説明

設定装置、画像処理装置、及びプログラム

【課題】ユーザが画像処理に関する設定作業を容易に行うことが可能な設定装置、画像処理装置、及びプログラムを提供する。
【解決手段】複数の基準軸57A〜57Cを有する設定領域51を表示させ、複数の基準軸57A〜57Cに対する位置を複数の印刷条件の条件値に対応付けすることで、ユーザが設定内容を直感的に把握することができる。また、ユーザによって指示される設定領域51内の位置を特定することで、複数の基準軸57A〜57Cの数よりも多い複数の印刷条件の条件値が設定されるため、ユーザが設定作業を容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理に関する設定を行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プリンタやスキャナ等の画像処理装置に接続されたコンピュータにおいて、ユーザがディスプレイに表示される設定画面を用いて印刷やスキャン等の画像処理の処理条件に関する設定を行う構成が知られている。また、ユーザが画像処理装置本体に設けられたディスプレイに表示される設定画面を用いて画像処理の設定を行う構成なども知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−182871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、画像処理に関する機能の増加や高度化が進み、それに伴って設定作業が複雑で難しくなってきている。例えば、ユーザが目的に沿った結果を得るために、設定画面においてどの処理条件をどのような値に設定すればよいかを把握しづらい場合がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ユーザが画像処理に関する設定作業を容易に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、第1の発明に係る設定装置は、画像を処理するための処理条件を設定する設定装置であって、互いに異なる角度を有する複数の基準軸で形成される設定領域を表示部に表示させる表示制御部と、ユーザによって指示される前記設定領域内の指示位置を特定する特定部と、前記設定領域内の位置と、複数の前記処理条件のための複数の条件値と、の対応関係であって、前記複数の処理条件の数は前記複数の基準軸の数よりも多い、前記対応関係に基づいて、前記指示位置に対応する前記複数の条件値を設定する設定部と、を備える。
【0007】
第1の発明によれば、複数の基準軸を有する設定領域を表示させ、複数の基準軸に対する位置を複数の条件値に対応付けすることで、ユーザが設定内容を直感的に把握することができる。また、ユーザによって指示される設定領域内の指示位置を特定することで、複数の基準軸の数よりも多い複数の処理条件の条件値が設定されるため、設定作業を容易に行うことができる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明の設定装置において、前記表示制御部は、前記指示位置に対応する前記複数の条件値を示す条件領域を前記表示部に表示させる。
【0009】
第2の発明によれば、ユーザが設定された複数の条件値を把握することができる。
【0010】
第3の発明は、第2の発明の設定装置において、前記特定部は、前記条件領域において前記複数の条件値をそれぞれ特定可能であって、前記表示制御部は、前記条件領域において特定された条件値と特定されていない条件値とに対応する前記設定領域内におけるそれぞれの位置を区別可能に表示し、前記設定部は、前記条件領域において指定された値を設定する。
【0011】
第3の発明によれば、条件領域においてユーザが複数の条件値を個別に指定することができる。また、条件領域において特定された条件値に対応する設定領域内における位置が特定されていない位置と区別可能に表示されるため、ユーザが設定内容を直感的に把握することができる。
【0012】
第4の発明は、第1から第3のいずれか一つの発明の設定装置において、前記特定部は、前記複数の処理条件のうちの一部か若しくは前記複数の処理条件とは別の特別処理条件の条件値を特定可能であって、前記表示制御部は、前記特定部により特定された前記特別処理条件の条件値に対応する前記設定領域内における部分領域と、対応しない前記設定領域内における部分領域と、を区別可能に表示する。
【0013】
第4の発明によれば、ユーザが指定した特別処理条件の条件値に対応しない設定領域内における部分領域を把握できるため、不適切な条件値が設定されるのを回避できる。
【0014】
第5の発明は、第1から第4のいずれか一つの発明の設定装置において、前記設定領域は複数の小領域に区分されており、一つの小領域には共通の複数の条件値が対応付けられている。
【0015】
第5の発明によれば、ユーザが設定領域内における位置と設定される条件値との関係を把握しやすい。
【0016】
第6の発明は、画像を処理するための処理条件を設定する設定装置であって、複数の処理条件のための複数の条件値をそれぞれ特定する特定部と、互いに異なる角度を有する複数の基準軸で形成される設定領域を表示部に表示させ、前記特定された条件値と特定されていない条件値とに対応する前記設定領域内におけるそれぞれの位置を区別可能に表示する表示制御部と、前記設定領域内の位置と、複数の前記処理条件のための複数の条件値と、の対応関係であって、前記複数の処理条件の数は前記複数の基準軸の数よりも多い、前記対応関係に基づいて、前記複数の条件値を設定する設定部と、を備える。
【0017】
第6の発明によれば、ユーザが指定した条件値に対応する位置が設定領域内において表示されるため、ユーザが設定内容を直感的に把握することができる。従って、設定作業を容易に行うことができる。
【0018】
第7の発明は、画像処理の処理条件を設定する画像処理装置であって、第1から第6のいずれか一つの発明の設定装置と、前記設定された処理条件の値に従って画像処理を行う画像処理部と、を備える、画像処理装置。
【0019】
第7の発明によれば、設定装置を備えた画像処理装置において、設定作業を容易に行うことができる。
【0020】
なお、この発明は、設定装置、設定方法、画像処理装置、画像処理方法、これらの方法または装置の機能を実現するためのプログラム、そのプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態1におけるプリンタとコンピュータの概略構成を示すブロック図
【図2】印刷指示処理のフローチャート
【図3】印刷指示画面を示す図
【図4】印刷設定処理のフローチャート
【図5】印刷設定画面を示す図
【図6】設定領域における小領域と印刷条件の値との対応関係を示す表
【図7】実施形態2における印刷設定処理のフローチャート
【図8】印刷設定画面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態1>
次に本発明の実施形態1について図1から図6を参照して説明する。
図1は、プリンタ10と、このプリンタ10と接続されたコンピュータ20の概略構成を示すブロック図である。
【0023】
プリンタ10は、CPU11、ROM12、RAM13、NVRAM(不揮発性メモリ)14、ネットワークインターフェイス15を備えている。ROM12には、このプリンタ10の各種の動作を実行するためのプログラムが記憶されている。CPU11は、ROM12から読み出したプログラムに従って、その処理結果をRAM13またはNVRAM14に記憶させながら各部の制御を行う。ネットワークインターフェイス15は、LANなどの通信回線30に接続されている。
【0024】
また、プリンタ10は、印刷部16、表示部17及び操作部18を備えている。印刷部16は、例えばインクジェット方式や電子写真方式などにより、1色または複数色の着色剤(インクやトナー等)を用いてシート(用紙、プラスチックシート等)上に画像を印刷(画像を処理するの一例)する。表示部17は、ディスプレイやランプ等を備え、各種の設定画面や装置の動作状態等を表示することが可能である。操作部18は、複数のボタンを備え、ユーザが各種の指示を入力することが可能である。
【0025】
コンピュータ20(設定装置の一例)は、CPU21、ROM22、RAM23、HDD(ハードディスクドライブ)24、操作部25、表示部26、ネットワークインターフェイス27を備えている。
【0026】
ROM22には、BIOS等のプログラムが記憶されている。HDD24には、OSや、印刷用の画像データを作成可能なアプリケーションソフト、プリンタ10により印刷を行うための処理条件の設定等を行うプリンタドライバ(本発明のプログラムの一例)などの各種プログラムが記憶されている。CPU21(特定部、表示制御部、設定部の一例)は、ROM22またはHDD24から読み出したプログラムに従って、その処理結果をRAM23やHDD24に記憶させながら、コンピュータ20の動作を制御する。
【0027】
操作部25は、キーボードやポインティングデバイスを備えており、ユーザが操作部25を用いてCPU21に対する各種の指示を入力することができる。表示部26は、ディスプレイを備え、CPU21の制御により様々な映像を表示する。ネットワークインターフェイス27は、既述の通信回線30に接続され、これによりコンピュータ20とプリンタ10との間で通信が可能となっている。
【0028】
(印刷指示処理)
次にプリンタ10に対しコンピュータ20から印刷の実行を指示する際に実行される印刷指示処理について説明する。図2は、印刷指示処理のフローチャートであり、図3は、印刷指示画面M1を示す図である。
【0029】
コンピュータ20において、ユーザが印刷用の画像データを生成可能なアプリケーションソフトを起動させ、操作部25より印刷の指示を入力すると、CPU21は、図2に示す印刷指示処理を実行する。
【0030】
CPU21は、印刷指示処理を開始すると、まず図3に示すような印刷指示画面M1を表示部26に表示させる(S101)。この印刷指示画面M1は、プリンタ選択部40、印刷設定ボタン41、OKボタン42、キャンセルボタン43を備えている。
【0031】
CPU21は、プリンタ選択部40が操作部25によりクリックされると、登録されたプリンタ名をリスト表示させる。ユーザは、操作部25を用いてリスト表示されたプリンタ名の中から一つを使用プリンタとして選択することができる。
【0032】
CPU21は、印刷指示画面M1において印刷設定ボタン41が押下された場合(S102:YES)には、プリンタ選択部40で選択されているプリンタ名に対応するプリンタドライバを起動し、印刷設定処理を実行する(S103)。この印刷設定処理では、後述するように、ユーザの指示により様々な印刷条件(処理条件の一例)の条件値を設定する。
【0033】
CPU21は、S102にて印刷設定ボタン41が押下されていない場合(S102:NO)、または、S103にて印刷指示処理を終了した場合には、OKボタン42が押下されたかを判断する(S104)。
【0034】
CPU21は、OKボタン42が押下された場合(S104:YES)には、S103の印刷設定処理において設定された印刷条件の条件値を読み込み、さらにアプリケーションから印刷対象の画像データを読み込む。そして、読み込んだ印刷条件の条件値と画像データとに基づいてPDL(ページ記述言語)等の印刷データを生成し、その印刷データをネットワークインターフェイス27を介してプリンタ10に送信する(S105)。
【0035】
なお、S103の印刷設定処理が実行されていない状態でOKボタン42が押下された場合には、既定の条件値や以前の印刷設定処理で設定された条件値などを印刷条件の設定値として用いる。
【0036】
CPU21は、印刷データを送信した後、印刷指示処理を終了する。
プリンタ10のCPU11は、ネットワークインターフェイス15を介して印刷データを受信すると、その印刷データに基づいて印刷部16によって印刷を行う。
【0037】
また、コンピュータ20のCPU21は、S104にてOKボタン42が押下されない場合(S104:NO)には、キャンセルボタン43が押下されたかを判断する(S106)。そして、キャンセルボタン43が押下されない場合(S106:NO)には、S102からの処理を繰り返し、操作部25からの入力を待機する。キャンセルボタン43が押下された場合(S106:YES)には、この印刷指示処理を終了する。
【0038】
(印刷設定処理)
次に印刷条件の条件値を設定するための印刷設定処理について説明する。
図4は、印刷設定処理のフローチャートであり、図5は、印刷設定画面M2を示す図である。
【0039】
CPU21は、図4に示す印刷設定処理を開始すると、まず図5に示すような印刷設定画面M2を表示部26に表示させる(S201)。この印刷設定画面M2は、設定領域51、条件領域52、OKボタン53、キャンセルボタン54を備えている。
【0040】
設定領域51は、全体として円形をなしており、その設定領域51を横切るように3つの基準軸57A,57B,57C(破線の矢印で示す)が配置されている。これらの基準軸57A〜57Cは、互いに120度の角度をなし、設定領域51の中央において互いに交わる。
【0041】
各基準軸57A〜57Cは、印刷を指示するユーザの目的や要求、若しくは印刷処理の特性などを示す指標である。この例では、基準軸57Aは、写真のように細密な画像の品質を優先する度合を示し、基準軸57Bは、文字やグラフ等の図形の画質を優先する度合を示し、基準軸57Cは、インク(トナー)の消費などのコストの抑制を優先する度合を示している。設定領域51には、ユーザが各基準軸57A〜57Cの意味合いを把握できるように、基準軸57A〜57Cを示す矢印の先端側付近にそれぞれ「写真優先」、「文字グラフ優先」、「コスト優先」と表記されている。
【0042】
設定領域51上の位置は、複数の印刷条件の条件値に対応付けられており、基準軸57A〜57Cとの関係からどのような傾向の条件値に対応付けられるかが定められている。基準軸57A〜57Cは、一種の座標軸ともいうことができる。即ち、ある一つの基準軸57A〜57Cに対して正方向(矢線方向)にある位置ほど、その基準軸57A〜57Cが示す傾向が強くなるような印刷条件の条件値が対応付けられ、逆方向にある位置ほど、その傾向が弱くなるような条件値が対応付けられている。
【0043】
また、設定領域51は、13個の小領域A1〜A13に区分されている。各小領域A1〜A13内の位置は、いずれも対応付けされる印刷条件の条件値が同じであり、別の小領域A1〜A13内の位置は、互いに異なる印刷条件の条件値に対応付けされている。
【0044】
図6は、設定領域51における小領域A1〜A13と印刷条件の条件値との対応関係を示す表であり、この表はHDD24に記憶されている。この例では、設定領域51における位置が「色再現」、「グレー再現」、「印刷解像度」、「色の濃さ」、「印刷速度」の5つの印刷条件の条件値に対応付けされている。
【0045】
例えば小領域A9は、基準軸57Aに対し正方向の端部寄りの位置にあり、写真等を印刷した場合に最も高い品質が得られるような印刷条件の条件値(の組み合わせ)に対応付けられている。例えば、印刷条件の条件値の一つである印刷解像度は「低い」「普通」「高い」の3つの条件値のいずれかを設定することができ、小領域A9はこのうち「高い」に対応付けされている。
【0046】
また、小領域A10は、基準軸57Aと基準軸57Bに対し正方向の端部寄りの位置にあるため、写真等と文字・図形等との両方について比較的高い品質が得られるような印刷条件の条件値が対応付けられている。一方でこの小領域A10は、基準軸57Cに対しては負方向の端部にあり、比較的コストがかかり易い印刷条件の条件値と対応付けられている。例えば、印刷条件の条件値の一つである色の濃さは「薄い」「普通」「濃い」の3つの条件値のいずれかを設定することができ、小領域A10はこのうち「濃い」の条件値に対応付けされている。
【0047】
そして、小領域A4,A1は、色の濃さが「普通」の条件値に対応付けられ、小領域A7,A3は、色の濃さが「薄い」の条件値に対応付けられている。このように、コスト優先の基準軸57Cに対し正方向にある位置ほど、コストを抑制しやすい印刷条件の条件値が対応付けられている。
【0048】
設定領域51では、ユーザが操作部25を用いてポインタ58をいずれかの一つの小領域A1〜A13に合わせてクリックすることで、その小領域A1〜A13を指定することができる。CPU21は、指定された小領域A1〜A13を選択状態として他の小領域A1〜A13と異なる色などで区別して表示させる。図5では、小領域A9を選択状態として表示している。
【0049】
一方、条件領域52には、上述の設定領域51上の位置に対応付けされた5つの印刷条件について、各印刷条件で選択可能な条件値がそれぞれアイコン画像59とともに表示される。条件領域52では、各印刷条件について選択可能な条件値のうちの一つを選択状態として他の条件値と区別して表示することができる。図5では、選択状態の条件値のアイコン画像59に太枠を付けて表示している。
【0050】
また、条件領域52では、ユーザが操作部25を用いてポインタ58に選択状態でない条件値のアイコン画像59に合わせてクリックすることで、その条件値を指定することができる。CPU21は、指定された条件値を選択状態として表示させる。
【0051】
なお、CPU21は、S201にて印刷設定画面M2を表示させた際に、前回の印刷設定処理で設定された条件値やあるいは既定の条件値などを、条件領域52上において選択状態で表示させるとともに、設定領域51上においてその条件値に対応する小領域A1〜A13を選択状態で表示させる。
【0052】
さて、CPU21は、図4のS201にて印刷設定画面M2を表示させた後、ユーザにより、設定領域51上において選択状態でない小領域A1〜A13が指定されたかを判断する(S202)。そしてCPU21は、小領域A1〜A13が指定された場合(S202:YES)には、指定された設定領域51上の小領域A1〜A13(位置)を特定し、特定された小領域A1〜A13に対応する条件値を図6の表から取得し、それらの条件値を条件領域52において選択状態で表示させる(S203)。これにより、ユーザは、設定領域51において指定した位置(指示位置の一例)に対応する印刷条件の条件値を把握することができる。
【0053】
CPU21は、S202にて設定領域51が指定されていない場合(S202:NO)、またはS203にて条件領域に条件値を表示した場合には、条件領域52において印刷条件の条件値が指定されたかを判断する(S204)。そしてCPU21は、印刷条件の条件値が指定された場合(S204:YES)には、指定された条件値を特定し、特定された条件値に対応する小領域A1〜A13(位置)を図6の表から取得し、その小領域A1〜A13を設定領域51上において選択状態で表示させる(S205)。
【0054】
例えば、図5に示すように、小領域A9と、その小領域A9に対応する印刷条件の各条件値とが選択状態で表示された状態において、条件領域52の色再現の条件値が「ナチュラル」から「ビビッド」に変更された場合には、変更後の印刷条件の条件値の組み合わせに対応する小領域A10を選択状態で表示させ、小領域A9の選択状態を解除させる。これにより、ユーザは、設定領域51の表示に基づいて指定した印刷条件の条件値の組み合わせがどのような傾向を有するかを把握することができる。
【0055】
なお、条件領域52において指定された条件値の組み合わせに対応する小領域が存在しない場合には、指定された条件値の組み合わせに近い条件値の組み合わせに対応付けされた小領域A1〜A13を一つ選び、その小領域A1〜A13を選択状態で表示しても良い。また、この場合には、全ての小領域A1〜A13の選択状態の表示を解除しても良く、あるいは、条件領域52においてそのような条件値を指定できなくしても良い。
【0056】
CPU21は、S204にて条件領域52において条件値が指定されていない場合(S204:NO)、またはS205にて小領域A1〜A13を選択状態で表示した場合には、OKボタン53が押下されたかを判断する(S206)。そして、OKボタン53が押下された場合(S206:YES)には、選択状態にある各印刷条件の条件値を確定された設定値としてRAM23に記憶する(S207)。その後、CPU21は、この印刷設定処理を終了し、既述の図2の処理により、OKボタン53が押下された場合に、設定値に基づいて印刷データを生成してプリンタ10に送信する。
【0057】
また、CPU21は、S206にてOKボタン53が押下されない場合(S206:NO)には、キャンセルボタン54が押下されたかを判断する(S208)。そして、キャンセルボタン54が押下されない場合(S208:NO)には、S202に戻ってユーザによる次の操作の入力を待機する。また、キャンセルボタン54が押下された場合(S208:YES)には、設定値を確定せずにこの印刷設定処理を終了する。
【0058】
(本実施形態の効果)
以上のように本実施形態によれば、複数の基準軸57A〜57Cを有する設定領域51を表示させ、複数の基準軸57A〜57Cに対する位置を複数の印刷条件の条件値に対応付けすることで、ユーザが設定内容を直感的に把握することができる。また、ユーザによって指示される設定領域51内の位置を特定することで、複数の基準軸57A〜57Cの数よりも多い複数の印刷条件の条件値が設定されるため、ユーザが設定作業を容易に行うことができる。
【0059】
また、設定領域51において特定された条件値に対応する複数の印刷条件の条件値を示す条件領域52を表示部26に表示させる。これにより、ユーザが設定された複数の条件値を把握することができる。
【0060】
また、条件領域52においてユーザが複数の印刷条件の条件値を個別に指定することができる。また、条件領域52において特定された条件値に対応する設定領域51内における位置が特定されていない位置と区別可能に表示されるため、ユーザが設定内容を直感的に把握することができる。
【0061】
また、設定領域51は複数の小領域A1〜A13に区分されており、一つの小領域A1〜A13には共通の複数の印刷条件の条件値が対応付けられている。これにより、ユーザが設定領域51内における位置と設定される条件値との関係を把握しやすい。
【0062】
<実施形態2>
次に本発明の実施形態2について図7及び図8を参照して説明する。
図7は、印刷設定処理のフローチャートであり、図8は、印刷設定画面M3を示す図である。なお、プリンタ10及びコンピュータ20の構成は、図1と同様であり、説明を省略する。また図7,図8では、それぞれ図4,図5と同様の処理、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0063】
CPU21は、印刷設定処理を開始すると、図8に示す印刷設定画面M3を表示部26に表示させる(S201)。この印刷設定画面M3は、設定領域61、条件領域52、OKボタン53、キャンセルボタン54に加え、特別条件指定部62を備えている。
【0064】
設定領域61は、図5の設定領域51と同様に、全体として円形をなすとともに、3本の基準軸57A〜57Cを有しており、設定領域61上の位置が複数の印刷条件の条件値に対応付けられている。本例では、設定領域61上の位置と印刷条件の条件値とが図6の表と同様の関係で対応付けされるとする。但し、設定領域61は、図5の設定領域51とは異なり、小領域A1〜A13に区分して表示されていない。
【0065】
ユーザは、操作部25を用いてポインタ58を設定領域61上の位置に合わせてクリックすることで位置を指定することができる。CPU21は、設定領域61上で位置が指定されると、その位置に円形のマーク63を表示させる。
【0066】
特別条件指定部62では、図6に示した印刷条件とは別の特別印刷条件(特別処理条件の一例)の条件値を指定することができる。この例では、特別印刷条件として、使用する用紙の種類を「普通紙」「光沢紙」「インクジェット紙」「OHPシート」の条件値の中から選択することができる。これらの条件値は、それぞれ設定領域61上で対応する部分領域と非対応の部分領域とが定められている。
【0067】
例えば、「普通紙」の条件値は、部分領域65(小領域A2,A3,A8,A9に相当)に非対応であり、その他の部分領域66(小領域A1,A4〜A7,A10〜A13に相当)に対応している。非対応の部分領域65は、基準軸57Aに対し正方向の比較的端部寄りに位置しており、これは、普通紙を使用した場合には他の光沢紙等を使用した場合に比べて写真等の品質を確保しにくいことに基づいている。
【0068】
CPU21は、S201において印刷設定画面M3を表示した後、特別印刷条件の条件値が指定されたかを判断する(S301)。そして、特別印刷条件の条件値が指定された場合(S301:YES)には、その条件値を特定し、設定領域61において、特定された条件値に非対応の部分領域65と対応する部分領域66とを区別して表示(制限表示)させる(S302)。
【0069】
CPU21は、この非対応の部分領域65については、ポインタ58による指定を受け付けない。従って、特別印刷条件の条件値と対応しないような印刷条件の条件値が誤って設定されることが回避される。なお、非対応の部分領域65を対応する部分領域66と区別して表示すれば、非対応の部分領域65を指定できるようにすることもできる。
【0070】
次にCPU21は、設定領域61においてポインタ58により位置が指定された場合(S202:YES)には、指定された位置を特定し、その位置にマーク63を表示させ、さらにその位置に対応する条件値を図6の表から取得し、条件領域52において選択状態で表示させる(S203)。
【0071】
また、CPU21は、条件領域52において条件値が指定された場合(S204:YES)には、指定された条件値を特定し、特定された条件値に対応する位置(小領域A1〜A13)を図5の表から取得し、その位置(対応する小領域A1〜A13の中央位置)にマーク63を表示させる(S205)。
【0072】
例えば、図8に示すように、設定領域61においてマーク63Aの位置が指定されており、条件領域52においてマーク63Aに対応する印刷条件の各条件値が選択状態で表示された状態において、条件領域52の印刷解像度の条件値が「低い」から「普通」に変更された場合、変更後の印刷条件の条件値の組み合わせに対応する位置にマーク63Bを表示させ、現在のマーク63Aを消去する。
【0073】
その後、CPU21は、S206及びS208にてOKボタン53又はキャンセルボタン54が押下されたか否かを判断し、選択状態にある各印刷条件の条件値を確定された設定値としてRAM23に記憶し(S207)印刷設定処理を終了する、設定値を確定せずにこの印刷設定処理を終了する、又はS202に戻ってユーザによる次の操作の入力を待機する、のいずれかを実行する。
【0074】
以上のように本実施形態によれば、特別印刷条件の条件値に対応する設定領域51内における部分領域66と、対応しない部分領域65と、を区別可能に表示する。これにより、ユーザが指定した特別処理条件の条件値に対応しない設定領域61内における部分領域66を把握できるため、不適切な印刷条件の条件値が設定されるのを回避できる。
【0075】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0076】
(1)上記実施形態では、画像処理として印刷条件の設定を行うものを示したが、本発明は、画像処理として、例えばスキャンの読取条件、コピーの複写条件、ファクシミリ送信の読取条件や通信条件、(デジタルカメラの)画像撮影の撮影条件や撮影画像の保存条件などの処理条件の設定を行うものにも適用することができる。
【0077】
また、上記実施形態では、設定装置としてコンピュータで設定を行うものを示したが、本発明は、例えば設定装置として、例えば、スキャナ、コピー機、ファクシミリ、複合機、デジタルカメラ等の画像処理を行う機能を備えた様々な画像処理装置において設定を行うものにも適用することができる。
【0078】
例えば、本発明は、図1に示すプリンタ10(設定装置、画像処理装置の一例)に適用することができる。例えばCPU11(特定部、表示制御部、設定部の一例)がROM12に記憶されたプログラムに従って図4の印刷設定処理を実行する。そして、CPU11が、図5の印刷設定画面M2を表示部17に表示させ、操作部18から入力されるユーザの指示に従って印刷条件の設定を行い、設定された印刷条件に従って印刷部16により印刷を行う。
【0079】
(2)上記実施形態では、設定装置が表示部を備えるものを示したが、本発明によれば、表示部として、設定装置(画像処理装置)に接続された外部のモニタ等を用いることができる。
【0080】
(3)処理条件や条件値の内容は、上述のものに限らず、適宜変更することができる。また、上記実施形態では、印刷条件を3つの条件値のうちから選択可能なものを示したが、2つの条件値や4つ以上の条件値から選択可能としても良い。また、印刷条件の条件値は、数量などとしても良い。この場合、例えば、印刷条件の条件値を0.0〜10.0の間で変更可能とし、設定領域上において指定されたある基準軸に対する位置に応じて、数値を0.1単位で変化させる等のようにしても良い。
【0081】
(4)上記実施形態では、設定領域において位置が指定されると、条件領域において対応する条件値を表示し、逆に条件領域において条件値が指定されると、設定領域において対応する位置を表示するものを示したが、本発明によれば、設定領域において位置が指定されたときに、条件値を表示する条件領域を表示しなくても良く、また、条件領域上で条件値を指定できなくしても良い。さらに、本発明によれば、条件領域において条件値が指定された場合に設定領域において対応する位置を表示するが、設定領域上で条件値を指定できないようにしても良い。
【0082】
(5)本発明によれば、条件領域以外で印刷条件の条件値を指定できるようにしても良い。例えば、ワンクリックアイコンやお気に入りの設定を複数の印刷条件の条件値と対応付けて登録しておき、ユーザがその設定を選択したときに、対応付けられた印刷条件の条件値に対応する位置を設定領域上に表示させるようにしても良い。
【0083】
(6)上記実施形態では、条件領域において、各処理条件について選択可能な条件値を文字とアイコン画像とで示したが、本発明によれば、文字とアイコン画像とのうち一方のみで示しても良い。また、選択(指定)された条件値のみを示しても良い。また、設定領域と条件領域とを別の画面とし、例えば、設定領域において位置が指定されたときに、ポップアップ画面で対応する条件値を表示するようにしても良い。
【0084】
(7)上記実施形態では、設定領域上の位置または処理条件の条件値を選択した後、OKボタンを押下することで選択された条件値に基づいて設定が行われるが、設定領域上の位置または処理条件の条件値が選択された場合に即座に設定を行っても良い。
【0085】
(8)上記実施形態では、設定領域が円形のものを示したが、設定領域の形状は、四角形、その他の多角形など、適宜変更することができる。また、基準軸の本数は、2本としても良く、また4本以上としても良い。また、基準軸同士のなす角度や、基準軸の配置は適宜変更することができる。例えば、3本の基準軸を三角形に配置し、設定領域を三角グラフ状に構成しても良く、また、4本の基準軸を十字に配置しても良い。また、各基準軸が示す内容は、上述のものに限らず、適宜変更することができる。また、また設定領域の形状を変更することにより、小領域の数や形状も、上述のものに限らず、適宜変更することができる。
【0086】
尚、例えば、図5における小領域A4,A10、及び小領域A7,A13を組み合わせてそれぞれ一つの小領域とし、その他の小領域A1〜3,A5,A6,A8,A9,A11,A12はそのままの形にすることで、特定の基準軸(上記例であれば、基準軸57Cのコストの抑制を優先する度合いを示す指標)に対して荒い設定を可能としても良い。また逆に、特定の小領域のみを更に細かく区切ることで、特定の領域のみ細かい設定を可能としても良い。
【0087】
(9)上記実施形態では、基準軸を矢線で示したが、おおよその軸の位置と方向性が了解できるように表示すれば良く、例えば設定領域の色に対して色分けして表示しても良く、また、文字や記号で示しても良い。
【0088】
(10)上記実施形態では、設定領域上の位置に対応する処理条件の数が5つのものを示したが、それ以外の数としても良い。但し、位置を基準軸の数よりも多い処理条件に対応付けすることで、より多数の印刷条件を設定領域上の位置として示すことができる。
【0089】
(11)設定画面上のポインタ(カーソル)の操作は、ポインティングデバイスのみならず、例えばキーボードの十字キーなどで行っても良い。また、ポインタを設定領域の色に対する補色など、色差の大きい色で表示することで、ユーザがポインタを見つけ易くすることができる。
【0090】
(12)設定画面には、設定領域、あるいは条件領域において設定される処理条件以外の処理条件について設定するための部位を適宜設けることができる。
【0091】
(13)上記実施形態では、特別処理条件が、設定領域または条件領域において設定される印刷条件とは別のものを示したが、本発明によれば、特別処理条件は、設定領域または条件領域において設定される印刷条件と共通の処理条件としても良い。
【0092】
(14)上記実施形態では、特定部、表示制御部、設定部をいずれも同じCPUによって実現する例を示したが、本発明によれば、これらは、互いに別のCPU、若しくはASICやその他の回路によって構成することができる。
【符号の説明】
【0093】
10…プリンタ
11…CPU
16…印刷部
17…表示部
20…コンピュータ
21…CPU
26…表示部
51,61…設定領域
52…条件領域
57A〜57C…基準軸
65,66…部分領域
A1〜A13…小領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を処理するための処理条件を設定する設定装置であって、
互いに異なる角度を有する複数の基準軸で形成される設定領域を表示部に表示させる表示制御部と、
ユーザによって指示される前記設定領域内の指示位置を特定する特定部と、
前記設定領域内の位置と、複数の前記処理条件のための複数の条件値と、の対応関係であって、前記複数の処理条件の数は前記複数の基準軸の数よりも多い、前記対応関係に基づいて、前記指示位置に対応する前記複数の条件値を設定する設定部と、
を備える、設定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の設定装置において、
前記表示制御部は、前記指示位置に対応する前記複数の条件値を示す条件領域を前記表示部に表示させる、設定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の設定装置において、
前記特定部は、前記条件領域において前記複数の条件値をそれぞれ特定可能であって、
前記表示制御部は、前記条件領域において特定された条件値と特定されていない条件値とに対応する前記設定領域内におけるそれぞれの位置を区別可能に表示し、
前記設定部は、前記条件領域において指定された値を設定する、設定装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の設定装置において、
前記特定部は、前記複数の処理条件のうちの一部か若しくは前記複数の処理条件とは別の特別処理条件の条件値を特定可能であって、
前記表示制御部は、前記特定部により特定された前記特別処理条件の条件値に対応する前記設定領域内における部分領域と、対応しない前記設定領域内における部分領域と、を区別可能に表示する、設定装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の設定装置において、
前記設定領域は複数の小領域に区分されており、一つの小領域には共通の複数の条件値が対応付けられている、設定装置。
【請求項6】
画像を処理するための処理条件を設定する設定装置であって、
複数の処理条件のための複数の条件値をそれぞれ特定する特定部と、
互いに異なる角度を有する複数の基準軸で形成される設定領域を表示部に表示させ、前記特定された条件値と特定されていない条件値とに対応する前記設定領域内におけるそれぞれの位置を区別可能に表示する表示制御部と、
前記設定領域内の位置と、複数の前記処理条件のための複数の条件値と、の対応関係であって、前記複数の処理条件の数は前記複数の基準軸の数よりも多い、前記対応関係に基づいて、前記複数の条件値を設定する設定部と、
を備える、設定装置。
【請求項7】
画像処理の処理条件を設定する画像処理装置であって、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の設定装置と、
前記設定された処理条件の値に従って画像処理を行う画像処理部と、
を備える、画像処理装置。
【請求項8】
表示部に接続されたコンピュータに画像を処理するための処理条件を設定させるプログラムであって、
前記コンピュータに、
互いに異なる角度を有する複数の基準軸で形成される設定領域を前記表示部に表示させる表示制御処理と、
ユーザによって指示される前記設定領域内における指示位置を特定する特定処理と、
前記設定領域内の位置と、複数の前記処理条件のための複数の条件値と、の対応関係であって、前記複数の処理条件の数は前記複数の基準軸の数よりも多い、前記対応関係に基づいて、前記指示位置に対応する前記複数の条件値を設定する設定処理と、
を実行させる、プログラム。
【請求項9】
表示部に接続されたコンピュータに画像を処理するための処理条件を設定させるプログラムであって、
前記コンピュータに、
複数の処理条件のための複数の条件値をそれぞれ特定する特定処理と、
互いに異なる角度を有する複数の基準軸で形成される設定領域を前記表示部に表示させ、前記特定された条件値と特定されていない条件値とに対応する前記設定領域内におけるそれぞれの位置を区別可能に表示する表示制御処理と、
前記設定領域内の位置と、複数の前記処理条件のための複数の条件値と、の対応関係であって、前記複数の処理条件の数は前記複数の基準軸の数よりも多い、前記対応関係に基づいて、前記複数の条件値を設定する設定処理と、
を実行させる、プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−14229(P2012−14229A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147224(P2010−147224)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】