説明

記録装置

【課題】構成が簡易であると共に、記録媒体の搬送精度が高く維持される記録装置を提供する。
【解決手段】記録装置100は、主走査方向に沿って延び、キャリッジ101による主走査方向への走査をガイドすると共に回転駆動される駆動側搬送ローラ106を有している。また、記録装置100は、駆動側搬送ローラ106に当接する方向へ付勢されて配置された従動側搬送ローラ107を有している。そして、駆動側搬送ローラ106と従動側搬送ローラ107との間に記録媒体が挟まれた状態で、駆動側搬送ローラ106が回転駆動されることで、記録媒体の搬送が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラによる記録媒体の搬送と記録ヘッドの走査を伴って記録を行う記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、低コストに提供可能であることから、記録ヘッドが記録媒体の搬送方向に直交する方向に走査しながら記録を行うシリアルスキャン形式の記録装置が、家庭用の記録装置等の用途に多く採用されている。記録ヘッドは、記録媒体の搬送方向と直交する方向に移動するキャリッジに搭載される。記録媒体の搬送機構としては、定位置にて回転駆動される主搬送ローラと、その主搬送ローラに押圧されるピンチローラと、を備え、それらのローラ間に記録媒体を挟持して搬送する構成が知られている。
【0003】
特許文献1には、キャリッジを移動可能にガイドするガイド軸としての機能をピンチローラが兼有する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−135769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている記録装置では、構成が簡略化されていることから、製造コストが低く抑えられる。しかしながら、ピンチローラがキャリッジのガイド軸としても機能しているので、記録ヘッドを搭載したキャリッジがピンチローラに対して摺動することになる。このとき、キャリッジの重量がピンチローラに作用して、記録媒体の搬送に影響を与えるおそれがある。キャリッジの移動に伴って、記録ヘッドおよびキャリッジ等の自重がピンチローラにかかる位置は変動し、ピンチローラに対して回転負荷が作用する位置が変動する。そのため、ピンチローラの回転が不安定になり、記録媒体の搬送の精度が低下して、記録画像の品質が低下するおそれがある。
【0006】
また、特許文献1には、主搬送ローラの回転軸とピンチローラの回転軸とを歯車によって係合させ、主搬送ローラの回転駆動力をピンチローラへ伝達する構成も開示されている。これによって、主搬送ローラを回転駆動させる際には、ピンチローラも同時に回転駆動させている。この場合には、主搬送ローラの外周面における周速とピンチローラの外周面における周速とを高精度に一致させなければ、記録媒体を精度良く搬送することはできない。しかし、それらの周速を高精度に一致させるためには、主搬送ローラやピンチローラを含む部品の極めて高い寸法精度が要求されることになり、それを実現することは難しく、記録装置の製造コストの上昇も招くことになる。
【0007】
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、記録媒体の搬送精度が高く維持されながら、構成が簡略化された記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、記録媒体に記録を行う記録手段を有し、記録媒体を搬送する搬送方向に交差する主走査方向へ前記記録手段を走査させながら前記記録手段によって記録媒体に記録を行う記録装置であって、前記主走査方向に沿って延び、前記記録手段による前記主走査方向への走査をガイドすると共に回転駆動されるガイド部材兼用駆動ローラと、前記ガイド部材兼用駆動ローラに当接する方向へ付勢されて移動可能に配置された当接部材とを有し、前記ガイド部材兼用駆動ローラと前記当接部材との間に記録媒体が挟まれた状態で、前記ガイド部材兼用駆動ローラが回転駆動されることで、記録媒体の搬送が行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、記録媒体の搬送精度を高く維持しながら、記録装置の構成を簡略化することができる。従って、小型化された記録装置を提供することができる。また、記録装置の製造コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一実施形態に係る記録装置の斜視図である。
【図2】図1の記録装置における搬送駆動部について示した側面図である。
【図3】図1の記録装置における側面から見た断面図である。
【図4】図1の記録装置においてキャリッジが取外された状態を側面から見て示した断面図である。
【図5】第一実施形態の別の実施形態に係る記録装置の駆動側搬送ローラの軸受け部分を拡大して示した側面図である。
【図6】本発明の第二実施形態に係る記録装置のキャリッジ及び搬送ローラ対の周辺について拡大して模式的に示した側面図である。
【図7】(a)は図6の記録装置によって記録が行われる際の、記録ヘッドの走査の速度について示したグラフであり、(b)は搬送ローラの回転速度について示したグラフである。
【図8】本発明の第三実施形態に係る記録装置のキャリッジ及び搬送ローラ対の周辺について拡大して模式的に示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
(第一実施形態)
図1に、本発明の第一実施形態に係る記録装置100の斜視図を示す。図1に示されるように、記録装置100は、キャリッジ101及び筐体としてのフレーム113を有している。記録装置100内における参照符号105は、スタックされた記録媒体P(不図示)を1枚ずつ分離させて給紙する給紙手段である。Hは、記録媒体上にインクを吐出する記録手段としての記録ヘッドである。キャリッジ101には、記録ヘッドHが着脱可能に搭載される。参照符号102は、キャリッジを矢印Xの主走査方向に移動させるためのキャリッジモータであり、参照符号103は、キャリッジモータ102の駆動力をキャリッジ101に伝達するキャリッジベルトである。参照符号104は、フレーム113に取り付けられたスリットスケールであり、キャリッジ101に搭載された不図示の位置検知センサとの協働により、キャリッジの移動位置を検知する。記録ヘッドHは、インクタンクと別体に構成してもよく、またインクタンクと一体に構成してもよい。さらに記録ヘッドHは、キャリッジ101の少なくとも一部と一体的に構成してもよい。
【0012】
参照符号106は、主走査方向と交差(本例の場合は、直交)する副走査方向(矢印Pb)の記録媒体Pの搬送を司る駆動側搬送ローラ(ガイド部材兼用駆動ローラ)を示している。参照符号108は、駆動側搬送ローラ106に取り付けられたスリットホイールを示している。駆動側搬送ローラ106は、記録装置100のフレーム113(本体)の定位置に、回転可能に支持されている。駆動側搬送ローラ106は、主走査方向に沿って延び、キャリッジ101の主走査方向の移動をガイドすると共に回転駆動される。スリットホイール108は、位置検知センサ109との協働により、駆動側搬送ローラ106の回転位置を検知している。
【0013】
図2に、記録装置100における搬送駆動部の側面図を示す。図2において、スリットホイール108及び位置検知センサ109は、不図示としている。図2の参照符号201は、駆動側搬送ローラ106を回転駆動するための搬送モータを示し、参照符号202は、搬送ベルトを示している。搬送ベルト202は、搬送モータ201の回動力を駆動側搬送ローラに取り付けられた搬送ローラプーリ203を介して駆動側搬送ローラ106に伝達する。搬送ローラプーリ203は、搬送アイドラギア204と排紙搬送ギア205を介して排紙搬送用ローラ110へ動力を伝達するギア部を有している。
【0014】
図3に、記録装置100における搬送駆動部及び記録ヘッドの周辺についての断面図を示す。また、図4に、記録装置100を図3とは逆側から見たときの搬送駆動部及び記録ヘッドの周辺についての断面図を示す。図4では、キャリッジ101が取外されている。図3において、参照符号107は、主走査方向(同図中紙面の表裏方向)に延びて、駆動側搬送ローラ106の回転に従動して回転する従動側搬送ローラ(当接部材、従動ローラ)である。従動側搬送ローラ107は、駆動側搬送ローラ106に対向する位置において、駆動側搬送ローラ106に対して当接および離間する方向へ移動可能に取り付けられ、かつ駆動側搬送ローラ106に当接する方向に付勢されている。従動側搬送ローラ107は、それと駆動側搬送ローラ106との間に挟まれる記録媒体の厚さの変化に応じて移動することができる。参照符号302は、従動側搬送ローラ107を支持する従動搬送ローラホルダである。搬送ローラ押圧手段としての搬送ローラ押圧ばね301は、従動搬送ローラホルダ302を介して、従動側搬送ローラ107を駆動側搬送ローラ106に押圧させる方向に付勢している。記録媒体の搬送の際には、これらの駆動側搬送ローラ106及び従動側搬送ローラ107によって記録媒体Pが狭持されるように、従動側搬送ローラ107には記録媒体Pへ押圧力が与えられる。駆動側搬送ローラ106と従動側搬送ローラ107との間に記録媒体が挟まれた状態で、駆動側搬送ローラ106が回転駆動されることで、記録媒体の搬送が行われる。記録ヘッドHの搬送方向下流側には、排紙ローラ110とこれに対向する位置に従動ローラ111が配置されている。不図示の排紙ローラ押圧ばねにより、排紙ローラ110が従動ローラ111を押圧するように、排紙ローラ110には押圧力が与えられている。このような構成により、記録媒体Pが搬送され、記録装置100から排紙される。
【0015】
次に、記録装置100によるキャリッジ101の支持のための構成について説明する。キャリッジ101には、駆動側搬送ローラ106に当接し、凹状の形状を有するキャリッジガイド部101−aが形成されている。本実施形態では、キャリッジガイド部101−aが、キャリッジ101における記録媒体と対向する位置に、主走査方向に沿って形成されている。このキャリッジガイド部101−aの内部に駆動側搬送ローラ106の一部が入り込むことで、キャリッジ101の主走査方向への移動を許容しながら、キャリッジ101と駆動側搬送ローラ106とが係合する。このようにキャリッジ101と駆動側搬送ローラ106とが係合することで、キャリッジ101が主走査方向に移動をガイドされる。キャリッジガイド部101−aは、駆動側搬送ローラ106と当接する2つの当接部101−a1、101−a2を有している。キャリッジ101は、当接部101−a1、101−a2で、自重により図3の下方への力を作用させるので、駆動側搬送ローラ106とキャリッジガイド部101−aとの間に隙間の生じないように当接する。これにより、キャリッジが走査する際のキャリッジの姿勢が安定化される。
【0016】
また、キャリッジ101には、サポート部101−bが形成されている。また、記録装置100におけるフレーム113には、サポートレール112が形成されている。そして、キャリッジ101におけるサポート部101−bが、サポートレール112に摺動可能に取り付けられている。サポート部101−bがサポートレール112に取り付けられることで、キャリッジ101によるフレーム113に対する駆動側搬送ローラ106の回転軸回りの回転が規制されながら、キャリッジ101がフレーム113に支持される。
【0017】
上記のような構成の記録装置100によって記録が行われる。記録装置100において、給紙の際には、記録媒体Pは、給紙手段105により給紙され、駆動側搬送ローラ106と従動側搬送ローラとでPd方向へ搬送される。そして、記録媒体Pがプラテン114上に到達したときに記録ヘッドHによりインクが吐出されて記録媒体Pに画像が記録される。記録が行われて画像が形成された記録媒体Pは、上述の排紙ローラ110、従動ローラ111により排紙される。
【0018】
本実施形態では、記録装置100は、記録ヘッドHが内部のインクを記録媒体に吐出して記録を行うインクジェット記録装置である。記録ヘッドH内のインクは、毛管現象によって吐出口にてメニスカスを形成することにより、安定に保持される。記録ヘッドにおけるインク流路のそれぞれには、不図示の発熱素子(電気熱変換体)が備えられている。インクが吐出される際には、発熱素子に通電させ、その発熱素子から熱エネルギーを発生させることにより、インク流路内のインクが加熱されて膜沸騰により発泡させ、そのときの発泡エネルギーによって吐出口からインク滴が吐出される。記録ヘッドHを搭載したキャリッジ101は、キャリッジ101についての駆動力伝達機構により、主走査方向に往復動される。記録装置100は、記録ヘッドHを搭載したキャリッジ101を主走査方向に移動させつつ、記録媒体Pのプリント領域に向かってインクを吐出させる記録動作と、その記録幅に対応する距離だけ用紙Pを副走査方向に搬送する搬送動作とを繰り返す。これによって、記録媒体P上に順次画像が記録される。
【0019】
本実施形態では、記録ヘッドHによって記録媒体にインクが吐出されて記録が行われる際には、駆動側搬送ローラ106がキャリッジ101の走査をガイドしている。そのため、キャリッジ101は、駆動側搬送ローラ106に当接するように配置されている。記録媒体の搬送の際には、記録ヘッドHを含むキャリッジ101の自重等によって、駆動側搬送ローラに荷重がかかった状態で駆動側搬送ローラ106が回転する。そのため、記録媒体の搬送のために駆動側搬送ローラ106が回転する際には、キャリッジ101と駆動側搬送ローラ106との間に摺動負荷が生じる。
【0020】
このとき、仮に、従動側搬送ローラがキャリッジ101の走査をガイドするためのガイド部材としてキャリッジ101と摺動する場合には、記録ヘッド及びキャリッジの自重による摺動負荷が従動側搬送ローラの回転に影響する可能性がある。これにより、搬送ローラ対による搬送の長さが変化してしまう可能性がある。このため、搬送の精度が低下してしまい、これによって記録で得られる記録画像の品質が低下してしまう可能性がある。
【0021】
これに対して本実施形態では、駆動側搬送ローラ106がキャリッジ101の走査をガイドしている。従って、キャリッジ101及び記録ヘッドHの自重による摺動負荷が生じても、摺動負荷が作用するのは駆動側搬送ローラ106に対してである。駆動側搬送ローラ106は、接続されている搬送モータ201によって回転駆動されており、記録媒体を搬送させる際の搬送長さや搬送速度は、搬送モータ201の回転駆動によって制御される。従って、本実施形態では、記録媒体の搬送の際に摺動負荷が駆動側搬送ローラ106に対して生じたとしても、そのときの摺動負荷に係わらず、搬送モータ201によって制御された搬送速度により制御された分の搬送長さだけ記録媒体が搬送される。このように、発生するキャリッジ101と駆動側搬送ローラ106との間の摺動負荷は、駆動側搬送ローラ106への搬送モータ201からの回転駆動力により相殺される。従って、記録媒体Pの搬送には摺動負荷が影響せず、このときの摺動負荷は、記録媒体Pの搬送量を変化させる外乱因子にはならない。また、従動側搬送ローラ107に対しても上記の摺動負荷が伝達されて作用したとしても、それに係わらず記録媒体は搬送モータ201の駆動によって所定の搬送速度により所定の搬送長さの分の搬送が行われる。従って、従動側搬送ローラ107に対しても同様に、記録媒体Pの搬送を変化させる因子にはならない。従って、搬送の精度が高く保たれ、記録によって得られる記録画像の品質が高く維持される。
【0022】
また、このときに駆動側搬送ローラと従動側搬送ローラとを同時に回転駆動させる必要もないので、記録装置を構成する部材の寸法精度を特別高める必要もない。従って、記録装置の製造コストが高く嵩んでしまうことを抑えることができる。また、駆動側搬送ローラと従動側搬送ローラとを同時に回転駆動させる必要がないので、従動側搬送ローラを駆動側搬送ローラに付勢した状態で、従動側搬送ローラを駆動側搬送ローラに対して移動可能に取り付けることができる。従って、より広範囲な厚さを有する記録媒体に対して記録を行うことができる。
【0023】
ここで、本実施形態では、駆動側搬送ローラ106にスリットホイール108が取り付けられている。従って、駆動側搬送ローラ106及び従動側搬送ローラ107による搬送を、フィードバック制御によって調節することができる。そのため、仮に、キャリッジ101及び記録ヘッドHの自重による駆動側搬送ローラ106とキャリッジ101との間の摺動負荷以外の他の要因による外乱が作用したとしても、その外乱に応じて搬送長さを調節することができる。従って、搬送長さが一定のまま、記録媒体の搬送を行うことができる。
【0024】
駆動側搬送ローラ106は、SUS材もしくは、鉄材にメッキが施された金属製のパイプシャフトによって形成されている。本実施形態の駆動側搬送ローラ106は、表面に凸凹がなく、平滑に形成されている。すなわち、例えばインクジェット記録装置の搬送機構で近年使用されているような、セラミック粒子を塗着させたローラのように表面に凹凸が形成されているわけではない。このように、駆動側搬送ローラ106の表面が平滑に形成されているので、キャリッジ101が、駆動側搬送ローラ106の外周に沿って摺動しながら走査を行うことを可能としている。
【0025】
これにより、構成上、駆動側搬送ローラ106における記録媒体Pを搬送するために記録媒体に接する面と、駆動側搬送ローラ106におけるキャリッジ101との当接面とを同一とすることができる。従って、駆動側搬送ローラ106を、キャリッジ101の走査の際のガイド部材とすることができる。また、駆動側搬送ローラ106とキャリッジ101との間の潤滑は、グリス等の液体潤滑を用いず、キャリッジ101の摺動面にPOM(ポリアセタール)を使用し、固体潤滑としている。これにより、グリス等の液体潤滑剤が記録媒体Pに転写されることを防止することができる。記録の際には、記録ヘッドHを搭載したキャリッジ101は、駆動側搬送ローラ106との当接によってガイドされ、駆動側搬送ローラ106に沿って走査を行う。
【0026】
また、本実施形態で用いられる駆動側搬送ローラ106の外表面における摩擦係数は、記録媒体の搬送で一般に使用されるゴムローラ等の摩擦係数よりも低い。一般に、摩擦係数の低い搬送ローラが用いられる場合には、搬送ローラによる搬送では搬送精度を高く維持することができないと認識されている。しかしながら、摩擦係数の小さな駆動側搬送ローラ106を使用する場合には、その分搬送押圧ばね301による従動側搬送ローラ107の押圧力を高く設定することで対応できる。搬送押圧ばね301による従動側搬送ローラ107の、駆動側搬送ローラ106に向かう方向へ付勢された押圧力が高く設定されることで、駆動側搬送ローラ106と記録媒体との間の摩擦力が高められる。こうすることによって、駆動側搬送ローラ106の摩擦係数が小さい場合であっても、駆動側搬送ローラ106と従動側搬送ローラ107とによる記録媒体の搬送精度を高く維持することができる。また、駆動側搬送ローラ106に、従来施しているような凹凸加工や、摩擦部材の砥着加工を施さずに、フラットな表面の駆動側搬送ローラ106及び従動側搬送ローラ107によって記録媒体を搬送することができる。従って、駆動側搬送ローラ106及び従動側搬送ローラ107を製造する際の加工が容易となり、ローラの寸法管理が容易となる。従って、駆動側搬送ローラ106及び従動側搬送ローラ107の製造上のコストを低く抑えることができる。
【0027】
また、駆動側搬送ローラ106は、図4に示されるように、駆動側搬送ローラ106の両端部で、フレーム113に対して環状の軸受け401を介して回転可能に支持されている。従って、キャリッジ101の重量等によって駆動側搬送ローラ106が力を受けたとしても、軸受け401によってその力を受けることができる。また、記録媒体Pの搬送に影響する要因である従動側搬送ローラ107による駆動側搬送ローラ106に向かう方向への押圧力も、軸受け401によって受け止められる。従って、従動側搬送ローラ107による駆動側搬送ローラ106に向かう方向への押圧力が、直接的に駆動側搬送ローラ106の回転に影響を及ぼさない。従って、駆動側搬送ローラ106の回転が不安定になることが抑えられる。従って、上記の力により駆動側搬送ローラ106の位置が変動することが抑えられ、駆動側搬送ローラ106及び従動側搬送ローラ107による高い搬送精度が維持される。
【0028】
図3及び図4に示されるように、駆動側搬送ローラ106の外周面は、記録媒体Pと駆動側搬送ローラ106との当接面として機能する。また、駆動側搬送ローラ106の外周面は、キャリッジ101のガイド部材としてのキャリッジ101と駆動側搬送ローラ106との間の当接面として機能する。また、駆動側搬送ローラ106の外周面における両端部付近の領域は、駆動側搬送ローラ106と軸受け401の内面とが当接する当接面として機能する。このように、本実施形態では、駆動側搬送ローラ106がキャリッジ101の走査の際のガイド部材の機能を兼ねているので、これらの部材が一つの部材で済む。仮に、これらの部材が複数の部材から構成されている場合には、これらの複数の部材のそれぞれの位置に誤差が発生する場合がある。また、複数の部材のそれぞれが移動するときには、それぞれの部材の間の相対的な位置で誤差が発生する場合がある。このような誤差によって記録媒体の搬送やインクの吐出が影響を受けると、記録画像の品質が低下する可能性がある。しかしながら、本実施形態では、駆動側搬送ローラ106が、一つの部材としてキャリッジ101の走査の際のガイドも行う。従って、キャリッジ101及び駆動側搬送ローラ106が静止しているときには部材の間で位置に関する誤差が生じ難く、キャリッジ101及び駆動側搬送ローラ106が移動しているときにも相対的な位置の間の距離が変動することが起こり難い。そのため、記録媒体の搬送やインクの吐出が、部材同士の間の寸法誤差や相対的な位置の間の距離の変動によって影響を受けることが抑えられる。従って、インクの着弾位置の精度が高く維持され、記録によって得られる記録画像の品質が高く維持される。
【0029】
また、図1に示されるように、従動側搬送ローラ107は、記録媒体Pの幅方向(キャリッジにおける主走査方向)に沿って、複数が間隔をおいて並べられて配置されている。これらの複数の従動側搬送ローラ107は、それぞれ円筒状の形状を有しており、互いに独立して従動回転を行うことが可能である。従動側搬送ローラ107がこのように主走査方向に複数並べられて配置されているので、従動側搬送ローラ107の一本ごとの主走査方向への長さは短く、従動側搬送ローラ107の径に関しての主走査方向に対しての寸法誤差は生じ難い。
【0030】
もし、仮に従動側搬送ローラが1本のローラだとすると、従動側搬送ローラの主走査方向への長さは長くなってしまう。そのため、従動側搬送ローラの径における寸法誤差が生じ易くなる。従って、従動側搬送ローラの径が、主走査方向の位置ごとに異なる場合が生じる可能性がある。駆動側搬送ローラや従動側搬送ローラの主走査方向における製造の際の寸法誤差による主走査方向に関しての径の差が生じると、主走査方向に沿って位置ごとに異なる負荷がかかる可能性がある。負荷が主走査方向に関して位置ごとに異なるので、記録媒体と駆動側搬送ローラあるいは従動側搬送ローラとの間の摩擦力が主走査方向に関して位置ごとに異なり、搬送量が主走査方向に関して位置ごとに異なる可能性がある。このように、主走査方向に関しての搬送ローラの径の差が生じると、その差によって搬送に誤差が生じ易い。そのため、この場合には、キャリッジ101が駆動側搬送ローラ106をガイド手段として構成しているメリットが失われてしまう可能性がある。
【0031】
ここで、従動側搬送ローラ107を形成する材料の材質は、ゴムやエラストマのような摩擦係数の高い材料に限定しない。例えば、給紙手段105の搬送力が充分大きい場合や、別途の搬送ローラが設けられることで搬送力が付加され、記録装置に十分な搬送力が確保されている場合には、搬送ローラ対106、107は摩擦係数の小さな材料によって形成されていても良い。そのような場合には、摩擦係数の低い材料によって形成された搬送ローラ対106、107によって記録媒体の搬送を行うことが可能である。そのため、従動側搬送ローラ107を形成する材料は、必ずしも摩擦係数の高い材料でなくとも、従動側搬送ローラに適用されることは可能である。
【0032】
図5に、別の実施形態における駆動側搬送ローラを支持するための軸受け501について示す。上記の第一実施形態においては、駆動側搬送ローラ106は、フレーム113に対して円環状の軸受け401によって支持されている。しかしながら、駆動側搬送ローラ106を支持する軸受けは、円環状のものに限定されず、上記の円環状の軸受け以外のものが採用されても良い。図5に示される実施形態の駆動側搬送ローラ106と当接する軸受け501の内側には、円周状の周面部分501−a3と、2つの平面501−a1、501−a2とが形成されている。従動側搬送ローラ107は、搬送ローラ押圧ばね301の力によって駆動側搬送ローラ106の方へ押圧されている。この実施形態では、搬送ローラ押圧ばね301により駆動側搬送ローラ106を押圧する力がキャリッジ101の自重等の外力に打ち勝ち、駆動側搬送ローラ106が2つの平面501−a1、501−a2に当接する位置まで押される。このように、従動側搬送ローラ107が、駆動側搬送ローラ106と当接して、駆動側搬送ローラ106を押圧することが可能なように構成されている。これにより、軸受け501と駆動側搬送ローラ106との間に隙間があったとしても、駆動側搬送ローラ106が軸受け501の平面501−a1、501−a2に押し付けられるので、軸受け501の内部で駆動側搬送ローラ106が確実に位置決めされる。従って、駆動側搬送ローラ106は、軸受け501の内部で、駆動側搬送ローラ106が2つの平面501−a1、501−a2に当接する位置に精度良く配置される。搬送ローラ押圧ばね301の力がキャリッジ101の自重等の外力より小さい場合には、それとは別に、駆動側搬送ローラ106を軸受け501の2つの平面501−a1、501−a2に押圧するように付勢されたばねを追加して設けることとしても良い。これにより、駆動側搬送ローラ106を、駆動側搬送ローラ106の位置を規定するための平面に確実に押し当てることができ、駆動側搬送ローラ106の位置決めを確実に行うことができる。このように、図5の実施形態における軸受け501を用いることにより、駆動側搬送ローラ106が確実に精度良く位置決めされる。さらに、駆動側搬送ローラ106が正確に位置決めされて配置されるので、キャリッジ101による記録ヘッドHの主走査方向と駆動側搬送ローラ106の延びる方向との間の平行性が精度良く確保される。
【0033】
以上述べたように、上記実施形態の記録装置によれば、駆動側搬送ローラとキャリッジの走査の際のガイド部材とが兼用されて一つの部材として構成されているので、その分部品点数を少なくすることができ、記録装置の構成を簡略化することができる。従って、記録装置を小型化することができると共に、記録装置の製造コストを低く抑えることができる。また、キャリッジのガイド部材として用いる部材を、従動側の搬送ローラでなく、駆動側の搬送ローラとしているので、駆動側搬送ローラに掛かるキャリッジの自重等によって記録媒体の搬送が影響を受けることを抑えることができる。さらには、駆動搬送ローラをフレームに支持することで、キャリッジの重量による搬送力の変動を抑えることができる。また、従動側搬送ローラを複数個設けて互いに独立従動回転可能とすることで、簡単な構成によって、搬送精度を高く維持することが可能となる。これらの結果として、低コストで、高画質な記録画像を得ることができる記録装置を提供することができる。
【0034】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態に係る記録装置について説明する。なお、上記第一実施形態と同様に構成される部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0035】
図6は本発明の第二実施形態に係る記録装置100’の搬送部と記録部の構成を示す模式的な側面図である。第二実施形態では、記録装置100’には、記録ヘッドHを搭載したキャリッジ101を支持する支持手段としてのサポートレール112が形成されている。サポートレール112は、キャリッジ101を、主走査方向へ摺動可能に支持している。駆動側搬送ローラ106は、キャリッジ101に形成されたキャリッジガイド部101−a(凹部)に駆動側搬送ローラ106の少なくとも一部が入り込むことで、キャリッジ101に係合している。このように、駆動側搬送ローラ106とキャリッジ101とが係合することで、キャリッジ101が主走査方向にガイドされる。
【0036】
キャリッジ101をガイドする駆動側搬送ローラ106は、図6に示される記録ヘッドHの搬送方向Pdの下流側に位置している。その記録媒体の搬送の際に駆動側搬送ローラ106が回転駆動されたときの、記録ヘッドH及びキャリッジ101に作用する駆動側搬送ローラ106の回転軸回りの回転モーメントの方向が、図6のM1に示されている。また、図6には、キャリッジ101の重心からの重力がベクトルGによって示されている。駆動側搬送ローラ106が回転駆動されたときの、記録ヘッドH及びキャリッジ101の重力により記録ヘッドH及びキャリッジ101に作用する駆動側搬送ローラの回転軸回りの回転モーメントの方向がM2に示されている。図6に示されるように、これらの回転モーメントが同じ方向に作用している。
【0037】
本実施形態では、駆動側搬送ローラ106とキャリッジ101との接触部分は、記録媒体の搬送される方向に沿って、記録ヘッドH及びキャリッジ101の重心の位置と、サポートレール112がキャリッジ101を支持する支持部との間に位置している。
【0038】
このように、記録が行われる際には、駆動側搬送ローラ106が回転することによって、キャリッジ101及び記録ヘッドHには駆動側搬送ローラ106の回転軸回りの回転モーメントM1、M2が作用する。そして、本実施形態では、そのような回転モーメントが作用したときに、サポートレール112がそのような回転モーメントによって記録ヘッドH及びキャリッジ101が回転するのを阻止する方向に固定されて配置されている。
【0039】
その結果、駆動側搬送ローラ106が回転した際に、キャリッジ101に作用する回転モーメントM1、M2が、記録ヘッドH及びキャリッジ101をサポートレール112に押し付ける方向に作用する。これにより、キャリッジ101が、サポートレール112内で移動するときの記録ヘッドHの振動が抑えられて記録ヘッドHの走査が安定する。従って、記録ヘッドHから吐出されるインク滴の着弾精度が低下することを抑えることができる。このように、記録ヘッドHの走査の際の、キャリッジ101の走行安定性を確保することができる。
【0040】
図7(a)には、本実施形態の記録装置100’によって記録動作及び搬送動作が行われる際の、記録ヘッドの主走査方向への速度が示されている。また、図7(b)には、記録装置100’によって記録動作及び搬送動作が行われる際の、駆動側搬送ローラ106の回転速度が示されている。本実施形態では、図7(b)に示されるように、記録媒体の搬送を行うために駆動側搬送ローラ106が回転している間は、記録ヘッドHからのインク吐出は行われず、記録動作は行われない。
【0041】
一方、図7(a)に示されるように、キャリッジ101による走査の行われている区間で駆動側搬送ローラ106が回転することで、キャリッジ101による走査と記録媒体の搬送動作とが同時に行われている。本実施形態では、キャリッジ101が停止した状態から加速する加速走行区間CRu、及び速度が一定の状態から停止状態となるまでキャリッジ101が減速する減速走行区間CRdで、走査と記録媒体の搬送動作とが同時に行われている。これにより、記録のスピードを向上させることができる。このように、記録が行われる期間内に、駆動用搬送ローラ106による回転と、キャリッジ101による主走査方向への走査とが同時に行われる期間(オーバーラップ期間)が含まれることがある。
【0042】
本来、キャリッジ101による走査において加速、減速が行われている期間は、キャリッジ101は不安定な状態にあるので、その期間に記録媒体の搬送動作が行われることは好ましくない。記録媒体を搬送するために駆動側搬送ローラ106を回転させた際に、キャリッジ101に振動が生じる可能性がある。特に、加速走行区間CRuでのキャリッジ101の走行安定性は、その後に行われる記録動作でのキャリッジ101の走行安定性に大きな影響を与える。加速、減速の期間にあるキャリッジ101は、比較的振動に敏感であるので、そこで記録媒体の搬送動作によって振動が生じてしまうとキャリッジ101の走行性が不安定になる。キャリッジ101に振動が一度発生すると発生した振動は減衰するまで一定の時間を要し、減衰するまでの間はその振動により記録ヘッドHから吐出されたインクの着弾位置が所定位置からずれてしまう可能性がある。
【0043】
しかしながら、本実施形態では、記録ヘッドH及びキャリッジ101に作用する駆動側搬送ローラ106の回転軸回りの回転モーメントによって、キャリッジ101がサポートレール112に押し付けられる方向に力を受けている。従って、キャリッジ101が走査を行っている期間であっても、キャリッジ101はサポートレール112に押し当てられて比較的安定した状態にある。そのため、本実施形態では、キャリッジ101の走査が行われている期間に記録媒体の搬送動作を同時に行ったとしても、キャリッジ101が安定した状態で記録を行うことができる。従って、記録のスピードを向上させることができると共に、記録によって得られる記録画像の品質を高く維持することができる。このような構成は、インクの着弾に精度が求められる場合、例えばインクの定着性に優れるインク受容層を有する写真画質用紙等への記録を行う記録装置等に対し記録が行われる場合に有用である。
【0044】
なお、キャリッジ101の走査における安定性が求められる場合には、キャリッジ101の加速、減速が行われている期間には駆動側搬送ローラ106を動作させないこととしても良い。このように記録が行われることで、さらに安定した状態で記録が行われるので、記録によって得られる記録画像の品質を向上させることができる。
【0045】
(第三実施形態)
次に、第三実施形態に係る記録装置100’’について説明する。なお、上記第一実施形態及び第二実施形態と同様に構成される部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0046】
図8は、第三実施形態に係る記録装置100’’について模式的に示した側面図である。支持用駆動搬送ローラ801は、もう一つの駆動側搬送ローラであり、支持用駆動搬送ローラ801に対向する位置に配置されている従動側搬送ローラ802と協同して記録媒体を搬送する。従動側搬送ローラ802には押ばね803が取り付けられており、従動側搬送ローラ802が支持用駆動搬送ローラ801に当接する方向に付勢されている。本実施形態では、第二実施形態と同様に、キャリッジ101をガイドする駆動側搬送ローラ106が、記録ヘッドHにおける搬送方向の下流寄りの位置に配置されている。従って、支持用駆動搬送ローラ801の方向Dへの回転による支持用駆動搬送ローラ801の回転軸回りの回転モーメントの方向は、キャリッジの自重によってキャリッジに作用する支持用駆動搬送ローラ801の回転軸回りの回転モーメントの方向と同じである。
【0047】
駆動側搬送ローラ106は、キャリッジ101に形成された凹部に駆動側搬送ローラの少なくとも一部が入り込んで主走査方向にガイドされている。そして、記録媒体の搬送方向に関し、記録ヘッドH及びキャリッジ101の重心位置Oに対して駆動側搬送ローラ106とは反対側の位置に、支持用駆動搬送ローラ801が配置されている。支持用駆動搬送ローラ801は、記録媒体に当接可能であって、記録媒体に当接した状態で回転することで記録媒体の搬送を行うことが可能である。また、支持用駆動搬送ローラ801は、キャリッジ101の当接部101−cに当接し、キャリッジ101を支持している。このように、支持用駆動搬送ローラ801がキャリッジ101を支持しているので、駆動側搬送ローラ106が回転駆動したときの駆動側搬送ローラ106における回転軸回りの回転モーメントが、支持用駆動搬送ローラ801によって受け止められている。
【0048】
第二実施形態では、キャリッジ101がガイドレール112に取り付けられているので、記録ヘッドH及びキャリッジ101に作用する駆動側搬送ローラの回転軸回りの回転モーメントは、ガイドレール112によって支持される。これに対して第三実施形態では、ガイドレール112が形成されていない。その代わりに、支持用駆動搬送ローラ801が、記録ヘッドH及びキャリッジ101の重心を挟んで駆動側搬送ローラ106の反対側の位置に配置されている。これにより、駆動側搬送ローラ106における回転軸回りの回転モーメントM1、M2が、支持用駆動搬送ローラ801によって受け止められている。このように、第三実施形態では、支持用駆動搬送ローラ801は、駆動側搬送ローラ106における回転軸回りの回転モーメントを受け止めるための部材と、記録媒体を搬送する際に駆動側の搬送ローラとして機能する駆動ローラと、を兼ねている。
【0049】
本実施形態では、支持用駆動搬送ローラ801が、キャリッジ101による駆動側搬送ローラ106における回転軸回りの回転モーメントM1、M2を受け止めるので、ガイドレール112が記録装置から省かれている。そして、上流側の搬送ローラ対における駆動側の搬送ローラと、キャリッジ101による駆動側搬送ローラ106における回転軸回りの回転モーメントを受け止めるための部材とを兼ねる構成となっている。従って、記録装置の構成が簡略化され、記録装置を小型化すると共に、記録装置の製造コストを低く抑えることができる。このように、駆動側搬送ローラ106が回転駆動したときの駆動側搬送ローラ106における回転軸回りの回転モーメントを受け止める部材は、駆動側搬送ローラ106とは別に配置された支持用駆動搬送ローラ801であっても良い。
【0050】
(他の実施形態)
なお、上記の実施形態の記録装置は、記録ヘッドが発熱素子により膜沸騰を発生させて発泡させインク滴を吐出する方式としたが、本発明はこれに限定されない。圧電素子を変形させ、これによって記録ヘッド内部の液体を吐出する形式の記録ヘッドが記録装置に適用されても良く、また、他の形式の記録ヘッドが本発明の記録装置に適用されても良い。また、記録装置はインクジェット記録装置でなくとも良く、記録媒体を搬送しつつ記録媒体に記録が行われる記録装置であれば熱転写方式等、他の形式の記録装置であっても良い。
【0051】
また、上記実施形態の記録装置では、記録媒体が駆動側搬送ローラと従動側搬送ローラとの間に挟まれた状態で駆動側搬送ローラが回転駆動されることで記録媒体が搬送される。しかしながら、本発明は上記実施形態に限定されず、駆動側搬送ローラとの間で記録媒体を挟み込むのは従動側搬送ローラでなくても良い。記録媒体を搬送できるのであれば、平滑な板材等、従動側搬送ローラとは別の部材であっても良い。
【0052】
また、本明細書において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わずに用いられる。また、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または記録媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【0053】
また、「記録装置」とは、プリンタ、プリンタ複合機、複写機、ファクシミリ装置などのプリント機能を有する装置、ならびにインクジェット技術を用いて物品の製造を行なう製造装置を含む。
【0054】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものを表すものとする。
【符号の説明】
【0055】
100、100’、100’’ 記録装置
101 キャリッジ
106 駆動側搬送ローラ
107 従動側搬送ローラ
H 記録ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録を行う記録手段を有し、記録媒体を搬送する搬送方向に交差する主走査方向へ前記記録手段を走査させながら前記記録手段によって記録媒体に記録を行う記録装置であって、
前記主走査方向に沿って延び、前記記録手段による前記主走査方向への走査をガイドすると共に回転駆動されるガイド部材兼用駆動ローラと、
前記ガイド部材兼用駆動ローラに当接する方向へ付勢されて移動可能に配置された当接部材とを有し、
前記ガイド部材兼用駆動ローラと前記当接部材との間に記録媒体が挟まれた状態で、前記ガイド部材兼用駆動ローラが回転駆動されることで、記録媒体の搬送が行われることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記当接部材は、前記記録手段が走査する方向に平行に延び、ガイド部材兼用駆動ローラの回転に従動して回転可能な従動ローラであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記従動ローラは、前記主走査方向に沿って複数並べられて配置され、
複数の前記従動ローラは、それぞれ独立して前記ガイド部材兼用駆動ローラの回転に従動して回転可能であることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記ガイド部材兼用駆動ローラは、前記記録媒体に接触する外周面で前記記録手段による走査をガイドすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記ガイド部材兼用駆動ローラは、前記記録装置の本体の定位置に、回転可能に支持されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記当接部材は、前記ガイド部材兼用駆動ローラと当接したときに前記ガイド部材兼用駆動ローラを押圧することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記記録装置は、前記記録手段を前記主走査方向へ摺動可能に支持する支持手段を有し、
前記支持手段は、前記ガイド部材兼用駆動ローラの回転駆動により、前記ガイド部材兼用駆動ローラの回転軸回りの回転モーメントが前記記録手段に作用したときに、前記回転モーメントによって前記記録手段が回転するのを阻止する方向に固定されて配置されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項8】
前記回転モーメントの方向が、前記記録手段の重力により前記記録手段に作用する前記ガイド部材兼用駆動ローラの回転軸回りの回転モーメントの方向と同じ方向であることを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記ガイド部材兼用駆動ローラと前記記録手段とが接触する接触部分は、記録媒体の搬送される方向において、前記記録手段の重心の位置と、前記支持手段が前記記録手段を支持する支持部との間に位置することを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
【請求項10】
前記記録装置は、記録媒体に当接して回転することで記録媒体の搬送を行うことが可能な支持用駆動搬送ローラを有し、
前記支持用駆動搬送ローラは、前記記録媒体の搬送方向に関し、前記記録手段の重心位置に対して前記ガイド部材兼用駆動ローラとは反対側の位置に配置され、前記記録手段に当接して前記記録手段を支持することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項11】
前記記録手段によって記録が行われる期間内には、前記ガイド部材兼用駆動ローラによる回転と、前記記録手段による前記主走査方向への走査とが同時に行われるオーバーラップ期間が含まれることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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