記録媒体及び再生装置
【目的】 ユーザーが任意に選択した複数の曲でメドレー演奏を実行できるようにする。
【構成】 楽曲データの一部、例えばサビの部分などのアドレス情報を抽出再生データとして記録媒体に記録するか、もしくは収納されている記録媒体に対応してROMカードなどに保持するようにする。そしてプログラム指定された各曲については、それぞれ抽出再生データに基づいて一部分のみ(エントリーポイントからエクジットポイントまで)を再生していく。これによって各曲のサビ部分などがつなげられた再生演奏となり、いわゆるメドレー形式の演奏となる。
【構成】 楽曲データの一部、例えばサビの部分などのアドレス情報を抽出再生データとして記録媒体に記録するか、もしくは収納されている記録媒体に対応してROMカードなどに保持するようにする。そしてプログラム指定された各曲については、それぞれ抽出再生データに基づいて一部分のみ(エントリーポイントからエクジットポイントまで)を再生していく。これによって各曲のサビ部分などがつなげられた再生演奏となり、いわゆるメドレー形式の演奏となる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はビデオCDなどの記録媒体、及びチェンジャープレーヤ装置などの再生装置に関し、例えばカラオケシステムとしての適用に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】複数のディスクを収納し、選択的に再生できるチェンジャープレーヤ装置が普及しており、特にビデオCD、レーザディスク、CD−G等に対応するチェンジャープレーヤ装置はカラオケ等に広く用いられている。これらは、ビデオCDなどのカラオケ用の映像/音声が記録されたディスクを収納して選択的に再生できるようにしており、ユーザーが曲を指定する入力操作を行なうと、その曲が収録されたディスクをローディングし、その指定された曲の再生を行なうようにしている。なお、このようなチェンジャープレーヤ装置では、ディスクを収納する各ストッカに番号を与え、そのストッカ番号を、そのストッカに収納されているディスクのディスク番号として管理している。そしてユーザーが演奏する曲が指定された場合は、その指定入力のためのコードナンバからディスク番号及びそのディスク内のトラック番号を判別し、再生制御を行なうことになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところでカラオケシステムとしては、ユーザーが或る曲を指定入力した場合、その曲の最初から最後までが再生演奏されるものである。例えばユーザーが複数の曲を順次入力しても、順次再生される各楽曲はそれぞれ最初から最後まで演奏されることになる。このため、ユーザーが自分で複数の曲を選んで、各曲のサビの部分などがメドレー形式で連続するような演奏をさせることは不可能であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような事情にかんがみてなされたもので、カラオケシステムなどでの使用において、ユーザーが選択した複数の楽曲について、それぞれサビの部分などの一部のみを抽出しながら連続的に再生していくことで、いわゆるメドレー演奏を実行できるようにすることを目的とする。
【0005】このため記録媒体として、1又は複数の楽曲データと、各楽曲データについての管理情報が記録されているとともに、この管理情報には、各楽曲データについて、その一部分を抽出して再生させることができるようにするための抽出再生データが記録されているようにする。
【0006】また、このような抽出再生データが記録されている記録媒体に対応する再生装置として、再生可能状態に収納されている1又は複数の記録媒体のそれぞれから各楽曲データについての抽出再生データを読み出して記憶することができる記憶手段と、プログラム操作に応じて再生すべき楽曲データの順序を設定するとともに、順次再生を行なう各楽曲データについては、記憶手段に記憶された抽出再生データを用いてその一部分のみを再生させることができる再生制御手段とを設けるようにする。
【0007】また、1又は複数の楽曲データが記録された記録媒体に対応する再生装置として、再生可能状態に収納されている1又は複数の記録媒体のそれぞれの各楽曲データについて、その一部分を抽出して再生させることができるようにするための抽出再生データが記憶されている記憶手段と、プログラム操作に応じて再生すべき楽曲データの順序を設定するとともに、順次再生を行なう各楽曲データについては記憶手段に記憶された抽出再生データを用いてその一部分のみを再生させることができる再生制御手段とを設けるようにする。
【0008】
【作用】楽曲データの一部、例えばサビの部分や、3番まである曲の1番のみなどを再生するためには、その部分の再生を行なうためのアドレス情報が必要になる。このアドレス情報(開始アドレスとなるエントリーポイントと、終了アドレスとなるエクジットポイント)を抽出再生データとして記録媒体に記録するようにすれば、それを用いて各楽曲の一部分のみを再生することが可能となる。
【0009】また抽出再生データが記録されていない記録媒体については、例えばチェンジャータイプの再生装置に収納する各ディスクの各楽曲データについての抽出再生データを記憶した記憶手段(例えばROMカード)などを用意すれば、サビなどの一部を再生させることができる。
【0010】このように抽出再生データに基づく再生動作を、指定された複数の楽曲について連続的に行なっていくことにより、メドレー形式の演奏が可能となる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を以下の順序で説明する。
I.記録媒体の実施例II.再生装置の実施例1III.再生装置の実施例2IV.再生装置の実施例3V.各種変形例
【0012】[I.記録媒体の実施例]本発明の記録媒体としては、記録されている楽曲のそれぞれについて、サビなどの一部分を再生するための抽出再生データとして、その開始アドレスとなるエントリーポイントと、終了アドレスとなるエクジットポイントが記録されているものである。ここでは、記録媒体としてビデオCDを例にあげ、管理情報内での抽出再生データが記録されるエリアを説明する。
【0013】ビデオCD規格は、高能率符号化技術として標準化されたMPEG方式を応用し、CD−ROMディスクから60分以上の動画像及び音声を再生することができるようにしたものである。これにより音楽、映画、カラオケなどのソフトウエアとして用いることができる。このビデオCDでは、動画データについてはMPEG方式でデータ圧縮するとともに、この動画データを圧縮したオーディオデータに多重化して記録している。さらに、所定の領域には再生に必要な管理データが記録されている。
【0014】即ち、CD−DAと同様にTOC及びサブコードが記録されてトラック数、各トラックの開始位置(絶対時間)、トラックナンバなどが示されている。さらにビデオCDにはトラック1がビデオCDデータトラックとして用いられ、各種管理情報が記録される。
【0015】ビデオCDのディスク上のトラック構造を図1(a)に示した。ビデオCDでは、CD−DA(通常のCDデジタルオーディオ)と同様に、ディスク最内周側にリードインエリアが設けられ、TOCデータが記録されている。そしてリードインエリアに続いてトラック#1〜トラック#nが記録され、最外周位置にリードアウトエリアが設けられている。
【0016】ここでビデオCDの場合、トラック#1は第1トラックとしての実際の映像又は音声データの記録には用いられておらず、ビデオCDデータトラックとして使用されている。つまり、TOCデータ及びビデオCDデータトラックが、ビデオCDの管理情報として記録されている。トラック#2〜トラック#nには実際の映像/音声データが記録される。従ってカラオケ用のディスクであれば、(n−1)曲の楽曲データが記録されることになる。なお、ビデオCDではトラック数は最大99まで可能となり、従って最大98シーケンス(98曲)が記録できる。シーケンスとは動画の連続した1つの区切りのことであり、例えばカラオケなどの画像が記録されていた場合、1曲(1トラック)が1シーケンスである。
【0017】トラック#1を用いたビデオCDデータトラックには、図1(b)に示すようにPVD(基本ボリューム記述子)、カラオケベーシックインフォメーションエリア、ビデオCDインフォメーションエリア、セグメントプレイアイテムエリア、その他のファイル(CD−Iアプリケーションプログラム等)が用意されている。
【0018】PVDはディスク上の絶対時間アドレス00:02:16(分/秒/フレーム)からの位置に配置される。またカラオケベーシックインフォメーションエリアは絶対時間アドレス00:02:16からの位置に配置される。ビデオCDインフォメーションエリアは絶対時間アドレス00:04:00からの位置に配置される。そして、セグメントプレイアイテムエリアはビデオCDインフォメーションエリア内で示される位置から、またCD−IアプリケーションプログラムなどのファイルはPVD内で示される位置から、それぞれ配置される。
【0019】これらはそれぞれビデオCDの再生動作のための管理情報となるが、特にカラオケ用途のディスクの場合、各楽曲データに関する各種管理情報がカラオケベーシックインフォメーションエリアに記述される。カラオケベーシックインフォメーションエリアには、図2(a)に示すようにグループ0〜グループNまでで構成されるカラオケインフォメーションファイルが記録されている。カラオケインフォメーションファイルは最大128Kバイトのエリアとされる。
【0020】このカラオケインフォメーションファイルにおいてグループ0はディスクアイテムが記録され、グループ1〜グループNにはそれぞれシーケンス#1〜#N(つまり1曲目〜N曲目)についてのシーケンスアイテムが記録される。グループ0〜グループNの各グループは、図2(b)のように構成されている。つまり、アイテムパケット0〜アイテムパケットMが設けられる。そしてアイテムパケット数(M個)は規定されていないため、先頭にグループ長として、アイテムパケット0〜アイテムパケットMまでのバイト数が記録されている。
【0021】各アイテムパケットには、図2(c)のようにアイテムナンバ、アイテム長、テキストデータが記録される。テキストデータは実際のアイテムとしての内容であり、その内容の種別はアイテムナンバ毎に定義されている。またテキストデータエリアのバイト数がアイテム長として記録される。
【0022】アイテムナンバは1バイトで形成され、図2R>2(d)のようにビットb0〜b5の6ビットで、そのアイテムパケットのアイテムナンバが記録される。なおビットb7はラストアイテムフラグとして用いられ、グループ内の最後のアイテムパケットにおいては、ビットb7=『1』とされる。6ビットのアイテムナンバ記録により、0〜63のアイテムナンバが表現されるが、0〜63の各アイテムナンバに対応して、テキストデータとして記録されるデータ内容が定義されている。
【0023】アイテムナンバ0〜7は、ディスクアイテム(グループ0)におけるアイテムパケットに用いられるもので、そのアイテム内容が図3のように定義される。アイテムナンバ0のアイテムパケットにはテキストデータとしてディスクタイトルが記述される。またアイテムナンバ1のアイテムパケットにはテキストデータとしてディスクのカタログナンバが記述される。またアイテムナンバ2のアイテムパケットにはディスクに記録された総シーケンス数(つまり曲数)が記録され、アイテムナンバ3のアイテムパケットにはディスクの内容記述が行なわれる。アイテムナンバ3〜7についてはディスク製作者が設定することができるアイテムナンバとして用意されている。
【0024】一方、アイテムナンバ8〜63は、シーケンス#1アイテム〜シーケンス#Nアイテム(グループ1〜グループN)におけるアイテムパケットに用いられるもので、そこに記録されるテキストデータについて、図4のように定義されている。アイテムナンバ8のアイテムパケットには、その対応するシーケンスのISRCコード(インターナショナル・スタンダード・レコーディング・コード)が記録される。アイテムナンバ9のアイテムパケットには、その対応するシーケンスのタイトル(曲名)が記録される。
【0025】同様に、アイテムナンバが10〜21となる各アイテムパケットには、その対応するシーケンスについての、分類用シーケンスライトル、パフォーマー名、分類用パフォーマー名、ソングライター名、コンポーザー名、アレンジャー名、プレイヤー名、ソングテキストのヘッダパート、ソングテキスト、カラオケキー(調性)、オリジナルキー(調性)、シーケンスの内容記述、が記録される。
【0026】そして、アイテムナンバ22〜31についてはディスク製作者が設定することができるアイテムナンバとして用意されている。本実施例のビデオCDにおいては、このアイテムナンバ22〜31の一部を用いることで、各曲(シーケンス)について、エントリーポイント、エクジットポイントを記録するようにする。つまり、各曲のサビの部分などのみを抽出して再生させるための抽出再生データとなる開始アドレス(エントリーポイント)と終了アドレス(エクジットポイント)を記述する。
【0027】このように抽出再生データを記録しておくことで、再生装置ではこの情報を読み込めば、或る楽曲について通常どおり最初から最後まで再生させるのみでなく、ディスク製作者が設定した、その曲の或る一部分のみを再生させることができる。つまりエントリーポイントに再生ヘッドをアクセスさせて再生を開始するとともに、エクジットポイントに達したら、再生を終了させればよい。なお、一例としてビデオCDについて説明したが、他の種類の記録媒体でもこのような抽出再生データを記録することは可能である。
【0028】[II.再生装置の実施例1]以上のようなビデオCDに対応する再生装置としての実施例を説明する。この再生装置は複数のビデオCDを収納できるチェンジャープレーヤ装置とし、これをカラオケシステムに適用したものとする。
【0029】図4は第1の実施例となるカラオケシステムの概略的な構成のブロック図である。1はチェンジャーユニット、2はコントロールユニットを示す。チェンジャーユニット1とコントロールユニット2は別体で形成されていてもよいし、また一体化されているものでもよい。
【0030】チェンジャーユニット1には多数のディスクを収納できる収納部3a,3bを有する。収納部3a,3bの各ストッカ部(収納棚)にはそれぞれ1枚づつディスク(ビデオCD)を収納することができる。収納部3aの各ストッカ部にはD1 〜Dn のストッカ番号が付されており、これが各ストッカ部に収納されているディスクのディスクナンバとされる。また収納部3bの各ストッカ部にはDn+1〜Dm のストッカ番号が付されており、これが各ストッカ部に収納されているディスクのディスクナンバとされる。つまり、このチェンジャーユニット1にはm枚のディスクが収納できる。収納部はさらに増設することができ、これにより収納可能ディスク枚数を増やすことができる。
【0031】4はローディング機構、5a,5bはプレーヤ部である。ローディング機構4は収納部3a,3bから指定されたディスクナンバのディスクを取り出してプレーヤ部5a又は5bに搬送(ローディング)することができ、プレーヤ部5a又は5bで所要のディスクを再生可能状態とする。またローディング機構4は、プレーヤ部5a又は5bからディスクを取り出し、元のストッカ部に戻す(アンローディング)ことができる。ローディング機構4としては、収納部3a,3bを回転方向に移動させるターンテーブル及び収納部3a又は3bの所要のストッカ部に対向できるエレベータ機構などにより構成できる。
【0032】6は再生信号処理部であり、プレーヤ部5a又は5bによってディスクから読み取られた情報が供給され、所要のデコード処理を行なって音声信号SA 、映像信号SV を出力する。7はチェンジャコントローラであり、ローディング機構4の搬送動作指示、プレーヤ部5a,5bに対する再生動作制御、再生信号処理部6に対するデコードすべき情報の選択制御(プレーヤ部5a,5bのいづれからの情報をデコードして出力するか)などの制御を行なう。
【0033】コントロールユニット2において8はシステム全体を制御するマイクロコンピュータによって構成されているシステムコントローラである。システムコントローラ8は、コントロールユニット2の前面パネルなどに設けられた各種キーによるキー入力部14から入力されるユーザーの操作情報や、ユーザーがリモートコマンダー16を操作した際にリモートコマンダー1からの信号を受信するリモコン受信部15からの操作情報が供給される。
【0034】ユーザーが入力する操作情報としては、主に演奏させたいカラオケ楽曲の予約情報であり、つまり各楽曲に対応して設定されているコードナンバを入力する。また本実施例では後述するようにユーザーが複数の曲を選択して、それらをメドレー演奏させることができるようにしており、このためにキー入力部14やリモートコマンダー16には、ユーザーがメドレー演奏させる複数の楽曲をプログラムする操作キーとしてメドレーキー、及びセット完了を指示する操作キーとしてセットキーが設けられている。
【0035】システムコントローラ8の基本的な制御動作としては、入力されたコードナンバに応じて、収納部3a,3bに収納されているディスクのうちで再生すべきディスクを判別し、そのディスクナンバ及びディスク内でのトラック番号等をチェンジャーコントローラ7に送信する。チェンジャーコントローラ7は、供給されたディスクナンバに応じてローディング機構4を動作させ、そのディスクナンバとされたストッカ部からディスクを取り出してプレーヤ部5a又は5bにローディングさせる。そして、ローディングされたディスクに対してプレーヤ部5a又は5bで、供給されたトラック番号の楽曲の再生動作を実行させる。
【0036】9a,9bはRAMを示す。本実施例ではRAM9aはメドレープログラム設定操作がなされた場合に、順番に演奏させる楽曲ナンバ(=ディスクナンバ及びシーケンスナンバ)を記憶するエリアとして用いられる。またRAM9bは、収納されているm個のディスクからそれぞれ抽出再生情報を読み出して記憶しておくエリアとして用いられる。なお、RAM9bは不揮発性RAMとしたり、もしくは電源バックアップ構成がとられることで、電源オフ時にもデータが消失されないようにすることが好ましい。
【0037】10はオーディオアンプであり、再生信号処理部6から出力された音声信号SA を増幅してスピーカ部12に供給し、カラオケ音声を出力させる。システムコントローラ8は、ユーザーの操作入力などに応じてオーディオアンプ10に対して出力音量調整制御、音程変換制御等を行なう。11はグラフィックコントローラであり、再生信号処理部6から出力された映像信号SV に対してOSD表示用のキャラクタを付加し、もしくはキャラクタ映像は付加せずにスルー出力する。映像信号SV はモニタ装置13において表示出力される。
【0038】このようなカラオケシステムでは、基本的には上記したようにユーザーの選曲操作に応じてカラオケディスクを再生させて、カラオケ音声/映像をスピーカ部12、モニタ装置13から出力するものである。そしてさらに本実施例では、ユーザーのメドレープログラム操作に応じて、複数の楽曲について、それぞれ抽出再生データによって指定された一部のみを、連続的に再生していくことで、ユーザーが指定した複数の曲をメドレー形式でつないで演奏させることができる。
【0039】メドレー演奏を実現するために、まず本実施例では、システムコントローラ8はシステムのセットアップ時などにおいて、収納されている全てのディスクD1〜Dm について抽出再生情報を読み込む。そして、その抽出再生情報をRAM9bに記憶させる。
【0040】即ち、各ディスクについての各楽曲(シーケンス)のエントリーポイントとエクジットポイントとされているアドレスを読み取り、それらをRAM9bにおいて図8のようにディスクナンバ、シーケンスナンバに対応して記憶させる。ビデオCDにおいてエントリーポイント、エクジットポイントとしては、分:秒:フレーム形式による絶対アドレスとして記録されているものとする。一旦、図8のように全ディスクの全楽曲についての抽出再生データを読み込んだ後は、RAM9bが不揮発性メモリもしくは電源バックアップ構成が取られていることにより、各使用時点で取り込む必要はない。
【0041】本実施例においてユーザーがメドレー演奏を実行させたい場合は、キー入力部14もしくはリモートコマンダー16を用いて、まずメドレープログラム操作を行なうことになる。図6はメドレープログラム操作に対応するシステムコントローラ8の処理を示している。
【0042】操作としてユーザーが或る曲を指定するために曲のコードを入力したら、システムコントローラ8は続いてセットキーが押されるか、もしくはメドレーキーが押されるかを監視する(F101,F102,F103)。或る1曲のコードが入力された後、セットキーが押された場合は、通常の演奏曲指定入力であり、ステップF104においてシステムコントローラ8はチェンジャーコントローラ7に対して指令をおくり、その曲を再生させる。
【0043】一方、曲のコードが入力された後、メドレーキーが押された場合は、システムコントローラ8はメドレープログラム操作が実行されると認識する。この場合ステップF103からF105に進んで、まずプログラムナンバとなる変数Pを1にセットする。そして、ステップF101で入力されていた曲のコード(もしくはそのコードに対応するディスクナンバ及びシーケンスナンバ)をプログラムナンバP(P=1)、つまり最初に再生させる曲としてセットする(F106)。
【0044】続いてユーザーの次の曲のコード入力を待つ(F107)。この時点では、セットキーがオンとされたか、曲コードが入力されたかを監視する(F108,F109) 。曲コードが入力されたら、続いてメドレーキーが押されることを待ち(F110)、押された場合は変数Pをインクリメントして(F111)、ステップF106に戻って、入力された曲のコード(もしくはそのコードに対応するディスクナンバ及びシーケンスナンバ)をプログラムナンバP(P=2)、つまり2番めに再生させる曲としてセットする。
【0045】以降同様に曲コードの入力とメドレーキーの操作に応じて順番にプログラムされる曲をセットしていく。そして、セットキーが押された時点(F108)で、メドレープログラム操作は終了と判断し(F112)、ステップF113でメドレー再生動作を開始させる。つまり、ユーザーとしては、曲コードの入力とメドレーキー操作を繰り返して所望の曲を順番に選択していく。そして或る時点でセットキーを押すことでメドレープログラム操作を終了させることになる。
【0046】メドレープログラム操作が終了した時点で、例えばユーザーが7曲を指定したとすると、RAM9aには図9に示すようにプログラムナンバ1〜7としてそれぞれ曲が記憶されていることになる。この図9は指定された曲をディスクナンバとシーケンスナンバにより記憶した例を示したいる。
【0047】システムコントローラ8は、ステップF113に進んだ場合は、プログラムナンバ1から順に各曲を再生させることになるが、この処理は図7に示される。まずプログラムナンバとしての変数Pを1にセットする(F201)。そしてチェンジャーコントローラ7に対してプログラムナンバP(P=1)としてRAM9aに記憶されているディスクナンバを伝え、収納部3a又は3bからプレーヤ部5a又は5bのいづれかにローディングさせる(F202)。
【0048】ここでシステムコントローラ8は図8のように抽出再生データを記憶したRAM9bを参照して、プログラムナンバP(P=1)のディスクナンバ、シーケンスナンバに対応して記憶されているエントリーポイント、エクジットポイントを読み出し、エントリーポイントをET、エクジットポイントをEXとしてセットする(F203)。そしてまずチェンジャーコントローラ7に対してエントリーポイントET、エクジットポイントEXを送信し、ローディングを行なったプレーヤ部5a又は5bにおいて、エントリーポイントETからの再生を実行させる(F204)。
【0049】この時点でプログラム指定された第1曲目について、そのエントリーポイントETで指定された箇所からの再生演奏が開始される。ここでシステムコントローラ8は変数Pをインクリメントし(F205)、変数PがPMAX を越えていなければステップF206からF207に進む。PMAX とは設定されたプログラム数であり、例えば図9のように7曲指定されている場合はPMAX =7である。つまりステップF206では現在演奏している曲がプログラム指定された最後の曲であるか否かを判別している。
【0050】最後の曲ではない場合、つまり次の曲がある場合は、ステップF205で変数Pがインクリメントされた後、システムコントローラ8はステップF207でそのプログラムナンバPとしてRAM9aに記憶されている対応するディスクナンバをチェンジャーコントローラ7伝え、収納部3a又は3bから現在再生動作を行なっていない側のプレーヤ部(5a又は5b)にローディングさせる。プログラムナンバ1の曲が再生されている時点ではP=2とされるため、2曲目の再生準備を行なうことになる。
【0051】そしてシステムコントローラ8は、RAM9bを参照して、プログラムナンバP(P=2)のディスクナンバ、シーケンスナンバに対応して記憶されているエントリーポイント、エクジットポイントを読み出し、エントリーポイントをETN 、エクジットポイントをEXN としてセットする(F208)。
【0052】ステップF209において、システムコントローラ8はチェンジャーコントローラ7を介して現在再生中のプレーヤ部の再生アドレスを監視しており、再生アドレスがその曲のエクジットポイントEXに達したか否かを判別している。エクジットポイントEXに達したら、現在の曲がプログラムの最後の曲でなければ (F210→NO) 、まず次の曲に対応するためにエントリーポイントETN 、エクジットポイントEXN として取り込んでおいた値により、エントリーポイントET、エクジットポイントEXを更新する(F211)。
【0053】そして再生動作中のプレーヤ部に対して再生停止処理を行ない(F212)、続いて非動作中のプレーヤ部、つまりステップF207で次の曲のディスクをローディングしておいた側のプレーヤ部に対して、エントリーポイントETからの再生を開始させる(F213)。これにより、或る曲の一部分(例えばサビのみ)の再生が終了した後、即座に、次の曲の一部分の再生が開始され、メドレーとして良好につながることになる。その後、ステップF205に戻って同様の処理が繰り返されていくことで、メドレープログラムでセットされた各曲について、それぞれのサビ部分などがメドレー形式でつながって順次再生されていくことになる。
【0054】なお、図7には示していないが、連続して指定された曲が同一のディスクに収録されている場合は、その曲の切り換え時点の処理としてはエクジットポイントから次の曲のエントリーポイントまでのトラックジャンプを行なうのみでよいことはいうまでもない。
【0055】メドレープログラム設定による最後のプログラムナンバの曲が再生されている時点では、ステップF206で肯定結果が出てステップF209に進む。そしてその再生中の曲がエクジットポイントに達した時点で、ステップF210で肯定結果が得られ、メドレー演奏を終了させることになる。
【0056】以上のような本実施例の動作では、ユーザーは自分の好きな曲を順番に選んでメドレープログラム操作を行なうことで、それらの各曲の一部、例えばサビ部分などが連続されてメドレー形式で演奏されることになる。つまり自分で選曲したものをメドレー演奏させて歌うことができ、カラオケとして非常に楽しいものとなる。
【0057】ところで図7の処理では、プログラムナンバ1の曲は、エントリーポイントから再生されるため、カラオケ演奏としてはいきなり曲の途中から始まることになる。また、最後のプログラムナンバの曲は、エクジットポイントで再生を終了するため、メドレー演奏が唐突に終ってしまうものとなることが考えられる。そこで、このようなことによる違和感をなくすことができる変形例として図10の処理をあげる。
【0058】この図10の各ステップにおいて図7と同一処理は同一のステップ番号を付しており、説明は省略する。異なる点はステップF204X として示すステップと、ステップF214を加えた点である。
【0059】ステップF204X では、図7のステップF204と異なり、プログラムナンバPの曲について、その曲の最初から再生を開始するようにしている点である。つまり、プログラムされた第1曲目のみは、曲頭から再生される。その1曲目はエクジットポイントに達したら次の曲に進み、次の曲はエントリーポイントからエクジットポイントまで再生されることになる (F213→F205〜F209) 。
【0060】また、メドレープログラムされた最後の曲については、ステップF209でエクジットポイントに達したと判断された後、ステップF214に進んで、その曲が最後まで再生されることが待機される。そして最後まで再生終了した時点で、メドレー演奏が終了される。つまり、この処理例によれば、一曲目はイントロから通常どおり始まるため違和感はなく、また各曲がメドレー演奏された後、最後の曲についてはその曲の最後まで再生されるため、唐突に演奏が終ってしまうことはない。これによってメドレー演奏がより自然なものとなる。
【0061】[III .再生装置の実施例2]次に再生装置としての第2の実施例を説明する。これは上述したように抽出再生データが記録されているビデオCDなどに限らず、抽出再生データが記録されていないディスクについても、同様にメドレー演奏を実行できるようにするものである。この再生装置は第1の実施例と同様に複数のディスクを収納できるチェンジャープレーヤ装置とし、これをカラオケシステムに適用したものとする。ただし、収納するディスクとしては、ビデオCD,CD−DA,レーザディスクなど、各種のディスク状記録媒体に対応するものとして構成できる。
【0062】図11に第2の実施例となるカラオケシステムの概略的な構成のブロック図を示す。ただし、図5と同一部分は同一符合を付し、説明を省略する。第1の実施例と異なる点は、RAM9bを設けず、コントロールユニット2にはROMカードインターフェース部17を設けるものとする。そして、収納部3a,3bに装填するディスクD1 〜Dm については予め固定しておき、各ディスクD1 〜Dm についての抽出再生情報、即ち各ディスクについての各楽曲のエントリーポイントとエクジットポイントを設定して記憶しておいたROMカード18を用意する。つまりROMカード18には図8に示したようなデータが記憶されているものとする。
【0063】使用時には、ROMカード18をROMカードインターフェース部17にセットすればよく、メドレー演奏のための処理としてはシステムコントローラは図6及び図7(又は図10)の処理を実行すればよい。これにより、抽出再生情報が記録された特別なディスクを用いないカラオケシステムとしても、同様にメドレー演奏を行なうことができるようになる。なお、もちろんROMカード18以外に、RAMカードを用いて、収納ディスクの変更に対応できるようにしてもよい。
【0064】[IV.再生装置の実施例3]次に再生装置としての第3の実施例を説明する。この実施例は、上述したビデオCDのように抽出再生データが記録されたディスクを使用するものであるが、コントロールユニット2において比較的大きい容量を要するRAM9bを不要とするものである。つまり、第1の実施例では、RAM9bに全ディスクの全曲に対して図8のように抽出再生データを記憶するものであるため、収納可能なディスク枚数が多いシステムでは、かなり大容量のものが必要となる。そこでこの実施例では、メドレープログラム指定された曲についてのみ、抽出再生データを読み込むようにして、例えばRAM9においてプログラムナンバとともに記憶するようにしている。
【0065】即ち、この実施例においてもユーザーがメドレー演奏を実行させたい場合は、キー入力部14もしくはリモートコマンダー16を用いて、まずメドレープログラム操作を行なうことになるが、このときのシステムコントローラ8の処理は図13に示すようなものとなる。
【0066】図13においてステップF301〜F306の処理は図6のステップF101〜F106の処理と同様である。つまり、ユーザーが或る曲を指定するために曲のコードを入力したら、システムコントローラ8は続いてセットキーが押されるか、もしくはメドレーキーが押されるかを監視る(F301,F302,F303)。或る1曲のコードが入力された後、セットキーが押された場合は、通常の演奏曲指定入力であり、ステップF304においてシステムコントローラ8はチェンジャーコントローラ7に対して指令をおくり、その曲を再生させる。
【0067】一方、曲のコードが入力された後、メドレーキーが押された場合は、システムコントローラ8はメドレープログラム操作が実行されると認識する。この場合プログラムナンバとなる変数Pを1にセットし(F305)、入力されていた曲のコードに対応するディスクナンバ及びシーケンスナンバをプログラムナンバPとしてセットする(F306)。
【0068】ここで本実施例では、システムコントローラ8はその時点でディスクナンバ及びシーケンスナンバをチェンジャーコントローラ7におくり、そのディスクをプレーヤ部5a又は5bにローディングさせて、管理情報を読み込ませる(F307)。そしてシステムコントローラ8は読み込んだ管理情報からその曲に対応するエントリーポイント、エクジットポイントを得、それをプログラムナンバPに対応させてRAM9に記憶させる。以下、ステップF309〜F315までは図6のステップF107〜F313までの処理と同様である。
【0069】この処理によって、メドレープログラム設定が終了した時点では、RAM9には図14に示すようにプログラムナンバに対応して、ディスクナンバとシーケンスナンバ、及びそのエントリーポイントとエクジットポイントが記憶されていることになる。図14は5曲をプログラムした例である。
【0070】このようなメドレープログラム操作が終了した時点で、システムコントローラ8は、ステップF315に進んで、図7又は図10に示した処理を実行することで、第1の実施例と同様のメドレー演奏が実現されることになる。
【0071】[V.各種変形例]以上各種実施例を説明してきたが、本発明はさらに多様な実施態様が考えられる。例えば1曲について、エントリーポイント及びエクジットポイントで指定される部分を複数用意しておいて、ランダムに選択されたり、ユーザーが選択できるようにすることも考えられる。例えば最初のメロディ部分を演奏させるかサビの部分を演奏させるか等を選択可能としてもよい。また、曲の1番、2番、3番などに対応してそれぞれエントリーポイント及びエクジットポイントを設定することも考えられる。またこのようにした場合、図10の例のように最初の曲を曲頭から再生し、最後の曲は最後まで再生するような違和感のないメドレーを実現するために、最初の曲を曲頭から1番のみ再生し、最後の曲は例えば3番迄ある曲なら3番のはじめから曲の最後まで再生するようにしてもよい。
【0072】また、実施例はチェンジャータイプの再生装置としたが、1枚のディスクのみを収納できる再生装置であっても本発明を適用して、選択された各トラック(曲)についてメドレー演奏させるように構成できる。また、カラオケ用途に限定されるものでないことはいうまでもない。例えば通常の音楽再生用途としても、自分なりのメドレー演奏を設定できるものとなり、使用上の楽しさを広げることができる。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、楽曲データの一部、例えばサビの部分や、3番まである曲の1番のみなどを再生するための抽出再生データを用いて指定された楽曲を連続的に再生していくことで、ユーザーが自分の好みに合わせて選んだ曲について、違和感のないメドレー演奏を実現することができ、カラオケや音楽鑑賞用途としての楽しみを大きく広げることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録媒体の実施例となるビデオCDのトラック構造の説明図である。
【図2】実施例の記録媒体のカラオケインフォメーションファイルの説明図である。
【図3】実施例の記録媒体のディスクアイテムの説明図である。
【図4】実施例の記録媒体のシーケンスアイテムの説明図である。
【図5】本発明の第1の実施例のカラオケシステムのブロック図である。
【図6】実施例のメドレープログラム設定処理のフローチャートである。
【図7】実施例のメドレープログラム再生処理のフローチャートである。
【図8】第1、第2の実施例の抽出再生データの記憶状態の説明図である。
【図9】第1、第2の実施例のメドレープログラム設定データの記憶状態の説明図である。
【図10】実施例のメドレープログラム再生処理の変形例のフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施例のカラオケシステムのブロック図である。
【図12】本発明の第3の実施例のカラオケシステムのブロック図である。
【図13】第3の実施例のメドレープログラム設定処理のフローチャートである。
【図14】第3の実施例のメドレープログラム設定データの記憶状態の説明図である。
【符号の説明】
1 チェンジャーユニット
2 コントロールユニット
3a,3b 収納部
4 ローディング機構
5a,5b プレーヤ部
6 再生信号処理部
7 チェンジャーコントローラ
8 システムコントローラ
9,9a,9b RAM
10 オーディオアンプ
11 グラフィックコントローラ
12 スピーカ部
13 モニタ装置
14 キー入力部
15 リモコン受信部
16 リモートコマンダー
17 ROMカードインターフェース部
18 ROMカード
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はビデオCDなどの記録媒体、及びチェンジャープレーヤ装置などの再生装置に関し、例えばカラオケシステムとしての適用に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】複数のディスクを収納し、選択的に再生できるチェンジャープレーヤ装置が普及しており、特にビデオCD、レーザディスク、CD−G等に対応するチェンジャープレーヤ装置はカラオケ等に広く用いられている。これらは、ビデオCDなどのカラオケ用の映像/音声が記録されたディスクを収納して選択的に再生できるようにしており、ユーザーが曲を指定する入力操作を行なうと、その曲が収録されたディスクをローディングし、その指定された曲の再生を行なうようにしている。なお、このようなチェンジャープレーヤ装置では、ディスクを収納する各ストッカに番号を与え、そのストッカ番号を、そのストッカに収納されているディスクのディスク番号として管理している。そしてユーザーが演奏する曲が指定された場合は、その指定入力のためのコードナンバからディスク番号及びそのディスク内のトラック番号を判別し、再生制御を行なうことになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところでカラオケシステムとしては、ユーザーが或る曲を指定入力した場合、その曲の最初から最後までが再生演奏されるものである。例えばユーザーが複数の曲を順次入力しても、順次再生される各楽曲はそれぞれ最初から最後まで演奏されることになる。このため、ユーザーが自分で複数の曲を選んで、各曲のサビの部分などがメドレー形式で連続するような演奏をさせることは不可能であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような事情にかんがみてなされたもので、カラオケシステムなどでの使用において、ユーザーが選択した複数の楽曲について、それぞれサビの部分などの一部のみを抽出しながら連続的に再生していくことで、いわゆるメドレー演奏を実行できるようにすることを目的とする。
【0005】このため記録媒体として、1又は複数の楽曲データと、各楽曲データについての管理情報が記録されているとともに、この管理情報には、各楽曲データについて、その一部分を抽出して再生させることができるようにするための抽出再生データが記録されているようにする。
【0006】また、このような抽出再生データが記録されている記録媒体に対応する再生装置として、再生可能状態に収納されている1又は複数の記録媒体のそれぞれから各楽曲データについての抽出再生データを読み出して記憶することができる記憶手段と、プログラム操作に応じて再生すべき楽曲データの順序を設定するとともに、順次再生を行なう各楽曲データについては、記憶手段に記憶された抽出再生データを用いてその一部分のみを再生させることができる再生制御手段とを設けるようにする。
【0007】また、1又は複数の楽曲データが記録された記録媒体に対応する再生装置として、再生可能状態に収納されている1又は複数の記録媒体のそれぞれの各楽曲データについて、その一部分を抽出して再生させることができるようにするための抽出再生データが記憶されている記憶手段と、プログラム操作に応じて再生すべき楽曲データの順序を設定するとともに、順次再生を行なう各楽曲データについては記憶手段に記憶された抽出再生データを用いてその一部分のみを再生させることができる再生制御手段とを設けるようにする。
【0008】
【作用】楽曲データの一部、例えばサビの部分や、3番まである曲の1番のみなどを再生するためには、その部分の再生を行なうためのアドレス情報が必要になる。このアドレス情報(開始アドレスとなるエントリーポイントと、終了アドレスとなるエクジットポイント)を抽出再生データとして記録媒体に記録するようにすれば、それを用いて各楽曲の一部分のみを再生することが可能となる。
【0009】また抽出再生データが記録されていない記録媒体については、例えばチェンジャータイプの再生装置に収納する各ディスクの各楽曲データについての抽出再生データを記憶した記憶手段(例えばROMカード)などを用意すれば、サビなどの一部を再生させることができる。
【0010】このように抽出再生データに基づく再生動作を、指定された複数の楽曲について連続的に行なっていくことにより、メドレー形式の演奏が可能となる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を以下の順序で説明する。
I.記録媒体の実施例II.再生装置の実施例1III.再生装置の実施例2IV.再生装置の実施例3V.各種変形例
【0012】[I.記録媒体の実施例]本発明の記録媒体としては、記録されている楽曲のそれぞれについて、サビなどの一部分を再生するための抽出再生データとして、その開始アドレスとなるエントリーポイントと、終了アドレスとなるエクジットポイントが記録されているものである。ここでは、記録媒体としてビデオCDを例にあげ、管理情報内での抽出再生データが記録されるエリアを説明する。
【0013】ビデオCD規格は、高能率符号化技術として標準化されたMPEG方式を応用し、CD−ROMディスクから60分以上の動画像及び音声を再生することができるようにしたものである。これにより音楽、映画、カラオケなどのソフトウエアとして用いることができる。このビデオCDでは、動画データについてはMPEG方式でデータ圧縮するとともに、この動画データを圧縮したオーディオデータに多重化して記録している。さらに、所定の領域には再生に必要な管理データが記録されている。
【0014】即ち、CD−DAと同様にTOC及びサブコードが記録されてトラック数、各トラックの開始位置(絶対時間)、トラックナンバなどが示されている。さらにビデオCDにはトラック1がビデオCDデータトラックとして用いられ、各種管理情報が記録される。
【0015】ビデオCDのディスク上のトラック構造を図1(a)に示した。ビデオCDでは、CD−DA(通常のCDデジタルオーディオ)と同様に、ディスク最内周側にリードインエリアが設けられ、TOCデータが記録されている。そしてリードインエリアに続いてトラック#1〜トラック#nが記録され、最外周位置にリードアウトエリアが設けられている。
【0016】ここでビデオCDの場合、トラック#1は第1トラックとしての実際の映像又は音声データの記録には用いられておらず、ビデオCDデータトラックとして使用されている。つまり、TOCデータ及びビデオCDデータトラックが、ビデオCDの管理情報として記録されている。トラック#2〜トラック#nには実際の映像/音声データが記録される。従ってカラオケ用のディスクであれば、(n−1)曲の楽曲データが記録されることになる。なお、ビデオCDではトラック数は最大99まで可能となり、従って最大98シーケンス(98曲)が記録できる。シーケンスとは動画の連続した1つの区切りのことであり、例えばカラオケなどの画像が記録されていた場合、1曲(1トラック)が1シーケンスである。
【0017】トラック#1を用いたビデオCDデータトラックには、図1(b)に示すようにPVD(基本ボリューム記述子)、カラオケベーシックインフォメーションエリア、ビデオCDインフォメーションエリア、セグメントプレイアイテムエリア、その他のファイル(CD−Iアプリケーションプログラム等)が用意されている。
【0018】PVDはディスク上の絶対時間アドレス00:02:16(分/秒/フレーム)からの位置に配置される。またカラオケベーシックインフォメーションエリアは絶対時間アドレス00:02:16からの位置に配置される。ビデオCDインフォメーションエリアは絶対時間アドレス00:04:00からの位置に配置される。そして、セグメントプレイアイテムエリアはビデオCDインフォメーションエリア内で示される位置から、またCD−IアプリケーションプログラムなどのファイルはPVD内で示される位置から、それぞれ配置される。
【0019】これらはそれぞれビデオCDの再生動作のための管理情報となるが、特にカラオケ用途のディスクの場合、各楽曲データに関する各種管理情報がカラオケベーシックインフォメーションエリアに記述される。カラオケベーシックインフォメーションエリアには、図2(a)に示すようにグループ0〜グループNまでで構成されるカラオケインフォメーションファイルが記録されている。カラオケインフォメーションファイルは最大128Kバイトのエリアとされる。
【0020】このカラオケインフォメーションファイルにおいてグループ0はディスクアイテムが記録され、グループ1〜グループNにはそれぞれシーケンス#1〜#N(つまり1曲目〜N曲目)についてのシーケンスアイテムが記録される。グループ0〜グループNの各グループは、図2(b)のように構成されている。つまり、アイテムパケット0〜アイテムパケットMが設けられる。そしてアイテムパケット数(M個)は規定されていないため、先頭にグループ長として、アイテムパケット0〜アイテムパケットMまでのバイト数が記録されている。
【0021】各アイテムパケットには、図2(c)のようにアイテムナンバ、アイテム長、テキストデータが記録される。テキストデータは実際のアイテムとしての内容であり、その内容の種別はアイテムナンバ毎に定義されている。またテキストデータエリアのバイト数がアイテム長として記録される。
【0022】アイテムナンバは1バイトで形成され、図2R>2(d)のようにビットb0〜b5の6ビットで、そのアイテムパケットのアイテムナンバが記録される。なおビットb7はラストアイテムフラグとして用いられ、グループ内の最後のアイテムパケットにおいては、ビットb7=『1』とされる。6ビットのアイテムナンバ記録により、0〜63のアイテムナンバが表現されるが、0〜63の各アイテムナンバに対応して、テキストデータとして記録されるデータ内容が定義されている。
【0023】アイテムナンバ0〜7は、ディスクアイテム(グループ0)におけるアイテムパケットに用いられるもので、そのアイテム内容が図3のように定義される。アイテムナンバ0のアイテムパケットにはテキストデータとしてディスクタイトルが記述される。またアイテムナンバ1のアイテムパケットにはテキストデータとしてディスクのカタログナンバが記述される。またアイテムナンバ2のアイテムパケットにはディスクに記録された総シーケンス数(つまり曲数)が記録され、アイテムナンバ3のアイテムパケットにはディスクの内容記述が行なわれる。アイテムナンバ3〜7についてはディスク製作者が設定することができるアイテムナンバとして用意されている。
【0024】一方、アイテムナンバ8〜63は、シーケンス#1アイテム〜シーケンス#Nアイテム(グループ1〜グループN)におけるアイテムパケットに用いられるもので、そこに記録されるテキストデータについて、図4のように定義されている。アイテムナンバ8のアイテムパケットには、その対応するシーケンスのISRCコード(インターナショナル・スタンダード・レコーディング・コード)が記録される。アイテムナンバ9のアイテムパケットには、その対応するシーケンスのタイトル(曲名)が記録される。
【0025】同様に、アイテムナンバが10〜21となる各アイテムパケットには、その対応するシーケンスについての、分類用シーケンスライトル、パフォーマー名、分類用パフォーマー名、ソングライター名、コンポーザー名、アレンジャー名、プレイヤー名、ソングテキストのヘッダパート、ソングテキスト、カラオケキー(調性)、オリジナルキー(調性)、シーケンスの内容記述、が記録される。
【0026】そして、アイテムナンバ22〜31についてはディスク製作者が設定することができるアイテムナンバとして用意されている。本実施例のビデオCDにおいては、このアイテムナンバ22〜31の一部を用いることで、各曲(シーケンス)について、エントリーポイント、エクジットポイントを記録するようにする。つまり、各曲のサビの部分などのみを抽出して再生させるための抽出再生データとなる開始アドレス(エントリーポイント)と終了アドレス(エクジットポイント)を記述する。
【0027】このように抽出再生データを記録しておくことで、再生装置ではこの情報を読み込めば、或る楽曲について通常どおり最初から最後まで再生させるのみでなく、ディスク製作者が設定した、その曲の或る一部分のみを再生させることができる。つまりエントリーポイントに再生ヘッドをアクセスさせて再生を開始するとともに、エクジットポイントに達したら、再生を終了させればよい。なお、一例としてビデオCDについて説明したが、他の種類の記録媒体でもこのような抽出再生データを記録することは可能である。
【0028】[II.再生装置の実施例1]以上のようなビデオCDに対応する再生装置としての実施例を説明する。この再生装置は複数のビデオCDを収納できるチェンジャープレーヤ装置とし、これをカラオケシステムに適用したものとする。
【0029】図4は第1の実施例となるカラオケシステムの概略的な構成のブロック図である。1はチェンジャーユニット、2はコントロールユニットを示す。チェンジャーユニット1とコントロールユニット2は別体で形成されていてもよいし、また一体化されているものでもよい。
【0030】チェンジャーユニット1には多数のディスクを収納できる収納部3a,3bを有する。収納部3a,3bの各ストッカ部(収納棚)にはそれぞれ1枚づつディスク(ビデオCD)を収納することができる。収納部3aの各ストッカ部にはD1 〜Dn のストッカ番号が付されており、これが各ストッカ部に収納されているディスクのディスクナンバとされる。また収納部3bの各ストッカ部にはDn+1〜Dm のストッカ番号が付されており、これが各ストッカ部に収納されているディスクのディスクナンバとされる。つまり、このチェンジャーユニット1にはm枚のディスクが収納できる。収納部はさらに増設することができ、これにより収納可能ディスク枚数を増やすことができる。
【0031】4はローディング機構、5a,5bはプレーヤ部である。ローディング機構4は収納部3a,3bから指定されたディスクナンバのディスクを取り出してプレーヤ部5a又は5bに搬送(ローディング)することができ、プレーヤ部5a又は5bで所要のディスクを再生可能状態とする。またローディング機構4は、プレーヤ部5a又は5bからディスクを取り出し、元のストッカ部に戻す(アンローディング)ことができる。ローディング機構4としては、収納部3a,3bを回転方向に移動させるターンテーブル及び収納部3a又は3bの所要のストッカ部に対向できるエレベータ機構などにより構成できる。
【0032】6は再生信号処理部であり、プレーヤ部5a又は5bによってディスクから読み取られた情報が供給され、所要のデコード処理を行なって音声信号SA 、映像信号SV を出力する。7はチェンジャコントローラであり、ローディング機構4の搬送動作指示、プレーヤ部5a,5bに対する再生動作制御、再生信号処理部6に対するデコードすべき情報の選択制御(プレーヤ部5a,5bのいづれからの情報をデコードして出力するか)などの制御を行なう。
【0033】コントロールユニット2において8はシステム全体を制御するマイクロコンピュータによって構成されているシステムコントローラである。システムコントローラ8は、コントロールユニット2の前面パネルなどに設けられた各種キーによるキー入力部14から入力されるユーザーの操作情報や、ユーザーがリモートコマンダー16を操作した際にリモートコマンダー1からの信号を受信するリモコン受信部15からの操作情報が供給される。
【0034】ユーザーが入力する操作情報としては、主に演奏させたいカラオケ楽曲の予約情報であり、つまり各楽曲に対応して設定されているコードナンバを入力する。また本実施例では後述するようにユーザーが複数の曲を選択して、それらをメドレー演奏させることができるようにしており、このためにキー入力部14やリモートコマンダー16には、ユーザーがメドレー演奏させる複数の楽曲をプログラムする操作キーとしてメドレーキー、及びセット完了を指示する操作キーとしてセットキーが設けられている。
【0035】システムコントローラ8の基本的な制御動作としては、入力されたコードナンバに応じて、収納部3a,3bに収納されているディスクのうちで再生すべきディスクを判別し、そのディスクナンバ及びディスク内でのトラック番号等をチェンジャーコントローラ7に送信する。チェンジャーコントローラ7は、供給されたディスクナンバに応じてローディング機構4を動作させ、そのディスクナンバとされたストッカ部からディスクを取り出してプレーヤ部5a又は5bにローディングさせる。そして、ローディングされたディスクに対してプレーヤ部5a又は5bで、供給されたトラック番号の楽曲の再生動作を実行させる。
【0036】9a,9bはRAMを示す。本実施例ではRAM9aはメドレープログラム設定操作がなされた場合に、順番に演奏させる楽曲ナンバ(=ディスクナンバ及びシーケンスナンバ)を記憶するエリアとして用いられる。またRAM9bは、収納されているm個のディスクからそれぞれ抽出再生情報を読み出して記憶しておくエリアとして用いられる。なお、RAM9bは不揮発性RAMとしたり、もしくは電源バックアップ構成がとられることで、電源オフ時にもデータが消失されないようにすることが好ましい。
【0037】10はオーディオアンプであり、再生信号処理部6から出力された音声信号SA を増幅してスピーカ部12に供給し、カラオケ音声を出力させる。システムコントローラ8は、ユーザーの操作入力などに応じてオーディオアンプ10に対して出力音量調整制御、音程変換制御等を行なう。11はグラフィックコントローラであり、再生信号処理部6から出力された映像信号SV に対してOSD表示用のキャラクタを付加し、もしくはキャラクタ映像は付加せずにスルー出力する。映像信号SV はモニタ装置13において表示出力される。
【0038】このようなカラオケシステムでは、基本的には上記したようにユーザーの選曲操作に応じてカラオケディスクを再生させて、カラオケ音声/映像をスピーカ部12、モニタ装置13から出力するものである。そしてさらに本実施例では、ユーザーのメドレープログラム操作に応じて、複数の楽曲について、それぞれ抽出再生データによって指定された一部のみを、連続的に再生していくことで、ユーザーが指定した複数の曲をメドレー形式でつないで演奏させることができる。
【0039】メドレー演奏を実現するために、まず本実施例では、システムコントローラ8はシステムのセットアップ時などにおいて、収納されている全てのディスクD1〜Dm について抽出再生情報を読み込む。そして、その抽出再生情報をRAM9bに記憶させる。
【0040】即ち、各ディスクについての各楽曲(シーケンス)のエントリーポイントとエクジットポイントとされているアドレスを読み取り、それらをRAM9bにおいて図8のようにディスクナンバ、シーケンスナンバに対応して記憶させる。ビデオCDにおいてエントリーポイント、エクジットポイントとしては、分:秒:フレーム形式による絶対アドレスとして記録されているものとする。一旦、図8のように全ディスクの全楽曲についての抽出再生データを読み込んだ後は、RAM9bが不揮発性メモリもしくは電源バックアップ構成が取られていることにより、各使用時点で取り込む必要はない。
【0041】本実施例においてユーザーがメドレー演奏を実行させたい場合は、キー入力部14もしくはリモートコマンダー16を用いて、まずメドレープログラム操作を行なうことになる。図6はメドレープログラム操作に対応するシステムコントローラ8の処理を示している。
【0042】操作としてユーザーが或る曲を指定するために曲のコードを入力したら、システムコントローラ8は続いてセットキーが押されるか、もしくはメドレーキーが押されるかを監視する(F101,F102,F103)。或る1曲のコードが入力された後、セットキーが押された場合は、通常の演奏曲指定入力であり、ステップF104においてシステムコントローラ8はチェンジャーコントローラ7に対して指令をおくり、その曲を再生させる。
【0043】一方、曲のコードが入力された後、メドレーキーが押された場合は、システムコントローラ8はメドレープログラム操作が実行されると認識する。この場合ステップF103からF105に進んで、まずプログラムナンバとなる変数Pを1にセットする。そして、ステップF101で入力されていた曲のコード(もしくはそのコードに対応するディスクナンバ及びシーケンスナンバ)をプログラムナンバP(P=1)、つまり最初に再生させる曲としてセットする(F106)。
【0044】続いてユーザーの次の曲のコード入力を待つ(F107)。この時点では、セットキーがオンとされたか、曲コードが入力されたかを監視する(F108,F109) 。曲コードが入力されたら、続いてメドレーキーが押されることを待ち(F110)、押された場合は変数Pをインクリメントして(F111)、ステップF106に戻って、入力された曲のコード(もしくはそのコードに対応するディスクナンバ及びシーケンスナンバ)をプログラムナンバP(P=2)、つまり2番めに再生させる曲としてセットする。
【0045】以降同様に曲コードの入力とメドレーキーの操作に応じて順番にプログラムされる曲をセットしていく。そして、セットキーが押された時点(F108)で、メドレープログラム操作は終了と判断し(F112)、ステップF113でメドレー再生動作を開始させる。つまり、ユーザーとしては、曲コードの入力とメドレーキー操作を繰り返して所望の曲を順番に選択していく。そして或る時点でセットキーを押すことでメドレープログラム操作を終了させることになる。
【0046】メドレープログラム操作が終了した時点で、例えばユーザーが7曲を指定したとすると、RAM9aには図9に示すようにプログラムナンバ1〜7としてそれぞれ曲が記憶されていることになる。この図9は指定された曲をディスクナンバとシーケンスナンバにより記憶した例を示したいる。
【0047】システムコントローラ8は、ステップF113に進んだ場合は、プログラムナンバ1から順に各曲を再生させることになるが、この処理は図7に示される。まずプログラムナンバとしての変数Pを1にセットする(F201)。そしてチェンジャーコントローラ7に対してプログラムナンバP(P=1)としてRAM9aに記憶されているディスクナンバを伝え、収納部3a又は3bからプレーヤ部5a又は5bのいづれかにローディングさせる(F202)。
【0048】ここでシステムコントローラ8は図8のように抽出再生データを記憶したRAM9bを参照して、プログラムナンバP(P=1)のディスクナンバ、シーケンスナンバに対応して記憶されているエントリーポイント、エクジットポイントを読み出し、エントリーポイントをET、エクジットポイントをEXとしてセットする(F203)。そしてまずチェンジャーコントローラ7に対してエントリーポイントET、エクジットポイントEXを送信し、ローディングを行なったプレーヤ部5a又は5bにおいて、エントリーポイントETからの再生を実行させる(F204)。
【0049】この時点でプログラム指定された第1曲目について、そのエントリーポイントETで指定された箇所からの再生演奏が開始される。ここでシステムコントローラ8は変数Pをインクリメントし(F205)、変数PがPMAX を越えていなければステップF206からF207に進む。PMAX とは設定されたプログラム数であり、例えば図9のように7曲指定されている場合はPMAX =7である。つまりステップF206では現在演奏している曲がプログラム指定された最後の曲であるか否かを判別している。
【0050】最後の曲ではない場合、つまり次の曲がある場合は、ステップF205で変数Pがインクリメントされた後、システムコントローラ8はステップF207でそのプログラムナンバPとしてRAM9aに記憶されている対応するディスクナンバをチェンジャーコントローラ7伝え、収納部3a又は3bから現在再生動作を行なっていない側のプレーヤ部(5a又は5b)にローディングさせる。プログラムナンバ1の曲が再生されている時点ではP=2とされるため、2曲目の再生準備を行なうことになる。
【0051】そしてシステムコントローラ8は、RAM9bを参照して、プログラムナンバP(P=2)のディスクナンバ、シーケンスナンバに対応して記憶されているエントリーポイント、エクジットポイントを読み出し、エントリーポイントをETN 、エクジットポイントをEXN としてセットする(F208)。
【0052】ステップF209において、システムコントローラ8はチェンジャーコントローラ7を介して現在再生中のプレーヤ部の再生アドレスを監視しており、再生アドレスがその曲のエクジットポイントEXに達したか否かを判別している。エクジットポイントEXに達したら、現在の曲がプログラムの最後の曲でなければ (F210→NO) 、まず次の曲に対応するためにエントリーポイントETN 、エクジットポイントEXN として取り込んでおいた値により、エントリーポイントET、エクジットポイントEXを更新する(F211)。
【0053】そして再生動作中のプレーヤ部に対して再生停止処理を行ない(F212)、続いて非動作中のプレーヤ部、つまりステップF207で次の曲のディスクをローディングしておいた側のプレーヤ部に対して、エントリーポイントETからの再生を開始させる(F213)。これにより、或る曲の一部分(例えばサビのみ)の再生が終了した後、即座に、次の曲の一部分の再生が開始され、メドレーとして良好につながることになる。その後、ステップF205に戻って同様の処理が繰り返されていくことで、メドレープログラムでセットされた各曲について、それぞれのサビ部分などがメドレー形式でつながって順次再生されていくことになる。
【0054】なお、図7には示していないが、連続して指定された曲が同一のディスクに収録されている場合は、その曲の切り換え時点の処理としてはエクジットポイントから次の曲のエントリーポイントまでのトラックジャンプを行なうのみでよいことはいうまでもない。
【0055】メドレープログラム設定による最後のプログラムナンバの曲が再生されている時点では、ステップF206で肯定結果が出てステップF209に進む。そしてその再生中の曲がエクジットポイントに達した時点で、ステップF210で肯定結果が得られ、メドレー演奏を終了させることになる。
【0056】以上のような本実施例の動作では、ユーザーは自分の好きな曲を順番に選んでメドレープログラム操作を行なうことで、それらの各曲の一部、例えばサビ部分などが連続されてメドレー形式で演奏されることになる。つまり自分で選曲したものをメドレー演奏させて歌うことができ、カラオケとして非常に楽しいものとなる。
【0057】ところで図7の処理では、プログラムナンバ1の曲は、エントリーポイントから再生されるため、カラオケ演奏としてはいきなり曲の途中から始まることになる。また、最後のプログラムナンバの曲は、エクジットポイントで再生を終了するため、メドレー演奏が唐突に終ってしまうものとなることが考えられる。そこで、このようなことによる違和感をなくすことができる変形例として図10の処理をあげる。
【0058】この図10の各ステップにおいて図7と同一処理は同一のステップ番号を付しており、説明は省略する。異なる点はステップF204X として示すステップと、ステップF214を加えた点である。
【0059】ステップF204X では、図7のステップF204と異なり、プログラムナンバPの曲について、その曲の最初から再生を開始するようにしている点である。つまり、プログラムされた第1曲目のみは、曲頭から再生される。その1曲目はエクジットポイントに達したら次の曲に進み、次の曲はエントリーポイントからエクジットポイントまで再生されることになる (F213→F205〜F209) 。
【0060】また、メドレープログラムされた最後の曲については、ステップF209でエクジットポイントに達したと判断された後、ステップF214に進んで、その曲が最後まで再生されることが待機される。そして最後まで再生終了した時点で、メドレー演奏が終了される。つまり、この処理例によれば、一曲目はイントロから通常どおり始まるため違和感はなく、また各曲がメドレー演奏された後、最後の曲についてはその曲の最後まで再生されるため、唐突に演奏が終ってしまうことはない。これによってメドレー演奏がより自然なものとなる。
【0061】[III .再生装置の実施例2]次に再生装置としての第2の実施例を説明する。これは上述したように抽出再生データが記録されているビデオCDなどに限らず、抽出再生データが記録されていないディスクについても、同様にメドレー演奏を実行できるようにするものである。この再生装置は第1の実施例と同様に複数のディスクを収納できるチェンジャープレーヤ装置とし、これをカラオケシステムに適用したものとする。ただし、収納するディスクとしては、ビデオCD,CD−DA,レーザディスクなど、各種のディスク状記録媒体に対応するものとして構成できる。
【0062】図11に第2の実施例となるカラオケシステムの概略的な構成のブロック図を示す。ただし、図5と同一部分は同一符合を付し、説明を省略する。第1の実施例と異なる点は、RAM9bを設けず、コントロールユニット2にはROMカードインターフェース部17を設けるものとする。そして、収納部3a,3bに装填するディスクD1 〜Dm については予め固定しておき、各ディスクD1 〜Dm についての抽出再生情報、即ち各ディスクについての各楽曲のエントリーポイントとエクジットポイントを設定して記憶しておいたROMカード18を用意する。つまりROMカード18には図8に示したようなデータが記憶されているものとする。
【0063】使用時には、ROMカード18をROMカードインターフェース部17にセットすればよく、メドレー演奏のための処理としてはシステムコントローラは図6及び図7(又は図10)の処理を実行すればよい。これにより、抽出再生情報が記録された特別なディスクを用いないカラオケシステムとしても、同様にメドレー演奏を行なうことができるようになる。なお、もちろんROMカード18以外に、RAMカードを用いて、収納ディスクの変更に対応できるようにしてもよい。
【0064】[IV.再生装置の実施例3]次に再生装置としての第3の実施例を説明する。この実施例は、上述したビデオCDのように抽出再生データが記録されたディスクを使用するものであるが、コントロールユニット2において比較的大きい容量を要するRAM9bを不要とするものである。つまり、第1の実施例では、RAM9bに全ディスクの全曲に対して図8のように抽出再生データを記憶するものであるため、収納可能なディスク枚数が多いシステムでは、かなり大容量のものが必要となる。そこでこの実施例では、メドレープログラム指定された曲についてのみ、抽出再生データを読み込むようにして、例えばRAM9においてプログラムナンバとともに記憶するようにしている。
【0065】即ち、この実施例においてもユーザーがメドレー演奏を実行させたい場合は、キー入力部14もしくはリモートコマンダー16を用いて、まずメドレープログラム操作を行なうことになるが、このときのシステムコントローラ8の処理は図13に示すようなものとなる。
【0066】図13においてステップF301〜F306の処理は図6のステップF101〜F106の処理と同様である。つまり、ユーザーが或る曲を指定するために曲のコードを入力したら、システムコントローラ8は続いてセットキーが押されるか、もしくはメドレーキーが押されるかを監視る(F301,F302,F303)。或る1曲のコードが入力された後、セットキーが押された場合は、通常の演奏曲指定入力であり、ステップF304においてシステムコントローラ8はチェンジャーコントローラ7に対して指令をおくり、その曲を再生させる。
【0067】一方、曲のコードが入力された後、メドレーキーが押された場合は、システムコントローラ8はメドレープログラム操作が実行されると認識する。この場合プログラムナンバとなる変数Pを1にセットし(F305)、入力されていた曲のコードに対応するディスクナンバ及びシーケンスナンバをプログラムナンバPとしてセットする(F306)。
【0068】ここで本実施例では、システムコントローラ8はその時点でディスクナンバ及びシーケンスナンバをチェンジャーコントローラ7におくり、そのディスクをプレーヤ部5a又は5bにローディングさせて、管理情報を読み込ませる(F307)。そしてシステムコントローラ8は読み込んだ管理情報からその曲に対応するエントリーポイント、エクジットポイントを得、それをプログラムナンバPに対応させてRAM9に記憶させる。以下、ステップF309〜F315までは図6のステップF107〜F313までの処理と同様である。
【0069】この処理によって、メドレープログラム設定が終了した時点では、RAM9には図14に示すようにプログラムナンバに対応して、ディスクナンバとシーケンスナンバ、及びそのエントリーポイントとエクジットポイントが記憶されていることになる。図14は5曲をプログラムした例である。
【0070】このようなメドレープログラム操作が終了した時点で、システムコントローラ8は、ステップF315に進んで、図7又は図10に示した処理を実行することで、第1の実施例と同様のメドレー演奏が実現されることになる。
【0071】[V.各種変形例]以上各種実施例を説明してきたが、本発明はさらに多様な実施態様が考えられる。例えば1曲について、エントリーポイント及びエクジットポイントで指定される部分を複数用意しておいて、ランダムに選択されたり、ユーザーが選択できるようにすることも考えられる。例えば最初のメロディ部分を演奏させるかサビの部分を演奏させるか等を選択可能としてもよい。また、曲の1番、2番、3番などに対応してそれぞれエントリーポイント及びエクジットポイントを設定することも考えられる。またこのようにした場合、図10の例のように最初の曲を曲頭から再生し、最後の曲は最後まで再生するような違和感のないメドレーを実現するために、最初の曲を曲頭から1番のみ再生し、最後の曲は例えば3番迄ある曲なら3番のはじめから曲の最後まで再生するようにしてもよい。
【0072】また、実施例はチェンジャータイプの再生装置としたが、1枚のディスクのみを収納できる再生装置であっても本発明を適用して、選択された各トラック(曲)についてメドレー演奏させるように構成できる。また、カラオケ用途に限定されるものでないことはいうまでもない。例えば通常の音楽再生用途としても、自分なりのメドレー演奏を設定できるものとなり、使用上の楽しさを広げることができる。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、楽曲データの一部、例えばサビの部分や、3番まである曲の1番のみなどを再生するための抽出再生データを用いて指定された楽曲を連続的に再生していくことで、ユーザーが自分の好みに合わせて選んだ曲について、違和感のないメドレー演奏を実現することができ、カラオケや音楽鑑賞用途としての楽しみを大きく広げることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録媒体の実施例となるビデオCDのトラック構造の説明図である。
【図2】実施例の記録媒体のカラオケインフォメーションファイルの説明図である。
【図3】実施例の記録媒体のディスクアイテムの説明図である。
【図4】実施例の記録媒体のシーケンスアイテムの説明図である。
【図5】本発明の第1の実施例のカラオケシステムのブロック図である。
【図6】実施例のメドレープログラム設定処理のフローチャートである。
【図7】実施例のメドレープログラム再生処理のフローチャートである。
【図8】第1、第2の実施例の抽出再生データの記憶状態の説明図である。
【図9】第1、第2の実施例のメドレープログラム設定データの記憶状態の説明図である。
【図10】実施例のメドレープログラム再生処理の変形例のフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施例のカラオケシステムのブロック図である。
【図12】本発明の第3の実施例のカラオケシステムのブロック図である。
【図13】第3の実施例のメドレープログラム設定処理のフローチャートである。
【図14】第3の実施例のメドレープログラム設定データの記憶状態の説明図である。
【符号の説明】
1 チェンジャーユニット
2 コントロールユニット
3a,3b 収納部
4 ローディング機構
5a,5b プレーヤ部
6 再生信号処理部
7 チェンジャーコントローラ
8 システムコントローラ
9,9a,9b RAM
10 オーディオアンプ
11 グラフィックコントローラ
12 スピーカ部
13 モニタ装置
14 キー入力部
15 リモコン受信部
16 リモートコマンダー
17 ROMカードインターフェース部
18 ROMカード
【特許請求の範囲】
【請求項1】 1又は複数の楽曲データと、各楽曲データについての管理情報が記録されているとともに、前記管理情報には、各楽曲データについて、その一部分を抽出して再生させることができるようにするための抽出再生データが記録されていることを特徴とする記録媒体。
【請求項2】 1又は複数の楽曲データと、各楽曲データについての管理情報が記録されているとともに、前記管理情報には、各楽曲データについて、その一部分を抽出して再生させることができるようにするための抽出再生データが記録されている記録媒体に対応する再生装置として、再生可能状態に収納されている1又は複数の記録媒体のそれぞれから各楽曲データについての抽出再生データを読み出して記憶することができる記憶手段と、プログラム操作に応じて再生すべき楽曲データの順序を設定するとともに、順次再生を行なう各楽曲データについては、前記記憶手段に記憶された抽出再生データを用いて、その一部分のみを再生させることができる再生制御手段と、を備えて構成されることを特徴とする再生装置。
【請求項3】 1又は複数の楽曲データが記録された記録媒体に対応する再生装置として、再生可能状態に収納されている1又は複数の記録媒体のそれぞれの各楽曲データについて、その一部分を抽出して再生させることができるようにするための抽出再生データが記憶されている記憶手段と、プログラム操作に応じて再生すべき楽曲データの順序を設定するとともに、順次再生を行なう各楽曲データについては、前記記憶手段に記憶された抽出再生データを用いて、その一部分のみを再生させることができる再生制御手段と、を備えて構成されることを特徴とする再生装置。
【請求項1】 1又は複数の楽曲データと、各楽曲データについての管理情報が記録されているとともに、前記管理情報には、各楽曲データについて、その一部分を抽出して再生させることができるようにするための抽出再生データが記録されていることを特徴とする記録媒体。
【請求項2】 1又は複数の楽曲データと、各楽曲データについての管理情報が記録されているとともに、前記管理情報には、各楽曲データについて、その一部分を抽出して再生させることができるようにするための抽出再生データが記録されている記録媒体に対応する再生装置として、再生可能状態に収納されている1又は複数の記録媒体のそれぞれから各楽曲データについての抽出再生データを読み出して記憶することができる記憶手段と、プログラム操作に応じて再生すべき楽曲データの順序を設定するとともに、順次再生を行なう各楽曲データについては、前記記憶手段に記憶された抽出再生データを用いて、その一部分のみを再生させることができる再生制御手段と、を備えて構成されることを特徴とする再生装置。
【請求項3】 1又は複数の楽曲データが記録された記録媒体に対応する再生装置として、再生可能状態に収納されている1又は複数の記録媒体のそれぞれの各楽曲データについて、その一部分を抽出して再生させることができるようにするための抽出再生データが記憶されている記憶手段と、プログラム操作に応じて再生すべき楽曲データの順序を設定するとともに、順次再生を行なう各楽曲データについては、前記記憶手段に記憶された抽出再生データを用いて、その一部分のみを再生させることができる再生制御手段と、を備えて構成されることを特徴とする再生装置。
【図1】
【図2】
【図9】
【図3】
【図4】
【図5】
【図14】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図10】
【図12】
【図13】
【図2】
【図9】
【図3】
【図4】
【図5】
【図14】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図10】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開平8−147942
【公開日】平成8年(1996)6月7日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−305727
【出願日】平成6年(1994)11月16日
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【公開日】平成8年(1996)6月7日
【国際特許分類】
【出願日】平成6年(1994)11月16日
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
[ Back to top ]