説明

設計図面作成装置および設計図面作成プログラム

【課題】CADで設計図面を作成する際のユーザによる操作を簡素化して作業効率を向上させることができるようにするとともに、操作方法の習得時間も短くできるようにする。
【解決手段】画面表示された各種部材の中から何れかの部材を選択する操作を受け付ける操作受付部5と、何れかの部材が選択されたときに、部材情報記憶部1に各種部材の属性の1つとして記憶されているコマンド起動コードに基づいて、選択された部材に対応するコマンドを実行するコマンド実行部6とを設け、画面表示された各種部材の中から何れかの部材をユーザが操作部30の操作により選択するだけで、選択した部材に対応する適切なコマンドが自動的に実行されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計図面作成装置および設計図面作成プログラムに関し、特に、建築物の設計図面をコンピュータを用いて作成する装置およびプログラムに用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
建築分野では、建築物の構造や設備などを設計図面により表現し、それに基づいて建築物を施工していくのが一般的である。従来、この設計図面を作成するためのツールとして、CAD(Computer Aided Design)が広く用いられている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
建築物の場合、使用する部材の種類(サイズ、材料、その他の仕様などの違いも含む)は多種多様である。そして、そうした多種多様の部材を用いて建築物の設計図面を作成する場合、部材ごとに作図の仕方が異なってくる。建築用CADでは、多種多様な部材の様々な作図方法に対応するために、機器配置コマンド、配管作図コマンド、継手配置コマンド等々、多くのコマンドが用意されている。
【0004】
ユーザは、建築物の設計図面を作成する際に、多くのコマンドの中から適切なコマンドを選んで実行させる必要がある。具体的には、使用する部材を選択し、選択した部材に対応する適切なコマンドを選んで実行させる必要がある。通常、建築物で使用される部材の数が多いため、作図の際に選択すべき部材の数とそれらに対応して実行すべきコマンドの数は多くなる。そのため、部材の選択とコマンドの実行に係るユーザの操作回数が多くなり、操作が複雑で、作業効率も良くないという問題があった。
【0005】
また、CADを使いこなすためには、ユーザは数多くのコマンドとその使い方を覚えておかなくてはならない。つまり、どの部材に対してどのコマンドを実行すべきかを覚えておく必要がある。しかしながら、コマンドの数が非常に多いため、大まかに覚えるだけでも数ヶ月かかるのが通常である。操作方法に悩むことなく自由自在にCADを操作できるようになるためには、かなりの時間が必要である。このように、従来のCADでは、その操作方法を習得するのに多くの時間がかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−165381号公報
【特許文献2】特開2010−165382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような問題を解決するために成されたものであり、CADで設計図面を作成する際のユーザによる操作を簡素化して作業効率を向上させることができるようにするとともに、操作方法の習得時間も短くできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明では、画面表示された各種部材の中から何れかの部材がユーザの操作により選択されたときに、選択された部材に対応して実行すべきコマンドを表す情報としてコマンド情報記憶部に記憶されているコマンド起動コードに基づいて、当該選択された部材に対応するコマンドを実行するようにしている。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明によれば、画面表示された各種部材の中から何れかの部材をユーザが選択するだけで、選択した部材に対応する適切なコマンドが自動的に実行されることとなる。そのため、ユーザは、設計図面の作成に使用する部材を選択する操作の他に、選択した部材に対応するコマンドを選んで実行させる操作を行う必要がなくなる。これにより、ユーザによる操作を簡素化して作業効率を向上させることができる。また、ユーザはどの部材に対してどのコマンドを実行すべきかを覚える必要がないので、操作方法の習得時間を短くすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態による設計図面作成装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態による部材情報の一例を示す図である。
【図3】第1および第2の実施形態による階層情報の一例を示す図である。
【図4】第1および第2の実施形態においてディスプレイに表示される画面の一例を示す図である。
【図5】第1の実施形態による設計図面作成装置の動作例を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施形態による設計図面作成装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図7】第2の実施形態によるコマンド情報記憶部に記憶されているテーブル情報の一例を示す図である。
【図8】第2の実施形態による設計図面作成装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態による設計図面作成装置の機能構成例を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態による設計図面作成装置100は、その機能構成として、部材情報記憶部1、部材画像データ記憶部2、階層情報記憶部3、表示制御部4、操作受付部5およびコマンド実行部6を備えている。
【0012】
設計図面作成装置100が備える上記各機能ブロック1〜6は、ハードウェア構成、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても実現することが可能である。例えばソフトウェアによって実現する場合、上記各機能ブロック1〜6は、実際にはコンピュータのCPUあるいはMPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROMに記憶された設計図面作成プログラムが動作することによって実現できる。
【0013】
したがって、上記設計図面作成プログラムを例えばCD−ROMのような記録媒体に記録し、これをコンピュータに読み込ませることによって実現できるものである。上記設計図面作成プログラムを記録する記録媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光ディスク、光磁気ディスク、DVD、不揮発性メモリカード等を用いることができる。また、上記設計図面作成プログラムをインターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードすることによっても実現できる。また、上記本実施形態による設計図面作成装置100の機能をネットワーク環境で実現するべく、全部あるいは一部の設計図面作成プログラムが他のコンピュータで実行されるようになっていても良い。
【0014】
部材情報記憶部1は、建築物の設計図面を作成する際に使用する各種部材(例えば、設備機器、配管、弁類、継手、ダクト、分岐、配線、電線、枡経路など)の属性を表す部材情報を記憶している。図2は、部材情報の一例を示す図である。図2に示すように、本実施形態の部材情報は、部材名称、機器番号、型式、仕様、幅、奥行、高さといった属性情報の他に、コマンド起動コードを含んでいる。これらの情報はそれぞれ、属性ID、属性値および属性名称から構成されている。
【0015】
コマンド起動コードは、部材情報により示される各種部材の選択に対応して実行すべきコマンドを表すコードである。例えば、コード=0の場合は設備機器配置コマンド、コード=1の場合は配管作図コマンド、コード=2の場合は弁類配置コマンド、コード=3の場合は継手配置コマンドのように定められている。このようなコマンド起動コードを各種部材の属性の1つとして記憶する部材情報記憶部1は、コマンド情報記憶部を兼用している。
【0016】
部材画像データ記憶部2は、各種部材の絵柄または図柄の少なくとも一方に関する部材画像データを記憶している。ここで、絵柄とは、各種部材を立体的に表したイメージ図形である。また、図柄とは、各種部材を単線または複線で平面的に表した図形である。本実施形態では、各種部材の絵柄または図柄の両方を部材画像データ記憶部2に記憶しているものとする。
【0017】
階層情報記憶部3は、各種部材を複数のカテゴリに分類して階層的に管理するための階層情報を記憶している。図3は、本実施形態による階層情報の一例を示す図である。本実施形態では、建築物の設計図面を作成する際に使用する各種部材を、大分類(第1階層)、中分類(第2階層)、小分類(第3階層)、細分類(第4階層)に分けて階層的に管理している。階層情報記憶部3は、図3に示す階層構造を階層情報として記憶している。なお、階層構造を最上層から最下層まで辿っていったときに、最下層に当たる部分が特定の部材を示し、最下層以外の階層がその部材のカテゴリを示すこととなる。
【0018】
表示制御部4は、部材情報記憶部1に記憶されている部材情報に基づいて、各種部材を表示部20に画面表示させるように制御する。より具体的には、表示制御部4は、部材情報記憶部1に記憶されている部材情報および階層情報記憶部3に記憶されている階層情報に基づいて、カテゴリを含む階層構造にて各種部材を表示部20に画面表示させるように制御する。また、表示制御部4は、部材画像データ記憶部2に記憶されている部材画像データに基づいて、各種部材をその絵柄または図柄の少なくとも一方と共に画面表示させるように制御する。
【0019】
図4は、表示部20に表示される画面の一例を示す図である。図4に示すように、本実施形態の表示画面には、各種部材の部材名称およびカテゴリを階層構造にて表示する階層表示欄21と、各種部材の絵柄または図柄を表示するイメージ表示欄22と、各種部材の属性を表示する属性表示欄23と、選択した部材を用いて設計図面の作図を行うための領域である作図領域24とがある。
【0020】
階層表示欄21には、大分類に相当するカテゴリ(機器、配管、弁類、継手、ダクト、分岐、配線、電線、枡経路など)を選択可能なタブが設けられている。ユーザがマウス等の操作部30を用いて何れかのタブを選択すると、選択したタブの大分類に属する中分類以下のカテゴリおよび部材名称が階層表示欄21に表示されるようになっている。
【0021】
イメージ表示欄22には、絵柄と図柄の何れかを選択可能なボタンと、図柄を選択した場合にそれを単線で表記するか複線で表記するかを選択可能なボタンとが設けられている。ユーザが操作部30を用いて絵柄または図柄の何れかを選択すると、選択した方のイメージ図がイメージ表示欄22に表示されるようになっている。また、図柄を選択した場合には、さらに、ユーザが操作部30を用いて単線または複線の何れかを選択すると、選択した方の形態で図柄がイメージ表示欄22に表示されるようになっている。
【0022】
操作受付部5は、表示制御部4により表示部20に画面表示された各種部材の中から何れかの部材を選択する操作を受け付ける。部材を選択する操作は、階層表示欄21に表示されている最下層の部材名称を選択する操作、または、イメージ表示欄22に表示されているイメージ図を選択する操作の何れであってもよい。また、選択する操作は、操作部30を用いた部材名称またはイメージ図のダブルクリック操作、または、部材名称またはイメージ図の作図領域24へのドラッグ操作の何れであってもよい。
【0023】
コマンド実行部6は、操作受付部5により何れかの部材を選択する操作が受け付けられたときに、部材情報記憶部1(コマンド情報記憶部)に記憶されているコマンド起動コードに基づいて、選択された部材に対応するコマンドを実行する。例えば、設備機器に分類された部材が選択された場合、コマンド実行部6は設備機器配置コマンドを実行する。配管に分類された部材が選択された場合、コマンド実行部6は配管作図コマンドを実行する。
【0024】
図5は、第1の実施形態による設計図面作成装置100の動作例を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、設計図面作成プログラムを起動したときに開始する。設計図面作成プログラムが起動されると、まず、表示制御部4は、部材情報記憶部1に記憶されている部材情報、部材画像データ記憶部2に記憶されている部材画像データおよび階層情報記憶部3に記憶されている階層情報に基づいて、カテゴリを含む階層構造にて各種部材をその絵柄または図柄と共に表示部20に画面表示させる(ステップS1)。
【0025】
各部部材が画面表示された状態において、操作受付部5は、表示部20に画面表示された各種部材の中から何れかの部材を選択する操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS2)。当該操作を受け付けていない場合、処理はステップS2で待機する。一方、当該操作を受け付けた場合、操作受付部5はどの部材が選択されたかをコマンド実行部6に通知する。この通知は、例えば、選択された部材の部材名称を表す属性ID(図2参照)を用いて行うことが可能である。
【0026】
操作受付部5から属性IDの通知を受けたコマンド実行部6は、属性IDをもとに部材情報記憶部1を参照し、選択された部材に対応するコマンド起動コードを取得する(ステップS3)。そして、コマンド実行部6は、当該取得したコマンド起動コードに基づいて、選択された部材に対応するコマンドを実行する(ステップS4)。その後は、実行されたコマンドに基づいて、作図領域24において設計図面の作図処理が行われる。
【0027】
以上詳しく説明したように、第1の実施形態では、表示部20に画面表示された各種部材の中から何れかの部材がユーザのマウス操作により選択されたときに、部材情報記憶部1に記憶されているコマンド起動コードに基づいて、選択された部材に対応するコマンドを実行するようにしている。
【0028】
このように構成した第1の実施形態によれば、画面表示された各種部材の中から何れかの部材をユーザが選択するだけで、選択した部材に対応する適切なコマンドが自動的に実行されることとなる。そのため、ユーザは、設計図面の作成に使用する部材を選択する操作の他に、選択した部材に対応するコマンドを選んで実行させる操作を行う必要がなくなる。これにより、ユーザによる操作を簡素化して作業効率を向上させることができる。また、ユーザはどの部材に対してどのコマンドを実行すべきかを覚える必要がないので、操作方法の習得時間を短くすることもできる。
【0029】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を図面に基づいて説明する。図6は、第2の実施形態による設計図面作成装置200の機能構成例を示すブロック図である。なお、この図6において、図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0030】
図6に示すように、第2の実施形態による設計図面作成装置200は、その機能構成として、部材情報記憶部11、部材画像データ記憶部2、階層情報記憶部3、コマンド情報記憶部12、表示制御部4、操作受付部5およびコマンド実行部13を備えている。
【0031】
設計図面作成装置200が備える各機能ブロックも、ハードウェア構成、DSP、ソフトウェアの何れによっても実現することが可能である。例えばソフトウェアによって実現する場合、上記各機能ブロックは、実際にはコンピュータのCPUあるいはMPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROMに記憶された設計図面作成プログラムが動作することによって実現できる。
【0032】
第2の実施形態において、部材情報記憶部11は、建築物の設計図面を作成する際に使用する各種部材の属性を表す部材情報を記憶している。部材情報の内容は、第1の実施形態とほぼ同様であるが、第2の実施形態ではコマンド起動コードを属性の1つとして記憶していない。
【0033】
コマンド情報記憶部12は、階層情報記憶部3に記憶されている階層情報により示される大分類のカテゴリとコマンド起動コードとを関連付けたテーブル情報を記憶している。図7は、コマンド情報記憶部12に記憶されているテーブル情報の一例を示す図である。図7に示すように、コマンド情報記憶部12には、大分類に相当するカテゴリ(機器、配管、弁類、継手、ダクト、分岐、配線、電線、枡経路など)と、各カテゴリの部材が選択されたときに実行すべきコマンドを表すコマンド起動コードとが関連付けて記憶されている。
【0034】
コマンド実行部13は、操作受付部5により何れかの部材を選択する際に何れかのカテゴリ(大分類)を選択する操作が受け付けられたときに、コマンド情報記憶部12において当該選択されたカテゴリに関連付けて記憶されているコマンド起動コードに基づいて、選択された部材に対応して実行すべきコマンドを決定する。そして、最終的に何れかの部材が選択された時点で、上記決定したコマンドを実行する。
【0035】
このように構成した第2の実施形態によれば、表示部20に表示された階層表示欄21において、カテゴリの大分類で分けられた何れかのタブをユーザが操作部30の操作により選択した時点で、実行すべきコマンドを直ちに特定することができる。また、全ての部材に対してコマンド起動コードを対応付けて記憶しておく必要がなく、数少ない大分類に対してのみコマンド起動コードを対応付けて記憶すればよいというメリットも有する。
【0036】
なお、各種部材の階層構造が固定であれば上記の通りでよい。これに対して、各種部材の階層構造が可変である場合、例えば、階層表示欄21に表示された階層構造をユーザが操作部30の操作により自由に変えられるように構成した場合は、コマンド情報記憶部12に記憶されているテーブル情報だけに従ってコマンド起動コードを決定すると、不具合が生じる場合がある。例えば、配管に関する部材を設備機器の階層下に移動させた場合、配管に関する部材を選択した場合に設備機器配置コマンドが実行されてしまうことになる。
【0037】
このような不具合を回避するために、以下のように構成するのが好ましい。まず、部材情報記憶部11の代わりに部材情報記憶部1を用いる。すなわち、コマンド情報記憶部12にテーブル情報としてコマンド起動コードを記憶するとともに、各種部材の属性の1つとしてコマンド起動コードを部材情報記憶部1にも更に記憶しておく。
【0038】
コマンド実行部13は、操作受付部5により何れかの部材を選択する際に何れかのカテゴリ(大分類)を選択する操作が受け付けられたときに、先ほどの説明と同じように、まずはコマンド情報記憶部12に記憶されているテーブル情報に基づいてコマンド起動コードを特定する。
【0039】
さらに、コマンド実行部13は、操作受付部5により何れかの部材を選択する操作が受け付けられたときに、コマンド情報記憶部12を参照して特定したコマンド起動コードと、部材情報記憶部1において上記選択された部材の属性として記憶されているコマンド起動コードとが一致するか否かを判定する。そして、一致していない場合は、部材情報記憶部1に記憶されているコマンド起動コードに基づいて、当該選択された部材に対応して実行すべきコマンドを決定する。
【0040】
図8は、このように構成した第2の実施形態による設計図面作成装置200の動作例を示すフローチャートである。図8に示すフローチャートも、設計図面作成プログラムを起動したときに開始する。設計図面作成プログラムが起動されると、まず、表示制御部4は、部材情報記憶部1に記憶されている部材情報、部材画像データ記憶部2に記憶されている部材画像データおよび階層情報記憶部3に記憶されている階層情報に基づいて、カテゴリを含む階層構造にて各種部材をその絵柄または図柄と共に表示部20に画面表示させる(ステップS11)。
【0041】
各部部材が画面表示された状態において、操作受付部5は、表示部20に画面表示された階層表示欄21において、各種部材の大分類を示す何れかのタブを選択する操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS12)。当該操作を受け付けていない場合、処理はステップS12で待機する。一方、当該操作を受け付けた場合、操作受付部5はどのタブ(大分類)が選択されたかをコマンド実行部13に通知する。
【0042】
操作受付部5から大分類が選択された旨の通知を受けたコマンド実行部13は、コマンド情報記憶部12を参照し、選択された大分類に対応するコマンド起動コードを取得する(ステップS13)。
【0043】
その後、操作受付部5は、各種部材の中から何れかの部材を選択する操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS14)。当該操作を受け付けていない場合、処理はステップS14で待機する。一方、当該操作を受け付けた場合、操作受付部5はどの部材が選択されたかをコマンド実行部13に属性IDにより通知する。
【0044】
操作受付部5から属性IDの通知を受けたコマンド実行部13は、属性IDをもとに部材情報記憶部1を参照し、選択された部材に対応するコマンド起動コードを取得する(ステップS15)。そして、コマンド実行部13は、ステップS13でコマンド情報記憶部12を参照して取得したコマンド起動コードと、ステップS15で部材情報記憶部1を参照して取得したコマンド起動コードとが一致するか否かを判定する(ステップS16)。
【0045】
ここで、両者のコマンド起動コードが一致していると判定した場合、コマンド実行部13は、ステップS13で取得したコマンド起動コード(ステップS15で取得したコマンド起動コードでもよい)に基づいて、選択された部材に対応するコマンドを実行する(ステップS17)。一方、両者のコマンド起動コードが一致していないと判定した場合、コマンド実行部13は、ステップS15で部材情報記憶部1から取得したコマンド起動コードに基づいて、選択された部材に対応して実行すべきコマンドを実行する(ステップS18)。
【0046】
以上説明した第2の実施形態においても、画面表示された各種部材の中から何れかの部材をユーザが選択するだけで、選択した部材に対応する適切なコマンドが自動的に実行されることとなる。そのため、ユーザは、設計図面の作成に使用する部材を選択する操作の他に、選択した部材に対応するコマンドを選んで実行させる操作を行う必要がなくなる。これにより、ユーザによる操作を簡素化して作業効率を向上させることができる。また、ユーザはどの部材に対してどのコマンドを実行すべきかを覚える必要がないので、操作方法の習得時間を短くすることもできる。
【0047】
なお、上記第1および第2の実施形態では、建築物の設計図面を作成する場合を一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、建築物以外の設計図面を作成する用途にも本発明を適用することが可能である。
【0048】
また、上記第1および第2の実施形態では、部材情報記憶部1(または部材情報記憶部11)、部材画像データ記憶部2、階層情報記憶部3を分けて記憶する例について説明したが、これはあくまでも説明の便宜上のことであって、部材情報、部材画像データ、階層情報を必ずしもこの形態で記憶させる必要はない。
【0049】
また、上記第2の実施形態では、カテゴリの大分類とコマンド起動コードとを関連付ける例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、カテゴリの大分類、中分類または小分類(つまり、部材を表す最下層以外の階層に属する分類)とコマンド起動コードとを関連付けてコマンド情報記憶部12のテーブル情報を構成するようにしてもよい。
【0050】
その他、上記第1および第2の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0051】
1,11 部材情報記憶部
2 部材画像データ記憶部
3 階層情報記憶部
4 表示制御部
5 操作受付部
6,13 コマンド実行部
12 コマンド情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種部材の属性を表す部材情報を記憶した部材情報記憶部と、
上記部材情報により示される各種部材の選択に対応して実行すべきコマンドを表すコマンド起動コードを記憶したコマンド情報記憶部と、
上記部材情報に基づいて上記各種部材を画面表示させるように制御する表示制御部と、
上記表示制御部により画面表示された上記各種部材の中から何れかの部材を選択する操作を受け付ける操作受付部と、
上記操作受付部により上記何れかの部材を選択する操作が受け付けられたときに、上記コマンド情報記憶部に記憶されている上記コマンド起動コードに基づいて、選択された部材に対応するコマンドを実行するコマンド実行部とを備えたことを特徴とする設計図面作成装置。
【請求項2】
上記部材情報記憶部は上記コマンド情報記憶部を兼用しており、上記コマンド起動コードが上記各種部材の属性の1つとして記憶されていることを特徴とする請求項1に記載の設計図面作成装置。
【請求項3】
上記各種部材を複数のカテゴリに分類して階層的に管理するための階層情報を記憶した階層情報記憶部を更に備え、
上記コマンド情報記憶部は、上記階層情報により示されるカテゴリと上記コマンド起動コードとを関連付けて記憶しており、
上記表示制御部は、上記部材情報および上記階層情報に基づいて、上記カテゴリを含む階層構造にて上記各種部材を画面表示させ、
上記コマンド実行部は、上記操作受付部により上記何れかの部材を選択する際に何れかのカテゴリを選択する操作が受け付けられたときに、上記コマンド情報記憶部において上記選択されたカテゴリに関連付けて記憶されている上記コマンド起動コードに基づいて、選択された部材に対応して実行すべきコマンドを決定することを特徴とする請求項1に記載の設計図面作成装置。
【請求項4】
上記コマンド起動コードが上記各種部材の属性の1つとして上記部材情報記憶部にも更に記憶されており、
上記コマンド実行部は、上記操作受付部により上記何れかの部材を選択する操作が受け付けられたときに、上記コマンド情報記憶部において上記選択されたカテゴリに関連付けて記憶されている上記コマンド起動コードと、上記部材情報記憶部において上記選択された部材の属性として記憶されている上記コマンド起動コードとが一致するか否かを判定し、一致していない場合は、上記部材情報記憶部に記憶されている上記コマンド起動コードに基づいて、上記選択された部材に対応して実行すべきコマンドを決定することを特徴とする請求項3に記載の設計図面作成装置。
【請求項5】
上記各種部材の絵柄または図柄の少なくとも一方に関する部材画像データを記憶した部材画像データ記憶部を更に備え、
上記表示制御部は、上記部材情報および上記部材画像データに基づいて、上記各種部材をその絵柄または図柄の少なくとも一方と共に画面表示させるように制御することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の設計図面作成装置。
【請求項6】
各種部材の属性を表す部材情報を記憶した部材情報記憶部に記憶されている上記部材情報に基づいて、上記各種部材を画面表示させるように制御する表示制御手段、
上記表示制御手段により画面表示された上記各種部材の中から何れかの部材を選択する操作を受け付ける操作受付手段、および
上記操作受付手段により上記何れかの部材を選択する操作が受け付けられたときに、上記部材情報により示される各種部材の選択に対応して実行すべきコマンドを表すコマンド起動コードを記憶したコマンド情報記憶部に記憶されている上記コマンド起動コードに基づいて、選択された部材に対応するコマンドを実行するコマンド実行手段、
としてコンピュータを機能させるための設計図面作成プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−92959(P2013−92959A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235658(P2011−235658)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(503056610)株式会社ジオプラン (6)
【Fターム(参考)】