説明

記録計

【課題】従来の記録計では、停電などの発生により、外部からの電力の供給が停止した場合、記録紙への記録も、電子記録媒体への記録も両方とも停止せざるを得ないこととなる。
【解決手段】入力されたデータの記録を行う記録計であって、記録計に入力されたデータを、印字機構による印字によって印字記録媒体に記録する印字記録部と、記録計に入力されたデータを、電子情報として電子記録媒体に記録する電子記録部と、印字記録部および電子記録部へ電力を供給する電源部と、前記電源部に設けられ、電力の供給先を切り換える切換手段と、外部から記録計への電力供給が停止したときに、印字記録部および/または電子記録部へ電力供給を行う蓄電部と、を有する記録計。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、ペンやプロッタ等の印字により、記録紙へ記録する印字記録方式と、記憶消え内部にバッテリーなどの蓄電部を有する記録計に関して、特に停電などの外部からの電力供給が停止した場合でも継続的に記録が可能であることを特徴としている。
【背景技術】
【0002】
一般的に記録計には、記録方法の違いによって、ペンやプロッタ等の印字機構による記録や、電子記録媒体に記録する方法等によって分類される。
【0003】
一般的に記録計の記録方法には、ペンやプロッタ等の印字機構によって記録紙に記録を行う方法と、電子データとして電子記録媒体に記録する方法がある。これらの記録方法の違いによって、アナログ記録計やグラフィックレコーダなどの分類がなされ、印字による記録と、電子記録媒体への記録の両方を兼ね備えた記録計は、ハイブリット記録計と呼ばれている、
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願平7−294290
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1にハイブリット記録計の一例を示した。ハイブリット記録計は、前述のように、印字による記録紙への記録と、電子記録媒体へのデータの記録の両方を行うことが可能である。しかし、一般的に記録計は、電源が必要であり、仮に停電などの発生により、外部からの電力の供給が停止した場合、記録紙への記録も、電子記録媒体への記録も両方とも停止せざるを得ないこととなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
記録紙へ記録を行う記録方法は、記録紙を送るためのモータや、ペンやプロッタを駆動させるためのモータ等があるため、消費電力が大きい。一方、電子記録媒体への記録は、紙送りのためのモータやペンやプロッタ等を駆動させる必要が無いため、消費電力が記録紙へ記録を行う記録方法に比べて小さい。
【0007】
そこで、本件発明の記録計では、上記問題を鑑み、以下の記録計を提供する。第一の発明としては、入力されたデータの記録を行う記録計であって、記録計に入力されたデータを、印字機構による印字によって印字記録媒体に記録する印字記録部と、記録計に入力されたデータを、電子情報として電子記録媒体に記録する電子記録部と、印字記録部および電子記録部へ電力を供給する電源部と、前記電源部に設けられ、電力の供給先を切り換える切換手段と、外部から記録計への電力供給が停止したときに、印字記録部および/または電子記録部へ電力供給を行う蓄電部と、を有する記録計を提供する。
【0008】
第二の発明としては、電源部は、外部から記録計への電力供給が停止したとき、蓄電部から電子記録部のみへ電力供給を行うよう電力の供給先を切り換える第一の発明に記載の記録計を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本件発明の記録計のように、停電などの影響で外部から記録計の電源への電力供給が停止した場合、印字記録部による記録を停止し、電子記録部のみ蓄電部からの電力供給で記録を継続することで、引き続き記録を続けることが可能となる。また、蓄電部からの電力供給を電子記録部のみとすることで、外部からの電力供給が長時間停止した場合でも、記録計による記録が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態1の記録計を説明するための概念図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本件発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本件発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0012】
実施形態1は主に請求項1、請求項2などに関する。
【0013】
<<実施形態1>>
<実施形態1 概要>
本実施形態は、紙などに印字することで記録を行う印字記録部と、半導体素子メモリや磁気記録媒体などに電子情報としてデータを保存する電子記録部を有するハイブリット型記録計であって、停電などの影響で外部から記録計の電源への電力供給が停止した場合、印字記録部による記録を停止し、電子記録部のみ蓄電部からの電力供給で記録を行うことを特徴としている。
【0014】
<実施形態1 構成>
図1に本実施形態の記録計を説明するための概念図を示した。本実施形態の記録計(0101)は、入力されたデータの記録を行う記録計であって、記録計に入力されたデータを、印字機構(0102)による印字によって印字記録媒体(0103)に記録する印字記録部(0104)と、記録計に入力されたデータを、電子情報として電子記録媒体(0105)に記録する電子記録部(0106)と、印字記録部および電子記録部へ電力を供給する電源部(0107)と、前記電源部に設けられ、電力の供給先を切り換える切換手段(0108)と、外部から記録計への電力供給が停止したときに、印字記録部および/または電子記録部へ電力供給を行う蓄電部(0109)と、からなる。
【0015】
「印字記録部」は、記録計に入力されたデータを記録紙などの記録媒体に印字機構による印字によって記録を行う。ここで、記録紙などの記録媒体に記録を行う印字機構とは、ペンやプロッタ等、記録紙などにインクなどで記録を行う印字機構である。
【0016】
「電子記録部」は、フラッシュメモリ(SDメモリーカード(登録商標)、メモリースティック(登録商標)、スマートメディア(登録商標)、コンパクトフラッシュ(登録商標)、フラッシュSSD等)やハードディスク、磁気記録媒体などの記録媒体に記録計に入力されたデータを記録する。電子記録部は、紙などに記録する印字記録部に対して、データを電子的に記録する。電子記録部においてデータを記録する記録媒体は、外部から入力されるデータ量に対して、単位時間当たりの書き込み量が十分に大きい必要がある。
【0017】
「電源部」は、印字記録部及び/又は電子記録部へ電力を供給する。この電源部には、後述する切換手段が設けられ、電力の供給先を切り換えることが可能である。また、電源部は、外部の電源から供給される電力を印字記録部及び/又は電子記録部へ供給するほかに、後述する蓄電部に蓄電された電力を印字記録手段及び/又は電子記録手段へ供給することが可能である。
【0018】
通常、外部からの電力供給によって記録計が動作している場合には、電源部は印字記録手段及び/又は電子記録手段へ電力を供給し、また、蓄電部に対して電力を供給し、充電を行っている。
【0019】
「切換手段」は、電力の供給先、つまり印字記録部及び/又は電子記録部への電力供給のON又はOFFなどの切換を行う。切換は、様々な状況に応じて印字記録部のみの使用や、電子記録部のみの使用、印字記録部および電子記録部両方の使用などを切り換える。
【0020】
切換手段の切換の一例としては、例えば印字記録部の記録紙が紙切れを起した場合は、印字記録部への電力供給を停止し、電子記録部のみへ電力を供給するように切り換える。記録を印字記録部のみが行っていた場合には、記録紙の残量または記録紙切れを検知するセンサからの情報を元に、記録紙切れを起こす直前に電子記録部への電力の供給を開始するように構成する。
【0021】
また、電子記録部のフラッシュメモリなどの電子記録媒体の容量が必要な容量を有していなかった場合などは、電子記録部への電力供給を停止し、印字記録部への電力供給することが出来る。このように切換手段は、記録計の状況に応じて、記録を印字記録部及び電子記録部のどちらか一方で行うか、同時で行うかなどをコントロールすることが可能である。
【0022】
「蓄電部」は、外部から記録計への電力供給が停止したときに、印字記録部および/または電子記録部へ電力供給を行う。仮に停電などで外部から記録計への電力供給が停止した場合、従来の記録計では、記録を継続することが出来ない。本実施形態の記録計では、内部に蓄電部を有することで、仮に外部からの電力供給が停止した場合でも、蓄電部から電力を供給することで記録を継続することが可能となる。
【0023】
外部から記録計への電力供給が停止した場合、長時間の記録を可能にするために、印字記録部への給電を停止し、電子記録部のみへ電力の供給を行うとよい。印字記録部は、記録紙を駆動するためのモータや、ペンやプロッタを駆動させるためのモータ等、電力消費量が大きい。このため、蓄電部のバッテリー等からの給電を行った場合には、蓄電部からの電力供給を可能な限りに長くするために、消費電力の少ない電子記録部のみに電力を供給し、電子記録部が、記録媒体に入力されたデータの記録を行う。
【0024】
この場合、外部から記録計への電力供給が再開された後、電子記録部に記録されたデータを、印字記録部にて印字するようにしてもよい。このように構成することで、停電などの外部から記録計への電力供給が停止した場合でも、データの記録は継続することが可能であり、さらに電子記録部の電子記録媒体に記録されたデータを、印字記録部にて印字させることで、あたかも継続して印字がなされていたかのうようにすることが可能である。
【0025】
<実施形態1 効果>
本実施形態の記録計のように、停電などの影響で外部から記録計の電源への電力供給が停止した場合、印字記録部による記録を停止し、電子記録部のみ蓄電部からの電力供給で記録を継続することで、引き続き記録を続けることが可能となる。また、蓄電部からの電力供給を電子記録部のみとすることで、外部からの電力供給が長時間停止した場合でも、記録計による記録が可能となる。
【符号の説明】
【0026】
0101 記録計
0102 印字機構
0103 印字記録媒体
0104 印字記録部
0105 電子記録媒体
0106 電子記録部
0107 電源部
0108 切換手段
0109 蓄電部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたデータの記録を行う記録計であって、
記録計に入力されたデータを、印字機構による印字によって印字記録媒体に記録する印字記録部と、
記録計に入力されたデータを、電子情報として電子記録媒体に記録する電子記録部と、
印字記録部および電子記録部へ電力を供給する電源部と、
前記電源部に設けられ、電力の供給先を切り換える切換手段と、
外部から記録計への電力供給が停止したときに、印字記録部および/または電子記録部へ電力供給を行う蓄電部と、
を有する記録計。
【請求項2】
前記切換手段は、外部から記録計への電力供給が停止したとき、蓄電部から電子記録部のみへ電力供給を行うよう電力の供給先を切り換える請求項1に記載の記録計。

【図1】
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