説明

記録媒体及び再生装置

【課題】 再生期限付きであって、期限終了後も使用可能な記録媒体を実現する。
【解決手段】
光ディスクは、所定時間経過後には情報の読み出しができなくなるROM領域201と、期限無しで記録情報を読み出し可能なROM領域202と、書き換え可能なリード(read)/ライト(write)領域203を具備する。ROM領域201には、暗号化されたコンテンツの情報を解読する為の解読キーの情報が記録されている。領域202には、この解読キーにより暗号化された音声及び/又は映像などのコンテンツ情報が記録されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を記録する記録媒体及びその再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、音楽や映像コンテンツが記録される記録媒体として、コンパクトディスク(CD)及びやデジタル多用途ディスク(DVD)等の光ディスクが多く用いられている。これらのコンテンツが記録されたディスクを再生期限付きで視聴する構成、及び、コンテンツの複製を防止する構成が、特許文献1乃至4に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の光ディスクは、情報を記録してから所定の時間経過後に反射状態が変化する素材を使用する。これにより、情報を記録してから所定時間、経過すると、その部分の記録情報は再生不可能になる。
【0004】
特許文献2に記載の光ディスクは、空気に触れてから所定時間経過すると、レーザ光の透過状態が変化する素材を使用する。これにより、光ディスクのパッケージを開封しから所定時間、経過すると、その部分の記録情報を再製不可能になる。
【0005】
特許文献3に記載の光ディスクでは、ディスク上に書き換え不可能なROM部を設け、このROM部に暗号を解読する解読キーと、解読キーによって動作する解読プログラムとを記録しておく。これにより、他のディスクに複製する場合でも、ROM部の解読キーと解読プログラムはコピーできないので、実質的に複製を防止できる。
【0006】
特許文献4には、DVDの不正コピーに対する著作権保護技術として、CSS(Content Scramble System)が記載されている。
【特許文献1】特開2002−367221号公報
【特許文献2】米国特許第6537635号公報
【特許文献3】特開平7−226024号公報
【特許文献4】特開2003−208755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1,2に記載の従来例では、ディスク全体が再生期限付きになる。そのため、再生期間を制限することには有効であるが、再生期限が過ぎると、このディスクは全く使用できなくなる。すなわち、多数の再生期限付きディスクを購入すると、期限後にこれらのディスクを廃棄しなくてはならず、廃棄の手間が増すだけでなく、自然環境保護の点でも問題がある。また、再生期限付きとはいえ、複製防止及び著作権保護には有効ではない。
【0008】
特許文献3,4に記載の技術では、暗号化されたコンテンツを解読する解読キーをROM部に記録しているので、購入後の一定期間のみ再生を可能にするといった利用法を実現するのは難しい。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決する記録媒体及び再生装置を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る記録媒体は、所定時間経過後に記録情報の読み出しが不可能になる再生期限付きROM領域と、情報の書き換えが不可能であって、記録情報の読み出しに期限が無いROM領域とを具備することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る再生装置は、上述の記録媒体を再生する再生手段を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の記録媒体によればコンテンツの期間を限定した再生を可能にすると共にコンテンツが記録された光ディスク等の記録媒体を再生期限が終了した後でも廃棄する事なく有効に活用することが可能になる。またコンテンツの複製防止を行う事も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の一実施例である光ディスクを使用する記録再生装置100の概略構成ブロック図を示す。101は、外部機器とデータの入出力を行うI/F部である。102は記録再生装置100全体を制御するコントローラであり、内部にCPUを含む。メモリ部103には、CPUを制御するプログラム及びデータの記憶に使用され、光ディスク106にデータを記録再生する際のワークメモリとして使用される。104は光ディスク106にデータを記録するデータ記録部、105は光ディスク106からデータを再生するデータ再生部である。
【0015】
図2は、光ディスク106の詳細な構造例を示す。201は、情報の書き換えが不可能なROM部であり、所定時間経過後には情報の読み出しができなくなる構造となっている再生期限付きROM領域であり、具体的には、特許文献1及び特許文献2等に記載されている素材又は構成からなる。
【0016】
202は、情報の書き換えが不可能なROM部であるが、エンボスビットなどで情報の凹凸が記録されており、情報の読み出しが常に可能である。203は、書き換えが可能なリード(read)/ライト(write)領域である。
【0017】
ROM領域201には、暗号化されたコンテンツの情報を解読する為の解読キーの情報が記録されている。領域202には、この解読キーにより暗号化された音声及び/又は映像などのコンテンツ情報が記録されている。
【0018】
図3は、図1に示す記録再生装置100の再生動作の流れを説明するフローチャートである。図3を参照して、再生動作を説明する。
【0019】
ディスクの再生が開始されると、まず、S300で再生対象の領域がディスクのどの領域であるかが判定される。どの領域を再生するかは、記録再生装置100を制御する図示しない上位のコントローラからファイルシステム等により指示される。S300で再生対象の領域が、ROM領域201又は202と判定されると、S301に処理が移行する。
【0020】
S301では、再生期限付きROM領域201に記録される解読キー情報を再生する。次のS302では、解読キー情報を正しく再生できたか否かを判定する。再生期限内の場合、再生期限付きROM領域201のデータは正しく再生できるので、S303に処理が移行する。
【0021】
S303では、ROM領域202に記録されている暗号化されたコンテンツ情報を再生する。その後のS304では、S301の処理で読み込んだ解読キー情報を使用して、暗号化されたコンテンツを解読する。次のS305で、正しく解読できたか否かを判定する。正しく解読できた場合、S306で、解読された音楽又は映像等のコンテンツ情報をI/F部101を介して外部に出力する。
【0022】
再生期限を超過している場合、再生期限付きROM領域201にある解読キー情報が読み出せない状態となっている。従って、この場合には、S302で解読キー情報が再生不可と判定され、処理はS307に移行する。
【0023】
S307では、記録再生装置のメモリ内に解読キー情報があるかどうかが判定される。解読キー情報は、基本的には、ディスクの再生期限付きROM領域201に書き込まれているが、再生期限が超過した場合には、コンテンツ提供業者に料金を支払うことで、解読キー情報のみを購入することも可能である。解読キー情報を購入している場合には、記録再生装置100のメモリ103内に解読キー情報を予め外部から入力しておく。すると、メモリ内に解読キー情報があると判断されるので、処理はS303に移行し、解読キー情報を光ディスクから再生できた時と同様に、コンテンツを再生することができる。
【0024】
ディスクの再生期限が終了しており、S307の処理でもメモリ内に解読キー情報が無いと判断された場合、S308の処理に移行し、再生不可能である旨を表示する。
【0025】
また、S300で、再生対象の領域がリード/ライト領域203である場合、処理がS309に移行し、リード/ライト領域203の記録情報を再生し、I/F部101を介して外部に出力する。
【0026】
図2に示す構造のディスクに書き込みを行う場合、リード/ライト領域203にデータを書き込む。つまり、リード/ライト領域203には、再生期限に関係なく、データを記録再生できる。
【0027】
次に、図2に示すディスクがDVD−R等に代表される他のディスクにコピーされた場合の動作を説明する。DVD−R規格の光ディスクでは、データの記録が可能であり、一般的に、ビットバイビットコピー(Bit By Bit Copy)と呼ばれる手法で他のディスクから再生したデータをそのまま記録する事が可能である。このような手法で図2のディスクをコピーしたDVD−Rの記録内容例を図4に示す。図4に示すように、領域201に記録されるコンテンツ解読キー情報は、図4の領域401にコピーされ、領域202に記録される暗号化されたコンテンツ情報は、図4の領域402にコピーされる。しかし、図4のDCD−Rのリードインと呼ばれる領域400には、エンボス構造で所定のデータが予め書き込まれているので、コンテンツの解読キー情報を正しくコピーする事ができない。つまり、図4に示すようにコピーされたディスクを再生した場合、解読キー情報が本来の内容とは違っているので、暗号化されたコンテンツ情報を正しく解読できない。図3に示すフローチャートにおけるステップS305の処理で、正しく解読できないと判定され、処理はS308に移行し、再生不可能である旨が表示される。
【0028】
以上説明したように、コピーされたディスクに対しては、従来のDVDビデオの著作件保護技術「CSS」と同様の動作により、再生を禁止することが可能となる。さらに、再生期限付きROM領域201にある解読キー情報は、再生期限が終了すると読み出せなくなるので、再生期限が終了したディスクをコピーしたとしても、コピーされたディスクには、解読キー情報が全くコピーされないので、不正コピーをより一層困難にする効果もある。
【0029】
図2に示すディスクがDVDオーディオ形式でデータが記録されたものである場合には、CPPM(Content Protection for Prerecorded Media)と称される公知の著作件保護技術を用いて、再生を禁止しても良い。
【0030】
本発明の記録媒体は、図2で示した構成以外でも、図5及び図6に示すような構成が可能である。図5は、ディスク上に再生期限付きROM領域501とリード/ライト領域502を設けている。図2に示す構成と異なる点は、再生期限付きROM領域501内に暗号化されたコンテンツ情報と解読キー情報の両方が記録されている点にある。図5に示す構成を採用することで、図2に示すディスクの場合と同様に、再生期限付きのディスクとする事ができ、再生期限終了後も、リード/ライト領域502に対して任意のデータを記録再生する事が可能になる。コピーされた場合でも、図2に示すディスクの場合と同様にコンテンツ情報と解読キー情報が正しく読み出せないので、再生を禁止することが可能となる。
【0031】
図6は、ディスク上に再生期限付きROM領域601と602で示すROM領域602を具備する。図2の構成と異なる点は、リード/ライト領域が無く、広いROM領域602に暗号化されたコンテンツ情報を記録している点にある。期限付きで再生可能とするコンテンツの情報量が多い場合、図6に示す構成にしても良い。この場合も、図2で示したディスクの場合と同様に、再生期限付きのディスクとして利用できる。再生期限終了後は、コンテンツ提供者から解読キーの情報を購入することにより、継続して再生が可能である。行うことが可能となる。
【0032】
リード/ライト領域203,502は、1回だけ書き込みが可能な領域にしても良いし、暗号化されていない音声又は映像を自由に再生できる再生期限なしのROM領域としても良い。
【0033】
図7は、図2に示す記録媒体と図1に示す記録再生装置100を用いたビデオカメラの概略構成ブロック図を示す。図7に示すビデオカメラを使用した場合の効果的な使用例を図8及び図9を参照して説明する。
【0034】
図8は、カメラで撮影した画像と本実施例のディスク内に暗号化して記録されているコンテンツを合成する例である。例えば、ROM領域202に記録されている暗号化されたコンテンツが、図8(A)に示すような遊園地のキャラクタを使用したフレーム画像801であった場合、図8(B)に示すような、カメラで撮影した画像802と合成することにより、図8(C)に示す合成画像を作成することができる。
【0035】
図8(C)に示すように合成された画像は、リード/ライト領域203に記録される。再生期限付きROM領域201の再生期間内では、撮影したカメラ画像と自由に合成画像を作成する事ができる。再生期限付きROM領域201の再生期間が終了した場合、キャラクタフレーム画像801は再生できなくなるので、新たに撮影したカメラ画像と合成することはできない。しかし、すでにカメラ画像と合成済みの画像は、リード/ライト領域203に記録されているので、この記録画像を再生することにより閲覧可能である。
【0036】
ROM領域202に記録される暗号化されたコンテンツは、図8に示すような静止フレーム画像だけでなく、図9(A)に示すような動画像901でも良い。このように動くキャラクタ画像と、図9(B)に示すような、カメラで撮影された動画像を合成することにより、図9(C)に示す合成画像を作成することも可能である。
【0037】
このように、本発明により、広い用途に利用可能な再生期間限定の記録媒体を実現できる。再生期間を限定できるだけでなく、コンテンツが記録された光ディスク等の記録媒体を再生期限が終了した後でも、ディスクを廃棄する事なく有効に活用することが可能になる。またコンテンツが記録された媒体の複製を防止できる。
【0038】
記録媒体として光ディスクを例に説明したが、情報の読み出しが所定の期限内で制限できる構成のものであれば、その他の形態・構造の記録媒体にも適用可能である。例えば、光磁気ディスク、光カード、及び揮発性メモリを併用したメモリカード等にも適用できることは言うまでも無い。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る記録媒体を使用する記録再生装置の概略構成ブロック図である。
【図2】本実施例の光ディスクの構造例を示す図である。
【図3】記録再生装置の動作フローチャートである。
【図4】DVD−Rにコピーされた状態を示す図である。
【図5】光ディスクの構造例を示す図である。
【図6】光ディスクの別の構造例を示す図である。
【図7】ビデオカメラの概略構成図である。
【図8】本実施例の記録媒体を使用する画像合成例である。
【図9】本実施例の記録媒体を使用する画像合成の別例である。
【符号の説明】
【0040】
100:記録再生装置
101:外部I/F
102:コントローラ
103:メモリ
104:記録処理部
105:再生処理部
106:光ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定時間経過後に記録情報の読み出しが不可能になる再生期限付きROM領域と、
情報の書き換えが不可能であって、記録情報の読み出しに期限が無いROM領域
とを具備することを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
前記ROM領域には暗号化情報が記録され、前記再生期限付きROM領域には、前記暗号化情報を解読する解読キー情報が記録されることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項3】
前記再生期限付きROM領域に暗号化情報と前記暗号化情報を解読する解読キー情報とが記録されていることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項4】
前記記録媒体はレーザ光による情報の読み出し書き込みを行う光ディスクであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の記録媒体。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の記録媒体から情報信号を再生する再生手段を備えることを特徴とする再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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