記録装置
【課題】中間転写体表面に供給された液体受容性粒子を位置変動の抑制された状態で保持する記録装置を提供する。
【解決手段】少なくとも被固定層形成面が多孔質層で構成された中間転写体12と、液滴を受容する液体受容性粒子16を固定する液状の固定層14Aを、中間転写体12上に形成する形成装置(粒子固定材供給装置14)と、液体受容性粒子16を固定層14A上に供給する供給装置(粒子供給装置18)と、固定層14A上に供給された液体受容性粒子16に液滴を吐出する液滴吐出装置(インクジェット記録ヘッド20)と、液滴の吐出された液体受容性粒子16を記録媒体8に転写する転写装置22と、記録媒体8に転写された液体受容性粒子16を該記録媒体に定着する定着装置25と、を有する記録装置10である。
【解決手段】少なくとも被固定層形成面が多孔質層で構成された中間転写体12と、液滴を受容する液体受容性粒子16を固定する液状の固定層14Aを、中間転写体12上に形成する形成装置(粒子固定材供給装置14)と、液体受容性粒子16を固定層14A上に供給する供給装置(粒子供給装置18)と、固定層14A上に供給された液体受容性粒子16に液滴を吐出する液滴吐出装置(インクジェット記録ヘッド20)と、液滴の吐出された液体受容性粒子16を記録媒体8に転写する転写装置22と、記録媒体8に転写された液体受容性粒子16を該記録媒体に定着する定着装置25と、を有する記録装置10である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを利用した記録方式としては、中間転写体にインクを吐出した後に、記録媒体に転写する方式が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、中間転写体の表面に、インク液滴により溶解又は膨潤し且つ該インク液滴の粘度を上昇させ、且つ中間転写体から剥離可能な粉末を塗布することにより該粉末の層を形成した後に、該粉末層上にインク液滴を噴射して可視画像を形成し、記録媒体上に転写する技術が提案されている。そして、この中間転写体には、該粉末が表面に付着しやすい材料を用いている。
【0004】
ところで、特許文献2には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を2軸延伸させた多孔質ベルトや、発泡ポリウレタンを使用した吸収ロールが提案されている。
また、特許文献3には、ウレタンゴムを発泡加硫させた多孔質転写部材が提案されている。
また、特許文献4には、シリコーンエラストマー製の多孔質定着回転体が提案されている。
また、特許文献5には、フッ素多孔質部材を用い定着機構が提案されている。
また、特許文献6には、金属粒子を水あるいは有機溶剤に分散させた塗料を用いた多孔質体の作製方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−158795号公報
【特許文献2】特開平07−199666号公報
【特許文献3】特開平11−109769号公報
【特許文献4】特開2006−308716号公報
【特許文献5】特開2002−006669号公報
【特許文献6】特開平05−247502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、液体受容性粒子を固定する固定層を中間転写体上に形成する記録装置において、当該中間転写体の被固定層形成面が多孔質層で構成されていない場合に比べ、中間転写体から記録媒体への液体受容性粒子の転写不良が抑制された記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
【0008】
請求項1に係る発明は、
少なくとも被固定層形成面が多孔質層で構成された中間転写体と、
液滴を受容する液体受容性粒子を固定する液状の固定層を、前記中間転写体上に形成する形成手段と、
前記液体受容性粒子を前記固定層上に供給する供給手段と、
前記固定層上に供給された前記液体受容性粒子に液滴を吐出する液滴吐出手段と、
前記液滴の吐出された前記液体受容性粒子を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記液体受容性粒子を該記録媒体に定着する定着手段と、
を有することを特徴とする記録装置。
【0009】
請求項2に係る発明は、
前記多孔質層が、粒子の集合体で構成された層である請求項1に記載の記録装置。
【0010】
請求項3に係る発明は、
前記多孔質層を構成する粒子の平均粒径が、前記液体受容性粒子の平均粒径よりも小さい請求項2に記載の記録装置。
【0011】
請求項4に係る発明は、
前記多孔質層を構成する粒子が、弾性粒子である請求項2又は3に記載の記録装置。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、2に係る発明によれば、液体受容性粒子を固定する固定層を中間転写体上に形成する記録装置において、当該中間転写体の被固定層形成面が多孔質層で構成されていない場合に比べ、中間転写体から記録媒体への液体受容性粒子の転写不良が抑制される。
請求項3に係る発明によれば、多孔質層を構成する粒子の粒径が液体受容性粒子の粒径よりも大きい場合に比べ、中間転写体から記録媒体への液体受容性粒子の転写不良が抑制される。
請求項4に係る発明によれば、多孔質層を構成する粒子が塑性粒子でない場合に比べ、凹凸を有する記録媒体を用いた場合の中間転写体から記録媒体への液体受容性粒子の転写不良が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本形態の形態に係る記録装置を示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係る記録装置の一部を拡大した模式図である。
【図3】中間転写体上に固定層が形成された状態を示す模式図である。
【図4】中間転写体上に形成された固定層上に更に粒子層が形成された状態を示す模式図である。
【図5】粒子層上にインク滴が吐出された状態を示す模式図である。
【図6】記録媒体に粒子層が転写された状態を示す模式図である。
【図7】本実施の形態に係る中間転写体の一例を示す概略構成図である。
【図8】本実施の形態に係る中間転写体の他の一例を示す概略構成図である。
【図9】本実施の形態に係る中間転写体の他の一例を示す概略構成図である。
【図10】本実施の形態に係る液体受容性粒子の一例を示す概念図である。
【図11】本実施の形態に係る液体受容性粒子の他の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、実質的に同じ作用・機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
【0015】
図1は、本実施の形態に係る記録装置を示す構成図である。図2は、本実施の形態に係る記録装置の主要部を示す構成図である。なお、以下の実施の形態では、後述する液体受容性粒子として複合体粒子(詳細後述)を適用した場合を説明している。
【0016】
本実施の形態に係る記録装置10は、図1に示すように、無端ベルト状で且つ搬送方向(図1中、矢印X方向)に搬送される中間転写体12を備えている。この中間転写体12の周囲には、中間転写体12の搬送方向(図1中、矢印X方向)沿って、粒子固定材供給装置14、粒子供給装置18、均し装置17、平坦化装置21、インクジェット記録ヘッド20、転写装置22、及びクリーニング装置24が配列されている。また、記録装置10は、上記転写装置22によって記録媒体8上に転写された粒子層16Aを、該記録媒体8へ定着させる定着装置25を含んで構成されている。
【0017】
中間転写体12は、液体受容性粒子16を固定する液状の固定層14A(詳細後述)を介して液体受容性粒子16を被固定層形成面(以下、外周面と称する)に保持且つ固定し、図1中矢印X方向に回転搬送する。
この中間転写体12上の固定層14A上に供給される液体受容性粒子16は、該固定層14Aによって該中間転写体12の表面に固定されるが(詳細後述)、さらに強固に液体受容性粒子16を保持する観点から、中間転写体12の少なくとも表面が半導電性あるいは絶縁性であることが望ましい。中間転写体表面の電気的特性として、半導電性の場合は表面抵抗率が1010Ω/□以上1014Ω/□以下、体積抵抗率が109Ω・cm以上1013Ω・cm以下、絶縁性の場合には表面抵抗率が1014Ω/□、体積抵抗率が1013Ω・cm以上の部材を用いる。
【0018】
中間転写体12としては、ベルト状であってもよいし、あるいは円筒状(ドラム状)であってもよい。
【0019】
中間転写体12は、例えば、図7に示すように、基材12Aと、基材12Aの外周面に表面層として多孔質層12Bと、構成されている。中間転写体12は、上記構成に限られず、例えば、図8に示すように、特に制限はなく、基材12Aと多孔質層12Bとの間に、弾性層12C等の中間層が介在した形態であってもよい。
【0020】
基材12Aの材料としては、ベルト状の中間転写体12の場合、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエーテルサルフォン、ステンレス等が挙げられ、ドラム状の中間転写体12の場合、例えば、アルミ、ステンレス等が挙げられる。
【0021】
多孔質層12Bとしては、その平均孔径が、液体受容性粒子16よりも小さく、例えば、0.1μm以上20μm以下(望ましくは、1μm以上10μm以下)、空隙率が例えば80%以下(望ましくは、50%以下)である多孔質層であることがよい。
なお、平均孔径は、多孔質層12Bの断面(切片)を走査型電子顕微鏡で観察し、空隙部分の面積を求め、この面積と同じ面積を持つ円の直径に換算した値の平均値(空隙分部100個の数平均値)である。一方、空隙率は、例えば、水銀圧入式ポロシメトリー法、窒素吸着測定法により求められる値である。
【0022】
多孔質層12Bとして具体的には、例えば、粒子の集合体で構成された多孔質層、発泡ウレタン多孔質層、シリコーンエラストマー多孔質層、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を2軸延伸させた多孔質層等が挙げられる。
これらの中でも、多孔質層12Bとしては、孔の大きさが制御し易い点、層形成に塗布法が適用され大口径の中間転写体の外周面を構成させ易い点から、粒子の集合体で構成された多孔質層であることがよい。このような特性を持つ、粒子の集合体で構成された多孔質層と適用することで、他種の多孔質層に比べ、中間転写体12から記録媒体8への液体受容性粒子16の転写不良が抑制される。
【0023】
多孔質層12B(粒子の集合体で構成された多孔質層)を構成する粒子は、例えば、固定層14の粒子固定材14Dを吸液しない又はし難いものであることがよく、例えば、シリカ、シリコーン、カーボン、ガラス、ポリマー等で構成された粒子であることがよい。
これらの中でも、多孔質層12Bを構成する粒子としては、弾性粒子(特に望ましくは、ポリマー粒子)であることがよい。また、弾性粒子は、弾性材料(例えばゴム材質)で構成された弾性粒子本体と、その表面に非弾性材料で構成された非弾性被覆層と、で構成された、所謂コア/シェル構造の弾性粒子であってもよい。
このような、弾性粒子を適用することで、多孔質層12Bに弾性が付与され、液体受容性粒子16を記録媒体8に転写する際、当該記録媒体8が凹凸を有していても、その凹凸に多孔質層12Bが弾性変形により追随し易いことから、液体受容性粒子16を記録媒体8に密着させ易くなると考えられ、その結果、中間転写体12から記録媒体8への液体受容性粒子16の転写不良が抑制される。
【0024】
なお、「弾性」とは、例えば、100Pa以下の外力印加により変形しても、もとの形状に復元する性質を意味する。一方、「非弾性」とは、外力印加により変形したとき、もとの形状に復元しない性質を意味する。以下、同様である。
【0025】
多孔質層12Bを構成する粒子の平均粒径(球換算平均粒径)は、液体受容性粒子16の平均粒径(球換算平均粒径)よりも小さいことがよい。具体的には、多孔質層12Bを構成する粒子の平均粒径(球換算平均粒径)は、例えば、0.1μm以上20μm以下(望ましくは、1μm以上10μm以下)であることがよい。
これにより、多孔質層12Bを構成する粒子同士で構成される空隙(孔)の大きさが、液体受容性粒子16の大きさよりも小さくなり易く、多孔質層12Bへの液体受容性粒子16の埋まり込みが抑制される。また、液体受容性粒子16同士の間隙(及び液体受容性粒子16を構成する粒子同士の間隙)の毛管力よりも多孔質層12Bの毛管力が強くなり易くなることから、後述するように、粒子固定材14Dを保持し易くなる。
なお、球換算平均粒径は、例えば、マイクロトラックUPA法やコールターカウンター法で求められる値である。以下、同様である。
【0026】
多孔質層12Bの厚みは、例えば、1μm以上50μm以下(望ましくは、10μm以上30μm以下)であることがよい。
【0027】
多孔質層12Bの形成方法としては、例えば、粒子を分散させた塗布液を、基材12A上に塗布した後、乾燥させる手法が挙げられる。具体的に一例を挙げると、ポリエステルに粒径5μmのシリカを分散させた後、基材12Aとなるポリイミドフィルムに塗布し常温乾燥した後、280度で1分焼成することにより約10μmの多孔質層12Bが形成される。
ここで、多孔質層12Bは、一層構成に限られず、2層以上の層構成であってもよい。具体的には、例えば、図9に示すように、多孔質層12Bは、基材12A側から第1多孔質層121Bと、第2多孔質層122Bとが積層された2層以上の形態であってもよい。この形態では、第1多孔質層121Bを弾性粒子の集合体で構成し、第2多孔質層122Bを非弾性粒子の集合体で構成する等、複数の多孔質層間で、材料(粒子の材料)や、孔の大きさ(粒子の大きさ)等を異ならせることがよい。
【0028】
粒子固定材供給装置14は、粒子供給装置18より中間転写体12の搬送方向上流側で、且つクリーニング装置24より中間転写体12の搬送方向Xの搬送方向下流側に設けられている。この粒子固定材供給装置14は、中間転写体12上に粒子固定材14Dを供給して、該粒子固定材14Dによる層としての固定層14Aを形成する。固定層14Aは、該固定層14Aに供給される液体受容性粒子16を該固定層14Aに固定化する機能を有する層である。
【0029】
なお、この液体受容性粒子16が固定層14Aに「固定化」される、とは、固定層14A上に供給された液体受容性粒子16が、後述する均し装置17及び平坦化装置21によって位置及び表面を均された直後の状態から、少なくとも後述する転写装置22によって記録媒体8に転写されるまでの間、該中間転写体12上の表面における位置が固定されていることを示している。
そして、この「中間転写体12上の表面における位置が固定」とは、固定層14Aが設けられていない場合に比べて、液体受容性粒子16の中間転写体12の外周面における位置変動が抑制されていることを示している。具体的には、中間転写体12上に供給されて均し装置17及び平坦化装置21によって密度及び表面を均された後から、記録媒体8に転写されるまで(すなわち記録媒体8に転写される直前まで)の間における、中間転写体12の外周面における各液体受容性粒子16の位置変動が、該液体受容性粒子16の平均粒径の±50%以下の範囲内であることを示している。
【0030】
このため、この固定層14A上に粒子層16Aが形成されることによって、該粒子層16Aを構成する各液体受容性粒子16は、少なくとも、中間転写体12表面に供給されて且つ均し装置17及び平坦化装置21によって表面を均されてから記録媒体8に転写されるまでの間、該固定層14Aが設けられていない場合に比べて、位置変動の抑制された状態で保持(すなわち固定化)される。
【0031】
粒子固定材供給装置14による粒子固定材14Dの供給方法としては、粒子固定材14Dを内蔵した供給部材(図示省略)に粒子固定材14Dを供給し、該供給部材により中間転写体12表面に粒子固定材14Dを供給することで固定層14Aを形成する方法や、粒子固定材14Dを含浸した供給部材(図示省略)により中間転写体12表面に粒子固定材14Dを供給して固定層14Aを形成する方法等が挙げられる。
【0032】
本実施の形態では、中間転写体12が搬送方向へ搬送されると、粒子固定材供給装置14の供給ロール14Cにより中間転写体12表面に粒子固定材14Dが供給され、ブレード14Bで層厚が規定されて、中間転写体12上に固定層14Aが形成される。
【0033】
なお、粒子固定材供給装置14に、独立した液体供給システム(図示せず)より粒子固定材14Dを供給して、粒子固定材14Dの供給がとぎれないようにしてもよい。
【0034】
粒子固定材14Dは、中間転写体12上に供給されて固定層14Aとされたときに、該固定層14A上に供給される液体受容性粒子16を保持しつつ上述のように固定化する特性を有することが必須である。
【0035】
上記特性を有する粒子固定材14Dとしては、ジオール型のポリプロピレングリコール(分子量1000以上)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとを含むブロックポリマー等が挙げられる。なお、この粒子固定材14Dとしては、上記に挙げた材料の中から1種を単独で用いても良いし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
この粒子固定材14Dの粘度は、10mPa・s以上が望ましく、より望ましくは100mPa・s以上がさらに望ましい。
【0037】
粒子固定材14Dの粘度が10mPa・s未満であると、該粒子固定材14Dが中間転写体12上に供給されることで該中間転写体12上に形成された固定層14Aにおける、少なくとも液体受容性粒子16が固定層14A上に供給されてから記録媒体8に転写されるまでの間、該液体受容性粒子16を固定する機能が低下すると考えられる。一方、粒子固定材14Dの粘度が上記範囲内(10mPa・s以上)であれば、固定層14A上に供給された液体受容性粒子16が、少なくとも固定層14A上に供給されてから記録媒体8に転写されるまでの間、該固定層14Aが設けられていない構成に比べて、固定化された状態で固定層14Aに保持される。
【0038】
なお、粒子固定材14Dの粘度の測定は次のようにして行われる。レオマット115(Contraves製)を測定装置として用いて、得られたインクの粘度を測定した。その測定は、試料を測定容器に入れ、所定の方法で装置に装着し、測定温度は23℃、せん断速度は1400s−1の条件で行った。
【0039】
粒子固定材14Dの表面張力は、40mN/m以下が望ましく、さらに望ましくは35mN/m以下、より望ましくは30mN/m以下である。
この粒子固定材14Dの表面張力の調整方法としては、界面活性剤を添加することが挙げられる。
【0040】
粒子固定材14Dの表面張力が40mN/m以下であると、中間転写体12上に供給された粒子固定材14Dが、中間転写体12上において広がりやすく、層状に供給される。
【0041】
なお、表面張力の測定は次のようにして行われる。23±0.5℃、55±5%RHの環境において、ウイルヘルミー型表面張力計(協和界面科学株式会社製)を用いて、得られた試料の表面張力を測定した。
【0042】
また、粒子固定材14Dは、疎水性であることが望ましい。粒子固定材14Dが疎水性であると、該粒子固定材14Dによって形成された固定層14A中の水分が、該固定層14A上に固定された液体受容性粒子16によって吸液されることが抑制され、液体受容性粒子16に吐出されるインク滴20A中の水分の該液体受容性粒子16への吸液が阻害されることが抑制される。このため、画質劣化が抑制される。
【0043】
本実施の形態では、この疎水性とは、具体的には、水との溶解度パラメータ(SP値:cal/cm3)との差が13.4(cal/cm3)1/2(すなわち27.9MPa1/2)以上であることを示している。具体的には、水の溶解度パラメータは、23.4(cal/cm3)1/2(すなわち47.9MPa1/2)であることから、粒子固定材14Dの溶解度パラメータは、10(cal/cm3)1/2(すなわち20.5MPa1/2)以下であることが望ましい。
【0044】
溶解度パラメータ(SP値)の計算方法は「ポリマーハンドブック第4版John Wiley & Sons」VII680〜683に記載されている方法を用いる。溶解度パラメータ(SP値)とは凝集エネルギー密度、すなわち1分子の単位体積あたりの蒸発エネルギーを1/2乗したもので、単位体積あたりの極性の大きさを示す値である。
ポリマーの場合には、一般に次のsmallの式を用いて計算する。
【0045】
SP(cal/cm3)1/2=dΣG/M
M:ポリマーの単位分子量
d:密度
G:原子団・基に固有の定数
【0046】
主なポリマーの溶解度パラメータは同ポリマーハンドブック第4版のVII702〜711に記載されている。本実施の形態においては溶解度パラメータを上記smallの式にHoyの凝集エネルギー定数を代入して導かれる値を用いた。
【0047】
粒子固定材供給装置14によって中間転写体12上に固定層14Aを形成するためには、粒子固定材14Dが中間転写体12の多孔質層12Bに吸液されてもなお、当該多孔質層12B上に層状に形成される量で、粒子固定材14Dを供給することがよい。
そして、粒子固定材供給装置14によって中間転写体12上に形成される固定層14Aの厚みは、該固定層14A上に供給される液体受容性粒子16による粒子層16Aの厚みより薄い事が望ましく、2/5以下であることがより望ましい。具体的には、粒子層16Aの厚み(平均厚)が5μm程度であるとすると、固定層14Aの厚みは、1μm以上2μm以下であることが望ましい。
固定層14Aの厚みが1μm未満であると、中間転写体12上に形成された固定層14Aの塗布ムラが発生する場合がある。一方、固定層14Aの厚みが2μmを超えると、該固定層14Aに固定された液体受容性粒子16間に粒子固定材14Dが入りこんだ状態となる、液体受容性粒子16によるインク滴20Aの水分の吸液が阻害される場合がある。
【0048】
粒子供給装置18は、粒子固定材供給装置14によって粒子固定材14Dが中間転写体12上に供給されることで該中間転写体12上に形成された固定層14A上に、液体受容性粒子16を層状に形成して、該液体受容性粒子16による粒子層16Aを形成する。
【0049】
図1及び図2に示すように、粒子供給装置18は、内部に液体受容性粒子16を収容する容器18Cと、該容器18C内における中間転写体12と向い合う領域に該中間転写体12の表面から距離を隔てて配置された供給ロール18Aと、ブレード18Bと、ブラシ18Dと、を有している。また、粒子供給装置18には、供給管19Aを介して液体受容性粒子収納カートリッジ19が脱着可能に連結されている。液体受容性粒子16の構成については後述する。
【0050】
ブレード18Bは供給ロール18A表面に供給する液体受容性粒子16の層厚を規制する。なお、供給ロール18Aとして、後述するアニックスローラを用いる場合には、液体受容性粒子16の層厚(供給量)は、アニックスローラ表面の凹部のサイズ(容量)で定まる。このため、供給ロール18Aとしてアニックスローラを用いる場合には、ブレード18Bは、液体受容性粒子16をアニックスローラの凹部に充填する機能を有することとなる。
【0051】
容器18C内に収容されている液体受容性粒子16は、回転する供給ロール18Aの外周面に保持され、ブレード18Bによって保持量が規制された後に、中間転写体12上へ層状に供給される。このブレード18Bによって液体受容性粒子16の保持量が調整されることで、中間転写体12上に供給される液体受容性粒子16による粒子層16Aの層厚が調整される。
【0052】
供給ロール18Aは、ロール状とされており、本実施の形態では、図2中矢印Y方向に回転される。また、供給ロール18Aは、中間転写体12上に形成された固定層14Aに非接触となるように、該固定層14Aの表面から離間された状態で配置されている。このため、供給ロール18Aの外周面が固定層14Aを構成する粒子固定材14Dによって汚染されることが抑制される。
【0053】
この供給ロール18Aは、表面に液体受容性粒子16を保持して中間転写体12上の固定層14A上に該液体受容性粒子16を供給可能に構成されていればよい。この供給ロール18Aとしては、例えば、アニックスローラが好適に用いられる。
【0054】
アニックスローラとは、セラミックが溶射されたローラ表面をレーザで加工しピラミッド型や斜線、亀甲型などの形状を伏したローラである。このアニックスローラとしての供給ロール18Aの表面に付された凹みの部分に液体受容性粒子16が保持され、該供給ロール18Aの回転によって、保持された液体受容性粒子16が固定層14Aに供給される。この固定層14Aへの液体受容性粒子16の供給は、例えば、供給ロール18Aの重力方向下流側に中間転写体12が配置される構成とし、供給ロール18Aの外周面に保持された液体受容性粒子16が供給ロール18Aの回転によって中間転写体12に対向する領域に搬送されることで、該供給ロール18A上から中間転写体12の固定層14A上に落下させること行なえばよい。
【0055】
なお、さらに、図2に示すように、供給ロール18Aの中間転写体12と向かい合う領域、又は該領域より供給ロール18Aの回転方向(図2中、矢印Y方向)下流側にブラシ18Dを設けた構成としてもよい。そして、このブラシ18Dを、図示を省略する駆動部によって振動させる構成とし、ブラシ18Dの振動によって、供給ロール18Aの表面に保持された液体受容性粒子16を、中間転写体12の固定層14A上に供給する構成としてもよい。
このように、振動するブラシ18Dを設けることによって、供給ロール18Aの表面に保持されていた液体受容性粒子16の該供給ロール18A表面からの掻き取り効率が向上する。また、ブラシ18Dを振動させることによって、ブラシ18D自体への液体受容性粒子16の付着が抑制される。
【0056】
容器18C内の液体受容性粒子16は、供給ロール18A表面に保持され、該供給ロール18Aの表面には、例えば1層(粒子一個分の層、以下同様である)又は複数層の粒子層16Aが形成される。供給ロール18A表面に保持される液体受容性粒子16の層厚は、ブレード18Bによって調整される。この供給ロール18Aの表面に保持された液体受容性粒子16は、供給ロール18Aの回転によって中間転写体12表面と対向する領域に搬送されると、上述のように、ブラシ18Dの振動によって、供給ロール18A側から中間転写体12上の固定層14A上へと層状に供給される。これによって、液体受容性粒子16による粒子層16Aが固定層14A上に形成される。
【0057】
この中間転写体12上の固定層14A上に形成された粒子層16Aは、固定層14Aによって中間転写体12上に固定された状態となる。
【0058】
均し装置17は、固定層14A上に供給された液体受容性粒子16が、固定層14Aを介して中間転写体12の外周面に均一又は均一に近い密度で配置されるように均す装置である。均し装置17としては、上記機能を有する構成であればよいが、例えば、環状のベルト部材17Aの内周側に複数の駆動ロール17Bを配置し、該複数の駆動ロール17Bによってベルト部材17Aを張架搬送する構成とすればよい。そして、このベルト部材17Aの外周の一部の領域が、固定層14A上に供給された液体受容性粒子16に接するように、該ベルト部材17Aを予め配置することで、該液体受容性粒子16を均す構成とすればよい。このベルト部材17Aの外周と、中間転写体12上に固定層14Aを介して供給された液体受容性粒子16による粒子層16Aと、の距離は、予め粒子層16Aの層厚を定め、粒子層16Aの該定めた層厚に応じた距離となるように調整すればよい。
【0059】
平坦化装置21は、均し装置17によって均一又は均一に近い密度に均された粒子層16Aの表面を、インク滴20Aの吐出による画像形成に支障の出ない程度に均す装置である。この平坦化装置21としては、例えば、図示を省略するローラが上下動可能にバネ(図示省略)によって支えられた構成とし、該ローラによって粒子層16Aの表面を均す構成とすればよい。
【0060】
インクジェット記録ヘッド20は、イエロー色のインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッド20Y、マゼンタ色のインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッド20M、シアン色のインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッド20C、及び黒色のインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッド20Kを含んで構成されている。
【0061】
これらのインクジェット記録ヘッド20M、シアン色のインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッド20C、及び黒色のインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッド20K(総称する場合には、インクジェット記録ヘッド20と称する)は、圧電式(ピエゾ)、サーマル式などにより駆動される。
各色のインクジェット記録ヘッド20によって粒子層16A上にインク滴20Aが吐出されると、図5に示すように、粒子層16Aにインク滴20Aによる画像層16Bが形成される。
【0062】
詳細には、インクジェット記録ヘッド20から吐出されたインク滴20Aは、中間転写体12上の固定層14Aによって固定化されている液体受容性粒子16による粒子層16Aに打ち込まれ、インクの液体成分は液体受容性粒子16間の空隙及び液体受容性粒子16を構成する空隙に速やかに吸収されるともに、記録材(例えば顔料)も液体受容性粒子16(構成する粒子)表面或いは液体受容性粒子16を構成する粒子間の空隙に捕獲される。
【0063】
この場合、粒子層16Aの表面には、多くの記録材(例えば顔料)を捕獲(トラップ)することが望ましい。液体受容性粒子16内の粒子間空隙がフィルターの効果を発揮し、粒子層16A表面に記録材(例えば顔料)が捕獲されると共に、液体受容性粒子16内の粒子間空隙に記録材が捕獲され且つ固定される。
【0064】
インクジェット記録ヘッド20としては、記録媒体の幅と同等又はそれ以上の幅を持つライン型インクジェット記録ヘッドが望ましいが、従来のスキャン型のインクジェット記録ヘッドを用いて、中間転写体12上に形成された粒子層16Aに順次インク滴20Aを吐出して画像を形成してもよい。
【0065】
インクジェット記録ヘッド20から吐出されるインクについては、詳細を後述する。
【0066】
転写装置22は、転写ロール22Aと従動ロール22Bによって、インク滴20Aが吐出されることで画像の形成された粒子層16Aに、熱、又は熱及び圧力を加えることで、画像の形成された粒子層16Aを記録媒体8に転写する。例えば、中間転写体12上の粒子層16Aに熱を加えることによって粒子層16Aの粘度を増加させ、且つ圧力を加えた状態で記録媒体8を挟持搬送することで、粒子層16Aを記録媒体8へと付着させる。これによって、中間転写体12上の粒子層16Aは、記録媒体8へと転写される。
【0067】
定着装置25は、記録媒体8に転写された粒子層16Aを記録媒体8に定着させる。
定着装置25は、加熱源を内蔵する加熱ロール25Aと、加熱ロール25Aに対し対向して設けられた加圧ロール25Bと、を備えて構成されている。加熱ロール25A及び加圧ロール25Bは、記録媒体8を挟持搬送するように設けられている。
【0068】
加熱ロール25Aと加圧ロール25Bとによって、粒子層16Aの形成された記録媒体8が挟持搬送されることによって、加熱ロール25Aと加圧ロール25Bとの間の領域を通過する粒子層16Aを構成する有機樹脂が、ガラス転移点(Tg)以上に加熱されることにより軟化する(あるいは溶融する)と共に、圧力が加わることにより、記録媒体8に粒子層16Aが定着される。
【0069】
なお、本実施形態では加熱ロール25Aの表面を160℃に制御している。また、粒子層16Aに保持されたインク液体成分(溶媒や分散媒)は、転写・定着後もそのまま粒子層16A内に保持される。
【0070】
記録媒体8としては、浸透媒体(例えば、普通紙や、インクジェットコート紙等)、非浸透媒体(例えば、アート紙、樹脂フィルムなど)、いずれも適用される。また、記録媒体8は、これらに限らず、その他、半導体基板など工業製品も含まれる。また、記録媒体8としては、透明なOHP等を用いても良い。
【0071】
以下、本実施形態に係る記録装置10の画像形成の作用を説明する。
【0072】
本実施形態に係る記録装置10では、図1に示すように、中間転写体12が搬送方向(図1中、X方向)へ搬送されると、中間転写体12上に、粒子固定材供給装置14により粒子固定材14Dが供給されて固定層14Aが形成される(図3参照)。このとき、粒子固定材14Dが中間転写体12の多孔質層12Bの空隙に吸収された上で、中間転写体12上に当該粒子固定材14Dによる固定層14Aが形成される。つまり、中間転写体12の多孔質層12Bには、固定化材14Dが保持された状態となっている。
【0073】
次に、中間転写体12上に形成された固定層14A上には、粒子供給装置18から液体受容性粒子16が供給されて粒子層16Aが形成される(図4参照)。
【0074】
中間転写体12上に形成された粒子層16Aは、液体受容性粒子16を3層程度重ねた厚みであることが望ましい。粒子層16Aを所望の厚さに制御することで記録媒体8に転写される粒子層16Aの厚さが調整される。
【0075】
中間転写体12上に供給される粒子層16Aの厚さは、固定層14Aの厚みより厚いことが望ましい。具体的には、5μm以上100μm以下が望ましく、より望ましくは5μm以上50μm以下である。また、粒子層16A中の空隙率(即ち、液体受容性粒子間空隙率+液体受容性粒子内空隙率(トラップ構造))は、10%以上80%以下であることが望ましく、より望ましくは30%以上70%以下、さらに望ましくは40%以上60%以下である。
【0076】
この粒子層16Aの厚みは、均し装置17、及び平坦化装置21によって調整すればよい。ブレード18Bは供給ロール18A表面における液体受容性粒子16の層厚を規制する働きを持ち、例えば、供給ロール18Aへの圧力を変化させて、供給ロール18A表面の液体受容性粒子16の層厚を変化させる。例えば、供給ロール18A表面上の液体受容性粒子16層厚を例えば1層(液体受容性粒子16を1個分の層)とし、中間転写体12の表面上に形成される液体受容性粒子16層厚を概1層に形成する。また、ブレード18Bの押圧力を低く制御し、供給ロール18A表面上に形成される液体受容性粒子16層厚を増加させ、中間転写体12表面上に形成される液体受容性粒子層厚を増加させてもよい。このブレード18Bによる層厚規制と共に、均し装置17及び平坦化装置21よる均し処理を行なうことによって、層厚及び密度が均一又は均一に近い状態とされ、且つ表面をなされた粒子層16Aとされる。
【0077】
なお、粒子層16Aの厚みを調整する他の方法として、中間転写体12表面上に例えば1層の粒子層を形成する供給ロール18Aと中間転写体12の周速を1とした場合、供給ロール18Aの周速を速くして中間転写体12上に供給される液体受容性粒子16の数を増加させ、中間転写体12上の液体受容性粒子層厚を増加させる方法を用いても良い。
【0078】
固定層14Aに供給された液体受容性粒子16は、均し装置17及び平坦化装置21によって密度及び表面が均される。
【0079】
次に、密度及び表面を均された粒子層16A上には、インクジェット記録ヘッド20からインク滴20Aが吐出され、粒子層16Aに画像層16Bが形成される(図5参照)。
【0080】
詳細には、インクジェット記録ヘッド20から吐出されたインク滴20Aは、中間転写体12上の固定層14Aによって固定化されている液体受容性粒子16による粒子層16Aに打ち込まれ、インクの液体成分は液体受容性粒子16間の空隙及び液体受容性粒子16を構成する空隙に速やかに吸収されるともに、記録材(例えば顔料)も液体受容性粒子16(構成する粒子)表面或いは液体受容性粒子16を構成する粒子間の空隙に捕獲される。
【0081】
この場合、粒子層16Aの表面に多くの記録材(例えば顔料)を捕獲(トラップ)することが望ましい。液体受容性粒子16内の粒子間空隙がフィルターの効果を発揮し、粒子層16A表面に記録材(例えば顔料)をトラップすると共に、液体受容性粒子16内の粒子間空隙に捕獲(トラップ)され固定されることにより発現される。
【0082】
粒子層16Aの表面及び液体受容性粒子16内の粒子間空隙に記録材(例えば顔料)を確実にトラップさせるために、インクと液体受容性粒子16を反応させることにより、記録材(例えば顔料)を速やかに不溶化(凝集)させる方法を採用してもよい。具体的には、上記反応はインクと多価金属塩との反応や、pH反応型を応用してもよい。
【0083】
また、吐出されたインク滴20Aに含まれる顔料等の記録材は図5に示すように、粒子層16Aの1/3以上半分以下程度まで浸透し、その下には顔料等の記録材の浸透していない粒子層16Cが残存している。
【0084】
次に、中間転写体12上の、インク滴20Aの吐出された粒子層16Aは、中間転写体12と固定層14Aが介在した状態で、転写装置22による加熱・加圧により、記録媒体8上に転写される(図6参照)。このとき、固定層14Aは、中間転写体12表面に残存した状態であってもよいし、少なくともその一部が粒子層16Aと共に記録媒体8に転写されてもよい。粒子層16Aと共に記録媒体8に転写された固定層14Aは、画像層16Bの保護層としての働きを担うこととなる。なお、定着装置25による加熱・加圧定着で記録媒体8上に形成された粒子層16Aは、図6に示すように、インク滴20Aによる画像層16B上にインクを含まない粒子層16Cが存在するので、この粒子層16Cについても、画像層16Bの保護層としての働きを担うことがある。
【0085】
このことから、このため少なくとも定着後の液体受容性粒子16及び粒子固定材14Dは透明であることがよい。
【0086】
記録媒体8に転写された粒子層16Aは、定着装置25によって該記録媒体8に定着される。このとき、粒子層16C(固定層14Aも転写された場合には固定層14Aも含む)は、定着装置25によって加熱・加圧されるので表面を平らにされ、画像表面の光沢度を加熱・加圧によって調整される。
【0087】
また加熱によって液体受容性粒子16内部に捕獲されていたインク液体成分(溶媒や分散媒)の乾燥が促進される。そして、粒子層16Aに受容/保持されたインク液体成分(溶媒や分散媒)は、転写・定着後も粒子層16A内に保持され、自然乾燥にて除去される。上記の工程を経て、画像形成が終了する。
【0088】
中間転写体12については、液体受容性粒子16を記録媒体8に転写した後、中間転写体12上に残留した固定層14A、残留粒子16D、及び記録媒体8から離脱した紙粉等の異物は、クリーニング装置24によって中間転写体12から除去される。
【0089】
以上説明したように、本実施の形態の記録装置10では、粒子固定材供給装置14によって、中間転写体12上に液状の固定層14Aが形成され、この固定層14A上に液体受容性粒子16による粒子層16Aが形成される。このため、この固定層14Aが形成されない場合に比べて、中間転写体12上に供給された粒子層16Aを構成する各液体受容性粒子16の中間転写体12上における位置変動が抑制され、該固定層14Aが設けられていない場合に比べて、位置変動の抑制された状態で保持(すなわち固定化)される。
【0090】
一方で、液状の固定層14A上に液体受容性粒子16による粒子層16Aが形成されると、粒子層16Aを構成する液体受容性粒子16同士の間隙(及び液体受容性粒子16を構成する粒子同士の間隙)に、毛細管現象により固定層14Aの粒子固定材14Dが吸液され、固定層14Aが消失又は薄くなり、中間転写体12と粒子層16Aの液体受容性粒子16とが直接接触して密着してしまい、粒子層16Aを構成する各液体受容性粒子16の固定化が実現され難くなるばかりでなく、記録媒体8への転写不良(転写がなされない現象)が生じることがある。
【0091】
そこで、本実施の形態の記録装置10では、中間転写体12の外周面を多孔質層12Bで構成させる。この外周面が多孔質層12Bで構成された中間転写体10上に、固定化材14Dが当該多孔質層12Bに吸液(つまり保持)された状態で、固定化材14Dによる固定層14Aが形成される(図3参照)。この状態で、固定層14A上に液体受容性粒子16による粒子層16Aして、液体受容性粒子16同士の間隙(及び液体受容性粒子16を構成する粒子同士の間隙)により、固定層14Aの粒子固定材14Dが吸液されても、中間転写体12の多孔質層12Bに保持された固定化材14Dが固定層14Aに移行し、言い換えれば多孔質層12Bから固定化材14Dが固定層14Aに供給されることとなり、当該固定層14Aは維持され易くなる(図4参照)。つまり、中間転写体12上に粒子層16Aを形成しても、中間転写体12と粒子層16Aとの間に固定層14Aが介在した状態が維持され易くなる。
【0092】
このため、本実施の形態の記録装置10では、固定層14Aが消失又は薄層化され難く、中間転写体12と粒子層16Aとの間に介在した状態、つまり中間転写体12と粒子層16(それを構成する液体受容性粒子16の)とが直接密着していない状態で、当該粒子層14Aが記録媒体8に転写されることから(図6参照)、中間転写体から記録媒体への液体受容性粒子の転写不良が抑制される。
無論、本実施の形態の記録装置10では、固定層14Aが消失又は薄層化され難くいことから、粒子層16Aを構成する各液体受容性粒子16の固定化、即ち中間転写体12上に供給された粒子層16Aを構成する各液体受容性粒子16の中間転写体12上における位置変動も抑制される。
【0093】
以下、本実施形態で好適に適用する液体受容性粒子16について詳細に説明する。以下、符号は省略して説明する。
【0094】
液体受容性粒子16は、インクジェット記録ヘッド20から吐出されたインク滴20Aが当該粒子と接触したとき、インク成分を受容する。ここで、液体受容性とは、インク成分の少なくとも一部(少なくとも液体成分)を保持することを示す。
【0095】
この液体受容性粒子16は、母粒子を親水性有機粒子単独の粒子(一次粒子)で構成した形態であってもよく、母粒子を少なくとも親水性有機粒子が集合した複合体粒子で構成した形態あってもよい。
【0096】
液体受容性粒子16の具体的な構成としては、例えば、図10に示すように、親水性有機粒子201A単独の粒子(一次粒子)で構成した母粒子201と、母粒子201に付着された無機粒子202と、を有する液体受容性粒子200の形態が挙げられる。
また、図11に示すように、親水性有機粒子201Aと無機粒子201Bとが複合化された複合体粒子の母粒子201と、母粒子201に付着された無機粒子202と、を有する液体受容性粒子210の形態も挙げられる。なお、この複合体粒子の母粒子は各粒子間の空隙により空隙構造が形成される。
【0097】
ここで、母粒子を複合体粒子で構成する場合、親水性有機粒子と他の粒子との質量比率(親水性有機粒子:他の粒子)は、例えば、他の粒子が無機粒子の場合、5:1以上1:10以下の範囲であることが挙げられる。また、母粒子の粒径は、球換算平均粒径が例えば0.1μm以上50μm以下(望ましくは0.5μm以上25μm以下、より望ましくは1μm以上10μm以下)の範囲が挙げられる。
【0098】
また、母粒子を複合体粒子で構成する場合、そのBET比表面積(N2)が例えば1m2/g以上750m2/g以下の範囲であることが挙げられる。そして、母粒子を複合体粒子で構成する場合、複合体粒子は、例えば、粒子が半焼結状態で造粒されることで得られる。半焼結状態とは、粒子形状がある程度の残っており、当該粒子間で空隙を保持している状態を示す。なお、複合体粒子は、トラップ構造にインク液体成分がトラップされたとき、粒子の少なくとも一部が解離する、即ち複合体粒子が解体され、これを構成する粒子がばらけていてもよい。
【0099】
液体受容性粒子16(200、210)に含まれる親水性有機粒子201Aは、例えば、全単量体成分に対する極性単量体の比率が10mol%以上90mol%以下であり、望ましくは15mol%以上85mol%以下であり、さらに望ましくは30mol%以上80mol%以下である有機樹脂(以下、吸液性樹脂204と称する)を少なくとも含んで構成されている。親水性有機粒子201Aが吸液性樹脂204を含むことで、この吸液性樹脂204に吸液されたインク液体成分(例えば水、水性溶媒)が樹脂(ポリマー)の可塑剤として作用するため、液体受容性粒子16(200、210)自体が軟化して定着性に寄与する。
【0100】
この吸液性樹脂204は、弱吸液性樹脂であることが好適である。この弱吸液性樹脂とは、例えば液体として水を吸収する場合、樹脂質量に対して数%(≒5%)から数百%(≒500%)、望ましくは5%以上150%以下程度の吸液が可能な親液性樹脂を意味する。吸液性樹脂204としては、例えば、親水性単量体の単独重合体、或いは親水性単量体と疎水性単量体との両単量体から構成された共重合体で構成されるが、弱吸液性樹脂とするためには当該共重合体が望ましい。なお、単量体だけでなく、ポリマー/オリゴマー構造などのユニットをスタートに他のユニットを共重合させるグラフト共重合体やブロック共重合体でもよい。
【0101】
親水性有機粒子201Aの粒径は、その一次粒子を母粒子とする場合、球換算平均粒径が例えば0.1μm以上50μm以下(望ましくは0.5μm以上25μm以下、より望ましくは1μm以上10μm以下)の範囲が挙げられる。一方、複合体粒子を構成する場合、例えば球換算平均粒径で10nm以上30μm以下(望ましくは50nm以上10μm以下、より望ましくは0.1μm以上5μm以下)の範囲が挙げられる。
【0102】
親水性有機粒子201Aの液体受容性粒子16(200、210)全体に対する比率は、例えば質量比で75%以上望ましくは85%以上であり、より望ましくは90%以上99%以下)の範囲が挙げられる。
【0103】
次に、親水性有機粒子201Aと共に複合粒子を構成する無機粒子、及び母粒子に付着させる無機粒子202としては、非多孔質粒子、多孔質粒子のいずれを使用してもよい。無機粒子としては、無色、淡色或いは白色の粒子(例えば、コロイダル・シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ等)が挙げられる。複合体粒子を構成する無機粒子202の粒径は、例えば球換算平均粒径で10nm以上30μm以下(望ましくは50nm以上10μm以下、より望ましくは0.1μm以上5μm以下)の範囲が挙げられる。一方、母粒子に付着させる無機粒子の粒径は、例えば球換算平均粒径で10nm以上1μm以下(望ましくは10nm以上0.1μm以下、より望ましくは10nm以上0.05μm以下)の範囲が挙げられる。
【0104】
また、液体受容性粒子16(200、210)には、インクの成分を凝集又は増粘させる成分を含むことが望ましい。この機能を有する成分は、上記吸液性樹脂204の官能基として含んでもよいし、化合物として含んでもよい。当該官能基としては、例えば、カルボン酸、多価金属カチオン、ポリアミン類等などが挙げられる。
【0105】
この液体受容性粒子16(200、210)には、粒子保持剤が含まれていることがよい。粒子保持剤は、上記吸液性樹脂204に含ませてもよいし、親水性有機粒子201Aと共に粒子保持剤の粒子を複合化して含ませてもよい。
【0106】
この粒子保持剤としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;及びそれらの変性物などが挙げられる。これらの中でも結晶性化合物を適用することがよい。
【0107】
以下、上記実施形態で適用されるインクについて詳細に説明する。
【0108】
インクは、例えば、水性インクが挙げられる。水性インクとしては、特定に制限はなく、周知の構成のもの、例えば、記録材に加え、インク溶媒(例えば、水、水溶性有機溶媒)を含むインクが挙げられる。
なお、記録材としては、色材(例えば顔料や染料)の他、蛍光体、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、磁性体、半導体、光触媒、その他有機、無機の電子材材料なども挙げられる。
【符号の説明】
【0109】
10 記録装置
12 中間転写体
12A 基材
12B 多孔質層
14D 粒子固定材
14 粒子固定材供給装置
16 液体受容性粒子
18 粒子供給装置
20 インクジェット記録ヘッド
22 転写装置
25 定着装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを利用した記録方式としては、中間転写体にインクを吐出した後に、記録媒体に転写する方式が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、中間転写体の表面に、インク液滴により溶解又は膨潤し且つ該インク液滴の粘度を上昇させ、且つ中間転写体から剥離可能な粉末を塗布することにより該粉末の層を形成した後に、該粉末層上にインク液滴を噴射して可視画像を形成し、記録媒体上に転写する技術が提案されている。そして、この中間転写体には、該粉末が表面に付着しやすい材料を用いている。
【0004】
ところで、特許文献2には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を2軸延伸させた多孔質ベルトや、発泡ポリウレタンを使用した吸収ロールが提案されている。
また、特許文献3には、ウレタンゴムを発泡加硫させた多孔質転写部材が提案されている。
また、特許文献4には、シリコーンエラストマー製の多孔質定着回転体が提案されている。
また、特許文献5には、フッ素多孔質部材を用い定着機構が提案されている。
また、特許文献6には、金属粒子を水あるいは有機溶剤に分散させた塗料を用いた多孔質体の作製方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−158795号公報
【特許文献2】特開平07−199666号公報
【特許文献3】特開平11−109769号公報
【特許文献4】特開2006−308716号公報
【特許文献5】特開2002−006669号公報
【特許文献6】特開平05−247502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、液体受容性粒子を固定する固定層を中間転写体上に形成する記録装置において、当該中間転写体の被固定層形成面が多孔質層で構成されていない場合に比べ、中間転写体から記録媒体への液体受容性粒子の転写不良が抑制された記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
【0008】
請求項1に係る発明は、
少なくとも被固定層形成面が多孔質層で構成された中間転写体と、
液滴を受容する液体受容性粒子を固定する液状の固定層を、前記中間転写体上に形成する形成手段と、
前記液体受容性粒子を前記固定層上に供給する供給手段と、
前記固定層上に供給された前記液体受容性粒子に液滴を吐出する液滴吐出手段と、
前記液滴の吐出された前記液体受容性粒子を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記液体受容性粒子を該記録媒体に定着する定着手段と、
を有することを特徴とする記録装置。
【0009】
請求項2に係る発明は、
前記多孔質層が、粒子の集合体で構成された層である請求項1に記載の記録装置。
【0010】
請求項3に係る発明は、
前記多孔質層を構成する粒子の平均粒径が、前記液体受容性粒子の平均粒径よりも小さい請求項2に記載の記録装置。
【0011】
請求項4に係る発明は、
前記多孔質層を構成する粒子が、弾性粒子である請求項2又は3に記載の記録装置。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、2に係る発明によれば、液体受容性粒子を固定する固定層を中間転写体上に形成する記録装置において、当該中間転写体の被固定層形成面が多孔質層で構成されていない場合に比べ、中間転写体から記録媒体への液体受容性粒子の転写不良が抑制される。
請求項3に係る発明によれば、多孔質層を構成する粒子の粒径が液体受容性粒子の粒径よりも大きい場合に比べ、中間転写体から記録媒体への液体受容性粒子の転写不良が抑制される。
請求項4に係る発明によれば、多孔質層を構成する粒子が塑性粒子でない場合に比べ、凹凸を有する記録媒体を用いた場合の中間転写体から記録媒体への液体受容性粒子の転写不良が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本形態の形態に係る記録装置を示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係る記録装置の一部を拡大した模式図である。
【図3】中間転写体上に固定層が形成された状態を示す模式図である。
【図4】中間転写体上に形成された固定層上に更に粒子層が形成された状態を示す模式図である。
【図5】粒子層上にインク滴が吐出された状態を示す模式図である。
【図6】記録媒体に粒子層が転写された状態を示す模式図である。
【図7】本実施の形態に係る中間転写体の一例を示す概略構成図である。
【図8】本実施の形態に係る中間転写体の他の一例を示す概略構成図である。
【図9】本実施の形態に係る中間転写体の他の一例を示す概略構成図である。
【図10】本実施の形態に係る液体受容性粒子の一例を示す概念図である。
【図11】本実施の形態に係る液体受容性粒子の他の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、実質的に同じ作用・機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
【0015】
図1は、本実施の形態に係る記録装置を示す構成図である。図2は、本実施の形態に係る記録装置の主要部を示す構成図である。なお、以下の実施の形態では、後述する液体受容性粒子として複合体粒子(詳細後述)を適用した場合を説明している。
【0016】
本実施の形態に係る記録装置10は、図1に示すように、無端ベルト状で且つ搬送方向(図1中、矢印X方向)に搬送される中間転写体12を備えている。この中間転写体12の周囲には、中間転写体12の搬送方向(図1中、矢印X方向)沿って、粒子固定材供給装置14、粒子供給装置18、均し装置17、平坦化装置21、インクジェット記録ヘッド20、転写装置22、及びクリーニング装置24が配列されている。また、記録装置10は、上記転写装置22によって記録媒体8上に転写された粒子層16Aを、該記録媒体8へ定着させる定着装置25を含んで構成されている。
【0017】
中間転写体12は、液体受容性粒子16を固定する液状の固定層14A(詳細後述)を介して液体受容性粒子16を被固定層形成面(以下、外周面と称する)に保持且つ固定し、図1中矢印X方向に回転搬送する。
この中間転写体12上の固定層14A上に供給される液体受容性粒子16は、該固定層14Aによって該中間転写体12の表面に固定されるが(詳細後述)、さらに強固に液体受容性粒子16を保持する観点から、中間転写体12の少なくとも表面が半導電性あるいは絶縁性であることが望ましい。中間転写体表面の電気的特性として、半導電性の場合は表面抵抗率が1010Ω/□以上1014Ω/□以下、体積抵抗率が109Ω・cm以上1013Ω・cm以下、絶縁性の場合には表面抵抗率が1014Ω/□、体積抵抗率が1013Ω・cm以上の部材を用いる。
【0018】
中間転写体12としては、ベルト状であってもよいし、あるいは円筒状(ドラム状)であってもよい。
【0019】
中間転写体12は、例えば、図7に示すように、基材12Aと、基材12Aの外周面に表面層として多孔質層12Bと、構成されている。中間転写体12は、上記構成に限られず、例えば、図8に示すように、特に制限はなく、基材12Aと多孔質層12Bとの間に、弾性層12C等の中間層が介在した形態であってもよい。
【0020】
基材12Aの材料としては、ベルト状の中間転写体12の場合、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエーテルサルフォン、ステンレス等が挙げられ、ドラム状の中間転写体12の場合、例えば、アルミ、ステンレス等が挙げられる。
【0021】
多孔質層12Bとしては、その平均孔径が、液体受容性粒子16よりも小さく、例えば、0.1μm以上20μm以下(望ましくは、1μm以上10μm以下)、空隙率が例えば80%以下(望ましくは、50%以下)である多孔質層であることがよい。
なお、平均孔径は、多孔質層12Bの断面(切片)を走査型電子顕微鏡で観察し、空隙部分の面積を求め、この面積と同じ面積を持つ円の直径に換算した値の平均値(空隙分部100個の数平均値)である。一方、空隙率は、例えば、水銀圧入式ポロシメトリー法、窒素吸着測定法により求められる値である。
【0022】
多孔質層12Bとして具体的には、例えば、粒子の集合体で構成された多孔質層、発泡ウレタン多孔質層、シリコーンエラストマー多孔質層、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を2軸延伸させた多孔質層等が挙げられる。
これらの中でも、多孔質層12Bとしては、孔の大きさが制御し易い点、層形成に塗布法が適用され大口径の中間転写体の外周面を構成させ易い点から、粒子の集合体で構成された多孔質層であることがよい。このような特性を持つ、粒子の集合体で構成された多孔質層と適用することで、他種の多孔質層に比べ、中間転写体12から記録媒体8への液体受容性粒子16の転写不良が抑制される。
【0023】
多孔質層12B(粒子の集合体で構成された多孔質層)を構成する粒子は、例えば、固定層14の粒子固定材14Dを吸液しない又はし難いものであることがよく、例えば、シリカ、シリコーン、カーボン、ガラス、ポリマー等で構成された粒子であることがよい。
これらの中でも、多孔質層12Bを構成する粒子としては、弾性粒子(特に望ましくは、ポリマー粒子)であることがよい。また、弾性粒子は、弾性材料(例えばゴム材質)で構成された弾性粒子本体と、その表面に非弾性材料で構成された非弾性被覆層と、で構成された、所謂コア/シェル構造の弾性粒子であってもよい。
このような、弾性粒子を適用することで、多孔質層12Bに弾性が付与され、液体受容性粒子16を記録媒体8に転写する際、当該記録媒体8が凹凸を有していても、その凹凸に多孔質層12Bが弾性変形により追随し易いことから、液体受容性粒子16を記録媒体8に密着させ易くなると考えられ、その結果、中間転写体12から記録媒体8への液体受容性粒子16の転写不良が抑制される。
【0024】
なお、「弾性」とは、例えば、100Pa以下の外力印加により変形しても、もとの形状に復元する性質を意味する。一方、「非弾性」とは、外力印加により変形したとき、もとの形状に復元しない性質を意味する。以下、同様である。
【0025】
多孔質層12Bを構成する粒子の平均粒径(球換算平均粒径)は、液体受容性粒子16の平均粒径(球換算平均粒径)よりも小さいことがよい。具体的には、多孔質層12Bを構成する粒子の平均粒径(球換算平均粒径)は、例えば、0.1μm以上20μm以下(望ましくは、1μm以上10μm以下)であることがよい。
これにより、多孔質層12Bを構成する粒子同士で構成される空隙(孔)の大きさが、液体受容性粒子16の大きさよりも小さくなり易く、多孔質層12Bへの液体受容性粒子16の埋まり込みが抑制される。また、液体受容性粒子16同士の間隙(及び液体受容性粒子16を構成する粒子同士の間隙)の毛管力よりも多孔質層12Bの毛管力が強くなり易くなることから、後述するように、粒子固定材14Dを保持し易くなる。
なお、球換算平均粒径は、例えば、マイクロトラックUPA法やコールターカウンター法で求められる値である。以下、同様である。
【0026】
多孔質層12Bの厚みは、例えば、1μm以上50μm以下(望ましくは、10μm以上30μm以下)であることがよい。
【0027】
多孔質層12Bの形成方法としては、例えば、粒子を分散させた塗布液を、基材12A上に塗布した後、乾燥させる手法が挙げられる。具体的に一例を挙げると、ポリエステルに粒径5μmのシリカを分散させた後、基材12Aとなるポリイミドフィルムに塗布し常温乾燥した後、280度で1分焼成することにより約10μmの多孔質層12Bが形成される。
ここで、多孔質層12Bは、一層構成に限られず、2層以上の層構成であってもよい。具体的には、例えば、図9に示すように、多孔質層12Bは、基材12A側から第1多孔質層121Bと、第2多孔質層122Bとが積層された2層以上の形態であってもよい。この形態では、第1多孔質層121Bを弾性粒子の集合体で構成し、第2多孔質層122Bを非弾性粒子の集合体で構成する等、複数の多孔質層間で、材料(粒子の材料)や、孔の大きさ(粒子の大きさ)等を異ならせることがよい。
【0028】
粒子固定材供給装置14は、粒子供給装置18より中間転写体12の搬送方向上流側で、且つクリーニング装置24より中間転写体12の搬送方向Xの搬送方向下流側に設けられている。この粒子固定材供給装置14は、中間転写体12上に粒子固定材14Dを供給して、該粒子固定材14Dによる層としての固定層14Aを形成する。固定層14Aは、該固定層14Aに供給される液体受容性粒子16を該固定層14Aに固定化する機能を有する層である。
【0029】
なお、この液体受容性粒子16が固定層14Aに「固定化」される、とは、固定層14A上に供給された液体受容性粒子16が、後述する均し装置17及び平坦化装置21によって位置及び表面を均された直後の状態から、少なくとも後述する転写装置22によって記録媒体8に転写されるまでの間、該中間転写体12上の表面における位置が固定されていることを示している。
そして、この「中間転写体12上の表面における位置が固定」とは、固定層14Aが設けられていない場合に比べて、液体受容性粒子16の中間転写体12の外周面における位置変動が抑制されていることを示している。具体的には、中間転写体12上に供給されて均し装置17及び平坦化装置21によって密度及び表面を均された後から、記録媒体8に転写されるまで(すなわち記録媒体8に転写される直前まで)の間における、中間転写体12の外周面における各液体受容性粒子16の位置変動が、該液体受容性粒子16の平均粒径の±50%以下の範囲内であることを示している。
【0030】
このため、この固定層14A上に粒子層16Aが形成されることによって、該粒子層16Aを構成する各液体受容性粒子16は、少なくとも、中間転写体12表面に供給されて且つ均し装置17及び平坦化装置21によって表面を均されてから記録媒体8に転写されるまでの間、該固定層14Aが設けられていない場合に比べて、位置変動の抑制された状態で保持(すなわち固定化)される。
【0031】
粒子固定材供給装置14による粒子固定材14Dの供給方法としては、粒子固定材14Dを内蔵した供給部材(図示省略)に粒子固定材14Dを供給し、該供給部材により中間転写体12表面に粒子固定材14Dを供給することで固定層14Aを形成する方法や、粒子固定材14Dを含浸した供給部材(図示省略)により中間転写体12表面に粒子固定材14Dを供給して固定層14Aを形成する方法等が挙げられる。
【0032】
本実施の形態では、中間転写体12が搬送方向へ搬送されると、粒子固定材供給装置14の供給ロール14Cにより中間転写体12表面に粒子固定材14Dが供給され、ブレード14Bで層厚が規定されて、中間転写体12上に固定層14Aが形成される。
【0033】
なお、粒子固定材供給装置14に、独立した液体供給システム(図示せず)より粒子固定材14Dを供給して、粒子固定材14Dの供給がとぎれないようにしてもよい。
【0034】
粒子固定材14Dは、中間転写体12上に供給されて固定層14Aとされたときに、該固定層14A上に供給される液体受容性粒子16を保持しつつ上述のように固定化する特性を有することが必須である。
【0035】
上記特性を有する粒子固定材14Dとしては、ジオール型のポリプロピレングリコール(分子量1000以上)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとを含むブロックポリマー等が挙げられる。なお、この粒子固定材14Dとしては、上記に挙げた材料の中から1種を単独で用いても良いし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
この粒子固定材14Dの粘度は、10mPa・s以上が望ましく、より望ましくは100mPa・s以上がさらに望ましい。
【0037】
粒子固定材14Dの粘度が10mPa・s未満であると、該粒子固定材14Dが中間転写体12上に供給されることで該中間転写体12上に形成された固定層14Aにおける、少なくとも液体受容性粒子16が固定層14A上に供給されてから記録媒体8に転写されるまでの間、該液体受容性粒子16を固定する機能が低下すると考えられる。一方、粒子固定材14Dの粘度が上記範囲内(10mPa・s以上)であれば、固定層14A上に供給された液体受容性粒子16が、少なくとも固定層14A上に供給されてから記録媒体8に転写されるまでの間、該固定層14Aが設けられていない構成に比べて、固定化された状態で固定層14Aに保持される。
【0038】
なお、粒子固定材14Dの粘度の測定は次のようにして行われる。レオマット115(Contraves製)を測定装置として用いて、得られたインクの粘度を測定した。その測定は、試料を測定容器に入れ、所定の方法で装置に装着し、測定温度は23℃、せん断速度は1400s−1の条件で行った。
【0039】
粒子固定材14Dの表面張力は、40mN/m以下が望ましく、さらに望ましくは35mN/m以下、より望ましくは30mN/m以下である。
この粒子固定材14Dの表面張力の調整方法としては、界面活性剤を添加することが挙げられる。
【0040】
粒子固定材14Dの表面張力が40mN/m以下であると、中間転写体12上に供給された粒子固定材14Dが、中間転写体12上において広がりやすく、層状に供給される。
【0041】
なお、表面張力の測定は次のようにして行われる。23±0.5℃、55±5%RHの環境において、ウイルヘルミー型表面張力計(協和界面科学株式会社製)を用いて、得られた試料の表面張力を測定した。
【0042】
また、粒子固定材14Dは、疎水性であることが望ましい。粒子固定材14Dが疎水性であると、該粒子固定材14Dによって形成された固定層14A中の水分が、該固定層14A上に固定された液体受容性粒子16によって吸液されることが抑制され、液体受容性粒子16に吐出されるインク滴20A中の水分の該液体受容性粒子16への吸液が阻害されることが抑制される。このため、画質劣化が抑制される。
【0043】
本実施の形態では、この疎水性とは、具体的には、水との溶解度パラメータ(SP値:cal/cm3)との差が13.4(cal/cm3)1/2(すなわち27.9MPa1/2)以上であることを示している。具体的には、水の溶解度パラメータは、23.4(cal/cm3)1/2(すなわち47.9MPa1/2)であることから、粒子固定材14Dの溶解度パラメータは、10(cal/cm3)1/2(すなわち20.5MPa1/2)以下であることが望ましい。
【0044】
溶解度パラメータ(SP値)の計算方法は「ポリマーハンドブック第4版John Wiley & Sons」VII680〜683に記載されている方法を用いる。溶解度パラメータ(SP値)とは凝集エネルギー密度、すなわち1分子の単位体積あたりの蒸発エネルギーを1/2乗したもので、単位体積あたりの極性の大きさを示す値である。
ポリマーの場合には、一般に次のsmallの式を用いて計算する。
【0045】
SP(cal/cm3)1/2=dΣG/M
M:ポリマーの単位分子量
d:密度
G:原子団・基に固有の定数
【0046】
主なポリマーの溶解度パラメータは同ポリマーハンドブック第4版のVII702〜711に記載されている。本実施の形態においては溶解度パラメータを上記smallの式にHoyの凝集エネルギー定数を代入して導かれる値を用いた。
【0047】
粒子固定材供給装置14によって中間転写体12上に固定層14Aを形成するためには、粒子固定材14Dが中間転写体12の多孔質層12Bに吸液されてもなお、当該多孔質層12B上に層状に形成される量で、粒子固定材14Dを供給することがよい。
そして、粒子固定材供給装置14によって中間転写体12上に形成される固定層14Aの厚みは、該固定層14A上に供給される液体受容性粒子16による粒子層16Aの厚みより薄い事が望ましく、2/5以下であることがより望ましい。具体的には、粒子層16Aの厚み(平均厚)が5μm程度であるとすると、固定層14Aの厚みは、1μm以上2μm以下であることが望ましい。
固定層14Aの厚みが1μm未満であると、中間転写体12上に形成された固定層14Aの塗布ムラが発生する場合がある。一方、固定層14Aの厚みが2μmを超えると、該固定層14Aに固定された液体受容性粒子16間に粒子固定材14Dが入りこんだ状態となる、液体受容性粒子16によるインク滴20Aの水分の吸液が阻害される場合がある。
【0048】
粒子供給装置18は、粒子固定材供給装置14によって粒子固定材14Dが中間転写体12上に供給されることで該中間転写体12上に形成された固定層14A上に、液体受容性粒子16を層状に形成して、該液体受容性粒子16による粒子層16Aを形成する。
【0049】
図1及び図2に示すように、粒子供給装置18は、内部に液体受容性粒子16を収容する容器18Cと、該容器18C内における中間転写体12と向い合う領域に該中間転写体12の表面から距離を隔てて配置された供給ロール18Aと、ブレード18Bと、ブラシ18Dと、を有している。また、粒子供給装置18には、供給管19Aを介して液体受容性粒子収納カートリッジ19が脱着可能に連結されている。液体受容性粒子16の構成については後述する。
【0050】
ブレード18Bは供給ロール18A表面に供給する液体受容性粒子16の層厚を規制する。なお、供給ロール18Aとして、後述するアニックスローラを用いる場合には、液体受容性粒子16の層厚(供給量)は、アニックスローラ表面の凹部のサイズ(容量)で定まる。このため、供給ロール18Aとしてアニックスローラを用いる場合には、ブレード18Bは、液体受容性粒子16をアニックスローラの凹部に充填する機能を有することとなる。
【0051】
容器18C内に収容されている液体受容性粒子16は、回転する供給ロール18Aの外周面に保持され、ブレード18Bによって保持量が規制された後に、中間転写体12上へ層状に供給される。このブレード18Bによって液体受容性粒子16の保持量が調整されることで、中間転写体12上に供給される液体受容性粒子16による粒子層16Aの層厚が調整される。
【0052】
供給ロール18Aは、ロール状とされており、本実施の形態では、図2中矢印Y方向に回転される。また、供給ロール18Aは、中間転写体12上に形成された固定層14Aに非接触となるように、該固定層14Aの表面から離間された状態で配置されている。このため、供給ロール18Aの外周面が固定層14Aを構成する粒子固定材14Dによって汚染されることが抑制される。
【0053】
この供給ロール18Aは、表面に液体受容性粒子16を保持して中間転写体12上の固定層14A上に該液体受容性粒子16を供給可能に構成されていればよい。この供給ロール18Aとしては、例えば、アニックスローラが好適に用いられる。
【0054】
アニックスローラとは、セラミックが溶射されたローラ表面をレーザで加工しピラミッド型や斜線、亀甲型などの形状を伏したローラである。このアニックスローラとしての供給ロール18Aの表面に付された凹みの部分に液体受容性粒子16が保持され、該供給ロール18Aの回転によって、保持された液体受容性粒子16が固定層14Aに供給される。この固定層14Aへの液体受容性粒子16の供給は、例えば、供給ロール18Aの重力方向下流側に中間転写体12が配置される構成とし、供給ロール18Aの外周面に保持された液体受容性粒子16が供給ロール18Aの回転によって中間転写体12に対向する領域に搬送されることで、該供給ロール18A上から中間転写体12の固定層14A上に落下させること行なえばよい。
【0055】
なお、さらに、図2に示すように、供給ロール18Aの中間転写体12と向かい合う領域、又は該領域より供給ロール18Aの回転方向(図2中、矢印Y方向)下流側にブラシ18Dを設けた構成としてもよい。そして、このブラシ18Dを、図示を省略する駆動部によって振動させる構成とし、ブラシ18Dの振動によって、供給ロール18Aの表面に保持された液体受容性粒子16を、中間転写体12の固定層14A上に供給する構成としてもよい。
このように、振動するブラシ18Dを設けることによって、供給ロール18Aの表面に保持されていた液体受容性粒子16の該供給ロール18A表面からの掻き取り効率が向上する。また、ブラシ18Dを振動させることによって、ブラシ18D自体への液体受容性粒子16の付着が抑制される。
【0056】
容器18C内の液体受容性粒子16は、供給ロール18A表面に保持され、該供給ロール18Aの表面には、例えば1層(粒子一個分の層、以下同様である)又は複数層の粒子層16Aが形成される。供給ロール18A表面に保持される液体受容性粒子16の層厚は、ブレード18Bによって調整される。この供給ロール18Aの表面に保持された液体受容性粒子16は、供給ロール18Aの回転によって中間転写体12表面と対向する領域に搬送されると、上述のように、ブラシ18Dの振動によって、供給ロール18A側から中間転写体12上の固定層14A上へと層状に供給される。これによって、液体受容性粒子16による粒子層16Aが固定層14A上に形成される。
【0057】
この中間転写体12上の固定層14A上に形成された粒子層16Aは、固定層14Aによって中間転写体12上に固定された状態となる。
【0058】
均し装置17は、固定層14A上に供給された液体受容性粒子16が、固定層14Aを介して中間転写体12の外周面に均一又は均一に近い密度で配置されるように均す装置である。均し装置17としては、上記機能を有する構成であればよいが、例えば、環状のベルト部材17Aの内周側に複数の駆動ロール17Bを配置し、該複数の駆動ロール17Bによってベルト部材17Aを張架搬送する構成とすればよい。そして、このベルト部材17Aの外周の一部の領域が、固定層14A上に供給された液体受容性粒子16に接するように、該ベルト部材17Aを予め配置することで、該液体受容性粒子16を均す構成とすればよい。このベルト部材17Aの外周と、中間転写体12上に固定層14Aを介して供給された液体受容性粒子16による粒子層16Aと、の距離は、予め粒子層16Aの層厚を定め、粒子層16Aの該定めた層厚に応じた距離となるように調整すればよい。
【0059】
平坦化装置21は、均し装置17によって均一又は均一に近い密度に均された粒子層16Aの表面を、インク滴20Aの吐出による画像形成に支障の出ない程度に均す装置である。この平坦化装置21としては、例えば、図示を省略するローラが上下動可能にバネ(図示省略)によって支えられた構成とし、該ローラによって粒子層16Aの表面を均す構成とすればよい。
【0060】
インクジェット記録ヘッド20は、イエロー色のインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッド20Y、マゼンタ色のインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッド20M、シアン色のインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッド20C、及び黒色のインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッド20Kを含んで構成されている。
【0061】
これらのインクジェット記録ヘッド20M、シアン色のインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッド20C、及び黒色のインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッド20K(総称する場合には、インクジェット記録ヘッド20と称する)は、圧電式(ピエゾ)、サーマル式などにより駆動される。
各色のインクジェット記録ヘッド20によって粒子層16A上にインク滴20Aが吐出されると、図5に示すように、粒子層16Aにインク滴20Aによる画像層16Bが形成される。
【0062】
詳細には、インクジェット記録ヘッド20から吐出されたインク滴20Aは、中間転写体12上の固定層14Aによって固定化されている液体受容性粒子16による粒子層16Aに打ち込まれ、インクの液体成分は液体受容性粒子16間の空隙及び液体受容性粒子16を構成する空隙に速やかに吸収されるともに、記録材(例えば顔料)も液体受容性粒子16(構成する粒子)表面或いは液体受容性粒子16を構成する粒子間の空隙に捕獲される。
【0063】
この場合、粒子層16Aの表面には、多くの記録材(例えば顔料)を捕獲(トラップ)することが望ましい。液体受容性粒子16内の粒子間空隙がフィルターの効果を発揮し、粒子層16A表面に記録材(例えば顔料)が捕獲されると共に、液体受容性粒子16内の粒子間空隙に記録材が捕獲され且つ固定される。
【0064】
インクジェット記録ヘッド20としては、記録媒体の幅と同等又はそれ以上の幅を持つライン型インクジェット記録ヘッドが望ましいが、従来のスキャン型のインクジェット記録ヘッドを用いて、中間転写体12上に形成された粒子層16Aに順次インク滴20Aを吐出して画像を形成してもよい。
【0065】
インクジェット記録ヘッド20から吐出されるインクについては、詳細を後述する。
【0066】
転写装置22は、転写ロール22Aと従動ロール22Bによって、インク滴20Aが吐出されることで画像の形成された粒子層16Aに、熱、又は熱及び圧力を加えることで、画像の形成された粒子層16Aを記録媒体8に転写する。例えば、中間転写体12上の粒子層16Aに熱を加えることによって粒子層16Aの粘度を増加させ、且つ圧力を加えた状態で記録媒体8を挟持搬送することで、粒子層16Aを記録媒体8へと付着させる。これによって、中間転写体12上の粒子層16Aは、記録媒体8へと転写される。
【0067】
定着装置25は、記録媒体8に転写された粒子層16Aを記録媒体8に定着させる。
定着装置25は、加熱源を内蔵する加熱ロール25Aと、加熱ロール25Aに対し対向して設けられた加圧ロール25Bと、を備えて構成されている。加熱ロール25A及び加圧ロール25Bは、記録媒体8を挟持搬送するように設けられている。
【0068】
加熱ロール25Aと加圧ロール25Bとによって、粒子層16Aの形成された記録媒体8が挟持搬送されることによって、加熱ロール25Aと加圧ロール25Bとの間の領域を通過する粒子層16Aを構成する有機樹脂が、ガラス転移点(Tg)以上に加熱されることにより軟化する(あるいは溶融する)と共に、圧力が加わることにより、記録媒体8に粒子層16Aが定着される。
【0069】
なお、本実施形態では加熱ロール25Aの表面を160℃に制御している。また、粒子層16Aに保持されたインク液体成分(溶媒や分散媒)は、転写・定着後もそのまま粒子層16A内に保持される。
【0070】
記録媒体8としては、浸透媒体(例えば、普通紙や、インクジェットコート紙等)、非浸透媒体(例えば、アート紙、樹脂フィルムなど)、いずれも適用される。また、記録媒体8は、これらに限らず、その他、半導体基板など工業製品も含まれる。また、記録媒体8としては、透明なOHP等を用いても良い。
【0071】
以下、本実施形態に係る記録装置10の画像形成の作用を説明する。
【0072】
本実施形態に係る記録装置10では、図1に示すように、中間転写体12が搬送方向(図1中、X方向)へ搬送されると、中間転写体12上に、粒子固定材供給装置14により粒子固定材14Dが供給されて固定層14Aが形成される(図3参照)。このとき、粒子固定材14Dが中間転写体12の多孔質層12Bの空隙に吸収された上で、中間転写体12上に当該粒子固定材14Dによる固定層14Aが形成される。つまり、中間転写体12の多孔質層12Bには、固定化材14Dが保持された状態となっている。
【0073】
次に、中間転写体12上に形成された固定層14A上には、粒子供給装置18から液体受容性粒子16が供給されて粒子層16Aが形成される(図4参照)。
【0074】
中間転写体12上に形成された粒子層16Aは、液体受容性粒子16を3層程度重ねた厚みであることが望ましい。粒子層16Aを所望の厚さに制御することで記録媒体8に転写される粒子層16Aの厚さが調整される。
【0075】
中間転写体12上に供給される粒子層16Aの厚さは、固定層14Aの厚みより厚いことが望ましい。具体的には、5μm以上100μm以下が望ましく、より望ましくは5μm以上50μm以下である。また、粒子層16A中の空隙率(即ち、液体受容性粒子間空隙率+液体受容性粒子内空隙率(トラップ構造))は、10%以上80%以下であることが望ましく、より望ましくは30%以上70%以下、さらに望ましくは40%以上60%以下である。
【0076】
この粒子層16Aの厚みは、均し装置17、及び平坦化装置21によって調整すればよい。ブレード18Bは供給ロール18A表面における液体受容性粒子16の層厚を規制する働きを持ち、例えば、供給ロール18Aへの圧力を変化させて、供給ロール18A表面の液体受容性粒子16の層厚を変化させる。例えば、供給ロール18A表面上の液体受容性粒子16層厚を例えば1層(液体受容性粒子16を1個分の層)とし、中間転写体12の表面上に形成される液体受容性粒子16層厚を概1層に形成する。また、ブレード18Bの押圧力を低く制御し、供給ロール18A表面上に形成される液体受容性粒子16層厚を増加させ、中間転写体12表面上に形成される液体受容性粒子層厚を増加させてもよい。このブレード18Bによる層厚規制と共に、均し装置17及び平坦化装置21よる均し処理を行なうことによって、層厚及び密度が均一又は均一に近い状態とされ、且つ表面をなされた粒子層16Aとされる。
【0077】
なお、粒子層16Aの厚みを調整する他の方法として、中間転写体12表面上に例えば1層の粒子層を形成する供給ロール18Aと中間転写体12の周速を1とした場合、供給ロール18Aの周速を速くして中間転写体12上に供給される液体受容性粒子16の数を増加させ、中間転写体12上の液体受容性粒子層厚を増加させる方法を用いても良い。
【0078】
固定層14Aに供給された液体受容性粒子16は、均し装置17及び平坦化装置21によって密度及び表面が均される。
【0079】
次に、密度及び表面を均された粒子層16A上には、インクジェット記録ヘッド20からインク滴20Aが吐出され、粒子層16Aに画像層16Bが形成される(図5参照)。
【0080】
詳細には、インクジェット記録ヘッド20から吐出されたインク滴20Aは、中間転写体12上の固定層14Aによって固定化されている液体受容性粒子16による粒子層16Aに打ち込まれ、インクの液体成分は液体受容性粒子16間の空隙及び液体受容性粒子16を構成する空隙に速やかに吸収されるともに、記録材(例えば顔料)も液体受容性粒子16(構成する粒子)表面或いは液体受容性粒子16を構成する粒子間の空隙に捕獲される。
【0081】
この場合、粒子層16Aの表面に多くの記録材(例えば顔料)を捕獲(トラップ)することが望ましい。液体受容性粒子16内の粒子間空隙がフィルターの効果を発揮し、粒子層16A表面に記録材(例えば顔料)をトラップすると共に、液体受容性粒子16内の粒子間空隙に捕獲(トラップ)され固定されることにより発現される。
【0082】
粒子層16Aの表面及び液体受容性粒子16内の粒子間空隙に記録材(例えば顔料)を確実にトラップさせるために、インクと液体受容性粒子16を反応させることにより、記録材(例えば顔料)を速やかに不溶化(凝集)させる方法を採用してもよい。具体的には、上記反応はインクと多価金属塩との反応や、pH反応型を応用してもよい。
【0083】
また、吐出されたインク滴20Aに含まれる顔料等の記録材は図5に示すように、粒子層16Aの1/3以上半分以下程度まで浸透し、その下には顔料等の記録材の浸透していない粒子層16Cが残存している。
【0084】
次に、中間転写体12上の、インク滴20Aの吐出された粒子層16Aは、中間転写体12と固定層14Aが介在した状態で、転写装置22による加熱・加圧により、記録媒体8上に転写される(図6参照)。このとき、固定層14Aは、中間転写体12表面に残存した状態であってもよいし、少なくともその一部が粒子層16Aと共に記録媒体8に転写されてもよい。粒子層16Aと共に記録媒体8に転写された固定層14Aは、画像層16Bの保護層としての働きを担うこととなる。なお、定着装置25による加熱・加圧定着で記録媒体8上に形成された粒子層16Aは、図6に示すように、インク滴20Aによる画像層16B上にインクを含まない粒子層16Cが存在するので、この粒子層16Cについても、画像層16Bの保護層としての働きを担うことがある。
【0085】
このことから、このため少なくとも定着後の液体受容性粒子16及び粒子固定材14Dは透明であることがよい。
【0086】
記録媒体8に転写された粒子層16Aは、定着装置25によって該記録媒体8に定着される。このとき、粒子層16C(固定層14Aも転写された場合には固定層14Aも含む)は、定着装置25によって加熱・加圧されるので表面を平らにされ、画像表面の光沢度を加熱・加圧によって調整される。
【0087】
また加熱によって液体受容性粒子16内部に捕獲されていたインク液体成分(溶媒や分散媒)の乾燥が促進される。そして、粒子層16Aに受容/保持されたインク液体成分(溶媒や分散媒)は、転写・定着後も粒子層16A内に保持され、自然乾燥にて除去される。上記の工程を経て、画像形成が終了する。
【0088】
中間転写体12については、液体受容性粒子16を記録媒体8に転写した後、中間転写体12上に残留した固定層14A、残留粒子16D、及び記録媒体8から離脱した紙粉等の異物は、クリーニング装置24によって中間転写体12から除去される。
【0089】
以上説明したように、本実施の形態の記録装置10では、粒子固定材供給装置14によって、中間転写体12上に液状の固定層14Aが形成され、この固定層14A上に液体受容性粒子16による粒子層16Aが形成される。このため、この固定層14Aが形成されない場合に比べて、中間転写体12上に供給された粒子層16Aを構成する各液体受容性粒子16の中間転写体12上における位置変動が抑制され、該固定層14Aが設けられていない場合に比べて、位置変動の抑制された状態で保持(すなわち固定化)される。
【0090】
一方で、液状の固定層14A上に液体受容性粒子16による粒子層16Aが形成されると、粒子層16Aを構成する液体受容性粒子16同士の間隙(及び液体受容性粒子16を構成する粒子同士の間隙)に、毛細管現象により固定層14Aの粒子固定材14Dが吸液され、固定層14Aが消失又は薄くなり、中間転写体12と粒子層16Aの液体受容性粒子16とが直接接触して密着してしまい、粒子層16Aを構成する各液体受容性粒子16の固定化が実現され難くなるばかりでなく、記録媒体8への転写不良(転写がなされない現象)が生じることがある。
【0091】
そこで、本実施の形態の記録装置10では、中間転写体12の外周面を多孔質層12Bで構成させる。この外周面が多孔質層12Bで構成された中間転写体10上に、固定化材14Dが当該多孔質層12Bに吸液(つまり保持)された状態で、固定化材14Dによる固定層14Aが形成される(図3参照)。この状態で、固定層14A上に液体受容性粒子16による粒子層16Aして、液体受容性粒子16同士の間隙(及び液体受容性粒子16を構成する粒子同士の間隙)により、固定層14Aの粒子固定材14Dが吸液されても、中間転写体12の多孔質層12Bに保持された固定化材14Dが固定層14Aに移行し、言い換えれば多孔質層12Bから固定化材14Dが固定層14Aに供給されることとなり、当該固定層14Aは維持され易くなる(図4参照)。つまり、中間転写体12上に粒子層16Aを形成しても、中間転写体12と粒子層16Aとの間に固定層14Aが介在した状態が維持され易くなる。
【0092】
このため、本実施の形態の記録装置10では、固定層14Aが消失又は薄層化され難く、中間転写体12と粒子層16Aとの間に介在した状態、つまり中間転写体12と粒子層16(それを構成する液体受容性粒子16の)とが直接密着していない状態で、当該粒子層14Aが記録媒体8に転写されることから(図6参照)、中間転写体から記録媒体への液体受容性粒子の転写不良が抑制される。
無論、本実施の形態の記録装置10では、固定層14Aが消失又は薄層化され難くいことから、粒子層16Aを構成する各液体受容性粒子16の固定化、即ち中間転写体12上に供給された粒子層16Aを構成する各液体受容性粒子16の中間転写体12上における位置変動も抑制される。
【0093】
以下、本実施形態で好適に適用する液体受容性粒子16について詳細に説明する。以下、符号は省略して説明する。
【0094】
液体受容性粒子16は、インクジェット記録ヘッド20から吐出されたインク滴20Aが当該粒子と接触したとき、インク成分を受容する。ここで、液体受容性とは、インク成分の少なくとも一部(少なくとも液体成分)を保持することを示す。
【0095】
この液体受容性粒子16は、母粒子を親水性有機粒子単独の粒子(一次粒子)で構成した形態であってもよく、母粒子を少なくとも親水性有機粒子が集合した複合体粒子で構成した形態あってもよい。
【0096】
液体受容性粒子16の具体的な構成としては、例えば、図10に示すように、親水性有機粒子201A単独の粒子(一次粒子)で構成した母粒子201と、母粒子201に付着された無機粒子202と、を有する液体受容性粒子200の形態が挙げられる。
また、図11に示すように、親水性有機粒子201Aと無機粒子201Bとが複合化された複合体粒子の母粒子201と、母粒子201に付着された無機粒子202と、を有する液体受容性粒子210の形態も挙げられる。なお、この複合体粒子の母粒子は各粒子間の空隙により空隙構造が形成される。
【0097】
ここで、母粒子を複合体粒子で構成する場合、親水性有機粒子と他の粒子との質量比率(親水性有機粒子:他の粒子)は、例えば、他の粒子が無機粒子の場合、5:1以上1:10以下の範囲であることが挙げられる。また、母粒子の粒径は、球換算平均粒径が例えば0.1μm以上50μm以下(望ましくは0.5μm以上25μm以下、より望ましくは1μm以上10μm以下)の範囲が挙げられる。
【0098】
また、母粒子を複合体粒子で構成する場合、そのBET比表面積(N2)が例えば1m2/g以上750m2/g以下の範囲であることが挙げられる。そして、母粒子を複合体粒子で構成する場合、複合体粒子は、例えば、粒子が半焼結状態で造粒されることで得られる。半焼結状態とは、粒子形状がある程度の残っており、当該粒子間で空隙を保持している状態を示す。なお、複合体粒子は、トラップ構造にインク液体成分がトラップされたとき、粒子の少なくとも一部が解離する、即ち複合体粒子が解体され、これを構成する粒子がばらけていてもよい。
【0099】
液体受容性粒子16(200、210)に含まれる親水性有機粒子201Aは、例えば、全単量体成分に対する極性単量体の比率が10mol%以上90mol%以下であり、望ましくは15mol%以上85mol%以下であり、さらに望ましくは30mol%以上80mol%以下である有機樹脂(以下、吸液性樹脂204と称する)を少なくとも含んで構成されている。親水性有機粒子201Aが吸液性樹脂204を含むことで、この吸液性樹脂204に吸液されたインク液体成分(例えば水、水性溶媒)が樹脂(ポリマー)の可塑剤として作用するため、液体受容性粒子16(200、210)自体が軟化して定着性に寄与する。
【0100】
この吸液性樹脂204は、弱吸液性樹脂であることが好適である。この弱吸液性樹脂とは、例えば液体として水を吸収する場合、樹脂質量に対して数%(≒5%)から数百%(≒500%)、望ましくは5%以上150%以下程度の吸液が可能な親液性樹脂を意味する。吸液性樹脂204としては、例えば、親水性単量体の単独重合体、或いは親水性単量体と疎水性単量体との両単量体から構成された共重合体で構成されるが、弱吸液性樹脂とするためには当該共重合体が望ましい。なお、単量体だけでなく、ポリマー/オリゴマー構造などのユニットをスタートに他のユニットを共重合させるグラフト共重合体やブロック共重合体でもよい。
【0101】
親水性有機粒子201Aの粒径は、その一次粒子を母粒子とする場合、球換算平均粒径が例えば0.1μm以上50μm以下(望ましくは0.5μm以上25μm以下、より望ましくは1μm以上10μm以下)の範囲が挙げられる。一方、複合体粒子を構成する場合、例えば球換算平均粒径で10nm以上30μm以下(望ましくは50nm以上10μm以下、より望ましくは0.1μm以上5μm以下)の範囲が挙げられる。
【0102】
親水性有機粒子201Aの液体受容性粒子16(200、210)全体に対する比率は、例えば質量比で75%以上望ましくは85%以上であり、より望ましくは90%以上99%以下)の範囲が挙げられる。
【0103】
次に、親水性有機粒子201Aと共に複合粒子を構成する無機粒子、及び母粒子に付着させる無機粒子202としては、非多孔質粒子、多孔質粒子のいずれを使用してもよい。無機粒子としては、無色、淡色或いは白色の粒子(例えば、コロイダル・シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ等)が挙げられる。複合体粒子を構成する無機粒子202の粒径は、例えば球換算平均粒径で10nm以上30μm以下(望ましくは50nm以上10μm以下、より望ましくは0.1μm以上5μm以下)の範囲が挙げられる。一方、母粒子に付着させる無機粒子の粒径は、例えば球換算平均粒径で10nm以上1μm以下(望ましくは10nm以上0.1μm以下、より望ましくは10nm以上0.05μm以下)の範囲が挙げられる。
【0104】
また、液体受容性粒子16(200、210)には、インクの成分を凝集又は増粘させる成分を含むことが望ましい。この機能を有する成分は、上記吸液性樹脂204の官能基として含んでもよいし、化合物として含んでもよい。当該官能基としては、例えば、カルボン酸、多価金属カチオン、ポリアミン類等などが挙げられる。
【0105】
この液体受容性粒子16(200、210)には、粒子保持剤が含まれていることがよい。粒子保持剤は、上記吸液性樹脂204に含ませてもよいし、親水性有機粒子201Aと共に粒子保持剤の粒子を複合化して含ませてもよい。
【0106】
この粒子保持剤としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;及びそれらの変性物などが挙げられる。これらの中でも結晶性化合物を適用することがよい。
【0107】
以下、上記実施形態で適用されるインクについて詳細に説明する。
【0108】
インクは、例えば、水性インクが挙げられる。水性インクとしては、特定に制限はなく、周知の構成のもの、例えば、記録材に加え、インク溶媒(例えば、水、水溶性有機溶媒)を含むインクが挙げられる。
なお、記録材としては、色材(例えば顔料や染料)の他、蛍光体、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、磁性体、半導体、光触媒、その他有機、無機の電子材材料なども挙げられる。
【符号の説明】
【0109】
10 記録装置
12 中間転写体
12A 基材
12B 多孔質層
14D 粒子固定材
14 粒子固定材供給装置
16 液体受容性粒子
18 粒子供給装置
20 インクジェット記録ヘッド
22 転写装置
25 定着装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも被固定層形成面が多孔質層で構成された中間転写体と、
液滴を受容する液体受容性粒子を固定する液状の固定層を、前記中間転写体の被固定層形成面上に形成する形成手段と、
前記液体受容性粒子を前記固定層上に供給する供給手段と、
前記固定層上に供給された前記液体受容性粒子に液滴を吐出する液滴吐出手段と、
前記液滴の吐出された前記液体受容性粒子を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記液体受容性粒子を該記録媒体に定着する定着手段と、
を有することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記多孔質層が、粒子の集合体で構成された層である請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記多孔質層を構成する粒子の粒径が、前記液体受容性粒子の粒径よりも小さい請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記多孔質層を構成する粒子が、弾性粒子である請求項2又は3に記載の記録装置。
【請求項1】
少なくとも被固定層形成面が多孔質層で構成された中間転写体と、
液滴を受容する液体受容性粒子を固定する液状の固定層を、前記中間転写体の被固定層形成面上に形成する形成手段と、
前記液体受容性粒子を前記固定層上に供給する供給手段と、
前記固定層上に供給された前記液体受容性粒子に液滴を吐出する液滴吐出手段と、
前記液滴の吐出された前記液体受容性粒子を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記液体受容性粒子を該記録媒体に定着する定着手段と、
を有することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記多孔質層が、粒子の集合体で構成された層である請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記多孔質層を構成する粒子の粒径が、前記液体受容性粒子の粒径よりも小さい請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記多孔質層を構成する粒子が、弾性粒子である請求項2又は3に記載の記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−56856(P2011−56856A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210798(P2009−210798)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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