説明

設計データ管理システム

【課題】設計データの変更が発生した場合、実際の変更前に変更予定を通知する設計データ管理システムを提供する。
【解決手段】構成データサーバ1は、設計データの属性情報からなる構成データを、その設計データとリンクして、製品毎に登録する。図面登録サーバ2は設計データを登録する。登録端末3は、構成データを構成データサーバ1に登録し、設計データを図面登録サーバ2に登録する。参照端末4は構成データ及び設計データを参照する。構成データサーバ1は、構成データが変更された場合、その変更の前後における構成データの差分に基づいて、変更されるべき設計データについての変更情報を抽出し、その変更情報を予定通知として設計データの変更に先立って参照端末4に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計データ管理システムに関し、特に、設計データの変更が発生した場合、実際の変更前に変更予定を通知する設計データ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業等においては、製品の設計部門が作成した図面等の設計データを、製造部門等の他の部門が利用することが行われる。このために、設計部門等の各々の部門に備えたサーバをネットワークにより接続することにより、データ管理システムが構築される。
【0003】
例えば、LAN(Local Area Network)にデータ管理システムを接続し、設計部門のサーバの有する図面DB(データベース)に格納された設計データの一部を、他の部門のサーバの有する図面DBに転送することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−232313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製品が実際に市販されるまでには、種々の事情により、製品の設計の変更が複数回繰り返される場合がある。このように設計変更が発生した場合、例えば、設計部門が、その都度、当該設計変更に伴う図面等の設計データを改版(変更)し、当該改版された設計データを当該サーバの図面DBに登録し、その後、製造部門等の他の部門に通知する。
【0005】
製造部門等の他の部門は、この通知を受けて、初めて設計データの改版を知る。このため、製造部門等の他の部門では、図面等の設計データが実際に改版された後に、当該改版についての対応を始めることになる。この結果、製造部門等の他の部門における当該改版についての対応の完了に時間がかかるという問題がある。
【0006】
この問題は設計データに限られない。即ち、製品についていずれかの部門で作成された何らかの電子的なデータ(以下、設計データ)を、当該部門以外の部門において利用する場合においても、同様の問題がある。
【0007】
本発明は、設計データの変更が発生した場合、実際の変更前に変更予定を通知する設計データ管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の設計データ管理システムは、設計データを登録し、前記設計データの属性情報である構成データを当該設計データとリンクして製品毎に登録するサーバと、前記構成データ及び設計データを前記サーバに登録する第1の端末と、前記構成データ及び設計データを参照する第2の端末と、これらの間を接続するネットワークとからなる。前記サーバが、前記第1の端末により前記構成データが変更されたことを検出した場合、当該変更の前後における当該構成データの差分に基づいて、当該変更されるべき設計データについての変更情報を抽出し、当該変更情報を予定通知として当該設計データの変更に先立って前記第2の端末に送信する。
【0009】
また、好ましくは、本発明の設計データ管理システムにおいて、前記サーバが、当該構成データが変更された場合に前記予定通知を送信すべき第2の端末を示す宛先情報を備える。
【0010】
また、好ましくは、本発明の設計データ管理システムにおいて、前記設計データが図面又は資料からなり、前記構成データが当該図面又は資料の版数を含む。
【0011】
また、好ましくは、本発明の設計データ管理システムにおいて、前記サーバが、第1のサーバ及び第2のサーバからなり、前記第1のサーバが前記構成データを登録し、前記第2のサーバが前記設計データを登録し、前記第1のサーバが、前記構成データが変更されたことを検出し、前記変更情報を抽出して前記第2の端末に送信する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の設計データ管理システムによれば、設計データと構成データとをリンクして登録しておき、構成データが変更されたことを検出し、当該構成データの差分に基づいて、当該設計データの変更に先立って、その変更情報を第2の端末に送信する。これにより、設計データの変更が発生した場合、設計データの実際の変更前に、設計データの変更予定があることを、第2の端末が存在する他の部門に通知することができる。この通知により、当該他の部門は、当該変更に迅速に対応することができる。
【0013】
例えば、設計変更が発生した場合、設計部門は、図面又は資料等の設計データの変更に先立って、構成データである例えば図面又は資料の版数情報等を変更する。本発明は、この点に着目して、この版数情報が変更された時点で、設計データを変更する者の負担無しで、当該変更を検出し、この検出に基づいて、設計データの変更に先立って、当該変更を製造部門に通知することができる。製造部門は、この通知を受けて、設計データの変更(登録の完了)に先立って、事前に当該変更についての種々の準備等の対応を開始することができ、当該変更に迅速に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1及び図2は、本発明の設計データ管理システムの構成の一例を示す。設計データ管理システムは、図1に示すように、構成データサーバ1、図面登録サーバ2、登録端末3、参照端末4、これらの間を接続するネットワーク5からなる。ネットワーク5は、例えばインターネット、社内のLAN(Local Area Network)等からなる。
【0015】
構成データサーバ1は、当該設計データの構成データを製品毎に登録(保持)し、例えばウェブ(Web)上で公開するコンピュータである。構成データは設計データの属性情報からなる。図面登録サーバ2は、設計データを登録し、例えばウェブ上で公開するコンピュータである。設計データは、図面又は資料からなる。図面は例えば設計図等の画像データからなり、資料は例えば設計図の説明書等のテキストデータからなる。
【0016】
なお、この例では、設計データ及び構成データを登録する(登録する)サーバが、構成データサーバ1、図面登録サーバ2の2個のサーバ(コンピュータ)からなるが、図1に一点鎖線で示すように、構成データサーバ1及び図面登録サーバ2を1個のサーバ(コンピュータ)としても良い。
【0017】
構成データサーバ1は、図2に示すように、データベース(DB)11を備え、このDB11に製品マスターテーブル12及び構成データテーブル13を備える。製品マスターテーブル12は、製品についての基本的なデータであるマスターデータを製品毎に登録する。構成データテーブル13は、構成データを登録する。なお、図面登録サーバ2がDBを備え、これに設計データを登録するようにしても良い。
【0018】
構成データテーブル13に登録された構成データは、図2に示すように、図面登録サーバ2に登録された当該図面又は資料の各々とリンクされる。即ち、構成データは対応する設計データとリンク付けられ、これにより、一対の構成データ及び設計データが広義(上位)の設計データを構成する。
【0019】
1個の構成データからは1個の図面に対してリンクが張られる。即ち、構成データと図面とは1対1に対応する。これに対して、1個の資料に対するリンクは複数の構成データから張られる場合がある。即ち、構成データと資料とは、1対Nに対応する(場合がある)。これは、例えば、複数の図面についての説明書を1個にまとめて作成された資料(例えば、説明書)は、当該複数の図面が改版される都度に改版する必要があるので、これに応じて複数の構成データからリンクする必要があるためである。
【0020】
登録端末3は、設計者の指示入力に従って、構成データを構成データサーバ1の構成データテーブル13に登録し、図面又は資料(即ち、設計データ)を図面登録サーバ2に登録する。参照端末4は、製造技術者の指示入力に従って、構成データサーバ1に登録された構成データ及び図面登録サーバ2に登録された図面又は資料を参照する。これらは、前述のように、ウェブ上で公開されているので、これを介して参照される。
【0021】
登録端末3及び参照端末4は、製品の企画、設計、製図、検査等の各々の工程(部門)に対応して設けられる利用者端末(又はクライアント)である。この例では、設計データを登録する登録端末3は設計部門に設けられ、設計データを参照する参照端末4は製造部門に設けられる。
【0022】
マスターデータは、例えば企画部門の技術者が、その利用者端末(図示せず)から、製品毎に作成し、構成データサーバ1の製品マスターテーブル12に登録する。製品マスターテーブル12の構成の一例を、図3に示す。
【0023】
製品マスターテーブル12は、図3に示すように、製品番号毎かつ(製品)版数毎に、個々のマスターデータを格納する。例えば、製品番号「1」という製品の製品版数「第2版」について、そのマスターデータが格納される。これらの一方でも異なれば、構成データが異なる。マスターデータは、製品名、製品シリーズ、関係者G(グループ)等の情報からなる。これにより、製品番号毎及び版数毎に、製品名、製品シリーズ、関係者G等の情報からなるマスターデータが格納される。
【0024】
関係者Gは、当該構成データが変更された場合に、対応する設計データが変更されることを予告する予定通知を送信すべき参照端末4を示す宛先情報である。予定通知は電子メールにより送信されるので、宛先情報は電子メールのアドレスからなる。関係者Gは、予定通知を送信すべき複数の電子メールアドレスを含む。
【0025】
構成データは、設計者が、登録端末3から、マスターデータに従って、製品毎に作成し、構成データサーバ1の構成データテーブル13に登録する。構成データテーブル13の構成の一例を、図4に示す。
【0026】
構成データテーブル13は、図4に示すように、製品番号(即ち、製品)毎かつ(製品の)版数毎かつ図面番号毎かつ図面版数毎に、個々の構成データを格納する。例えば、製品番号「1」という製品の製品版数「第2版」の図面番号「3」の図面版数「第4版」について、その構成データが格納される。これらのいずれか1個でも異なれば、構成データが異なる。構成データは、連番、図面名、登録者等の情報からなる。これにより、製品番号毎、版数毎、図面番号毎及び図面版数毎に、連番、図面名、登録者等の情報からなる構成データを格納する。
【0027】
製品番号、版数、図面番号及び図面版数自体も構成データの一部である。従って、構成データは当該図面版数を含む。構成データが、他の情報、例えば当該図面の追加、修正、削除のような当該図面の操作情報を含むようにしても良い。
【0028】
構成データは、図4に示すように、実体ファイルパスを含む。実体ファイルパスは、当該構成データが対応する図面又は資料(設計データ)の実体である当該図面又は資料を格納するファイルが存在する図面登録サーバ2上の位置(アドレス)を示す。即ち、実体ファイルパスは、構成データから図面又は資料に対して張られたリンクである。実際には、実体ファイルパスは、ウェブ上で公開された当該ファイルへ到達するまでのパス(経路)を記述したデータからなる。
【0029】
構成データは、以下のようにして変更される。例えば、ある製品の試作品を完成すると、その時点では、その設計データと構成データとが作成され、公開されている。この試作品について検討を重ねて、これに基づいて、設計データを変更して、市販品を製作することにする。そこで、設計者が、登録端末3から、設計データの変更に先立って、当該製品の構成データを変更し、構成データサーバ1の構成データテーブル13に登録し、公開する。
【0030】
これに応じて、構成データサーバ1が、登録端末3により構成データが変更された場合、この変更に基づいて、当該変更の前後における当該構成データの差分に基づいて、当該変更されるべき図面又は資料についての変更情報を抽出する。この後、構成データサーバ1が、当該変更情報を含む改版予定通知を、当該図面又は資料の変更に先立って、参照端末4に電子メール(改版予定通知メール)により送信する。これにより、参照端末4の設置された製造部門は、改版予定通知メールを受信することにより、当該製品の変更の準備を開始する。
【0031】
図5(A)は改版予定通知メールの一例を示す。改版予定通知メールは、部分Aに示す予定通知文と、部分Bに示す差分リストとからなる。予定通知文は、「製品:○○○の図面が・・・確認できます。」と言う文章からなる。差分リストは、図面名称、図面番号、旧版の版数と新版の版数及び公開予定日のリストからなる。予定通知文は、「製品:○○○」の図面が「改版される予定」であることを通知する。従って、当該予定が、図面名称、図面番号、旧版の版数と新版の版数及び公開予定日と共に、通知される。また、予定通知文は、図6に示す構成一覧表を閲覧することができるURLを含む。
【0032】
構成データサーバ1は、予定通知文の雛形(図示せず)を予め備え、当該変更された(登録された)構成データの製品番号を用いて製品マスターテーブル12を検索して当該製品名を取得して、これを当該雛形に埋め込むことにより、予定通知文を作成する。構成一覧表のURLは製品番号毎かつ(製品番号の)版数毎に予め定められる。
【0033】
また、構成データサーバ1は、差分リストの雛形(図示せず)を予め備え、当該登録された構成データに基づいて、図面名称(図面名)、図面番号、旧版の版数及び新版の版数、公開予定日を取得して、これを当該雛形に埋め込むことにより、差分リストを作成する。この時、新版の版数としては、当該構成データの図面版数(後述する作成中版の版数)が用いられる。また、旧版の版数としては、例えば(新版の図面版数−1、即ち、後述する登録された最新版の版数)の値が用いられる。
【0034】
改版予定通知メールは、当該改版された図面が公開される日(公開予定日)「6月18日」より早い「6月12日」に通知されている。従って、この改版予定通知メールを見た利用者は、当該改版の準備を開始することができ、また、当該改版の影響する範囲を知ることができる。
【0035】
設計データは、以下のようにして変更される。例えば、前述のように、試作品の検討に基づいて、設計者が、登録端末3から、当該製品の構成データを変更した後で、当該変更した構成データに従って、設計データを変更し、図面登録サーバ2に登録し、公開する。変更としては、例えば、図面を追加、修正、削除等する。設計データの登録の位置は、構成データにおいて実体ファイルパスの示すURLとされる。
【0036】
構成データサーバ1が、図面登録サーバ2に図面が登録された場合、マスターデータの関係者Gに宛先として設定されている参照端末4に、図面登録通知メールを送る。これにより、参照端末4の設置された製造部門は、登録通知メールを受信することにより、当該製品の製造を開始する。例えば、これにより、試作品が完成する。
【0037】
図5(B)は図面登録通知メールの一例を示す。図面登録通知メールは、部分Cに示す図面登録通知文と、部分Dに示す追加図面リストとからなる。図面登録通知文は、「製品:○○○の以下の図面が・・・確認できます。」と言う文章からなる。追加図面リストは、図面名称、図面番号、(新版の)版数及び図面詳細からなる。図面登録通知文は、「製品:○○○」の図面が(改版されて)「登録された」ことを通知する。従って、当該図面登録が、図面名称、図面番号、(新版の)版数と共に、通知される。また、図面登録通知文は、図6に示す構成一覧表を閲覧することができるURLを含む。
【0038】
更に、図面詳細は、当該追加図面リストにおける当該図面の実体、即ち、当該図面を閲覧することができるURLからなる。これにより、参照端末4は、当該変更された図面それ自体を見ることができる。なお、改版予定通知メールにおいては、通知すべき設計データの実体(例えば図面)が作成されていないので、図面詳細に相当するデータは省略される。
【0039】
構成データサーバ1は、図面登録通知文の雛形(図示せず)を予め備え、改版予定通知メールの予定通知文と同様にして、図面登録通知文を作成する。また、構成データサーバ1は、追加図面リストの雛形(図示せず)を予め備え、改版予定通知メールの差分リストと同様にして、追加図面リストを作成する。この時、図面名称(図面名)、図面番号、(新版の)版数は、登録された構成データ(又は差分リスト)に基づいて取得される。図面詳細は、登録された構成データの実体ファイルパスから取得される。
【0040】
図面登録通知メールを受信した時点で、利用者は、先に受信した改版予定通知メールに基づいて、既に当該改版の準備を開始し、又は、完了している。従って、利用者は、直ちに当該改版に対応することができる。
【0041】
なお、従来は、改版予定通知メールが参照端末に送信されることは無かった。従って、例えば製造部門では、図面登録通知メールを受信して初めて図面が改版されたことを知り、この受信後に、当該改版に対応するための準備を開始するしかなかった。
【0042】
図6は本発明の設計データ管理の説明図であり、構成一覧表の一例を示す。構成一覧表は、参照端末4において、図5(A)の予定通知文及び図5(B)の図面登録通知文に表示されたURLが選択(クリック)された場合、これに応じて、構成データサーバ1により当該参照端末4に表示される。
【0043】
構成一覧表は、製品コード(製品番号)毎に、図面名称、図面番号、(図面の)版数をリスト形式で表示する。例えば、図面名称「部品表」が、改版(追加登録)されて「第7版」が作成されたことを、「NEW07」により示す。これにより、図面(又は資料)の登録状況を一覧で表示できる。このため、登録端末3の利用者(設計部門)は登録漏れを防止することができ、参照端末4の利用者(製造部門)は影響の範囲を類推することができる。
【0044】
なお、図5(A)の予定通知文におけるURLから当該構成一覧表を参照した場合、未だ図面が改版されていないので、「NEW07」等は表示されない。一方、図5(B)の図面登録通知文におけるURLから当該構成一覧表を参照した場合、例えば図6の構成一覧表が表示される。
【0045】
図7は、本発明の設計データ管理処理フローであり、本発明の設計データ管理システムが実行する構成データの登録処理を示す。
【0046】
登録端末3が、設計者の指示入力に従って、製品名及び製品品番を入力すると(ステップS11)、これに応じて、構成データサーバ1が、後述する(保持している)作成中版を検索して、入力された製品名等が新規なものであるか否かを調べる(ステップS12)。製品名等が新規なものである場合、構成データサーバ1が、これが備える構成データの複数の雛型(図示せず)を登録端末3に表示し、登録端末3からの設計者の指示入力に従って、この雛型から作成中版として使用する構成データを取り出して作成中版を作成し(ステップS13)、ステップS18に進む。
【0047】
ここで、作成中版とは、作成(変更)の対象となっているが、未だ登録されていない(即ち、ウェブ上で公開されていない)版数の構成データを言う。従って、作成中版の版数は、仮に付与された版数であり、正式な版数ではない。作成中版の構成データは、これが公開されるまで、構成データサーバ1に保持される。
【0048】
製品名等が新規なものでない場合、更に、構成データサーバ1が、入力された製品名等が(保持している)作成中版のものであるか否かを調べる(ステップS14)。作成中版でない場合、ステップS17に進む。作成中版である場合、更に、構成データサーバ1が、当該作成中版の構成データを登録端末3に表示し、登録端末3からの設計者の指示入力に従って、作成中版の構成データを使用するか否かを調べる(ステップS15)。作成中版の構成データを使用する場合、ステップS18に進む。作成中版の構成データを使用しない場合、構成データサーバ1が、保持している当該作成中版の構成データを削除した上で(ステップS16)、同一の製品名等を有する最新版の構成データを作成中版の構成データにコピーする(ステップS17)。
【0049】
ここで、最新版とは、既に作成され、登録され、ウェブ上で公開されている(従って、登録端末3及び参照端末4で共通に使用されている)版数の構成データを言う。従って、その版数は正式な版数である。最新版の構成データは、これが削除されるまで、構成データサーバ1に保持される。
【0050】
この後、登録端末3が、設計者の指示入力に従って、作成中版の構成データを利用して構成データを編集し(ステップS18)、編集した構成データを構成データテーブル13に登録する(ステップS19)。この状態では、当該構成データは未公開である。
【0051】
そこで、構成データサーバ1は、自己の備える構成データテーブル13への登録(書込み)があったことを検出し、当該登録された構成データと、これに対応する最新版の構成データとの間に差分があるか否かを調べる(ステップS110)。差分が無い場合、処理を終了する。なお、当該構成データが新たに作成された場合、その最新版は存在しないので、当該差分がないものとして処理される(差分があるとして処理しても良い)。
【0052】
差分が有る場合、構成データサーバ1は、当該登録された構成データの版数をそれまでの最新版の版数からアップ(+1)した上で(ステップS111)、差分の要素を抽出して差分要素リスト(差分リスト)を作成し(ステップS112)、当該製品名等のマスターデータの関係者Gを検索して、通知のための電子メールのメールアドレスを抽出し(ステップS113)、改版予定通知メールを作成してこれを送信して(ステップS114)、処理を終了する。
【0053】
図8は、本発明の設計データ管理処理フローであり、本発明の設計データ管理システムが実行する設計データの登録処理を示す。
【0054】
登録端末3が、設計者の指示入力に従って、製品名及び製品品番を入力すると(ステップS21)、構成データサーバ1が、当該構成データを構成データテーブル13から取り出し(ステップS22)、構成データが取り出せたか(構成データテーブル13に有るか)否かを調べる(ステップS23)。構成データが構成データテーブル13に無い場合、構成データサーバ1は、「入力誤り」のようなエラー表示を登録端末3に表示する等のエラー処理をして(ステップS24)、処理を終了する。
【0055】
構成データが構成データテーブル13に有る場合、構成データサーバ1は、取り出した構成データを登録端末3に表示し、登録端末3からの設計者の指示入力に従って、表示された図面又は資料の構成データのいずれかを登録要素(登録対象)として選択する(ステップS25)。この後、登録端末3が、設計者の指示入力に従って、当該選択した構成データに対応する登録対象の設計データ即ち図面又は資料を作成し(又は、変更し)、そのファイルを図面登録サーバ2に登録する(ステップS26)。
【0056】
この後、構成データサーバ1は、登録端末3に設計データを続けて登録するか否かを問い合わせ、これに対する登録端末3からの設計者の指示入力に基づいて、設計データを続けて登録するか否かを調べ(ステップS27)、続けて登録する場合、ステップS25以下を繰り返す。続けて登録しない場合、更に、構成データサーバ1は、同様にして、当該登録した図面又は資料を公開するか否かを調べる(ステップS28)。公開しない場合、処理を終了する。これは当該設計データが未完成で公開しない場合である。公開する場合、構成データサーバ1は、当該設計データを公開することを登録し(ステップS29)、追加図面を抽出して追加図面リストを作成し(ステップS210)、当該製品名等のマスターデータの関係者Gを検索して、通知のための電子メールのメールアドレスを抽出し(ステップS211)、図面登録通知メールを作成してこれを送信して(ステップS212)、処理を終了する。
【0057】
例えば、設計者が、登録端末3から、新たに開発する「製品:○○○」の構成データを作成し、構成データサーバ1の構成データテーブル13に登録する。この時、製品名(製品:○○○)が新規であるので(ステップS12)、雛型を用いて構成データが作成、登録され(ステップS13、S18、S19)、最新版との差分がないので(ステップS110)、改版予定通知メールは送信されない。
【0058】
この後、設計者が、登録端末3から、当該製品名を入力して(ステップS21)、この構成データを選択し(ステップS25)、その設計データを作成して、図面登録サーバ2に登録し(ステップS26)、ウェブ上に公開する(ステップS29)。
【0059】
この登録に応じて、構成データサーバ1が、マスターデータの関係者Gに宛先として設定されている参照端末4に、追加図面リストを含む図面登録通知メールを送る(ステップS212)。登録通知メールを受信することにより、参照端末4の設置された製造部門は、当該製品の製造を開始する。この結果、例えば試作品が完成する。
【0060】
この後、試作品についての検討を重ねて、これに基づいて、設計データを変更して、市販品を製作する。そこで、設計者が、登録端末3から、製品名(製品:○○○)を入力すると(ステップS11)、新規ではなくかつ作成中版でないので(ステップS12、S14)、最新版(即ち、試作品)の構成データをコピーして(ステップS17)、当該製品の構成データを変更(編集)して登録する(ステップS18、S19)。
【0061】
これに応じて、構成データサーバ1が、登録端末3により構成データが変更されたことを検出し、この検出に基づいて、当該変更の前後における当該構成データの差分に基づいて(ステップS110)、当該変更されるべき図面又は資料についての変更情報を抽出する(ステップS112)。この後、構成データサーバ1が、当該変更情報を含む改版予定通知を、当該図面又は資料の変更に先立って、参照端末4に電子メールにより送信する(ステップS114)。図5(A)に示す改版予定通知メールを受信することにより、参照端末4の設置された製造部門は、当該製品の変更の準備を開始する。
【0062】
この後、前述と同様にして、設計者が、登録端末3から、変更(及び登録)した構成データを選択し(ステップS25)、その設計データを作成して登録し(ステップS26)、ウェブ上に公開する(ステップS29)。
【0063】
この登録に応じて、前述と同様にして、構成データサーバ1が、関係者Gに設定されている参照端末4に、図5(B)に示すような図面登録通知メールを送る(ステップS212)。登録通知メールを受信することにより、参照端末4の設置された製造部門は、当該製品の製造を開始する。この結果、例えば市販品が完成する。この時、先の改版予定通知メールの受信により、参照端末4の設置された製造部門は、当該製品の変更の準備を開始していたので、速やかに当該設計変更に対応することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上説明したように、本発明によれば、設計データ管理システムにおいて、設計データの変更が発生した場合、設計データの実際の変更に先立って、設計データの変更予定があることを検出し、他の部門にその変更予定を電子メールにより通知することができる。これにより、設計データの変更予定を、設計データを変更する者の負担無しで、検出することができ、また、変更予定の通知を編集することができる。一方、当該他の部門は、この通知を受信することにより、設計データの実際の変更に先立って、当該変更の準備を開始することができ、当該変更に迅速に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の設計データ管理システムの構成図である。
【図2】本発明の設計データ管理の説明図である。
【図3】本発明の設計データ管理の説明図である。
【図4】本発明の設計データ管理の説明図である。
【図5】本発明の設計データ管理の説明図である。
【図6】本発明の設計データ管理の説明図である。
【図7】本発明の設計データ管理処理フローである。
【図8】本発明の設計データ管理処理フローである。
【符号の説明】
【0066】
1 構成データサーバ(第1のサーバ)
2 図面登録サーバ(第2のサーバ)
3 登録端末(第1の端末)
4 参照端末(第2の端末)
5 ネットワーク
11 データベース(DB)
12 製品マスターテーブル
13 構成データテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設計データを登録し、前記設計データの属性情報である構成データを当該設計データとリンクして製品毎に登録するサーバと、
前記構成データ及び設計データを前記サーバに登録する第1の端末と、
前記構成データ及び設計データを参照する第2の端末と、
これらの間を接続するネットワークとからなり、
前記サーバが、前記第1の端末により前記構成データが変更されたことを検出した場合、当該変更の前後における当該構成データの差分に基づいて、当該変更されるべき設計データについての変更情報を抽出し、当該変更情報を予定通知として当該設計データの変更に先立って前記第2の端末に送信する
ことを特徴とする設計データ管理システム。
【請求項2】
前記サーバが、当該構成データが変更された場合に前記予定通知を送信すべき第2の端末を示す宛先情報を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の設計データ管理システム。
【請求項3】
前記設計データが図面又は資料からなり、前記構成データが当該図面又は資料の版数を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の設計データ管理システム。
【請求項4】
前記サーバが、第1のサーバ及び第2のサーバからなり、
前記第1のサーバが前記構成データを登録し、
前記第2のサーバが前記設計データを登録し、
前記第1のサーバが、前記構成データが変更されたことを検出し、前記変更情報を抽出して前記第2の端末に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の設計データ管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−33720(P2008−33720A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−207717(P2006−207717)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)
【Fターム(参考)】