記録装置及び制御方法
【課題】記録媒体と記録ヘッドとの干渉による記録ヘッドの損傷を回避するための、記録動作の継続・停止判断をより的確に行うこと。
【解決手段】本発明の記録装置は、記録ヘッドを搭載し往復移動するキャリッジと、前記キャリッジに設けられ、前記キャリッジの移動中に、前記記録ヘッドと前記記録媒体との距離を監視する監視手段と、前記監視手段の監視結果が、第1の距離から前記第1の距離よりも短い第2の距離に変化した場合に、その変化の間の前記キャリッジの移動量に基づき、記録動作を継続するか否かを判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【解決手段】本発明の記録装置は、記録ヘッドを搭載し往復移動するキャリッジと、前記キャリッジに設けられ、前記キャリッジの移動中に、前記記録ヘッドと前記記録媒体との距離を監視する監視手段と、前記監視手段の監視結果が、第1の距離から前記第1の距離よりも短い第2の距離に変化した場合に、その変化の間の前記キャリッジの移動量に基づき、記録動作を継続するか否かを判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式記録装置に代表される記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録装置の1つであるシリアル方式のインクジェット式記録装置は、用紙等の記録媒体の搬送方向に直交する予め定めた方向に往復移動可能なキャリッジを備える。キャリッジには記録ヘッドが搭載される。そして、プラテン上で記録媒体を搬送しつつキャリッジを往復移動させ、記録ヘッドからインク滴を吐出させる。これにより記録媒体に画像を記録することができる。
【0003】
記録媒体がジャム等により折れ曲がった状態にあると、記録ヘッドと記録媒体とが干渉して記録ヘッド擦れが発生し、記録ヘッドにダメージを与える場合がある。そこで、記録媒体の状態を監視し、ジャム等が生じている場合には記録を停止する技術が提案されている(特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−335247号公報
【特許文献2】特開2010−110902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
記録ヘッドと記録媒体との干渉による記録ヘッドの損傷を回避するためには、両者の距離を監視して、記録媒体が記録ヘッドに近接した場合に記録動作を停止することが考えられる。ここで、インクジェット式記録装置においては、記録媒体にインクが浸み込み、コックリングと呼ばれる波うち現象を発生する場合がある。このような波うち現象により記録ヘッドと記録媒体とが干渉した場合には記録ヘッドの損傷がほとんど無い場合もある。よって、記録媒体が記録ヘッドに近接した場合に一律に記録動作を停止すると、不必要に記録動作が停止してしまう場合がある。
【0006】
本発明の目的は、記録媒体と記録ヘッドとの干渉による記録ヘッドの損傷を回避するための、記録動作の継続・停止判断をより的確に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、記録ヘッドを搭載し往復移動するキャリッジと、前記キャリッジに設けられ、前記キャリッジの移動中に、前記記録ヘッドと記録媒体との距離を監視する監視手段と、前記監視手段の監視結果が、第1の距離から前記第1の距離よりも短い第2の距離に変化した場合に、その変化の間の前記キャリッジの移動量に基づき、記録動作を継続するか否かを判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする記録装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、記録媒体と記録ヘッドとの干渉による記録ヘッドの損傷を回避するための、記録動作の継続・停止判断をより的確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る記録装置の外観図
【図2】上記記録装置の制御部のブロック図。
【図3】(a)及び(b)は監視ユニットの説明図。
【図4】(a)乃至(c)は、監視ユニットと測定面との距離によって変化する照射領域および受光領域の位置の変化を示す図。
【図5】測定面の高さと受光センサの出力との関係を示す図。
【図6】記録媒体の状態と監視ユニットの監視結果との関係を示す図。
【図7】記録媒体の状態と監視ユニットの監視結果との関係を示す図。
【図8】記録媒体の状態と監視ユニットの監視結果との関係を示す図。
【図9】センサ回路のうち、特に、受光センサの出力信号の処理回路部分を示す図。
【図10】出力信号の処理回路における信号波形を示す図。
【図11】記録動作時のCPUの制御例を示すフローチャート。
【図12】記録動作時のCPUの他の制御例を示すフローチャート。
【図13】(a)及び(b)は評価値算出用のパラメータの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<装置の概要>
図1は本発明の一実施形態に係る記録装置Aの外観図である。記録装置Aは、不図示のホストコンピュータから画像データを受信し、シート状の記録媒体Pにインクを吐出して、受信した画像データの画像を記録するインクジェットプリンタである。なお、本発明が適用可能な記録装置はインクジェットプリンタに限らず、別の方式で記録を行うものであってもよい。
【0011】
なお、「記録」には、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、又は媒体の加工を行う場合も含まれ、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。また、「記録媒体」には、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも含まれる。本実施形態の場合、記録媒体Pは紙である。
【0012】
記録装置Aはキャリッジ3を備える。キャリッジ3は無端の搬送ベルト4に連結されており、シャフト5に沿って往復移動する。図中、Xはシャフト5の軸方向であり主走査方向である。YはXと直交し、記録媒体Pの搬送方向(副走査方向)である。記録媒体Pは不図示の搬送ローラによってプラテン7上を搬送される。ZはX及びYと直交する方向である。
【0013】
キャリッジ3には複数種類のインクタンク6が着脱自在に搭載される。キャリッジ3には、また、インクジェット方式の記録ヘッド3が搭載されている。記録の際、プラテン7上に搬送された記録媒体P上をキャリッジ1がX方向に移動(走査)する。キャリッジ1の移動中に、記録ヘッド3からインク滴を吐出する。インクはインクタンク6から供給される。キャリッジ1が記録媒体Pの側端まで移動すると、記録媒体PがY方向に一定量搬送され、次の記録を行う領域をプラテン7上に位置させる。この動作の繰り返しにより画像が記録される。
【0014】
キャリッジ3には、また、監視ユニット2が設けられている。監視ユニット2はキャリッジ3の移動中に、記録ヘッド3と記録媒体Pとの距離(Z方向の間隔)、より具体的には記録ヘッド3の吐出面と記録媒体Pの表面との距離を監視する。本実施形態の場合、監視ユニット2は、その監視領域が記録ヘッド3のインク吐出位置よりもX方向で前側に位置している。つまり、記録媒体P上のある点上をキャリッジ3が通過する際、監視ユニット2が先に該点上を通過し、次に記録ヘッド3が通過することになる。しかし、記録ヘッド3に対する監視ユニット2の位置はこれに限られない。また、監視ユニット2の下面は記録ヘッド3の下面とZ方向に同じ位置かそれよりも高い位置にある。監視ユニット2の詳細については後述する。
【0015】
図2を参照して記録装置Aの制御部の構成について説明する。図2は記録装置Aの制御部のブロック図である。
【0016】
CPU11は記憶部12に記憶されたプログラムを実行し、各種のセンサの検出結果等に基づき、記録装置Aが備えるモータ等の制御を行う。CPU11と他のユニットはバス17を介して接続されており、このバス17を通してCPU11から各ユニットのレジスタにデータを設定することにより、CPU11が記録装置Aの全てを制御する。
【0017】
記憶部12は、例えば、ROMなどの不揮発性メモリやRAMなどの揮発性のメモリで構成される。この記憶部12は、例えば、CPU11が動作するために必要なプログラムを記憶する部分、通信制御回路16を通して送られてくる画像を一時的に蓄えておく画像バッファ、およびワーク領域を有する。また、バス17を用いて、CPU11の介在なしに記憶部12から記録ヘッド3の制御回路14に画像データを転送するダイレクトメモリアクセス機能を実現することも可能である。
【0018】
センサ回路13は監視ユニット2が備えるセンサの駆動及び検出結果である出力信号の処理等を行う。
【0019】
制御回路14は、記録ヘッド3を制御するヘッド制御回路である。制御回路14はインク吐出信号を記録ヘッド3へ出力する。インク吐出信号はエンコーダセンサSR1、SR2の出力信号から計算される、記録ヘッド3の主走査方向、副走査方向の位置から特定される画像に対応する。エンコーダセンサSR1は記録媒体Pの搬送量を計測するセンサであり、エンコーダセンサSR2は記録ヘッド3(キャリッジ1)の位置を検知するセンサである。
【0020】
制御回路15は、モータM1、M2の回転方向、回転速度を制御する。モータM1は搬送ベルト4を走行させる駆動源であり、キャリッジ1を移動させる。モータM2は記録媒体Pを副走査方向に移動させるための駆動源であり、不図示の搬送ローラを回転させて記録媒体Pを搬送する。
【0021】
通信制御回路16は、LAN、USB等に代表される通信を制御する回路で、信号線16aを介して記録装置Aのホストコンピュータから送信される画像データの通信制御を司るユニットである。画像データは、記憶部12に格納され、CPU11がインク色・形成すべき解像度など記録ヘッドに対応したデータに変換する。
【0022】
<監視ユニット>
次に、図3乃至図8を参照して監視ユニット2について説明する。本実施形態の監視ユニット2は以下の構成を備えるが、キャリッジ3の移動中に、記録ヘッド3と記録媒体Pとの距離を少なくとも2点について測距可能であればどのような構成であってもよい。
【0023】
図3(a)は監視ユニット2の平面図(透視図)、図3(b)は監視ユニット2の断面図である。監視ユニット2は、記録媒体Pに光を照射する光源21と、光源21が照射した光の、記録媒体Pからの反射光を受光する第1の受光センサ22、第2の受光センサ23と、を備える。本実施形態の場合、光源21はLEDであり、受光センサ22、23はフォトトランジスタである。基板24は、光源21、受光センサ22、23の電気配線用の基板である。
【0024】
光源21と受光センサ22、23は、X−Y平面と平行な記録媒体Pの表面(以後、測定面ともいう。)に対して45度の角を持って配置されている。光源21の照射光は、監視ユニット2のハウジングに開口部を設けてその照射幅を調整することが好ましい。受光センサ22、23の間にはスペーサーを設けて、互いに受光した光が回り込まないような構造とすることが好ましい。また、受光センサ22、23への入光範囲を制限するために、監視ユニット2のハウジングに開口部を設けることが好ましい。そして、開口部の大きさは、受光センサ22、23がそれぞれ検出すべき反射光のみを受光可能となるように設定することが好ましい。
【0025】
受光センサ22、23は互いにZ方向にずらして配置されている。測定面がZ方向の高さHAにあるとき、受光センサ22の受光軸が反射光の反射軸と等しくなり、受光センサ22の出力が最大となる。また、測定面がZ方向の高さHBにあるとき、受光センサ23の受光軸が反射光の反射軸と等しくなり、受光センサ23の出力が最大となる。
【0026】
受光センサ22、23の出力は、測定面までの距離によって変化する光源21の照射領域と受光センサ22、23の受光領域とが重なる面積に関連した変化を見せる。
【0027】
図4(a)乃至(c)は、監視ユニット2と測定面との距離によって変化する照射領域および受光領域の位置の変化を示している。図中、高さHSは正常な記録動作時における記録媒体PのZ方向の位置を示している。また、図5は測定面の高さと受光センサ22、23の出力との関係を示す図である。
【0028】
本実施形態では、図4(a)に示すように記録媒体Pが高さHSに存在している場合、受光センサ22の受光領域R2、受光センサ23の受光領域R3は光源21の照射領域R1から外れるようにこれらの配置関係が設定されている。このときの受光センサ22、23の出力は最小レベルとなる。
【0029】
図4(b)に示すように記録媒体Pが高さHAに存在している場合、受光領域R3は照射領域R1から外れているため受光センサ23の出力は最小レベルとなる。受光領域R2は照射領域R1とほぼ一致しているため、受光センサ22の出力は最大レベルとなる。
【0030】
図4(c)に示すように記録媒体Pが高さHBに存在している場合、受光領域R2は照射領域R1から外れているため受光センサ22の出力は最小レベルとなる。受光領域R3は照射領域R1とほぼ一致しているため、受光センサ23の出力は最大レベルとなる。
【0031】
監視ユニット2と記録ヘッド3とは、共にキャリッジ1に搭載されていることから、監視ユニット2による測距結果は、記録ヘッド3と記録媒体Pとの間隔を示すことになる。本実施形態では、高さHBは記録ヘッド3のフェイス面(インクを吐出する面)に合うように、高さHAは高さHBと高さHSとの間の高さ(例えばフェイス面よりも0.2mm程度低い位置)となるように、受光センサ22、23がそれぞれ配置されている。こうして受光センサ22、23は、記録ヘッド3と記録媒体Pとの距離が第1の距離にある場合、第2の距離にある場合に、これを検出するように配置されている。
【0032】
本実施形態では、高さHBを記録ヘッド3のフェイス面に合わせているので、記録媒体Pが高さHBにあることが検出された場合、記録ヘッド3と記録媒体PとのZ方向の距離は0となる。つまり、記録媒体Pが記録ヘッド3に干渉する状態である。このように高さHBは、記録ヘッド3と記録媒体Pとが干渉する状態にある場合を検出できるように設定されることが好ましいが、少し離間した場合を検出するように設定されてもよい。高さHAは、高さHBと高さHSとの間の位置であればいずれでもよいが、頻繁に検出されることを回避するため、高さHAに近い方が好ましい。
【0033】
<記録媒体Pの状態判別>
記録ヘッド3と記録媒体Pとが干渉すると、記録ヘッド3を損傷するおそれがある。よって、監視ユニット2により記録媒体Pが高さHBに存在することが検出された場合、録動作を停止することが望ましい。ここで、干渉の原因が記録媒体Pの折れ曲がり等による場合は、記録ヘッド3に与える損傷が大きいと予想される。例えば、記録媒体Pが蛇腹状になり、山折りと谷折りを繰り返す「アコーディオン形状」や、記録媒体Pの端部が折れ曲がってしまう「端部折れ」などである。これらは、記録媒体Pのジャム現象に起因して生じやすい。
【0034】
一方、干渉の原因が、紙やインクの特性によって生じるコックリングによる場合は、記録ヘッド3に与える損傷が小さいと予想される。この場合に、監視ユニット2により記録媒体Pが高さHBに存在することが検出される度に記録動作を停止すると、停止頻度が不必要に多くなる場合が懸念される。
【0035】
そこで、本実施形態では、監視ユニット2の監視結果から、記録媒体Pの状態を判別して記録動作を継続するか否かを判定する。概説すると、記録ヘッド3と記録媒体Pとの距離が第1の距離から、第1の距離よりも短い第2の距離に変化した監視ユニット2が示す場合に、その変化の間のキャリッジ1の移動量に基づき記録媒体Pの状態を判別して、記録動作を継続するか否かを判定する。
【0036】
図6は記録媒体Pがアコーディオン形状になっている場合の、監視ユニット2の監視結果を示す図である。図中、OUT22は受光センサ22の出力を、OUT23は受光センサ23の出力をそれぞれ示す。記録動作中、キャリッジ1がX方向に移動すると、記録媒体Pの折れ曲がり部分の山を監視ユニット2が通過する。このとき、受光センサ22の出力が立ち上がり、次に受光センサ23の出力が立ち上がる。その間隔時間Dはキャリッジ1の移動量に比例したものとなるが、折れ曲がりが急であるため、間隔時間Dも相対的に短くなる。
【0037】
図7は記録媒体Pの端部が折れている場合の、監視ユニット2の監視結果を示す図である。図6の場合と同様、記録動作中、キャリッジ1がX方向に移動すると、受光センサ22の出力が立ち上がり、次に受光センサ23の出力が立ち上がる。やはり、折れ曲がりが急であるため、間隔時間Dも相対的に短くなる。
【0038】
図8は記録媒体Pにコックリングが生じている場合の、監視ユニット2の監視結果を示す図である。図6、図7の場合と同様、記録動作中、キャリッジ1がX方向に移動すると、受光センサ22の出力が立ち上がり、次に受光センサ23の出力が立ち上がる。しかし、緩やかに湾曲しているため、間隔時間Dは相対的に長くなる。
【0039】
以上のことから、記録媒体Pの位置が高さHAにあることが検出されてから、高さHBに検出されるまでのキャリッジ1の移動量が所定量に達した場合はコックリングと判別し、達していない場合はコックリング以外の折れ曲がり等と判別することができる。
【0040】
<キャリッジ1の移動量の検出>
記録媒体Pの位置が高さHAにあることが検出されてから、高さHBに検出されるまでのキャリッジ1の移動量は様々な手法で特定可能であるが、本実施形態では、センサ回路13に以下の構成を設けることで特定する。
【0041】
図9はセンサ回路13のうち、特に、受光センサ22、23の出力信号の処理回路部分を示し、図10は該処理回路における信号波形を示している。
【0042】
受光センサ22、23の出力信号は、それぞれ、不図示のA/D変換回路等による信号処理がなされてCPU11に入力されるが、受光センサ22の出力信号は更に以下の回路により処理される。
【0043】
受光センサ22の出力信号は微分回路131に入力される。記録媒体Pの高さが高さHAに達し受光センサ22の出力が増大すると、微分回路131によって信号のエッジが抽出されたあと二値化されて「H」レベルとなる。「H」レベルの信号ははラッチ回路132で保持される。よってこのときラッチ回路132の出力信号は「H」レベルとなる。
【0044】
ラッチ回路132の出力信号が「H」レベルとなると、パルスカウンタ133はエンコーダセンサSR2から送られてくるパルスのカウントを開始する。つまり、記録媒体Pの位置が高さHAにあることが検出されてからの、キャリッジ1の移動量の計測を開始する。パルスカウンタ133のカウント値はコンパレータ134に出力され、コンパレータ134はパルスカウンタ133のカウント値と予め定めた閾値(ここではVとする。)とを比較する。
【0045】
パルスカウンタ133のカウント値が閾値Vに達した場合、コンパレータ134の出力信号は「H」レベルとなる。その後、記録媒体Pの高さが高さHBに達して受光センサ23の出力が増大した場合、CPU11は記録媒体Pの状態は「コックリング」と判断する。そして、ラッチ回路132とパルスカウンタ133をリセットする。記録媒体Pの高さが高さHBに達する前に再び高さHAに戻ったときも、ラッチ回路132とパルスカウンタ133はリセットされる。
【0046】
コンパレータ134の出力信号が「L」レベルの間に記録媒体Pの高さが高さHBに達して受光センサ23の出力が増大した場合、CPU11は記録媒体Pの状態はコックリング以外(折れ等)と判断する。
【0047】
<制御例>
次に、図11を参照して、記録動作時のCPU11の制御例について説明する。図11は記録動作時のCPU11の制御例を示すフローチャートであり、キャリッジ1を主走査方向に1走査する際の制御例を示している。処理の開始により、キャリッジ1を主走査方向に移動させると共にS1で監視ユニット2による監視を開始する。また、キャリッジ1の移動途中で記録ヘッド3からインクを記録媒体P上に吐出して画像記録を行う。
【0048】
S2で受光センサ23が記録媒体Pが高さHBに存在することを検出したか否かを判定する。該当する場合はS3へ進み、該当しない場合はS4へ進む。S3ではコンパレータ134の出力信号が「H」レベルか否かを判定する。該当する場合は、記録媒体Pの状態はコックリングであると判断して記録動作を継続すべくS4へ進む。該当しない場合は、記録媒体Pの状態は端部折れ等であると判断し、記録動作を継続しないと判定する。キャリッジ1の移動を中止して、エラー終了となる。
【0049】
S4では一走査分の記録動作が終了したか否かを判定する。該当する場合はキャリッジ1を停止して一単位の処理を正常終了する。以降、記録媒体Pを副走査方向に所定量移動して再び同様の処理を繰り返す。該当しない場合はS2へ戻って同様の処理を繰り返す。
【0050】
このように本実施形態では、記録媒体Pと記録ヘッド3とが干渉することが検出された場合であっても、一律に記録動作を停止せず、記録ヘッド3の損傷が小さい場合は継続する。こうして、記録媒体Pと記録ヘッド3との干渉による記録ヘッド3の損傷を回避するための、記録動作の継続・停止判断をより的確に行うことができる。
【0051】
<他の制御例>
図11の例では、コンパレータ134の出力信号が「H」レベルになった後に、記録媒体Pが高さHBに存在することが検出された場合には、記録媒体Pの状態はコックリングであると判断して記録動作を継続した。しかし、記録媒体Pの状態がコックリングであるとしても、記録時の状況によっては記録ヘッド3の損傷が大きくなる場合がある。そこで、コンパレータ134の出力信号が「H」レベルになった後に、記録媒体Pが高さHBに存在することが検出された場合、その度に、記録ヘッド3の損傷度合いを示す評価値を算出する。そして、評価値の累積値が所定値に達した場合には記録動作を停止するようにすることもできる。
【0052】
評価値は、記録媒体Pの種類、記録時の周囲環境、キャリッジ1の移動速度の少なくともいずれかに応じて算出することができる。記録媒体Pの種類を考慮するのは、その剛性により記録ヘッド3の損傷度合いが異なると考えられるからである。周囲環境を考慮するのは、温度、湿度などの周囲環境が記録媒体Pの剛性に影響を与え、記録ヘッド3の損傷度合いが異なると考えられるからである。キャリッジ1の移動速度を考慮するのは、干渉時の衝撃に影響を与え、記録ヘッド3の損傷度合いが異なると考えられるからである。
【0053】
評価値は、このような要素に基づくパラメータを準備しておき、算出することができる。図13(a)は、記録媒体P及び周囲環境による評価値算出用のパラメータの例を示し、図13(b)はキャリッジ1の移動速度による評価値算出用のパラメータの例を示す。これらのパラメータは記憶部12に格納しておくことができる。
【0054】
記録媒体の種類としては、画材、フォト光沢紙、コート紙及びクリアフィルムを例示している。どの記録媒体が利用されているかは、ユーザの設定により識別できる。ユーザの設定は、例えば、記録装置Aに設けた不図示の操作パネルを介して、或いは、ホストコンピュータ上で、行うことができる。
【0055】
周囲環境の種類としては、低温・低湿度、通常、高温・高湿度を例示している。低温・低湿度は、例えば、気温10℃、湿度10%以下とすることができ、高温・高湿度は、例えば、気温30℃、湿度80%以上とすることができる。気温、湿度は、温湿度センサを設けて計測することができる。各パラメータは、記録ヘッド3に対するダメージの大きさを考慮して過去の実験データに基づき設定されている。全体的な傾向としては、高温・高湿度では記録媒体Pの剛性が相対的に低くなるためパラメータが小さくなり、低温・低湿度では記録媒体Pの剛性が相対的に高くなるためパラメータがが大きい。
【0056】
キャリッジ1の移動速度について、ipsは「インチ/秒」を示す。キャリッジ1の速度が大きいほど記録ヘッド3への影響も大きいため、速度に応じてパラメータが大きくなっている。
【0057】
本実施形態の場合、評価値は、図13(a)に示す記録媒体の種類及び周囲環境に基づくパラメータと、図13(b)に示すキャリッジ1の移動速度に基づくパラメータとを乗算して設定する。例えば、フォト光沢紙、温度7℃湿度5%、キャリッジ速度33ipsのときの評価値値は、3.8×1.3=4.94となる。
【0058】
図12は本制御例のフローチャートである。図12の例は、図11の例と同様、キャリッジ1を主走査方向に1走査する際の制御例を示している。処理の開始により、キャリッジ1を主走査方向に移動させると共にS11で監視ユニット2による監視を開始する。また、キャリッジ1の移動途中で記録ヘッド3からインクを記録媒体P上に吐出して画像記録を行う。
【0059】
S12で受光センサ23が記録媒体Pが高さHBに存在することを検出したか否かを判定する。該当する場合はS13へ進み、該当しない場合はS16へ進む。S13ではコンパレータ134の出力信号が「H」レベルか否かを判定する。該当する場合は、記録媒体Pの状態はコックリングであると判断して記録動作を継続すべくS14へ進む。該当しない場合は、記録媒体Pの状態は端部折れ等であると判断し、記録動作を継続しないと判定する。キャリッジ1の移動を中止して、エラー終了となる。
【0060】
S14では、上述した評価値を算出する。また、算出した評価値を、現在の累積値に加算して累積値を更新する。S15ではS14で算出した累積値が所定値以上か否かを判定する。所定値以上の場合は、記録動作を継続しないと判定する。キャリッジ1の移動を中止して、エラー終了となる。所定値未満の場合は記録動作を継続すべく、S15へ進む。
【0061】
S15では一走査分の記録動作が終了したか否かを判定する。該当する場合はキャリッジ1を停止して一単位の処理を正常終了する。以降、記録媒体Pを副走査方向に所定量移動して再び同様の処理を繰り返す。該当しない場合はS12へ戻って同様の処理を繰り返す。
【0062】
このように本実施形態の場合、コックリングと判断した場合であっても、記録ヘッド3への影響度を考慮することで、記録の停止/継続についてのより的確な判断ができる。なお、S14で算出された累積値は記録媒体Pの頁単位でリセットすることが好ましい。記録する画像の濃度によって、コックリングの紙の浮き状態は大きく変化するが、画像の濃度は各ページ毎で傾向が偏ることが多い。よって、頁単位で累積値をリセットすることで、より効率的に記録の停止/継続についての判断ができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式記録装置に代表される記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録装置の1つであるシリアル方式のインクジェット式記録装置は、用紙等の記録媒体の搬送方向に直交する予め定めた方向に往復移動可能なキャリッジを備える。キャリッジには記録ヘッドが搭載される。そして、プラテン上で記録媒体を搬送しつつキャリッジを往復移動させ、記録ヘッドからインク滴を吐出させる。これにより記録媒体に画像を記録することができる。
【0003】
記録媒体がジャム等により折れ曲がった状態にあると、記録ヘッドと記録媒体とが干渉して記録ヘッド擦れが発生し、記録ヘッドにダメージを与える場合がある。そこで、記録媒体の状態を監視し、ジャム等が生じている場合には記録を停止する技術が提案されている(特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−335247号公報
【特許文献2】特開2010−110902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
記録ヘッドと記録媒体との干渉による記録ヘッドの損傷を回避するためには、両者の距離を監視して、記録媒体が記録ヘッドに近接した場合に記録動作を停止することが考えられる。ここで、インクジェット式記録装置においては、記録媒体にインクが浸み込み、コックリングと呼ばれる波うち現象を発生する場合がある。このような波うち現象により記録ヘッドと記録媒体とが干渉した場合には記録ヘッドの損傷がほとんど無い場合もある。よって、記録媒体が記録ヘッドに近接した場合に一律に記録動作を停止すると、不必要に記録動作が停止してしまう場合がある。
【0006】
本発明の目的は、記録媒体と記録ヘッドとの干渉による記録ヘッドの損傷を回避するための、記録動作の継続・停止判断をより的確に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、記録ヘッドを搭載し往復移動するキャリッジと、前記キャリッジに設けられ、前記キャリッジの移動中に、前記記録ヘッドと記録媒体との距離を監視する監視手段と、前記監視手段の監視結果が、第1の距離から前記第1の距離よりも短い第2の距離に変化した場合に、その変化の間の前記キャリッジの移動量に基づき、記録動作を継続するか否かを判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする記録装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、記録媒体と記録ヘッドとの干渉による記録ヘッドの損傷を回避するための、記録動作の継続・停止判断をより的確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る記録装置の外観図
【図2】上記記録装置の制御部のブロック図。
【図3】(a)及び(b)は監視ユニットの説明図。
【図4】(a)乃至(c)は、監視ユニットと測定面との距離によって変化する照射領域および受光領域の位置の変化を示す図。
【図5】測定面の高さと受光センサの出力との関係を示す図。
【図6】記録媒体の状態と監視ユニットの監視結果との関係を示す図。
【図7】記録媒体の状態と監視ユニットの監視結果との関係を示す図。
【図8】記録媒体の状態と監視ユニットの監視結果との関係を示す図。
【図9】センサ回路のうち、特に、受光センサの出力信号の処理回路部分を示す図。
【図10】出力信号の処理回路における信号波形を示す図。
【図11】記録動作時のCPUの制御例を示すフローチャート。
【図12】記録動作時のCPUの他の制御例を示すフローチャート。
【図13】(a)及び(b)は評価値算出用のパラメータの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<装置の概要>
図1は本発明の一実施形態に係る記録装置Aの外観図である。記録装置Aは、不図示のホストコンピュータから画像データを受信し、シート状の記録媒体Pにインクを吐出して、受信した画像データの画像を記録するインクジェットプリンタである。なお、本発明が適用可能な記録装置はインクジェットプリンタに限らず、別の方式で記録を行うものであってもよい。
【0011】
なお、「記録」には、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、又は媒体の加工を行う場合も含まれ、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。また、「記録媒体」には、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも含まれる。本実施形態の場合、記録媒体Pは紙である。
【0012】
記録装置Aはキャリッジ3を備える。キャリッジ3は無端の搬送ベルト4に連結されており、シャフト5に沿って往復移動する。図中、Xはシャフト5の軸方向であり主走査方向である。YはXと直交し、記録媒体Pの搬送方向(副走査方向)である。記録媒体Pは不図示の搬送ローラによってプラテン7上を搬送される。ZはX及びYと直交する方向である。
【0013】
キャリッジ3には複数種類のインクタンク6が着脱自在に搭載される。キャリッジ3には、また、インクジェット方式の記録ヘッド3が搭載されている。記録の際、プラテン7上に搬送された記録媒体P上をキャリッジ1がX方向に移動(走査)する。キャリッジ1の移動中に、記録ヘッド3からインク滴を吐出する。インクはインクタンク6から供給される。キャリッジ1が記録媒体Pの側端まで移動すると、記録媒体PがY方向に一定量搬送され、次の記録を行う領域をプラテン7上に位置させる。この動作の繰り返しにより画像が記録される。
【0014】
キャリッジ3には、また、監視ユニット2が設けられている。監視ユニット2はキャリッジ3の移動中に、記録ヘッド3と記録媒体Pとの距離(Z方向の間隔)、より具体的には記録ヘッド3の吐出面と記録媒体Pの表面との距離を監視する。本実施形態の場合、監視ユニット2は、その監視領域が記録ヘッド3のインク吐出位置よりもX方向で前側に位置している。つまり、記録媒体P上のある点上をキャリッジ3が通過する際、監視ユニット2が先に該点上を通過し、次に記録ヘッド3が通過することになる。しかし、記録ヘッド3に対する監視ユニット2の位置はこれに限られない。また、監視ユニット2の下面は記録ヘッド3の下面とZ方向に同じ位置かそれよりも高い位置にある。監視ユニット2の詳細については後述する。
【0015】
図2を参照して記録装置Aの制御部の構成について説明する。図2は記録装置Aの制御部のブロック図である。
【0016】
CPU11は記憶部12に記憶されたプログラムを実行し、各種のセンサの検出結果等に基づき、記録装置Aが備えるモータ等の制御を行う。CPU11と他のユニットはバス17を介して接続されており、このバス17を通してCPU11から各ユニットのレジスタにデータを設定することにより、CPU11が記録装置Aの全てを制御する。
【0017】
記憶部12は、例えば、ROMなどの不揮発性メモリやRAMなどの揮発性のメモリで構成される。この記憶部12は、例えば、CPU11が動作するために必要なプログラムを記憶する部分、通信制御回路16を通して送られてくる画像を一時的に蓄えておく画像バッファ、およびワーク領域を有する。また、バス17を用いて、CPU11の介在なしに記憶部12から記録ヘッド3の制御回路14に画像データを転送するダイレクトメモリアクセス機能を実現することも可能である。
【0018】
センサ回路13は監視ユニット2が備えるセンサの駆動及び検出結果である出力信号の処理等を行う。
【0019】
制御回路14は、記録ヘッド3を制御するヘッド制御回路である。制御回路14はインク吐出信号を記録ヘッド3へ出力する。インク吐出信号はエンコーダセンサSR1、SR2の出力信号から計算される、記録ヘッド3の主走査方向、副走査方向の位置から特定される画像に対応する。エンコーダセンサSR1は記録媒体Pの搬送量を計測するセンサであり、エンコーダセンサSR2は記録ヘッド3(キャリッジ1)の位置を検知するセンサである。
【0020】
制御回路15は、モータM1、M2の回転方向、回転速度を制御する。モータM1は搬送ベルト4を走行させる駆動源であり、キャリッジ1を移動させる。モータM2は記録媒体Pを副走査方向に移動させるための駆動源であり、不図示の搬送ローラを回転させて記録媒体Pを搬送する。
【0021】
通信制御回路16は、LAN、USB等に代表される通信を制御する回路で、信号線16aを介して記録装置Aのホストコンピュータから送信される画像データの通信制御を司るユニットである。画像データは、記憶部12に格納され、CPU11がインク色・形成すべき解像度など記録ヘッドに対応したデータに変換する。
【0022】
<監視ユニット>
次に、図3乃至図8を参照して監視ユニット2について説明する。本実施形態の監視ユニット2は以下の構成を備えるが、キャリッジ3の移動中に、記録ヘッド3と記録媒体Pとの距離を少なくとも2点について測距可能であればどのような構成であってもよい。
【0023】
図3(a)は監視ユニット2の平面図(透視図)、図3(b)は監視ユニット2の断面図である。監視ユニット2は、記録媒体Pに光を照射する光源21と、光源21が照射した光の、記録媒体Pからの反射光を受光する第1の受光センサ22、第2の受光センサ23と、を備える。本実施形態の場合、光源21はLEDであり、受光センサ22、23はフォトトランジスタである。基板24は、光源21、受光センサ22、23の電気配線用の基板である。
【0024】
光源21と受光センサ22、23は、X−Y平面と平行な記録媒体Pの表面(以後、測定面ともいう。)に対して45度の角を持って配置されている。光源21の照射光は、監視ユニット2のハウジングに開口部を設けてその照射幅を調整することが好ましい。受光センサ22、23の間にはスペーサーを設けて、互いに受光した光が回り込まないような構造とすることが好ましい。また、受光センサ22、23への入光範囲を制限するために、監視ユニット2のハウジングに開口部を設けることが好ましい。そして、開口部の大きさは、受光センサ22、23がそれぞれ検出すべき反射光のみを受光可能となるように設定することが好ましい。
【0025】
受光センサ22、23は互いにZ方向にずらして配置されている。測定面がZ方向の高さHAにあるとき、受光センサ22の受光軸が反射光の反射軸と等しくなり、受光センサ22の出力が最大となる。また、測定面がZ方向の高さHBにあるとき、受光センサ23の受光軸が反射光の反射軸と等しくなり、受光センサ23の出力が最大となる。
【0026】
受光センサ22、23の出力は、測定面までの距離によって変化する光源21の照射領域と受光センサ22、23の受光領域とが重なる面積に関連した変化を見せる。
【0027】
図4(a)乃至(c)は、監視ユニット2と測定面との距離によって変化する照射領域および受光領域の位置の変化を示している。図中、高さHSは正常な記録動作時における記録媒体PのZ方向の位置を示している。また、図5は測定面の高さと受光センサ22、23の出力との関係を示す図である。
【0028】
本実施形態では、図4(a)に示すように記録媒体Pが高さHSに存在している場合、受光センサ22の受光領域R2、受光センサ23の受光領域R3は光源21の照射領域R1から外れるようにこれらの配置関係が設定されている。このときの受光センサ22、23の出力は最小レベルとなる。
【0029】
図4(b)に示すように記録媒体Pが高さHAに存在している場合、受光領域R3は照射領域R1から外れているため受光センサ23の出力は最小レベルとなる。受光領域R2は照射領域R1とほぼ一致しているため、受光センサ22の出力は最大レベルとなる。
【0030】
図4(c)に示すように記録媒体Pが高さHBに存在している場合、受光領域R2は照射領域R1から外れているため受光センサ22の出力は最小レベルとなる。受光領域R3は照射領域R1とほぼ一致しているため、受光センサ23の出力は最大レベルとなる。
【0031】
監視ユニット2と記録ヘッド3とは、共にキャリッジ1に搭載されていることから、監視ユニット2による測距結果は、記録ヘッド3と記録媒体Pとの間隔を示すことになる。本実施形態では、高さHBは記録ヘッド3のフェイス面(インクを吐出する面)に合うように、高さHAは高さHBと高さHSとの間の高さ(例えばフェイス面よりも0.2mm程度低い位置)となるように、受光センサ22、23がそれぞれ配置されている。こうして受光センサ22、23は、記録ヘッド3と記録媒体Pとの距離が第1の距離にある場合、第2の距離にある場合に、これを検出するように配置されている。
【0032】
本実施形態では、高さHBを記録ヘッド3のフェイス面に合わせているので、記録媒体Pが高さHBにあることが検出された場合、記録ヘッド3と記録媒体PとのZ方向の距離は0となる。つまり、記録媒体Pが記録ヘッド3に干渉する状態である。このように高さHBは、記録ヘッド3と記録媒体Pとが干渉する状態にある場合を検出できるように設定されることが好ましいが、少し離間した場合を検出するように設定されてもよい。高さHAは、高さHBと高さHSとの間の位置であればいずれでもよいが、頻繁に検出されることを回避するため、高さHAに近い方が好ましい。
【0033】
<記録媒体Pの状態判別>
記録ヘッド3と記録媒体Pとが干渉すると、記録ヘッド3を損傷するおそれがある。よって、監視ユニット2により記録媒体Pが高さHBに存在することが検出された場合、録動作を停止することが望ましい。ここで、干渉の原因が記録媒体Pの折れ曲がり等による場合は、記録ヘッド3に与える損傷が大きいと予想される。例えば、記録媒体Pが蛇腹状になり、山折りと谷折りを繰り返す「アコーディオン形状」や、記録媒体Pの端部が折れ曲がってしまう「端部折れ」などである。これらは、記録媒体Pのジャム現象に起因して生じやすい。
【0034】
一方、干渉の原因が、紙やインクの特性によって生じるコックリングによる場合は、記録ヘッド3に与える損傷が小さいと予想される。この場合に、監視ユニット2により記録媒体Pが高さHBに存在することが検出される度に記録動作を停止すると、停止頻度が不必要に多くなる場合が懸念される。
【0035】
そこで、本実施形態では、監視ユニット2の監視結果から、記録媒体Pの状態を判別して記録動作を継続するか否かを判定する。概説すると、記録ヘッド3と記録媒体Pとの距離が第1の距離から、第1の距離よりも短い第2の距離に変化した監視ユニット2が示す場合に、その変化の間のキャリッジ1の移動量に基づき記録媒体Pの状態を判別して、記録動作を継続するか否かを判定する。
【0036】
図6は記録媒体Pがアコーディオン形状になっている場合の、監視ユニット2の監視結果を示す図である。図中、OUT22は受光センサ22の出力を、OUT23は受光センサ23の出力をそれぞれ示す。記録動作中、キャリッジ1がX方向に移動すると、記録媒体Pの折れ曲がり部分の山を監視ユニット2が通過する。このとき、受光センサ22の出力が立ち上がり、次に受光センサ23の出力が立ち上がる。その間隔時間Dはキャリッジ1の移動量に比例したものとなるが、折れ曲がりが急であるため、間隔時間Dも相対的に短くなる。
【0037】
図7は記録媒体Pの端部が折れている場合の、監視ユニット2の監視結果を示す図である。図6の場合と同様、記録動作中、キャリッジ1がX方向に移動すると、受光センサ22の出力が立ち上がり、次に受光センサ23の出力が立ち上がる。やはり、折れ曲がりが急であるため、間隔時間Dも相対的に短くなる。
【0038】
図8は記録媒体Pにコックリングが生じている場合の、監視ユニット2の監視結果を示す図である。図6、図7の場合と同様、記録動作中、キャリッジ1がX方向に移動すると、受光センサ22の出力が立ち上がり、次に受光センサ23の出力が立ち上がる。しかし、緩やかに湾曲しているため、間隔時間Dは相対的に長くなる。
【0039】
以上のことから、記録媒体Pの位置が高さHAにあることが検出されてから、高さHBに検出されるまでのキャリッジ1の移動量が所定量に達した場合はコックリングと判別し、達していない場合はコックリング以外の折れ曲がり等と判別することができる。
【0040】
<キャリッジ1の移動量の検出>
記録媒体Pの位置が高さHAにあることが検出されてから、高さHBに検出されるまでのキャリッジ1の移動量は様々な手法で特定可能であるが、本実施形態では、センサ回路13に以下の構成を設けることで特定する。
【0041】
図9はセンサ回路13のうち、特に、受光センサ22、23の出力信号の処理回路部分を示し、図10は該処理回路における信号波形を示している。
【0042】
受光センサ22、23の出力信号は、それぞれ、不図示のA/D変換回路等による信号処理がなされてCPU11に入力されるが、受光センサ22の出力信号は更に以下の回路により処理される。
【0043】
受光センサ22の出力信号は微分回路131に入力される。記録媒体Pの高さが高さHAに達し受光センサ22の出力が増大すると、微分回路131によって信号のエッジが抽出されたあと二値化されて「H」レベルとなる。「H」レベルの信号ははラッチ回路132で保持される。よってこのときラッチ回路132の出力信号は「H」レベルとなる。
【0044】
ラッチ回路132の出力信号が「H」レベルとなると、パルスカウンタ133はエンコーダセンサSR2から送られてくるパルスのカウントを開始する。つまり、記録媒体Pの位置が高さHAにあることが検出されてからの、キャリッジ1の移動量の計測を開始する。パルスカウンタ133のカウント値はコンパレータ134に出力され、コンパレータ134はパルスカウンタ133のカウント値と予め定めた閾値(ここではVとする。)とを比較する。
【0045】
パルスカウンタ133のカウント値が閾値Vに達した場合、コンパレータ134の出力信号は「H」レベルとなる。その後、記録媒体Pの高さが高さHBに達して受光センサ23の出力が増大した場合、CPU11は記録媒体Pの状態は「コックリング」と判断する。そして、ラッチ回路132とパルスカウンタ133をリセットする。記録媒体Pの高さが高さHBに達する前に再び高さHAに戻ったときも、ラッチ回路132とパルスカウンタ133はリセットされる。
【0046】
コンパレータ134の出力信号が「L」レベルの間に記録媒体Pの高さが高さHBに達して受光センサ23の出力が増大した場合、CPU11は記録媒体Pの状態はコックリング以外(折れ等)と判断する。
【0047】
<制御例>
次に、図11を参照して、記録動作時のCPU11の制御例について説明する。図11は記録動作時のCPU11の制御例を示すフローチャートであり、キャリッジ1を主走査方向に1走査する際の制御例を示している。処理の開始により、キャリッジ1を主走査方向に移動させると共にS1で監視ユニット2による監視を開始する。また、キャリッジ1の移動途中で記録ヘッド3からインクを記録媒体P上に吐出して画像記録を行う。
【0048】
S2で受光センサ23が記録媒体Pが高さHBに存在することを検出したか否かを判定する。該当する場合はS3へ進み、該当しない場合はS4へ進む。S3ではコンパレータ134の出力信号が「H」レベルか否かを判定する。該当する場合は、記録媒体Pの状態はコックリングであると判断して記録動作を継続すべくS4へ進む。該当しない場合は、記録媒体Pの状態は端部折れ等であると判断し、記録動作を継続しないと判定する。キャリッジ1の移動を中止して、エラー終了となる。
【0049】
S4では一走査分の記録動作が終了したか否かを判定する。該当する場合はキャリッジ1を停止して一単位の処理を正常終了する。以降、記録媒体Pを副走査方向に所定量移動して再び同様の処理を繰り返す。該当しない場合はS2へ戻って同様の処理を繰り返す。
【0050】
このように本実施形態では、記録媒体Pと記録ヘッド3とが干渉することが検出された場合であっても、一律に記録動作を停止せず、記録ヘッド3の損傷が小さい場合は継続する。こうして、記録媒体Pと記録ヘッド3との干渉による記録ヘッド3の損傷を回避するための、記録動作の継続・停止判断をより的確に行うことができる。
【0051】
<他の制御例>
図11の例では、コンパレータ134の出力信号が「H」レベルになった後に、記録媒体Pが高さHBに存在することが検出された場合には、記録媒体Pの状態はコックリングであると判断して記録動作を継続した。しかし、記録媒体Pの状態がコックリングであるとしても、記録時の状況によっては記録ヘッド3の損傷が大きくなる場合がある。そこで、コンパレータ134の出力信号が「H」レベルになった後に、記録媒体Pが高さHBに存在することが検出された場合、その度に、記録ヘッド3の損傷度合いを示す評価値を算出する。そして、評価値の累積値が所定値に達した場合には記録動作を停止するようにすることもできる。
【0052】
評価値は、記録媒体Pの種類、記録時の周囲環境、キャリッジ1の移動速度の少なくともいずれかに応じて算出することができる。記録媒体Pの種類を考慮するのは、その剛性により記録ヘッド3の損傷度合いが異なると考えられるからである。周囲環境を考慮するのは、温度、湿度などの周囲環境が記録媒体Pの剛性に影響を与え、記録ヘッド3の損傷度合いが異なると考えられるからである。キャリッジ1の移動速度を考慮するのは、干渉時の衝撃に影響を与え、記録ヘッド3の損傷度合いが異なると考えられるからである。
【0053】
評価値は、このような要素に基づくパラメータを準備しておき、算出することができる。図13(a)は、記録媒体P及び周囲環境による評価値算出用のパラメータの例を示し、図13(b)はキャリッジ1の移動速度による評価値算出用のパラメータの例を示す。これらのパラメータは記憶部12に格納しておくことができる。
【0054】
記録媒体の種類としては、画材、フォト光沢紙、コート紙及びクリアフィルムを例示している。どの記録媒体が利用されているかは、ユーザの設定により識別できる。ユーザの設定は、例えば、記録装置Aに設けた不図示の操作パネルを介して、或いは、ホストコンピュータ上で、行うことができる。
【0055】
周囲環境の種類としては、低温・低湿度、通常、高温・高湿度を例示している。低温・低湿度は、例えば、気温10℃、湿度10%以下とすることができ、高温・高湿度は、例えば、気温30℃、湿度80%以上とすることができる。気温、湿度は、温湿度センサを設けて計測することができる。各パラメータは、記録ヘッド3に対するダメージの大きさを考慮して過去の実験データに基づき設定されている。全体的な傾向としては、高温・高湿度では記録媒体Pの剛性が相対的に低くなるためパラメータが小さくなり、低温・低湿度では記録媒体Pの剛性が相対的に高くなるためパラメータがが大きい。
【0056】
キャリッジ1の移動速度について、ipsは「インチ/秒」を示す。キャリッジ1の速度が大きいほど記録ヘッド3への影響も大きいため、速度に応じてパラメータが大きくなっている。
【0057】
本実施形態の場合、評価値は、図13(a)に示す記録媒体の種類及び周囲環境に基づくパラメータと、図13(b)に示すキャリッジ1の移動速度に基づくパラメータとを乗算して設定する。例えば、フォト光沢紙、温度7℃湿度5%、キャリッジ速度33ipsのときの評価値値は、3.8×1.3=4.94となる。
【0058】
図12は本制御例のフローチャートである。図12の例は、図11の例と同様、キャリッジ1を主走査方向に1走査する際の制御例を示している。処理の開始により、キャリッジ1を主走査方向に移動させると共にS11で監視ユニット2による監視を開始する。また、キャリッジ1の移動途中で記録ヘッド3からインクを記録媒体P上に吐出して画像記録を行う。
【0059】
S12で受光センサ23が記録媒体Pが高さHBに存在することを検出したか否かを判定する。該当する場合はS13へ進み、該当しない場合はS16へ進む。S13ではコンパレータ134の出力信号が「H」レベルか否かを判定する。該当する場合は、記録媒体Pの状態はコックリングであると判断して記録動作を継続すべくS14へ進む。該当しない場合は、記録媒体Pの状態は端部折れ等であると判断し、記録動作を継続しないと判定する。キャリッジ1の移動を中止して、エラー終了となる。
【0060】
S14では、上述した評価値を算出する。また、算出した評価値を、現在の累積値に加算して累積値を更新する。S15ではS14で算出した累積値が所定値以上か否かを判定する。所定値以上の場合は、記録動作を継続しないと判定する。キャリッジ1の移動を中止して、エラー終了となる。所定値未満の場合は記録動作を継続すべく、S15へ進む。
【0061】
S15では一走査分の記録動作が終了したか否かを判定する。該当する場合はキャリッジ1を停止して一単位の処理を正常終了する。以降、記録媒体Pを副走査方向に所定量移動して再び同様の処理を繰り返す。該当しない場合はS12へ戻って同様の処理を繰り返す。
【0062】
このように本実施形態の場合、コックリングと判断した場合であっても、記録ヘッド3への影響度を考慮することで、記録の停止/継続についてのより的確な判断ができる。なお、S14で算出された累積値は記録媒体Pの頁単位でリセットすることが好ましい。記録する画像の濃度によって、コックリングの紙の浮き状態は大きく変化するが、画像の濃度は各ページ毎で傾向が偏ることが多い。よって、頁単位で累積値をリセットすることで、より効率的に記録の停止/継続についての判断ができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ヘッドを搭載し往復移動するキャリッジと、
前記キャリッジに設けられ、前記キャリッジの移動中に、前記記録ヘッドと記録媒体との距離を監視する監視手段と、
前記監視手段の監視結果が、第1の距離から前記第1の距離よりも短い第2の距離に変化した場合に、その変化の間の前記キャリッジの移動量に基づき、記録動作を継続するか否かを判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記変化の間の前記キャリッジの移動量が予め定めた移動量に達していない場合は、記録動作を継続しないと判定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記判定手段は、
前記変化の間の前記キャリッジの移動量が予め定めた移動量に達している場合は、記録動作を継続すると判定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
前記判定手段は、
前記変化の間の前記キャリッジの移動量が予め定めた移動量に達する度に、少なくとも前記記録媒体の種類に応じて、前記記録ヘッドの損傷度合いを示す評価値を設定し、該評価値を累積した累積値に基づき、記録動作を継続するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項5】
前記判定手段は、
前記変化の間の前記キャリッジの移動量が予め定めた移動量に達する度に、少なくとも記録時の周囲環境に応じて、前記記録ヘッドの損傷度合いを示す評価値を設定し、該評価値を累積した累積値に基づき、記録動作を継続するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
前記判定手段は、
前記変化の間の前記キャリッジの移動量が予め定めた移動量に達する度に、少なくとも前記キャリッジの移動速度に応じて、前記記録ヘッドの損傷度合いを示す評価値を設定し、該評価値を累積した累積値に基づき、記録動作を継続するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項7】
前記累積値は前記記録媒体の頁単位でリセットされることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項8】
前記第2の距離が0であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項9】
前記監視手段は、
前記記録媒体に光を照射する光源と、
前記光源が照射した光の、前記記録媒体からの反射光を受光する第1及び第2の受光センサと、を備え、
前記第1の受光センサは、
前記記録ヘッドと前記記録媒体との距離が前記第1の距離にある場合にこれを検出するように配置され、
前記第2の受光センサは、
前記記録ヘッドと前記記録媒体との距離が前記第2の距離にある場合にこれを検出するように配置されたことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項10】
前記記録ヘッドはインクジェット方式の記録ヘッドであることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項11】
記録装置の制御方法であって、
前記記録装置が、
記録ヘッドを搭載し往復移動するキャリッジと、
前記キャリッジに設けられ、前記キャリッジの移動中に、前記記録ヘッドと記録媒体との距離を監視する監視手段と、を備え、
前記制御方法は、
前記キャリッジを移動させ、
前記監視手段の監視結果が、第1の距離から前記第1の距離よりも短い第2の距離に変化した場合に、その変化の間の前記キャリッジの移動量に基づき、記録動作を継続するか否かを判定する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項1】
記録ヘッドを搭載し往復移動するキャリッジと、
前記キャリッジに設けられ、前記キャリッジの移動中に、前記記録ヘッドと記録媒体との距離を監視する監視手段と、
前記監視手段の監視結果が、第1の距離から前記第1の距離よりも短い第2の距離に変化した場合に、その変化の間の前記キャリッジの移動量に基づき、記録動作を継続するか否かを判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記変化の間の前記キャリッジの移動量が予め定めた移動量に達していない場合は、記録動作を継続しないと判定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記判定手段は、
前記変化の間の前記キャリッジの移動量が予め定めた移動量に達している場合は、記録動作を継続すると判定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
前記判定手段は、
前記変化の間の前記キャリッジの移動量が予め定めた移動量に達する度に、少なくとも前記記録媒体の種類に応じて、前記記録ヘッドの損傷度合いを示す評価値を設定し、該評価値を累積した累積値に基づき、記録動作を継続するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項5】
前記判定手段は、
前記変化の間の前記キャリッジの移動量が予め定めた移動量に達する度に、少なくとも記録時の周囲環境に応じて、前記記録ヘッドの損傷度合いを示す評価値を設定し、該評価値を累積した累積値に基づき、記録動作を継続するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
前記判定手段は、
前記変化の間の前記キャリッジの移動量が予め定めた移動量に達する度に、少なくとも前記キャリッジの移動速度に応じて、前記記録ヘッドの損傷度合いを示す評価値を設定し、該評価値を累積した累積値に基づき、記録動作を継続するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項7】
前記累積値は前記記録媒体の頁単位でリセットされることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項8】
前記第2の距離が0であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項9】
前記監視手段は、
前記記録媒体に光を照射する光源と、
前記光源が照射した光の、前記記録媒体からの反射光を受光する第1及び第2の受光センサと、を備え、
前記第1の受光センサは、
前記記録ヘッドと前記記録媒体との距離が前記第1の距離にある場合にこれを検出するように配置され、
前記第2の受光センサは、
前記記録ヘッドと前記記録媒体との距離が前記第2の距離にある場合にこれを検出するように配置されたことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項10】
前記記録ヘッドはインクジェット方式の記録ヘッドであることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項11】
記録装置の制御方法であって、
前記記録装置が、
記録ヘッドを搭載し往復移動するキャリッジと、
前記キャリッジに設けられ、前記キャリッジの移動中に、前記記録ヘッドと記録媒体との距離を監視する監視手段と、を備え、
前記制御方法は、
前記キャリッジを移動させ、
前記監視手段の監視結果が、第1の距離から前記第1の距離よりも短い第2の距離に変化した場合に、その変化の間の前記キャリッジの移動量に基づき、記録動作を継続するか否かを判定する、
ことを特徴とする制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−75496(P2013−75496A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218320(P2011−218320)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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