説明

記録装置

【課題】保持トレイのセット凹部にCD−R等の被記録材をセットする際の装置本体内部への誤挿入を防止できる記録装置を提供すること。
【解決手段】被記録材Qをセットするためのセットポジションと他のポジションとに位置可能に往復搬送される保持トレイ55と、前記保持トレイに搬送力を付与する搬送用ローラ34と、前記保持トレイが前記セットポジションに位置するときの該保持トレイの前記被記録材がセットされる面の対向領域88に、前記保持トレイに対して進退可能に設けられる被記録材の誤挿入防止部材89とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質の被記録材に記録を実行する場合に使用される保持トレイを備えたプリンタ、ファクシミリあるいは複写機に代表される記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、記録装置の一例であるインクジェットプリンタを例に採って説明する。インクジェットプリンタには用紙やフィルム等、自立性を有しない軟質の被記録材と、光ディスク(CD−RやDVD−R等)で代表される自立性を有する硬質の被記録材との両方に対して選択的に記録を実行することができるインクジェットプリンタが存在する。そして、前記硬質の被記録材に対して記録を実行する場合には、別途付属品として用意されている専用の長尺な保持トレイを使用するか、下記の特許文献1に示すようにプリンタ本体内に保持トレイが内蔵されている構造のインクジェットプリンタを使用する。前記保持トレイにはCD−R等の被記録材をセットするセット凹部が設けられている。
【特許文献1】特開2005−59584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記保持トレイの上面は全体的にほぼ平坦面に形成されていると共に、前記セット凹部も浅底に形成されている。そのため、ユーザが保持トレイの上面に形成されている浅底のセット凹部に向けてCD−R等の被記録材をセットする際に、該セット凹部内に正しくセットすることができない場合がある。その場合に、CD−R等の被記録材を装置本体内部に誤って挿入してしまったり、前記セット凹部からはみ出した状態で使用することによってCD−R等の破損や記録装置の故障を招く虞があった。
【0004】
特に、保持トレイが内蔵されている構造のインクジェットプリンタの場合には、構造上、CD−R等を真上からセットできる位置まで保持トレイを手前に引き出すことができない場合が多い。すなわち、セットポジションに在る保持トレイは、その一部がプリンタ本体内に隠れている構造のものが多い。そのため、CD−R等の前記セット凹部へのセット動作は、セットポジションに在る前記保持トレイの斜め前方から半ば勘を頼りにプリンタ本体内にその一部が隠れている保持トレイの前記セット凹部に向けて挿入することになるので、一層CD−R等を前記セット凹部内に正しくセットできない虞が高かった。
【0005】
本発明の目的は、保持トレイのセット凹部にCD−R等の被記録材をセットする際の装置本体内部への誤挿入を防止できる記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明の第1の態様に係る記録装置は、被記録材をセットするためのセットポジションと他のポジションとに位置可能に往復搬送される保持トレイと、前記保持トレイに搬送力を付与する搬送用ローラと、前記保持トレイが前記セットポジションに位置するときの該保持トレイの前記被記録材がセットされる面の対向領域に、前記保持トレイに対して進退可能に設けられる被記録材の誤挿入防止部材と、を備えることを特徴とするものである。
【0007】
本態様によれば、保持トレイに光ディスク等の硬質の被記録材をセットする際には、誤挿入防止部材を保持トレイ側に進出させることによって前記被記録材の装置本体内部への進入を防止することができる。
【0008】
本発明の第2の態様は、前記第1の態様に係る記録装置において、記録実行後の他の被記録材に排出力を付与する排出駆動ローラと排出従動ローラとによって構成される排出用ローラと、前記排出従動ローラを自由回転可能な状態で支持する支持フレームと、前記支持フレームを移動させることによって、前記排出従動ローラを前記排出駆動ローラに接触させるニップ位置と、前記排出駆動ローラから離間させるレリース位置とに移動させるレリース機構とを備え、前記誤挿入防止部材は、前記レリース機構による動作に連動して、前記支持フレームが前記ニップ位置に位置するときに退避状態となり、前記支持フレームがレリース位置に位置するときには進出状態となるように構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
本態様によれば、レリース機構における支持フレームのニップ位置とレリース位置間の移動と連動させて誤挿入防止部材の退避状態と進出状態との切り替えを実行することが可能になる。そして、支持フレームがニップ位置に位置しているときには、誤挿入防止部材が退避状態となるため、他の被記録材である軟質の被記録材の円滑な搬送が可能になり、一方、支持フレームがレリース位置に位置しているときには、誤挿入防止部材が進出状態となるため硬質の被記録材の装置本体内部への誤挿入が防止される。
【0010】
本発明の第3の態様は、前記第2の態様に係る記録装置において、前記誤挿入防止部材は、前記支持フレームにカム機構により回転可能な状態で取り付けられるフラップによって構成されており、前記フラップは、前記レリース機構による動作に前記カム機構が連動して、前記支持フレームが前記ニップ位置に位置するときには前記フラップは退避姿勢となり、前記支持フレームがレリース位置に位置するときには前記フラップは進出姿勢となるように構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
本態様によれば、前記誤挿入防止部材は、前記支持フレームにカム機構により回転可能な状態で取り付けられるフラップによって構成されているので、レリース機構との連動による前記退避状態と進出状態との切り替えを構造簡単にして実現することができる。
【0012】
本発明の第4の態様は、前記第1の態様から第3の態様のいずれか一つに係る記録装置において、前記保持トレイには、前記保持トレイが前記セットポジションに位置している場合に、進出状態の前記誤挿入防止部材と係合する係合受部が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
本態様によれば、進出状態にある誤挿入防止部材が保持トレイの係合受部と係合することによって誤挿入防止部材の進出状態の安定化が図られ、誤挿入防止部材と保持トレイ間の隙間がなくなるため、硬質の被記録材の装置本体内部への誤挿入が確実に防止される。
【0014】
本発明の第5の態様は、前記第1の態様から第4の態様のいずれか一つに係る記録装置において、前記誤挿入防止部材は、前記保持トレイに対して回動により進退可能なフラップとして構成されており、前記フラップは、進出状態に係る回動姿勢を維持するように付勢されていると共に、当該姿勢を中立点として回動し得るように構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
本態様によれば、保持トレイがセットポジションに位置しているときには、前記係合受部に係合した状態のフラップとしての誤挿入防止部材は、その回動が当該保持トレイによって規制されるため、硬質の被記録材の装置本体内部への誤挿入が防止される。また、セットポジションに位置している保持トレイが記録開始ポジションに向けての移動を開始するとき、記録開始ポジションからセットポジションに移動するとき、或いは保持トレイが格納ポジションから移動してセットポジションに到達するときは、前記フラップが前記付勢部材の付勢力に抗して保持トレイとの摺接によって搬送方向ないし戻し方向に回動するので、保持トレイ及び該保持トレイにセットされた硬質の被記録材の円滑な搬送を実現できる。
【0016】
本発明の第6の態様は、前記第5の態様に係る記録装置において、前記フラップは、保持トレイにセットされた前記被記録材の通過領域に設けられた第1の突出部と、前記被記録材の通過領域外に設けられた第2の突出部と、を備えており、前記保持トレイと前記第2の突出部との接触によって前記フラップが前記中立点から傾くことにより、前記第1の突出部が前記被記録材から離間するように構成されていることを特徴とする。
ここで、前記保持トレイと前記第2の突出部との接触によって前記フラップが前記中立点から傾くことを、第2の突出部が第1の突出部より突出寸法が長い構造によって実現してもよいし、第2の突出部と第1の突出部の突出寸法は同じであるが第2の突出部に対応する保持トレイの部分が高くなっている構造によって実現してもよい。
【0017】
本態様によれば、前記保持トレイと前記第2の突出部との接触によって前記フラップが前記中立点から傾くことにより、前記第1の突出部が前記被記録材から離間するように構成されているので、保持トレイに硬質の被記録材がセットされている状態で保持トレイが移動するとき、前記通過領域外の第2の突出部のみが保持トレイに摺接し、前記通過領域の第1の突出部は保持トレイ及び保持トレイにセットされた硬質の被記録材に接触しない。従って、硬質の被記録材の記録実行品質の低下を防止することができる。一方、硬質の被記録材のセット時には第1の突出部と第2の突出部のすべてが進出状態となるから硬質の被記録材の装置本体内部への誤挿入は防止される。
【0018】
本発明の第7の態様は、前記第5の態様に係る記録装置において、前記フラップは、保持トレイにセットされる前記被記録材の通過領域に設けられた第1の突出部と、前記被記録材の通過領域外に設けられた第2の突出部と、を備えており、前記第2の突出部の長さは、前記第1の突出部の長さよりも長いことを特徴とするものである。
【0019】
本態様によれば、被記録材の前記通過領域外の第2の突出部の長さは、前記通過領域の第1の突出部の長さより長く設定されているので、保持トレイに硬質の被記録材がセットされている状態で保持トレイが移動するとき、前記通過領域外の第2の突出部のみが保持トレイに摺接し、前記通過領域の第1の突出部は保持トレイ及び保持トレイにセットされた硬質の被記録材に接触しない。従って、硬質の被記録材の記録実行品質の低下を防止することができる。一方、硬質の被記録材のセット時には第1の突出部と第2の突出部のすべてが進出状態となるので、硬質の被記録材の装置本体内部への誤挿入は防止される。
【0020】
本発明の第8の態様は、前記第5の態様に係る記録装置において、
前記フラップは、使用が想定される最小サイズの前記被記録材の寸法より小さい配設間隔で並設された複数の突出部を有することを特徴とするものである。
【0021】
本態様によれば、現行において直径8cmと直径12cmの2種類のサイズがあるCD−RやDVD−R等の硬質の被記録材をどちらのサイズを使用しても装置本体内部への誤挿入を防止することができる。従って、ユーザは硬質の被記録材のサイズの違いに特に気を配らなくてもよいから使い勝手が向上する。
【0022】
本発明の第9の態様は、前記第5の態様から第8の態様のいずれか一つに係る記録装置において、前記通過領域外の第2の突出部の進出状態は、先端部が前記支持フレームがレリース位置に移動する方向に変位した傾斜姿勢になるように構成されていることを特徴とするものである。
【0023】
本態様によれば、支持フレームがレリース位置からニップ位置に戻る際に、誤挿入防止爪の先端部が例えば排出用スタッカ等の他の構成部材に当接する構造になっている場合、該当接によるフラップの回動方向が一定方向になる、すなわち、第2の突出部の先端部は常に前記レリース位置側に回動する。従って、続いて行われるカム機構によるフラップの退避状態への移行動作が安定する。
【0024】
本発明の第10の態様は、前記第5の態様から第9の態様のいずれか一つに係る記録装置において、前記フラップは、両端部において回動可能に取り付けられており、退避状態における前記フラップの撓みを防止するための撓み防止手段を備えることを特徴とするものである。
【0025】
本態様によれば、フラップの支持点が両端部と他の部位(中間部)の3点に増えるため、フラップの撓み量が小さくなる。従って、フラップの撓み変形によって生ずる第1の突出部及び第2の突出部の突出量の変化を小さくでき、誤挿入防止部材の動作の安定化が図られる。
【0026】
本発明の第11の態様は、前記第10の態様に係る記録装置において、前記撓み防止手段は、前記フラップを前記両端部の中間部位において支持する中間支持部を備えることを特徴とする。
【0027】
本発明の第12の態様は、前記第5の態様に係る記録装置において、前記フラップは、前記被記録材をセットする側に向かって端部が屈曲した突出部を有することを特徴とするものである。
【0028】
本態様によれば、硬質の被記録材のセット時において、保持トレイが奥部側に移動して第1の突出部及び第2の突出部と係合受部との係合状態が解除されたような場合でも、前記屈曲した突出部が硬質の被記録材の周縁部に引っ掛かることによって硬質の被記録材の装置本体内部への誤挿入が防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係る記録装置について説明する。最初に本発明の記録装置を実施するための最良の形態としてインクジェットプリンタ1を採り上げて、その全体構成の概略を図面に基づいて説明する。
【0030】
図1は本発明に実施の形態に係るインクジェットプリンタの内部構造を示す斜視図であり、図2は同プリンタの被記録材の搬送装置を示す保持トレイがセットポジションに位置している時の斜視図である。
尚、図示のインクジェットプリンタ1は、上部に図示を省略した画像読取り装置(スキャナ)を搭載した複合機タイプのインクジェットプリンタである。また、用紙やフィルム等の自立性を有しない軟質の被記録材と、CD−RやDVD−Rを含む光ディスク等の自立性を有する硬質の被記録材Qとの両方に対して記録を実行することができる保持トレイ55内蔵型のインクジェットプリンタである。
【0031】
このインクジェットプリンタ1は、外観が比較的フラットな面によって構成されている矩形筐体状の装置本体であるプリンタ本体2を備えている。そして、前記プリンタ本体2の前面の中央下部に多数枚の軟質の被記録材を積畳状態で収容し得る給送用カセット11が着脱可能に装着されている。また、該給送用カセット11の上方には、記録実行後の軟質被記録材をスタックするためのスライド式の排出用スタッカ47が設けられている。
【0032】
プリンタ本体2の内部には、上述した給送用カセット11から給送された軟質の被記録材と、保持トレイ55にセットされた硬質の被記録材Qとを記録実行領域51(図2)に導き、記録実行後はこれらをプリンタ本体2の外部に排出する後述する被記録材の搬送装置5と、記録実行領域51に搬送された被記録材に対して所望の記録を実行する記録実行装置4と、が設けられている。
【0033】
記録実行装置4は、記録実行領域51の下方に設けられるプラテン38と、記録実行領域51の上方に設けられる記録ヘッド42と、該記録ヘッド42を被記録材の搬送方向Aと交差する走査方向Bに往復移動させるキャリッジ40と、を備えることによって基本的に構成されている。尚、プラテン38は、記録実行領域51に搬送されてきた軟質の被記録材の被記録面と反対側の面を支持して記録ヘッド42のインク吐出面との間のギャップを規定する役割を有している。また、記録ヘッド42は、インク吐出面に形成されているノズル口から各色のインクを吐出して直接、被記録材の被記録面に対して記録を実行する部材である。
【0034】
また、キャリッジ40は前記記録ヘッド42の往復走査を実行する装置であり、図示しない無端ベルトから搬送力が付与されてキャリッジガイド軸41に沿って走査方向Bに往復移動する部材である。
【0035】
[実施例]
次に、本発明の実施例に係るインクジェットプリンタ1の具体的構造と作動態様について図面に基づいて説明する。
図3は誤挿入防止部材を成すフラップが係合受部と係合している状態を示す斜視図、図4は保持トレイの搬送方向への移動に伴ってフラップが回動する様子を示す斜視図、図5は保持トレイを示す斜視図である。図6はレリース機構の位置切り換え機構部を示す側断面図、図7(a)(b)(c)はレリース機構の位置切り換え機構部の作動態様を示す説明図である。図8は支持フレームと支持ロッドとフラップを分解した状態を示す斜視図、図9は同上、左端部を拡大して示す斜視図である。図10は同上、中間部を拡大して示す斜視図、図11は同上、右端部を拡大して示す斜視図である。
【0036】
また、図12はフラップを示す斜視図、図13は同フラップの左端部を拡大して示す表面側からの斜視図である。図14は同フラップの左端部を拡大して示す裏面側からの斜視図、図15は同フラップの右端部を拡大して示す表面側からの斜視図、図16は同フラップの右端部を拡大して示す裏側面からの斜視図である。図17は付勢バネの取付け状態を示す斜視図であり、図18は同付勢バネの取付け部分の側断面図である。図19は保持トレイがレリース位置に位置しているときのフラップの左端部を示す斜視図であり、図20は保持トレイがニップ位置に位置している時のフラップの左端部を示す斜視図である。図21は保持トレイがレリース位置に位置している時のフラップの右端部を示す斜視図であり、図22は保持トレイがニップ位置に位置している時のフラップの右端部を示す斜視図である。図23はフラップの突出時の傾斜姿勢と排出用スタッカの位置関係を示す斜視図である。
【0037】
本実施例の被記録材の搬送装置5は、プリンタ本体2内に内蔵され、硬質の被記録材Qを保持するためのセット凹部71が形成された保持トレイ55と、前記保持トレイ55と共に硬質の被記録材Qを挟持して、あるいは軟質の被記録材を直接挟持して、これらの被記録材に対して搬送方向Aと戻し方向Dの搬送力を付与する搬送駆動ローラ35と搬送従動ローラ36とによって構成される搬送用ローラ34と、記録実行後の前記軟質の被記録材を直接挟持してプリンタ本体2の外部に排出する排出駆動ローラ44と排出従動ローラ45とによって構成される排出用ローラ43と、前記排出従動ローラ45を排出駆動ローラ44に当接させるニップ位置と、排出駆動ローラ44から離間させるレリース位置とに移動させるレリース機構6と、を備えている。
【0038】
そして、本発明の特徴的構成として、前記保持トレイ55が硬質の被記録材Qをセットするセットポジションに位置しているときの保持トレイ55のセット凹部71が形成されている面(図示の実施例では上面)の対向領域88に進退可能な誤挿入防止部材の一例であるフラップ89が設けられている。
【0039】
図5に示すように、保持トレイ55は、一例として奥行き寸法の短い矩形平板状の部材であり、保持トレイ55の第1の面(図示の実施例では上面)における幅方向B(走査方向と同一の符号Bを使用する)の中央、幾分前方寄りの位置に硬質の被記録材Qをセットするためのセット凹部71と、その中心にセットされた硬質の被記録材Qを保持するためのチャック72とが設けられている。尚、前記保持トレイ55にセットできる硬質の被記録材Qは、直径12cmあるいは直径8cm等、使用が想定されるサイズのCD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RWあるいは次世代の光ディスクとして注目されているブルーレイディスクや今後開発されるものを含めた種々の光ディスク等が適用可能になっている。
【0040】
また、前記保持トレイ55の後端部の左右コーナ部付近には、図5に示すように、保持トレイ55の移動ストロークを拡張するための左右2本の図示しないガイドアームを接続するための接続片75L、75Rが設けられている。また、保持トレイ55の第1の面には、セット凹部71の奥部側のほぼ同一直線上の位置に、硬質の被記録材Qの通過領域90に2つと、前記通過領域90の一例として左側の外方領域91に1つの計3個の角穴状の係合受部92が保持トレイ55の幅方向Bに所定の配設間隔W1、W2、W3で設けられている。
【0041】
尚、前記3個の係合受部92を区別する場合には左側の外方領域91に設けられている係合受部を92A、通過領域91の左側に設けられている係合受部を92B、通過領域91の右側に設けられている係合受部を92Cとして識別する。また、これらの係合受部92A、92B、92Cには、フラップ89における後述する第2の突出部93Aと2個の第1の突出部93B、93Cが、保持トレイ55が一杯に引き出されたセットポジションに位置している時に係合するようになっている。そして、前記各突出部93A、93B、93Cの長さに関連して外方領域91の係合受部92Aは、通過領域90の2つの係合受部92B、92Cより奥行き方向の寸法が幾分長めに形成されている。
【0042】
レリース機構6は、前記排出従動ローラ45を自由回転可能な状態で支持する支持フレーム84と、前記支持フレーム84の一例として前端縁に接続されて支持フレーム84に動力を伝達する支持ロッド85と、前記支持フレーム84の水平姿勢を維持した状態で前記支持ロッド85を介して前記支持フレーム84をニップ位置とレリース位置との間で移動させる位置切り換え機構部86と、を備えることによって構成されている。
【0043】
支持フレーム84は、平面視矩形平板状の部材でモールド部94の上面にシャーシ部95を重ね合わせることによって剛性を持たせた構造になっている。また、シャーシ部95には幅方向Bに整列された複数の窓部95aが形成されており、これらの窓部95aにはモールド部94に対して設けられているローラホルダ部94aが各別に臨むように構成されている。尚、前記各ローラホルダ部94aには、図示しない撓み変形可能な棒バネによって軸支された排出従動ローラ45が装着されている。
【0044】
また、前記モールド部94の一例として前方左右のコーナ部には、前記支持フレーム84の支持部材及びシフト部材である支持ロッド85を支承するための第1軸受部96L、96Rが設けられている。また、前記左右の第1軸受部96L、96Rの近傍の内側には、後述するフラップ89における左右の回動軸部98L、98Rを支承する一例として側面視U字形状の第2軸受部97L、97Rが設けられている。
【0045】
また、前記シャーシ部95の左右両端部には、後述する位置切り換え機構部86の構成部材である固定フレーム100の上縁の一部に形成されている案内傾斜面101に当接することで支持フレーム84の水平姿勢を保持する側面視V字状に折り曲げられた当接片102L、102Rが下方に向けて突出するように設けられている。また、前記シャーシ部95の前端縁の幅方向Bの中間部には、下方に向けて突出するように側面視L字状に折り曲げられた吊持フック103が設けられており、後述するフラップ89の幅方向Bの中間部に設けられている撓み防止係合部99に係合させることによってフラップ89の幅方向Bに長いフラップフレーム104の撓み量を規制している。
【0046】
支持ロッド85は、幅方向Bに長い丸棒状の部材で、その両端部は上述した第1軸受部96L、96Rによって自由回転可能な状態で支持されている。また、支持ロッド85の両端部には、次に述べる位置切り換え機構部86の構造部材であるレリースピニオン105L、105Rが設けられている。
【0047】
位置切り換え機構部86は、カム機構を適用したレリースシフト機構106と、支持フレーム84のニップ位置とレリース位置間の移動を案内するレリースガイド機構107とを備えることによって構成されている。
【0048】
レリースシフト機構106は、図2、図6に示すように、排出駆動ローラ44のローラ駆動軸44aの回転を動作時において作動ギヤ108に伝達する伝達109と、前記伝達109によって伝達された動力を偏心した位置に設けられるカム円板110に伝達する作動ギヤ108と、前記カム円板110の回転によって保持トレイ55の搬送方向Aと戻し方向Dとにスライドするスライドフレーム111と、前記作動ギヤ108を自由回転可能な状態で支持すると共に、前記スライドフレーム111をスライド自在に保持する固定フレーム100とを備えることによって基本的に構成されている。
【0049】
また、レリースガイド機構107は、支持フレーム84の移動軌跡に対応した溝形状を有する前記固定フレーム100に形成されているレリース案内溝113と、前記レリース案内溝113に沿うように前記固定フレーム100に対して設けられている前記レリースピニオン105と噛み合うラック114と、前記スライドフレーム111に対して設けられているU字状の係合溝115と、前記固定フレーム100の上縁の一部に形成されている上述した案内傾斜面101と、を備えることによって基本的に構成されている。
【0050】
そして、このような位置切り換え機構部86に対して伝達ギヤ109を介して動力が伝達されると、作動ギヤ108は、図7中、反時計方向に回転するようになり、偏心位置Gに設けられているカム円板110を、図7(a)〜図7(c)に示すように反時計方向に回転させる。前記カム円板110の回転によってスライドフレーム111は、図中、左方に移動するようになり、図7(c)に示す作動ギヤ108の回転中心Oの左側に前記偏心位置Gが移動して、回転中心Oと偏心位置Gは同一の直線L上に位置するようになる。
【0051】
また、前記スライドフレーム111の移動に伴って、係合溝115と係合している前記支持ロッド85は、レリース案内溝113及びレリースピニオン105とラック114とによって案内されて、図6に示すレリース位置に移動する。また、移動中の支持フレーム84は、前記支持ロッド85によって一端が支持され、前記当接片102が固定フレーム100の案内傾斜面101に摺接することによって水平姿勢が保たれており、前記支持フレーム84は、前記支持ロッド85と排出従動ローラ45と一体になって、図6中、仮想線(二点鎖線)で示すニップ位置から、図6中、実線で示すレリース位置へと水平姿勢を保ったまま移動する。
【0052】
また、図示は省略するが、排出駆動ローラ44を逆方向に回転させることによって、前記支持フレーム84は前記支持ロッド85と排出従動ローラ45と一体になって逆方向に移動し、図6中、実線で示すレリース位置から、図6中、仮想線で示すニップ位置へと同じく水平姿勢を保った状態で移動できるようになっている。
【0053】
フラップ89は、前記第2軸受部97L、97Rに回動軸部98L、98Rが回動可能な状態で接続されている長杆状のフラップフレーム104と、前記フラップフレーム104に対して幅方向Bに適宜の間隔を空けて設けられる第2の突出部93Aと2個の第1の突出部93B、93Cとを備えることによって構成されている。そして、前記支持フレーム84がニップ位置に位置している時には、前記フラップ89は、図20に示す退避状態となって軟質の被記録材の通過を許容し、前記支持フレーム84がレリース位置に位置している時には、前記フラップ89は図19に示す進出状態となって硬質の被記録材Qの誤挿入を防止し得るように構成されている。
【0054】
フラップフレーム104は、図12〜図16に示すように、保持トレイ55の幅方向Bに長い長杆状の部材であり、その左右の両端部に上述した回動軸部98L、98Rが設けられており、フラップフレーム104の幅方向Bの中間部に角穴状の撓み防止手段を成す撓み防止係合部99が設けられている。また、フラップフレーム104の左端部における回動軸部98Lの外方には、前述した排出用スタッカ47の支持案内部材である向って左側のスタッカベース48Lの上面に形成されている突起120Lに当接してフラップ89の退避姿勢を保持する第1カム116と、次に述べる第2の突出部93Aと2個の第1の突出部93B、93Cが常時、進出姿勢をとるように付勢する一例として捩りコイルバネによって構成されている付勢バネ119用のバネ掛け部117が設けられている。
【0055】
一方、フラップフレーム104の右端部における回動軸部98Rの外方には、向って右側のスタッカベース48Rの上面に形成されている突起120Rに当接してフラップ89の退避姿勢を前記第1カム116と共に保持する第2カム118が設けられている。また、フラップフレーム104の幅方向Bには適宜の間隔を空けて3つの前記突出部93A、93B、93Cが設けられており、これらの突出部93A、93B、93Cは、既述のようにセット凹部71にセットされた硬質の被記録材Qの通過領域90の一例として左方の外方領域91に存する第2の突出部93A、前記通過領域90に存する2個の第1の突出部93B、93Cとなっている。
【0056】
そして、外方領域91に位置している第2の突出部93Aの作用長は、通過領域90に位置している第1の突出部93B、93Cの作用長よりも長くなるように設定されており、図4に示すように、外方の第2の突出部93Aが保持トレイ55の外方領域91に当接している状態で内方の2つの第1の突出部93B、93Cが硬質の被記録材Qの被記録面から浮き上がって、両者の間に隙間Sが形成されるように構成されている。
【0057】
また、前記3つの各突出部93A、93B、93Cは、上述した保持トレイ55がセットポジションに位置している時に保持トレイ55の第1の面に形成されている3つの係合受部92A、92B、92Cに対して係合するように構成されている。従って、硬質の被記録材Qのセット時に硬質の被記録材Qの周縁の一部が前記各突出部93A、93B、93Cのいずれかに当接したとしても、該各突出部93A、93B、93Cは係合している係合受部92の後端縁に度当って、それ以上の回動はできないようになっており、硬質の被記録材Qの誤挿入を確実に防止している。
【0058】
更に、前記3つの各突出部93A、93B、93Cの保持トレイ55の幅方向Bにおける配設間隔Wは、使用が想定される最小サイズ(現行では8cm)の硬質の被記録材Qがプリンタ本体2の内部に進入できない間隔に設定されている。従って、図3中、矢印で示す配設間隔W1、W2、W3はすべて前記最小サイズの硬質の被記録材Qの直径より小さくなるように構成されている。
【0059】
また、図23に示すように、3つの各突出部93A、93B、93Cのうち、少なくとも外方領域91に存する第2の突出部93Aの進出姿勢は、先端部が保持トレイ55の搬送方向Aに幾分変位した傾斜姿勢になるように設定されている。因みに、このように構成することによって、支持フレーム84がレリース位置からニップ位置に戻る際に、各突出部93A、93B、93Cの先端部が排出用スタッカ47に当接することによって生ずるフラップ89の回動の方向が一定方向になる、即ち、本実施例では常に硬質の被記録材Qのセット側(レリース方向)になる。従って、フラップ89の進出姿勢ないし退避姿勢への移行動作が安定し、確実に実行されるようになる。
【0060】
また、図17、図18に示すように、上述した付勢バネ119は、前記フラップフレーム104の左端部に設けられる取付け軸部104aにコイル部が挿嵌され、付勢バネ119の一端は上述したバネ掛け部117に支持され、付勢バネ119のコの字状に折り曲げられた他端は支持ロッド85に対して係止されるようにして取り付けられている。そして、このような付勢バネ119によってフラップ89は、常時、進出状態に係る回動姿勢になるように付勢されており、該進出姿勢を中立点として、各突出部93A、93B、93Cが回動できる範囲で保持トレイ55の搬送方向Aと戻し方向Dの両方向に回動し得るように構成されている。
【0061】
次に、このようにして構成される本発明の記録装置の作用を、保持トレイ55がセットポジションに到達する(1)到達直前の状態と、保持トレイ55がセットポジションに到達した(2)到達時の状態と、保持トレイ55がセットポジションから記録実効ポジションに向けての移動を開始する(3)移動直後の状態と、支持フレーム84がニップ位置に位置している(4)ニップ時の状態と、支持フレーム84がレリース位置に位置している(5)レリース時の状態に分けて説明する。
【0062】
(1)到達直前の状態(図4参照)
硬質の被記録材Qに記録を実行する場合には、保持トレイ55や保持トレイ55にセットされた硬質の被記録材Qに排出従動ローラ45が当接しないように排出従動ローラ45をレリース位置に位置させている。この状態ではフラップ89は、付勢バネ119の付勢力によって搬送方向A及び戻し方向Dに回動可能な状態で進出姿勢が保持されている。そして、保持トレイ55の先端部が最初に外方領域91に位置している第2の突出部93Aに当接し、該第2の突出部93Aは先端部が搬送方向Aに変位した傾斜姿勢になる。
【0063】
保持トレイ55が搬送方向Aに更に移動すると、前記第2の突出部93Aは上述した傾斜姿勢を維持した状態で保持トレイ55の第1の面の外方領域91上を摺接する。尚、この時、通過領域90の2つの第1の突出部93B、93Cは前記第2の突出部93Aよりも作用長が短かく、吊持フック103によって撓み防止係合部99が保持されているため、保持トレイ55の第1の面から隙間Sだけ浮き上がった状態になっている。
【0064】
従って、図4に示すようにセット凹部71に硬質の被記録材Qがセットされている場合でも、前記2つの第1の突出部93B、93Cは硬質の被記録材Qの被記録面に当接しないから、該被記録面を傷付けることはない。
【0065】
(2)到達時の状態(図3参照)
保持トレイ55がセットポジションに到達すると、3つの各突出部93A、93B、93Cはそれぞれ係合受部92A、92B、92Cに係合した状態になる。この状態で保持トレイ55のセット凹部71に硬質の被記録材Qをセットしようとした時、誤って違う個所に挿入しても、前記3つの各突出部93A、93B、93Cと係合受部92A、92B、92Cとの係合作用によって各突出部93A、93B、93Cの戻し方向Dへの回動が規制されているため、硬質の被記録材Qの誤挿入は防止される。また、3つの各突出部93A、93B、93Cの配設間隔W1、W2、W3は、上述したように使用が想定される最小サイズの硬質の被記録材Qの直径よりも小さく設定されているため、すべてのサイズの硬質の被記録材Qに対してプリンタ本体2内への誤挿入が確実に防止される。
【0066】
(3)移動直後の状態(図4参照)
セットポジションに位置している保持トレイ55が記録ポジション又は格納ポジションに向けて移動を開始すると、3つの各突出部93A、93B、93Cはそれぞれ係合受け部92A、92B、92Cから退出した状態になる。そして、このうち外方領域91に位置している第2の突出部93Aは、先端部が保持トレイ55の第1の面に当接した状態で、図4とは反対方向の戻し方向Dに変位した傾斜姿勢になる。
【0067】
尚、この時、通過領域90の2つの第1の突出部93B、93Cは、前記外方領域91の第2の突出部93Aよりも作用長が短かく、吊持フック103によって撓み防止係合部99が保持されているため、前記(1)到達直前の状態と同様、保持トレイ55の第1の面から隙間Sだけ浮き上がった状態になっている。従って、保持トレイ55のセット凹部71にセットされた硬質の被記録材Qの被記録面に対して前記2つの第1の突出部93B、93Cは当接しないから、硬質の被記録材Qのセットずれを生じさせることなく、保持トレイ55の円滑な搬送が実行される。
【0068】
(4)ニップ時の状態(図20、図22参照)
軟質の被記録材に記録を実行する場合には、保持トレイ55を格納ポジションに位置させると共に、レリース機構6を作動させて支持フレーム84をニップ位置に移動させる。この時、排出従動ローラ45と支持ロッド85とフラップ89も一体になってニップ位置に移動する。そして、フラップ89の第1カム116と第2カム118が移動途中において、左右のスタッカベース48L、48Rに設けられている左右の突起120L、120Rに当接し、付勢バネ119の付勢力に抗してフラップ89を搬送方向Aに回動させる。
【0069】
支持フレーム84がニップ位置に到達すると、フラップ89は、各突出部93A、93B、93Cを前方に水平に張り出させた退避姿勢の状態になり、軟質の被記録材の搬送を可能にする。
【0070】
(5)レリース時の状態(図19、図21参照)
硬質の被記録材Qに記録を実行する場合には、保持トレイ55の格納ポジションとセットポジション間の移動を可能にするためにレリース機構6を作動させて支持フレーム84をレリース位置に移動させる。この時、排出従動ローラ45と支持ロッド85とフラップ89も一体になってレリース位置に移動する。そして、この状態では付勢バネ119の付勢力が作用して、フラップ89は各突出部93A、93B、93Cの先端部を幾分、搬送方向Aに変位させた傾斜した進出姿勢の状態になる。
【0071】
尚、この状態で保持トレイ55が外方領域91の第2の突出部93Aに当接した場合には、上述したようにフラップ89が付勢バネ119の付勢力に抗して搬送方向Aないし戻し方向Dに回動することによって、前記保持トレイ55の移動を可能にする。一方、保持トレイ55がセットポジションに到達した状態では各突出部93A、93B、93Cと係合受部92との係合作用によって上述したように硬質の被記録材Qのプリンタ本体2内への誤挿入は確実に防止される。
【0072】
[他の実施例]
本発明に係る記録装置1は、以上述べたような構成を基本とするものであるが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
【0073】
例えば、誤挿入防止部材は、図示のような回動式のフラップ89に限らず、上下スライド式のシャッタ構造等、構成を異らせた種々の誤挿入防止部材が採用可能である。また、誤挿入防止部材は、支持フレーム84のような可動する部材の他、プリンタ本体2等、固定状態で設けられている部材に対して取り付けることも可能である。
【0074】
また、フラップフレーム104に対して設けられる各突出部93A、93B、93Cは、図示のように3個設ける場合に限らず、4個以上に増設したり、各突出部93A、93B、93Cの幅寸法を長くすることで各突出部93A、93B、93Cの個数を削減することも可能である。また、係合受部92は、図示のように保持トレイ55の表裏面を貫通する角穴形状のものに限らず、所定の深さの凹部やスリットあるいは切欠き形状の係合受部92とすることも可能である。
【0075】
また、図24で示すように、短尺な第1の突出部93B及び/又は93Cの先端部に硬質の被記録材Qのセット側に突出した鉤部121を一体成形又は取り付けによって設けることも可能である。因みに、このような鉤部121を設けた場合には、硬質の被記録材Qのセット時において、保持トレイ55が奥部側に移動して各突出部93A,93B,93Cと係合受部92との係合状態が解除されたような場合でも、短尺な第1の突出部93B及び/又は93Cの先端部の鉤部121が硬質の被記録材Qの周縁部に引っ掛かることによって硬質の被記録材Qのプリンタ本体2内部への誤挿入が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】インクジェットプリンタの内部構造を示す斜視図。
【図2】被記録材の搬送装置を示す保持トレイがセットポジションに位置している時の斜視図。
【図3】フラップが係合受部と係合している状態を示す斜視図。
【図4】保持トレイの搬送方向への移動に伴ってフラップが回動する様子を示す斜視図。
【図5】保持トレイを示す斜視図。
【図6】レリース機構の位置切り換え機構部を示す側断面図。
【図7】レリース機構の位置切り換え機構部の作動態様を示す説明図。
【図8】支持フレームと支持ロッドとフラップとを分解した状態を示す斜視図。
【図9】同上、左端部を拡大して示す斜視図。
【図10】同上、中間部を拡大して示す斜視図。
【図11】同上、右端部を拡大して示す斜視図。
【図12】フラップを示す斜視図。
【図13】同上、左端部を拡大して示す表面側からの斜視図。
【図14】同上、左端部を拡大して示す裏面側からの斜視図。
【図15】同上、右端部を拡大して示す表面側からの斜視図。
【図16】同上、右端部を拡大して示す裏面側からの斜視図。
【図17】付勢バネの取付け状態を示す斜視図。
【図18】同上、側断面図。
【図19】保持トレイがレリース位置に位置している時のフラップの左端部を示す斜視図。
【図20】保持トレイがニップ位置に位置している時のフラップの左端部を示す斜視図。
【図21】保持トレイがレリース位置に位置している時のフラップの右端部を示す斜視図。
【図22】保持トレイがニップ位置に位置している時のフラップの右端部を示す斜視図。
【図23】フラップの突出時の傾倒姿勢と排出用スタッカの位置関係を示す斜視図。
【図24】他の実施例に係る短尺な第1の突出部の側断面図。
【符号の説明】
【0077】
1 インクジェットプリンタ(記録装置)、2 プリンタ本体(装置本体)、4 記録実行装置、5 (被記録材の)搬送装置、6 レリース機構、11 給送用カセット、34 搬送用ローラ、35 搬送駆動ローラ、35a ローラ駆動軸、36 搬送従動ローラ、38 プラテン、40 キャリッジ、41 キャリッジガイド軸、42 記録ヘッド、43 排出用ローラ、44 排出駆動ローラ、44a ローラ駆動軸、45 排出従動ローラ、47 排出用スタッカ、48 スタッカベース、51 記録実行領域、55 保持トレイ、71 セット凹部、72 チャック、75 接続片、84 支持フレーム、85 支持ロッド、86 位置切り換え機構部、88 対向領域、89 フラップ(誤挿入防止部材)、90 通過領域、91 外方領域、92 係合受部、93A 第2の突出部、93B,93C 第1の突出部、94 モールド部、94a ローラホルダ部、95 シャーシ部、95a 窓部、96 第1軸受部、97 第2軸受部、98 回動軸部、99 撓み防止係合部、100 固定フレーム、101 案内傾斜面、102 当接片、103 吊持フック、104 フラップフレーム、104a 取付け軸部、105 レリースピニオン、106 レリースシフト機構、107 レリースガイド機構、108 作動ギヤ、109 クラッチギヤ、110 カム円板、111 スライドフレーム、113 レリース案内溝、114 ラック、115 係合溝、116 第1カム、117 バネ掛け部、118 第2カム、119 付勢バネ(付勢部材)、120 突起、121 鉤部、Q 硬質の被記録材、A 搬送方向、B 走査方向(幅方向)、D 戻し方向、G 偏心位置、O 回転中心、L 直線、S 隙間、W 配設間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録材をセットするためのセットポジションと他のポジションとに位置可能に往復搬送される保持トレイと、
前記保持トレイに搬送力を付与する搬送用ローラと、
前記保持トレイが前記セットポジションに位置するときの該保持トレイの前記被記録材がセットされる面の対向領域に、前記保持トレイに対して進退可能に設けられる被記録材の誤挿入防止部材と、を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、
記録実行後の他の被記録材に排出力を付与する排出駆動ローラと排出従動ローラとによって構成される排出用ローラと、
前記排出従動ローラを自由回転可能な状態で支持する支持フレームと、
前記支持フレームを移動させることによって、前記排出従動ローラを前記排出駆動ローラに接触させるニップ位置と、前記排出駆動ローラから離間させるレリース位置とに移動させるレリース機構とを備え、
前記誤挿入防止部材は、前記レリース機構による動作に連動して、前記支持フレームが前記ニップ位置に位置するときに退避状態となり、前記支持フレームがレリース位置に位置するときには進出状態となるように構成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録装置において、
前記誤挿入防止部材は、前記支持フレームにカム機構により回転可能な状態で取り付けられるフラップによって構成されており、前記フラップは、前記レリース機構による動作に前記カム機構が連動して、前記支持フレームが前記ニップ位置に位置するときには前記フラップは退避姿勢となり、前記支持フレームがレリース位置に位置するときには前記フラップは進出姿勢となるように構成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の記録装置において、
前記保持トレイには、前記保持トレイが前記セットポジションに位置している場合に、進出状態の前記誤挿入防止部材と係合する係合受部が設けられていることを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の記録装置において、
前記誤挿入防止部材は、前記保持トレイに対して回動により進退可能なフラップとして構成されており、
前記フラップは、進出状態に係る回動姿勢を維持するように付勢されていると共に、当該姿勢を中立点として回動し得るように構成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項5に記載の記録装置において、
前記フラップは、保持トレイにセットされた前記被記録材の通過領域に設けられた第1の突出部と、前記被記録材の通過領域外に設けられた第2の突出部と、を備えており、
前記保持トレイと前記第2の突出部との接触によって前記フラップが前記中立点から傾くことにより、前記第1の突出部が前記被記録材から離間するように構成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項7】
請求項5に記載の記録装置において、
前記フラップは、保持トレイにセットされる前記被記録材の通過領域に設けられた第1の突出部と、前記被記録材の通過領域外に設けられた第2の突出部と、を備えており、
前記第2の突出部の長さは、前記第1の突出部の長さよりも長いことを特徴とする記録装置。
【請求項8】
請求項5に記載の記録装置において、
前記フラップは、使用が想定される最小サイズの前記被記録材の寸法より小さい配設間隔で並設された複数の突出部を有することを特徴とする記録装置。
【請求項9】
請求項5から8のいずれか一項に記載の記録装置において、
前記通過領域外の第2の突出部の進出状態は、先端部が前記支持フレームがレリース位置に移動する方向に変位した傾斜姿勢になるように構成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項10】
請求項5から9のいずれか一項に記載の記録装置において、
前記フラップは、両端部において回動可能に取り付けられており、
退避状態における前記フラップの撓みを防止するための撓み防止手段を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項11】
請求項10に記載の記録装置において、
前記撓み防止手段は、前記フラップを前記両端部の中間部位において支持する中間支持部を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項12】
請求項5に記載の記録装置において、
前記フラップは、前記被記録材をセットする側に向かって端部が屈曲した突出部を有することを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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