説明

記録媒体

【課題】 特定波長範囲の可視光及び近赤外光を吸収すると共に印刷可能で安価な記録媒体を提供することにある。
【解決手段】 基材101上のホワイトインキの透過率特性が可視光域と比べて近赤外光域の方が低く、ブラックインキの透過率特性が近赤外域と比べて可視光域の方が低いので、ブラックインキの網点を形成してホワイトインキで覆うか、両者を重ねるか、両者で基材101を挟むか、両者を混合することにより透過率特性が掛け合わされてほぼ均一化し、特定波長範囲の可視光及び近赤外光を吸収することができる。ブラックインキ及びホワイトインキは安価なため、安価な記録媒体を得ることができる。記録媒体100への画像や文字等の印刷は平版印刷方式、凸版印刷方式、凹版印刷方式、孔版印刷方式のいずれでも行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定波長範囲の可視光及び近赤外光を吸収すると共に印刷可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
チケットや有価証券等の偽造防止を行うため、光線を照射して得られる吸収波長ピークと反射波長ピークとが異なる波長域にある2種類のインキを隣接して印刷する複写防止印刷物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3529079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した従来技術のように複写防止印刷物として光の特性を利用したものが多く用いられている。特定の波長において一定の透過率を有する媒体を偽造防止目的で使用する場合、フタロシアニン系化合物等の化合物をインキの成分として使用することが考えられるが、フタロシアニン系化合物は1g当たり数万円(平成16年現在)と非常に高価であるため、同等の特性を持つ安価な記録媒体が望まれていた。
そこで、本発明の目的は、特定波長範囲の可視光及び近赤外光を吸収すると共に印刷可能で安価な記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、600〜1000nmの光の透過率が60%以上である基材と、前記基材上にブラックインキからなるブラックインキ層と、前記基材上に前記ブラックインキ層を覆うように形成されたホワイトインキからなるホワイトインキ層とからなり、3層が重なる部分の600〜1000nmにおける光の透過率が20〜50%となることを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明は、600〜1000nmの光の透過率が60%以上である基材と、前記基材上にホワイトインキからなるホワイトインキ層と、前記ホワイトインキ層を形成した面と反対の基材面にブラックインキからなるブラックインキ層とからなり、3層が重なる部分の600〜1000nmにおける光の透過率が20〜50%となることを特徴とする。
【0006】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記ブラックインキはカーボンブラックを含むことを特徴とする。
【0007】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明において、前記ブラックインキ層は網点により形成されたことを特徴とする。
【0008】
請求項5記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記ブラックインキ層の網点面積率が5〜25%で形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の発明において、前記ブラックインキ層は特定の領域内にのみ形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項7記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の発明において、前記ブラックインキ層は特定の領域内外に形成され、前記領域外の600〜1000nmの光の透過率が0〜20%または50〜100%となることを特徴とする。
【0011】
請求項8記載の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の発明において、前記ホワイトインキは酸化チタンを含むことを特徴とする。
【0012】
請求項9記載の発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載の発明において、前記ホワイトインキはベタ印刷もしくはコーティングにより設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項10記載の発明は、600〜1000nmの光の透過率が60%以上である基材と、前記基材上に形成したブラックインキとホワイトインキとの混合インキからなる混合インキ層とからなり、2層が重なる部分の600〜1000nmにおける光の透過率が20〜50%となることを特徴とする。
【0014】
請求項11記載の発明は、請求項1から10のいずれか1項に記載の発明において、前記ホワイトインキ層もしくは混合インキ層の上に透明な保護層を形成したことを特徴とする。
【0015】
ここで、請求項1記載の発明によれば、基材上のホワイトインキの透過率特性が可視光域と比べて近赤外光域の方が低く、ブラックインキの透過率特性が近赤外域と比べて可視光域の方が低いので、ブラックインキをホワイトインキで覆うことにより透過率特性が掛け合わされてほぼ均一化し、特定波長範囲(例えば、600nm〜1000nm)の可視光及び近赤外光を吸収することができる。すなわち透過率20%〜50%となる記録媒体を得ることができる。基材、ブラックインキ及びホワイトインキは安価(数円/g)なため、安価な記録媒体を得ることができる。また、ホワイトインキ及びブラックインキの量や厚さ(数μm程度)を調整することにより、記録媒体の可視光域及び近赤外光域を含む全体の透過率特性を変化させることができる。さらに、記録媒体に検査用の光を透過させて得られる透過光に基づいて、記録媒体の偽造防止ための検査を行うことができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、基材上のホワイトインキの透過率特性が可視光域と比べて近赤外光域の方が低く、ブラックインキの透過率特性が近赤外域と比べて可視光域の方が低いので、ホワイトインキとブラックインキとで基材を挟むことにより透過率特性が掛け合わされてほぼ均一化し、特定波長範囲(例えば、600nm〜1000nm)の可視光及び近赤外光を吸収することができる。すなわち透過率20%〜50%となる記録媒体を得ることができる。基材、ブラックインキ及びホワイトインキは安価(数円/g)なため、安価な記録媒体を得ることができる。また、ホワイトインキ及びブラックインキの量や厚さ(数μm程度)を調整することにより、記録媒体の可視光域及び近赤外光域を含む全体の透過率特性を変化させることができる。さらに、記録媒体に検査用の光を透過させて得られる透過光に基づいて、記録媒体の偽造防止ための検査を行うことができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、ブラックインキがカーボンブラックを含むので、特定波長範囲(例えば、600nm〜1000nm)の可視光及び近赤外光を吸収することができる。すなわち透過率20%〜50%となる記録媒体を得ることができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、ブラックインキ層が網点により形成されることにより、ブラックインキの使用量を削減することができる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、ブラックインキ層の網点面積率が5〜25%で記録媒体が形成されていることにより、特定波長範囲(例えば、600nm〜1000nm)の可視光及び近赤外光における透過率が20〜50%となる記録媒体を効果的に得ることができる。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、ブラックインキ層が特定の領域内にのみ形成されていることにより、特定の領域のみ検査することで検査効率が向上する。
【0021】
請求項7記載の発明によれば、ブラックインキ層が特定の領域内外に形成され、特定領域外の透過率が所定の範囲(20〜50%)外となるようにすることにより、特定の領域以外の領域をも記録媒体の偽造防止のための検査領域とすることができる。
【0022】
請求項8記載の発明によれば、ホワイトインキが酸化チタンを含むことにより、特定波長範囲(例えば、600nm〜1000nm)の可視光及び近赤外光を効率的に吸収することができる。すなわち透過率20%〜50%となる記録媒体を得ることができる。
【0023】
請求項9記載の発明によれば、ホワイトインキがベタ印刷もしくはコーティングにより設けられていることにより、印刷面を記録媒体全面とすることができる。
【0024】
請求項10記載の発明によれば、基材上のホワイトインキの透過率特性が可視光域と比べて近赤外光域の方が低く、ブラックインキの透過率特性が近赤外域と比べて可視光域の方が低いので、ブラックインキ及びホワイトインキを混合することにより透過率特性が掛け合わされてほぼ均一化し、特定波長範囲の可視光及び近赤外光を吸収することができる。ブラックインキ及びホワイトインキは安価なため、安価な記録媒体を得ることができる。さらに、記録媒体に検査用の光を透過させて得られる透過光に基づいて、記録媒体の偽造防止ための検査を行うことができる。
【0025】
請求項11記載の発明によれば、ホワイトインキ層もしくは混合インキ層の上に透明な保護層を形成することにより、記録媒体がキズ、摩耗、汚れから防止される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、基材上のホワイトインキの透過率特性が可視光域と比べて近赤外光域の方が低く、ブラックインキの透過率特性が近赤外域と比べて可視光域の方が低いので、ブラックインキの網点を形成してホワイトインキで覆うか、両者を重ねるか、両者で基材を挟むか、両者を混合することにより透過率特性が掛け合わされてほぼ均一化し、特定波長範囲の可視光及び近赤外光を吸収することができる。基材、ブラックインキ及びホワイトインキは安価なため、安価な記録媒体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明にかかる記録媒体の一実施の形態は、600〜1000nmの光の透過率が60%以上である基材(例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の透明樹脂、ガラス、紙であって透過率が60%以上)と、基材上にブラックインキ(カーボン含有インキ)からなるブラックインキ層と、基材上にブラックインキ層を覆うように形成されたホワイトインキ(酸化チタン含有)からなるホワイトインキ層とからなり、3層が重なる部分の600〜1000nmにおける光の透過率が20〜50%となることを特徴とする。
【0028】
また、本発明にかかる記録媒体の他の実施の形態は、600〜1000nmの光の透過率が60%以上である基材と、基材上にホワイトインキからなるホワイトインキ層と、ホワイトインキ層を形成した面と反対の基材面にブラックインキからなるブラックインキ層とからなり、3層が重なる部分の600〜1000nmにおける光の透過率が20〜50%となることを特徴とする。
ブラックインキはカーボンブラックを含むのが好ましい。また、ブラックインキ層は網点により形成されていてもよい。ブラックインキ層の網点面積率は5〜25%で形成されていることが好ましい。ブラックインキ層は特定の領域内にのみ形成されていてもよい。ブラックインキ層は特定の領域内外に形成され、領域外の600〜1000nmの光の透過率が0〜20%または50〜100%となるのが好ましい。ホワイトインキは酸化チタンを含むのが好ましい。ホワイトインキはベタ印刷もしくはコーティングにより設けられているのが好ましい。
【0029】
本発明にかかる記録媒体の他の実施の形態は、600〜1000nmの光の透過率が60%以上である基材と、基材上に形成したブラックインキとホワイトインキとの混合インキからなる混合インキ層とからなり、2層が重なる部分の600〜1000nmにおける光の透過率が20〜50%となることを特徴とする。
ホワイトインキ層もしくは混合インキ層の上に透明な保護層を形成するのが好ましい。
【0030】
本実施の形態によれば、基材上のホワイトインキの透過率特性が可視光域と比べて近赤外光域の方が低く、ブラックインキの透過率特性が近赤外域と比べて可視光域の方が低いので、ブラックインキの網点を形成してホワイトインキで覆うか、両者を重ねるか、両者で基材を挟むか、両者を混合することにより透過率特性が掛け合わされてほぼ均一化し、特定波長範囲の可視光及び近赤外光を吸収することができる。基材、ブラックインキ及びホワイトインキは安価なため、安価な記録媒体を得ることができる。また、記録媒体への画像や文字等の印刷は平版印刷方式、凸版印刷方式、凹版印刷方式、孔版印刷方式のいずれでも行うことができる。
【0031】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されず、記録媒体の製造方法であってもよい。
すなわち、本発明にかかる記録媒体の製造方法は、特定波長範囲の可視光及び近赤外光を吸収すると共に印刷可能な記録媒体の製造方法であって、可視光及び近赤外光の特定波長範囲での透過率が所定の値(60%)以上である基材を準備する工程と、基材上にブラックインキからなる複数の網点を形成する工程と、基材上に網点を覆うようにホワイトインキからなる印刷可能なホワイトインキ層を形成する工程とを備えていてもよい。
【0032】
また、本発明にかかる記録媒体の製造方法は、特定波長範囲の可視光及び近赤外光を吸収すると共に印刷可能な記録媒体の製造方法において、可視光及び近赤外光の特定波長範囲での透過率が所定の値(60%)以上である基材を準備する工程と、基材上にブラックインキからなるブラックインキ層を形成する工程と、ブラックインキ層の上にホワイトインキからなる印刷可能なホワイトインキ層を形成する工程とを備えていてもよい。
【0033】
さらに本発明にかかる記録媒体の製造方法は、特定波長範囲の可視光及び近赤外光を吸収すると共に印刷可能な記録媒体の製造方法において、可視光及び近赤外光の特定波長範囲での透過率が所定の値(60%)以上である基材を準備する工程と、基材上に、ブラックインキ及びホワイトインキの混合インキからなる印刷可能な混合インキ層を形成する工程とを備えていてもよい。
【0034】
また、本発明にかかる記録媒体の製造方法は、特定波長範囲の可視光及び近赤外光を吸収すると共に印刷可能な記録媒体の製造方法において、可視光及び近赤外光の特定波長範囲での透過率が所定の値(60%)以上である基材を準備する工程と、基材上にブラックインキからなるブラックインキ層を形成する工程と、ブラックインキ層とは反対の基材面上にホワイトインキからなる印刷可能なホワイトインキ層を形成する工程とを備えていてもよい。
【実施例】
【0035】
〔実施例1〕
図1は本発明にかかる記録媒体の第1の実施例を示す断面図である。尚、本発明は、各実施例に示す数値により限定されるものではない。
同図に示す記録媒体100は、特定波長範囲の可視光(例えば波長660nm)及び近赤外光(例えば960nm)を吸収すると共に印刷可能な記録媒体であって、波長660nmの可視光及び波長960nmの近赤外光の透過率が所定の値(例えば60%)以上である基材101と、基材101上に形成されブラックインキからなる複数(図では10個であるが限定されない。)の網点104と、基材101上に網点104を覆うように形成されホワイトインキからなる印刷可能なホワイトインキ層103と、ホワイトインキ層103を覆う透明な保護層105とを備えたものである。
【0036】
領域107は網点104が形成された特定の領域を示しホワイトインキ103で覆われている。領域108はホワイトインキ103のみの領域を示す。
基材101としては透明PET(ポリエチレンテレフタレート)を用い、ブラックインキとしてはFDOニューコンク墨(東洋インキ製)を用い網点印刷とし、ホワイトインキとしてはFDOニューコンク白(東洋インキ製)を用いてベタ印刷とした。網点の条件は175線10%とした(175線10%とは2.54cm(1インチ)あたり縦横それぞれ175本の線で分割した正方形の領域の10%を意味する)。
記録媒体100に対し、波長600nm〜1000nmにおいて分光透過率測定を行ったところ透過率はほぼ27%〜39%の範囲でほぼ一定であった。このため、本記録媒体100を用いて複写防止印刷物を得ることができる。
【0037】
〔実施例2〕
実施例1と同様の記録媒体を形成した(図面については図1と同様のため省略した)。但し、基材としては透明PET(ポリエチレンテレフタレート)を用い、ブラックインキとしてはFDOニューコンク墨(東洋インキ製)を用いて網点印刷とし、ホワイトインキとしてはFDOニューコンク白(東洋インキ製)を用いてベタ印刷とした。網点の条件は175線20%とした。
記録媒体100に対し波長600nm〜1000nmにおいて分光透過率測定を行ったところ透過率はほぼ20%〜35%の範囲でほぼ一定であった。このため、本記録媒体を用いて複写防止印刷物を得ることができる。
【0038】
〔比較例1〕
実施例1と同様の基材101を用い、基材101上に網点層のみ形成した記録媒体に分光透過率測定を行った。網点の条件は175線20%とした。
この記録媒体に対し波長600nm〜1000nmにおいて分光透過率測定を行ったところ透過率は全域にわたって50%以上となるため、本記録媒体を用いて複写防止印刷物を得ることができない。
【0039】
〔比較例2〕
実施例1と同様の基材101を用い、基材101上に網点層のみ形成した記録媒体に分光透過率測定を行った。網点の条件は175線40%とした。
この記録媒体に対し波長600nm〜1000nmにおいて分光透過率測定を行ったところ透過率は全域にわたって50%以上となるため、本記録媒体を用いて複写防止印刷物を得ることができない。
【0040】
〔比較例3〕
実施例1と同様の基材101を用い、基材101上にブラックインキのみベタ印刷したブラックインキ層を形成した記録媒体に分光透過率測定を行った。
この記録媒体に対し波長700nm〜1000nmにおいて分光透過率測定を行ったところ透過率は波長700nm以上では透過率が20%〜50%の範囲でほぼ一定であったが波長700nm以下では透過率が20%以下となるため、本記録媒体を用いて複写防止印刷物を得ることができない。
【0041】
〔比較例4〕
実施例1と同様の基材101を用い、基材101上にホワイトインキからなる網点のみ形成した記録媒体に分光透過率測定を行った。網点の条件は175線40%とした。
この記録媒体に対し波長600nm〜1000nmにおいて分光透過率測定を行ったところ透過率は全域にわたって50%以上となるため、本記録媒体を用いて複写防止印刷物を得ることができない。
【0042】
〔比較例5〕
実施例1と同様の基材101を用い、基材101上にホワイトインキのみベタ印刷したホワイト層を形成した記録媒体に分光透過率測定を行った。
この記録媒体に対し波長600nm〜1000nmにおいて分光透過率測定を行ったところ、600〜800nmでは透過率は20〜50%の範囲内であるが、800nm以上では透過率は50%以上となるため、本記録媒体を用いて複写防止印刷物を得ることができない。
【0043】
本発明の実施例1、2、比較例1から比較例5についての分光透過率測定の結果を図7に示す。図7において横軸は波長を示し、縦軸は透過率を示す。
同図において、L1は実施例1を示し、L2は実施例2を示し、L3は比較例1を示し、L4は比較例2を示し、L5は比較例3を示し、L6は比較例4を示し、L7は比較例5を示す。
同図より、波長800〜1000nmにおいて比較例3(L5)は波長域800〜1000nmでは透過率が50%以下であるので、本発明の要件(透過率50%以下)を満たすものの750nm以下の波長域では透過率が20%以下となる。これに対して実施例1(L1)及び実施例2(L2)は全域(600〜1000nm)において透過率が20〜40%であり、本発明の要件を十分に満足する。
次に本発明にかかる記録媒体の他の実施例を示す。
【0044】
〔実施例3〕
図2は本発明にかかる記録媒体の第3の実施例を示す断面図である。
図2に示した記録媒体200と図1に示した記録媒体100との相違点は、網点104が特定の領域203だけでなく、特定の領域203以外の領域202、204にも網点201が形成されている点である。特定の領域203以外の領域202、204の透過率が所定の範囲(20〜50%)外となるような網点面積率を有することを特徴とする。
このような記録媒体200においても図1に示した記録媒体100と同様の効果が得られ、特定の領域203以外の領域202、204をも記録媒体の偽造防止のための検査領域とすることができる。
【0045】
〔実施例4〕
図3は本発明にかかる記録媒体の第4の実施例を示す断面図である。
図3に示した記録媒体300と図1に示した記録媒体100との相違点は、基材101の特定領域303にブラックインキからなるブラックインキ層301が形成されている点である。基材101がブラックインキ層301ごとホワイトインキで覆われている。ホワイトインキ層103は保護層105で覆われている。
このような記録媒体300も図1に示した記録媒体100と同様な効果が得られる。
【0046】
〔実施例5〕
図4は本発明にかかる記録媒体の第5の実施例を示す断面図である。
図4に示した記録媒体400と図1に示した記録媒体100との相違点は、基材101の特定領域303にホワイトインキ及びブラックインキが混合した混合インキ層401が形成されている点である。基材101が混合インキ層401ごと保護層105で覆われている。
このような記録媒体400も図1に示した記録媒体100と同様な効果が得られる。
【0047】
〔実施例6〕
図5は本発明にかかる記録媒体の第6の実施例を示す断面図である。
図5に示した記録媒体500と図4に示した記録媒体400との相違点は、混合インキ層401がホワイトインキで覆われている点である。
ホワイトインキ層103は保護層105で覆われている。
このような記録媒体500も図4に示した記録媒体400と同様な効果が得られる。
【0048】
〔実施例7〕
図6は本発明にかかる記録媒体の第7の実施例を示す断面図である。
図6に示した記録媒体600と図3に示した記録媒体300との相違点は、ホワイトインキ層103とブラックインキ層301とで基材101を挟んだ点である。
すなわち、本記録媒体600は、600〜1000nmの光の透過率が60%以上である基材101と、基材101上(図では上側)にホワイトインキからなるホワイトインキ層101と、ホワイトインキ層101を形成した面と反対の基材面(この場合下側)にブラックインキからなるブラックインキ層301とからなり、3層が重なる部分(特定領域603)の600〜1000nmにおける光の透過率が20〜50%となることを特徴とする。
このような記録媒体600も図3に示した記録媒体300と同様な効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明はチケットや有価証券等の偽造防止に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明にかかる記録媒体の第1の実施例を示す断面図である。
【図2】本発明にかかる記録媒体の第3の実施例を示す断面図である。
【図3】本発明にかかる記録媒体の第4の実施例を示す断面図である。
【図4】本発明にかかる記録媒体の第5の実施例を示す断面図である。
【図5】本発明にかかる記録媒体の第6の実施例を示す断面図である。
【図6】本発明にかかる記録媒体の第7の実施例を示す断面図である。
【図7】本発明の実施例1、2、比較例1から比較例5についての分光透過率測定の結果を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
100 記録媒体
101 基材
103 ホワイトインキ層
104 網点
105 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
600〜1000nmの光の透過率が60%以上である基材と、前記基材上にブラックインキからなるブラックインキ層と、前記基材上に前記ブラックインキ層を覆うように形成されたホワイトインキからなるホワイトインキ層とからなり、3層が重なる部分の600〜1000nmにおける光の透過率が20〜50%となることを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
600〜1000nmの光の透過率が60%以上である基材と、前記基材上にホワイトインキからなるホワイトインキ層と、前記ホワイトインキ層を形成した面と反対の基材面にブラックインキからなるブラックインキ層とからなり、3層が重なる部分の600〜1000nmにおける光の透過率が20〜50%となることを特徴とする記録媒体。
【請求項3】
前記ブラックインキはカーボンブラックを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の記録媒体。
【請求項4】
前記ブラックインキ層は網点により形成されたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項5】
前記ブラックインキ層の網点面積率が5〜25%で形成されていることを特徴とする請求項4に記載の記録媒体。
【請求項6】
前記ブラックインキ層は特定の領域内にのみ形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項7】
前記ブラックインキ層は特定の領域内外に形成され、前記領域外の600〜1000nmの光の透過率が0〜20%または50〜100%となることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項8】
前記ホワイトインキは酸化チタンを含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項9】
前記ホワイトインキはベタ印刷もしくはコーティングにより設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項10】
600〜1000nmの光の透過率が60%以上である基材と、前記基材上に形成したブラックインキとホワイトインキとの混合インキからなる混合インキ層とからなり、2層が重なる部分の600〜1000nmにおける光の透過率が20〜50%となることを特徴とする記録媒体。
【請求項11】
前記ホワイトインキ層もしくは混合インキ層の上に透明な保護層を形成したことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−95968(P2006−95968A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−287000(P2004−287000)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】