説明

記録装置、記録装置の制御方法、及びコンピュータプログラム

【課題】記憶媒体用の入出力バスのクロック周波数を決定する際の記録装置の待ち時間を記録装置の容量を大幅に増大させずに低減すると共に、記憶媒体用の入出力バスのクロック周波数が不適切なことによる消費電力の増大を低減する。
【解決手段】デジタルカメラ100で撮像された1枚の画像データを記憶媒体150に転送した期間であるバースト転送期間T260と、転送した画像データのデータ量とに基づいて、画像データの記憶媒体150への転送速度を導出する。この転送速度と、入出力バスの幅から入出力バスクロック周波数f2を算出し、入出力バスクロック周波数f1を、算出した入出力バスクロック周波数f2に変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置、記録装置の制御方法、及びコンピュータプログラムに関し、特に、記録装置に装着された着脱可能な記憶媒体に対してデータの入出力を行うために用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
記録装置(情報処理装置)の状態に応じて、記録装置全体のクロック周波数(CPUを動作させるクロック周波数)を低くすることにより、記録装置の消費電力を低減する技術が知られている。
このような技術として、記録装置で動作中のユーザプロセスの有無により記録装置の状態を変え、その状態に応じてクロック周波数を制御する技術が知られている(特許文献1を参照)。
また、記録装置の複数の部分毎に、クロック周波数を個別に制御し、かつ、各部分を監視する技術がある(特許文献2を参照)。この技術では、各部分の動作状態によって、必要に応じて、各部分のクロック周期を下げることで、効率良く記録装置の消費電力を減少させることができる。
一方、最近の着脱可能な記憶媒体(半導体メモリ、磁気ディスク、フラッシュ・メモリ・カード等)は大容量化し、それに比例するようにデータの入出力速度も向上している。
そのため、記録装置に対して着脱される記憶媒体には、データを高速に書き込むことができる記憶媒体もある。
しかしながら、記憶媒体用の入出力バスのクロック周波数を変更できる記録装置に、高速にデータの入出力を行うことに対応していない記憶媒体(例えばフラッシュ・メモリ・カード)を差し込むと、次のような問題が生じる虞がある。すなわち、高いクロック周波数で記憶媒体に対してデータの入出力を行った場合の書き込み速度と、低いクロック周波数で記憶媒体に対してデータの入出力を行った場合の書き込み速度とに、差が生じないことがある。
【0003】
この結果、記憶媒体用の入出力バスのクロック周波数を変更できる記録装置に、高速にデータの入出力を行うことに対応していない記憶媒体を差し込み、この記憶媒体に対してデータの入出力を行うと、記録装置において無駄な電力を消費する場合がある。この問題に対して、データの書き込み速度をできるだけ落とさずに、記憶媒体用の入出力バスのクロック周波数を低くすることにより、記録装置の無駄な消費電力を低減することができるようにする技術が提案されている(特許文献3を参照)。
【0004】
特許文献3に記載の技術では、データの入出力速度を著しく低下させない範囲で、記憶媒体用の入出力バスのクロック周波数を可能な限り下げることで最適なクロック周波数を決定する。このクロック周波数を決定する周波数決定処理は、記録装置に記憶媒体を装着したときに実行される。この周波数決定処理において、記録装置に装着された記憶媒体の個体識別情報と、データの入出力速度特性としての「入出力バスのクロック周波数」と、の組で構成された記憶媒体のクロック特性テーブルをROMに格納する。このとき、記録装置は、データの入出力速度を計測するために、計測に十分な量なデータを記憶媒体に対して送信する。以降、この記憶媒体に供給するクロックは、このクロック特性テーブルに格納された「入出力バスのクロック周波数」で動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−191017号公報
【特許文献2】特開2000−148279号公報
【特許文献3】特開2006−350968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3に記載の技術では、前述の周波数決定処理を、記録装置に記憶媒体を装着したときに行う。このため、記録装置に記憶媒体を装着したタイミングで、データの入出力速度の計測に十分な量のデータを送信してしまうと、記録装置が記憶媒体の装着を検知してから、所定の動作状態に状態を移行するまでに時間を要する可能性がある。例えば、記録装置がデジタルカメラ等の撮像装置である場合、デジタルカメラに記憶媒体が装着されてから、デジタルカメラの状態が撮影可能な動作状態に移行するまで待ち時間が生じる。
【0007】
また、記憶媒体に十分な空き容量が存在しない場合には、データの入出力速度の計測を実行できない。また、計測に用いるデータ量を小さく制限してしまうと、精度の高いデータの入出力速度を計測することが出来ない。
特許文献3には、計測に時間を要する問題に対して、次のようにすることが記載されている。すなわち、特許文献3に記載の技術では、前述したように、ROM等に、記憶媒体のクロック特性テーブルを記憶する。このクロック特性テーブルには、その記憶媒体に固有の個体識別情報と、データの入出力速度特性としての「入出力バスのクロック周波数」とが書き込まれる。このようにすることによって、記憶媒体が挿入された際に、当該記憶媒体についての「入出力バスのクロック周波数」がクロック特性テーブルにある場合には、「入出力バスのクロック周波数」の計測を行わないようにすることができる。
【0008】
しかしながら、ROMの容量が限られている記録装置等では、データの入出力速度特性を、記憶媒体毎に逐一記録すると、すぐにROMの容量が圧迫される。このため、ROMの容量が限られている記録装置等では、クロック特性テーブルを採用することは難しい。
また、特許文献3の記載の技術では、記録装置は、記憶媒体が装着されたときに、データの入出力速度の計測と、入出力バスのクロック周波数の決定とを実行する。そして、以降は、その入出力バスのクロック周波数で、記憶媒体に対するデータの入出力の動作をし続ける。しかしながら、例えば、記憶媒体の物理的な劣化により、データの入出力速度が低下したり、記憶媒体に形成された論理的な記録形式(ファイルシステム等)におけるデータフラグメント等により、データの入出力速度が低下したりすることがある。特許文献3に記載の技術では、このようなことが、記録装置の動作中に発生しても、それに追従して、入出力バスのクロック周波数を再決定することができない。このため、無駄な電力を記録装置が消費することに繋がる。
【0009】
そこで、本発明は、記憶媒体用の入出力バスのクロック周波数を決定する際の記録装置の待ち時間を記録装置の容量を大幅に増大させずに低減すると共に、記憶媒体用の入出力バスのクロック周波数が不適切なことによる消費電力の増大を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の記録装置は、着脱可能な記憶媒体に対してデータの入力と出力の少なくとも何れか一方を実行する記録装置であって、前記記憶媒体への出力がユーザによって指示されたデータが、前記記憶媒体へ出力された際の、当該データの転送時間、または、前記記憶媒体からの入力がユーザによって指示されたデータが、前記記憶媒体から入力された際の、当該データの転送時間を計測する計測手段と、前記計測手段により計測されたデータの転送時間と、前記記憶媒体へ出力または前記記憶媒体から入力された当該データのデータ量とに基づいて、当該データの転送速度を導出する導出手段と、前記導出手段により導出された転送速度に応じて、前記記憶媒体と前記記録装置とを相互に接続する部分である入出力バスのクロック周波数を決定する決定手段と、前記決定手段により決定されたクロック周波数に、前記入出力バスのクロック周波数を変更し、変更したクロック周波数で前記入出力バスを動作させて、前記記憶媒体へのデータの出力または前記記憶媒体からのデータの入力を行う制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユーザによって指示されたデータが、着脱可能な記憶媒体に対して出力または入力された際の当該データの転送時間を計測した結果に基づいて当該データの転送速度を導出し、導出した転送速度に応じて、入出力バスのクロック周波数を決定する。このように、実際に記憶媒体に対して出力または入力されたデータを使用する。よって、入出力バスのクロック周波数を決定する際の記録装置の待ち時間を低減することができると共に、入出力バスのクロック周波数を記憶媒体ごとに保持する必要がなくなる。また、実際に記憶媒体に対して出力または入力されたデータを使用するので、入出力バスのクロック周波数を高精度に求めることができる。これにより、記録装置の消費電力の増大を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】デジタルカメラの構成を示す図である。
【図2】スチル画像を1枚撮影する際のデジタルカメラの動作を説明する図である。
【図3】連続撮影をする際のデジタルカメラの動作を説明する図である。
【図4】UMLのシーケンス図を用いて制御プログラムを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳しく説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る記録装置の一例であるデジタルカメラの構成の一例を示す図である。
本実施形態の記録装置は、撮像素子を用いて撮影した静止画像又は動画像の画像データを、所定のファイル形式で、当該記録装置に着脱可能な記憶媒体に記録する機能を有する装置である。
以下、各実施形態では、記録装置がデジタルカメラである場合を例に挙げて説明する。しかしながら、記録装置は、当該記録装置に記憶媒体を着脱可能であり、かつ、当該記憶媒体に対してデータの入出力(読み書き)を行うためのインターフェースを有するものであれば、デジタルカメラに限るものではない。例えば、記録装置は、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ付き携帯電話等の、デジタルカメラとしての機能を有する装置であってもよい。
【0014】
図1において、デジタルカメラ100には、記憶媒体150が着脱される。
撮影レンズユニット101は、複数のレンズ(レンズ群)を備えている。デジタルカメラ100は、撮影レンズユニット101を、他の撮影レンズユニットに交換することが可能である。
撮影レンズユニット101は、マイクロコンピュータ126と通信し、その結果に基づいて、撮影レンズユニット101内部のレンズ制御回路101aを制御する。具体的に、撮影レンズユニット101は、撮影レンズユニット101内のフォーカシングレンズを変移させることにより、焦点を合わせる(すなわち、オートフォーカス機能を実行する)。
フォーカシングレンズの変移量は、測距回路117の出力に基づき、マイクロコンピュータ126で演算される。また、撮影レンズユニット101内には絞り制御回路101bが設けられている。撮影レンズユニット101は、マイクロコンピュータ126と通信し、その結果に基づいて、絞り制御回路101bを制御する。具体的に、撮影レンズユニット101は、光学的な絞り値を変化させる。
【0015】
クイックリターンミラー102は、撮影光路中に配置される。クイックリターンミラー102は、撮影レンズユニット101(撮影レンズ)からの被写体光をファインダ光学系(不図示)に導く位置と撮影光路外に退避する位置との間で移動することが可能である。
シャッタ103は、露光を制御するものである。光学フィルタ104は、透過する光を調整するものである。光学フィルタ104は、防塵ガラスで覆われている。撮像素子105は、光学像を電気信号に変換する。A/D変換器106は、撮像素子105からのアナログ信号の出力をディジタル信号に変換する。
【0016】
タイミング発生回路108は、撮像素子105及びA/D変換器106に対してクロック信号や制御信号を供給する。このタイミング発生回路108は、後述するメモリ制御回路111及びマイクロコンピュータ126により制御される。
【0017】
画像処理回路107は、A/D変換器106からの画像データ、或いはメモリ制御回路111からの画像データに対して、当該画像データに付加されている処理データ等に基づき、所定の画素補間処理や現像処理等を行う。
メモリ制御回路111は、A/D変換器106、画像処理回路107、タイミング発生回路108、画像表示メモリ112、メモリ113、及び圧縮/伸長回路114を制御する。
A/D変換器106からのデータが、画像処理回路107及びメモリ制御回路111を介して、画像表示メモリ112或いはメモリ113に書き込まれる。
表示部110は、TFT又はLCD等を備える。画像表示メモリ112に書き込まれた表示用の画像データは表示制御回路109により表示部110に表示される。
【0018】
メモリ113は、例えばRAMであり、以下のメモリ領域を有している。すなわち、メモリ113は、撮影した非圧縮の画像データを一時的に格納するイメージバッファとしての領域を有する。また、メモリ113は、画像処理回路107にて画像データを現像処理する際に使用する処理データや、AF/AE/AWBの演算結果の保持や、その他一時的に使用するデータを記憶するワークバッファとしての領域を有する。また、メモリ113は、圧縮/伸長回路114で圧縮された圧縮画像データを格納するファイルバッファとしての領域を有する。
メモリ113は、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶容量を備えている。これにより、複数枚の静止画像を連続して撮影する連写撮影の場合であっても、メモリ113に対して高速にかつ大量の画像データの書き込みを行うことが可能となる。
【0019】
圧縮/伸長回路114は、離散コサイン変換(DCT)等により画像データをJPEGデータとして圧縮伸長する。圧縮/伸長回路114は、メモリ113に格納された画像データを読み出して圧縮処理或いは伸長処理を行う。圧縮/伸長回路114は、圧縮処理或いは伸長処理を終えたデータをメモリ113に書き込む。
シャッタ制御回路115は、シャッタ103の動作を制御する。
【0020】
ミラー制御回路116は、クイックリターンミラー102を、撮影光路の内外に駆動する。測距回路117は、撮影レンズユニット101のフォーカシングレンズの変位量を制御する。測光回路118は、被写体の輝度を測定する。測光回路118からの出力により、露出が制御される。
【0021】
記憶媒体制御部123は、メモリカード等の記憶媒体150に対する読み書きを制御する。記憶媒体制御部123は、クロック周波数制御部123aと、内部バッファ123bとを有する。クロック周波数制御部123aは、記憶媒体制御部123から記憶媒体150に出力される入出力バスクロック信号の周波数を制御する。内部バッファ123bは、記憶媒体制御部123が記憶媒体150とデータを送受信する際、一時的に送受信データを蓄積する。ここで、入出力バスクロック信号は、デジタルカメラ100と記憶媒体150とを接続する部分(入出力バス。本実施形態では、コネクタ125及びコネクタ151)のクロック信号である。
【0022】
DMA制御部124は、メモリ113に保存された画像ファイルデータを、記憶媒体制御部123を介して記憶媒体150に転送する機能と、記憶媒体150から転送されたデータを、記憶媒体制御部123を介してメモリ113に保存する機能とを有する。
マイクロコンピュータ126は、デジタルカメラ100の動作を統括制御する。
タイマ制御部160は、基準クロックのサイクル数を計数することによって時間を計測する機能を有する。タイマ制御部160は、計測開始レジスタ160aと、計測終了レジスタ160bと、計測値レジスタ160cとを有する。計測開始レジスタ160aは、タイマ制御部160に、時間の計測の開始を指示するためのレジスタである。計測終了レジスタ160bは、タイマ制御部160に、時間の計測の終了を指示するためのレジスタである。計測値レジスタ160cは、タイマ制御部160によって計測された時間の値を取得するためのレジスタである。
【0023】
割り込み制御部161は、DMA制御部124や記憶媒体制御部123等の各部で発生した割り込みを、マイクロコンピュータ126に通知する機能を有する。
不揮発性メモリ119には、撮像処理を行うプログラム、画像処理を行うプログラム、及び画像ファイルデータを記憶媒体150に記録するプログラム等の各種プログラムが記録されている。また、不揮発性メモリ119には、これらのプログラムのマルチタスク構成を実現し実行するOS等の各種プログラム、及び各種制御を行うための調整値等が記録されている。
【0024】
次に、デジタルカメラ100が備える各操作部材の一例について説明する。
レリーズスイッチ120及びメニュー操作スイッチ121は、マイクロコンピュータ126の各種の動作指示を入力するための操作部材である。レリーズスイッチ120及びメニュー操作スイッチ121は、各種ボタンスイッチ、ダイアル、及びタッチパネルの少なくとも何れか1つ等により構成される。
ここで、これらの操作部材の一例を具体的に説明する。
【0025】
レリーズスイッチ120は、次に示す一連の処理の動作開始を指示するための操作部材である。レリーズスイッチ120がユーザによって半押しされると、レリーズスイッチ120はSW1の状態となり、そのことを示す信号がマイクロコンピュータ126に出力される。この信号がマイクロコンピュータ126に出力されると、AF(オートフォーカス)処理、及びAE(自動露出)処理等の撮影準備動作の開始が指示する。レリーズスイッチ120がユーザによって全押しされると、レリーズスイッチ120はSW2の状態となり、そのことを示す信号がマイクロコンピュータ126に出力される。この信号がマイクロコンピュータ126に出力されると、撮像処理、ホワイトバランス補正処理、現像処理、及び記録処理等が行われる。撮像処理は、撮像素子105から出力された信号を、A/D変換器106及びメモリ制御回路111を介して、メモリ113に画像データとして書き込む処理である。ホワイトバランス補正処理は、画像データに対して設定されているホワイトバランスモードに応じて、ホワイトバランスを調整する処理である。ホワイトバランス補正処理は、画像処理回路107により実行される。記録処理は、メモリ113から、現像された画像データ(撮像データ)を読み出し、その撮像データに対して圧縮を行い、記憶媒体150に圧縮された撮像データを書き込む処理である。撮像データに対する圧縮は、圧縮/伸長回路114により行われる。
【0026】
メニュー操作スイッチ121は、例えば、不図示のメニューキー、セットキー、及び十字キーの組み合わせで構成される。ユーザは、デジタルカメラ100の撮影条件や現像条件等の各種設定の変更や、外部記憶媒体の省電力モードの選択等の各種操作を、表示部110に表示される画面表示を見ながらメニュー操作スイッチ121を操作することにより行うことができる。
【0027】
次に、デジタルカメラ100と接続される各構成要素及び付属部材について説明する。
電源制御回路122は、電池検出回路、DC−DCコンバータ、及び通電するブロックを切り換えるスイッチ回路等を備える。
電源制御回路122は、電池の装着の有無、電池の種類、及び電池残量の検出を行う。そして、電源制御回路122は、これらの検出結果と、マイクロコンピュータ126からの指示とに基づいて、DC−DCコンバータを制御する。これにより、必要な電圧が必要な期間、記憶媒体150を含む各部へ供給される。
コネクタ125は、デジタルカメラ100と、メモリカード等の記憶媒体150とを相互に電気的に接続するためのものである。
【0028】
記憶媒体150は、例えば、半導体メモリで構成されたメモリカードである。記憶媒体150は、コネクタ151と、メモリ制御部152と、記憶媒体部153とを有する。コネクタ151は、デジタルカメラ100と記憶媒体150とを相互に電気的に接続するためのものである。メモリ制御部152は、記憶媒体部153に対するデータの読み書きを制御する。記憶媒体部153は、例えば、半導体メモリから構成される。
【0029】
前述したように、レリーズスイッチ120の全押し(SW2操作)によって撮像処理が開始されると、撮像データがメモリ113に書き込まれる。そして、圧縮・伸長回路114は、メモリ113に書き込まれた撮像データに対して圧縮を行い、撮像データをJPEG等の画像データとする。この画像データが、記憶媒体制御部123を介して、メモリ113から記憶媒体150に転送される。
【0030】
この際、メモリ113から、記憶媒体制御部123の内部バッファ123bに対しての画像データの転送は、DMA制御部124によって行われる。
記憶媒体制御部123は、自身の内部バッファ123bに、一定量のデータが蓄積されると、クロック周波数制御部123aが発生する入出力バスクロック信号に同期して画像データを転送する。
【0031】
図2は、スチル画像を1枚撮影する際のデジタルカメラ100の動作の一例を説明する図である。
図2を参照しながら、デジタルカメラ100が記憶媒体150への画像データの転送を開始してから、画像データの転送時の転送速度に応じて入出力バスクロック周波数を変更するまでの一連の工程の一例を説明する。
【0032】
図2において、横軸は、時間軸を表している。図2では、各信号及び状態の時間推移を示している。
レリーズスイッチSW2信号200は、レリーズスイッチ120のSW2のオン・オフの状態を示す信号である。レリーズスイッチ120のSW2がオンの状態(レリーズスイッチ120が全押しの状態)のときに、レリーズスイッチSW2信号200の信号レベルはHighになる。一方、レリーズスイッチ120のSW2がオフの状態(レリーズスイッチ120の全押しが解除された状態)のときに、レリーズスイッチSW2信号200の信号レベルはLowになる。
転送開始指示信号201は、マイクロコンピュータ126がDMA制御部124に対して、画像データのDMA転送の開始を指示するタイミングを示す信号である。転送開始指示信号201は、画像データのDMA転送の開始が指示されるタイミングで一定時間Highになる。
【0033】
クロック信号202は、入出力バスクロック信号である。
データバス状態203は、画像データの転送状態を示す。
転送完了通知信号204は、画像データの転送の完了を通知するタイミングを示す信号である。転送完了通知信号204は、画像データの転送の完了が通知されるタイミングで一定時間Highになる。
記録装置内部処理205は、デジタルカメラ100の内部処理の状態遷移を示す。
【0034】
まず、ステップS220のタイミングで、マイクロコンピュータ126は、レリーズスイッチ120のSW2がオンの状態、すなわち、レリーズスイッチ120が全押し状態になったことを検知すると、撮像処理ST230を実行する。
そして、1枚分の画像データが生成されると、マイクロコンピュータ126は、計測開始処理ST231を実行する。具体的に、マイクロコンピュータ126は、タイマ制御部160の計測開始レジスタ160aを設定し、時間の計測を開始させる。
次に、ステップS221のタイミングで、マイクロコンピュータ126は、DMA制御部124に対して、画像データのDMA転送の開始を指示する。
【0035】
このDMA転送の開始の指示により、DMA制御部124は、転送開始処理ST232を実行する。具体的に、DMA制御部124は、記憶媒体制御部123の内部バッファ123bに対して画像データを送信する。
記憶媒体制御部123は、内部バッファ123bに一定量の画像データが蓄積されると、送信対象の画像データは、例えば、セクタブロック単位等の「入出力バス物理層の転送データブロック単位」に分割され、記憶媒体150に送信される。
【0036】
まず、記憶媒体制御部123は、入出力バスクロック信号に同期して、記憶媒体150に転送する画像データ(転送データブロック206)を送信する。
このとき記憶媒体150は、受信した転送データブロック206を、メモリ制御部152を介して記憶媒体部153に書き込む。記憶媒体150は、記憶媒体部153への書き込み速度限界等により、これ以上、転送データブロック206を受信できなくなると、デジタルカメラ100からの転送データブロック206の受信を一時的に中断する。そのために、記憶媒体150は、Busy信号207をデジタルカメラ100に送信する。
【0037】
Busy信号207が記憶媒体150によって解除されると、デジタルカメラ100は、転送データブロック208を送信する(転送データブロックの送信を再開する)。
その後、再び記憶媒体150からBusy信号209が送信されると、デジタルカメラ100は、再び転送データブロック208の送信を中断する。
その後、再びBusy信号209が記憶媒体150によって解除されると、デジタルカメラ100は、転送データブロック210を送信する(転送データブロックの送信を再開する)。
【0038】
ここで、転送データブロック206の送信から転送データブロック210の送信までの一連の区間をバースト転送期間T260と称する。バースト転送期間T260におけるデジタルカメラ100の処理を転送1回目バースト転送処理ST233と称する。
このバースト転送期間T260は、周波数f1期間T270に含まれている。周波数f1期間T270は、クロック信号202(入出力バスクロック信号)がクロック周波数f1で動作している期間である。バースト転送期間T260における一連のデータの転送は、このクロック周波数f1のクロック信号202に同期して行われる。
【0039】
転送データブロック210の転送の完了によって、DMA制御部124に予め指定されたデータ転送量分の転送データブロックの転送が完了すると、ステップS222のタイミングで、マイクロコンピュータ126に対して転送の完了が通知される。この通知は、例えば、割り込み制御部161からマイクロコンピュータ126への割り込み通知処理等により行われる。この転送完了通知を受けると、マイクロコンピュータ126は、転送終了処理ST234を行う。そして、マイクロコンピュータ126は、計測終了処理ST235を行う。具体的に、マイクロコンピュータ126は、タイマ制御部160の計測終了レジスタ160bを設定し、タイマ制御部160に対して、時間の計測の終了を指示する。さらに、マイクロコンピュータ126は、計測値レジスタ160cから読み出された計測値、すなわちバースト転送期間T260を読み出す。
【0040】
次に、マイクロコンピュータ126は、転送速度算出処理ST236を実行する。具体的に、マイクロコンピュータ126は、タイマ制御部160により計測されたバースト転送期間T260と、バースト転送期間T260で実際に転送されたデータのデータ量(の総量)とから、転送速度を算出する処理を実行する。転送速度は、以下の(式1)のようにして求められる。
[転送速度(bit/s)]=[転送総量(bit)]/[バースト転送期間(s)] ・・・(式1)
【0041】
次に、マイクロコンピュータ126は、周波数算出・変更処理ST237を実行する。具体的に、マイクロコンピュータ126は、以上のようにして算出された転送速度を、入出力バスのバス幅のビット数で除算することで、入出力バスクロック信号のクロック周波数f2を算出する((式2)を参照)。以下の説明では、入出力バスクロック信号のクロック周波数を必要に応じて「入出力バスクロック周波数」と称する。
[入出力バスクロック周波数f2(Hz)]=[転送速度(bit/s)]/[入出力バスのバス幅(bit)] ・・・(式2)
【0042】
尚、クロック周波数制御部123aの周波数設定値の精度上、(式2)で算出された入出力バスクロック周波数の値をそのままクロック周波数制御部123aに設定出来ない場合がある。このような場合、マイクロコンピュータ126は、クロック周波数制御部123aに設定可能な精度でその近傍値を求め、求めた近傍値を、クロック周波数制御部123aに設定する「入出力バスクロック信号のクロック周波数」として決定することができる。近傍値は、クロック周波数制御部123aに設定可能な周波数であって、(式1)で算出された転送速度でデータを転送可能な周波数のうち、(式2)で算出された入出力バスクロック周波数に最も近い周波数である。
【0043】
マイクロコンピュータ126は、以上のようにして得られる新たな入出力バスクロック周波数f2をクロック周波数制御部123aに再設定する。そうすると、ステップS223のタイミングで、クロック周波数制御部123aは、新たな入出力バスクロック周波数f2のクロック信号202を記憶媒体150に出力し始める。以降、周波数f2期間T271の間、入出力バスのデータの転送は、入出力バスクロック周波数f2のクロック信号202に同期して行われる。
【0044】
以上のように本実施形態では、デジタルカメラ100で撮像された1枚の画像データの、記憶媒体150との間の転送時間であるバースト転送期間T260と、転送した画像データのデータ量とに基づいて、画像データの記憶媒体150への転送速度を導出する。この転送速度と、入出力バスの幅から入出力バスクロック周波数f2を算出し、入出力バスクロック周波数f1を、算出した入出力バスクロック周波数f2に変更する。
【0045】
このように、デジタルカメラ100が記憶媒体150に実際の画像データを記録している際に、その画像データを用いて転送速度(記憶媒体150への画像データの出力速度)を計測する。このため、例えば、デジタルカメラ100の起動時の記憶媒体150の認識時や、記憶媒体150の挿入時等に、転送速度を計測するためのデータの書き込みを行う必要がなくなる。よって、所定の動作(例えば撮影動作)を開始するまでのデジタルカメラ100の待ち時間を可及的に短くすることができる。また、記憶媒体150毎に、入出力バスクロック周波数を個別に記憶する必要がなくなる。
また、ユーザの動作の指示に基づき、実際にデジタルカメラ100が記憶媒体150に記録する画像データを用いて、転送速度を計測する。このため、より実際のデータの入出力に即した精度の高いバースト転送期間T260の算出が可能になる。これにより、入出力バスクロック周波数も高精度に算出することができる。さらに、実際の運用中に、記憶媒体150の物理的な劣化や、記録形式のデータフラグメントに起因して、記憶媒体150に対するデータの入出力速度の低下が発生しても、その時の入出力速度に応じた入力バスクロック周波数を算出することができる。以上により、デジタルカメラ100における無駄な消費電力を更に低減することができる。
【0046】
本実施形態では、デジタルカメラ100から記憶媒体150へ画像データを書き込むときに、記憶媒体150への画像データの出力速度を転送速度として計測(算出)する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。すなわち、デジタルカメラ100が、記憶媒体150から画像データを読み出すときに、記憶媒体150からのデータの入力速度を計測(算出)するようにしてもよい。
【0047】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、デジタルカメラ100で1枚の画像データの撮影を実行した際の「当該画像データの記憶媒体150への転送と、入出力バスクロック周波数の変更のタイミング」等について説明した。これに対し、本実施形態では、画像データの連続撮影を実行した際の「当該画像データの記憶媒体150への転送と、入出力バスクロック周波数の変更のタイミング」等について説明する。このように、本実施形態は、複数枚の画像データを連続して撮影することによる処理が第1の実施形態と主として異なる。したがって、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の部分については、図1及び図2に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
【0048】
図3は、連続撮影をする際のデジタルカメラ100の動作の一例を説明する図である。図3において、横軸は、時間軸を表している。図2では、各信号及び状態の時間推移を示している。図3に示すレリーズスイッチSW2信号300、転送開始指示信号301、クロック信号302、データバス状態303、転送完了通知信号304、記録装置内部処理305の意味は、図2に示したものと同じである。また、周波数f1期間T270及びバースト転送期間T260の意味も、図2に示したものと同じである。さらに、記録装置内部処理205に含まれる各処理の意味も、図2に示したものと同じである。
【0049】
まず、ステップS220のタイミングで、マイクロコンピュータ126は、レリーズスイッチ120のSW2がオンの状態、すなわち、レリーズスイッチ120が全押しの状態になったことを検知すると、撮像処理ST330を実行する。
この撮像処理ST330では、デジタルカメラ100は、レリーズスイッチ120のSW2が引き続きオンの状態(全押しが継続している状態)にある場合、連続的に画像データを生成し、生成した画像データを、メモリ113に蓄積出来る限り格納する。
【0050】
撮像処理ST330が終わると、マイクロコンピュータ126は、計測開始処理ST331を実行して、タイマ制御部160の時間計測機能を起動する。次に、ステップS321のタイミングで、マイクロコンピュータ126は、DMA制御部124に対して、画像データの転送の開始を指示する。そして、最終的にステップS323のタイミングで、入出力バスのクロック信号302の入出力バスクロック周波数がf1からf2に変更される。これら計測開始処理ST331から周波数算出・変更処理ST337までの工程は、第1の実施形態と同じである。
【0051】
以上のようにして1枚目の画像データの記憶媒体150への転送と1回目の入出力バスクロック周波数の変更とが完了した後、2枚目の画像データの転送が開始する。
まず、マイクロコンピュータ126は、計測開始処理ST338を実行する。具体的に、マイクロコンピュータ126は、タイマ制御部160の計測開始レジスタ160aを設定し、時間の計測を開始させる。次に、ステップS323のタイミングで、マイクロコンピュータ126は、DMA制御部124に対して、画像データの転送の開始を指示する。
そして、DMA制御部124は、転送開始処理ST339を実行する。具体的に、DMA制御部124は、記憶媒体制御部123の内部バッファ123bに対して2枚目の画像データを送信する。
前述した通り、入出力バスクロック周波数はf1からf2に変更されている。よって、転送2回目バースト転送処理ST340では、転送2回目において転送される転送データブロック311、312、313は、入出力バスクロック周波数f2のクロック信号に同期して送信される。
【0052】
2回目の転送における全ての転送データブロック311、312、313の送信が完了すると、ステップS325のタイミングで、DMA制御部124は、マイクロコンピュータ126に対して転送の完了を通知する。以降の処理は、第1の実施形態と同じである。すなわち、転送終了処理ST341は、図2に示した転送終了処理ST234と同じであり、計測終了処理ST342は、図2に示した計測終了処理ST235と同じである。さらに、転送速度算出処理ST343は、図2に示した転送速度算出処理ST236と同じであり、周波数算出・変更処理ST344は、図2に示した周波数算出・変更処理ST237と同じである。
【0053】
2回目の転送時に使用される入出力バスクロック周波数f2は、1回目の転送に使用された入出力バスクロック周波数f1よりも低速である。このため、入出力バスにおけるデータの通信速度は低下する。これにより、記憶媒体150の記憶媒体部153へのデータの書き込み速度が、入出力バスのデータ通信速度に追いつかないことによって、Busy信号の送信と、データの送受信の一時停止とが発生してしまうことを抑制できる。すなわち、Busy信号の送信と、データの送受信の一時停止とが発生しなくなったり、それらの発生頻度が低減されたりする。
【0054】
図3に示すように、2回目のバースト転送期間T361の間、Busy信号は発生しない。したがって、転送データブロック311、312、313の送信のみに入出力バスの帯域が使用される。よって、入出力バスクロック周波数自体は、1回目の転送のときよりも低下するものの、2回目のバースト転送期間T361内の全クロックサイクルで転送データブロック311、312、313を送信できる。その結果、1回目のバースト転送期間T360の時のように、Busy信号307、309によって、転送データブロックを送信できないサイクルがなくなる。これにより、2回目のバースト転送期間T361全体としてみれば、2回目のバースト転送期間T361のときの方が1回目のバースト転送期間T360のときよりも、データ転送速度を落とすことなく通信が可能となる。
【0055】
以上のように本実施形態では、スチル画像(静止画像)の連続撮影を行う場合には、スチル画像を転送する度に、入出力バスクロック周波数を変更する。したがって、第1の実施形態で説明した効果に加えて、画像データの転送速度を低下させることなく、より低い入出力バスクロック周波数で画像データの送信を行うことが可能になる。よって、より省電力で入出力バスを動作させることが可能になる。
【0056】
本実施形態では、バースト転送期間T360、T361で転送される画像データが、夫々1枚目の画像データ、2枚目の画像データである場合を例に挙げて説明した。すなわち、1枚のスチル撮影毎に、入出力バスクロック周波数が変更される場合を例に挙げて説明した。しかしながら、入出力バスクロック周波数を変更する契機は、1枚のスチル画像の撮影毎でなくてもよい。例えば、所定の複数枚のスチル画像の撮影に対して1回の頻度で入出力バスクロック周波数を変更してもよい。また、画像データの枚数の単位ではなく、画像データの物理層におけるセクタの単位で入出力バスクロック周波数を変更する契機を定めてもよい。例えば、1セクタ単位毎、もしくは数〜数十セクタ単位の画像データの書き込みがある度に、入出力バスクロック周波数を変更してもよい。
以上のように、入出力バスクロック周波数を変更するタイミングは、画像データの転送毎という転送単位に制約されるものではない。
【0057】
また、本実施形態では、スチル画像の連続撮影を行う場合を例に挙げて説明した。しかしながら、画像データは、スチル画像データ(静止画像データ)に限定されるものではない。すなわち、画像データは、動画像データであってもよい。このようにする場合、動画像のフレームが所定数(1つ又は複数)記憶媒体150に転送される度に、入出力バスクロック周波数を変更することができる。すなわち、本実施形態におけるスチル画像データを、動画撮影における動画像データの記録フレームに置き換えることにより、動画像データについても、本実施形態で説明したのと同じようにして、入出力バスクロック周波数を変更することができる。この場合、記録装置(デジタルカメラ100)は、動画像を撮影することが可能なデジタルビデオカメラ等になる。
【0058】
また、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、デジタルカメラ100から記憶媒体150へ画像データを書き込むときに、記憶媒体150への画像データの出力速度を転送速度として計測(算出)する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。すなわち、デジタルカメラ100が、記憶媒体150から画像データを読み出すときに、記憶媒体150からのデータの入力速度を計測(算出)するようにしてもよい。
【0059】
(制御プログラム)
図4は、UML(Unified Modeling Language)のシーケンス図を用いて、各実施形態における制御プログラムの一例を説明する図である。
図4において、メイン部400は、制御プログラムの本体モジュールである。画像処理ドライバ401は、画像処理回路107を制御するデバイスドライバである。タイマ制御ドライバ402は、タイマ制御部160を制御するデバイスドライバである。DMA制御ドライバ403は、DMA制御部124を制御するデバイスドライバである。入出力バスクロック制御ドライバ404は、クロック周波数制御部123aを制御するデバイスドライバである。
【0060】
まず、ステップS410において、メイン部400は、レリーズスイッチ120の全押し(SW2のオン)を検知する。これを契機に、ステップS411において、メイン部400は、画像処理ドライバ401に対して撮像の開始要求を出す。
この要求を受けると、画像処理ドライバ401は、ステップS411aにおいて、画像処理回路107を制御して、画像データの撮影及び現像処理等を実行する。
【0061】
画像処理回路107が撮像を完了すると、画像処理ドライバ401は、ステップS412において、割り込みハンドラ等を用いてメイン部400に対し画像データの取得を通知する。
次に、ステップS413において、メイン部400は、タイマ制御ドライバ402に対して、時間の計測開始を要求する。この要求を受けると、タイマ制御ドライバ402は、ステップS413aにおいて、タイマ制御部160の計測開始レジスタ160aを設定して、時間計測機能を起動する。
【0062】
次に、ステップS414において、メイン部400は、DMA制御ドライバ403に対して、DMA転送開始を要求する。このとき、メイン部400は、DMA制御ドライバ403に対して、転送データサイズや、DMA転送開始番地を通知する。DMA転送開始番地は、転送データブロックが格納されている「メモリ113の領域」の先頭の番地である。
この要求を受けると、DMA制御ドライバ403は、ステップS414aにおいて、DMA制御部124を制御してDMA転送機能を起動する。
【0063】
その後、DMA制御部124が先に指定された転送データサイズ分だけのDMA転送を完了すると、ステップS415において、DMA制御ドライバ403は、割り込みハンドラ等を介して、メイン部400にDMA転送完了を通知する。
【0064】
このDMA転送完了通知を受けると、メイン部400は、ステップS416において、タイマ制御ドライバ402に対して、時間の計測終了を要求する。この要求を受けると、タイマ制御ドライバ402は、タイマ制御部160の計測終了レジスタ160bを設定して、時間計測機能を停止する。
次に、ステップS417において、メイン部400は、タイマ制御ドライバ402に対して、データの転送期間中に実測した時間の計測値の取得を要求する。
この要求を受けると、タイマ制御ドライバ402は、ステップS417aにおいて、タイマ制御部160の計測値レジスタ160cを参照して、実測した時間の計測値を取得する。そして、ステップS418において、タイマ制御ドライバ402は、メイン部400に対し、計測値を返信する。
【0065】
そして、ステップS419において、メイン部400は、計測値と、転送データサイズの値とに基づいて、第1の実施形態で説明したようにして、データの転送速度の算出を行う((式1)を参照)。
次に、ステップS420において、メイン部400は、データの転送速度と入出力バスのバス幅とに基づいて、第1の実施形態で説明したようにして、新たな入出力バスクロック周波数を算出する((式2)を参照)。
【0066】
次に、ステップS421において、メイン部400は、入出力バスクロック制御ドライバ404に対して、入出力バスクロック周波数を新たな入出力バスクロック周波数に変更することを要求する。
この要求を受けると、入出力バスクロック制御ドライバ404は、ステップS421aにおいて、クロック周波数制御部123bに、新たな入出力バスクロック周波数の値を設定する。これにより、発生する入出力バスクロック周波数が変更される。
【0067】
もし、ステップS411での撮像の開始要求が、1枚のスチル画像の撮影の開始要求である場合には、この時点で、メモリ113に記憶されていた画像データの、記憶媒体150への転送が完了している。このため、一連のデータの転送及び入出力バスクロック周波数の転送は完了する。
一方、ステップS412での撮像の開始要求が、連続撮影の開始要求である場合には、メモリ113に、未転送の画像データが残っていることがある。このため、未転送の画像データがなくなるまで、再び一連のデータ転送及び入出力クロック周波数の転送(ステップS413〜S421aの処理)を繰り返す(ステップS422)。
【0068】
前述したように、クロック周波数制御部123aの周波数設定値の精度上、ステップS420で算出された入出力バスクロック周波数の値を、そのままでクロック周波数制御部123aに設定出来ない場合には、次のようにする。すなわち、クロック周波数制御部123aに設定可能な精度で、ステップS420で算出された入出力バスクロック周波数の近傍値を求める。
また、デジタルカメラ100から記憶媒体150へのデータの書き込み時、及び記憶媒体150からデジタルカメラ100へのデータ読み出し時のどちらであっても、図4に示す制御プログラムを適用することができる。
【0069】
尚、前述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0070】
(その他の実施例)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、まず、以上の実施形態の機能を実現するソフトウェア(コンピュータプログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)が当該コンピュータプログラムを読み出して実行する。
【符号の説明】
【0071】
100 デジタルカメラ、123 記憶媒体制御部、150 記憶媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱可能な記憶媒体に対してデータの入力と出力の少なくとも何れか一方を実行する記録装置であって、
前記記憶媒体への出力がユーザによって指示されたデータが、前記記憶媒体へ出力された際の、当該データの転送時間、または、前記記憶媒体からの入力がユーザによって指示されたデータが、前記記憶媒体から入力された際の、当該データの転送時間を計測する計測手段と、
前記計測手段により計測されたデータの転送時間と、前記記憶媒体へ出力または前記記憶媒体から入力された当該データのデータ量とに基づいて、当該データの転送速度を導出する導出手段と、
前記導出手段により導出された転送速度に応じて、前記記憶媒体と前記記録装置とを相互に接続する部分である入出力バスのクロック周波数を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定されたクロック周波数に、前記入出力バスのクロック周波数を変更し、変更したクロック周波数で前記入出力バスを動作させて、前記記憶媒体へのデータの出力または前記記憶媒体からのデータの入力を行う制御手段と、を有することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記導出手段により導出された転送速度と、前記入出力バスのバス幅とに基づいて、当該入出力バスのクロック周波数を導出することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記導出したクロック周波数を前記記録装置に設定できる場合には、当該クロック周波数を、前記入出力バスのクロック周波数として決定し、
前記導出したクロック周波数を前記記録装置に設定できない場合には、前記記録装置に設定できるクロック周波数であって、前記導出手段により導出された転送速度で前記データを前記記憶媒体へ出力または前記記憶媒体から入力できるクロック周波数のうち、当該導出したクロック周波数に最も近いクロック周波数を、前記入出力バスのクロック周波数として決定することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記計測手段による転送時間の計測の開始を指示する計測開始手段と、
前記計測手段による転送時間の計測の終了を指示する計測終了手段と、をさらに有し、
前記計測開始手段は、前記記憶媒体へのデータの出力、または前記記憶媒体からのデータの入力が開始する際に、前記計測手段による転送時間の計測の開始を指示し、
前記計測終了手段は、前記記憶媒体へのデータの出力、または前記記憶媒体からのデータの入力が終了した際に、前記計測手段による転送時間の計測の終了を指示し、
前記計測手段は、前記計測開始手段により計測の開始が指示されたときから、前記計測終了手段により計測の終了が指示されるまでの時間を、前記データの転送時間として計測することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記記録装置は、撮影装置であり、
前記データは、前記撮影装置で撮影された静止画像データ、および前記撮影装置で撮影された動画像データの少なくとも何れか一方であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記データが静止画像データである場合であって、複数の静止画像データが連続して撮影される場合には、前記記憶媒体に対して入力または出力が行われた静止画像データの枚数、または前記記憶媒体に対して入力または出力が行われた静止画像データの物理層におけるセクタの数が、所定の数になる度に、前記決定手段により決定されたクロック周波数に、前記入出力バスのクロック周波数を変更し、
前記データが動画像データである場合には、前記記憶媒体に対して入力または出力が行われた動画像データのフレームの数が、所定の数になる度に、前記決定手段により決定されたクロック周波数に、前記入出力バスのクロック周波数を変更することを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
【請求項7】
着脱可能な記憶媒体に対してデータの入力と出力の少なくとも何れか一方を実行する記録装置の制御方法であって、
前記記憶媒体への出力がユーザによって指示されたデータが、前記記憶媒体へ出力された際の、当該データの転送時間、または、前記記憶媒体からの入力がユーザによって指示されたデータが、前記記憶媒体から入力された際の、当該データの転送時間を計測する計測工程と、
前記計測工程により計測されたデータの転送時間と、前記記憶媒体へ出力または前記記憶媒体から入力された当該データのデータ量とに基づいて、当該データの転送速度を導出する導出工程と、
前記導出工程により導出された転送速度に応じて、前記記憶媒体と前記記録装置とを相互に接続する部分である入出力バスのクロック周波数を決定する決定工程と、
前記決定工程により決定されたクロック周波数に、前記入出力バスのクロック周波数を変更し、変更したクロック周波数で前記入出力バスを動作させて、前記記憶媒体へのデータの出力または前記記憶媒体からのデータの入力を行う制御工程と、を有することを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項8】
前記決定工程は、前記導出工程により導出された転送速度と、前記入出力バスのバス幅とに基づいて、当該入出力バスのクロック周波数を導出することを特徴とする請求項7に記載の記録装置の制御方法。
【請求項9】
前記決定工程は、前記導出したクロック周波数を前記記録装置に設定できる場合には、当該クロック周波数を、前記入出力バスのクロック周波数として決定し、
前記導出したクロック周波数を前記記録装置に設定できない場合には、前記記録装置に設定できるクロック周波数であって、前記導出工程により導出された転送速度で前記データを前記記憶媒体へ出力または前記記憶媒体から入力できるクロック周波数のうち、当該導出したクロック周波数に最も近いクロック周波数を、前記入出力バスのクロック周波数として決定することを特徴とする請求項7に記載の記録装置の制御方法。
【請求項10】
前記計測工程による転送時間の計測の開始を指示する計測開始工程と、
前記計測工程による転送時間の計測の終了を指示する計測終了工程と、をさらに有し、
前記計測開始工程は、前記記憶媒体へのデータの出力、または前記記憶媒体からのデータの入力が開始する際に、前記計測工程による転送時間の計測の開始を指示し、
前記計測終了工程は、前記記憶媒体へのデータの出力、または前記記憶媒体からのデータの入力が終了した際に、前記計測工程による転送時間の計測の終了を指示し、
前記計測工程は、前記計測開始工程により計測の開始が指示されたときから、前記計測終了工程により計測の終了が指示されるまでの時間を、前記データの転送時間として計測することを特徴とする請求項7〜9の何れか1項に記載の記録装置の制御方法。
【請求項11】
前記記録装置は、撮影装置であり、
前記データは、前記撮影装置で撮影された静止画像データ、および前記撮影装置で撮影された動画像データの少なくとも何れか一方であることを特徴とする請求項7〜10の何れか1項に記載の記録装置の制御方法。
【請求項12】
前記制御工程は、
前記データが静止画像データである場合であって、複数の静止画像データが連続して撮影される場合には、前記記憶媒体に対して入力または出力が行われた静止画像データの枚数、または前記記憶媒体に対して入力または出力が行われた静止画像データの物理層におけるセクタの数が、所定の数になる度に、前記決定工程により決定されたクロック周波数に、前記入出力バスのクロック周波数を変更し、
前記データが動画像データである場合には、前記記憶媒体に対して入力または出力が行われた動画像データのフレームの数が、所定の数になる度に、前記決定工程により決定されたクロック周波数に、前記入出力バスのクロック周波数を変更することを特徴とする請求項11に記載の記録装置の制御方法。
【請求項13】
記録装置に装着された着脱可能な記憶媒体に対してデータの入力と出力の少なくとも何れか一方を実行することをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記記憶媒体への出力がユーザによって指示されたデータが、前記記憶媒体へ出力された際の、当該データの転送時間、または、前記記憶媒体からの入力がユーザによって指示されたデータが、前記記憶媒体から入力された際の、当該データの転送時間を計測する計測工程と、
前記計測工程により計測されたデータの転送時間と、前記記憶媒体へ出力または前記記憶媒体から入力された当該データのデータ量とに基づいて、当該データの転送速度を導出する導出工程と、
前記導出工程により導出された転送速度に応じて、前記記憶媒体と前記記録装置とを相互に接続する部分である入出力バスのクロック周波数を決定する決定工程と、
前記決定工程により決定されたクロック周波数に、前記入出力バスのクロック周波数を変更し、変更したクロック周波数で前記入出力バスを動作させて、前記記憶媒体へのデータの出力または前記記憶媒体からのデータの入力を行う制御工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−25625(P2013−25625A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160993(P2011−160993)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】