘッド)と導電性部材が一体化されていることにより、画像情報に基づいて選択した任意の位置で、エネルギー付与手段(サーマルヘッド)による加熱を行って電気泳動方式の画像表示材料に含まれる分散媒を軟化させ、分散媒の中に分散させた着色粒子を可動状態にすると同時に、電位差設定部によって記録媒体の表裏(導電性部材に対向する位置)に発生させた電位差で着色粒子を移動させることができるので、確実かつ効率的に画像の書込みや消去を行うことができ、画像品質の信頼性に優れる。
【0029】
ここで、保護層は、発熱部と導電性部材の間を絶縁できると共に、発熱部の熱を効率よく記録媒体側に伝達することができる高熱伝導性のものが好ましい。具体的には、SiAl、SiO2、SiC、鉛ガラス、マイカ等の他に、ポリイミドやアラミド等の耐熱性を有する合成樹脂等が好適に用いられる。
【0030】
請求項15に記載の発明は、請求項12に記載の画像形成装置であって、前記エネルギー付与手段が、光照射部である構成を有している。
この構成により、請求項12の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)エネルギー付与手段が、光照射部であることにより、記録媒体や導電性部材と離間した位置から表示層側の表面に光を照射して必要な熱エネルギー又は光エネルギーを付与することができるので、導電性部材との絶縁を行う必要がなく、エネルギー付与手段の設置の自在性や装置の設計の自在性に優れる。
【0031】
ここで、光照射部としては、レーザ光照射部や赤外線照射部等からレーザ光や赤外線等の光を照射する方式が好適に用いられる。レーザ光を照射する方式としては、従来の電子写真方式と同様のレーザスキャナユニットを用いることができ、レーザ光照射部にポリゴンミラー又はガルバノミラーを組合せて記録媒体に対してレーザ光のみをスキャンさせるもの、記録媒体に対してレーザ光照射部自体をシリアル走査させるもの等が好適に用いられる。また、レーザ光や赤外線を光ファイバーや集光レンズで集光して記録媒体に照射してもよい。特に多本数の光ファイバーを高密度かつ高精度に配列した光ファイバーアレイを用いた場合、同時に複数の箇所に対して、レーザ光や赤外線を選択的に照射することができ、高速記録が可能で生産性に優れる。
【0032】
エネルギー付与手段としてレーザ光照射部や赤外線照射部などの光照射部を用いる場合、レーザ光や赤外線などの光を選択的に照射して電気泳動方式の画像表示材料に含まれる分散媒を軟化させ、分散媒の中に分散させた着色粒子を可動状態とした後に、導電性部材と記録媒体を相対的に移動させ、所望の位置で記録媒体の表裏に発生させた電位差によって着色粒子を移動させて、画像の書込みや消去を行うことができる。
尚、導電性部材が透光性を有する場合は、レーザ光照射部や赤外線照射部などの光照射部から発したレーザ光や赤外線などの光を導電性部材を通過させてから記録媒体の表示層の表面に照射することができるので、電位差設定とエネルギーの付与を同時に行うことができ、画像形成の効率性、確実性に優れる。特に、導電性部材を記録媒体の全面に対向するように配置した場合、導電性部材を走査するための駆動系が不要で、装置の構成を簡素化して、小型化、簡素化を図ることができる。
【0033】
請求項16に記載の発明は、請求項11乃至15の内いずれか1項に記載の画像形成装置であって、前記電位差設定部が、前記記録媒体の前記要因導電性基材への接地又は電圧印加を行う電圧選択部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項11乃至15の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)電位差設定部が、記録媒体の要因導電性基材への接地又は電圧印加を行う電圧選択部を有することにより、印字ヘッドの種類(駆動方法),印字ヘッドから発生するイオンの極性,導電性部材の特性,記録媒体の種類などに応じて、要因導電性基材への接地又は要因導電性基材に印加する電圧値を適宜、選択することができるので、印字ヘッド若しくは導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に確実に必要な電位差を発生させることができ、汎用性に優れる。
【0034】
ここで、印字ヘッドが加熱放電方式の場合、電位差設定部は、加熱放電型印字ヘッドの放電電極に対して電圧印加又は接地を行う放電電極側電圧制御部を有している。電圧選択部により接地又は電圧印加された要因導電性基材と加熱放電型印字ヘッドの放電電極との間に、放電制御電圧に相当する電位差を形成するために、不足する電圧の印加又は接地を行うためである。
【0035】
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の画像形成装置であって、前記電圧選択部が、前記記録媒体の前記要因導電性基材の表面に接触する帯電ローラを備えた構成を有している。
この構成により、請求項16の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)電圧選択部が、記録媒体の要因導電性基材の表面に接触する帯電ローラを有することにより、印字ヘッドの種類(駆動方法),印字ヘッドから発生するイオンの極性,導電性部材の特性,記録媒体の種類などに応じて、帯電ローラを帯電させる電荷の極性や帯電量を適宜、選択して、要因導電性基材を一様に帯電させて自由電子を増加させることができ、印字ヘッド若しくは導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に確実に必要な電位差を発生させることができ、汎用性に優れる。
(2)帯電ローラと要因導電性基材を接触させるだけで要因導電性基材を一様に帯電させて自由電子を増加させることができるので、要因導電性基材に対する電気接続が不要で、記録媒体の交換を簡便に行うことができ、作業性に優れる。
【0036】
請求項18に記載の発明は、請求項16に記載の画像形成装置であって、前記電圧選択部が、前記記録媒体の前記要因導電性基材の表面に接触する帯電ブラシを備えた構成を有している。
この構成により、請求項16の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)印字ヘッドの種類(駆動方法),印字ヘッドから発生するイオンの極性,導電性部材の特性,記録媒体の種類などに応じて、帯電ブラシを帯電させる電荷の極性や帯電量を適宜、選択して、要因導電性基材を一様に帯電させることができ、印字ヘッド若しくは導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に確実に必要な電位差を発生させることができ、汎用性に優れる。
(2)帯電ブラシと要因導電性基材を接触させるだけで要因導電性基材を一様に帯電させることができるので、要因導電性基材に対する電気接続が不要で、記録媒体の交換を簡便に行うことができ、作業性に優れる。
(3)要因導電性基材の表面に絶縁性を有する複数の凸部が形成されている場合でも、帯電ブラシの先端部を要因導電性基材の表面に確実に接触させて要因導電性基材を帯電させることができ、帯電の確実性に優れる。
【0037】
請求項19に記載の発明は、請求項11乃至15の内いずれか1項に記載の画像形成装置であって、前記電位差設定部が、前記記録媒体の前記要因導電性基材への電荷注入を行う電荷注入部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項11乃至15の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)電位差設定部が、記録媒体の要因導電性基材への電荷注入を行う電荷注入部を有することにより、印字ヘッドの種類(駆動方法),印字ヘッドから発生するイオンの極性,導電性部材の特性,記録媒体の種類などに応じて、要因導電性基材へ注入する電荷の極性や電荷量を適宜、選択することができるので、印字ヘッド若しくは導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に確実に必要な電位差を発生させることができ、汎用性に優れる。
(2)電荷注入部により、要因導電性基材と離間した位置から電荷を注入することができるので、要因導電性基材に対する電気接続が不要で、記録媒体の交換を簡便に行うことができ、作業性に優れる。
【0038】
ここで、電荷注入部は、要因導電性基材と離間した位置から電荷を注入することができるものであればよい。コロトロン型又はスコロトロン型の放電部等が好適に用いられる。
印字ヘッドが加熱放電方式の場合、電位差設定部は、加熱放電型印字ヘッドの放電電極に対して電圧印加又は接地を行う放電電極側電圧制御部を有している。電荷注入部により電荷が注入された要因導電性基材と加熱放電型印字ヘッドの放電電極との間に、放電制御電圧に相当する電位差を形成するために、不足する電圧の印加又は接地を行うためである。
【0039】
請求項20に記載の発明は、請求項19に記載の画像形成装置であって、前記電荷注入部が、前記記録媒体の前記要因導電性基材と離間して配置されたコロトロン型又はスコロトロン型の放電部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項19の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)電荷注入部が、記録媒体の要因導電性基材と離間して配置されたコロトロン型又はスコロトロン型の放電部を有することにより、複雑な制御などを行うことなく、簡便に大量のイオンを発生させることができ、そのイオンを要因導電性基材に照射して確実に電荷を注入することができ、装置の取扱い性に優れる。
【0040】
本発明の請求項21に記載の画像形成方法は、請求項1乃至10の内いずれか1項に記載の記録媒体を用いた画像形成方法であって、印字ヘッドと前記記録媒体の前記要因導電性基材との間に電位差を設定する電位差設定工程と、前記記録媒体の前記表示層側の表面に画像情報に基づいて前記印字ヘッドから選択的に電子やイオンを照射する電荷付与工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)印字ヘッドと記録媒体の要因導電性基材との間に電位差を設定する電位差設定工程を有するので、電荷付与工程において、印字ヘッドから発生した電子やイオンを電位差によって記録媒体の表示層側の表面に引き寄せることや印字ヘッドと記録媒体の要因導電性基材との間に設定した電位差によって放電を発生させて記録媒体の表示層側の表面に電子やイオンを照射することができ、その電荷の作用により簡便かつ確実に記録媒体への画像の書込みや消去を行うことができる。
【0041】
ここで、印字ヘッドとして、ワイヤ電極や針電極等に高電圧を印加してコロナ放電を発生させるものや電極を加熱して熱電子を放出させるものを用いる場合、印字ヘッドにおいて予め電子やイオンを発生させておき、電位差設定工程において、記録媒体の要因導電性基材に、印字ヘッドで発生した電子やイオンと逆極性の電圧を印加したり、電荷を注入したりすることにより、印字ヘッドから発生した電子やイオンを電位差によって記録媒体の表示層側の表面に引き寄せ、画像を形成することができる。
印字ヘッドとして、加熱放電型印字ヘッドを用いる場合、電位差設定工程では、加熱放電型印字ヘッドの放電電極と記録媒体の要因導電性基材との間に放電制御電圧に相当する電位差を発生させる。尚、加熱放電型印字ヘッドの放電電極と記録媒体の要因導電性基材との間に放電制御電圧に相当する電位差が発生していればよいので、放電電極及び要因導電性基材の各々に印加する電圧或いは注入する電荷は任意に選択して分配することができる。また、放電電極又は要因導電性基材の一方に放電制御電圧に相当する電圧を印加し、他方を接地してもよい。電荷付与工程においては、加熱放電型印字ヘッドの放電電極と記録媒体の要因導電性基材との間に放電制御電圧に相当する電位差が設定された状態で、画像情報に基づいて放電電極を選択的に加熱することにより、放電を発生させることができ、放電に伴って生じた電子やイオンを記録媒体の表示層側の表面に照射して電荷を付与することができ、画像を形成することができる。
【0042】
本発明の請求項22に記載の画像形成方法は、請求項1乃至10の内いずれか1項に記載の記録媒体を用いた画像形成方法であって、前記記録媒体の前記表示層側の表面に対向配置される導電性部材と前記記録媒体の前記要因導電性基材との間に電位差を設定する電位差設定工程と、前記記録媒体の前記表示層側の表面に画像情報に基づいて選択的に熱エネルギー又は光エネルギーを付与するエネルギー付与工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)記録媒体の表示層側の表面に対向配置される導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に電位差を設定する電位差設定工程を有するので、エネルギー付与工程においてエネルギー付与手段で記録媒体の表示層側の表面に画像情報に基づいて選択的に熱エネルギー又は光エネルギーを付与し、表示層に封入された電気泳動方式の画像表示材料に含まれる分散媒を選択的に軟化させることにより、軟化した分散媒の中に分散させた着色粒子のみを電位差によって移動させることができ、簡便かつ確実に画像の書込みや消去を行うことができる。
【0043】
ここで、先に電位差設定工程により、導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に電位差を発生させた状態で、後からエネルギー付与工程により、記録媒体の表示層に封入された分散媒を軟化させることにより、分散媒の中に分散させた着色粒子を電荷の作用で移動させてもよいし、先にエネルギー付与工程により、記録媒体の表示層に封入された分散媒を軟化させた状態で、後から電位差設定工程により、導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に電位差を発生させることにより、分散媒の中に分散させた着色粒子を電荷の作用で移動させてもよい。また、電位差設定工程とエネルギー付与工程を同時に行ってもよい。
【0044】
請求項23に記載の発明は、請求項21又は22に記載の画像形成方法であって、前記電位差設定工程が、前記記録媒体の前記要因導電性基材への接地又は電圧印加を行う基材側電圧選択工程を備えた構成を有している。
この構成により、請求項21又は22の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)電位差設定工程が、記録媒体の要因導電性基材への接地又は電圧印加を行う基材側電圧選択工程を有することにより、印字ヘッドの種類(駆動方法),印字ヘッドから発生するイオンの極性,導電性部材の特性,記録媒体の種類などに応じて、要因導電性基材への接地又は要因導電性基材に印加する電圧値を適宜、選択することができるので、印字ヘッド若しくは導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に確実に必要な電位差を発生させることができ、汎用性に優れる。
【0045】
請求項24に記載の発明は、請求項21又は22に記載の画像形成方法であって、前記電位差設定工程が、前記記録媒体の前記要因導電性基材への電荷注入を行う基材側電荷注入工程を備えた構成を有している。
この構成により、請求項21又は22の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)電位差設定工程が、記録媒体の要因導電性基材への電荷注入を行う基材側電荷注入工程を有することにより、印字ヘッドの種類(駆動方法),印字ヘッドから発生するイオンの極性,導電性部材の特性,記録媒体の種類などに応じて、要因導電性基材へ注入する電荷の極性や電荷量を適宜、選択することができるので、印字ヘッド若しくは導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に確実に必要な電位差を発生させることができ、汎用性に優れる。
(2)基材側電荷注入工程により、要因導電性基材と離間した位置から電荷を注入することができるので、要因導電性基材に対する電気接続が不要で、記録媒体の交換を簡便に行うことができ、作業性に優れる。
【発明の効果】
【0046】
以上のように、本発明の記録媒体及びそれを用いた画像形成装置並びに画像形成方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)画像形成時にのみ、表示層の裏面側に形成された要因導電性基材への電圧印加,電荷注入,接地のいずれかを行い、表示層の表面側から注入される電荷との電位差によって画像の書込みや消去を行うことができ、画像形成後の通常時は電荷の作用を受け難く、環境の変化や静電気等の影響による画像の乱れを防止して長期に渡って表示画像を維持することができる画像品質の安定性に優れた記録媒体を提供することができる。
【0047】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)要因導電性基材が導電性シートで形成された記録媒体全体が、柔軟性、可撓性を有し、画像形成装置で画像を形成する際に湾曲させても破損することがなく、搬送経路の制約を受け難く、耐久性、取扱い性、搬送性に優れた記録媒体を提供することができる。
【0048】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)厚み方向にのみ導電性を有する異方導電性シートで形成された要因導電性基材を用いることにより、表示層の表裏の所望の位置に選択的に電位差を発生させて画像の書込みや消去を行うことができ、高品質な画像を形成することができる量産性に優れた記録媒体を提供することができる。
【0049】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)導電性ポリカーボネートで形成された要因導電性基材を用いることにより、導電性の均一性に優れ、画像の濃度斑や書込み不良が発生し難く、高品質な画像を形成することができる量産性に優れた記録媒体を提供することができる。
【0050】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)無添加帯電防止フィルムで形成された要因導電性基材を用いることにより、表示層の表裏の所望の位置に選択的に電位差を発生させて画像の書込みや消去を行うことができ、高品質な画像を形成することができる量産性に優れた記録媒体を提供することができる。
【0051】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)複数の導電部と、複数の導電部の間を絶縁する絶縁部を有する要因導電性基材を用いることにより、複数の導電部の位置で記録媒体の表裏に選択的に電位差を発生させて画像の書込みや消去を行うことができる画像品質の信頼性に優れた記録媒体を提供することができる。
【0052】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1乃至6の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示層と要因導電性基材との間に形成した密着層により、要因導電性基材と表示層を密着させて画像形成時に必要な導電性を確保することができ、表示層の全面に渡って高品質な画像を形成することができる耐久性、画像品質の安定性に優れた記録媒体を提供することができる。
【0053】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1乃至7の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)要因導電性基材の表面に絶縁性を有する複数の凸部を形成することにより、要因導電性基材の表面が直接、他の物体に接触し難く、画像形成時以外に要因導電性基材が帯電することを防ぐことができ、静電気等の影響によって経時的に画像の乱れが発生することを防止できる画像品質の安定性に優れた記録媒体を提供することができる。
【0054】
請求項9に記載の発明によれば、請求項8の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)メッシュ状に形成された凸部によって記録媒体の全面を確実に支持することができ、要因導電性基材の表面と他の物体との接触を効果的に防止することができる帯電防止の信頼性に優れた記録媒体を提供することができる。
【0055】
請求項10に記載の発明によれば、請求項1乃至7の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)要因導電性基材の表示層側と反対側の表面に覆設された絶縁保護層により、要因導電性基材と他の物体が直接、接触することがなく、画像形成時以外に要因導電性基材が帯電することを確実に防止することができ、静電気等の影響による画像の乱れが発生せず、画像品質の安定性に優れた画像形成装置を提供することができる。
【0056】
請求項11に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)電位差設定部で印字ヘッドと記録媒体の要因導電性基材との間に設定した電位差により、印字ヘッドから発生した電子やイオンを記録媒体の表示層側の表面に引き寄せることや印字ヘッドと記録媒体との間に放電を発生させて記録媒体の表示層側の表面に電子やイオンを照射することができ、その電荷の作用により簡便かつ確実に記録媒体への画像の書込みや消去を行って、記録媒体を繰返し使用することができる省資源性に優れた画像形成装置を提供することができる。
【0057】
請求項12に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)電位差設定部で導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に設定した電位差により、記録媒体の表裏に、画像の書込みや消去に必要な電荷を作用させると共に、エネルギー付与手段で記録媒体の表示層側の表面に画像情報に基づいて選択的に熱エネルギー又は光エネルギーを付与することにより、軟化した分散媒の中に分散させた着色粒子のみを確実に移動させ、任意の画像を形成することができる画像品質の信頼性に優れた画像形成装置を提供することができる。
【0058】
請求項13に記載の発明によれば、請求項12の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)エネルギー付与手段としてサーマルヘッドの発熱部を記録媒体の表示層側の表面に接触させることにより、記録媒体の表示層の任意の位置を簡便かつ確実に加熱して画像の書込みや消去に必要な熱エネルギーを付与することができる省エネルギー性、効率性に優れた画像形成装置を提供することができる。
【0059】
請求項14に記載の発明によれば、請求項13の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)一体化されたエネルギー付与手段(サーマルヘッド)と導電性部材を1つの駆動系で走査することができ、複雑な制御が不要で、記録媒体上の画像形成位置を簡便に選択でき、所望の位置にエネルギー付与手段(サーマルヘッド)の熱エネルギーと電位差設定部による電荷を同時に作用させて高品質な画層を形成することができる画像形成の効率性、信頼性に優れた画像形成装置を提供することができる。
【0060】
請求項15に記載の発明によれば、請求項12の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)エネルギー付与手段として光照射部から光を照射することにより、記録媒体や導電性部材と離間した位置から表示層側の表面に必要な熱エネルギー又は光エネルギーを付与することができ、導電性部材との絶縁が必要で、エネルギー付与手段の設置自在性、設計自在性、量産性に優れた画像形成装置を提供することができる。
【0061】
請求項16に記載の発明によれば、請求項11乃至15の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)電位差設定部の電圧選択部により、印字ヘッドの種類(駆動方法),印字ヘッドから発生するイオンの極性,導電性部材の特性,記録媒体の種類などに応じて、要因導電性基材への接地又は要因導電性基材に印加する電圧値を適宜、選択することができ、印字ヘッド若しくは導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に確実に必要な電位差を発生させて画像を形成することができる汎用性に優れた画像形成装置を提供することができる。
【0062】
請求項17に記載の発明によれば、請求項16の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)印字ヘッドの種類(駆動方法),印字ヘッドから発生するイオンの極性,導電性部材の特性,記録媒体の種類などに応じて、電圧選択部の帯電ローラを帯電させる電荷の極性や帯電量を適宜、選択することにより、帯電ローラと接触した要因導電性基材を一様に帯電させることができ、印字ヘッド若しくは導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に確実に必要な電位差を発生させて画像を形成することができる汎用性に優れた画像形成装置を提供することができる。
【0063】
請求項18に記載の発明によれば、請求項16の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)印字ヘッドの種類(駆動方法),印字ヘッドから発生するイオンの極性,導電性部材の特性,記録媒体の種類などに応じて、電圧選択部の帯電ブラシを帯電させる電荷の極性や帯電量を適宜、選択することにより、帯電ブラシと接触した要因導電性基材を一様に帯電させることができ、印字ヘッド若しくは導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に確実に必要な電位差を発生させて画像を形成することができる汎用性に優れた画像形成装置を提供することができる。
【0064】
請求項19に記載の発明によれば、請求項11乃至15の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)電位差設定部の電荷注入部により、印字ヘッドの種類(駆動方法),印字ヘッドから発生するイオンの極性,導電性部材の特性,記録媒体の種類などに応じて、要因導電性基材へ注入する電荷の極性や電荷量を適宜、選択することができ、印字ヘッド若しくは導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に確実に必要な電位差を発生させて画像を形成することができる汎用性に優れた画像形成装置を提供することができる。
(2)電荷注入部により、要因導電性基材と離間した位置から電荷を注入することができ、要因導電性基材に対する電気接続が不要で、記録媒体の交換を簡便に行うことができる作業性に優れた画像形成装置を提供することができる。
【0065】
請求項20に記載の発明によれば、請求項19の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)記録媒体の要因導電性基材と離間して配置されたコロトロン型又はスコロトロン型の放電部によって、簡便に大量のイオンを発生させることができ、複雑な制御などを行うことなく、イオンを要因導電性基材に照射して確実に電荷を注入することができる取扱い性に優れた画像形成装置を提供することができる。
【0066】
請求項21に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)電位差設定工程で印字ヘッドと記録媒体の要因導電性基材との間に電位差を設定することにより、電荷付与工程において、印字ヘッドから発生した電子やイオンを記録媒体の表示層側の表面に引き寄せることや印字ヘッドと記録媒体との間に放電を発生させて記録媒体の表示層側の表面に電子やイオンを照射することができ、その電荷の作用により簡便かつ確実に記録媒体への画像の書込みや消去を行って、記録媒体を繰返し使用することができる画像形成の信頼性、省資源性に優れた画像形成方法を提供することができる。
【0067】
請求項22に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)電位差設定工程で導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に設定した電位差により、記録媒体の表裏に、画像の書込みや消去に必要な電荷を作用させると共に、エネルギー付与工程においてエネルギー付与手段で記録媒体の表示層側の表面に画像情報に基づいて選択的に熱エネルギー又は光エネルギーを付与することにより、軟化した分散媒の中に分散させた着色粒子のみを確実に移動させ、簡便かつ確実に画像の書込みや消去を行うことができる画像品質の信頼性に優れた画像形成方法を提供することができる。
【0068】
請求項23に記載の発明によれば、請求項21又は22の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)電位差設定工程の基材側電圧選択工程により、印字ヘッドの種類(駆動方法),印字ヘッドから発生するイオンの極性,導電性部材の特性,記録媒体の種類などに応じて、要因導電性基材への接地又は要因導電性基材に印加する電圧値を適宜、選択することができ、印字ヘッド若しくは導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に確実に必要な電位差を発生させて画像を形成することができる汎用性に優れた画像形成方法を提供することができる。
【0069】
請求項24に記載の発明によれば、請求項21又は22の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)電位差設定工程の基材側電荷注入工程により、印字ヘッドの種類(駆動方法),印字ヘッドから発生するイオンの極性,導電性部材の特性,記録媒体の種類などに応じて、要因導電性基材へ注入する電荷の極性や電荷量を適宜、選択することができ、印字ヘッド若しくは導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に確実に必要な電位差を発生させて画像を形成することができる汎用性に優れた画像形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0070】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における記録媒体及びそれを用いた画像形成装置並びに画像形成方法について、以下図面を参照しながら説明する。
図1は実施の形態1における記録媒体を用いた画像形成装置を示す要部模式断面図である。
図1中、1は実施の形態1における記録媒体、2は電荷の作用により書込みや消去が可能な静電現像方式の記録媒体1の表示層、3は導電性ポリカーボネートで形成された導電性シートを用いた記録媒体1の要因導電性基材、5Aは記録媒体1に電子やイオンを照射して画像を形成する画像形成装置30の印字ヘッド、20Aは記録媒体1の要因導電性基材3への電圧印加を行って印字ヘッド5Aと記録媒体1の要因導電性基材3との間に電位差を設定する電位差設定部の電圧選択部、21は記録媒体1の要因導電性基材3の表面に接触する電圧選択部20Aの帯電ローラ、30はコンピュータ等からの画像信号に基づいて実施の形態1における記録媒体1に画像を形成する画像形成装置である。
【0071】
表示層2は、電荷の作用により画像の書込みや消去が可能なものであればよい。例えば、表示層2に、透過型のネマティック液晶やスメクティック液晶等のシャッター機能を有する液晶材料を用いた液晶方式或いは白色又は黒色を選択的に表示可能なツイストボール方式,電気泳動方式,粉体移動方式等の画像表示材料が封入されたものが好適に用いられる。
これらの表示層2に、加法混色法における三原色(R,G,B)を持つカラーフィルタや減法混色法における三原色(Y,M,C)を持つカラー反射層を組み合わせることによりカラー表示を行うことができる。また、カラーフィルタやカラー反射層を組み合わせる代わりに、減法混色法における三原色(Y,M,C)等に着色したツイストボールや微粒子等の画像表示材料を表示原色の色毎に配列してカラー表示を行うこともできる。また、表示層2を複数の領域に分割し、領域毎に異なる色を表示するようにしてもよい。
【0072】
要因導電性基材3の表面抵抗値は、105Ω・cm〜1013Ω・cmとした。要因導電性基材3の表面抵抗値が105Ω・cmより小さくなるにつれ、表面に載せた電荷が面上で移動し易くなり、画像がぼやける傾向があり、1013Ω・cmより大きくなるにつれ、帯電し易くなり、静電気などの影響により画像が乱れる傾向があり、いずれも好ましくないことがわかったためである。要因導電性基材3の表面抵抗値を105Ω・cm〜1013Ω・cmとすることにより、内部の電荷が速やかに消滅し、画像品質の信頼性に優れる。
要因導電性基材3は、通常時は自由電子が少なく、画像形成時に接地又は電圧印加や電荷注入などにより自由電子が増加するものであればよい。特に、要因導電性基材3として、厚み方向にのみ導電性を有する異方導電性シートを用いた場合、表示層2の表裏の所望の位置に簡便かつ確実に電荷を作用させて画像の書込みや消去を行うことができ、画像品質の信頼性に優れる。尚、導電性ポリカーボネートの代わりに、無添加帯電防止フィルムを用いることによっても、樹脂内のイオン伝導体により表示層の表裏の所望の位置に選択的に電位差を発生させて画像の書込みや消去を行うことができ、画像品質の信頼性に優れる。
また、複数の導電部と、複数の導電部の間を絶縁する絶縁部を有する要因導電性基材を用いた場合も、異方導電性シートと同様に、複数の導電部の位置で記録媒体の表裏に選択的に電荷を作用させて画像の書込みや消去を行うことができる。
【0073】
次に、実施の形態1における記録媒体を用いた画像形成装置の印字ヘッドについて説明する。
図2(a)は実施の形態1における記録媒体を用いた画像形成装置の印字ヘッドの要部模式断面側面図であり、図2(b)は実施の形態1における記録媒体を用いた画像形成装置の印字ヘッドの要部模式平面図である。
図2中、10は加熱放電方式の印字ヘッド5Aの放電ユニット、11はポリイミド,アラミド,ポリエーテルイミド等の合成樹脂で形成された透光性を有する放電ユニット10の基板、11aは開口部11bを有する矩形状に形成され表面に基板11が固設された放電ユニット10の形状保持板、12は基板11上にカーボン等を含有する黒色の塗料を塗布したり、クロムを蒸着したりして形成した放電ユニット10の熱吸収層、13は金、銀、銅、アルミニウム等の金属を蒸着、スパッタ、印刷、メッキなどで形成した後、エッチングして梯子型に形成した放電ユニット10の放電電極、13aは放電電極13の複数の放電発生部、13bは複数の放電発生部13aの両端部を接続した放電電極13の共通電極、13cは放電発生部13aと放電発生部13aの間に形成された放電電極13の放電開口部、13dは放電電極13の共通電極13bの一端部に連設して形状保持板11aの一側部に配置され接地される放電ユニット10の電気接続部、15は放電ユニット10の放電電極13と離間して配設され放電電極13の放電発生部13aに選択的に光を照射する光照射部を有する印字ヘッド5Aの加熱手段、20aは放電ユニット10の電気接続部13dに電気的に接続され放電電極13を接地する画像形成装置30における電位差設定部の放電電極側電圧制御部である。
【0074】
加熱放電方式の印字ヘッド5Aは、放電ユニット10の放電電極13に対し、加熱手段15の光照射部が発するレーザ光をポリゴンミラーやガルバノミラーなどの光走査部(図示せず)で走査させたり、加熱手段15自身を加熱手段走査部(図示せず)でシリアル走査させたりすることにより、任意の放電発生部13aを加熱することができる。尚、レーザ光を光ファイバーで集光して照射してもよい。
加熱手段15としては、放電電極13から離間して放電発生部13aを選択的に加熱できるものであればよく、光照射部からレーザ光を照射するもの以外に赤外線を光ファイバーや集光レンズで集光して照射するもの等も用いることができる。
【0075】
基板11の材質は、本実施の形態に限定されるものではなく、表面に熱吸収層12及び放電電極13を形成することができると共に、加熱手段15による加熱に耐える耐熱性と、加熱手段15が発する光によって伝播する熱を放電電極13に伝達できる熱伝達性を有するものであればよい。尚、放電電極13が十分な熱吸収性を有する場合は、熱吸収層12は必ずしも設けなくてもよい。また、基板11と熱吸収層12の配置を入れ替えても、熱吸収層12に吸収された熱を基板11を通して放電電極13に伝達することができる。
【0076】
放電電極13は、梯子型に形成して複数の放電発生部13aに分割することにより、放電発生部13aの縁周辺からの放電量を増加させ、放電の効率性を向上させている。また、放電発生部13aの近傍に共通電極13bを設けることで、放電電極13の放熱面積の拡大及び、熱容量の増大により、放電発生部13aの冷却効果、加熱停止に対する応答性が向上し、高速記録が可能となる。さらに、抵抗値の低減により常に安定した電圧を印加できるので、放電の安定性にも優れる。
また、放電電極13の形状は本実施の形態に限定されるものではなく、放電発生部13aの数や配置は適宜、選択することができる。千鳥状や格子状等に配置することもできるし、放電電極13全体を長方形状や正方形状等の一枚の平板ベタ状に形成することや、複数の放電発生部13aの一端側のみを共通電極13bで接続して櫛型に形成することもできる。
【0077】
以上のように構成された画像形成装置の動作に基づいて実施の形態1における記録媒体を用いた画像形成方法を説明する。
図3は実施の形態1における記録媒体を用いた画像形成方法による画像形成時の電荷の作用を示す要部模式断面図
まず、図1に示すように、電位差設定工程の基材側電圧選択工程において、電圧選択部20Aの帯電ローラ21によって、記録媒体1の要因導電性基材3を一様に正に帯電させて自由電子を増加させる。
また、図2に示すように、電位差設定工程の放電電極側電圧制御工程において、電位差設定部の放電電極側電圧制御部20aにより印字ヘッド5Aの放電電極13を接地することにより、一様帯電した記録媒体1の要因導電性基材3と印字ヘッド5Aの放電電極13との間に放電制御電圧に相当する電位差を形成する。
次に、図2に示すように、電荷付与工程において、印字ヘッド5Aの放電ユニット10の放電電極13の放電発生部13aを画像情報に基づいて加熱手段15で選択的に加熱して放電を発生させ、記録媒体1の表示層2の表面に電子やイオンを照射して電荷を付与する。自由電子が要因導電性基材3の厚み方向に移動することにより、図3に示すように、表示層2の表裏に選択的に電荷を作用させることができ、所望の画像を形成することができる。
【0078】
本実施の形態では、電位差設定部の放電電極側電圧制御部20aにより印字ヘッド5Aの放電ユニット10の放電電極13を接地することにより、一様帯電した記録媒体1の要因導電性基材3と印字ヘッド5Aの放電電極13との間に放電制御電圧に相当する電位差を形成しているが、要因導電性基材3側の帯電量が不十分な場合は、放電電極側電圧制御部20aにより放電電極13へ残りの電圧を印加すればよい。
また、本実施の形態では、加熱放電方式の印字ヘッド5Aを用いたが、印字ヘッド5Aはこれに限定されるものではなく、電子又はイオンを発生させることができるものであればよい。例えば、ワイヤ電極や針電極等に高電圧を印加してコロナ放電を発生させるものや電極を加熱して熱電子を放出させるもの等を用いることができる。これらを用いる場合には、印字ヘッドと記録媒体1の要因導電性基材3との間の電位差により、印字ヘッドから発生した電子やイオンを記録媒体1の表示層2側の表面に引き寄せて電荷を付与することができ、画像を形成することができる。
【0079】
実施の形態1の記録媒体によれば、以下の作用を有する。
(1)表示層の裏面側に要因導電性基材が形成されているので、画像形成時にのみ要因導電性基材への電圧印加を行って自由電子を増加させ、表示層の表面側からイオン照射等を行って選択的に電荷を注入することにより、電位差によって要因導電性基材内の自由電子をその厚み方向に移動させ、表示層の表裏に電荷を作用させて画像の書込みや消去を行うことができると共に、画像形成後の通常時は要因導電性基材内の自由電子を減少させて電荷の作用を受け難くし、環境の変化や静電気等の影響による画像の乱れを防止して長期に渡って表示画像を維持することが可能で画像品質の安定性に優れる。
(2)表示層の裏面側に要因導電性基材を形成することにより、別途、電極を形成する必要がなく、量産性、取扱い性に優れる。
(3)要因導電性基材が導電性シートで形成されていることにより、記録媒体全体が柔軟性、可撓性を有するので、画像形成装置で画像を形成する際に湾曲させても破損することがなく、搬送経路の制約を受け難く、耐久性、取扱い性、搬送性に優れる。
(4)要因導電性基材が導電性ポリカーボネートで形成されていることにより、要因導電性基材の厚さがばらつき難く、記録媒体の全面に渡って略均一な導電性を得ることができ、量産性に優れ、画像の濃度斑や書込み不良を防止することができ、画像品質の信頼性に優れる。
【0080】
実施の形態1の記録媒体を用いた画像形成装置によれば、以下の作用を有する。
(1)記録媒体の表示層側の表面に画像情報に基づいて選択的に電子やイオンを照射する印字ヘッドと、印字ヘッドと記録媒体の要因導電性基材との間に電位差を設定する電位差設定部を有するので、印字ヘッドと記録媒体との間に設定した電位差によって放電を発生させて記録媒体の表示層側の表面に電子やイオンを照射することができ、その電荷の作用により簡便かつ確実に記録媒体への画像の書込みや消去を行うことができる。
(2)電位差設定部が、記録媒体の要因導電性基材への電圧印加を行う電圧選択部を有することにより、印字ヘッドの種類(駆動方法),印字ヘッドから発生するイオンの極性,記録媒体の種類などに応じて、要因導電性基材に印加する電圧値を適宜、選択することができるので、印字ヘッドと記録媒体の要因導電性基材との間に確実に必要な電位差を発生させることができ、汎用性に優れる。
(3)電圧選択部が、記録媒体の要因導電性基材の表面に接触する帯電ローラを有することにより、印字ヘッドの種類(駆動方法),印字ヘッドから発生するイオンの極性,記録媒体の種類などに応じて、帯電ローラを帯電させる電荷の極性や帯電量を適宜、選択して、要因導電性基材を一様に帯電させて自由電子を増加させることができ、印字ヘッドと記録媒体の要因導電性基材との間に確実に必要な電位差を発生させることができ、汎用性に優れる。
(4)帯電ローラと要因導電性基材を接触させるだけで要因導電性基材を一様に帯電させて自由電子を増加させることができるので、要因導電性基材に対する電気接続が不要で、記録媒体の交換を簡便に行うことができ、作業性に優れる。
【0081】
実施の形態1の記録媒体を用いた画像形成方法によれば、以下の作用を有する。
(1)印字ヘッドと記録媒体の要因導電性基材との間に電位差を設定する電位差設定工程を有するので、電荷付与工程において、印字ヘッドと記録媒体の要因導電性基材との間に設定した電位差によって放電を発生させて記録媒体の表示層側の表面に電子やイオンを照射することができ、その電荷の作用により簡便かつ確実に記録媒体への画像の書込みや消去を行うことができる。
(2)電位差設定工程が、記録媒体の要因導電性基材への電圧印加を行う基材側電圧選択工程を有することにより、印字ヘッドの種類(駆動方法),印字ヘッドから発生するイオンの極性,記録媒体の種類などに応じて、要因導電性基材に印加する電圧値を適宜、選択することができるので、印字ヘッドと記録媒体の要因導電性基材との間に確実に必要な電位差を発生させることができ、汎用性に優れる。
【0082】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における記録媒体及びそれを用いた画像形成装置並びに画像形成方法について、以下図面を参照しながら説明する。尚、実施の形態1と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図4は実施の形態2における記録媒体を用いた画像形成装置を示す要部模式断面図である。
図4において、実施の形態2の記録媒体1aが実施の形態1と異なるのは、表示層2と要因導電性基材3との間に形成された密着層3aを有している点と、要因導電性基材3の表面に覆設された絶縁保護層3bを有する点である。
図4において、実施の形態2における記録媒体1aを用いた画像形成装置30aが実施の形態1と異なるのは、電位差設定部として、記録媒体1aの要因導電性基材3の端部に電気的に接続され、要因導電性基材3への電圧印加を行う電圧選択部20Bを有する点である。
【0083】
表示層2と要因導電性基材3との間に密着層3aを形成することにより、表示層2と要因導電性基材3の間を隙間なく確実かつ強固に密着させて剥離の発生を防止することができ、画像形成時に必要な電荷を確実に作用させることができる。密着層3aは、要因導電性基材3及び表示層2と密着性(親和性)を有するものであればよいが、特に、密着層3aを導電性材料で形成した場合、要因導電性基材3の厚さや導電粉の分散状態にばらつきがある場合でも、記録媒体1の全面に渡って均一な導電性を得ることができ、濃度斑や書込み不良を防止できるが、要因導電性基材3が均一な導電性を有する場合には、密着層3aを導電性材料で形成する必要はない。
【0084】
次に、実施の形態2における記録媒体を用いた画像形成装置の印字ヘッドについて説明する。
図5は実施の形態2における記録媒体を用いた画像形成装置の印字ヘッドの要部模式断面側面図である。
実施の形態2における記録媒体1aを用いた画像形成装置30aの印字ヘッド5Bが実施の形態1と異なるのは、放電電極13Aが平板ベタ状に形成されている点と、放電電極13と離間して配置された光照射部を有する加熱手段15の代わりに、発熱抵抗体15aを用いた加熱手段15Aを有している点である。
尚、図5中、14は放電電極13Aと発熱抵抗体15aを絶縁する絶縁膜、15bは発熱抵抗体15aと電気的に接続され発熱抵抗体15aの発熱を制御する加熱手段15AのドライバICである。
【0085】
以上のように構成された画像形成装置の動作に基づいて実施の形態2の記録媒体を用いた画像形成方法を説明する。
実施の形態2の記録媒体を用いた画像形成方法が、実施の形態1と異なる点は、電位差設定工程の基材側電圧制御工程において、電圧選択部20Bによって直接、記録媒体1aの要因導電性基材3の端部から正電圧を印加することにより、記録媒体1aの要因導電性基材3を一様に正に帯電させて自由電子を増加させている点である。
その他の工程は、実施の形態1と同様なので、説明を省略する。
【0086】
実施の形態2の記録媒体によれば、実施の形態1の(1)乃至(4)と同様の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)要因導電性基材の表面に絶縁保護層を覆設することにより、要因導電性基材の表面が直接、他の物体に接触することがなく、帯電を確実に防止することができ、静電気等の影響による画像の乱れが発生せず、画像品質の安定性に優れる。
(2)絶縁保護層で要因導電性基材の表面を保護することにより、要因導電性基材の破損を防止することができ、記録媒体の取扱い性、長寿命性に優れる。
(3)要因導電性基材と表示層との間に密着層を形成することにより、要因導電性基材と表示層の間を隙間なく確実かつ強固に密着させて剥離の発生を防止することができ、画像形成時に必要な導電性を確保することができ、耐久性、画像品質の安定性に優れる。
【0087】
実施の形態2の記録媒体を用いた画像形成装置によれば、実施の形態1の(1)及び(2)の作用と同様の作用を有する。
【0088】
実施の形態2の記録媒体を用いた画像形成方法によれば、実施の形態1の作用と同様の作用を有する。
【0089】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3における記録媒体及びそれを用いた画像形成装置並びに画像形成方法について、以下図面を参照しながら説明する。尚、実施の形態1又は2と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図6は実施の形態3における記録媒体を用いた画像形成装置を示す要部模式断面図であり、図7は実施の形態3における記録媒体の裏面の模式平面図である。
図6及び図7において、実施の形態3の記録媒体1bが実施の形態2と異なるのは、要因導電性基材3の表面に絶縁保護層3bの代わりに、絶縁体からなるメッシュ状の凸部4が形成されている点である。
尚、記録媒体1bには、必要に応じて、実施の形態2と同様の密着層3aを設けることもできる。
図6において、実施の形態3の記録媒体1bを用いた画像形成装置30bが実施の形態1と異なるのは、電位差設定部の電圧選択部20Cとして、帯電ローラ21の代わりに帯電ブラシ21aを有する点である。
【0090】
実施の形態3の記録媒体を用いた画像形成装置の印字ヘッドは、実施の形態1又は2と同様であるので、説明を省略する。
実施の形態3の記録媒体を用いた画像形成方法が、実施の形態1と異なる点は、電位差設定工程の基材側電圧制御工程において、帯電ローラ21の代わりに、帯電ブラシ21aによって、記録媒体1bの要因導電性基材3を一様に正に帯電させて自由電子を増加させている点である。
その他の工程は、実施の形態1又は2と同様なので、説明を省略する。
【0091】
実施の形態3の記録媒体によれば、実施の形態1の(1)乃至(4)と同様の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)要因導電性基材の表示層側と反対側の表面に絶縁性を有する複数の凸部を形成することにより、要因導電性基材の表面が直接、接地することがなく、帯電を防止することができ、静電気等の影響による画像の乱れが発生せず、画像品質の安定性に優れる。
(2)凸部をメッシュ状に形成することにより、凸部によって記録媒体の全面を確実に支持することができ、要因導電性基材の表面が直接、他の物体に接触することを効果的に防ぐことができ、帯電防止の信頼性に優れる。
【0092】
実施の形態3の記録媒体を用いた画像形成装置によれば、実施の形態1の(1)及び(2)の作用と同様の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)印字ヘッドの種類(駆動方法),印字ヘッドから発生するイオンの極性,記録媒体の種類などに応じて、帯電ブラシを帯電させる電荷の極性や帯電量を適宜、選択して、要因導電性基材を一様に帯電させて自由電子を増加させることができ、印字ヘッドと記録媒体の要因導電性基材との間に確実に必要な電位差を発生させることができ、汎用性に優れる。
(2)帯電ブラシと要因導電性基材を接触させるだけで要因導電性基材を一様に帯電させることができるので、要因導電性基材に対する電気接続が不要で、記録媒体の交換を簡便に行うことができ、作業性に優れる。
(3)要因導電性基材の表面に絶縁性を有する複数の凸部が形成されている場合でも、帯電ブラシの先端部を要因導電性基材の表面に確実に接触させて要因導電性基材を帯電させることができ、帯電の確実性に優れる。
【0093】
実施の形態3の記録媒体を用いた画像形成方法によれば、実施の形態1の作用と同様の作用を有する。
【0094】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4における記録媒体及びそれを用いた画像形成装置並びに画像形成方法について、以下図面を参照しながら説明する。尚、実施の形態1乃至3と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図8は実施の形態4における記録媒体を用いた画像形成装置を示す要部模式断面図である。
図8において、実施の形態4の記録媒体1cが実施の形態2と異なるのは、要因導電性基材3の一部を露出させた電荷注入用導電部3cを有する点である。
尚、記録媒体1cには、必要に応じて、実施の形態2と同様の密着層3aを設けることもできる。
図8において、実施の形態4の記録媒体を用いた画像形成装置30cが実施の形態2と異なるのは、電位差設定部として、電圧選択部20Bを有する代わりに、記録媒体1cの電荷注入用導電部3cと離間して配置され、要因導電性基材3への電荷注入を行うコロトロン型又はスコロトロン型の放電部を用いた電荷注入部20Dを有する点である。
【0095】
実施の形態4の記録媒体を用いた画像形成装置の印字ヘッドは、実施の形態1又は2と同様であるので、説明を省略する。
実施の形態4の記録媒体を用いた画像形成方法が、実施の形態2と異なる点は、電位差設定工程が、電圧選択部によって記録媒体1cの要因導電性基材3への電圧印加を行う基材側電圧選択工程の代わりに、電荷注入部20Dによって記録媒体1cの要因導電性基材3への電荷注入を行う基材側電荷注入工程により、記録媒体1cの要因導電性基材3を一様に正に帯電させて自由電子を増加させている点である。
その他の工程は、実施の形態1又は2と同様なので、説明を省略する。
【0096】
実施の形態4の記録媒体によれば、実施の形態2と同様の作用を有する。
【0097】
実施の形態4の記録媒体を用いた画像形成装置によれば、実施の形態1の(1)の作用と同様の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)電位差設定部が、記録媒体の要因導電性基材への電荷注入を行う電荷注入部を有することにより、印字ヘッドの種類(駆動方法),印字ヘッドから発生するイオンの極性,記録媒体の種類などに応じて、要因導電性基材へ注入する電荷の極性や電荷量を適宜、選択することができるので、記録媒体の要因導電性基材と印字ヘッドとの間に確実に必要な電位差を発生させることができ、汎用性に優れる。
(2)電荷注入部により、要因導電性基材と離間した位置から電荷を注入することができるので、要因導電性基材に対する電気接続が不要で、記録媒体の交換を簡便に行うことができ、作業性に優れる。
(3)電荷注入部が、記録媒体の要因導電性基材と離間して配置されたコロトロン型又はスコロトロン型の放電部を有することにより、複雑な制御などを行うことなく、簡便に大量のイオンを発生させることができ、そのイオンを要因導電性基材に照射して確実に電荷を注入することができ、装置の取扱い性に優れる。
【0098】
実施の形態4の記録媒体を用いた画像形成方法によれば、実施の形態1の(1)と同様の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)電位差設定工程が、記録媒体の要因導電性基材への電荷注入を行う基材側電荷注入工程を有することにより、印字ヘッドの種類(駆動方法),印字ヘッドから発生するイオンの極性,記録媒体の種類などに応じて、要因導電性基材へ注入する電荷の極性や電荷量を適宜、選択することができるので、記録媒体の要因導電性基材と印字ヘッドとの間に確実に必要な電位差を発生させることができ、汎用性に優れる。
(2)基材側電荷注入工程により、要因導電性基材と離間した位置から電荷を注入して自由電子を増加させることができるので、要因導電性基材に対する電気接続が不要で、記録媒体の交換を簡便に行うことができ、作業性に優れる。
【0099】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5における記録媒体及びそれを用いた画像形成装置並びに画像形成方法について、以下図面を参照しながら説明する。尚、実施の形態1と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図9は実施の形態5における記録媒体を用いた画像形成装置を示す要部模式断面図である。
図9において、実施の形態5の記録媒体1dが実施の形態1と異なるのは、表示層2に電気泳動方式の画像表示材料としてマイクロカプセル2aが封入されている点である。マイクロカプセル2aには、負に帯電した白色の着色粒子2b及び正に帯電した黒色の着色粒子2cと共に、熱エネルギーが付与されると軟化し粘度が低下する分散媒2dが封入されている。
【0100】
本実施の形態では、白色の着色粒子2bと黒色の着色粒子2cをそれぞれ負と正に帯電させたが、少なくとも一方が正又は負の電荷を帯びた電気泳動粒子であれば、白色と黒色を選択的に表示することができる。尚、着色粒子2b,2cの色の組合せはこれに限定されるものではなく、黒色の着色粒子2cの代わりに、減法混色法における三原色(Y,M,C)の内のいずれか一色の表示原色に着色された着色粒子をそれぞれ組合せて、フルカラー表示を行うこともできる。
【0101】
図9において、実施の形態5における記録媒体1dを用いた画像形成装置30dが実施の形態1と異なるのは、加熱放電方式の印字ヘッド5Aの代わりに、エネルギー付与手段としてサーマルヘッド5Cを備え、サーマルヘッド5Cの発熱部16に覆設された保護層16a上に導電性部材20bが配設されている点と、導電性部材20bと電圧選択部20Aの帯電ローラ21との間に電圧を印加して導電性部材20bと記録媒体1dの要因導電性基材3との間に電位差を設定する電位差設定部20を備えている点である。
電位差設定部20は、記録媒体1dの表示層2の表裏に着色粒子2b,2cを移動させるだけの電位差を発生させることができればよいので、導電性部材20b及び帯電ローラ21の各々に印加する電圧を任意に選択して分配することもできる。また、導電性部材20b又は帯電ローラ21の一方に必要な電圧を印加し、他方を接地してもよい。
【0102】
以上のように構成された画像形成装置の動作に基づいて実施の形態5の記録媒体を用いた画像形成方法を説明する。
実施の形態5の記録媒体を用いた画像形成方法が、実施の形態1と異なる点は、電位差設定工程において、導電性部材20bと電圧選択部20Aの帯電ローラ21との間に電圧を印加することにより、導電性部材20bと記録媒体1dの要因導電性基材3との間に、着色粒子2b,2cを移動させるための電位差を設定している点と、電荷付与工程の代わりに、記録媒体1dの表示層2側の表面に画像情報に基づいて選択的に熱エネルギーを付与するエネルギー付与工程を有している点である。
電位差設定工程により、導電性部材20bと記録媒体1dの要因導電性基材3との間に電位差を発生させた状態で、エネルギー付与工程により、記録媒体1dの表示層2に封入された分散媒2dを軟化させることにより、分散媒2dの中に分散させた着色粒子2b,2cを電荷の作用で移動させて画像を形成することができる。
【0103】
本実施の形態では、エネルギー付与手段としてのサーマルヘッド5Cと導電性部材20bを一体化したが、導電性部材20を記録媒体1dの一部若しくは全面に対向するように配置しておき、サーマルヘッド5Cを相対的に走査して導電性部材20を部分的に加熱して記録媒体1dの表示層2に選択的に熱エネルギーを付与してもよい。また、エネルギー付与手段は、サーマルヘッド5Cに限らず、選択的に熱エネルギーを付与できるものであればよい。例えば、他のエネルギー付与手段として、レーザ光照射部や赤外線照射部などの光照射部により、レーザ光や赤外線などの光を選択的に照射するものを用いることができる。このときの光照射部の構成としては、実施の形態1で説明した加熱手段15と同様のものを用いることができる。尚、エネルギー付与手段として、レーザ光や赤外線などの光を照射する光照射部を用いる場合、熱エネルギーだけでなく、光エネルギーを付与することができるので、記録媒体1dの表示層2において、カプセル2aに封入する分散媒2dとして、光エネルギーによって軟化するものを用いることもできる。
【0104】
記録媒体1dには、実施の形態2と同様の絶縁保護層3bや実施の形態3と同様の凸部4を設けることもでき、その場合は、帯電ローラ21の代わりに、実施の形態2と同様の電圧選択部20Bや実施の形態3と同様の帯電ブラシ21aを用いることができる。
また、記録媒体1dの要因導電性基材3に実施の形態4と同様の電荷注入用導電部3cを設けることもでき、その場合は、電圧選択部20Aの代わりに、実施の形態4と同様の電荷注入部20Dを用いることができる。
尚、記録媒体1dには、必要に応じて、実施の形態2と同様の密着層3aを設けることもできる。
【0105】
実施の形態5の記録媒体によれば、実施の形態1の(2)乃至(4)と同様の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)内部に存在する自由電子の量が増減することにより導電性が変化する要因導電性基材を有することにより、画像形成時にのみ要因導電性基材への接地又は電圧印加を行って自由電子を増加させることができるので、記録媒体の表裏に、画像の書込みや消去に必要な電荷を作用させ、表示層に封入された電気泳動方式の画像表示材料に含まれる分散媒を軟化させることによって、軟化した分散媒の中に分散させた着色粒子を電位差によって移動させ、画像の書込みや消去を行うことができると共に、画像形成後の通常時は要因導電性基材内の自由電子を減少させて電荷の作用を受け難くし、環境の変化や静電気等の影響による画像の乱れを防止することができ、長期に渡って表示画像を維持することが可能で画像品質の安定性に優れる。
【0106】
実施の形態5の記録媒体を用いた画像形成装置によれば、実施の形態1の(4)と同様の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)記録媒体の表示層側の表面に対向配置される導電性部材と、導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に電位差を設定する電位差設定部を有することにより、記録媒体の表裏に、画像の書込みや消去に必要な電荷を作用させることができると共に、エネルギー付与手段で記録媒体の表示層側の表面に画像情報に基づいて選択的に熱エネルギー又は光エネルギーを付与して、表示層に封入された電気泳動方式の画像表示材料に含まれる分散媒を選択的に軟化させることができるので、軟化した分散媒の中に分散させた着色粒子のみを電位差によって移動させ、任意の画像を形成することができる。
(2)エネルギー付与手段が、サーマルヘッドであることにより、その発熱部を記録媒体の表示層側の表面に接触させて確実に加熱を行って必要な熱エネルギーを付与することができ、省エネルギー性、効率性に優れる。
(3)導電性部材が、前記サーマルヘッドの発熱部に覆設された保護層上に配設されていることにより、エネルギー付与手段(サーマルヘッド)と導電性部材を1つの駆動系で走査することができるので、複雑な制御が不要で、記録媒体上の画像形成位置を簡便に選択でき、画像形成の効率性に優れる。
(4)エネルギー付与手段(サーマルヘッド)と導電性部材が一体化されていることにより、画像情報に基づいて選択した任意の位置で、エネルギー付与手段(サーマルヘッド)による加熱を行って電気泳動方式の画像表示材料に含まれる分散媒を軟化させ、分散媒の中に分散させた着色粒子を可動状態にすると同時に、電位差設定部によって記録媒体の表裏(導電性部材に対向する位置)に発生させた電位差で着色粒子を移動させることができるので、確実かつ効率的に画像の書込みや消去を行うことができ、画像品質の信頼性に優れる。
(5)電位差設定部が、記録媒体の要因導電性基材への接地又は電圧印加を行う電圧選択部を有することにより、導電性部材の特性,記録媒体の種類などに応じて、要因導電性基材への接地又は要因導電性基材に印加する電圧値を適宜、選択することができるので、導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に確実に必要な電位差を発生させることができ、汎用性に優れる。
(6)電圧選択部が、記録媒体の要因導電性基材の表面に接触する帯電ローラを有することにより、導電性部材の特性,記録媒体の種類などに応じて、帯電ローラを帯電させる電荷の極性や帯電量を適宜、選択して、要因導電性基材を一様に帯電させて自由電子を増加させることができ、は導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に確実に必要な電位差を発生させることができ、汎用性に優れる。
【0107】
実施の形態5の記録媒体を用いた画像形成方法によれば、以下の作用を有する。
(1)記録媒体の表示層側の表面に対向配置される導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に電位差を設定する電位差設定工程を有するので、エネルギー付与工程においてエネルギー付与手段で記録媒体の表示層側の表面に画像情報に基づいて選択的に熱エネルギー又は光エネルギーを付与し、表示層に封入された電気泳動方式の画像表示材料に含まれる分散媒を選択的に軟化させることにより、軟化した分散媒の中に分散させた着色粒子のみを電位差によって移動させることができ、簡便かつ確実に画像の書込みや消去を行うことができる。
(2)電位差設定工程が、記録媒体の要因導電性基材への接地又は電圧印加を行う基材側電圧選択工程を有することにより、導電性部材の特性,記録媒体の種類などに応じて、要因導電性基材への接地又は要因導電性基材に印加する電圧値を適宜、選択することができるので、導電性部材と記録媒体の要因導電性基材との間に確実に必要な電位差を発生させることができ、汎用性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、画像形成時以外の通常時は電荷の作用を受け難く、環境の変化や静電気等の影響によって画像が経時的に変化することを防止でき、画像品質の安定性に優れ、幅広い用途に使用することが可能で汎用性、量産性、取扱い性に優れた記録媒体の提供、及びその記録媒体を用いて繰返し画像の書込みと消去を行うことができる省資源性、省スペース性に優れた画像形成装置の提供、並びにその記録媒体を用いて画像の書込みと消去を簡便かつ確実に行うことができる画像品質の信頼性に優れた画像形成方法の提供を行って、静電現像方式の記録媒体の普及を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】実施の形態1における記録媒体を用いた画像形成装置を示す要部模式断面図
【図2】(a)実施の形態1における記録媒体を用いた画像形成装置の印字ヘッドの要部模式断面側面図(b)実施の形態1における記録媒体を用いた画像形成装置の印字ヘッドの要部模式平面図
【図3】実施の形態1における記録媒体を用いた画像形成方法による画像形成時の電荷の作用を示す要部模式断面図
【図4】実施の形態2における記録媒体を用いた画像形成装置を示す要部模式断面図
【図5】実施の形態2における記録媒体を用いた画像形成装置の印字ヘッド
【図6】実施の形態3における記録媒体を用いた画像形成装置を示す要部模式断面図
【図7】実施の形態3における記録媒体の裏面の模式平面図
【図8】実施の形態4における記録媒体を用いた画像形成装置を示す要部模式断面図
【図9】実施の形態5における記録媒体を用いた画像形成装置を示す要部模式断面図
【符号の説明】
【0110】
1,1a,1b,1c,1d 記録媒体
2 表示層
2a マイクロカプセル
2b,2c 着色粒子
2d 分散媒
3 要因導電性基材
3a 密着層
3b 絶縁保護層
3c 電荷注入用導電部
4 凸部
5A,5B 印字ヘッド
5C サーマルヘッド
10 放電ユニット
11 基板
11a 形状保持板
12 熱吸収層
13,13A 放電電極
13a 放電発生部
13b 共通電極
13c 放電開口部
13d 電気接続部
14 絶縁膜
15,15A 加熱手段
15a 発熱抵抗体
15b ドライバIC
16 発熱部
16a 保護層
20 電位差設定部
20a 放電電極側電圧制御部
20b 導電性部材
20A,20B,20C 電圧選択部
20D 電荷注入部
21 帯電ローラ
21a 帯電ブラシ
30,30a,30b,30c,30d 画像形成装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地又は電圧印加や電荷注入の要因により自由電子が増加し、前記要因を除去することにより自由電子が減少する要因導電性基材と、前記要因導電性基材上に形成され電荷の作用により書込みや消去が可能な表示層と、を有することを特徴とする記録媒体
【請求項2】
前記要因導電性基材が、導電性シートで形成されたことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項3】
前記要因導電性基材が、厚み方向にのみ導電性を有する異方導電性シートで形成されたことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項4】
前記要因導電性基材が、導電性ポリカーボネートで形成されたことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項5】
前記要因導電性基材が、無添加帯電防止フィルムで形成されたことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項6】
前記要因導電性基材が、複数の導電部と、前記複数の導電部の間を絶縁する絶縁部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項7】
前記要因導電性基材と前記表示層との間に形成された密着層を有することを特徴とする請求項1乃至6の内いずれか1項に記載に記載の記録媒体。
【請求項8】
前記要因導電性基材の前記表示層側と反対側の表面に形成された絶縁性を有する複数の凸部を備えたことを特徴とする請求項1乃至7の内いずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項9】
前記凸部がメッシュ状に形成されたことを特徴とする請求項8に記載の記録媒体。
【請求項10】
前記要因導電性基材の前記表示層側と反対側の表面に覆設された絶縁保護層を有することを特徴とする請求項1乃至7の内いずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項11】
請求項1乃至10の内いずれか1項に記載の記録媒体を用いた画像形成装置であって、前記記録媒体の前記表示層側の表面に画像情報に基づいて選択的に電子やイオンを照射する印字ヘッドと、前記印字ヘッドと前記記録媒体の前記要因導電性基材との間に電位差を設定する電位差設定部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1乃至10の内いずれか1項に記載の記録媒体を用いた画像形成装置であって、前記記録媒体の前記表示層側の表面に対向配置される導電性部材と、前記導電性部材と前記記録媒体の前記要因導電性基材との間に電位差を設定する電位差設定部と、前記記録媒体の前記表示層側の表面に画像情報に基づいて選択的に熱エネルギー又は光エネルギーを付与するエネルギー付与手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
前記エネルギー付与手段が、サーマルヘッドであることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記導電性部材が、前記サーマルヘッドの発熱部に覆設された保護層上に配設されていることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記エネルギー付与手段が、光照射部であることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記電位差設定部が、前記記録媒体の前記要因導電性基材への接地又は電圧印加を行う電圧選択部を備えたことを特徴とする請求項11乃至15の内いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記電圧選択部が、前記記録媒体の前記要因導電性基材の表面に接触する帯電ローラを備えたことを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記電圧選択部が、前記記録媒体の前記要因導電性基材の表面に接触する帯電ブラシを備えたことを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記電位差設定部が、前記記録媒体の前記要因導電性基材への電荷注入を行う電荷注入部を備えたことを特徴とする請求項11乃至15の内いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記電荷注入部が、前記記録媒体の前記要因導電性基材と離間して配置されたコロトロン型又はスコロトロン型の放電部を備えたことを特徴とする請求項19に記載の画像形成装置。
【請求項21】
請求項1乃至10の内いずれか1項に記載の記録媒体を用いた画像形成方法であって、印字ヘッドと前記記録媒体の前記要因導電性基材との間に電位差を設定する電位差設定工程と、前記記録媒体の前記表示層側の表面に画像情報に基づいて前記印字ヘッドから選択的に電子やイオンを照射する電荷付与工程と、を備えたことを特徴とする画像形成方法。
【請求項22】
請求項1乃至10の内いずれか1項に記載の記録媒体を用いた画像形成方法であって、前記記録媒体の前記表示層側の表面に対向配置される導電性部材と前記記録媒体の前記要因導電性基材との間に電位差を設定する電位差設定工程と、前記記録媒体の前記表示層側の表面に画像情報に基づいて選択的に熱エネルギー又は光エネルギーを付与するエネルギー付与工程と、を備えたことを特徴とする画像形成方法。
【請求項23】
前記電位差設定工程が、前記記録媒体の前記要因導電性基材への接地又は電圧印加を行う基材側電圧選択工程を備えたことを特徴とする請求項21又は22に記載の画像形成方法。
【請求項24】
前記電位差設定工程が、前記記録媒体の前記要因導電性基材への電荷注入を行う基材側電荷注入工程を備えたことを特徴とする請求項21又は22に記載の画像形成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−204869(P2009−204869A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46926(P2008−46926)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(302004366)有限会社 福岡テクノ研工業 (16)
【出願人】(000186566)小林クリエイト株式会社 (169)
【Fターム(参考)】