説明

記録装置およびロール紙の終端処理方法

【課題】一続きの画像が途切れることなく印刷され、カット後の記録シートも非記録シートも的確に排出することが可能な記録装置を提供する。
【解決手段】シート残存量DLと画像長ILとを比較して画像記録の可否をページ毎に判断する。また、カット後の非記録シートの長さに応じて更なるカットの可否を判断する。これにより、ページの途中で画像が途切れることがなく、記録シートと非記録シートを安定して搬送および排出することが出来ると共に、非記録シートを同程度のカットシートとして排紙トレイに積載することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状に保持された連続シートに記録を行う際の、シート終端処理に関する。
【背景技術】
【0002】
ロール紙に記録を行う記録装置では、ロール状に保持されている連続シートを外周から順に剥離および搬送し、その搬送中に記録ヘッドによって記録を行う。このような記録装置では、記録した画像のサイズに応じてロール紙をカットし記録装置から排出するが、ロール紙の終端部分については、特別な処理が必要となることが多い。画像の途中でロール紙が途切れてしまうのを防ぐのは勿論、画像が最後まで記録されても、そのカット箇所から終端部までの距離が余りに短いと、そのような非記録シートを装置内で搬送することが出来ず、排出も巻き戻しも出来なくなってしまうからである。よって、装置内で搬送可能な程度の非記録シートを残しながらも、ロール紙の無駄をなるべく抑えるためには、ロール紙の終端を正確に検出し、搬送管理することが求められる。
【0003】
例えば特許文献1には、ロール状に保持されているロール紙の径を測定する手段を用意し、ロール紙の径が閾値以下になった時点からの搬送量を管理する構成が開示されている。具体的には、ロール紙の径が閾値以下になってから搬送可能な量を余裕長として予め設定しておき、径が閾値以下になった時点からの搬送量が余裕長に達した時点で記録を停止するのである。このような特許文献1によれば、ロール紙の無駄を抑えながらも、カット後のシートが搬送不能になることを回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−171881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、1ライン分の記録が行われるごとに、余裕長と搬送量(積算長)とを比較し、搬送量が余裕長に達した時点で次のラインの記録を停止している。よって、複数のラインに及ぶ一続きの画像を記録する場合には、この画像が終端の影響で途切れてしまうおそれがあった。また、特許文献1では、記録を停止しカットした後の記録シートと非記録シートのそれぞれを、どのように排出するのか詳細には説明されておらず、これらが混在して排出され、これらの分類のためにユーザを煩わせる懸念があった。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものである。よってその目的とするところは、一続き(同ページ)の画像が途切れることなく印刷され、カット後の記録シートも非記録シートも的確に排出することが可能な記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために本発明は、連続シートおよびカットシートを搬送する搬送手段と、記録すべき画像の前記搬送方向における長さを取得する画像長取得手段と、前記搬送手段による搬送の途中で前記連続シートに画像を記録する記録手段と、前記搬送の方向において前記記録手段よりも下流に配備され、前記画像長取得手段が取得した画像長に応じて、前記連続シートを複数のカットシートにカットするカット手段と、前記カットシートを排出する排出手段と、前記連続シートの搬送にともなって変化する前記連続シートの残存量を管理する残存量管理手段と、前記残存量管理手段が管理する前記残存量を、前記画像長取得手段が取得した画像長と比較することにより、前記記録手段による前記画像の記録の可否を判断する判断手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シート終端の影響により、ページの途中で画像が途切れることがなく、記録シートと非記録シートを安定して搬送および排出することが出来る。また、装置内に残存する非記録シートを同程度のカットシートとして排紙トレイに積載することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に使用可能な記録装置の内部構成図である。
【図2】片面プリント時の動作を説明する図である。
【図3】両面プリント時の動作を説明する図である。
【図4】片面プリントシーケンスを説明するためのフローチャートである。
【図5】(a)〜(c)は、本発明の終端処理の効果を説明するための模式図である。
【図6】(a)〜(e)は、本発明の終端処理の効果を説明するための模式図である。
【図7】両面プリントシーケンスを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、インクジェット方式を用いた記録装置を例に本実施形態を説明する。本実施形態のインクジェット記録装置は、ロール状に巻かれた連続シート(ロール紙)に対し、片面プリント及び両面プリンの両方を行うことが出来る高速ラインプリンタである。
【0011】
図1は、本発明に使用可能な記録装置の内部構成図である。記録装置内部には、シート供給部1、デカール部2、斜行矯正部3、プリント部4、検査部5、カッタ部6、情報記録部7、乾燥部8、パス切替部9、シート巻取部10、排出搬送部11、ソータ部12、排出トレイ13および制御部14が備えられている。シートは、図中の実線で示したシート搬送経路に沿ってローラ対やベルトからなる搬送機構で搬送され、各ユニットで処理がなされる。
【0012】
シート供給部1は、ロール状に巻かれた連続シートを収納して供給するユニットである。シート供給部1は、2つのロールR1、R2を収納することが可能であり、択一的にシートを引き出して供給する。シート供給部1には、ロールそれぞれに対して終端検知センサ21が備えられている。なお、収納可能なロール紙および付属する終端検知センサは2つであることに限定はされず、1つ、あるいは3つ以上であってもよい。
【0013】
デカール部2は、シート供給部1から供給されたシートのカール(反り)を軽減させるユニットである。デカール部2では、1つの駆動ローラに対して2つのピンチローラを用い、カールとは逆向きの反りを与えることによりカールを軽減させる。
【0014】
斜行矯正部3は、デカール部2を通過したシートの斜行(本来の進行方向に対する傾き)を矯正するユニットである。基準となる側のシート端部をガイド部材に押し付けることにより、シートの斜行が矯正される。
【0015】
プリント部4は、搬送されるシートに対して記録ヘッド15によりシートの上に画像を形成するユニットである。プリント部4は、シートを搬送する複数の搬送ローラ(搬送部材)も備えている。
【0016】
記録ヘッド15は、使用が想定されるシートの最大幅をカバーする範囲でインクジェット方式のノズル列が形成されたライン型の記録ヘッドである。記録ヘッド15は、複数のノズル列が搬送方向に沿って平行に並べられている。本例ではC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、LC(ライトシアン)、LM(ライトマゼンタ)、G(グレー)、K(ブラック)の7色に対応した7つのノズル列を有する。なお、色数及びノズル列の数は7つには限定はされない。インクジェット方式は、記録素子として電気熱変換体を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、インクタンクからそれぞれインクチューブを介して記録ヘッド15に供給される。
【0017】
検査部5は、プリント部4でシートにプリントされた検査パターンや画像を光学的に読み取って、記録ヘッド15のノズルの状態、シート搬送状態、画像位置等を検査するユニットである。
【0018】
記録ヘッド15よりも下流側に配備されたカッタ部6は、記録後のシートを所定長さにカットする機械的カッタを備えたユニットである。カッタ部6は、シートを次工程に送り出すための複数の搬送ローラも備えている。
【0019】
情報記録部7は、カットされたシートの裏面にプリントのシリアル番号や日付などのプリント情報を記録するユニットである。乾燥部8は、プリント部4で画像が記録されたシートを加熱して、付与されたインクを短時間に乾燥させるユニットである。乾燥部8は、シートを次工程に送り出すための搬送ベルト及び搬送ローラも備えている。
【0020】
パス切替部9は、片面プリントを行うか両面プリントを行うかにより、後述するシート巻取部10あるいは排出搬送部11に向けて、搬送方向を切り替えるための搬送方向切り替えユニットである。
【0021】
シート巻取部10は、両面プリントを行う際に表面プリントが終了した連続シートを一時的に巻き取るユニットである。シート巻取部10はシートを巻き取るための巻取ドラムを備えている。両面プリントの場合、表面の記録が済んでカットされていない連続シートは巻取ドラムに一時的に巻き取られる。巻き取りが終わったら、巻取ドラムが逆回転し、巻き取り済みシートはデカール部2に供給され、プリント部4に送られる。このシートは表裏反転しているのでプリント部4では裏面側にプリントを行うことになる。両面プリントのより具体的な動作については後述する。
【0022】
排出搬送部11は、カッタ部6でカットされ乾燥部8で乾燥させられたシートを搬送して、ソータ部12までシートを受け渡すためのユニットである。ソータ部12は必要に応じて記録済みシートをグループ分けし、排出トレイ13の異なるトレイに排出する。
【0023】
制御部14は、記録装置全体を制御するユニットであり、CPU、制御プログラムを保持するメモリ、コントローラ16、インターフェース部等を有する。制御部14は、インターフェースを介して外部機器17と通信可能となっている。
【0024】
次に、記録時の基本動作について説明する。記録動作は、片面プリントと両面プリントとでは異なるので、以下それぞれについて説明する。
【0025】
図2は連続シートの表面のみに記録を行う片面プリント時の動作を説明する図である。シート供給部1から供給されたシートが、記録されて排出トレイ13に排出されるまでの搬送経路を太線で示している。シート供給部1から供給され、デカール部2、斜行矯正部3でそれぞれ処理されたシートは、プリント部4において表面の記録がなされる。記録されたシートは検査部5を経て、カッタ部6において、ページ単位の長さでカットされる。カットシートは、必要に応じて情報記録部7でシートの裏面にプリント情報が記録される。そして、カットシートは一枚ずつ乾燥部8に搬送され乾燥される。その後、パス切替部9、排出搬送部11を経由して、ソータ部12のトレイ13に順次排出され積載されていく。
【0026】
図3は連続シートの表裏面に記録を行う両面プリント時の動作を説明するための図である。両面プリントでは、表面プリントシーケンスに次いで裏面プリントシーケンスを実行する。最初の表面プリントシーケンスにおいて、シート供給部1から検査部5までの各ユニットでの動作は上述の片面プリントの動作と同じである。但し、カッタ部6ではページ単位のカット動作は行わず、連続シートのまま乾燥部8に搬送される。乾燥部8で表面インクを乾燥した後、パス切替部9により、排出搬送部11の側の経路ではなく、シート巻取部10の側の経路にシートが搬送される。
【0027】
シート巻取部10に導入されたシートは、順方向(図面では反時計回り方向)に回転する巻取ドラムに巻き取られていく。記録部4において、予定された表面の記録が全て終了すると、カッタ部6にて連続シートの記録領域の後端がカットされる。連続シートは、乾燥部8、パス切替部9を経て、シート巻取部10においてシートの後端(カット位置)まで全て巻き取られる。一方、カット位置よりも搬送方向上流側の連続シートは、シート先端(カット位置)がデカール部2に残らないように、シート供給部1に巻き戻される。
【0028】
以上の表面プリントシーケンスの後に、裏面プリントシーケンスに切り替わる。シート巻取部10の巻取ドラムが巻き取り時とは逆方向(図面では時計回り方向)に回転する。巻き取られたシートの端部(巻き取り時のシート後端は、送り出し時にはシート先端になる)はデカール部2に送り込まれる。デカール部2では先とは逆向きのカール矯正がなされる。これは、巻取ドラムに巻かれたシートは、シート供給部1でのロールとは表裏反転して巻かれ、逆向きのカールとなっているためである。その後は、斜行矯正部3を経て、プリント部4で連続シートの裏面に記録が行なわれる。記録されたシートは検査部5を経て、カッタ部6において予め設定されている所定の単位長さ毎にカットされる。カットシートは両面に記録されているので、情報記録部7での記録はなされない。カットシートは一枚ずつ乾燥部8に搬送され、パス切替部9により、排出搬送部11を経由して、ソータ部12のトレイ13に順次排出され積載されていく。
【0029】
図1〜3に示すように、本実施形態の記録装置においては、シートを搬送するためにいくつもの搬送ローラ対が配備されている。そして、連続シートおよびカットシートはこれらローラ対に挟持されながら、その回転によって装置内を搬送される。本実施形態では、このような搬送が滞りなく行われるように、隣り合って設置された2組のローラ対の最大距離よりも、搬送されるシートの長さが長くなるように、終端処理を実行する。
【0030】
図4は、本実施形態のコントローラ16が実行する片面プリントシーケンスを説明するためのフローチャートである。
【0031】
記録コマンドが受信され片面プリントシーケンスが開始されると、コントローラ16は、まず図の左側に示した記録のメインフローチャートのステップS1において、画像の記録動作を開始する。ステップS2では記録と並行して判定処理を実行する。判定処理については後述する。
【0032】
1ページの画像の記録が終了すると、ステップS3において、コントローラ16は、カッタ部6に対し、シート先端から画像長に対応した位置において、シートをカットすることを指示する。更に、ステップS4において、情報記録部7、乾燥部8、パス切替部9、排出搬送部11およびソータ部12に対して、当該シートを排出トレイ13に排出することを指示する。
【0033】
ステップS5では、次に記録すべき画像があるか否かを判断し、次の画像が無い場合は当該シーケンスを終了する。次に記録すべき画像がある場合はステップS6に進み、ステップS2の判定処理の結果が、次の画像を記録するとの判定であればステップS1に戻る。一方、次の画像を記録しないとの判定であれば本処理を終了する。
【0034】
図の右側は、ステップS2で実行する判定処理を説明するためのフローチャートである。判定処理においては、まずステップS11において、終端検知センサ21によって連続シートの終端が検知されたかあるいは既に検知されているかを判断する。片面プリントシーケンスの最中、コントローラ16は、終端検知センサ21を用い、終端の通過をリアルタイムで検出している。
【0035】
終端が検出された場合、または検出済の場合はステップS12に進み、終端が検出されない場合はステップS14へジャンプする。
【0036】
ステップS12では、シート残存量DLを更新する。シート残存量とは、その時点において記録中の画像後端あるいは記録中の画像の後ろに記録されるカットマーク、予備吐出等の管理用の画像の後端からシート終端までの距離を示す。終端が検出された時点であれば、シート残存量DLは終端検知センサ21から記録中の画像の後ろに付随されている管理用画像の後端までの搬送経路長となる。またステップS12では次の画像の長さILを取得する。
【0037】
続くステップS13では、ステップS4で更新されたシート残存量DLを閾値TLと比較する。このとき、閾値TLは、ステップS12で取得した画像長ILに対し、搬送に必要な最小のシート長α、次の画像の後ろに記録すべき管理画像の長さ、および終端検知センサ21の位置誤差を見込んだ安全値を加算した値である。最小シート長αは、装置内で滞りない搬送を行うために必要な最小のシート長であり、装置の構成などによって適宜定められる。本実施形態では、装置内の隣り合う2対の複数の搬送ローラ対のうち、最も距離の長い2つの搬送ローラ対の間隔よりも大きな値であることが必要条件となっている。
【0038】
ステップS13においてDL>TL=IL+α+管理画像長+安全値であれば、ステップS14へ進み、コントローラ16は、次の画像を記録すると判定したフラグをセットして判定フローチャートを終了する。ここでセットされたフラグは前述したステップS6の判定に用いられる。
【0039】
なおシート後端検知後にステップS6からステップS1に戻った後に実行される判定フローチャートのステップS12では、前回取得した残量から今回記録中の画像長やその後ろの管理画像の長さを引いた値を新たなシート材料に更新する。これがステップS13でDL≦TLとなるまで繰り返される。
【0040】
ステップS13においてDL>TLではないと判定した場合は、ステップS15で次の画像を記録しないと判定したフラグをセットする。ここでセットされたフラグは前述したステップS6の判定に用いられる。そして、プリント部4による画像の記録を中止し、非記録のままのシートをカッタ部6へと搬送する。
【0041】
続くステップS16では、搬送中のシートの長さDLがDL>βを満足するか否かを判断する。βは排出トレイ13に排出可能な最大長さである。DL>βであった場合、ステップS17へ進み、搬送中のシートを複数にカットする。このとき、カット後のいずれのシートにおいてもそのシート長がα以上でβより小さくなるような位置および枚数で、カットを実行する。その後、これら複数のシートを連続して搬送し、情報記録部7、乾燥部8、パス切替部9、排出搬送部11およびソータ部12を経由して、排出トレイ13にシートを排出する(ステップS18)。このとき、いずれのシートも最小シート長α以上であるため、これらの搬送は滞りなく行われ、複数のシートは排出トレイ13の上に重ねて積載される。
【0042】
一方、ステップS16でDL≦βであった場合は、ステップS18へジャンプし、搬送中の非記録シートは、そのまま排出トレイ13に排出される。このとき、ステップS18で排出される非記録シートは、ステップS4で排出される記録シートとは別のトレイに排出される。以上で、本処理を終了する。
【0043】
なお、図4のフローチャートでは、ステップS4で画像が記録されたカットシートを排出した後に、ステップS5でまだ記録すべき画像があるか否かを判断する順番で説明した。しかし、プリント部4では、搬送されるシートに対し複数の画像を連続して記録するので、実際には、注目画像がカッタ部6でカットされる前に、既に次の画像の記録が開始されている。すなわち、コントローラ16は、複数の画像データに対する、記録、カット、排出を、互いのタイミングをずらしながら並行して同時に制御している。図4のフローチャートでは、説明を簡単にするために、1つの画像データに対しコントローラ16が施す処理を順番に説明したものであり、各ユニットの動作を時系列に示すものではない。
【0044】
また、コントローラ16が実行するとして説明したステップS1の画像長取得工程や残存量管理およびステップS11のカット位置制御のための判断は、コントローラ16と通信しながら外部機器17が実行する形態であっても良い。
【0045】
図5(a)〜(c)は、本実施形態における上記終端処理の効果を説明するための模式図である。以下、図4のフローチャートを参照しながら、これら図を説明する。
【0046】
図5(a)では、記録ヘッド15による前画像の記録が完了し、ステップS13で次の画像の記録が可能か否かを判断する段階を示している。図によれば、次の画像の画像長IL+α+管理画像長+安全値は、この段階のシート残存量DLよりも大きい。すなわち、DL≦TLとなる。よって、ステップS15へ進み、次の画像の記録は行われない。また、本例ではDL>βも満たしていないので、非記録のカットシートはカッタ部でカットされることなく搬送され、排出される。
【0047】
図5(b)は、このような場合の搬送状態を示している。前回の画像のカット後、カット部を先頭とした後端部までの非記録シートは、複数のローラ対によって順番に挟持されながら、安定して搬送される。
【0048】
一方、図5(c)は、本実施形態のステップS5のように、シート残存量DLと画像長ILとを比較してその記録の可否を判断する工程を設けなかった場合の搬送状態を示している。シート残存量DLによらず次の画像の記録を実行してしまうと、その画像は最後まで記録可能であったとしても、カット後に残された非記録シートのシート長は、最小シート長αより短くなってしまう。その結果、2つ以上のローラ対によって非記録シートを挟持することは出来ず、当該シートを安定して搬送および排出することが困難になる。
【0049】
一方、図6(a)〜(e)は、本実施形態における上記終端処理の別の効果を説明するための模式図である。
【0050】
図6(a)では、ステップS13において次の画像の記録は不可能と判断され、更にステップS16で非記録シートのカットの是非を判断する段階を示している。本例では、非記録シートのシート長すなわちシート残存量DLが、βよりも大きく3αよりも小さい場合を示している。すなわち、ステップS11において、DL>βとなる。
【0051】
図6(b)は、ステップS12において、非記録シートがカッタ部でカットされる様子を示している。本例では、先行する非記録シートのシート長がαとなるようにカットされるものとする。よって、αとαより大きくβより小さい2つのシートにカットされる。
【0052】
図6(c)は、カット後の2つのシートが搬送される様子を示している。両シートとも、最小シート長以上の長さを有しているので、複数のローラ対によって順番に挟持されながら、安定して搬送される。
【0053】
図6(d)は、排紙された上記2つのシートの積載状態を示している。画像が記録され先行して排紙された記録シートは下段に、2つの非記録シートは上段に夫々積載されている。本実施形態ではβより長い非記録シートはステップS17でカットされるので、上段の排紙トレイには、α以上且つβ以下のシートがトレイからはみ出すことなく積載される。
【0054】
一方、図6(d)は、本実施形態のステップS16のように非記録シートの長さに応じてカットの可否判断を行わない場合の搬送状態を示している。非記録シート長によらずそのまま排紙してしまうと、βより長い非記録シートが排紙トレイから図の様にはみ出してしまう場合がある。
【0055】
以上のように、本実施形態によれば、ステップS13のようなシート残存量DLと画像長ILとを比較して画像記録の可否を判断する工程を設けることにより、途切れのない画像が記録された記録シートと非記録シートを、安定して搬送および排出することが出来る。また、ステップS11のような非記録シートの長さに応じてカットの可否を判断する工程を設けることにより、排紙される非記録シートの大きさをほぼ等しく揃えることが出来る。
【0056】
上記実施形態のフローチャートのステップS13において、閾値TLをIL+α+管理画像長+安全値と定義したが、シート残存量DLを終端検知センサ21の位置誤差分を補正して算出できれば安全値は省略できる。さらに管理画像の形成を省略できる場合、または管理画像を残りの長さαの領域に記録可能な場合はTL=IL+αでもよい。また最終的に記録されない後端部分を搬送せずにカットゴミとしてカッタ部6において搬送路の外に排出できる場合は、TL=IL+管理画像長でもよい。
【0057】
図7は、本実施形態のコントローラ16が実行する両面プリントシーケンスを説明するためのフローチャートである。既に図3で説明したように、両面プリントでは、表面の記録時は連続シートを画像ごとにカットせずに複数の画像の記録を完成させ、画像領域の後端をカットした後に、そのカットシートの裏面に画像を記録する。すなわち、両面プリントにおいて、終端処理が必要となるのはロールから引き出したシートに対し最初にカット処理を行う表面記録時である。
【0058】
図7において、記録コマンドが受信され両面プリントシーケンスが開始されると、コントローラ16は、まずステップS21において第1面(表面)の画像記録を開始させる。ステップS22では記録と並行して判定の処理が行われる。判定の処理のついては後述する。ステップS23において連続シートの記録済の部分はシート巻取部10の巻取ドラムを反時計回りに回転させ、連続シートを巻取ドラムに巻きつける。
【0059】
ステップS24においては第1面(表面)に次に記録すべき画像が無いと判断した場合はステップS26で連続紙の最後の画像の後端をカットする。第2面(裏面)に記録するとき最初の画像よりも前に予備吐出等の管理画像を記録する必要があるので、厳密にはカットする位置は最後の画像の後端よりも第2面に記録する管理画像長さ分さらに上流の位置になる。次にステップS27に移行する。
【0060】
ステップS24で次の画像があると判断した場合ステップS25に移行し、ステップS22で次の画像を記録すると判定した場合はステップS21にもどり、次の画像を記録する。
【0061】
ステップS22で次の画像を記録しない判定した場合は、既に判定のフローチャートにおいて連続紙の後端はカットされているので、ステップS27に移行する。
【0062】
ステップS27では第1面の記録が終了しシート巻取部10の巻取ドラムに巻き取られていた連続シートを給送しステップS28で第2面の画像の記録を行う。連続シートの画像の記録が完了した部分はステップS29で画像ごとに完成印刷物の長さにカットされ、ステップS30で仕分けがなされ排出トレイ13に排出される。
【0063】
次に、図の右側に示したステップ22の判定工程のフローチャートについて説明する。判定処理が開始されると、まずステップS41において、上記搬送動作中に終端検知センサ21がシートの終端を検知したか否かを確認する。終端が検出された場合、または検出済の場合はステップS42に進み、終端が検出されない場合はステップS44へジャンプする。
【0064】
ステップS42では、シート残存量DLを更新する。シート残量の定義は片面記録時と同じである。続くステップS43では、ステップS42で更新されたシート残存量DLを両面記録時の閾値TL2と比較する。
【0065】
両面記録時の閾値TL2は、第1面に次の画像を記録する場合その裏側に画像を記録するために必要な長さも考慮して決定される。第2面に画像を記録する際その画像の記録に先立って予備吐出等の管理画像の記録が行われるので、その分の長さを残す必要がある。第2面に記録する場合に必要な長さは、IL2(第2面の最初の画像長さ)+α+第2面の管理画像の長さ+安全値となる。よって両面記録時の閾値TL2は、IL+α+管理画像長+安全値と、IL2(第2面の最初の画像長さ)+α+第2面の管理画像の長さ+安全値の長いほうになる。
【0066】
ステップS43においてDL>TL2であれば、ステップS44へ進み、コントローラ16は次の画像を記録すると判定したフラグをセットして判定フローチャートを終了する。
【0067】
ステップS43においてDL>TL2ではないと判定した場合は、ステップS45で次の画像を記録しないと判定したフラグをセットする。
【0068】
次にステップS46では連続シートの後端をカットする。このカットの位置は第2面に最初に記録される管理画像の先端に相当する位置となる。このカットにより連続シートから後端の部分の、DL2=DL-第2面の管理画像の長さが切り離される。
【0069】
ステップS47では、切り離されたシートの長さDL3がDL3>βを満足するか否かを判断する。DL3≦βであった場合は、ステップS49にジャンプする。DL>βであった場合は、ステップS48へ進み、搬送中のシートを複数にカットする。このとき、カット後のいずれのシートにおいてもそのシート長がα以上且つβより小さくなるような位置および枚数で、カットを実行する。その後、ステップS49において、コントローラ16は、カットされたシートがソータ部12に向けて搬送されるように、パス切替部9を制御する。そして、ステップS86において、排出トレイ13にシートを排出する。このとき、いずれのシートも最小シート長αよりも長いため、これらの搬送は滞りなく行われ、複数のシートは排出トレイ13の上に重ねて積載される。以上で、本処理を終了する。
【0070】
このように両面プリントシーケンスであっても、片面記録シーケンスと同様、途切れのない画像が記録された記録シートと非記録シートを、安定して搬送および排出することが出来、排紙される非記録シートの大きさも同程度に揃えることが出来る。
【0071】
以上説明したように本発明によれば、シート残存量と画像長とを比較して画像記録の可否をページ毎に判断しているので、シート終端の影響により、ページの途中で画像が途切れることがなく、記録シートと非記録シートを安定して搬送および排出することが出来る。また、非記録シートの長さに応じてカットの可否を判断しているので、装置内に残存する非記録シートを、搬送出来る程度に長く排紙トレイに収まる程度に短くして、同程度のカットシートを排紙トレイに積載することが出来る。
【0072】
なお、以上では、最小のシート長αを、「装置内の複数の搬送ローラ対のうち、最も近距離にある2つの搬送ローラ対の距離よりも大きな値」としたが、本発明ではこのような制限が必要なわけではない。装置内にはローラ対のほか搬送ベルトなどを備えることも可能であり、この場合、最小のシート長αはローラ対の距離だけに依存するものではない。また、搬送経路の形状などによっても、装置内における搬送性は影響を受ける。本発明の最小シート長は、これら様々な要因を加味した上で、滞りない搬送を行うために必要なシート長であればよい。
【0073】
また、以上では、連続シートの搬送経路上に終端検知センサを配置しているが、これは特許文献1のようにロール紙の径から残存量を取得する形態に比べ、より高精度にシート残存量を管理することが出来、ロール紙の無駄も最小限に抑えることが出来るからである。但し、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、ロール紙の終端がロール芯から外れた際に、ロール芯の回転速度が急激に変化するのを検出することによって、終端の通過を検出することも出来る。このような形態であっても上記実施形態と同様に、高精度なシート残存量の管理を行うことが出来る。また、特許文献1のようにロールの径から残量を取得する形態も本発明から除外するものではない。いずれにせよ、ロール紙の残量がある程度少なくなってきたときに、その後の搬送量を管理するためのトリガとなるような検出手段が設けられていれば、本発明の効果を発揮することは出来る。
【符号の説明】
【0074】
1 シート供給部
4 プリント部
6 カッタ部
9 パス切替部
10 シート巻取部
12 ソータ部
13 排紙トレイ
14 制御部
16 コントローラ
21 終端検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続シートおよびカットシートを搬送する搬送手段と、
記録すべき画像の前記搬送方向における長さを取得する画像長取得手段と、
前記搬送手段による搬送の途中で前記連続シートに画像を記録する記録手段と、
前記搬送の方向において前記記録手段よりも下流に配備され、前記画像長取得手段が取得した画像長に応じて、前記連続シートを複数のカットシートにカットするカット手段と、
前記カットシートを排出する排出手段と、
前記連続シートの搬送にともなって変化する前記連続シートの残存量を管理する残存量管理手段と、
前記残存量管理手段が管理する前記残存量を、前記画像長取得手段が取得した画像長と比較することにより、前記記録手段による前記画像の記録の可否を判断する判断手段と
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記判断手段は、前記残存量が、前記画像長取得手段が取得した画像長と前記搬送手段が搬送を行うために必要な最小シート長の和よりも大きい場合に、前記記録手段による前記画像の記録は可能と判断し、小さい場合は不可能と判断することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記搬送手段は、前記搬送の経路に複数の搬送ローラ対を配備することによって前記連続シートおよび前記カットシートを搬送し、
前記最小シート長は、前記複数の搬送ローラ対のうち、最も間隔の大きい隣り合う2つの搬送ローラ対の距離よりも大きな値であることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記判断手段によって前記画像の記録は不可能と判断された場合に、前記記録手段によって記録が行われなかった前記カットシートのシート長に応じて、該カットシートを前記最小シート長以上の複数のカットシートにカットするように前記カット手段を制御するカット位置制御手段を更に設けることを特徴とする請求項2または3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記カット位置制御手段は、前記カットシートを前記最小シート長以上であって排出されるトレイに積載可能な長さよりも小さい複数のカットシートにカットするように前記カット手段を制御することを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記排出手段は、前記記録手段によって記録されたカットシートと、記録されなかったカットシートを、異なるトレイに排出し、前記カット位置制御手段は、該カットシートを前記トレイに積載することが可能なほぼ等しい長さにカットするように、前記カット手段を制御することを特徴とする請求項4または5に記載の記録装置。
【請求項7】
前記搬送の方向において前記記録手段よりも上流に配備され、前記連続シートの終端の通過を検知する終端検知手段を更に備え、
前記残存量管理手段は、前記終端検知手段が前記終端を検知した時点の前記残存量と前記記録手段が記録した画像の前記画像長から、前記残存量を算出し管理することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の記録装置。
【請求項8】
連続シートの表裏面に画像を記録する記録装置であって、
連続シートおよびカットシートを搬送する搬送手段と、
前記連続シートの表面に記録すべき複数の画像の前記搬送方向における長さをそれぞれ取得する画像長取得手段と、
前記搬送手段による搬送の途中で前記連続シートの表面または裏面に画像を記録する記録手段と、
前記連続シートの搬送にともなって変化する前記連続シートの残存量を管理する残存量管理手段と、
該残存量管理手段が管理する前記残存量を、前記画像長取得手段が取得した前記複数の画像それぞれの画像長と比較することにより、前記記録手段による前記画像の表面への記録の可否を前記複数の画像それぞれについて判断する判断手段と、
前記搬送の方向において前記記録手段よりも下流に配備され、前記記録手段によって前記連続シートに最後に記録された画像の後端をカットするカット手段と、
該カット手段によってカットされ、前記表面の記録がなされているカットシートを前記記録手段の位置に表裏反転して搬送するとともに、前記表面の記録がなされていないカットシートを排出する、搬送方向切り替え手段と、
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項9】
前記判断手段は、前記複数の画像それぞれについて、前記残存量が、前記画像長取得手段が取得した画像長と前記搬送手段が搬送を行うために必要な最小シート長の和よりも大きい場合に、前記記録手段による当該画像の記録は可能と判断し、小さい場合は不可能と判断することを特徴とする請求項7に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−86453(P2013−86453A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231518(P2011−231518)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】