説明

記録装置

【課題】被記録媒体に着弾したインクに対して電磁波を照射させてインクを硬化させる際の弊害を考慮した記録装置を提供すること。
【解決手段】記録装置(1)は、記録ヘッド(5)と、被記録媒体(S)と前記記録ヘッドとの相対的な位置関係を変える第1移動手段(15)と、前記記録ヘッドと反対側に設けられ、インクを硬化させる電磁波(W)を照射可能な第1照射部16と、被記録媒体と前記第1照射部との相対的な位置関係を変える第2移動手段(19)と、を備え、前記被記録媒体は前記電磁波を透過する透過性を有しており、前記第1移動手段によって、被記録媒体における前記記録ヘッドのノズルから吐出されたインクが着弾した箇所と、前記記録ヘッドのノズルとが、対向する関係から対向しない関係となり、該対向しない関係となった被記録媒体における前記インクが着弾した箇所に対して、前記第1照射部が照射する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッドからインクを吐出し、被記録媒体に着弾したインクに対して電磁波を照射して前記インクを化学反応によって硬化させる記録装置に関する。
本願において、記録装置には、インクジェットプリンター、ラインプリンター、複写機、ファクシミリ等の種類が含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
従来では、特許文献1および特許文献2に示す如く、インクジェットプリンターは、記録ヘッドと、該記録ヘッドの近傍に設けられた紫外線照射部と、を備えていた。このうち、前記記録ヘッドは、用紙に対して紫外線硬化型インクを吐出するノズルを有していた。
また、前記紫外線照射部は、用紙を基準とした前記記録ヘッドと同じ側に設けられていた。
【0003】
図7に示すのは、従来技術における記録ヘッド41と紫外線照射部43との関係を示す正面断面図である。
図7に示す如く、従来技術のプリンター40は、記録ヘッド41と、紫外線照射部43とを備えていた。このうち、記録ヘッド41は、媒体支持部47に支持された用紙46に対してノズル42から紫外線硬化型インク45を吐出するように設けられていた。また、紫外線照射部43は、記録ヘッド41の移動方向両側に近接して設けられていた。またさらに、記録ヘッド41と一体に移動することができるように構成されていた。そして、記録ヘッド41がインク45を吐出しながら移動した際、進行方向後側の紫外線照射部43が、用紙46におけるインク45が着弾した箇所に対して紫外線44を照射し、インク45を硬化させる構成であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−104108号公報
【特許文献2】特開2004−314304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、紫外線照射部43が記録ヘッド41に近接して設けられているため、照射された紫外線44の一部がインク45の表面で反射し、反射した一部の紫外線44が記録ヘッド41のノズル42に当たる虞がある。係る場合、ノズル42において紫外線硬化型インク45が硬化し、ノズル42が詰まる虞がある。尚、特許文献2では、記録ヘッドと紫外線照射部との間につばを設けて、反射した紫外線をつばが遮蔽する構成ではあるが、インクの表面が平らであるとは限らないし、反射する際、紫外線は乱反射する。従って、つばを設けるだけでは十分ではなかった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、被記録媒体に着弾したインクに対して電磁波を照射させてインクを硬化させる際の弊害を考慮した記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様の記録装置は、被記録媒体に対してノズルからインクを吐出し記録する記録ヘッドと、被記録媒体および前記記録ヘッドの少なくとも一方を移動させ、被記録媒体と前記記録ヘッドとの相対的な位置関係を変える第1移動手段と、被記録媒体を基準とした前記記録ヘッドと反対側に設けられ、前記インクを硬化させる電磁波を照射可能な第1照射部と、被記録媒体および前記第1照射部の少なくとも一方を移動させ、被記録媒体と前記第1照射部との相対的な位置関係を変える第2移動手段と、を備え、前記インクと前記電磁波との関係は、前記電磁波の照射により前記インクに化学反応が生じることによって前記インクが硬化する関係であり、前記被記録媒体は前記電磁波を透過する透過性を有しており、前記第1移動手段によって前記記録ヘッドと被記録媒体とが相対的に移動することにより、被記録媒体における前記記録ヘッドのノズルから吐出されたインクが着弾した箇所と、前記記録ヘッドのノズルとが、対向する関係から対向しない関係となり、該対向しない関係となった被記録媒体における前記インクが着弾した箇所に対して、前記第1照射部が照射する構成であることを特徴とする。
【0008】
ここで、電磁波によって化学変化が生じて硬化するインクの例として、光硬化型インクを挙げることができる。「光硬化型インク」とは、光の照射を受けて硬化(固化)するインクをいう。光には、紫外線、可視光線、赤外線が含まれる。例えば、紫外線の照射を受けて硬化(固化)する紫外線硬化(固化)型インク(UVインク)がある。インクの溶媒が揮発して硬化(固化)する染料インクや顔料インクと比較して、硬化(固化)する際の容積(体積)変化が小さい特徴がある。技術的思想としては、電磁波によってエネルギーが付与されることによりインク中の樹脂等の成分が化学反応を起こし硬化(固化)する構成であればよい。紫外線によって硬化(固化)するインクに限らない。
また、「前記被記録媒体は前記電磁波を透過する透過性を有しており」とは、少しでも前記電磁波を透過することができる性質を有していることをいう。インクが着弾した側を表とした場合、裏から照射してインクを硬化させることができる関係であればよい。一般的に透明な被記録媒体は、特殊な処理が施されていない限り前記透過性を有している。また、透明に限らず、不透明の被記録媒体であっても、前記透過性を有していればよい。
【0009】
本態様によれば、前記対向しない関係のときに、前記第1照射部が、前記反対側から被記録媒体における前記インクが着弾した箇所を照射する。従って、電磁波が前記記録ヘッドのノズルに照射されない。その結果、ノズルにおいてインクが硬化する虞がない。
また、前記被記録媒体は透過性を有しているので、前記表のインクに対して裏(前記反対側)から電磁波を照射して前記表のインクを硬化させることができる。
【0010】
例えば、被記録媒体が前記透過性を有する、薄い紙等の半透明な媒体、完全に無色透明なフィルム、透明なカラーフィルムである場合、前記反対側から電磁波をインクに照射させてインクを硬化させることができる。従って、係る場合に、上記構成は非常に有効である。尚、半透明な媒体、透明な媒体でなくとも、ある程度の電磁波を透過することができる媒体であれば、同様の作用効果を得ることができる。
また、被記録媒体が前記第1照射部にインク滴およびインクミストが付着することを防止するバリアの役割を果たす。その結果、前記第1照射部が汚れる虞がない。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記第1照射部が前記照射するとき、前記第1照射部と被記録媒体とが相対的に移動する構成であり、記録データ上における前記照射しようとする箇所の単位面積当たりのインクが着弾する量に応じて、前記第1照射部の照射量を変化させる構成であり、前記第1照射部と被記録媒体とが相対的に移動することに伴い、前記着弾する量が減少したとき、前記照射量を減少させ、前記着弾する量が増加したとき、前記照射量を増加させることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、第1の態様と同様の作用効果に加え、前記第1照射部と被記録媒体とを相対的に一定の速度で移動させながら照射量を前記単位面積当たりのインクが着弾する量の多少に応じて変える。従って、その箇所のインクを硬化させるために必要な分だけの電磁波をエネルギーとして照射することができる。その結果、単位面積当たりのインクが着弾する量の多い箇所と少ない箇所とにおいて同じようにインクを硬化させることができ硬化ムラがない。
また、単位面積当たりのインクが着弾する量が少ない箇所に対して、無駄に多い量の電磁波を照射することを防止することができるので、所謂、省エネにもなる。
またさらに、前記無駄に多い量の電磁波を照射することによる弊害として、例えば、インクが収縮する量が大きくなることを防止することができる。
【0013】
本発明の第3の態様は、第1の態様において、前記第1照射部が前記照射するとき、前記第1照射部と被記録媒体とが相対的に移動する構成であり、記録データ上における前記照射しようとする箇所の単位面積当たりのインクが着弾する量に応じて、前記第1照射部と被記録媒体との相対速度を変化させる構成であり、前記第1照射部と被記録媒体とが相対的に移動することに伴い、前記着弾する量が減少したとき、前記相対速度を上げ、前記着弾する量が増加したとき、前記相対速度を下げることを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、第1の態様と同様の作用効果に加え、照射量を所定の量としたままで前記第1照射部と被記録媒体との相対速度を前記単位面積当たりのインクが着弾する量の多少に応じて変える。従って、その箇所のインクを硬化させるために必要な分だけの電磁波をエネルギーとして照射することができる。その結果、上記第2の態様と同様の作用効果を得ることができる。
【0015】
本発明の第4の態様は、第1から第3のいずれか一の態様において、被記録媒体を基準とした前記記録ヘッドと同じ側に設けられ、前記インクを硬化させる電磁波を照射可能な第2照射部をさらに備え、該第2照射部が、被記録媒体における前記インクが着弾した箇所を照射した後、前記第1照射部が、被記録媒体における前記インクが着弾した箇所を照射する構成であることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、第1から第3のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、前記同じ側から電磁波を照射してインクを仮硬化(ピニング)させた後、前記反対側から電磁波を照射してインクを本硬化させることができる。例えば、着弾したインクの上にさらに重ねてインクを吐出する場合、着弾したインクの表面は仮硬化(ピニング)による半乾き(完全に硬化していない状態)の方が本乾き(完全に硬化した状態)より定着性がよいので、係る場合に前記構成は有効である。
【0017】
また、係る場合、上側にインクが重ねて吐出されているため第2照射部からの電磁波は下側のインクまで届かない虞があり、前記第2照射部からの電磁波では下側のインクを本硬化させることができない虞がある。このとき、下側のインクに電磁波を確実に届かせることができるのは第1照射部のみであるので、第1照射部からの電磁波によって下側のインクを本硬化させることができ効率的にもよい。
【0018】
本発明の第5の態様は、第4の態様において、前記記録ヘッドは、被記録媒体に対して画像を記録するための第1類インクを吐出する第1ノズルを有する第1記録ヘッドと、下地用の第2類インクを吐出する第2ノズルを有する第2記録ヘッドと、を備えており、透明な被記録媒体に対して、前記第1ノズルによって前記第1類インクを吐出し、被記録媒体における前記第1類インクが着弾した箇所を、前記第2照射部が照射し、前記第1類インクが着弾した被記録媒体に対して、前記第2ノズルによって前記第2類インクを吐出し、被記録媒体における前記第2類インクが着弾した箇所を、前記第2照射部が照射し、被記録媒体における前記第1類インクが着弾した箇所を、前記第1照射部が照射する記録モードを有する構成であることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、第4の態様と同様の作用効果に加え、前記記録モードの場合に、前記第1照射部および前記第2照射部を有する構成は特に有効である。つまり、前述したように、第2類インクの定着性をよくすることができる。
また、第2類インクが着弾した後に、前記第1照射部によって第1類インクを本硬化させることができる。
【0020】
本発明の第6の態様は、第1から第5のいずれか一の態様において、インクの種類に応じて、前記第1照射部が前記照射する電磁波の量を変える構成であることを特徴とする。
本態様によれば、第1から第5のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、インクの種類に応じて硬化に必要な電磁波の照射量が異なる場合であっても、照射量を必要な量に調整して硬化ムラ無く均一に硬化させることができる。
【0021】
インクの種類毎に成分が異なるが、例えば、黒色インクの黒い色素は光を吸収するため、照射される光がインク滴における表面に近い箇所で吸収されてしまい、表面から遠い内部が硬化しにくい傾向がある。また、酸化チタンを使用した白色インクや、アルミニウムを使用したメタリック色系インクは、金属を使用している。そのため、照射される紫外線等の光をインク滴における表面に近い箇所で反射してしまい、表面から遠い内部が硬化しにくい傾向がある。これらの傾向を考慮して、インクの種類に応じて、照射量を調整することによって、硬化ムラ無く均一に硬化させることができる。
また、例えば、インクが着弾する側を表としたときの表側および裏側の両方から前記紫外線等の光の照射量を調整して照射する場合、一方のみから照射する場合と比較して、よりムラ無く内部まで光を送ることができ、特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施例のプリンターの概略を示す側面図。
【図2】(A)(B)は本実施例の記録部の概略を示す正面断面図および平面図。
【図3】(A)〜(C)は本実施例の記録部の動作を示す正面断面図。
【図4】本実施例の記録部の制御を示す図。
【図5】(A)(B)は本実施例の概念を示す正面断面図。
【図6】他の実施例のラインプリンターの概略を示す側面図。
【図7】従来技術における記録ヘッドと紫外線照射部との関係を示す正面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すのは、本発明に係る記録装置の一例であるプリンター1の概略を示す側面図である。
図1に示す如く、プリンター1は、媒体送り手段2と、記録部4と、排出手段の一例である巻き取り手段12と、を備えている。このうち、媒体送り手段2は、被記録媒体(S)の一例であるロール媒体としての透明フィルムSを送り方向下流側(Y軸の矢印方向)へ送ることができるように設けられている。ここで、本実施例では、被記録媒体(S)は、インクを硬化させる電磁波(W)の一例である紫外線Wを透過させる透過性を有していることを前提とする。
【0024】
媒体送り手段2は、具体的には、送り出し手段3と、ローラー対14とを備えている。このうち、送り出し手段3は、ロール状に巻かれた透明フィルムSを解いて送り方向下流側へ送り出すことができるように構成されている。また、ローラー対14は、解かれた透明フィルムSをさらに下流側の記録部4へ送ることができるように構成されている。
また、記録部4は、媒体送り手段2より下流側において、透明フィルムSに対してインクを吐出して記録を実行することができるように設けられている。
【0025】
具体的には、記録部4は、記録ヘッドである第1記録ヘッド5および第2記録ヘッド7と、少なくとも一部が後述する電磁波(W)を透過することができる透過性を有する媒体支持部9と、を備えている。このうち、第1記録ヘッド5における媒体支持部9と対向する面には、インクを吐出するノズルである第1ノズル6が設けられている。同様に、第2記録ヘッド7における媒体支持部9と対向する面には、第2ノズル8が設けられている。
【0026】
また、第1記録ヘッド5および第2記録ヘッド7は、第1キャリッジ10に設けられている。そして、第1キャリッジ10は、第1キャリッジ移動手段15である第1ガイド軸13および第1駆動モーターM1の動力によって、透明フィルムSの幅方向Xへ移動可能に構成されている。尚、第1キャリッジ10は制御部20によって制御されて移動する構成である。
またさらに、媒体支持部9は、透明フィルムSを支持し、透明フィルムSと第1記録ヘッド5および第2記録ヘッド7との間の距離を所定の距離に保つことができるように設けられている。尚、Z軸方向は、媒体支持部9と第1記録ヘッド5および第2記録ヘッド7とが対向する方向である。また、鉛直方向でもある。
【0027】
また、媒体支持部9の下方には、インクを硬化させることができる電磁波(W)の一例である紫外線Wを例えばLEDで照射可能な第1照射部16が設けられている。第1照射部16は、第2キャリッジ18に設けられている。そして、第2キャリッジ18は、第2キャリッジ移動手段19である第2ガイド軸17および第2駆動モーターM2の動力によって、透明フィルムSの幅方向Xへ移動可能に構成されている。尚、第2キャリッジ18は制御部20によって制御されて移動する構成である。また、前述した媒体支持部9は、記録ヘッド(5、7)と反対側である下方から第1照射部16が透明フィルムSに対して紫外線Wを照射することができるように、少なくとも一部が透過性を有している。例えば、前記一部を透明に構成してもよい。
【0028】
また、巻き取り手段12は、記録部4より下流側において、記録された透明フィルムSを巻き取ることができるように設けられている。
尚、ロール媒体の一例として透明フィルムSについて説明するが、透明フィルムSに限らない。布(反物)や紙でもよいのは勿論である。また、被記録媒体(S)は、ロール状のものに限らない。シート状の所謂、単票紙でもよい。
続いて、第1記録ヘッド5、第2記録ヘッド7、第1照射部16等についてより詳しく説明する。
【0029】
図2(A)(B)に示すのは、本実施例の記録部4の概略を示す正面断面図および平面図である。このうち、図2(A)は送り方向下流側から上流側へ向かってみた正面断面図である。一方、図2(B)は図2(A)の平面図である。
図2(A)(B)に示す如く、媒体支持部9上の透明フィルムSを基準とした一方(上方)には第1キャリッジ10が設けられている。また、他方(下方)には第2キャリッジ18が設けられている。
【0030】
第1キャリッジ10には、前述した第1記録ヘッド5および第2記録ヘッド7に加え、インクを硬化させることができる電磁波(W)の一例である紫外線Wを照射可能な第2照射部11a〜11c(11)が設けられている。本実施例では、第2照射部11は、第1記録ヘッド5と第2記録ヘッド7との間に一つ、第1記録ヘッド5と第2記録ヘッド7との外側の両側に二つの計三つ設けられている。そして、これらが一体となって、幅方向Xへ移動するように構成されている。
【0031】
また、前述したように、第2キャリッジ18に設けられた第1照射部16も同様に幅方向Xへ移動するように構成されている。
第1記録ヘッド5には、透明フィルムSに対して第1類インク(L1)を吐出する第1ノズル6が設けられている。本実施例では、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等のインクL1を吐出する。一方、第2記録ヘッド7には、第2類インク(L2)を吐出する第2ノズル8が設けられている。本実施例では、白インクL2を吐出する。
【0032】
ここで、「第1類インク」は、主に画像(文字、図形、模様等)の情報を形成するインクである。第2類インク(L2)と併用する場合は、見る人を上側としたとき、第2類インク(L2)の層の上となる位置に吐出されるインクである。具体的には、有彩色のインクや、白以外の無彩色のインクである。例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等のインクを挙げることができる。また、「第2類インク」は、白、メタル色等の下地として用いられるインクである。下地用の「第2類インク」を用いることにより、下地の上に吐出される「第1類インク」の発色をよくすることができる。
尚、「第1類インク」のみを単独で用いてもよいのは勿論である。
【0033】
また、本実施例のプリンター1は、第1記録モードと、第2記録モードとを有している。このうち、第1記録モードとは、先に第2類インク(L2)を吐出してから、その上に第1類インク(L1)を吐出して記録をするモードをいう。第1記録モードは、被記録媒体(S)が紙等であって、記録した面(インクを吐出した側の面)から、文字、模様、写真等を見る場合に用いる記録モードである。
一方、第2記録モードとは、先に第1類インク(L1)を吐出してから、その上に第2類インク(L2)を吐出して記録をするモードをいう。第2記録モードは、被記録媒体(S)が透明のフィルム等であって、記録した面(インクを吐出した側の面)と反対側の面から、文字、模様、写真等を見る場合に用いる記録モードである。
【0034】
尚、第1照射部16の送り方向Yにおける位置は、本実施例では、第1記録ヘッド5および第2記録ヘッド7の位置と同じにしたがこれに限らない。同じ位置または第1記録ヘッド5および第2記録ヘッド7より送り方向下流側であればよい。この条件であれば、透明フィルムSに着弾したインクに対して紫外線Wを照射してインクを硬化させることができるからである。
続いて、第1キャリッジ10の動作と第2キャリッジ18の動作との関係について説明する。
【0035】
図3(A)〜(C)に示すのは、本実施例の記録部4の動作を示す正面断面図である。また、図4に示すのは、本実施例の記録部4の制御を示す図である。図4について説明しながら、図3(A)〜(C)について説明する。尚、図3(A)〜(C)では理解を容易にするために第1キャリッジ10の図示を省略する。
図4に示す如く、ステップS1では、制御部20が、現在選択されている記録モードが第2記録モードか否かを判定する。第2記録モードが選択されていると判定した場合、第2記録モードを実行するべく、ステップS2へ進む。一方、否と判定した場合、第1記録モードを実行するべく、ステップS7へ進む。
【0036】
ステップS2では、図3(A)に示す如く、第1キャリッジ10を移動させながら、透明フィルムSに対して、第1記録ヘッド5の第1ノズル6から第1類インク(L1)としてのシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等のインクL1を吐出する。そして、ステップS3へ進む。
ステップS3では、透明フィルムSに着弾したシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等のインクL1を仮硬化させるべく、第1記録ヘッド5より移動方向後側の第2照射部11b(11)によって紫外線Wを照射する。
【0037】
ここで、仮硬化とは、完全に硬化(本硬化)させる前の中途半端に硬化した状態をいう。着弾したインクの表面が完全に硬化して完全に乾いた場合と比較して、半乾きの方が、重ねてインクを吐出した場合に上側のインクの定着性をよくすることができるからである。
尚、紫外線Wの照射量は、単位面積当たりのインクが着弾した量の多少に応じて、調整してもよい。具体的には、着弾した量が多い場合は照射量を多くし、着弾した量が少ない場合は照射量を少なくする。着弾した量が多いか少ないかは、記録データに基づいて対応する箇所におけるインクの吐出量から制御部20が判断することができる。
そして、ステップS4へ進む。
【0038】
ステップS4では、図3(B)に示す如く、第2記録ヘッド7の第2ノズル8から第2類インク(L2)としての白インクL2を吐出する。そして、ステップS5へ進む。
ステップS5では、白インクL2を硬化させるべく、第2記録ヘッド7より移動方向後側の第2照射部11c(11)によって紫外線Wを照射する。そして、ステップS6へ進む。
【0039】
ステップS6では、図3(C)に示す如く、第2キャリッジ18を等速度で移動させながら、第1照射部16によって紫外線Wを照射し、仮硬化されたシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックを本硬化させる。この際、紫外線Wの照射量は、前述したステップS3と同様、単位面積当たりのインクが着弾した量の多少に応じて、調整してもよい。具体的には、着弾した量が多い場合は照射量を多くし、着弾した量が少ない場合は照射量を少なくする。着弾した量が多いか少ないかは、記録データに基づいて対応する箇所におけるインクの吐出量から制御部20が判断することができる。
【0040】
その結果、単位面積当たりのインクが着弾する量の多い箇所と少ない箇所とにおいて同じようにインクを硬化させることができ硬化ムラがない。
また、単位面積当たりのインクが着弾する量が少ない箇所に対して、無駄に多い量の紫外線Wを照射することを防止することができるので、所謂、省エネにもなる。
またさらに、前記無駄に多い量の紫外線Wを照射することによる弊害として、例えば、インクが収縮する量が大きくなることを防止することができる。
【0041】
尚、第1照射部16を一定の速度で移動させながら、単位面積当たりのインクが着弾する量の多少に応じて、照射量を調整することにより、単位量当たりのインクに対する照射量を略同じとするように構成したが、これに限らない。照射量を調整せずに、第1照射部16の透明フィルムSに対する相対的な速度を調整してもよい。係る場合、単位面積当たりのインクが着弾する量の多い箇所に対しては、第1照射部16が低速で通過する。一方、前記多い箇所より少ない箇所に対しては、第1照射部16が前記多い箇所を通過するときの速度より高速で通過するように構成する。これにより、単位量当たりのインクに対する照射量を略同じとすることができる。
【0042】
さらに、インクの種類に応じて、単位量当たりのインクに対する照射量を調整してもよい。例えば、黒色インクの黒い色素は光を吸収するため、照射される光がインク滴における表面に近い箇所で吸収されてしまい、表面から遠い内部が硬化しにくい傾向がある。また、酸化チタンを使用した白色インクや、アルミニウムを使用したメタリック色系インクは、金属を使用しているため、照射される紫外線W等の光をインク滴における表面に近い箇所で反射してしまい、表面から遠い内部が硬化しにくい傾向がある。これらの傾向を考慮して、インクの種類に応じて、照射量を調整することによって、硬化ムラ無く均一に硬化させることができる。
ステップS7では、前述した第1記録モードを実行する。ここでは詳しい説明を省略する。その後、シーケンスを終了する。
【0043】
続いて、第1照射部16を設けた技術的思想についてより詳しく説明する。
図5(A)(B)に示すのは、本実施例における発明の概念を示す正面断面図である。理解を容易にするため、必要最小限の構成のみを図示する。
図5(A)に示す如く、第1記録ヘッド5と前記透過性を有する被記録媒体(S)とが相対的に移動する。本実施例では、第1記録ヘッド5が第1キャリッジ移動手段15によって移動する。
【0044】
そして、第1記録ヘッド5が移動しながら、第1ノズル6からインクL1を吐出する。第1記録ヘッド5が移動することにより、インクL1が着弾した箇所と、第1ノズル6の位置とが、対向した関係から対向しない関係となる。そして、該対向しない関係となった前記インクL1が着弾した箇所に対して、第1照射部16が電磁波(W)を照射し、着弾したインクL1を硬化させる。
【0045】
この際、電磁波(W)が第1ノズル6に照射されないので、第1ノズル6においてインクL1が電磁波(W)によって硬化する虞がない。また、これにより、第1ノズル6が詰まる虞もない。
またさらに、第1照射部16は、被記録媒体(S)を基準とした第1記録ヘッド5が設けられている側と反対側に設けられているため、第1照射部16がインク滴やインクミストによって汚れる虞がない。言い換えると、第1記録ヘッド5と第1照射部16との間にある被記録媒体(S)が所謂、バリアの役割を果たすので、第1照射部16がインクL1によって汚れる虞がない。また、これにより、第1照射部16の照射量が低下する虞もない。
【0046】
また、第1照射部16は、第1記録ヘッド5と反対側に設けられており、第1記録ヘッド5と衝突しない。そのため、照射部が記録ヘッドと同じ側のみに設けられている構成(従来技術の構成)と比較して、インクL1が着弾した箇所に対して早いタイミングで対向することができる。従って、早いタイミングでインクL1に電磁波(W)を照射してインクL1を硬化させることができる。
【0047】
その結果、インクL1が吐出されてから硬化するまでの時間を短くすることができ、着弾したインクL1のドット径が広がってしまうことを低減することができる。着弾後において、ドット径が広がりやすいインクと広がりにくいインクとの差を小さくすることができ、ドット径のバラツキを低減することができる。
また、インクL1が吐出されてから硬化するまでの時間を短くすることにより、その間に生ずる異臭等の影響を低減することができる。
【0048】
またさらに、制御部20が、記録データ上における照射しようとする箇所の単位面積当たりのインクL1が着弾する量に応じて、第1照射部16の照射量を記録データに基づいて変化させる制御を行う。ここで、インクL1が着弾する量は、インクL1を吐出する量より判断することができる。第1照射部16と被記録媒体(S)との相対的な位置関係が変わるように移動することにより、第1照射部16が被記録媒体(S)に対して照射する箇所が移動する。この移動に伴い、制御部20は、前記着弾する量が減少したとき、照射量を減少させ、前記着弾する量が増加したとき、照射量を増加させるように制御する。
【0049】
その結果、前述したように、単位面積当たりのインクL1が着弾する量の多い箇所と少ない箇所とにおいて同じようにインクL1を硬化させることができ硬化ムラがない。
また、単位面積当たりのインクL1が着弾する量が少ない箇所に対して、無駄に多い量の電磁波(W)を照射することを防止することができるので、所謂、省エネにもなる。
またさらに、前記無駄に多い量の電磁波(W)を照射することによる弊害として、例えば、インクL1が収縮する量が大きくなることを防止することができる。
【0050】
尚、前述したように、照射量を調整せずに、第1照射部16の被記録媒体(S)に対する相対的な速度を調整してもよい。係る場合、単位面積当たりのインクL1が着弾する量の多い箇所に対しては、第1照射部16が低速で通過し、前記多い箇所より少ない箇所に対しては、第1照射部16が前記多い箇所を通過するときの速度より高速で通過することにより、単位量当たりのインクL1に対する照射量を略同じとすることができる。
さらに、前述したように、インクL1の種類に応じて、単位量当たりのインクL1に対する照射量を調整してもよい。
【0051】
また、本実施例では、媒体支持部9が被記録媒体(S)を支持する構成としたが、媒体支持部9が無い構成でもよい。例えば、一のロールと他のロールとの間で被記録媒体(S)をピンと張りながら、被記録媒体(S)を送る構成でもよい。
またさらに、第1記録ヘッド5からカラーインクL1を吐出し、カラーインクL1を第1照射部16によって硬化させる構成について説明したが、カラーインクL1に限らない。第2記録ヘッド7から白インクL2を吐出し、白インクL2を第1照射部16によって硬化させる構成でもよい。
【0052】
本実施例の記録装置であるプリンター1は、被記録媒体(S)に対してノズルである第1ノズル6からインクL1を吐出し記録する記録ヘッドである第1記録ヘッド5と、被記録媒体(S)および第1記録ヘッド5の少なくとも一方を移動させ、被記録媒体(S)と第1記録ヘッド5との相対的な位置関係を変える第1移動手段である第1キャリッジ移動手段15と、被記録媒体(S)を基準とした第1記録ヘッド5と反対側に設けられ、インクL1を硬化させる電磁波(W)の一例である紫外線Wを照射可能な第1照射部16と、被記録媒体(S)および第1照射部16の少なくとも一方を移動させ、被記録媒体(S)と第1照射部16との相対的な位置関係を変える第2移動手段である第2キャリッジ移動手段19と、を備え、インクL1と紫外線Wとの関係は、紫外線Wの照射によりインクL1に化学反応が生じることによってインクL1が硬化する関係であり、被記録媒体(S)は紫外線Wを透過する透過性を有しており、第1キャリッジ移動手段15によって第1記録ヘッド5と被記録媒体(S)とが相対的に移動することにより、被記録媒体(S)における第1記録ヘッド5のノズルから吐出されたインクL1が着弾した箇所と、第1記録ヘッド5のノズルとが、対向する関係から対向しない関係となり、該対向しない関係となった被記録媒体(S)におけるインクL1が着弾した箇所に対して、第1照射部16が照射する構成であることを特徴とする。
【0053】
また、本実施例において、第1照射部16が前記照射するとき、第1照射部16と被記録媒体(S)とが相対的に移動する構成であり、記録データ上における前記照射しようとする箇所の単位面積当たりのインクL1が着弾する量に応じて、第1照射部16の照射量を変化させる構成であり、第1照射部16と被記録媒体(S)とが相対的に移動することに伴い、前記着弾する量が減少したとき、前記照射量を減少させ、前記着弾する量が増加したとき、前記照射量を増加させることを特徴とする。
尚、記録データ上における前記照射しようとする箇所の単位面積当たりのインクL1が着弾する量に応じて、第1照射部16と被記録媒体(S)との相対速度を変化させる構成であり、第1照射部16と被記録媒体(S)とが相対的に移動することに伴い、前記着弾する量が減少したとき、前記相対速度を上げ、前記着弾する量が増加したとき、前記相対速度を下げる構成としてもよい。
【0054】
またさらに、本実施例において、被記録媒体(S)を基準とした第1記録ヘッド5と同じ側に設けられ、インクL1を硬化させる紫外線Wを照射可能な第2照射部11をさらに備え、第2照射部11が、被記録媒体(S)におけるインクL1が着弾した箇所を照射した後、第1照射部16が、被記録媒体(S)におけるインクL1が着弾した箇所を照射する構成であることを特徴とする。
【0055】
また、本実施例において、記録ヘッドは、被記録媒体(S)に対して画像を記録するための第1類インク(L1)を吐出する第1ノズル6を有する第1記録ヘッド5と、下地用の第2類インク(L2)を吐出する第2ノズル8を有する第2記録ヘッド7と、を備えており、透明な被記録媒体である透明フィルムSに対して、第1ノズル6によって第1類インク(L1)を吐出し、透明フィルムSにおける第1類インク(L1)が着弾した箇所を、第2照射部11b(11)が照射し、第1類インク(L1)が着弾した透明フィルムSに対して、第2ノズル8によって第2類インク(L2)を吐出し、透明フィルムSにおける第2類インク(L2)が着弾した箇所を、第2照射部11c(11)が照射し、透明フィルムSにおける第1類インク(L1)が着弾した箇所を、第1照射部16が照射する記録モードである第2記録モードを有する構成であることを特徴とする。
またさらに、本実施例において、インクL1、L2の種類に応じて、第1照射部16が前記照射する紫外線Wの量を変える構成であることを特徴とする。
【0056】
[他の実施例]
図6に示すのは、他の実施例のラインプリンター30の概略を示す側面図である。
図6に示す如く、他の実施例の記録部36は、送り方向上流側から下流側へ向かって順に、第1記録ヘッド31と、第2記録ヘッド32と、第3記録ヘッド33とを有している。第1記録ヘッド31〜第3記録ヘッド33は、被記録媒体(S)の幅方向Xに長尺であり、被記録媒体(S)の幅より広い範囲に対してそれぞれのノズル(31a〜33a)からインクL1、L2を吐出可能に設けられている。このうち、第1記録ヘッド31は、ノズル31aから白インクL2を吐出する。また、第2記録ヘッド32は、ノズル32aからシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等のインクL1を吐出する。またさらに、第3記録ヘッド33は、ノズル33aから白インクL2を吐出する構成である。
【0057】
また、被記録媒体(S)を基準とした第1記録ヘッド31〜第3記録ヘッド33が設けられている側と反対側には、インクL1、L2を硬化させる紫外線Wを照射可能な第1照射部34a、34b(34)が、例えば二つ設けられている。二つの第1照射部34a、34b(34)は、前述した実施例と同様に、第2キャリッジ移動手段19によって移動可能に設けられている。
【0058】
尚、前述した実施例と異なる点は、前述した実施例では幅方向Xに移動可能に構成されていたが、他の実施例では送り方向Yに移動可能に構成されている点である。これは、他の実施例では、第1照射部34は、第1記録ヘッド31〜第3記録ヘッド33と同様に幅方向Xに長尺であり、被記録媒体(S)の幅より広い第1記録ヘッド31〜第3記録ヘッド33のインク吐出可能な範囲に対して紫外線Wを照射することができるように設けられており、幅方向Xに移動する必要がないからである。また、後述するように記録モードに応じて位置を変えるためである。またさらに、必要に応じて、インクL1、L2の単位量当たりに対する照射量を調整するためでもある。技術的思想としては、被記録媒体(S)と第1照射部34との相対的な位置関係が変わるように被記録媒体(S)および第1照射部34の少なくとも一方を移動させ、被記録媒体(S)におけるインクL1、L2が着弾した箇所に対して紫外線Wを照射させることができればよい。従って、被記録媒体(S)が第1照射部34に対して移動すればよく、第1照射部34が移動しない構成でもよい。
【0059】
一方、第1記録ヘッド31〜第3記録ヘッド33が設けられている側には、インクL1、L2を硬化させる紫外線Wを照射可能な第2照射部35a〜35c(35)が三つ設けられている。三つの第2照射部35a〜35c(35)は、第1記録ヘッド31〜第3記録ヘッド33それぞれの送り方向下流側に設けられている。三つの第2照射部35a〜35c(35)は、それぞれ上流側の記録ヘッド(31〜33)から吐出されたインクL1、L2が着弾した箇所に対して紫外線Wを照射するように構成されている。
尚、その他の構成については、前述した実施例と同様であるので、同じ符号を用いることとし、その説明は省略する。
【0060】
前述した第1記録モードの場合、被記録媒体(S)に対して第1記録ヘッド31から白インクL2を吐出し、第1照射部34a(34)および第2照射部35a(35)の少なくとも一方によって紫外線Wを照射し、白インクL2を仮硬化させる。その後、第2記録ヘッド32からシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等のインクL1を吐出し、第1照射部34b(34)および第2照射部35b(35)によって紫外線Wを照射し、白インクL2およびシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等のインクL1を本硬化させる。
【0061】
一方、前述した第2記録モードの場合、透明フィルムSに対して第2記録ヘッド32からシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等のインクL1を吐出し、第1照射部34a(34)および第2照射部35b(35)の少なくとも一方によって紫外線Wを照射し、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等のインクL1を仮硬化させる。その後、第3記録ヘッド33から白インクL2を吐出する。そして、第2照射部35c(35)から紫外線Wを白インクL2に対して照射して硬化させる。同様に、第1照射部34b(34)から紫外線Wをシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等のインクL1に対して照射して本硬化させる。
【0062】
この際、前述した実施例と同様、第1照射部34が記録ヘッド(31〜33)と反対側から紫外線Wを照射するので、前述した実施例と同様の作用効果を得ることができる。
尚、第1照射部34を二つ設けたが、二つに限らない。一つでもよいし、三つでもよい。他の実施例において、二つ設けた理由は、記録モードに応じて位置を移動させ、表裏の両側から紫外線Wを適した量だけ照射してより確実にムラ無く硬化させるためである。
単位面積当たりの着弾するインクL1、L2の量に応じて照射量を調整することや、インクL1、L2の種類に応じて照射量を調整することは、前述した実施例と同様である。その説明は省略する。
【0063】
他の実施例の記録装置であるラインプリンター30は、被記録媒体(S)に対してノズル32aからインクL1を吐出し記録する記録ヘッドである第2記録ヘッド32と、被記録媒体(S)および第2記録ヘッド32の少なくとも一方を移動させ、被記録媒体(S)と第2記録ヘッド32との相対的な位置関係を変える第1移動手段である媒体送り手段2と、被記録媒体(S)を基準とした第2記録ヘッド32と反対側に設けられ、インクL1を硬化させる電磁波(W)の一例である紫外線Wを照射可能な第1照射部34と、被記録媒体(S)および第1照射部34の少なくとも一方を移動させ、被記録媒体(S)と第1照射部34との相対的な位置関係を変える第2移動手段である媒体送り手段2と、を備え、インクL1と紫外線Wとの関係は、紫外線Wの照射によりインクL1に化学反応が生じることによってインクL1が硬化する関係であり、被記録媒体(S)は紫外線Wを透過する透過性を有しており、媒体送り手段2によって第2記録ヘッド32と被記録媒体(S)とが相対的に移動することにより、被記録媒体(S)における第2記録ヘッド32のノズル32aから吐出されたインクL1が着弾した箇所と、第2記録ヘッド32のノズル32aとが、対向する関係から対向しない関係となり、該対向しない関係となった被記録媒体(S)におけるインクL1が着弾した箇所に対して、第1照射部34が照射する構成であることを特徴とする。
【0064】
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0065】
1 プリンター、2 媒体送り手段(他の実施例では第1移動手段、第2移動手段)、
3 送り出し手段、4 記録部、5 第1記録ヘッド、6 第1ノズル、
7 第2記録ヘッド、8 第2ノズル、9 媒体支持部、10 第1キャリッジ、
11 第2照射部、12 巻き取り手段、13 第1ガイド軸、14 ローラー対、
15 第1キャリッジ移動手段(第1移動手段)、16 第1照射部、
17 第2ガイド軸、18 第2キャリッジ、
19 第2キャリッジ移動手段(第2移動手段)、20 制御部、
30 (他の実施例の)ラインプリンター、31 第1記録ヘッド、31a ノズル、
32 第2記録ヘッド、32a ノズル、33 第3記録ヘッド、33a ノズル、
34 第1照射部、35 第2照射部、36 記録部、
40 (従来技術の)プリンター、41 記録ヘッド、42 ノズル、
43 紫外線照射部、44 紫外線、45 インク、46 用紙、47 媒体支持部、
L1 カラーインク(画像形成用の第1類インク)、
L2 白インク(下地処理用の第2類インク)、M1 第1駆動モーター、
M2 第2駆動モーター、
S 透明フィルム(電磁波を透過させる透過性を有する被記録媒体)、
W 紫外線(電磁波)、X 幅方向、Y 送り方向、Z 鉛直方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体に対してノズルからインクを吐出し記録する記録ヘッドと、
被記録媒体および前記記録ヘッドの少なくとも一方を移動させ、被記録媒体と前記記録ヘッドとの相対的な位置関係を変える第1移動手段と、
被記録媒体を基準とした前記記録ヘッドと反対側に設けられ、前記インクを硬化させる電磁波を照射可能な第1照射部と、
被記録媒体および前記第1照射部の少なくとも一方を移動させ、被記録媒体と前記第1照射部との相対的な位置関係を変える第2移動手段と、を備え、
前記インクと前記電磁波との関係は、前記電磁波の照射により前記インクに化学反応が生じることによって前記インクが硬化する関係であり、
前記被記録媒体は前記電磁波を透過する透過性を有しており、
前記第1移動手段によって前記記録ヘッドと被記録媒体とが相対的に移動することにより、被記録媒体における前記記録ヘッドのノズルから吐出されたインクが着弾した箇所と、前記記録ヘッドのノズルとが、対向する関係から対向しない関係となり、
該対向しない関係となった被記録媒体における前記インクが着弾した箇所に対して、前記第1照射部が照射する構成である記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、前記第1照射部が前記照射するとき、前記第1照射部と被記録媒体とが相対的に移動する構成であり、
記録データ上における前記照射しようとする箇所の単位面積当たりのインクが着弾する量に応じて、前記第1照射部の照射量を変化させる構成であり、
前記第1照射部と被記録媒体とが相対的に移動することに伴い、前記着弾する量が減少したとき、前記照射量を減少させ、前記着弾する量が増加したとき、前記照射量を増加させることを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項1に記載の記録装置において、前記第1照射部が前記照射するとき、前記第1照射部と被記録媒体とが相対的に移動する構成であり、
記録データ上における前記照射しようとする箇所の単位面積当たりのインクが着弾する量に応じて、前記第1照射部と被記録媒体との相対速度を変化させる構成であり、
前記第1照射部と被記録媒体とが相対的に移動することに伴い、前記着弾する量が減少したとき、前記相対速度を上げ、前記着弾する量が増加したとき、前記相対速度を下げることを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の記録装置において、被記録媒体を基準とした前記記録ヘッドと同じ側に設けられ、前記インクを硬化させる電磁波を照射可能な第2照射部をさらに備え、
該第2照射部が、被記録媒体における前記インクが着弾した箇所を照射した後、前記第1照射部が、被記録媒体における前記インクが着弾した箇所を照射する構成である記録装置。
【請求項5】
請求項4に記載の記録装置において、前記記録ヘッドは、被記録媒体に対して画像を記録するための第1類インクを吐出する第1ノズルを有する第1記録ヘッドと、
下地用の第2類インクを吐出する第2ノズルを有する第2記録ヘッドと、を備えており、
透明な被記録媒体に対して、前記第1ノズルによって前記第1類インクを吐出し、
被記録媒体における前記第1類インクが着弾した箇所を、前記第2照射部が照射し、
前記第1類インクが着弾した被記録媒体に対して、前記第2ノズルによって前記第2類インクを吐出し、
被記録媒体における前記第2類インクが着弾した箇所を、前記第2照射部が照射し、
被記録媒体における前記第1類インクが着弾した箇所を、前記第1照射部が照射する記録モードを有する構成である記録装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の記録装置において、インクの種類に応じて、前記第1照射部が前記照射する電磁波の量を変える構成である記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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