説明

記録装置、切断方法、及び、プログラム

【課題】連続して搬送される記録媒体の切断を連続して適正に行う。
【解決手段】プリンター2であって、記録媒体を一定の搬送速度で所定の搬送方向に連続して搬送するプラテン21bと、記録部21により所定情報が記録された記録媒体を切断するカッターユニット22と、カッターユニットを記録媒体の搬送方向に移動させる移動部23と、所定状態にあるカッターユニットの移動部による移動速度が記録媒体の搬送速度と略等しい速度となるまでに必要な加速時間に基づいて、記録媒体のカッターユニットにより切断すべき切断位置にて当該カッターユニットの加速を終了させるように移動部の駆動を制御する駆動制御部28eと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に記録する記録装置、記録装置による記録媒体の切断方法、及び、記録装置を制御するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロール紙等の記録媒体に所定情報を記録するプリンターでは、記録媒体の搬送方向の所定位置に、当該記録媒体を所定位置で切断する切断機構が取付け固定されている。このような切断機構を用いて記録媒体を自動的に切断する場合には、記録媒体の搬送を切断機構による切断位置で一旦停止させる必要がある。この結果、記録媒体の記録及び切断処理における単位時間あたりの処理能力が低下してしまうといった問題がある。
そこで、所定の速度で搬送される被搬送物に対する切断部の相対位置を固定するように移動させて、当該切断部により被搬送物を切断する切断装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、連続紙の搬送速度と同等の速度で搬送方向に切断機を移動させるとともに、当該切断機を連続紙の搬送方向と交差する方向に移動させて連続紙を切断する用紙処理装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−125535号公報
【特許文献2】特開2009−298500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、切断機構が搭載される装置本体の大きさによっては当該切断機構の移動可能範囲を十分に確保できない場合がある。このため、記録媒体の切断動作以外の状態では、切断機構の移動を停止した状態とし、記録媒体の切断動作の際に、当該切断機構の移動速度が記録媒体の搬送速度と略等しい速度となるように所定の加速度で移動させる必要がある。しかしながら、連続して搬送される記録媒体の搬送速度や当該記録媒体の切断位置を変化させた場合などには、記録媒体の所望の切断位置での切断を適正に行うことができないといった問題が生じる虞がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、連続して搬送される記録媒体の切断を連続して適正に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、記録媒体に記録する記録部と、前記記録媒体を一定の搬送速度で搬送方向に搬送可能な搬送部と、前記記録部により記録された前記記録媒体を切断する切断部と、前記切断部を前記搬送方向に移動させる移動部と、所定状態にある前記切断部を前記移動部により加速させ移動速度が前記搬送速度と略等しい速度となるまでに必要な加速時間に基づいて、前記記録媒体の前記切断部により切断すべき切断位置にて当該切断部の加速を終了させるように前記移動部の駆動を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、所定状態にある切断部の移動速度が記録媒体の搬送速度と略等しい速度となるまでに必要な加速時間に基づいて、記録媒体の切断位置にて当該切断部の加速を終了させるように移動部の駆動を制御するので、連続して搬送される記録媒体の搬送速度や当該記録媒体の切断位置が変化しても、切断部の加速が終了した時点で当該切断部を記録媒体の切断位置と対向させて相対的な位置を固定した状態とし、その後、当該切断部を記録媒体の搬送速度と略等しい一定の速度で移動させるように、当該切断部の移動の制御を適正に行うことができる。よって、記録媒体の所望の切断位置での切断を連続して適正に行うことが可能となる。
【0006】
また、上記発明の記録装置であって、本発明は、前記制御部は、前記加速時間に基づいて、前記移動部による前記切断部の加速の開始タイミングを制御することを特徴とする。
この構成によれば、切断部の加速の開始タイミングを制御するので、連続して搬送される記録媒体の搬送速度や当該記録媒体の切断位置が変化しても、切断部の加速が終了した時点で、当該切断部と記録媒体の切断位置とを対向させて相対的な位置を固定した状態とすることが可能となる。
【0007】
また、上記発明の記録装置であって、本発明は、第1の記録媒体を形成する前記記録媒体を切断して所定状態にある前記切断部が、前記移動部による当該切断部の移動範囲内で前記搬送方向下流側に移動可能な距離を特定する特定部と、前記特定部により特定された前記移動可能な距離が、前記移動部により前記切断部を移動させて前記第1の記録媒体に続けて搬送される第2の記録媒体を形成する前記記録媒体の前記切断位置にて当該切断部の加速を終了させるのに十分な距離であるか否かを判定する判定部と、を更に備え、前記制御部は、前記判定部により前記十分な距離であると判定された場合に、前記移動可能な距離内で前記第2の記録媒体の前記切断位置にて前記切断部の加速を終了させるように当該切断部を前記移動部により前記搬送方向下流側に移動させることを特徴とする。
この構成によれば、切断部の移動範囲内で記録媒体の搬送方向下流側に移動可能な距離が十分な距離である場合に、第1の記録媒体に続けて搬送される第2の記録媒体の切断位置にて切断部の加速を終了させるように当該切断部を記録媒体の搬送方向下流側に移動させるので、切断部を第2の記録媒体を形成する前記記録媒体の切断位置と対向させるための移動距離を確保する上で、当該切断部を記録媒体の搬送方向上流側に所定の距離移動させる必要がなくなり、当該切断部の移動の制御をより簡便なものとすることが可能となる。
【0008】
また、上記発明の記録装置であって、本発明は、前記制御部は、更に、前記判定部により前記十分な距離でないと判定された場合に、前記切断部を前記移動部により前記搬送方向上流側に所定の距離移動させた後、前記第2の記録媒体を形成する前記記録媒体の前記切断位置にて前記切断部の加速を終了させるように当該切断部を前記移動部により前記搬送方向下流側に移動させることを特徴とする。
この構成によれば、切断部の移動範囲内で記録媒体の搬送方向下流側に移動可能な距離が十分な距離でない場合に、切断部を記録媒体の搬送方向上流側に所定の距離移動させた後、第1の記録媒体に続けて搬送される第2の記録媒体の切断位置にて切断部の加速を終了させるように当該切断部を記録媒体の搬送方向下流側に移動させるので、切断部の移動範囲内で記録媒体の搬送方向下流側に移動可能な距離が十分な距離でない場合であっても、切断部を記録媒体の搬送方向上流側に所定の距離移動させるだけで、当該切断部を第2の記録媒体の切断位置と対向させて相対的な位置を固定した状態とするための移動距離を十分に確保することができ、当該切断部を必要以上に記録媒体の搬送方向上流側に移動させる必要がなくなる。
【0009】
また、上記発明の記録装置であって、本発明は、前記切断部は、前記移動部による移動速度が前記搬送速度と略等しい速度となった状態で記録媒体の前記切断位置を切断することを特徴とする。
この構成によれば、切断部は、その移動速度が記録媒体の搬送速度と略等しい速度となった状態で当該記録媒体の切断位置を切断するので、切断部と記録媒体の切断位置とを対向させて相対的な位置を固定した状態で、当該切断部により記録媒体の所望の切断位置での切断を適正に行うことが可能となる。
【0010】
また、上記発明の記録装置であって、本発明は、前記移動部は、前記切断部を一定の加速度で移動させることを特徴とする。
この構成によれば、切断部を一定の加速度で移動させても、切断部の加速が終了した時点で、当該切断部と記録媒体の切断位置とを対向させて相対的な位置を固定した状態とすることが可能となる。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明は、記録が行われた記録媒体の切断方法であって、前記記録装置は、前記記録媒体に記録する記録部によって記録が行われた記録媒体を切断する切断部を備え、記録媒体を一定の搬送速度で所定の搬送方向に連続して搬送する処理と、前記切断部を前記搬送方向に移動させる処理と、前記切断部の移動速度が前記搬送速度と略等しい速度となるまでに必要な加速時間に基づいて、前記記録媒体の前記切断部により切断すべき切断位置にて当該切断部の加速を終了させるように前記切断部の移動を制御する処理と、を行うことを特徴とする。
この構成によれば、所定状態にある切断部の移動速度が記録媒体の搬送速度と略等しい速度となるまでに必要な加速時間に基づいて、記録媒体の切断位置にて当該切断部の加速を終了させるように移動部の駆動を制御するので、連続して搬送される記録媒体の搬送速度や当該記録媒体の切断位置が変化しても、切断部の加速が終了した時点で当該切断部を記録媒体の切断位置と対向させて相対的な位置を固定した状態とし、その後、当該切断部を記録媒体の搬送速度と略等しい一定の速度で移動させるように、当該切断部の移動の制御を適正に行うことができる。よって、記録媒体の所望の切断位置での切断を連続して適正に行うことが可能となる。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本発明は、記録媒体に記録する記録部と、前記記録部により記録された記録媒体を切断する切断部と、を備える記録装置の制御部により実行されるプログラムであって、前記制御部を、記録媒体を一定の搬送速度で所定の搬送方向に連続して搬送させる搬送制御部、前記切断部を前記搬送方向に移動させる移動制御部、前記移動制御部による前記切断部の移動速度が前記搬送速度と略等しい速度となるまでに必要な加速時間に基づいて、前記記録媒体の前記切断部により切断すべき切断位置にて当該切断部の加速を終了させるように前記移動制御部の駆動を制御する駆動制御部、として機能させることを特徴とする。
この構成によれば、所定状態にある切断部の移動速度が記録媒体の搬送速度と略等しい速度となるまでに必要な加速時間に基づいて、記録媒体の切断位置にて当該切断部の加速を終了させるように移動部の駆動を制御するので、連続して搬送される記録媒体の搬送速度や当該記録媒体の切断位置が変化しても、切断部の加速が終了した時点で当該切断部を記録媒体の切断位置と対向させて相対的な位置を固定した状態とし、その後、当該切断部を記録媒体の搬送速度と略等しい一定の速度で移動させるように、当該切断部の移動の制御を適正に行うことができる。よって、記録媒体の所望の切断位置での切断を連続して適正に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、連続して搬送される記録媒体の搬送速度や当該記録媒体の切断位置を変化させても、切断部の移動の制御を適正に行うことができ、記録媒体の所望の切断位置での切断を連続して適正に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るPOS端末の機能的構成のブロック図である。
【図2】プリンターの内部構成を模式的に示す図である。
【図3】カッターユニットとロール紙の動作を模式的に示す図である。
【図4】カッターユニットの移動時間と移動速度との対応関係を示す図である。
【図5】プリンターの動作を示すフローチャートである。
【図6】変形例1のPOS端末の機能的構成のブロック図である。
【図7】変形例1のカッターユニットの動作を模式的に示す図である。
【図8】変形例1のプリンターの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るPOS端末1の機能的構成のブロック図である。また、図2は、POS端末1が備えるプリンター2の本体内部の構成を模式的に示す図である。
図1に示すPOS端末1は、例えば小売店等の店頭に設置され、売上げ精算を行うレジスターであり、販売時点管理システム(POSシステム;図示略)を構成する。
また、POS端末1は、売上登録処理及び精算処理を行うホストコンピューター3に、レシートQを発行するプリンター2を接続して構成される。
【0016】
なお、ホストコンピューター3は、図示は省略するが、売上登録処理及び精算処理の処理内容を表示するディスプレー、売上登録処理時に商品に付されたバーコードを読み取るバーコードスキャナー、売上登録キー等の各種キーを備えたキー入力部、精算用の現金を収容するキャッシュドロワー等を備えている。
また、ホストコンピューター3は、売上登録した情報を収集するPOSサーバー(図示略)に所定の通信回線を介して接続されている。
【0017】
プリンター2(記録装置)は、本体に記録媒体としての感熱ロール紙Pを収容し、記録部21によりロール紙Pに画像を記録する。
具体的には、図1及び図2に示すように、プリンター2は、記録部21と、カッターユニット22と、移動部23と、表示部24と、インターフェイス部25と、モータードライバー26と、ヘッドドライバー27と、制御部28と、を備えている。
【0018】
記録部21は、搬送モーター21aの回転駆動に基づいて、ロール紙Pを搬送するローラー形状のプラテン21b(搬送部)と、このプラテン21bに対向配置された記録ヘッド21cとを備えて構成されている。
また、記録部21は、例えば、サーマル方式によりロール紙Pに対して所定情報を記録する。具体的には、記録ヘッド21cには、複数の発熱素子(図示略)がロール紙Pの搬送方向Yと略直交する方向に並設され、当該記録ヘッド21cにより、プラテン21bによって一定の搬送速度vで搬送されるロール紙Pの記録面に熱を与えることにより、例えば、店名や売り上げた商品名、金額、合計金額等の各種の文字情報d1、ロゴ等の画像情報d2を記録する(図3参照)。
なお、記録部21は、所定の色のインクを吐出可能な複数のインクジェットヘッド(記録ヘッド)が搬送方向Yと略直交する方向に並設されたインクジェット方式によりロール紙Pに対して画像を記録しても良い。
【0019】
記録部21により画像が印刷されたロール紙Pは、本体の所定位置(例えば、ユーザーに対して手前側となる側面等)に形成された排紙口(図示略)から外に向けてプラテン21bにより搬送され、所定位置にてカッターユニット22により切断されてレシートQとなる。
なお、ロゴ等の画像情報d2は、レシートQが形成された状態で、当該レシートQの先端や後端に配置される。そして、レシートQの後端のロゴの直ぐ後側、即ち、先に印刷されて切断される第1のレシートQ1と、この第1のレシートQ1の次に印刷されて切断される第2のレシートQ2との間が、第1のレシートQ1の切断位置Cとなる(図3参照)。
【0020】
カッターユニット22(切断部)は、ロール紙Pの搬送路において記録部21よりも搬送方向Y下流側に、移動部23により搬送方向Yに移動自在に配置されている。
このカッターユニット22は、記録部21により文字情報d1や画像情報d2等の所定情報が記録されたロール紙Pを切断する。
具体的には、カッターユニット22は、搬送路のロール紙Pに対して一方側に設けられた固定刃22aと、この固定刃22aに対向して搬送路のロール紙Pに対して他方側に設けられた可動刃22bと、可動刃22bを固定刃22aに向けてスライドさせるカッター駆動モーター22cと、この駆動モーター22cの駆動力を可動刃22bに伝達するギヤ等の駆動力伝達機構(図示略)とを備えている。
カッター駆動モーター22cは、例えば、ステッピングモーターやサーボモーター等から構成され、当該カッター駆動モーター22cの駆動に基づいて、その駆動力が駆動力伝達機構(図示略)を介して可動刃22bに伝達され、当該可動刃22bが固定刃22a側に移動して固定刃22aとの間に印刷後のロール紙Pを挟んで切断する。
【0021】
移動部23は、カッターユニット22を搬送方向Yに移動させる。
具体的には、移動部23は、例えば、ステッピングモーターやサーボモーター等の移動駆動モーター23aと、このモーター23aの駆動力を搬送方向Yと略等しい方向の直線運動に変換してカッターユニット22に伝達するギヤ等の駆動力伝達機構(図示略)と、搬送方向Yと略等しい方向に延在するとともにロール紙Pの搬送路を挟むように配置された二つのガイド23b、23b(図3参照)とを備えている。
また、二つのガイド23b、23bに亘るように、即ち、搬送方向Yと略直交する方向に延在するようにカッターユニット22が配設されている(図3参照)。
そして、移動駆動モーター23aの駆動に基づいて、当該モーター23aの駆動力が駆動力伝達機構(図示略)を介してカッターユニット22に伝達され、当該カッターユニット22が二つのガイド23b、23bに案内されながら搬送方向Yに移動する。
なお、移動駆動モーター23aは、固定電磁石と可動電磁石を備えるリニアモーターから構成されても良い。
【0022】
表示部24は、例えば、液晶ディスプレーや有機ELパネル等の表示パネル(図示略)を備え、制御部28の制御の下、表示パネルにプリンター2の動作状態等の各種情報を表示する。
【0023】
インターフェイス部25は、ホストコンピューター3に接続され、制御部28の制御の下、ホストコンピューター3との間で所定の通信規格に準拠した通信を行う。
即ち、インターフェイス部25は、ホストコンピューター3との間のコマンドやデータの送受信を制御する。具体的には、インターフェイス部25は、ホストコンピューター3から出力されたレシートQの印刷指示(制御コマンド)及び印刷データが入力されると、当該印刷指示及び印刷データを制御部28に出力する。
なお、制御コマンドは、プリンター2にレシートQの印刷に係る一連の処理を実行させるためのコマンドであり、プラテン21bによりロール紙Pを搬送させるコマンドや、記録ヘッド21cを駆動させるコマンド等が含まれている。
【0024】
モータードライバー26には、カッター駆動モーター22c、移動駆動モーター23a、及び、搬送モーター21aが接続されている。
そして、モータードライバー26は、制御部28の制御下にて、カッター駆動モーター22cや移動駆動モーター23aや搬送モーター21aに対し、駆動電源を供給するとともに所定の駆動信号(例えば、ステッピングモーターに対する駆動パルス等)を出力して、当該カッター駆動モーター22cや移動駆動モーター23aや搬送モーター21aの駆動を制御する。
具体的には、モータードライバー26は、例えば、搬送モーター21aに接続されたプラテン21bを一定の速度で所定方向に回転させるように当該搬送モーター21aの駆動を制御する。これにより、プラテン21bは、ロール紙Pを一定の搬送速度vで所定の搬送方向Yに連続して搬送可能となる。
また、モータードライバー26は、例えば、カッターユニット22によるロール紙Pの切断動作の際に、カッター駆動モーター22cの駆動力が駆動力伝達機構を介して伝達される可動刃22bを固定刃22a側に移動させるように当該カッター駆動モーター22cの駆動を制御する。これにより、可動刃22bと固定刃22aとの間に印刷後のロール紙Pが挟持されて切断可能となる。その後、モータードライバー26は、可動刃22bを固定刃22aから離れる側に移動させるように当該カッター駆動モーター22cの駆動を制御する。
また、モータードライバー26は、移動駆動モーター23aの駆動力が駆動力伝達機構を介して伝達されるカッターユニット22をロール紙Pの搬送方向Yの下流側(若しくは、上流側)に所定の速度で移動させるように当該移動駆動モーター23aの駆動を制御する。これにより、カッターユニット22が搬送方向Yに移動可能となる。
【0025】
ヘッドドライバー27には、記録ヘッド21cが接続されており、制御部28の制御下にて、当該記録ヘッド21cの各発熱素子に対して駆動電流を供給するとともに電圧を制御して、ロール紙Pへの印刷を行わせる。
【0026】
制御部28は、プリンター2の各部を中枢的に制御するものであり、所定のプログラムを実行して各種データを処理することにより制御を行う演算実行部としてのCPU28aと、このCPU28aに実行される基本制御プログラムをコンピューターに読み取り可能な態様で不揮発的に記憶するROM28b、CPU28aに実行されるプログラムやこのプログラムに係るデータ等を一時的に記憶するRAM28cと、その他の周辺回路(図示略)等を備えている。
そして、CPU28aは、インターフェイス部25を介してホストコンピューター3から入力される制御コマンドを実行し、ヘッドドライバー27を介して記録ヘッド21cを動作させるとともに、モータードライバー26を介して搬送モーター21aを動作させてロール紙Pに対する所定情報の印刷の実行を制御する。さらに、CPU28aは、モータードライバー26を介して移動駆動モーター23a及びカッター駆動モーター22cを動作させて、所定情報が印刷されたロール紙Pの切断位置C(図3参照)にて当該ロール紙Pのカッターユニット22による切断の実行を制御する。
【0027】
さらに、制御部28は、データ生成処理部28dと、駆動制御部28eとを備えている。
以下に、データ生成処理部28dと駆動制御部28eの動作について適宜図3及び図4を参照して説明する。
図3(a)及び図3(b)は、カッターユニット22とロール紙Pの動作を模式的に示し、カッターユニット22を透過した状態を破線で表した平面図である。
また、図3(a)及び図3(b)には、レシートQにおける切断位置C(図中、破線で示す)をわかりやすくするため、実際には切断される複数枚のレシートQが繋がった状態で示すが、通常、複数枚のレシートQが繋がって排紙口から排紙されることはない。カッターユニット22とロール紙Pが図3(a)の状態から図(b)の状態へと変移する。
また、図4は、カッターユニット22の移動時間と移動速度との対応関係を示す図である。
【0028】
データ生成処理部28dは、インターフェイス部25を介してホストコンピューター3から入力されたレシートQの印刷データに基づいて、制御部28のROM28bに予めインストールされたファームウェアを実行することにより、ロール紙Pに対して記録部21により記録すべき文字や画像等の所定情報を含む記録情報データを生成する。
これにより、レシートQの先端から後端までの長さ、即ち、レシートQを形成する上でのロール紙Pの切断位置Cが特定される。
【0029】
駆動制御部28eは、移動駆動モーター23aの駆動を制御する。
即ち、駆動制御部28eは、ロール紙Pのカッターユニット22により切断すべき切断位置Cにて当該カッターユニット22の加速を終了させるように移動駆動モーター23aの駆動を制御する。
つまり、駆動制御部28eは、ロール紙Pの切断位置Cとカッターユニット22の可動刃22bと固定刃22aが対向する位置Aとを対向(一致)させて相対的な位置が固定された状態(図3(b)参照)で、当該カッターユニット22を搬送速度vと略等しい一定の速度で移動させるように移動駆動モーター23aの駆動を制御する。
【0030】
具体的には、まず、駆動制御部28eは、データ生成処理部28dにより生成された記録情報データに基づいて、搬送路上を搬送されるロール紙PのレシートQを形成する上での切断位置Cと所定位置(例えば、始動位置)に存するカッターユニット22との距離を特定するとともに、搬送モーター21aの駆動に基づくロール紙Pの搬送速度vを取得して、移動駆動モーター23aにより所定状態(例えば、移動停止状態)にあるカッターユニット22を一定の加速度で移動させた場合に、当該カッターユニット22の移動速度がロール紙Pの搬送速度vと略等しい速度となるまでに必要な加速時間tを特定する。
続けて、駆動制御部28eは、当該切断位置Cのカッターユニット22に対する距離と必要な加速時間tとに基づいて、移動駆動モーター23aの駆動制御の開始タイミング、即ち、カッターユニット22の加速の開始タイミング(例えば、現時点から○○秒後等)を特定する。
そして、駆動制御部28eは、特定されたカッターユニット22の加速の開始タイミングで、所定状態にあるカッターユニット22の移動速度がロール紙Pの搬送速度vと略等しい速度となるまで当該カッターユニット22を一定の加速度で移動(等加速度直線運動)させるように移動駆動モーター23aを駆動させる(図4参照)。
これにより、カッターユニット22の加速が終了した時点で、一定の搬送速度vで搬送されるロール紙Pの切断位置Cと、所定の速度で移動するカッターユニット22の可動刃22bと固定刃22aの対向位置Aとが対向した状態となる。続けて、駆動制御部28eは、カッターユニット22の所定の移動速度を維持させるように、即ち、搬送速度vと略等しい一定の速度でカッターユニット22を移動させるように移動駆動モーター23aを駆動させる(図4参照)。
このように、駆動制御部28eは、所定状態にあるカッターユニット22の移動部23による移動速度がロール紙Pの搬送速度vと略等しい速度となるまでに必要な加速時間tに基づいて、ロール紙Pのカッターユニット22により切断すべき切断位置Cにて当該カッターユニット22の加速を終了させるように移動部23の駆動を制御する制御手段を構成している。
【0031】
次に、レシートQの印刷動作にかかるプリンター2の動作について図5を参照して説明する。
図5は、レシートQを印刷する際のプリンター2の動作を示すフローチャートである。
以下のプリンター2の制御部28の機能は、当該制御部28のCPU28aがROM28bに記憶されている各種処理プログラムを実行することにより実現される。すなわち、制御部28の各機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。
なお、プリンター2の動作を開始する時点で、カッターユニット22は所定位置(例えば、ロール紙Pの搬送方向Y上流側の始動位置等)に停止した状態にあるものとする。
【0032】
まず、モータードライバー26は、制御部28のCPU28aの制御下にて、プラテン21bを一定の速度で所定方向に回転させるように当該搬送モーター21aの駆動を制御することで、ロール紙Pを一定の搬送速度vで所定の搬送方向Yに連続して搬送させる(ステップS1)。
次に、制御部28のCPU28aは、ホストコンピューター3から出力されたレシートQの印刷指示(制御コマンド)及び印刷データがインターフェイス部25を介して入力されたか否かを判定する(ステップS2)。
【0033】
ステップS2にて、レシートQの印刷指示及び印刷データが入力されたと判定されると(ステップS2;YES)、制御部28のデータ生成処理部28dは、レシートQの印刷データに基づいてロール紙Pに対して印刷すべき文字や画像等の所定情報を含む記録情報データを生成する。そして、データ生成処理部28dは、当該記録情報データに基づいて、ロール紙Pに文字情報d1や画像情報d2等の所定情報が印刷されることにより形成されるレシートQの先端から後端までの長さ、即ち、レシートQを形成する上でのロール紙Pの切断位置Cを特定する(ステップS3)。
なお、ステップS2における処理は、レシートQの印刷指示及び印刷データが入力されたと判定されるまで、所定の時間間隔で繰り返し実行される。
【0034】
次に、ヘッドドライバー27は、制御部28のCPU28aの制御下にて、データ生成処理部28dにより生成された記録情報データに基づいて記録ヘッド21cの駆動を制御し、ロール紙Pに対して文字や画像等の所定情報の印刷を開始させる(ステップS4)。なお、記録ヘッド21c(記録部21)による印刷は、レシートQを形成する後端のロゴの印刷が完了まで実行される。
【0035】
続けて、制御部28の駆動制御部28eは、データ生成処理部28dにより生成された記録情報データに基づいて、レシートQを形成する上でのロール紙Pの切断位置Cとカッターユニット22の可動刃22bと固定刃22aが対向する位置Aとの距離を特定した後(ステップS5)、プラテン21b(搬送モーター21a)によるロール紙Pの搬送速度vを取得して、移動駆動モーター23aによりカッターユニット22を停止状態から一定の加速度で移動させた場合に、当該カッターユニット22の移動速度がロール紙Pの搬送速度vと略等しい速度となるまでに必要な加速時間tを特定する(ステップS6)。
次に、制御部28の駆動制御部28eは、当該切断位置Cとカッターユニット22との距離とカッターユニット22の加速に必要な加速時間tとに基づいて、移動駆動モーター23aの駆動を制御してカッターユニット22の加速を開始させる開始タイミングを特定する(ステップS7)。
【0036】
そして、制御部28の駆動制御部28eは、モータードライバー26を制御して、移動駆動モーター23aの駆動によりカッターユニット22を移動させる処理を行う(ステップS8)。
具体的には、モータードライバー26は、カッターユニット22の加速の開始タイミングに到達した時点で移動駆動モーター23aの駆動制御を開始して、カッターユニット22の移動速度がロール紙Pの搬送速度vと略等しい速度となるまで当該カッターユニット22を一定の加速度で移動させるように移動駆動モーター23aを駆動させる。これにより、ロール紙Pの切断位置Cとカッターユニット22の可動刃22bと固定刃22aの対向位置Aとが対向した状態とする。続けて、モータードライバー26は、搬送速度vと略等しい一定の速度でカッターユニット22を移動させるように移動駆動モーター23aを駆動させる。
【0037】
次に、制御部28の駆動制御部28eは、モータードライバー26を制御して、ロール紙Pに対する相対的な位置を固定したカッターユニット22により当該ロール紙Pを切断させる(ステップS9)。具体的には、モータードライバー26は、カッターユニット22の可動刃22bを固定刃22a側に移動させるようにカッター駆動モーター22cを駆動させることで、可動刃22bと固定刃22aとの間に印刷後のロール紙Pを挟持して切断する。その後、直ちに、モータードライバー26は、可動刃22bを固定刃22aから離れる側に移動させるようにカッター駆動モーター22cを駆動させる。
カッターユニット22によりロール紙Pが切断されることで形成されたレシートQは、排紙口を介して排紙される。
【0038】
その後、モータードライバー26は、カッターユニット22をロール紙Pの搬送方向Y上流側の所定位置に戻すように移動駆動モーター23aを駆動させた後(ステップS10)、処理をステップS2に戻す。具体的には、モータードライバー26は、カッターユニット22を所定の減速期間を経て停止状態とした後、ロール紙Pの搬送方向Y上流側の所定位置(始動位置)に戻すように移動駆動モーター23aを駆動させる。
なお、カッターユニット22の所定位置(始動位置)への位置決めは、当該カッターユニット22の位置を検出する各種のセンサーを用いて行っても良い。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係るプリンター2は、ロール紙Pに対して所定情報を記録する記録部21を備えるプリンター2であって、ロール紙Pを一定の搬送速度vで所定の搬送方向Yに連続して搬送するプラテン21bと、記録部21により所定情報が記録されたロール紙Pを切断するカッターユニット22と、カッターユニット22を搬送方向Yに移動させる移動部23と、所定状態にあるカッターユニット22の移動部23による移動速度がロール紙Pの搬送速度vと略等しい速度となるまでに必要な加速時間tに基づいて、ロール紙Pのカッターユニット22により切断すべき切断位置Cにて当該カッターユニット22の加速を終了させるように移動部23の駆動を制御する駆動制御部28eと、を備えている。
これによれば、所定状態にあるカッターユニット22の移動速度がロール紙Pの搬送速度vと略等しい速度となるまでに必要な加速時間tに基づいて、ロール紙Pの切断位置Cにて当該カッターユニット22の加速を終了させるように移動部23(移動駆動モーター23a)の駆動を制御するので、ユーザーによる操作入力部(図示略)の所定操作に基づいて連続して搬送されるロール紙Pの搬送速度vをユーザー所望の速度に変化させたり、レシートQの長さによって当該ロール紙Pの切断位置Cが変化しても、カッターユニット22の加速が終了した時点で当該カッターユニット22をロール紙Pの切断位置Cと対向させて相対的な位置を固定した状態とした後、当該カッターユニット22をロール紙Pの搬送速度vと略等しい一定の速度で移動させるように、当該カッターユニット22の移動の制御を適正に行うことができる。よって、ロール紙Pの所望の切断位置Cでの切断を連続して適正に行うことができる。
【0040】
また、本実施形態では、駆動制御部28eは、カッターユニット22の加速時間tに基づいて、移動部23によるカッターユニット22の加速の開始タイミングを制御する。
これによれば、カッターユニット22の加速の開始タイミングを制御するので、連続して搬送されるロール紙Pの搬送速度vや当該ロール紙Pの切断位置Cが変化しても、カッターユニット22の加速が終了した時点で、当該カッターユニット22とロール紙Pの切断位置Cとを対向させて相対的な位置を固定した状態とすることができる。
【0041】
また、本実施形態では、カッターユニット22は、移動部23による移動速度がロール紙Pの搬送速度vと略等しい速度となった状態でロール紙Pの切断位置Cを切断する。
これによれば、カッターユニット22は、その移動速度がロール紙Pの搬送速度vと略等しい速度となった状態で当該ロール紙Pの切断位置Cを切断するので、カッターユニット22とロール紙Pの切断位置Cとを対向させて相対的な位置を固定した状態で、当該カッターユニット22によりロール紙Pの所望の切断位置Cでの切断を適正に行うことができる。
【0042】
また、本実施形態では、移動部23は、カッターユニット22を一定の加速度で移動させる。
これによれば、カッターユニット22を一定の加速度で移動させても、カッターユニット22の加速が終了した時点で、当該カッターユニット22とロール紙Pの切断位置Cとを対向させて相対的な位置を固定した状態とすることができる。
【0043】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
以下に、POS端末の変形例について説明する。
【0044】
<変形例1>
図6は、変形例1のPOS端末101の概略構成を示すブロック図である。また、図7は、変形例1のカッターユニット22の移動時間と移動速度との関係に対応させて当該カッターユニット22の動作を模式的に示す図である。
なお、変形例1のPOS端末101は、以下に詳細に説明する以外の点で上記実施形態のPOS端末1と略同様の構成をなし、詳細な説明は省略する。
【0045】
図6に示すように、POS端末101のプリンター2の制御部28は、CPU28a、ROM28b、RAM28c、データ生成処理部28d、駆動制御部28eに加えて、距離特定部28f(特定部)、距離判定部28g(判定部)を具備している。
【0046】
距離特定部28fは、特定部として、第1のレシートQ1(第1の記録媒体)を切断して所定状態にあるカッターユニット22が、移動部23による当該カッターユニット22の移動範囲H内でロール紙Pの搬送方向Y下流側に移動可能な距離Rを特定する。
即ち、この変形例1のプリンター2では、移動部23による当該カッターユニット22の移動範囲Hが上記実施形態よりも長く設計されており、例えば、ロール紙Pの搬送速度vによっては、所定状態(例えば、停止状態)にあるカッターユニット22が移動してロール紙Pを切断する動作を複数回(例えば、2回等)実行可能な程度となっている。
具体的には、駆動制御部28eの制御下にて、移動駆動モーター23aによりカッターユニット22がロール紙Pの搬送速度vと略等しい速度となるまで加速した後、当該ロール紙Pの切断位置Cに対向した状態でロール紙Pを切断することで第1のレシートQ1が生成される。その後、駆動制御部28eは、カッターユニット22を減速させるように移動駆動モーター23aの駆動を制御し、当該カッターユニット22は所定の減速期間を経て停止状態となる。このとき、距離特定部28fは、第1のレシートQ1を切断して停止状態にあるカッターユニット22が、移動部23による当該カッターユニット22の移動範囲H内でロール紙Pの搬送方向Y下流側に移動可能な距離Rを特定する。
【0047】
距離判定部28gは、判定手段として、距離特定部28fにより特定されたカッターユニット22の移動可能な距離Rが、移動部23によりカッターユニット22を移動させて第2のレシートQ2(第2の記録媒体)となるロール紙Pの切断位置Cにて当該カッターユニット22の加速を終了させるのに十分な距離であるか否かを判定する。
即ち、カッターユニット22が第1のレシートQ1に続けて搬送されるロール紙P(第2のレシートQ2)を切断位置Cで切断する際に、距離判定部28gは、距離特定部28fにより特定されたカッターユニット22の搬送方向Y下流側に移動可能な距離Rが、当該カッターユニット22をロール紙Pの搬送方向Y上流側に所定の距離戻すことなく搬送方向Y下流側に一定の加速度で所定時間移動させても、加速が終了した時点でカッターユニット22の可動刃22bと固定刃22aの対向位置Aと第2のレシートQ2の切断位置Cとを対向した状態とするのに十分な距離であるか否かを判定する。
【0048】
そして、距離判定部28gにより距離特定部28fにより特定されたカッターユニット22の搬送方向Y下流側に移動可能な距離Rが十分な距離であると判定されると、駆動制御部28eは、第1のレシートQ1と同様に、移動駆動モーター23aの駆動を制御して、ロール紙P(第2のレシートQ2)の切断位置Cにてカッターユニット22の加速を終了させるように当該カッターユニット22をロール紙Pの搬送方向Y下流側に移動させる。即ち、駆動制御部28eは、カッターユニット22を移動させる際に、当該カッターユニット22の移動速度がロール紙P(第2のレシートQ2)の搬送速度vと略等しい速度となるまで当該カッターユニット22を一定の加速度で移動させるように移動駆動モーター23aを駆動させる。
その一方で、距離判定部28gにより距離特定部28fにより特定されたカッターユニット22の搬送方向Y下流側に移動可能な距離Rが十分な距離でないと判定されると、駆動制御部28eは、移動駆動モーター23aの駆動を制御して、カッターユニット22をロール紙Pの搬送方向Y上流側に所定の距離戻した後、上記と同様に、カッターユニット22を移動させる際に、ロール紙P(第2のレシートQ2)の切断位置Cにてカッターユニット22の加速を終了させるように当該カッターユニット22をロール紙Pの搬送方向Y下流側に移動させる。
ここで、カッターユニット22をロール紙Pの搬送方向Y上流側に戻す所定の距離は、少なくとも距離特定部28fにより特定されたカッターユニット22の搬送方向Y下流側に移動可能な距離Rが加算された合計の距離が、加速が終了した時点のカッターユニット22の可動刃22bと固定刃22aの対向位置Aと第2のレシートQ2の切断位置Cとを対向した状態とするのに十分な距離となる程度の距離であり、当該カッターユニット22の減速及び停止を考慮した以上の距離とするのが好ましい。
【0049】
次に、変形例1のPOS端末101のプリンター2の動作について図5を参照して説明する。
図8は、レシートQを印刷する際のプリンター2の動作を示すフローチャートである。
以下のプリンター2の制御部28の機能は、当該制御部28のCPU28aがROM28bに記憶されている各種処理プログラムを実行することにより実現される。すなわち、制御部28の各機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。
【0050】
図8に示すフローチャートに示す各処理のうち、ステップS1〜S9の各処理は、上記実施形態と同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0051】
即ち、図8に示すように、ステップS9にて、カッターユニット22によるロール紙P(第1のレシートQ1)の切断後(ステップS9)、制御部28の距離特定部28fは、第1のレシートQ1を切断して移動範囲H内の所定位置で停止状態にあるカッターユニット22(図7参照)が、当該移動範囲H内でロール紙Pの搬送方向Y下流側に移動可能な距離Rを特定する(ステップS21)。
【0052】
次に、距離判定部28gは、距離特定部28fにより特定されたカッターユニット22の搬送方向Y下流側に移動可能な距離Rが、移動部23によりカッターユニット22を移動させてロール紙P(第2のレシートQ2)の切断位置Cにて当該カッターユニット22の加速を終了させるのに十分な距離であるか否かを判定する(ステップS22)。即ち、距離判定部28gは、停止状態にあるカッターユニット22をロール紙Pの搬送方向Y上流側に所定の距離戻すことなく搬送方向Y下流側に一定の加速度で所定時間移動させても、加速が終了した時点でカッターユニット22の可動刃22bと固定刃22aの対向位置Aとロール紙P(第2のレシートQ2)の切断位置Cとを対向した状態とするのに十分な距離であるか否かを判定する。
ここで、カッターユニット22の搬送方向Y下流側に移動可能な距離Rが十分な距離であると判定されると(ステップS22;YES)、カッターユニット22をロール紙Pの搬送方向Y上流側に所定の距離移動させることなく、処理をステップS2に戻す。
一方、カッターユニット22の搬送方向Y下流側に移動可能な距離Rが十分な距離でないと判定されると(ステップS22;NO)、処理をステップS10に移行して、上記実施形態と同様に、モータードライバー26は、カッターユニット22をロール紙Pの搬送方向Y上流側の所定位置に戻すように移動駆動モーター23aを駆動させた後(ステップS10)、処理をステップS2に戻す。
そして、ステップS2以降の各処理が実行されて、カッターユニット22によりロール紙Pが切断されることで第2のレシートQが形成される。
【0053】
従って、変形例1に係るプリンター2によれば、第1のレシートQ1(ロール紙P)を切断して所定状態にあるカッターユニット22が、移動部23による当該カッターユニット22の移動範囲H内でロール紙Pの搬送方向Y下流側に移動可能な距離Rを特定する距離特定部28fと、距離特定部28fにより特定された移動可能な距離Rが、移動部23によりカッターユニット22を移動させて第1のレシートQ1に続けて搬送される第2のレシートQ2(ロール紙P)の切断位置Cにて当該カッターユニット22の加速を終了させるのに十分な距離であるか否かを判定する距離判定部28gと、を更に備え、駆動制御部28eは、距離判定部28gにより十分な距離であると判定された場合に、移動可能な距離R内で第2のレシートQ2(ロール紙P)の切断位置Cにてカッターユニット22の加速を終了させるように当該カッターユニット22を移動部23により搬送方向Y下流側に移動させる。
これによれば、カッターユニット22の移動範囲H内でロール紙Pの搬送方向Y下流側に移動可能な距離Rが十分な距離である場合に、第1のレシートQ1に続けて搬送される第2のレシートQ2(ロール紙P)の切断位置Cにてカッターユニット22の加速を終了させるように当該カッターユニット22をロール紙Pの搬送方向Y下流側に移動させるので、カッターユニット22を第2のレシートQ2(ロール紙P)の切断位置Cと対向させるための移動距離を確保する上で、当該カッターユニット22をロール紙Pの搬送方向Y上流側に所定の距離移動させる必要がなくなり、当該カッターユニット22の移動の制御をより簡便なものとすることができる。
【0054】
また、本実施形態では、駆動制御部28eは、更に、距離判定部28gにより十分な距離でないと判定された場合に、カッターユニット22を移動部23によりロール紙Pの搬送方向Y上流側に所定の距離移動させた後、第2のレシートQ2(ロール紙P)の切断位置Cにてカッターユニット22の加速を終了させるように当該カッターユニット22を移動部23により搬送方向Y下流側に移動させる。
これによれば、カッターユニット22の移動範囲H内でロール紙Pの搬送方向Y下流側に移動可能な距離Rが十分な距離でない場合に、カッターユニット22をロール紙Pの搬送方向Y上流側に所定の距離移動させた後、第1のレシートQ1に続けて搬送される第2のレシートQ2(ロール紙P)の切断位置Cにてカッターユニット22の加速を終了させるように当該カッターユニット22をロール紙Pの搬送方向Y下流側に移動させるので、カッターユニット22の移動範囲H内でロール紙Pの搬送方向Y下流側に移動可能な距離Rが十分な距離でない場合であっても、カッターユニット22をロール紙Pの搬送方向Y上流側に所定の距離移動させるだけで、つまり、始動位置まで戻すことなく、カッターユニット22を第2のレシートQ2(ロール紙P)の切断位置Cと対向させて相対的な位置を固定した状態とするための移動距離を十分に確保することができ、当該カッターユニット22を必要以上にロール紙Pの搬送方向Y上流側に移動させる必要がなくなる。
【0055】
なお、上記実施形態にあっては、カッターユニット22によるロール紙Pの切断動作の際に、所定状態として、移動停止状態にあるカッターユニット22を一定の加速度で移動させるようにしたが、当該カッターユニット22が完全に停止した状態から移動させるのではなく、低速(微速)で移動している状態を所定状態として、一定の加速度で移動させるようにしても良い。同様に、変形例1にあっても、第1のレシートQ1の切断後のカッターユニット22を完全に停止させるのではなく、低速(微速)で移動させるようにしても良い。
【0056】
また、上記実施形態にあっては、移動部23によりカッターユニット22を一定の加速度で移動させるようにしたが、当該加速度を可変させて移動させても良い。即ち、カッターユニット22によるロール紙Pの切断動作の際に、必ずしも当該カッターユニット22の加速の開始タイミングを制御する必要はなく、例えば、当該カッターユニット22を移動させる際の加速度を制御しても良い。
さらに、カッターユニット22の移動速度をロール紙Pの搬送速度vよりも高速となるように加速させた後、当該カッターユニット22の移動速度を減速させてロール紙Pの搬送速度vと略等しい一定の速度とするようにしても良い。
【0057】
加えて、上記実施形態にあっては、プリンター2の制御部28のCPU28aによって所定のプログラム等が実行されることにより実現される構成としたが、これに限られるものではなく、例えば、各種機能を実現するためのロジック回路等から構成しても良い。
【符号の説明】
【0058】
1…POS端末、2…プリンター(記録装置)、21…記録部、21b…プラテン(搬送部)、22…カッターユニット(切断部)、23…移動部、28…制御部(搬送制御部、移動制御部)、28e…駆動制御部、28f…距離特定部(特定部)、28g…距離判定部(判定部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録する記録部と、
前記記録媒体を一定の搬送速度で搬送方向に搬送可能な搬送部と、
前記記録部により記録された前記記録媒体を切断する切断部と、
前記切断部を前記搬送方向に移動させる移動部と、
所定状態にある前記切断部を前記移動部により加速させ移動速度が前記搬送速度と略等しい速度となるまでに必要な加速時間に基づいて、前記記録媒体の前記切断部により切断すべき切断位置にて当該切断部の加速を終了させるように前記移動部の駆動を制御する制御部と、を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記加速時間に基づいて、前記移動部による前記切断部の加速の開始タイミングを制御することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
第1の記録媒体を形成する前記記録媒体を切断して所定状態にある前記切断部が、前記移動部による当該切断部の移動範囲内で前記搬送方向下流側に移動可能な距離を特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記移動可能な距離が、前記移動部により前記切断部を移動させて前記第1の記録媒体に続けて搬送される第2の記録媒体を形成する前記記録媒体の前記切断位置にて当該切断部の加速を終了させるのに十分な距離であるか否かを判定する判定部と、を更に備え、
前記制御部は、
前記判定部により前記十分な距離であると判定された場合に、前記移動可能な距離内で前記第2の記録媒体を形成する前記記録媒体の前記切断位置にて前記切断部の加速を終了させるように当該切断部を前記移動部により前記搬送方向下流側に移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、更に、
前記判定部により前記十分な距離でないと判定された場合に、前記切断部を前記移動部により前記搬送方向上流側に所定の距離移動させた後、前記第2の記録媒体を形成する前記記録媒体の前記切断位置にて前記切断部の加速を終了させるように当該切断部を前記移動部により前記搬送方向下流側に移動させることを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記切断部は、
前記移動部による移動速度が前記搬送速度と略等しい速度となった状態で記録媒体の前記切断位置を切断することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記移動部は、前記切断部を一定の加速度で移動させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項7】
記録が行われた記録媒体の切断方法であって、
前記記録装置は、
前記記録媒体に記録する記録部によって記録が行われた記録媒体を切断する切断部を備え、
記録媒体を一定の搬送速度で所定の搬送方向に連続して搬送する処理と、
前記切断部を前記搬送方向に移動させる処理と、
前記切断部の移動速度が前記搬送速度と略等しい速度となるまでに必要な加速時間に基づいて、前記記録媒体の前記切断部により切断すべき切断位置にて当該切断部の加速を終了させるように前記切断部の移動を制御する処理と、を行うことを特徴とする切断方法。
【請求項8】
記録媒体に記録する記録部と、前記記録部により記録された記録媒体を切断する切断部と、を備える記録装置の制御部により実行されるプログラムであって、
前記制御部を、
記録媒体を一定の搬送速度で所定の搬送方向に連続して搬送させる搬送制御部、
前記切断部を前記搬送方向に移動させる移動制御部、
前記移動制御部による前記切断部の移動速度が前記搬送速度と略等しい速度となるまでに必要な加速時間に基づいて、前記記録媒体の前記切断部により切断すべき切断位置にて当該切断部の加速を終了させるように前記移動制御部の駆動を制御する駆動制御部、として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−206238(P2012−206238A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75822(P2011−75822)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)