説明

設置用電界通信装置

【課題】ゲート通過時における通過人の誤認証を低減すること。
【解決手段】ゲート3の側面に第1の設置電極11aおよび第2の設置電極11bを通過人Aの進行方向に沿って隣接配置し、対向配置された第1の電極72aと第2の電極72bとから正極性の信号と負極性の信号とをそれぞれ出力する携帯用電界通信装置7を所持した通過人Aがゲート3を通過する場合に、第1の設置電極11aおよび第2の設置電極11bで各信号を電界により受信し、受信した信号差に基づく差動信号を出力し、出力された差動信号を復調して受信すべき情報に復元して、差動信号の強度が第1の設置電極11a又は第2の設置電極11bで受信した信号の強度よりも強い場合に復元した受信すべき情報を有効な情報として処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極から電界を電界伝達媒体に誘起して電界通信を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電界伝達媒体に対して送信すべき情報に基づく電界を誘起させ、また、電界伝達媒体に誘起された電界を検出して通信を行う電界通信装置が提案されている(特許文献1を参照)。
【0003】
ここで、このような従来の電界通信装置を改札や店舗等の入退場口(以下、ゲートという)に利用した従来の設置用電界通信装置について説明する。図27は、ゲートを通過する通過人の識別情報等を取得している状態を示す上面図である。この設置用電界通信装置1は、ゲート3の内部又は外部に設置され、通過人Aが通過する側のゲート3の側面一領域に設置された設置電極11に電気的に接続されると共に、送信された情報をシステム上位として処理するパソコン等の情報処理装置(不図示)に通信可能に接続されている。なお、設置用電界通信装置1において電界を電界伝達媒体に誘起して情報の送受を行う処理については特許文献1で説明されたものと同様であるため、説明は省略する。
【0004】
一方、通過人Aに所持される携帯用電界通信装置7は、図28に示すように、電界を電界伝達媒体に誘起する第1の電極72aおよび第2の電極72bを携帯用電界通信装置7の外形を形成している筐体の対向表面にそれぞれ配置し、内部に格納されたトランシーバ71により、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起して電界通信を行うことが可能となっている。
【0005】
ここで、このような携帯用電界通信装置7を所持した通過人Aがゲート3の側面を近接通過した場合には、通過人Aと設置電極11との間に電界の伝送経路として作用する浮遊容量Cが形成される(図27参照)。対向配置された第1の電極72aおよび第2の電極72bから通過人Aの識別情報が極性の異なる信号(正極性信号および負極性信号)として断続的又は継続的に出力されているため、設置用電界通信装置1は、電界伝達媒体として作用する通過人Aと浮遊容量Cとに基づく伝送経路(図27の点線矢印)を介して第1の電極72aから送信された正極性信号及び/又は第2の電極72bから送信された負極性信号を設置電極11で受信し、受信すべき情報(通過人Aの識別情報等)に復調した後に、後段の情報処理装置に送信することになる。
【0006】
なお、この後段の情報処理装置は、送信された通過人Aの識別情報を用いて認証し、ゲート通過に対する許可不許可を判定(認証成功の場合には許可と判定し、認証不成功の場合には不許可と判定)し、不許可の場合には通過を拒否する拒否信号を出力して、通過人Aによるゲート3の通過を阻止することを実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−274452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、敷地内外への通過口として設けられたゲート3には複数人が連続して通過する場合が多く、現在通過している通過人Aの次に通過する通過人Bが通過人Aに近づいた場合には、図29に示すように、通過人Bの所持する携帯用電界通信装置7bと通過人Aとの間に浮遊容量C’が形成され、通過人Aが所持する携帯用電界通信装置7aとの間で形成された伝送経路W1の他に、通過人Bの携帯用電界通信装置7bとの間にも浮遊容量C’と通過人Aと浮遊容量Cとに基づく伝送経路W2が形成されてしまうため、携帯用電界通信装置7bから放射される電界が通過人Aを介して設置電極11に伝達されてしまい、誤った通信が行われるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、ゲート通過時における通過人の誤認証を低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の本発明は、送信すべき情報に基づいて極性の異なる信号を異なる電極から電界によりそれぞれ出力する携帯用電界通信装置を所持した移動体が通過するゲートに利用される設置用電界通信装置において、前記移動体を通じて前記携帯用電界通信装置から出力された信号を電界により受信するように前記ゲートに設置された第1の設置電極および第2の設置電極と、前記第1の設置電極で受信した信号と前記第2の設置電極で受信した信号との差を求めて差動信号として出力する差動手段と、前記差動信号を復調して受信すべき情報に復元する復調手段と、前記差動信号の強度と基準強度とを比較して、前記差動信号の強度が前記基準強度よりも強い場合に前記受信すべき情報を有効な情報として処理する受信可否判定手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、移動体を通じて携帯用電界通信装置から出力された極性の異なる信号を電界により受信する第1の設置電極および第2の設置電極をゲートに設置し、第1の設置電極で受信した信号と第2の設置電極で受信した信号との差を求めて差動信号として出力し、差動信号を復調して受信すべき情報に復元し、差動信号の強度と第1の設置電極で受信した信号の強度とを比較して、差動信号の強度が第1の設置電極で受信した信号の強度よりも強い場合に復元した受信すべき情報を有効な情報として処理するため、ゲート通過時における通過人の誤認証を低減することができる。
【0012】
請求項2に記載の本発明は、前記第1の設置電極および前記第2の設置電極でそれぞれ受信した各信号の振幅が所定値になるまで利得を調整する利得調整手段を更に有し、前記差動手段は、調整された各信号を用いて前記信号の差を求めることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、第1の設置電極および第2の設置電極でそれぞれ受信した各信号の振幅が所定値になるまで利得を調整し、調整された各信号を用いて信号の差を求めるため、ゲート通過時における通過人の誤認証をより確実に低減することができる。
【0014】
請求項3に記載の本発明は、前記携帯用電界通信装置から出力される前記極性の異なる信号は、振幅又は位相を変化させた期間を有するプリアンブルが付加された信号であって、前記第1の設置電極および前記第2の設置電極でそれぞれ受信した各信号のプリアンブルで振幅又は位相が変化する際に前記利得調整手段の出力で生じた過渡現象が当該各信号波形の上りで発生するか又は下りで発生するかに基づいて前記各信号の極性をそれぞれ検知する極性検知手段を更に有し、前記受信可否判定手段は、検知された各信号の極性が異なる場合に前記受信すべき情報を有効な情報として処理することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、第1の設置電極および第2の設置電極でそれぞれ受信した各信号のプリアンブルで振幅又は位相が変化する際に前記利得調整手段の出力で生じた過渡現象が当該各信号波形の上りで発生するか又は下りで発生するかに基づいて各信号の極性をそれぞれ検知し、検知された各信号の極性が異なる場合に受信すべき情報を有効な情報として処理するため、受信した信号が正しい伝送経路を経由したか否かを確実に把握することができる。
【0016】
請求項4に記載の本発明は、前記極性検知手段が、前記利得調整手段で調整された前記信号を入力すると共に、当該信号の振幅が振幅のプラス側において前記所定値に到達するか否かの判定に用いる第1の閾値を入力し、入力された前記信号が前記第1の閾値を超える場合にはHレベル信号を出力し、前記第1の閾値を超えない場合にはLレベル信号を出力する第1の比較手段と、前記利得調整手段で調整された前記信号を入力すると共に、当該信号の振幅が振幅のマイナス側において前記所定値に到達するか否かの判定に用いる第2の閾値を入力し、入力された前記信号が前記第2の閾値を超える場合にはHレベル信号を出力し、前記第2の閾値を超えない場合にはLレベル信号を出力する第2の比較手段と、前記第1の比較手段の出力を入力信号とし、前記第2の比較手段の出力を当該入力信号に対するイネーブル信号に用いて、前記イネーブル信号がHレベルの場合に前記入力信号の立上りでHレベル信号を可否判定用信号として出力し、前記イネーブル信号がLレベルの場合にLレベル信号を可否判定用信号として出力する検出手段と、を有することを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の本発明は、前記極性検知手段が、前記利得調整手段で調整された前記信号を入力すると共に、当該信号の振幅が振幅のプラス側において前記所定値に到達するか否かの判定に用いる第1の閾値を入力し、入力された前記信号が前記第1の閾値を超える場合にはHレベル信号を出力し、前記第1の閾値を超えない場合にはLレベル信号を出力する第1の比較手段と、前記利得調整手段で調整された前記信号を入力すると共に、当該信号の振幅が振幅のマイナス側において前記所定値に到達するか否かの判定に用いる第2の閾値を入力し、入力された前記信号が前記第2の閾値を超える場合にはHレベル信号を出力し、前記第2の閾値を超えない場合にはLレベル信号を出力する第2の比較手段と、前記第1の比較手段の出力を入力信号とし、前記第2の比較手段の出力を当該入力信号に対するイネーブル信号に用いて、前記入力信号の数をカウントしていき、前記イネーブル信号がLレベルの場合には前記カウント数をクリアし、前記カウント数が2の場合には当該カウント数がクリアされてもHレベル信号を可否判定用信号として出力し続ける検出手段と、を有することを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の本発明は、前記第1の設置電極および前記第2の設置電極が、前記通過人が前記ゲートを通過した際に前記携帯用電界通信装置から出力された前記極性の異なる信号をそれぞれ受信するように前記ゲートの側面に配置されていることを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の本発明は、前記ゲートは通過路を挟んで対向する2つの側面を有し、前記第1の設置電極は一方のゲートの側面に配置され、前記第2の設置電極は他方のゲートの側面に前記第1の設置電極に対向しないように配置されていることを特徴とする。
【0020】
請求項8に記載の本発明は、前記第2の設置電極で受信した信号の雑音成分を除去して、信号成分を増幅する遠隔信号処理手段を当該第2の設置電極が配置された側の前記ゲートに有することを特徴とする。
【0021】
請求項9に記載の本発明は、前記ゲートは通過路を挟んで対向する2つの側面を有し、前記第1の設置電極および前記第2の設置電極は、前記2つの側面に配置されていることを特徴とする。
【0022】
請求項10に記載の本発明は、一方の前記ゲートの側面に配置された前記第1の設置電極および前記第2の設置電極からそれぞれ出力された信号の差を求めて第2の差動信号として出力する遠隔信号処理手段を当該ゲートに有し、 当該差動信号と、他方の前記ゲートの側面に配置された前記第1の設置電極および前記第2の設置電極からそれぞれ出力された信号の差から求められた第1の差動信号とを合成する信号合成手段を当該ゲートに有することを特徴とする。
【0023】
請求項11に記載の本発明は、前記信号合成手段が、一方の前記ゲートの側面に配置された前記第1の設置電極からの信号と他方の前記ゲートの側面に配置された前記第1の設置電極からの信号とが同じ極性になるように合成し、一方の前記ゲートの側面に配置された前記第2の設置電極からの信号と他方の前記ゲートの側面に配置された前記第2の設置電極からの信号とが同じ極性になるように合成することを特徴とする。
【0024】
請求項12に記載の本発明は、前記受信可否判定手段が、前記差動信号の強度が前記基準強度よりも強い場合に受信可能信号を出力し、前記差動信号の強度が前記基準強度よりも弱い場合に前記受信可能信号を出力せず、前記受信可能信号の出力の有無に応じて異なる制御を行う制御手段を更に有することを特徴とする。
【0025】
請求項13に記載の本発明は、前記基準強度が、前記第1の設置電極で受信した信号強度であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ゲート通過時における通過人の誤認証を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】一実施例に係る設置用電界通信装置の機能ブロック構成を示す図である。
【図2】各設置電極で受信する信号カバーエリアを示す図である。
【図3】1人の通過人がゲートを通過する正常時の状態を示す図である。
【図4】複数の通過人がゲートを通過する異常時の状態を示す図である。
【図5】上記実施例における変形例1の演算処理部の機能ブロック構成を示す図である。
【図6】上記実施例における変形例2の演算処理部の機能ブロック構成を示す図である。
【図7】変形例2の携帯用電界通信装置から出力される信号列(振幅変調あり)を模式的に示す図である。
【図8】第1の極性検知部および第2の極性検知部に入力される信号列を模式的に示す図である。
【図9】振幅が徐々にゼロになる振幅の立下り時で検知する場合における第1の極性検知部の機能ブロック構成を示す図である。
【図10】振幅の立下り時で検知する場合における第1の極性検知部の各機能部から出力される信号波形を示す図である。
【図11】振幅の立下り時で検知する場合における第2の極性検知部の各機能部から出力される信号波形を示す図である。
【図12】変形例2の携帯用電界通信装置から出力される信号列(位相変調あり)を模式的に示す図である。
【図13】第1の極性検知部および第2の極性検知部に入力される信号列を模式的に示している。
【図14】位相を変化させた場合における第1の極性検知部の機能ブロック構成を示す図である。
【図15】位相を変化させた場合における第1の極性検知部の各機能部から出力される信号波形を示す図である。
【図16】位相を変化させた場合における第2の極性検知部の各機能部から出力される信号波形を示す図である。
【図17】グランド電極を使用した設置例を示す図である。
【図18】グランド電極を使用した設置例を示す図である。
【図19】第1の設置電極および第2の設置電極の設置例を示す図である。
【図20】機能分離した場合の変形例を示す図である。
【図21】機能分離後の設置用電界通信装置の機能ブロック構成を示す図である。
【図22】遠隔信号処理部の機能ブロック構成を示す図である。
【図23】第1の設置電極および第2の設置電極の設置例を示す図である。
【図24】他の変形例を示す図である。
【図25】図24の場合における設置用電界通信装置の機能ブロック構成を示す図である。
【図26】図24の場合における遠隔信号処理部の機能ブロック構成を示す図である。
【図27】従来の設置用電界通信装置を示す図である。
【図28】携帯用電界通信装置の構成を示す図である。
【図29】従来の設置用電界通信装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施する一実施の形態について図面を用いて説明する。
【0029】
図1は、一実施例に係る設置用電界通信装置の機能ブロック構成を示す図である。本設置用電界通信装置1は、改札や店舗等の出入口に設置されたゲート3の内部又は外部に設けられるものであって、第1の設置電極11aと、第2の設置電極11bと、演算処理部12と、復調部13と、トランシーバ制御部14と、変調部15と、受信可否判定部16とで構成されている。以下、これら各機能部の構成や機能について説明する。
【0030】
第1の設置電極11aは、通過人Aがゲート3を通過する通過側のゲート3の側面一領域に配置され、通過人Aがゲート3の側面を近接通過した際に通過人Aとの間に形成される浮遊容量と電界伝達媒体として作用する通過人Aとを介して、通過人Aが所持する携帯用電界通信装置7から送信される信号を電界により受信する機能を有している。
【0031】
第2の設置電極11bは、通過人Aがゲート3を通過した際に第1の設置電極11aの次に現れるように進行方向に沿って第1の設置電極11aに隣接配置され、第1の設置電極11aの有する上記機能と同様に、通過人Aがゲート3の側面を近接通過した際に通過人Aとの間に形成される浮遊容量と電界伝達媒体として作用する通過人Aとを介して、通過人Aが所持する携帯用電界通信装置7から送信される信号を電界により受信する機能を有している。
【0032】
演算処理部12は、第1の送受切替スイッチ121aと、第2の送受切替スイッチ121bと、差動増幅・フィルタ部122と、出力部123とで構成されている。
【0033】
第1の送受切替スイッチ121aは、第1の設置電極11aに接続された電極用端子a1と、差動増幅・フィルタ部122に接続された受信用端子b1と、出力部123に接続された送信用端子c1とを有し、トランシーバ制御部14からの制御信号Sの内容(内容については後述する)に応じて、電極用端子a1の接続先を受信用端子b1又は送信用端子c1に切り替える機能を有している。
【0034】
第2の送受切替スイッチ121bは、第2の設置電極11bに接続された電極用端子a2と、差動増幅・フィルタ部122に接続された受信用端子b2と、出力部123に接続された送信用端子c2とを有し、第1の送受切替スイッチ121aの有する上記機能と同様に、トランシーバ制御部14からの制御信号Sの内容に応じて、電極用端子a2の接続先を受信用端子b2又は送信用端子c2に切り替える機能を有している。
【0035】
差動増幅・フィルタ部122は、第1の送受切替スイッチ121aの受信用端子b1および第2の送受切替スイッチ121bの受信用端子b2に接続され、両送受切替スイッチを介して第1の設置電極11aおよび第2の設置電極11bで受信した信号の差を増幅し、雑音成分等を取り除いた後に、差動信号として出力する機能を有している。
【0036】
出力部123は、第1の送受切替スイッチ121aの送信用端子c1および第2の送受切替スイッチ121bの送信用端子c2に接続され、変調部15で変調された信号(情報処理装置から送信される情報を変調した信号)を第1の設置電極11aおよび第2の設置電極11bから出力する機能を有している。具体的には、変調された信号を反転および非反転して、後述する携帯用電界通信装置7と同様に、非反転の信号を正極性信号として第1の設置電極11aから出力し、反転した信号を負極性信号として第2の設置電極11bから出力する。
【0037】
復調部13は、差動増幅・フィルタ部122から出力された差動信号を検出し、検出された差動信号を復調して受信すべき情報に復元する機能を有している。
【0038】
受信可否判定部16は、差動増幅・フィルタ部122から出力された差動信号の信号強度が受信すべき強度か否かを判定し、受信すべき強度以上であれば受信可能信号をトランシーバ制御部14に出力する機能を有している。
【0039】
トランシーバ制御部14は、設置用電界通信装置1が信号を受信する場合には、電極用端子a1を受信用端子b1に接続させる制御信号Sを第1の送受切替スイッチ121aに与えると共に、電極用端子a2を受信用端子b2に接続させる制御信号Sを第2の送受切替スイッチ121bに与え、受信可否判定部16から受信可能信号が出力されている場合に復調部13で復調された受信すべき情報を情報処理装置に送信する機能を有している。一方、設置用電界通信装置1から信号を他の電界通信装置に送信する場合には、電極用端子a1を送信用端子c1に接続させる制御信号Sを第1の送受切替スイッチ121aに与えると共に、電極用端子a2を送信用端子c2に接続させる制御信号Sを第2の送受切替スイッチ121bに与え、情報処理装置から送信された情報を変調部15に送信する機能を有している。
【0040】
変調部15は、トランシーバ制御部14を通じて情報処理装置から送信された情報を変調し、変調された信号を出力部123に出力する機能を有している。
【0041】
なお、設置用電界通信装置1において第1の設置電極11aおよび第2の設置電極11bから電界を電界伝達媒体に誘起して情報の送受を行う処理については特許文献1で説明されたものと同様であるため、説明は省略する。
【0042】
次に、本実施例における設置用電界通信装置1の処理動作について説明する。なお、通過人Aが所持している携帯用電界通信装置7は、図28を用いて説明したように、送信すべき情報(以下、一例として、通過人Aの識別情報という)に基づく電界を電界伝達媒体に誘起して電界通信を行うトランシーバ71を内部に有し、送信すべき情報を所定の周波数で変調して、一方の極性の信号(以下、正極性信号という)を第1の電極72aから出力し、他方の極性の信号(以下、負極性信号という)を第1の電極72aに対向配置された第2の電極72bから出力しているものとする。また、通過人Aは、そのような携帯用電界通信装置7を、第1の電極72aを内側(体のある側)に向け、第2の電極72bを外側(体のない側)に向けた状態で所持しているものとする。
【0043】
ここで、通過人Aがゲート3を近接通過した場合、図2に示すように、携帯用電界通信装置7の第1の電極72aから出力される正極性信号で電界通信する電界通信エリアは第1の設置電極11aをカバーし、第2の電極72bから出力される負極性信号で電界通信する電界通信エリアは第2の設置電極11bをカバーすることになる。
【0044】
これにより、第1の設置電極11aは、電界伝達媒体としての通過人Aと通過人Aとの間に形成された浮遊容量C1とに基づく伝送経路W1aを介して正極性信号を受信し、第2の設置電極11bは、第2の電極72bとの間に形成された浮遊容量C2に基づく伝送経路W1bを介して負極性信号を受信することになる。
【0045】
その後、差動増幅・フィルタ部122は、第1の送受切替スイッチ121aを通じて第1の設置電極11aで受信した正極性信号を受け取ると共に、第2の送受切替スイッチ121bを通じて第2の設置電極11bで受信した負極性信号を受け取り、受け取った正極性信号と負極性信号との差をとって増幅した後に、差動信号として出力する。
【0046】
ここで、通過人Aのみがゲート3を通過する正常時の状態を図3に示し、通過人Aの次に通過しようとしている通過人Bが通過人Aに近接して通過する異常時の状態を図4に示す。
【0047】
図3に示す正常時の場合には、第1の電極72aから出力された正極性信号を通過人Aおよび浮遊容量C1を介して第1の設置電極11aで受信し、第2の電極72bから出力された負極性信号を浮遊容量C2を介して第2の設置電極11bで受信するため、第1の設置電極11aでの電位Vrcv1と第2の設置電極11bでの電位Vrcv2との差を求めると、いずれか一方のみを受信した場合よりも信号は強められることになる。
【0048】
一方、図4に示す異常時の場合には、通過人Aと通過人Bが所持する携帯用電界通信装置7の第2の電極72bとの間に浮遊容量C’が更に形成されるため、通過人Bが所持する携帯用電界通信装置7の第2の電極72bから出力された負極性信号も浮遊容量C’と通過人Aと浮遊容量C1と浮遊容量C2とを介して第1の設置電極11aおよび第2の設置電極11bに送信される。各設置電極で受信した信号の極性は同じであるため、第1の設置電極11aでの電位Vrcv1と第2の設置電極11bでの電位Vrcv2との差を求めると、いずれか一方のみを受信した場合よりも信号は弱められることになる。
【0049】
したがって、差動増幅・フィルタ部122は、正常時には、正極性信号又は負極性信号のいずれか一方の信号の信号強度よりも強い差動信号を出力し、異常時には、正極性信号又は負極性信号のいずれか一方の信号の信号強度よりも弱い差動信号を出力することになる。
【0050】
その後、受信可否判定部16は、予め設定された信号強度、又は第1の設置電極11a若しくは第2の設置電極11bで受信した信号強度を基準強度として、その基準強度に対する差動信号の強度の強弱に応じてトランシーバ制御部14に受信可能信号を出力し、通過人の認証の可否を判断する。具体的には、受信可否判定部16は、差動信号の強度と基準強度とを比較して、差動信号の強度が基準強度よりも強い場合には、1人の通過人のみが正常にゲート3を通過し、その通過人に関する一つの識別情報が送信されたもの(正常な伝送経路を経由してきたもの)と判断して、トランシーバ制御部14に受信可能信号を出力する。トランシーバ制御部14では、復調された通過人Aの識別情報を上位の情報処理装置に送信して、この識別情報に基づいて通過人を認証する。一方、差動信号の強度が基準強度よりも弱い場合には、トランシーバ制御部14に受信可能信号を出力することなく、複数の通過人がゲート3を通過し、複数の識別情報が送信されたものと判断し、又はゲート3を現在通過している通過人以外の通過人の識別情報が送信されたもの(誤った伝送経路を経由してきたもの)と判断して、通過エラーを通過人に警告し、ゲート3を再び通過をする旨を所定の画面表示装置や音声出力装置で通知する。必要に応じて、警告装置、警備会社等に警告信号を送信するようにしてもよい。なお、差動信号の強度が基準強度よりも弱い場合にトランシーバ制御部14に受信可能信号を出力しないことに代えて、積極的に受信不可信号をトランシーバ制御部14に出力するようにしてもよい。
【0051】
以上より、本実施例によれば、ゲート3の側面に第1の設置電極11aおよび第2の設置電極11bを通過人Aの進行方向に沿って隣接配置し、対向配置された第1の電極72aと第2の電極72bとから正極性の信号と負極性の信号とをそれぞれ出力する携帯用電界通信装置7を所持した通過人Aがゲート3を通過する場合に、第1の設置電極11aおよび第2の設置電極11bで各信号を電界により受信し、受信した信号差に基づく差動信号を出力し、出力された差動信号を復調して受信すべき情報に復元し、差動信号の強度と基準強度とを比較して、差動信号の強度が基準強度よりも強い場合に復元した受信すべき情報を有効な情報として処理するので、ゲート通過時における通過人の誤認証を低減することができる。
【0052】
上述の説明では、携帯用電界通信装置7におけるトランシーバ71の第1の電極72aと第2の電極72bとから、それぞれ異なる極性の信号を出力することを前提に説明したが、第1の電極72aがトランシーバ71内部の信号を出力する回路(不図示)に接続され、第2の電極72bがトランシーバ71内部の回路グランド(不図示)に接続されていても、第1の電極72aと第2の電極72bとからそれぞれ出力される信号の極性が異なることは同じである。
【0053】
トランシーバ71の回路グランドに接続された第2の電極72bは設置用電界通信装置1の回路グランドと接続されておらずゼロ電位に固定されていないため、設置用電界通信装置1の回路グランド(不図示)を基準にするとトランシーバ71における送信時の第2の電極72bの電位は第1の電極72aの電位と逆の極性で変化している。この変化が浮遊容量C2又は浮遊容量C’を介して第2の設置電極11bや通過人Aに伝達する。
【0054】
したがって、第1の電極72aがトランシーバ71内部の信号を出力する回路に接続され、第2の電極72bがトランシーバ71内部の回路グランドに接続されていたとしても、上述した効果によりゲート通過時における通過人の誤認証を低減することができる。
【0055】
〔変形例1〕
次に、本実施例の変形例1について説明する。図5は、上記実施例における変形例1の演算処理部の機能ブロック構成を示す図である。図1に示した演算処理部12の機能ブロック構成に対して、第1の自動可変利得増幅・フィルタ部124aと、第2の自動可変利得増幅・フィルタ部124bとを更に備えている。その他の各機能部については、上記実施例で説明したものと同様である。
【0056】
第1の自動可変利得増幅・フィルタ部124aは、第1の送受切替スイッチ121aの受信用端子b1と差動増幅・フィルタ部122との間に接続され、第1の送受切替スイッチ121aを介して第1の設置電極11aで受信した正極性信号の振幅が微弱等の不安定な場合であっても一定の安定的な出力が得られるように、所定の振幅値になるまで自動的に利得(増幅率)を調整する機能を有している。より具体的には、平均出力信号レベルを入力側にフィードバックすることにより、利得を入力信号レベルに対して適切な範囲になるように調整している。
【0057】
また、第2の自動可変利得増幅・フィルタ部124bは、第2の送受切替スイッチ121bの受信用端子b2と差動増幅・フィルタ部122との間に接続され、第2の送受切替スイッチ121bを介して第2の設置電極11bで受信した負極性信号の振幅が微弱等の不安定な場合であっても、第1の自動可変利得増幅・フィルタ部124aの有する上記機能と同様に、一定の安定的な出力が得られるよう自動的に利得を調整して所定の振幅になるまで信号を増幅する機能を有している。
【0058】
そして、差動増幅・フィルタ部122は、第1の自動可変利得増幅・フィルタ部124aおよび第2の自動可変利得増幅・フィルタ部124bでそれぞれ調整された各信号を用いて信号差を求め、差動信号として出力する。
【0059】
なお、このような自動可変利得増幅・フィルタ部としては、例えば、AGC(Automatic Gain Control)回路を用いることができる。
【0060】
その後、受信可否判定部16は、差動増幅・フィルタ部122から出力された差動信号の信号強度が受信すべき強度か否かを判定し、受信すべき強度以上であれば受信可能信号を出力する。
【0061】
図1を用いて説明した実施例において第1の設置電極11aと第2の設置電極11bとで受信した信号強度の差が大きい場合では、誤った伝送経路を経由した信号を受信しても差動信号の信号強度が大きくなるので、正しい伝送経路を経由した信号を受信した場合との区別が困難である。
【0062】
これに対し、本変形例1では、各自動可変利得増幅・フィルタ部で強度が調整された各信号を用いて信号差を求めるので、第1の設置電極11aと第2の設置電極11bとで受信した信号強度の差が大きい場合であっても、正しい伝送経路を経由した信号を受信した場合と誤った伝送経路を経由した信号を受信した場合との差動信号強度の差を大きくすることが可能となる。
【0063】
したがって、図1に示した実施例よりも正確に判定することが可能となり、ゲート通過時における通過人の誤認証をより確実に低減することができる。
【0064】
〔変形例2〕
次に、本実施例の変形例2について説明する。図6は、上記実施例における変形例2の演算処理部の機能ブロック構成を示す図である。図5に示した変形例1の演算処理部12の機能ブロック構成に、第1の自動可変利得増幅・フィルタ部124aから出力された信号の極性を検知する第1の極性検知部125aと、第2の自動可変利得増幅・フィルタ部124bから出力された信号の極性を検知する第2の極性検知部125bとを更に備えている。その他の各機能部については、上記実施例および変形例1で説明したものと同様である。
【0065】
本変形例2で説明する携帯用電界通信装置7は、上記実施例および変形例1と同様に正極性信号および負極性信号を出力するが、設置用電界通信装置1で受信した信号の極性を検知可能にするため、少なくともプリアンブルを各信号にそれぞれ付加して出力する。具体的には、所定の周波数の信号で構成される信号列を少なくともプリアンブルとして使用し、その所定の周波数の信号を送信すべき情報で変調した信号を当該プリアンブルに付加した信号列を出力し、その信号列の出力時においてプリアンブルの振幅や位相を変化(変調)させている。
【0066】
図7は、変形例2の携帯用電界通信装置7から出力される信号列(振幅変調あり)を模式的に示している。横軸は時間を表し、縦軸は振幅又は電位を表し、出力された信号列(プリアンブルを含む正極性の信号列およびプリアンブルを含む負極性の信号列)の波をブロックで表現している。上述したように、携帯用電界通信装置7から出力されるプリアンブルには、所定の周波数の信号の振幅をゼロに抑制する期間が設けられている。
【0067】
図8は、第1の極性検知部125aおよび第2の極性検知部125bに入力される信号列を模式的に示している。図7と同様に、横軸は時間を表し、縦軸は振幅又は電位を表し、各極性検知部に入力される信号列(プリアンブルを含む正極性の信号列およびプリアンブルを含む負極性の信号列)の波をブロックで表現している。
【0068】
第1の自動可変利得増幅・フィルタ部124aおよび第2の自動可変利得増幅・フィルタ部124bにより、受信した信号列の振幅が所定の振幅値になるまで増幅されるため、プリアンブルにおいて振幅がゼロになる以前の期間では、所定の周波数の信号の振幅は上記所定の振幅値になるまで次第に増加する(図8に示すA)。
【0069】
その後、プリアンブルで振幅がゼロの期間になるときには、第1の自動可変利得増幅・フィルタ部124aおよび第2の自動可変利得増幅・フィルタ部124bの出力で生じる過渡現象により、所定の周波数の信号の振幅は徐々に小さくなり(図8に示すB)、ゼロの期間を経過した後には、やはり同様の過渡現象により所定の周波数の信号の振幅は徐々に大きくなる(図8に示すC)。振幅がゼロの期間では、それ以外の期間と異なり、振幅が変化しているときの1周期の波形は中心電圧に対して非対称となっている。
【0070】
続いて、第1の極性検知部125aおよび第2の極性検知部125bの構成および動作について説明する。図9は、振幅が徐々にゼロになる振幅の立下り時で検知する場合における第1の極性検知部125aの機能ブロック構成を示す図である。第1の極性検知部125aは、第1の比較器1251aと、第2の比較器1251bと、立上りエッジ検出回路1252と、サンプラー1253とを備えている。なお、第2の極性検知部125bも同様の機能ブロック構成を備えている。
【0071】
第1の比較器1251aは、第1の自動可変利得増幅・フィルタ部124aで調整された所定の振幅の信号列を入力すると共に、その信号列の振幅が振幅のプラス側において当該所定の振幅に到達するか否かを判定するための第1の閾値を入力し、入力した信号列と第1の閾値とを比較して、入力した信号列が第1の閾値を超える場合にはHレベル信号を出力し、入力した信号列が第1の閾値を超えない場合にはLレベル信号を出力する機能を有している。
【0072】
第2の比較器1251bは、第1の自動可変利得増幅・フィルタ部124aで調整された所定の振幅の信号列を入力すると共に、その信号列の振幅が振幅のマイナス側において当該所定の振幅に到達するか否かを判定するための第2の閾値を入力し、入力した信号列と第2の閾値とを比較して、入力した信号列が第2の閾値を超える場合にはHレベル信号を出力し、入力した信号列が第2の閾値を超えない場合にはLレベル信号を出力する機能を有している。
【0073】
立上りエッジ検出回路1252は、第1の比較器1251aからの出力を入力信号とし、第2の比較器1251bからの出力を当該入力信号に対するイネーブル信号に用いて、イネーブル信号がHレベルのときに入力信号の立上りでHレベル信号を出力し、イネーブル信号がLレベルになると内部状態をクリアしてLレベル信号を出力する機能を有している。
【0074】
サンプラー1253は、極性の検知を開始するための振幅検波信号(サンプル信号)の有無に応じて、立ち上がりエッジ検出回路1252からの信号を第1の可否判定用信号としてサンプリング出力する機能を有している。
【0075】
なお、立上りエッジ検出回路1252およびサンプラー1253の内部状態は、外部からの起動・停止信号によりクリアされるものとする。
【0076】
続いて、各極性検知部の動作につて説明する。図10は、振幅の立下り時で検知する場合における第1の極性検知部125aの各機能部から出力される信号波形を示す図である。一方、図11は、振幅の立下り時で検知する場合における第2の極性検知部125bの各機能部から出力される信号波形を示す図である。
【0077】
過渡現象が起きていない期間では第1の閾値を超える期間と第2の閾値を下回る期間とが交互に表れ、立上りエッジ検出回路1252は、入力された信号列が第1の閾値を超えたときにHレベル信号を出力し、第2の閾値を下回ったときにLレベル信号を出力する。
【0078】
ここで、入力された信号列が正極性の場合、当該信号列は、プリアンブルでの信号の振幅がゼロになった時に、第1の閾値を超えたのを最後に第1の閾値と第2の閾値との間の電圧となる(図10の最上段の波形参照)。このとき、立上りエッジ検出回路1252には第2の比較器1251bからのイネーブル信号がHレベルのまま入力され続けるため、立上りエッジ検出回路1252は、Hレベルの第1の可否判定用信号を出力し続けることになる。
【0079】
そして、入力された正極性の信号列の振幅が十分に小さくなったときに振幅検波信号が立下るように第1の極性検知部125aの内部で遅延をかけ、振幅検波信号の立下りで立上りエッジ検出回路1252の出力をサンプリングするようにしておくことにより、サンプラー1253からHレベルの第1の可否判定用信号を得ることができる。
【0080】
一方、入力された信号列が負極性の場合、当該信号列は、プリアンブルでの振幅がゼロになった時に、第2の閾値を下回ったを最後に第1の閾値と第2の閾値との間の電圧となる(図11の最上段の波形参照)。このとき、立上りエッジ検出回路1252は、Lレベルの第2の可否判定用信号を出力し続けることになるため、サンプラー1253からLレベルの第2の可否判定用信号を得ることができる。
【0081】
すなわち、以上の構成を有し上記動作を行う第1の極性検知部125aから出力された第1の可否判定用信号と、同様の構成および処理を行う第2の極性検知部125bから出力された第2の可否判定用信号との信号レベルを検知することにより、受信した信号列の極性を把握することが可能となる。具体的には、Hレベルの場合(信号が検知される場合)は正極性の信号列とし、Lレベルの場合(信号が検知されない場合)は負極性の信号列とする。
【0082】
これにより、受信可否判定部16は、第1の極性検知部125aと第2の極性検知部125bとからそれぞれ出力された第1の可否判定用信号と第2の可否判定用信号とが反対の極性(HレベルとLレベル)であれば正常な伝送経路の信号と判断し、受信可能信号を出力する。この後、トランシーバ制御部14は、復調部13で復調された受信すべき情報を情報処理装置に送信する。一方、第1の可否判定用信号と第2の可否判定用信号とが同じ極性(HレベルとHレベル、又はLレベルとLレベル)であれば、誤った伝送経路の信号と判断して、受信可能信号を出力しない。この後、トランシーバ制御部14は、復調された受信すべき情報を破棄等する。
【0083】
すなわち、本実施例2では、携帯用電界通信装置7から出力される正極性および負極性の各信号に所定の周波数の信号をプリアンブルとしてそれぞれ付加し、付加された正極性および負極性の各信号列が出力される際にプリアンブルの信号列の振幅をゼロに変化させ、携帯用電界通信装置7から送信された正極性の信号列および負極性の信号列の波形が中心電圧に対して反転した形状である特徴と、プリアンブルで振幅がゼロになる際に第1の自動可変利得増幅・フィルタ部124aおよび第2の自動可変利得増幅・フィルタ部124bの出力で生じた過渡現象に基づいて変化した各信号列の波形が中心電圧に対して非対称である特徴とに基づいて、換言すれば、プリアンブルで設けられた振幅ゼロの期間による各自動可変利得増幅・フィルタ部の出力で生じる過渡現象が各信号列の波形の上り(図8参照)で発生するか又は下り(図8参照)で発生するかに基づいて信号列の極性を検知し、検知された各信号列の極性が異なる場合に受信すべき情報を有効な情報として処理するので、受信した信号が正しい伝送経路を経由したか否かを確実に把握することができる。
【0084】
なお、振幅がゼロから徐々に小さくなる振幅の立下り時に代えて、徐々に大きくなる振幅の立上り時(図8参照)で検知するようにしても同様の効果を得ることができる。
【0085】
これまで、プリアンブルで使用される所定の周波数の信号の振幅を変化させた場合について説明したが、以下では、信号の位相を変化させた場合について説明する。
【0086】
図12は、変形例2の携帯用電界通信装置7から出力される信号列(位相変調あり)を模式的に示している。横軸は時間を表し、縦軸は振幅又は電位を表し、出力された信号列(プリアンブルを含む正極性の信号列およびプリアンブルを含む負極性の信号列)の波をブロックで表現している。上述したように、携帯用電界通信装置7から出力されるプリアンブルには、所定の周波数の信号の位相を180°変化させた期間が設けられている。
【0087】
図13は、第1の極性検知部125aおよび第2の極性検知部125bに入力される信号列を模式的に示している。図12と同様に、横軸は時間を表し、縦軸は振幅又は電位を表し、各極性検知部に入力される信号列(プリアンブルを含む正極性の信号列およびプリアンブルを含む負極性の信号列)の波をブロックで表現している。
【0088】
第1の自動可変利得増幅・フィルタ部124aおよび第2の自動可変利得増幅・フィルタ部124bにより、受信した信号列の利得が所定の振幅値になるまで増幅されるため、プリアンブルにおいて位相が180°変化する以前の期間では、所定の周波数の信号の振幅は上記所定の振幅になるまで次第に増加する(図13に示すA)。
【0089】
その後、プリアンブルで位相が変化した箇所では、第1の自動可変利得増幅・フィルタ部124aおよび第2の自動可変利得増幅・フィルタ部124bの出力で生じる過渡現象により、所定の周波数の信号の振幅は徐々に小さくなり(図13に示すB)、その位相変化箇所を経過した後には、やはり同様の過渡現象により所定の周波数の信号の振幅は徐々に大きくなる(図13に示すC)。振幅が変化しているときの1周期の波形は中心電圧に対して非対称となっている。
【0090】
続いて、第1の極性検知部125aおよび第2の極性検知部125bの構成および動作について説明する。図14は、位相を変化させた場合における第1の極性検知部125aの機能ブロック構成を示す図である。第1の極性検知部125aは、第1の比較器1251aと、第2の比較器1251bと、2進カウンタ1254とを備えている。なお、第2の極性検知部125bも同様の機能ブロック構成を備えている。
【0091】
第1の比較器1251aおよび第2の比較器1251bは、図9に示した第1の比較器1251aおよび第2の比較器1251bと同様の機能を有している。
【0092】
2進カウンタ1254は、第1の比較器1251aからの出力を入力信号とし、第2の比較器1251bからの出力を当該入力信号に対するイネーブル信号に用いて、入力信号のパルス数をカウントしていき、イネーブル信号がLレベルになるとカウント数をクリアし、カウント数が2になると出力をHレベルにし、イネーブル信号がLレベルになるとカウント数をクリアするが、カウント数が2の後でクリアされてもHレベルの出力を第1の可否判定用信号として保持する機能を有している。なお、2進カウンタ1254は、起動信号の入力前(停止信号入力時)では内部状態をクリアし、出力をLレベルに固定する。
【0093】
続いて、各極性検知部の動作につて説明する。図15は、位相を変化させた場合における第1の極性検知部125aの各機能部から出力される信号波形を示す図である。一方、図16は、位相を変化させた場合における第2の極性検知部125bの各機能部から出力される信号波形を示す図である。
【0094】
位相が変化する前では、第1の閾値を超える期間と第2の閾値を下回る期間とが交互に表れるため、2進カウンタ1254でのカウント数は2になることはない。
【0095】
ここで、入力された信号列が正極性の場合、当該信号列は、位相が変化する箇所の前後で第1の閾値を越える期間が連続するため(図15の最上段の波形参照)、2進カウンタ1254のカウント数が2となり、Hレベルの第1の可否判定用信号を出力することになる。
【0096】
一方、入力された信号列が負極性の場合、当該信号列は、位相が変化する箇所の前後で第2の閾値を下回る期間が連続し、第1の閾値を越える期間が連続しないため(図16の最上段の波形参照)、2進カウンタのカウント数は2になることはなく、Lレベルの第2の可否判定用信号を出力することになる。
【0097】
すなわち、位相を変調させた場合であっても、携帯用電界通信装置7から出力される正極性および負極性の各信号に所定の周波数の信号をプリアンブルとしてそれぞれ付加し、プリアンブルに180°位相を変化させた箇所を設け、携帯用電界通信装置7から送信された正極性の信号列および負極性の信号列の波形が中心電圧に対して反転した形状である特徴と、プリアンブルで振幅がゼロになる際に第1の自動可変利得増幅・フィルタ部124aおよび第2の自動可変利得増幅・フィルタ部124bの出力で生じた過渡現象に基づいて変化した各信号列の波形が中心電圧に対して非対称である特徴とに基づいて、換言すれば、プリアンブルで設けられた180°位相が異なる箇所による過渡現象が各信号列の波形の上り(図13参照)で発生するか又は下り(図13参照)で発生するかに基づいて信号列の極性を検知し検知された各信号の極性が異なる場合に受信すべき情報を有効な情報として処理するので、波長を変化させた場合と同様に、受信した信号が正しい伝送経路を経由したか否かを確実に把握することができる。
【0098】
なお、180°位相を変化させた場合を一例に説明したが、その他45°や90°位相を変化させた場合であっても位相が異なる箇所では過渡現象が発生するため、同様に信号列の極性を検知することは可能である。
【0099】
以上の実施例では、第1の設置電極11aおよび第2の設置電極11bのみを用いていたが、図17に示すように、グランド電極17を設置用電界通信装置1に更に具備させることも可能である。このグランド電極17は、第1の設置電極11aと第2の設置電極11bとを覆うように(各設置電極に対向するように)通過路の反対側(図17の右側)に配置され、設置用電界通信装置1の回路グランド(不図示)に接続されている。グランド電極17を用いることにより、受信時には反対側からの電界を受信せず、送信時には反対側に電界を送信しないため、より確実に誤認証を防ぐことができる。なお、図17では1枚のグランド電極を使用したが、図18に示すように第1の設置電極11aと第2の設置電極11bとのそれぞれに対になるように2枚のグランド電極17を使用してもよい。
【0100】
次に、第1の設置電極11aおよび第2の設置電極11bの設置方法について説明する。上記実施例では、通過人が通過する通過路の一方側にのみゲート3を設置し、その1つのゲート3の側面に第1の設置電極11aおよび第2の設置電極11bを隣接配置したが、一対の設置電極のうち、一方を通過路の左側前方、他方を右側後方に対向しないようにずらして配置することも可能である。具体的には、図19に示すように、通過路を挟んで対向するようにゲート3a,3bを設置し、第1の設置電極11aを、携帯用電界通信装7から出力された一方の極性の信号を受信するようにゲート3aの側面後方に配置し、第2の設置電極11bを、他方の極性の信号を受信するようにゲート3bの側面前方に配置する。
【0101】
図19では、第2の設置電極11bを設置用電界通信装置1に直接接続しているが、図20に示すように、設置用電界通信装置1の機能の一部を遠隔信号処理部18として設置用電界通信装置1から分離し、第2の設置電極11bと機能分離後の設置用電界通信装置1’との間に遠隔信号処理部18を接続して、当該遠隔信号処理部18をゲート3bに設置してもよい。この場合の構成例を図21および図22に示す。
【0102】
図21は、機能分離後の設置用電界通信装置の機能ブロック構成を示す図である。機能分離後の設置用電界通信装置1’は、図1に示した設置用電界通信装置1から第2の送受切替スイッチ121bが分離されると共に、第1の送受切替スイッチ121aと差動増幅・フィルタ部122との間に接続された増幅・フィルタ部126aを更に備えている。
【0103】
図22は、遠隔信号処理部の機能ブロック構成を示す図である。遠隔信号処理部18は、図1に示した設置用電界通信装置1から分離された第2の送受切替スイッチ121bと、第2の送受切替スイッチ121bの送信用端子c2に接続され、変調部15で変調された信号を第2の設置電極11bから出力する出力部123bと、第2の送受切替スイッチ121bと設置用電界通信装置1’の差動増幅・フィルタ部122との間に接続された増幅・フィルタ部126bを更に備えている。
【0104】
受信時には、設置用電界通信装置1’では、第1の送受切替スイッチ121aの電極用端子a1と受信用端子b1とが接続され、第1の設置電極11aからの信号の雑音成分が増幅・フィルタ部126aにより除去され、信号成分のみ増幅される。また、遠隔信号処理部18では、第2の送受切替スイッチ121bの電極用端子a2と受信用端子b2とが接続され、第2の設置電極11bからの信号の雑音成分が増幅・フィルタ部126bにより除去され、信号成分のみ増幅される。そして、設置用電界通信装置1’の差動増幅・フィルタ部122は、増幅・フィルタ部126aおよび増幅・フィルタ部126bからそれぞれ出力された出力信号の差を求め差動信号として出力する。
【0105】
雑音の大きい環境下で使用する場合では、各設置電極と設置用電界通信装置との間の線路(ケーブル)が長いほど雑音が混入しやすい。このため、第1の設置電極11aよりも遠くに配置された第2の設置電極11bと設置用電界通信装置1’との間に遠隔信号処理部18を設け、当該遠隔信号処理部18の内部に増幅・フィルタ部126bを設け、更には設置用電界通信装置1’の内部にも増幅・フィルタ部126aを設けた図20〜図22に示す構成の方が、図19に示した構成よりも信号対雑音比が大きくなり、より正確に受信信号強度を検知できる。認証すべき受信信号と誤認証として扱うべき受信信号をより確実に見分けるためには、受信信号強度が正確な方がよいため、雑音の大きい環境下では図20に示す構成の方が好ましい。
【0106】
なお、図21および図22で示した増幅・フィルタ部126a,126bを、図5に示した第1の自動可変利得増幅・フィルタ部124aと第2の自動可変利得増幅・フィルタ部124bとにしてもよい。また、増幅・フィルタ部126a,126bを、図6に示した第1の自動可変利得増幅・フィルタ部124aと第2の自動可変利得増幅・フィルタ部124bと第1の極性検知部125aと第2の極性検知部125bとにした構成にしてもよい。その場合には、遠隔信号処理部18に第2の自動可変利得増幅・フィルタ部124bと第2の極性検知部125bとを設ける。
【0107】
また、図20に示す構成の場合であっても、図18に示したように、第1の設置電極11aと第2の設置電極11bとのそれぞれに対になるようにグランド電極17を使用することも可能である。
【0108】
図23に示すように、二対の電極を用い、一方の一対を通過路の左側、他方の一対を通過路の右側に配置することも可能である。一対の設置電極を通過路の左右に配置しているので、一方の一対の設置電極で信号を受信し損なった場合であっても、他方の一対の設置電極で信号を受信するので、信号受信の確実性を向上することができる。また、携帯用電界通信装置7から各設置電極までの通信距離の変動を抑制し、認識率を向上させると共に、誤認証を低減することが可能となる。
【0109】
二対の電極を用いる場合においても、図24に示すように、設置用電界通信装置1を設置用電界通信装置1’と遠隔信号処理部18とに分け、一対の設置電極と設置用電界通信装置1’との間に遠隔信号処理部18を接続し、当該遠隔信号処理部18をゲート3b側に設置してもよい。この場合の構成例を図25および図26に示す。
【0110】
図25は、図24の場合における設置用電界通信装置の機能ブロック構成を示す図である。この設置用電界通信装置1’は、図1に示した設置用電界通信装置1に、設置用電界通信装置1’の差動増幅・フィルタ部122aと遠隔信号処理部18の差動増幅・フィルタ部122a(後述)とから出力された信号を合成する信号合成部127を更に備えている。
【0111】
図26は、図24の場合における遠隔信号処理部の機能ブロック構成を示す図である。遠隔信号処理部18は、第1の送受切替スイッチ121a’と、第2の送受切替スイッチ121b’と、出力部123bと、差動増幅・フィルタ部122bとを備えている。それら各機能部は、設置用電界通信装置1’の備える各機能部の機能と同様の機能を有している。
【0112】
受信時には、設置用電界通信装置1’では、差動増幅・フィルタ部122aにより、ゲート3aに配置された第1の設置電極11aおよび第2の設置電極11bからの信号に含まれる雑音成分が除去され、それぞれの信号成分の差分が第1の差動信号として出力する。また、遠隔信号処理部18では、差動増幅・フィルタ部122bにより、ゲート3bに配置された第1の設置電極11aおよび第2の設置電極11bからの信号に含まれる雑音成分が除去され、それぞれの信号成分の差分を第2の差動信号として出力する。そして、信号合成部127では、ゲート3aの第1の設置電極11aからの信号とゲート3bの第1の設置電極11aからの信号とが同じ極性になるように信号を合成し、さらに、ゲート3aの第2の設置電極11bからの信号とゲート3bの第2の設置電極11bからの信号とが同じ極性になるように信号を合成して出力する。この信号処理により、図24に示す構成は、図1および図23に示した構成を網羅した構成となり、このような構成であっても誤認証を低減することができる。
【0113】
さらに、図24に示す構成の場合であっても、図17に示したようにグランド電極17を使用することも可能である。
【符号の説明】
【0114】
1…設置用電界通信装置
1’…機能分離後の設置用電界通信装置
3,3a,3b…ゲート
7,7a,7b…携帯用電界通信装置
11…設置電極
11a…第1の設置電極
11b…第2の設置電極
12…演算処理部
121a…第1の送受切替スイッチ
121b…第2の送受切替スイッチ
122…差動増幅・フィルタ部(差動手段)
123、123a、123b…出力部
124a…第1の自動可変利得増幅・フィルタ部(利得調整手段)
124b…第2の自動可変利得増幅・フィルタ部(利得調整手段)
125a…第1の極性検知部(極性検知手段)
1251a…第1の比較器(第1の比較手段)
1251b…第2の比較器(第2の比較手段)
1252…立上りエッジ検出回路(検出手段)
1253…サンプラー
1254…2進カウンタ(検出手段)
125b…第2の極性検知部(極性検知手段)
126a,126b…増幅・フィルタ部
127…信号合成部(信号合成手段)
13…復調部(復調手段)
14…トランシーバ制御部(制御手段)
15…変調部
16…受信可否判定部(受信可否判定手段)
17…グランド電極
18…遠隔信号処理部
71…トランシーバ
72a…第1の電極
72b…第2の電極
A,B…通過人
C,C’,C1,C2…浮遊容量
W1,W1a,W1b,W2…伝送経路
S…制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信すべき情報に基づいて極性の異なる信号を異なる電極から電界によりそれぞれ出力する携帯用電界通信装置を所持した移動体が通過するゲートに利用される設置用電界通信装置において、
前記移動体を通じて前記携帯用電界通信装置から出力された信号を電界により受信するように前記ゲートに設置された第1の設置電極および第2の設置電極と、
前記第1の設置電極で受信した信号と前記第2の設置電極で受信した信号との差を求めて差動信号として出力する差動手段と、
前記差動信号を復調して受信すべき情報に復元する復調手段と、
前記差動信号の強度と基準強度とを比較して、前記差動信号の強度が前記基準強度よりも強い場合に前記受信すべき情報を有効な情報として処理する受信可否判定手段と、
を有することを特徴とする設置用電界通信装置。
【請求項2】
前記第1の設置電極および前記第2の設置電極でそれぞれ受信した各信号の振幅が所定値になるまで利得を調整する利得調整手段を更に有し、
前記差動手段は、調整された各信号を用いて前記信号の差を求めることを特徴とする請求項1に記載の設置用電界通信装置。
【請求項3】
前記携帯用電界通信装置から出力される前記極性の異なる信号は、振幅又は位相を変化させた期間を有するプリアンブルが付加された信号であって、
前記第1の設置電極および前記第2の設置電極でそれぞれ受信した各信号のプリアンブルで振幅又は位相が変化する際に前記利得調整手段の出力で生じた過渡現象が当該各信号波形の上りで発生するか又は下りで発生するかに基づいて前記各信号の極性をそれぞれ検知する極性検知手段を更に有し、
前記受信可否判定手段は、検知された各信号の極性が異なる場合に前記受信すべき情報を有効な情報として処理することを特徴とする請求項2に記載の設置用電界通信装置。
【請求項4】
前記極性検知手段は、
前記利得調整手段で調整された前記信号を入力すると共に、当該信号の振幅が振幅のプラス側において前記所定値に到達するか否かの判定に用いる第1の閾値を入力し、入力された前記信号が前記第1の閾値を超える場合にはHレベル信号を出力し、前記第1の閾値を超えない場合にはLレベル信号を出力する第1の比較手段と、
前記利得調整手段で調整された前記信号を入力すると共に、当該信号の振幅が振幅のマイナス側において前記所定値に到達するか否かの判定に用いる第2の閾値を入力し、入力された前記信号が前記第2の閾値を超える場合にはHレベル信号を出力し、前記第2の閾値を超えない場合にはLレベル信号を出力する第2の比較手段と、
前記第1の比較手段の出力を入力信号とし、前記第2の比較手段の出力を当該入力信号に対するイネーブル信号に用いて、前記イネーブル信号がHレベルの場合に前記入力信号の立上りでHレベル信号を可否判定用信号として出力し、前記イネーブル信号がLレベルの場合にLレベル信号を可否判定用信号として出力する検出手段と、
を有することを特徴とする請求項3に記載の設置用電界通信装置。
【請求項5】
前記極性検知手段は、
前記利得調整手段で調整された前記信号を入力すると共に、当該信号の振幅が振幅のプラス側において前記所定値に到達するか否かの判定に用いる第1の閾値を入力し、入力された前記信号が前記第1の閾値を超える場合にはHレベル信号を出力し、前記第1の閾値を超えない場合にはLレベル信号を出力する第1の比較手段と、
前記利得調整手段で調整された前記信号を入力すると共に、当該信号の振幅が振幅のマイナス側において前記所定値に到達するか否かの判定に用いる第2の閾値を入力し、入力された前記信号が前記第2の閾値を超える場合にはHレベル信号を出力し、前記第2の閾値を超えない場合にはLレベル信号を出力する第2の比較手段と、
前記第1の比較手段の出力を入力信号とし、前記第2の比較手段の出力を当該入力信号に対するイネーブル信号に用いて、前記入力信号の数をカウントしていき、前記イネーブル信号がLレベルの場合には前記カウント数をクリアし、前記カウント数が2の場合には当該カウント数がクリアされてもHレベル信号を可否判定用信号として出力し続ける検出手段と、
を有することを特徴とする請求項3に記載の設置用電界通信装置。
【請求項6】
前記第1の設置電極および前記第2の設置電極は、
前記通過人が前記ゲートを通過した際に前記携帯用電界通信装置から出力された前記極性の異なる信号をそれぞれ受信するように前記ゲートの側面に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の設置用電界通信装置。
【請求項7】
前記ゲートは通過路を挟んで対向する2つの側面を有し、
前記第1の設置電極は一方のゲートの側面に配置され、前記第2の設置電極は他方のゲートの側面に前記第1の設置電極に対向しないように配置されていることを特徴とする請求項6に記載の設置用電界通信装置。
【請求項8】
前記第2の設置電極で受信した信号の雑音成分を除去して、信号成分を増幅する遠隔信号処理手段を当該第2の設置電極が配置された側の前記ゲートに有することを特徴とする請求項7に記載の設置用電界通信装置。
【請求項9】
前記ゲートは通過路を挟んで対向する2つの側面を有し、
前記第1の設置電極および前記第2の設置電極は、
前記2つの側面に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の設置用電界通信装置。
【請求項10】
一方の前記ゲートの側面に配置された前記第1の設置電極および前記第2の設置電極からそれぞれ出力された信号の差を求めて第2の差動信号として出力する遠隔信号処理手段を当該ゲートに有し、
当該差動信号と、他方の前記ゲートの側面に配置された前記第1の設置電極および前記第2の設置電極からそれぞれ出力された信号の差から求められた第1の差動信号とを合成する信号合成手段を当該ゲートに有することを特徴とする請求項9に記載の設置用電界通信装置。
【請求項11】
前記信号合成手段は、
一方の前記ゲートの側面に配置された前記第1の設置電極からの信号と他方の前記ゲートの側面に配置された前記第1の設置電極からの信号とが同じ極性になるように合成し、
一方の前記ゲートの側面に配置された前記第2の設置電極からの信号と他方の前記ゲートの側面に配置された前記第2の設置電極からの信号とが同じ極性になるように合成することを特徴とする請求項10に記載の設置用電界通信装置。
【請求項12】
前記受信可否判定手段は、
前記差動信号の強度が前記基準強度よりも強い場合に受信可能信号を出力し、前記差動信号の強度が前記基準強度よりも弱い場合に前記受信可能信号を出力せず、
前記受信可能信号の出力の有無に応じて異なる制御を行う制御手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の設置用電界通信装置。
【請求項13】
前記基準強度は、
前記第1の設置電極で受信した信号強度であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の設置用電界通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2011−199393(P2011−199393A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61309(P2010−61309)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】