説明

記録媒体

【課題】 白モヤの発生を低減し、視認性の低下を抑制した、カタログや本等の冊子状の印刷物やプリントオンデマンドに適した記録媒体の提供。
【解決手段】 支持体の少なくとも一方の面に、アルミナ水和物及びバインダーを含む塗工液を塗工後、乾燥することによって得られるインク受容層を有する記録媒体であって、前記塗工液中のアルミナ水和物の平均粒子径が100nm以上250nm以下であり、前記インク受容層表面のJIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さRaが0.8μm以上2.5μm以下であり、前記インク受容層表面のJIS Z 8741に規定される60度の鏡面光沢度が10.0%以下であることを特徴とする記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体として、顔料粒子とバインダーとを含む多孔質のインク受容層を有する記録媒体が知られている。
【0003】
近年では、インク受容層を有する記録媒体に係わる種々の物性を制御することで、より高画質な記録媒体を提供することが検討されている。
【0004】
特許文献1には、インク受容層の表面の粗さを比較的滑らかにする、具体的には、インク受容層の中心線平均粗さを0.3μm以上0.8μm未満とする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−103103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者等が検討したところ、特許文献1に記載の記録媒体のように、インク受容層の表面の粗さを比較的滑らかにした記録媒体では、以下に示す課題が生じることがわかった。
【0007】
記録媒体にインクを付与して得られる複数の印刷物を、印刷物のインクが付与された領域同士、即ちインクが付与された受容層同士が接触するように保存した際に、一方の印刷物の画像の一部が白味掛かる場合があった(以下、画像に白味が掛かる現象を白モヤともいう)。特に、記録媒体の両面にインクが付与された印刷物をカタログや本等の冊子状の印刷物として用いる場合、冊子を閉じた際には上記したようにインク受容層同士が接触してしまうため、白モヤが一層生じやすくなってしまうことがわかった。
【0008】
また、印刷物をカタログやプリントオンデマンドに用いる場合には、印刷物は机上に広げられたり、室内展示されたりするため、様々な角度から来る光に晒される。このように、印刷物のインク受容層に対する入射角の異なる光源が複数存在すると、光の乱反射が生じ、画像の視認性が低下しやすくなってしまう場合があった。
【0009】
本発明は、上記した従来技術の課題を鑑みてなされたものである。即ち、本発明は、複数の記録媒体のインク受容層同士が接触した際に生じる白モヤの発生を低減し、記録媒体に形成された画像の視認性の低下を抑制した記録媒体を提供することを目的とする。また、本発明は、カタログや本等の冊子状の印刷物や、プリントオンデマンドに適した記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、支持体の少なくとも一方の面に、アルミナ水和物及びバインダーを含む塗工液を塗工後、乾燥することによって得られるインク受容層を有する記録媒体であって、前記塗工液中のアルミナ水和物の平均粒子径が100nm以上250nm以下であり、前記インク受容層表面のJIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さRaが0.8μm以上2.5μm以下であり、前記インク受容層表面のJIS Z 8741に規定される60度の鏡面光沢度が10.0%以下であることを特徴とする記録媒体である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像の視認性の低下を抑制し、複数の記録媒体のインク受容層同士が接触した際に生じる白モヤの発生を低減した記録媒体を提供することができる。また、カタログや本等の冊子状の印刷物や、プリントオンデマンドに適した記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者等はまず、白モヤの発生を低減することを試みた。白モヤは、複数の印刷物の印刷面を重ねた際に、印刷物を形成する際に用いたインクに含まれる水及び水溶性有機溶剤が移動するために生じる現象であると推測される。具体的には、以下に示す原理によって生じる現象であると推測される。2つの印刷物の画像が形成されている部分同士を接触させると、一方の印刷物中の水及び水溶性有機溶剤が他方の印刷物中に移動し、それぞれの印刷物中の水及び水溶性有機溶剤の含有量が局所的に変化する。その結果、インク受容層の水及び有機溶剤の含有量が変化した部分とそうでない部分との間にヘイズ差が生じ、白モヤが発生する。特に、本発明の記録媒体を、水や水溶性有機溶剤を含むインクをインクジェット方式によって付与するインクジェット記録媒体として用いた場合、白モヤがより発生しやすい。
【0013】
そのため、本発明者等は、白モヤの発生を低減するために、インク受容層の表面を粗くし、記録媒体を重ねた際のインク受容層同士の接触面積を低減しようと試みた。しかしながら、インク受容層同士の接触面積を低減しようとすると、即ち、インク受容層の表面の凹凸を大きくしてインク受容層の表面を粗くしようとすると、インク受容層表面での光の散乱が顕著なものとなり、画像の視認性が低下してしまった。一方、光の散乱を低減するためにインク受容層の表面の凹凸を小さくした場合には、インク受容層の接触面積が大きくなるため、上述した白モヤの発生を十分に低減できなくなってしまう。このように、白モヤの発生の低減と、視認性の低下の抑制とは、トレードオフの関係にある。
【0014】
本発明者等は検討の結果、インク受容層表面のJIS B 0601:2001に規定される算術平均粗さRa、JIS Z 8741に規定される60度の鏡面光沢度、無機顔料の種類及び無機顔料の平均粒子径に着目し、これらを極めて厳密に制御することで、白モヤの発生の低減と、視認性の低下の抑制とを同時に満足できることを見出した。
【0015】
まず、インク受容層表面の状態を表すパラメータである、算術平均粗さRa及び60度の鏡面光沢度について説明する。
【0016】
<算術平均粗さ>
本発明の記録媒体は、支持体の少なくとも片面にインク受容層を有する。本発明においては、インク受容層を支持体の両面に設けることが好ましい。支持体両面にインク受容層を用いることで、カタログや本等の冊子状の印刷物により好適な記録媒体が得られる。
【0017】
また、本発明の記録媒体は、インク受容層表面のJIS B 0601:2001に規定される算術平均粗さRaが0.8μm以上2.5μm以下である。Raを0.8μm以上とすることで、印刷後にインク受容層同士が接触した場合でも、インク受容層同士の接触面積を低減することができる。そのため、インク受容層同士の間で生じるインク中の水分及び水溶性有機溶剤の移動を低減することができ、白モヤの発生を低減することができる。また、Raを2.5μm以下とすることで、カタログやプリントオンデマンド用途に極めて好適な粗さの表面を有する記録媒体が得られる。インク受容層表面の算術平均粗さRaは1.1μm以上2.5μm以下であることが好ましい。
【0018】
<60度の鏡面光沢度>
また、本発明の記録媒体は、インク受容層表面のJIS Z 8741に規定される60度の鏡面光沢度が10.0%以下である。本発明が規定する算術平均粗さRaの範囲を満たすインク受容層は、比較的粗い表面を有するため、光の乱反射が生じやすく、記録媒体に形成された画像の視認性が低下しやすい。本発明においては、60度の鏡面光沢度を10.0%以下とすることで、視認性の低下を効果的に抑制することができる。
【0019】
本発明において、インク受容層の60度の鏡面光沢度を10.0%以下とすることで、視認性の低下を抑制できたのは、以下に示す理由によるものと推測される。60度の鏡面光沢度とは、記録媒体に入射する光量に対する記録媒体が反射する光量の割合である。そのため、インク受容層表面の60度の鏡面光沢度を10.0%以下にすると、記録媒体が反射する光の量を引き下げることができる。乱反射する光とは、記録媒体が反射する光の量の一部であるため、視認性に影響を与えていた乱反射する光の量を低減することができ、視認性の低下を抑制することができる。本発明において60度の鏡面光沢度は9.0%以下であることが好ましい。本発明においてインク受容層の60度の鏡面光沢度の下限値は特に限定されないが、記録媒体を製造する際の容易性の観点から、3.0%以上であることが好ましい。
【0020】
次に、本発明の記録媒体に用いることのできる好適な材料について、以下、詳細に述べる。
【0021】
[インク受容層]
(アルミナ水和物)
本発明の記録媒体は、アルミナ水和物を含むインク受容層を有する。詳細な理由は不明であるが、アルミナ水和物を含むインク受容層を用いることで、白モヤを効果的に低減することができる。アルミナ水和物としては、例えば、下記一般式(X)により表されるものを好適に利用できる。
Al3−n(OH)2n・mHO・・・・(X)
(上記式中、nは0、1、2または3のいずれかを表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の範囲にある値を表す。但し、mとnは同時に0にはならない。mHOは、多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数または整数でない値をとることができる。また、この種の材料を加熱するとmは0の値に達することがあり得る)。
【0022】
アルミナ水和物は、熱処理する温度に応じて、非晶質、キブサイト型、ベーマイト型の結晶構造をとるが、本発明においては、何れの結晶構造のものも用いることができる。アルミナ水和物の結晶構造は、X線回折法による分析で特定することができる。本発明においては、ベーマイト構造または非晶質を示すアルミナ水和物を用いることが好ましい。ベーマイト構造または非晶質を示すアルミナ水和物としては、具体的には、特開平7−232473号公報、特開平8−132731号公報、特開平9−66664号公報、特開平9−76628号公報等に記載されたアルミナ水和物が挙げられる。
【0023】
本発明においては、後述するように、記録媒体を製造する際にアルミナ水和物及びバインダーを含む塗工液を用いる。また、塗工液に含まれるアルミナ水和物の平均粒子径は100nm以上250nm以下である。アルミナ水和物の平均粒子径を100nm以上とすることで、視認性の低下を抑制することができ、250nm以下とすることで、白モヤの発生を低減することができる。アルミナ水和物の平均粒子径は140nm以上200nm以下であることが好ましい。上記好ましい範囲とすることで、視認性の低下をより効果的に抑制することができる。
【0024】
本発明において、平均粒子径とは、動的光散乱法によって測定され、キュムラント法を用いた解析から求めることができる。動的光散乱法は異なる粒径を持つ微粒子が混在している場合、散乱光からの時間相関関数の減衰に分布を有する。この時間相関関数をキュムラント法を用いて解析することで、減衰速度の平均(<Γ>)と分散(μ)を求めることができる。減衰速度(Γ)は粒子の拡散係数と散乱ベクトルの関数で表されるため、ストークス−アインシュタイン式を用いて、流体力学的な平均粒子径を求めることができる。具体的には、本発明の平均粒子径は、例えば、ゼータ電位・粒径測定システム ELS Z−2(大塚電子株式会社製)等を用いて測定することができる。
【0025】
なお、アルミナ水和物及びバインダーを含む塗工液を得る方法として、アルミナ水和物を含むコロイダルゾルに、バインダーを添加する方法が挙げられる。この場合、原料のコロイダルゾル中のアルミナ水和物の平均粒子径を、塗工液中のアルミナ水和物の平均粒子径として用いてもよい。バインダーを添加する前と後とでは、アルミナ水和物の平均粒子径は変化しないが、上記方法を用いて塗工液を作製すると、アルミナ水和物にバインダーを添加することで塗工液の粘度が上昇し、平均粒子径を測定するのが困難になる場合があるためである。
【0026】
(その他の無機顔料)
本発明においては、インク受容層にアルミナ水和物以外の無機顔料が含まれていてもよい。アルミナ水和物以外の無機顔料としては、具体的には、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、湿式及び乾式シリカゾル等の白色顔料が挙げられる。
【0027】
アルミナ水和物と、アルミナ水和物以外の無機顔料とを共に用いる場合、インク受容層中の無機顔料全質量に対するアルミナ水和物の量は、30質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。
【0028】
(バインダー)
本発明のインク受容層はバインダーを含む。バインダーとしては、具体的には、ポリビニルアルコール(以下、PVAともいう)、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役重合体ラテックス、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体または共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等が挙げられる。上記バインダーは、単独で、または複数種を混合して用いることができる。
【0029】
本発明においては、バインダーとしてPVAを用いることが好ましい。PVAとしては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のPVAを好適に用いることができるが、末端をカチオン変性したPVAや、アニオン性基を有するアニオン変性PVA等の変性PVAを用いてもよい。PVAの平均重合度は1500以上5000以下であることが好ましい。また、ケン化度は70以上100以下であることが好ましい。バインダーの量は、インク受容層中のアルミナ水和物に対し5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、8質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
【0030】
(架橋剤)
架橋剤としては特に限定されないが、バインダーとしてPVAを用いる場合、PVAと架橋反応を起こし、PVAを硬化できるものであることが好ましい。バインダーとしてPVAを用いる場合の架橋剤としては、具体的には、オルトホウ酸(HBO)、メタホウ酸や次ホウ酸等のホウ酸化合物が挙げられるが、塗工液の経時安定性を向上させ、インク受容層のクラックの発生を抑制するという観点からは、オルトホウ酸を用いることが好ましい。
【0031】
ホウ酸化合物は、インク受容層中のPVAに対して、それぞれ0.2当量以上1.2当量以下の範囲で用いることが好ましい。なお、本発明においては、PVAが有するヒドロキシル基量と、理論上完全に反応する架橋剤量を1.0当量とする。ホウ酸化合物の使用量を上記範囲とすることによって、塗工液の経時安定性を特に向上させることができる。
【0032】
(pH調整剤)
インク受容層を形成する際に用いる塗工液中には、pH調整剤として、下記の酸をそれぞれ適宜、添加することができる。蟻酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸。イソフタル酸、テレフタル酸、グルタル酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ピメリン酸、スベリン酸、メタンスルホン酸。塩酸、硝酸、燐酸等の無機酸。本発明においては、アルミナ水和物を水中に分散させるために一塩基酸を用いることが好ましい。このため、上記pH調整剤の中でも、蟻酸、酢酸、グリコール酸、メタンスルホン酸等の有機酸や、塩酸、硝酸等を用いることが好ましい。
【0033】
[支持体]
本発明の記録媒体に用いる支持体としては、キャストコート紙、バライタ紙、レジンコート紙(ポリオレフィン等の樹脂で基材を被覆した樹脂被覆紙)等の紙類を用いることができる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリアセテート、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等の透明な熱可塑性フィルム等を用いることができる。これら以外にも、適度なサイジングが施された紙である無サイズ紙やコート紙、無機物の充填もしくは微細な発泡により不透明化されたフィルムからなるシート状物質(合成紙等)を使用できる。また、ガラスまたは金属からなるシート等を使用しても良い。更に、これらの支持体と多孔質インク受容層との接着強度を向上させるために、支持体の表面にコロナ放電処理や各種アンダーコート処理を施してもよい。
【0034】
<記録媒体の製造方法>
本発明の記録媒体の製造方法は、アルミナ水和物及びバインダーを含む塗工液を塗工後、乾燥することによって得られる。また、塗工液中のアルミナ水和物の平均粒子径は100nm以上250nm以下である。
【0035】
本発明において、塗工液の塗工方法は特に限定されないが、例えば、下記の塗工方法を好適に用いることができる。各種カーテンコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター。スライドホッパー方式を用いたコーター。なお、塗工時に、塗工液の粘度調製等を目的として、塗工液を加温してもよく、コーターヘッドを加温してもよい。
【0036】
また、塗工液の乾燥には、例えば、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機を好適に用いることができる。また、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等を、適宜選択して用いることができる。
【0037】
本発明においては、インク受容層の算術平均粗さ、インク受容層の60度の鏡面光沢度といった、本発明が規定する各パラメータを記録媒体が満たすことこそが重要である。そのため、本発明においては係るパラメータを満足するための具体的な手法は特に限定されるものではないが、本発明が規定するパラメータを満たす記録媒体を得るための好ましい手段について、係るパラメータに影響を与える因子と共に以下に示す。
【0038】
本発明が規定するパラメータを満たす方法としては、例えば、インク受容層を有する記録媒体の、インク受容層の表面を処理する方法が挙げられる。具体的には、支持体上に平均粒子径が100nm以上250nm以下のアルミナ水和物とバインダーとを含む塗工液を塗工し、塗工液を乾燥することでインク受容層を形成した後、凹凸を有するローラを用いてインク受容層の表面を処理する方法が挙げられる。凹凸が大きいローラを用いることで、インク受容層表面の算術平均粗さRaを大きくすることができる。
【0039】
また、本発明が規定するパラメータを満たす別の方法としては、記録媒体を製造する際に用いる支持体表面の状態及び塗工液の塗工量を特定の範囲とする方法が挙げられる。以下に詳細に述べる。
【0040】
[支持体]
支持体表面の状態は、記録媒体のインク受容層表面の状態に影響を与える。具体的には、インク受容層表面のJIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さRaは、支持体表面のJIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さRaよりも低くなる傾向にある。本発明においては、支持体表面の算術平均粗さRaを1.0μm以上3.0μm以下とすることで、インク受容層表面の算術平均粗さRaを本発明の規定する範囲である0.8μm以上2.5μm以下にしやすくすることができる。
【0041】
支持体表面のJIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さRaを制御する方法としては特に限定されないが、支持体がレジンコート紙である場合には、不規則な形状の凹凸を有するクーリングロールを用い、支持体表面に型付け処理を行うことが好ましい。クーリングロールの凹凸を大きくすると、支持体表面の算術平均粗さRaを大きくすることができる。支持体が樹脂被覆紙である場合、湿度や温度の変化による型付け処理された支持体の表面の形状変化を抑制することができるため、好ましい。
【0042】
また、インク受容層表面のJIS Z 8741に規定される60度の鏡面光沢度は、支持体表面のJIS Z 8741に規定される60度の鏡面光沢度よりも高くなる傾向にある。本発明においては、支持体表面の60度の鏡面光沢度を7.0%以下とすることで、インク受容層表面の60度の鏡面光沢度を本発明の範囲である10.0%以下にしやすくすることができる。
【0043】
支持体表面のJIS Z 8741に規定される60度の鏡面光沢度を制御する方法としては特に限定されないが、支持体がレジンコート紙である場合には、不規則な形状の凹凸を有するクーリングロールを用い、支持体表面に型付け処理を行うことが好ましい。クーリングロールの凹凸を支持体表面に押し付ける圧力によって、ポリエチレン等のレジンの密度を調整することができるため、レジンの屈折率を制御することができ、支持体表面の60度の鏡面光沢度を制御することができる。
【0044】
[インク受容層]
インク受容層の層厚はインク受容層の60度の鏡面光沢度に影響を与える。具体的には、層厚を厚くすると、インク受容層の60度の鏡面光沢度が上昇する傾向にある。本発明においては、アルミナ水和物及びバインダーを含む塗工液を、塗工液を乾燥した後の層厚が10μm以上25μm以下となるように塗工することで、インク受容層表面の60度の鏡面光沢度を本発明の範囲である10.0%以下にしやすくすることができる。
【0045】
本発明において、記録媒体のインク受容層の層厚は、以下の方法で測定することができる。記録媒体の断面を、ミクロトームを用いて露出させ、露出した断面を走査型電子顕微鏡(S−4800 日立ハイテクノロジーズ社製)で観測し、得られた画像の縮尺から露出した断面部分のインク受容層の層厚を測定する。同様の操作を断面を露出させる部分を変えて9回行い、得られた10点のデータから層厚の平均値を算出する。本発明においては、上記操作によって得られた層厚の平均値を記録媒体のインク受容層の層厚とする。
【0046】
本発明においては、インク受容層の算術平均粗さ、インク受容層の60度の鏡面光沢度といった、本発明が規定する各パラメータを満たす範囲内であれば、インク受容層を表面処理したり、インク受容層表面に表面処理層を設けてたりしてもよい。
【実施例】
【0047】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。下記実施例は、本発明のより一層深い理解のために示される具体例であって、本発明はこれらの具体例に何ら限定されるものではない。なお、実施例中の「部」及び「%」は、特に断りのない限り質量基準である。
【0048】
<記録媒体の作製>
(支持体の調整)
軽質炭酸カルシウム20部を、広葉樹晒クラフトパルプ100部のスラリー中に添加し、カチオン澱粉2部、無水アルケニルコハク酸系中性サイズ剤0.3部を添加し、十分に混合して抄紙原料とした。得られた抄紙原料を長網多筒式抄紙機を用いて水分が10%になるまで乾燥させ、サイズプレスで酸化澱粉の7%溶液を抄紙原料の両面に4g/m塗布した後、水分が7%になるまで乾燥させることで、坪量110g/mの基紙を作製した。その基紙の表裏両方の面に高密度ポリエチレン20部と低密度ポリエチレン70部からなる樹脂組成物を片面当たり30g/mの塗工量となるように溶融押し出し塗布し、溶融押し出し直後に、表面に凹凸を有するクーリングロールを使用して、基紙を冷却しながらポリエチレン表面を型付け処理した、坪量170g/mの支持体を得た。型付け処理の際に、クーリングロールを押し付ける圧力及びクーリングロールの凹凸の高さを調整することで、支持体表面の算術平均粗さRa及び60度の鏡面光沢度が異なる支持体A〜Gを得た。支持体表面の算術平均粗さRa及び60度の鏡面光沢度の測定方法を以下に示す。
【0049】
(算術平均粗さRaの測定)
下記測定装置及び測定条件で、支持体表面の算術平均粗さRaを測定した。
測定装置:Surfcorder SE3500 (株)小坂研究所製。
測定条件:JIS B 0601:2001に準じてカットオフ値設定し、評価長さはカットオフ値の5倍の長さとした。
【0050】
(60度の鏡面光沢度の測定)
下記測定装置及び測定条件で、支持体表面の60度の鏡面光沢度を測定した。
測定装置:VG 2000 日本電色工業(株)製。
測定条件:JIS Z 8741に準じた。
【0051】
上記測定方法によって得られた支持体A〜Gの表面の算術平均粗さ及び60度の鏡面光沢度を表1に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
(インク受容層用塗工液Aの調製)
イオン交換水中に、アルミナ水和物(Disperal HP14、サソール社製)を30%となるように添加した。次に、アルミナ水和物100部に対して、1.5部となるようにメタンスルホン酸を更に添加した後、攪拌し、コロイダルゾルを得た。得られたコロイダルゾルをアルミナ水和物が27%となるように、適宜イオン交換水中で希釈してコロイダルゾルAを得た。得られたコロイダルゾルAの中のアルミナ水和物の平均粒子径をゼータ電位・粒径測定システム(ELS Z−2 大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、144nmであった。
【0054】
一方、ポリビニルアルコール(PVA235クラレ(株)製、重合度:3500、ケン化度:88%)をイオン交換水中に溶解させて、PVAが8.0%のPVA水溶液を得た。そして、アルミナ水和物に対して、PVAが10%となるように、コロイダルゾルAと作製したPVA溶液とを混合した。次に、アルミナ水和物に対してホウ酸が2.0%となるように3.0%ホウ酸水溶液を添加、混合して、インク受容層用塗工液Aを得た。
【0055】
(インク受容層用塗工液Bの調製)
インク受容層用塗工液A中のアルミナ水和物であるDisperal HP14(サソール社製)をDisperal HP18(サソール社製)に変え、メタンスルホン酸の添加量をアルミナ水和物100部に対して1.2部となるようにした以外は、インク受容層用塗工液Aの調製と同様の操作を行って、コロイダルゾルB及びインク受容層塗工液Bを得た。また、得られたコロイダルゾルB中のアルミナ水和物の平均粒子径をゼータ電位・粒径測定システム(ELS Z−2 大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、168nmであった。
【0056】
(インク受容層用塗工液Cの調製)
インク受容層用塗工液A中のアルミナ水和物であるDisperal HP14(サソール社製)をDisperal HP10(サソール社製)に変え、メタンスルホン酸の添加量をアルミナ水和物100部に対して1.8部となるようにした以外は、インク受容層用塗工液Aの調製と同様の操作を行って、コロイダルゾルC及びインク受容層塗工液Cを得た。また、得られたコロイダルゾルC中のアルミナ水和物の平均粒子径をゼータ電位・粒径測定システム(ELS Z−2 大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、118nmであった。
【0057】
(インク受容層用塗工液Dの調製)
インク受容層用塗工液A中のアルミナ水和物であるDisperal HP14(サソール社製)をDisperal 40(サソール社製)に変え、メタンスルホン酸の添加量をアルミナ水和物100部に対して1.0部となるようにした以外は、インク受容層用塗工液Aの調製と同様の操作を行って、コロイダルゾルD及びインク受容層塗工液Dを得た。また、得られたコロイダルゾルD中のアルミナ水和物の平均粒子径をゼータ電位・粒径測定システム(ELS Z−2 大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、300nmであった。
【0058】
(インク受容層用塗工液Eの調製)
シリカ(A300 日本アエロジル製)100部、カチオンポリマー(シャロールDC902P)4部を、シリカの固形分濃度が18%となるようにイオン交換水に分散し、高圧ホモジナイザーで分散してコロイダルゾルEを得た。得られたコロイダルゾルE中のシリカの平均粒子径をゼータ電位・粒径測定システム(ELS Z−2 大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、160nmであった。
【0059】
一方、ポリビニルアルコール(PVA235クラレ(株)製、重合度:3500、ケン化度:88%)をイオン交換水中に溶解させて、PVAが8.0%のPVA水溶液を得た。そして、シリカに対してPVAが20%となるように、コロイダルゾルEとPVA溶液とを混合した。次に、シリカに対してホウ酸が3.5%となるように、3.0質量%ホウ酸水溶液を添加、混合して、インク受容層用塗工液Eを得た。
【0060】
(インク受容層用塗工液Fの調整)
インク受容層用塗工液A(アルミナ水和物の平均粒子径:144nm)とインク受容層用塗工液Eを、アルミナ水和物とシリカとの質量比が3:7になるように混合し、インク受容層用塗工液Fを得た。
【0061】
(インク受容層用塗工液Gの調整)
インク受容層用塗工液A(アルミナ水和物の平均粒子径:144nm)とインク受容層用塗工液Eを、アルミナ水和物とシリカとの質量比が7:3になるように混合し、インク受容層用塗工液Gを得た。
【0062】
[実施例1]
支持体A上に、インク受容層用塗工液Aの乾燥後の塗工量が20g/mとなるようにインク受容層用塗工液Aを塗工した後、塗工液を60℃で乾燥させて記録媒体1を得た。得られた記録媒体1の断面を、ミクロトームを用いて露出させ、露出した断面を走査型電子顕微鏡(S−4800 日立ハイテクノロジーズ社製)で観測し、得られた画像の縮尺から記録媒体1のインク受容層の層厚を測定した。同様の操作を露出させる断面を変えて9回行い、得られたインク受容層の層厚の10点のデータから層厚の平均値を算出した。得られた層厚の平均値を、記録媒体1のインク受容層の層厚とした。記録媒体1のインク受容層の層厚、インク受容層に含まれる無機顔料の種類及びアルミナ水和物の平均粒子径を表2に示す。
【0063】
[実施例2]
支持体Aを支持体Bに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、記録媒体2を得た。記録媒体2のインク受容層の層厚、インク受容層に含まれる無機顔料の種類及びアルミナ水和物の平均粒子径を表2に示す。
【0064】
[実施例3]
支持体Aを支持体Cに変更し、インク受容層用塗工液Aの乾燥後の塗工量が25g/mとなるようにインク受容層用塗工液Aの塗工量を変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、記録媒体3を得た。記録媒体3のインク受容層の層厚、インク受容層に含まれる無機顔料の種類及びアルミナ水和物の平均粒子径を表2に示す。
【0065】
[実施例4]
支持体Aを支持体Dに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、記録媒体4を得た。記録媒体4のインク受容層の層厚、インク受容層に含まれる無機顔料の種類及びアルミナ水和物の平均粒子径を表2に示す。
【0066】
[実施例5]
支持体Aを支持体Cに変更し、インク受容層用塗工液Aの乾燥後の塗工量が15g/mとなるようにインク受容層用塗工液Aの塗工量を変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、記録媒体5を得た。記録媒体5のインク受容層の層厚、インク受容層に含まれる無機顔料の種類及びアルミナ水和物の平均粒子径を表2に示す。
【0067】
[実施例6]
インク受容層用塗工液Aをインク受容層用塗工液Bに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、記録媒体6を得た。記録媒体6のインク受容層の層厚、インク受容層に含まれる無機顔料の種類及びアルミナ水和物の平均粒子径を表2に示す。
【0068】
[実施例7]
支持体Aを支持体Bに変更し、受容層用塗工液Aをインク受容層用塗工液Bに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、記録媒体7を得た。記録媒体7のインク受容層の層厚、インク受容層に含まれる無機顔料の種類及びアルミナ水和物の平均粒子径を表2に示す。
【0069】
[実施例8]
支持体Aを支持体Bに変更し、インク受容層用塗工液Aをインク受容層用塗工液Cに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、記録媒体8を得た。記録媒体8のインク受容層の層厚、インク受容層に含まれる無機顔料の種類及びアルミナ水和物の平均粒子径を表2に示す。
【0070】
[実施例9]
支持体Aを支持体Cに変更し、インク受容層用塗工液Aをインク受容層用塗工液Cに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、記録媒体9を得た。記録媒体9のインク受容層の層厚、インク受容層に含まれる無機顔料の種類及びアルミナ水和物の平均粒子径を表2に示す。
【0071】
[実施例10]
支持体Aを支持体Cに変更し、インク受容層用塗工液Aをインク受容層用塗工液Fに変更し、インク受容層用塗工液Fの乾燥後の塗工量が20g/mとなるようにインク受容層用塗工液Fを塗工した以外は実施例1と同様の操作を行い、記録媒体10を得た。記録媒体10のインク受容層の層厚、インク受容層に含まれる無機顔料の種類及びアルミナ水和物の平均粒子径を表2に示す。
【0072】
[実施例11]
支持体Aを支持体Cに変更し、インク受容層用塗工液Aをインク受容層用塗工液Gに変更し、インク受容層用塗工液Gの乾燥後の塗工量が23g/mとなるようにインク受容層用塗工液Gを塗工した以外は実施例1と同様の操作を行い、記録媒体11を得た。記録媒体11のインク受容層の層厚、インク受容層に含まれる無機顔料の種類及びアルミナ水和物の平均粒子径を表2に示す。
【0073】
[比較例1]
支持体Aを支持体Cに変更し、インク受容層用塗工液Aをインク受容層用塗工液Eに変更し、インク受容層用塗工液Eの乾燥後の塗工量が18g/mとなるようにインク受容層用塗工液Eを塗工した以外は実施例1と同様の操作を行い、記録媒体12を得た。記録媒体12のインク受容層の層厚、インク受容層に含まれる無機顔料の種類及びアルミナ水和物の平均粒子径を表2に示す。記録媒体12は、アルミナ水和物を含まず、アルミナ水和物の平均粒子径を測定できないため、表2中のアルミナ水和物の平均粒子径の欄には「−」を付した。
【0074】
[比較例2]
支持体Aを支持体Cに変更し、インク受容層用塗工液Aの乾燥後の塗工量が30g/mとなるように変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、記録媒体13を得た。記録媒体13のインク受容層の層厚、インク受容層に含まれる無機顔料の種類及びアルミナ水和物の平均粒子径を表2に示す。
【0075】
[比較例3]
支持体Aを支持体Cに変更し、インク受容層用塗工液Aをインク受容層用塗工液Dに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、記録媒体14を得た。記録媒体14のインク受容層の層厚、インク受容層に含まれる無機顔料の種類及びアルミナ水和物の平均粒子径を表2に示す。
【0076】
[比較例4]
支持体Aを支持体Eに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、記録媒体15を得た。記録媒体15のインク受容層の層厚、インク受容層に含まれる無機顔料の種類及びアルミナ水和物の平均粒子径を表2に示す。
【0077】
[比較例5]
支持体Aを支持体Fに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、記録媒体16を得た。記録媒体16のインク受容層の層厚、インク受容層に含まれる無機顔料の種類及びアルミナ水和物の平均粒子径を表2に示す。
【0078】
[比較例6]
支持体Aを支持体Gに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、記録媒体17を得た。記録媒体17のインク受容層の層厚、インク受容層に含まれる無機顔料の種類及びアルミナ水和物の平均粒子径を表2に示す。
【0079】
(算術平均粗さRaの測定)
下記測定装置及び測定条件で、記録媒体1〜17のインク受容層表面の算術平均粗さRaを測定した。
測定装置:Surfcorder SE3500(株)小坂研究所製。
測定条件:JIS B 0601:2001に準じてカットオフ値を設定し、評価長さはカットオフ値の5倍の長さとした。
【0080】
(60度の鏡面光沢度の測定)
下記測定装置及び測定条件で、記録媒体1〜17のインク受容層表面の60度の鏡面光沢度を測定した。
測定装置:VG 2000 日本電色工業(株)製。
測定条件:JIS Z 8741に準じた。
【0081】
上記測定方法によって得られたインク受容層の算術平均粗さ及び60度の鏡面光沢度を表2に示す。
【0082】
<記録媒体の評価>
(視認性)
インクジェット方式を用いたフォト用プリンタ(商品名(日本):PIXUS MP990 キヤノン製)を用い、光沢ゴールドモード(標準設定)にて、人物が一人、大きく写った実画を記録媒体1〜17のそれぞれに印刷した。その後、印刷された記録媒体を机上に広げ、人物画像を5箇所から目視し、下記の評価基準によって記録媒体の視認性を評価した。結果を表2に示す。
A:どの箇所から見ても人物画像をしっかりと視認できる。
B:人物の顔画像がかすかに視認しにくい箇所が1つある。
C:人物の顔画像が視認しにくい箇所の数が1つである。
D:人物の顔画像が視認しにくい箇所の数が2つ以上である。
【0083】
(白モヤ)
記録媒体1〜17を2枚ずつ用意し、インクジェット方式を用いたフォト用プリンタ(商品名(日本):PIXUS MP990キヤノン製)を用い、光沢ゴールドモード(標準設定、色/濃度:マッチングなし)にて、下記の画像1と2の各々を、記録媒体1〜17の各々に印刷することで、画像1が印刷された記録媒体1〜17と、画像2が印刷された記録媒体1〜17を得た。
画像1:15cm×15cmの領域を、PhotoShop7.0のRGBモードで、(R,G,B)=(0,0,0)で塗りつぶした画像。
画像2:5cm×5cmの領域を、PhotoShop7.0のRGBモードで、(R,G,B)=(255,255,0)で塗りつぶした画像。
【0084】
画像1が印刷された記録媒体1及び画像2が印刷された記録媒体1を30分間、23℃、50%RHの環境下で保存した。画像1が印刷された領域と、画像2が印刷された領域とが重なるように、2枚の記録媒体1を重ね、24時間保管した。24時間保管した後、記録媒体1の画像1が印刷された領域内の、画像2と重なっていた領域と、重なっていなかった領域とを目視で観察し、下記の評価基準で評価した。同様の評価方法及び評価基準を用いて、記録媒体2〜17の白モヤの評価を行った。結果を表2に示す。
A:画像1と画像2とが重なっていなかった部分の画像と、画像1と画像2とが重なっていた部分の画像に違いが見られない(画像1と画像2とが重なっていた部分に白いモヤが視認できない)。
B:画像1と画像2とが重なっていなかった部分の画像と比較して、画像1と画像2とが重なっていた部分の画像がかすかに白味掛かっている(画像1と画像2とが重なっていた部分に白いモヤがかすかに視認できる)。
C:画像1と画像2とが重なっていなかった部分の画像と比較して、画像1と画像2とが重なっていた部分の画像が白味掛かっている(画像1と画像2とが重なっていた部分に白いモヤが視認できる)。
D:画像1と画像2とが重なっていなかった部分の画像と比較して、画像1と画像2とが重なっていた部分の画像の白味掛かる様子が顕著である(画像1と画像2とが重なっていた部分における白いモヤの発生が顕著である)。
【0085】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の少なくとも一方の面に、アルミナ水和物及びバインダーを含む塗工液を塗工後、乾燥することによって得られるインク受容層を有する記録媒体であって、
前記塗工液中のアルミナ水和物の平均粒子径が100nm以上250nm以下であり、
前記インク受容層表面のJIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さRaが0.8μm以上2.5μm以下であり、
前記インク受容層表面のJIS Z 8741に規定される60度の鏡面光沢度が10.0%以下であることを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
前記インク受容層の層厚が25μm以下である請求項1に記載の記録媒体。
【請求項3】
前記アルミナ水和物の含有量が、前記インク受容層に含まれる無機顔料全質量に対して70質量%以上である請求項1または2に記載の記録媒体。
【請求項4】
前記塗工液中の前記アルミナ水和物の平均粒子径が140nm以上200nm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の記録媒体。
【請求項5】
前記インク受容層表面のJIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さRaが1.1μm以上2.5μm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の記録媒体。
【請求項6】
前記インク受容層表面のJIS Z 8741に規定される60度の鏡面光沢度が9.0%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の記録媒体。
【請求項7】
前記支持体のJIS Z 8741に規定される60度の鏡面光沢度が7.0%以下である請求項1〜6のいずれかに記載の記録媒体。
【請求項8】
前記支持体が基材を樹脂で被覆した樹脂被覆紙である請求項1〜7のいずれかに記載の記録媒体。

【公開番号】特開2012−11774(P2012−11774A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110623(P2011−110623)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】