説明

記録装置

【課題】 斜行による不正な印字を防止することができる、少なくとも2枚以上の円形メディアを積載するトレイを装着可能な記録装置を提供すること。
【解決手段】 少なくとも2枚以上の同一径の円形メディアを積載するトレイを装着可能な記録装置において、前記円形メディアが同一直線上に直列に配置され、センサで前記円形メディアの配置に対して平行に走査を行い、前記円形メディアと前記センサと交わる2点間の距離から斜行を検出する手段を有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2枚以上の円形メディアを積載するトレイを装着可能な記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CDR等の円形のメディアに記録する場合にはトレイなどの搬送可能なものに積載して印字を行なっていた。
【0003】
まず、ユーザーは1枚のCDRを搬送トレイへ載せる。
【0004】
次に、搬送トレイを所定の位置まで押し込む。
【0005】
次に、トレイの位置を検出して印字開始位置までトレイを移動する。
【0006】
CDRに印字する。
【0007】
印字が終了するとトレイを排出する。
【0008】
上記の例として、下記特許文献1と特許文献2をあげることが出来る。
【特許文献1】特開2002-096514号公報
【特許文献2】特開2007-088744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来の印字方法ではトレイなどが斜行した場合にずれて印字され、CDR等のメディアを無駄にしたりトレイを汚したりする問題点があった。
【0010】
本発明は上述したような従来の技術が有する課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、斜行による不適切な印字を防止することができる、少なくとも2枚以上の円形メディアを積載するトレイを装着可能な記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、少なくとも2枚以上の同一径の円形メディアを積載するトレイを装着可能な記録装置において、前記円形メディアが同一直線上に直列に配置され、センサで前記円形メディアの配置に対して平行に走査を行い、前記円形メディアと前記センサと交わる2点間の距離から斜行を検出する手段を有することを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の記録装置において、前記センサはキャリッジ上に配置されたメディアの位置検出センサと兼ね、前記トレイ上に直列に配置されたメディアはキャリッジの走査方向と平行に配置されることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1に記載の記録装置において、前記トレイ上に直列に配置されたメディアは前記トレイの搬送方向と平行に配置されることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項2に記載の記録装置において、前記トレイ上に直列に配置されたメディアが3枚以上配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明に係る少なくとも2枚以上の円形メディアを積載するトレイを装着可能な記録装置においては、CDR等の円形メディアへの印字前に斜行しているかどうか判断できるため、斜行により印字がずれて複数枚のCDR等のメディアを一度に無駄にしたりトレイを汚したりすることを防止できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0017】
以下に、本発明における第1の実施形態について図1、図2、図5、図6に示す図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明における少なくとも2枚以上の円形メディアを積載するトレイを装着可能な記録装置の実施の一形態の全体構成図を示す。ここでは円形メディアとしてCDRを例に説明する。11は印字開始終了を指示するためのホストコンピュータ、12はプリンタでありホストコンピュータ11に接続されている。13はCDRトレイであり、2枚のCDRを積載可能なように構成されている。14はCDRである。
【0019】
CDRトレイ13に積載されるCDR14はキャリッジの走査方向と平行にかつ直列に配置される。
【0020】
以下に、上記のように構成された、プリンタ12におけるファームウェアプログラムの本発明に係る印字処理における動作について説明する。
【0021】
図2は、プリンタ12における印字処理を示すフローチャートである。図5及び図6は、斜行検知の説明図である。
【0022】
まず、ユーザーはCDR14をCDRトレイ13へ2枚セットする。
【0023】
CDRトレイ13をプリンタ12の所定の位置へセットする。ユーザーはホストコンピュータ11から印刷開始を指示する。プリンタ12はホストコンピュータ11からの印字命令を受け取ると、CDRトレイ13を不図示のキャリッジ上に取り付けられたセンサで読み取り可能な位置まで引き込む(ステップS21)。
【0024】
次に、図5に示すようにONキャリッジのセンサでCDR14との交点間の長さA及びBを求める(ステップS22)。
【0025】
ここで、CDRトレイ13が斜行していないと図5においてAの長さとBの長さが等しく、また、図6に示すように斜行している場合ではAの長さに比べてBの長さが長くなるあるいは短くなるという性質を利用して斜行を検知している。
【0026】
また、センサの精度や実画像上の許容範囲を考慮して不感帯を設けている。
【0027】
次に、AとBの差が不感帯の範囲以内かどうか判断を行なう(ステップS23)。
【0028】
もし、不感帯の範囲以内であれば斜行の影響は問題ないのでCDRトレイ13を頭出し位置(印字開始位置)まで移動する(ステップS24)。
【0029】
そして通常の一般的な印字動作と同様にCDR14へ印字を行なう(ステップS25)。
【0030】
CDR14への印字が終了するとCDRトレイ13を排出し(ステップS26)、印字処理を終了する。
【0031】
もし、不感帯の範囲を超えている場合は斜行していると判断できるのでCDRトレイ13を排出してユーザーへ通知する(ステップS27)。
【0032】
このとき、プリンタ12本体側でエラーを表示してもよいし、ホストコンピュータ11上でエラーを表示してもよい。
【0033】
ユーザーは、その表示をみて印字をやめるかCDRトレイ13の斜行を修正して印字を再開するかを判断し、もし再開する場合はプリンタ12本体上の不図示のスイッチあるいはホストコンピュータ11上のダイアログボタン等によりプリンタ12へ印字再開を指示し、ステップS21へ戻る(ステップS28)。
【0034】
もし、印字をやめる場合は、同様にプリンタ12へ印字中止を指示し印字を終了する。
【0035】
第1の実施形態では、斜行を検出するための専用のセンサを必要とせず、CDR等のメディア位置を検出するセンサと兼用することでコストダウンできる効果を有している。
【実施例2】
【0036】
以下に、本発明における第2の実施形態について図3、図7、図8に示す図面を参照して説明する。
【0037】
本実施形態における構成は、第1の実施形態と同様であり、特に、CDRトレイ13に積載されるCDR14はキャリッジの走査方向と垂直にかつ直列に配置される構成である。
【0038】
以下に、上記のように構成された、プリンタ12におけるファームウェアプログラムの本発明に係る印字処理における動作について説明する。
【0039】
図3は、プリンタ12における印字処理を示すフローチャートである。図7及び図8は、斜行検知の説明図である。
【0040】
まず、ユーザーはCDR14をCDRトレイ13へ2枚セットする。
【0041】
CDRトレイ13をプリンタ12の所定の位置へセットする。ユーザーはホストコンピュータ11から印刷開始を指示する。プリンタ12はホストコンピュータ11からの印字命令を受け取ると、不図示のプリンタ12本体上の所定の位置に取り付けられたセンサで読み取り可能な位置まで引き込む(ステップS31)。
【0042】
次に、図7に示すように所定の位置にあるセンサでCDR14との交点間の長さC及びDを求める(ステップS32)。
【0043】
ここで、第1の実施形態と同様に交点間の長さC,Dを検出している。
【0044】
また、センサの精度や実画像上の許容範囲を考慮して不感帯を設けているのも同様である。
【0045】
次に、CとDの差が不感帯の範囲以内かどうか判断を行なう(ステップS33)。
【0046】
もし、不感帯の範囲以内であれば斜行の影響は問題ないのでCDRトレイ13を頭出し位置(印字開始位置)まで移動する(ステップS34)。
【0047】
そして通常の一般的な印字動作と同様にCDR14へ印字を行なう(ステップS35)。
【0048】
CDR14への印字が終了するとCDRトレイ13を排出し(ステップS36)、印字処理を終了する。
【0049】
もし、不感帯の範囲を超えている場合は斜行していると判断できるのでCDRトレイ13を排出してユーザーへ通知する(ステップS37)。
【0050】
このとき、プリンタ12本体側でエラーを表示してもよいし、ホストコンピュータ11上でエラーを表示してもよい。
【0051】
ユーザーは、その表示をみて印字をやめるかCDRトレイ13の斜行を修正して印字を再開するかを判断し、もし再開する場合はプリンタ12本体上の不図示のスイッチあるいはホストコンピュータ11上のダイアログボタン等によりプリンタ12へ印字再開を指示し、ステップS21へ戻る(ステップS38)。
【0052】
もし、印字をやめる場合は、同様にプリンタ12へ印字中止を指示し印字を終了する。
【0053】
第2の実施形態では、CDR等のメディアを垂直方向に直列に並べるため、A3対応プリンタのような幅広の機械を必要とせず、一般的なA4対応プリンタでCDRの連続印刷と斜行検知を行なうことができる効果を有している。
【実施例3】
【0054】
以下に、本発明における第3の実施形態について図4、図9、図10に示す図面を参照して説明する。
【0055】
本実施形態における構成は、第1の実施形態と同様であり、特に、CDRトレイ13に積載されるCDR14はキャリッジの走査方向と平行にかつ直列に3枚配置される構成である。
【0056】
以下に、上記のように構成された、プリンタ12におけるファームウェアプログラムの本発明に係る印字処理における動作について説明する。
【0057】
図4は、プリンタ12における印字処理を示すフローチャートである。図9及び図10は、斜行検知の説明図である。
【0058】
まず、ユーザーはCDR14をCDRトレイ13へ3枚セットする。
【0059】
CDRトレイ13をプリンタ12の所定の位置へセットする。ユーザーはホストコンピュータ11から印刷開始を指示する。プリンタ12はホストコンピュータ11からの印字命令を受け取ると、CDRトレイ13を不図示のキャリッジ上に取り付けられたセンサで読み取り可能な位置まで引き込む(ステップS41)。
【0060】
次に、図9に示すように所定の位置にあるセンサで3枚のCDR14との交点間の長さE、F及びGを求める(ステップS42)。
【0061】
ここで、第1の実施形態と同様に交点間の長さE、F、Gを検出している。
【0062】
また、センサの精度や実画像上の許容範囲を考慮して不感帯を設けているのも同様である。
【0063】
次に、EとFの差が不感帯の範囲以内かつFとGの差が不感帯の範囲以内かどうかの判断を行なう(ステップS43)。
【0064】
もし、いずれも不感帯の範囲以内であれば斜行の影響は問題ないのでCDRトレイ13を頭出し位置(印字開始位置)まで移動する(ステップS44)。
【0065】
そして通常の一般的な印字動作と同様に3枚のCDR14へ印字を行なう(ステップS45)。
【0066】
CDR14への印字が終了するとCDRトレイ13を排出し(ステップS46)、印字処理を終了する。
【0067】
もし、不感帯の範囲を超えている場合は斜行していると判断できるのでCDRトレイ13を排出してユーザーへ通知する(ステップS47)。
【0068】
このとき、プリンタ12本体側でエラーを表示してもよいし、ホストコンピュータ11上でエラーを表示してもよい。
【0069】
ユーザーは、その表示をみて印字をやめるかCDRトレイ13の斜行を修正して印字を再開するかを判断し、もし再開する場合はプリンタ12本体上の不図示のスイッチあるいはホストコンピュータ11上のダイアログボタン等によりプリンタ12へ印字再開を指示し、ステップS21へ戻る(ステップS48)。
【0070】
もし、印字をやめる場合は、同様にプリンタ12へ印字中止を指示し印字を終了する。
【0071】
第3の実施形態では、図10に示すように斜行していてかつAとBの長さが等しいという場合でも正しく斜行を検出できる効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係る複数枚の円形メディアを搭載可能なプリンタの一実施形態の全体構成図である。
【図2】本発明に係る第一の実施例における印刷処理のフローチャートである。
【図3】本発明に係る第二の実施例における印刷処理のフローチャートである。
【図4】本発明に係る第三の実施例における印刷処理のフローチャートである。
【図5】本発明に係る第一の実施例における斜行を検出するための説明図である。
【図6】本発明に係る第一の実施例における斜行した場合の説明図である。
【図7】本発明に係る第二の実施例における斜行を検出するための説明図である。
【図8】本発明に係る第二の実施例における斜行した場合の説明図である。
【図9】本発明に係る第三の実施例における斜行を検出するための説明図である。
【図10】本発明に係る第三の実施例における斜行した場合の説明図である。
【符号の説明】
【0073】
11 ホストコンピュータ
12 プリンタ
13 CDRトレイ
14 CDR
15 トレイに対するセンサのセンス軌跡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2枚以上の同一径の円形メディアを積載するトレイを装着可能な記録装置において、前記円形メディアが同一直線上に直列に配置され、センサで前記円形メディアの配置に対して平行に走査を行い、前記円形メディアと前記センサと交わる2点間の距離から斜行を検出する手段を有することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、前記センサはキャリッジ上に配置されたメディアの位置検出センサと兼ね、前記トレイ上に直列に配置されたメディアはキャリッジの走査方向と平行に配置されることを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項1に記載の記録装置において、前記トレイ上に直列に配置されたメディアは前記トレイの搬送方向と平行に配置されることを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項2に記載の記録装置において、前記トレイ上に直列に配置されたメディアが3枚以上配置されることを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−6488(P2010−6488A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164753(P2008−164753)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】