説明

診断適用および臨床適用のための癌胎児抗原/未熟ラミニン受容体抗体

本発明は、OFA/iLRPに関連する疾患を検出または治療するために、単独で、または組み合わせて用いることができる、癌胎児抗原/未熟ラミニン受容体タンパク質(OFA/iLRP)に対する抗体に関するものである。より具体的には、抗体は、(i)異なる生体液においてOFA/iLRPを検出および測定すること、ならびに(ii)OFA/iLRPとモノマー形態およびその関連する疾患に対する抗体とを用いることを含む、いくつかの目的のために用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2009年3月26日に出願された米国仮出願第61/163,810号(この開示は、その全体が参考として本明細書に援用される)の出願日の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、全体として、癌胎児抗原/未熟ラミニン受容体タンパク質(OFA/iLRP)に関するものである。より具体的には、本発明は、OFA/iLRPに関連する疾患を検出および治療するために用いることができる抗体を提供する。
【背景技術】
【0003】
癌胎児抗原/未熟ラミニン受容体タンパク質(OFA/iLRP)の最初の特徴付けは、癌胎児抗原またはラミニン受容体を研究した3つの独立したグループによって行われた[1〜3(非特許文献1〜3)]。OFA/iLRPは、様々な異なる癌において過剰発現する、高度に保存されるタンパク質であり、リボソームタンパク質p40として二元機能を有する[4〜27]。OFA/iLRPタンパク質は、295個のアミノ酸からなる一本のポリペプチド鎖からなり、約37〜44kDaの分子量を有する。OFA/iLRPの構造は、最近、2.15Åであることが解明されている[28]。ラミニン受容体(LRP)の成熟形態は、67kDaの分子量を有する、アセチル化OFA/iLRPの二量体であると考えられる。構造によって、OFA/iLRPのアミノ酸112から140の間の領域が、LRPを形成するためのOFA/iLRPの二量化に関与することが示された[28]。67kDaのLRPは、多くの正常細胞上および腫瘍細胞上にあるが、胎児細胞および腫瘍細胞がOFA/iLRPを優先的に発現すると考えられる。したがって、発現パターンによって、OFA/iLRPが、癌および他の疾患を治療するための、免疫系を感作するための考えられる候補タンパク質となる[6]。OFA/iLRPに特異的な抗体もまた、OFA/iLRPの誤発現に関連することが公知の疾患の検出、診断、および治療に用いることができる。
【0004】
OFA/iLRP抗体に対する最初の研究は、癌胎児抗原の側面またはラミニン受容体の側面という2つの個別の分野に該当する。胚/胎児抗原およびラミニン受容体の両方について、同年に、OFA/iLRPに対するモノクローナル抗体の最初の報告がされた[29、30]。胚抗原または胎児抗原に対して発生した抗体は、変性条件下で、44kDaのタンパク質と反応した[30]。ラミニン受容体に対してこれまでに開発された抗体は、抗体結合の位置に基づいて異なる生物学的活性を有していた[29]。ラミニンの結合をブロックする生物学的活性を有していたある領域が、モノクローナルIgM抗体によって認識された。モノクローナルIgM抗体が認識したエピトープは、TEDWSAQPATEDWSAであった[26]。44kDaのOFAに対する研究によって、IgMモノクローナル抗体(MAb115)を、ウェスタンブロット、フローサイトメトリー、および場合によっては発癌性の試験に用い得ることが示された[31]。しかし、この抗体は、OFA|OFA二量化領域に対して特異的に設計されたものではないため、OFA/iLRPおよびLRPの両方と反応する[31]。このモノクローナル抗体は、OFA/iLRPまたはLRPの免疫組織化学およびタンパク質精製に用いられた[12、32]。67kDaのラミニン受容体を検出し、かつ乳癌においてラミニン受容体の発現の増大を示したペプチドから、異なる抗体が開発された[5、33]。いくつかの公表された原稿は、自己免疫抗体を探求する際に、OFA/iLRP抗体の使用を記載している[6、9、10、16、19、20、25、27、34〜36]。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Lesot, H.ら、EMBO J(1983)2(6):p861〜865
【非特許文献2】Malinoff, H.L.ら、J Cell Biol(1983)96(5):p1475〜9
【非特許文献3】Rao, N.C.ら、J Immunol(2007)179(2):p1381〜8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
OFA/iLRPは様々な異なる疾患に関連するため、診断上のおよび臨床上の抗体の適用を開発する必要がある。これまで、ペプチドを用いて標的化抗体を開発する試みはわずかしかなく、かつ、これは1つの公表された報告に限定されている[5]。公表された報告において用いられた領域は、OFA/iLRPおよびラミニン受容体の両方と反応することが報告された抗体を産生した[5、25]。したがって、様々な異なる臨床上の、診断上の、および/または獣医学上の適用を開発するために、単独で、または他の抗体と組み合わせて用いることができる、OFA/iLRPに特異的な抗体を開発する必要がある。一方はOFA/iLRPを認識し得、一方はOFA/iLRPおよびLRPの両方を認識し得る抗体を対で開発することにより、タンパク質の保存された性質に起因する、全ての種におけるOFA/iLRP疾患を治療するために用いることができるか、診断するために用いることができるか、または前記疾患の試薬として作用し得る、いくつかの試験の開発が可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様は、癌胎児抗原/未熟ラミニン受容体タンパク質(OFA/iLRP)の免疫原性である領域に特異的に結合する、単離された抗体を提供する。1つの実施形態では、OFA/iLRPの免疫原性領域には、限定はしないが、(a)FFREPRLLVVTDPR、(b)VTDPRADHQPLTE、(c)YRDPEEIEKEEQ、または(d)FPTEDWSAQPATEDのポリペプチド配列が含まれる。別の実施形態では、本発明の単離された抗体は、限定はしないがモノクローナル抗体2C6または3G7を含む、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体である。さらなる別の実施形態では、免疫原性領域は、OFA/iLRPの二量化領域に位置する。
【0008】
本発明の抗体は、OFA/iLRPの免疫原性領域に対して免疫化することによって産生される。抗体は、完全長OFA/iLRPタンパク質と、本発明の抗体を産生するために用いられるOFA/iLRPの免疫原性領域との両方を認識し得る。1つの実施形態では、抗体は、OFA/iLRPに特異的である。代替の実施形態では、抗体は、OFA/iLRPおよび成熟LRPの両方を認識する。
【0009】
本発明の抗体は、OFA/iLRPに関連するタンパク質または癌を検出するための様々な方法において用いることができる。
【0010】
1つの実施形態では、抗体は、試料においてOFA/iLRPを検出するための方法において用いられる。この方法は、
(a)試料を、癌胎児抗原/未熟ラミニン受容体タンパク質(OFA/iLRP)の領域に特異的にそれぞれ結合する第1の抗体および第2の抗体と接触させるステップであって、前記抗体の少なくとも一方がOFA/iLRPに特異的であるステップ、
(b)抗体をOFA/iLRPに結合させ、OFA/iLRPとのサンドイッチを形成させるステップ、ならびに
(c)OFA/iLRPに特異的な抗体を用いて、試料におけるOFA/iLRの発現を検出するステップ
を含む。
【0011】
1つの実施形態では、抗体の一方は、OFA/iLRPおよび成熟LRPの両方に結合してもよく、捕捉抗体として働き得る。もう一方の抗体は、OFA/iLRPに特異的であってもよく、検出抗体として働く。
【0012】
別の実施形態では、本発明の抗体は、試料において癌を検出する方法において用いられる。この方法は、
(a)試料を、OFA/iLRPに特異的な抗体と接触させるステップ、
(b)試料を、ビオチン化された二次抗体と接触させるステップ、および
(c)ストレプトアビジンを用いて、試料におけるOFA/iLRPを検出するステップ
を含み、試料におけるOFA/iLRPの検出が癌を示す。
【0013】
さらなる実施形態では、本発明は、試料においてOFA/iLRPの量を決定する方法であって、
(a)OFA/iLRPに特異的な抗体をフルオロフォアに結合体化させるステップ、
(b)結合体化した抗体を試料内で接触させるステップ、および
(c)蛍光偏光を用いて、試料におけるOFA/iLRPの量を決定するステップ
を含む方法を提供する。
【0014】
本発明の抗体はまた、血液試料におけるOFA/iLRP陽性癌細胞の量を決定する方法において用いることができる。この方法は、
(a)血液試料を、OFA/iLRPlに特異的な抗体と接触させるステップ、および
(b)フローサイトメトリーを用いて、試料におけるOFA/iLRPの量を決定するステップ
を含む。
【0015】
本発明の抗体はまた、OFA/iLRP陽性癌を治療する方法において用いることができる。この方法は、OFA/iLRP陽性癌に関連する症候を改善するために十分な量の、OFA/iLRPに特異的な抗体を、OFA/iLRP陽性癌を有する被験体に投与するステップを含む。1つの実施形態では、抗体は、抗癌特性を有するコロイドに連結しているか、または、化学療法剤もしくはタンパク質と結合体化している。
【0016】
本発明はまた、被験体においてOFA/iLRP陽性癌を検出する方法を提供する。この方法は、
(a)OFA/iLRPに特異的な抗体を、放射線不透過性の染料に結合体化させるステップ、
(b)結合体化した抗体を被験体に投与するステップ、および
(c)x線を用いて、結合体化した抗体を検出するステップ
を含み、x線によるOFA/iLRPの検出が癌を示す。
【0017】
本発明の別の態様は、本発明の抗体を含む医薬組成物を提供する。この組成物は、医薬用担体を含み得る。
【0018】
本発明の上記の特徴および他の特徴、ならびにそれらを得る様式および用いる様式は、より明らかとなり、添付の図面と組み合わせて以下の記載を参照することによって、最も良く理解されよう。図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、BSA結合体OFA/iLRPペプチドに対するOFA/iLRPポリクローナル血清の滴定を示す図である。抗体抗原反応の検出には、ビオチン化されたユニバーサル二次抗体混合物を用いた。SpectraMaxで吸光度を測定し、Prism Graphを用いてデータを分析した。
【図2】図2は、OFA/iLRPに対するOFA/iLRPポリクローナル血清の滴定を示す図である。ビオチン化された二次抗体を用いる、OFA/iLRP抗体抗原相互作用の検出。Beckman DTX 880でのA620での吸光度の読み取りの、Prism Graph。
【図3】図3は、OFA/iLRPに対する間接ELISAでランされたモノクローナル抗体2C6および3G7の希釈曲線を示す図である。
【図4】図4は、モノクローナル抗体(2C6および3G7)の反応性を決定するための、rOFA/iLRPのサンドイッチELISAを示す図である。生のデータを片対数グラフにプロットし、標準的なプロトコール(SoftMax Pro 4.3.1 LS)に従って、4パラメータロジスティックを用いて曲線当てはめ(curve fit)を行った。
【図5】図5は、OFA/iLRPの蛍光偏光を示す図である。(A)生のデータをlog表示のx軸にプロットした。(B)4パラメータロジスティックを用いた曲線当てはめのデータ(r=0.975)n=2。
【図6】図6は、一次抗体反応のために3G7モノクローナル抗体を用いた、中度に分化したヒト浸潤性腺管癌腫であるT2N1M0のIHC染色を示す図である。非常に暗い領域は、細胞が大量のOFA/iLRPを発現している場所であり、厚い沈殿物が堆積していた。
【図7】図7は、CellTiter Blueを用いて、細胞の生存能力に対する2C6抗体および3G7抗体の効果を測定した図である。抗体を添加することによって生じた生存能力の低下が、弱まった蛍光シグナルによって示される。抗体の効果およびラミニンの必要量を、ラミニン/エンタクチンで被覆したプレートまたは未処理のプレート上で成長させることによって決定した。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、驚くべきことに、免疫原性ペプチドが、OFA/iLRPの推定同位体(isotope)領域から由来し得、かつOFA/iLRPの特異的領域に対するこれまでに発見されていない抗体を生成するために用いられ得ることを発見した。
【0021】
したがって、本発明の1つの態様は、癌胎児抗原/未熟ラミニン受容体タンパク質(OFA/iLRP)の免疫原性である領域に特異的に結合する、単離された抗体を目的とする。本発明の目的では、「単離された」抗体は、その天然環境の構成要素から同定および分離、ならびに/または回収されているものである。
【0022】
本発明の1つの実施形態では、抗体は、OFA/iLRPに特異的である。抗体は、それが、周知の標準的な抗体結合条件下で、67kDaの形態のラミニン受容体ではなくOFA/iLRPに優先的に結合する場合、OFA/iLRPに特異的である。このような抗体の例には、限定はしないが、3G7が含まれる。異なる実施形態では、本発明の抗体は、OFA/iLRPおよび67kDaの形態のラミニン受容体の両方を認識し得る。このような抗体の例には、限定はしないが、2C6が含まれる。さらなる実施形態では、本発明の抗体は、OFA/iLRPの二量化領域に結合する。本発明の目的では、二量化領域は、OFA/iLRPの二量化に関与する[28]、OFA/iLRP完全長タンパク質のアミノ酸112から140の間の領域である。
【0023】
本発明の抗体は、完全長のOFA/iLRPタンパク質を認識し得る。それらはまた、免疫原性であるOFA/iLRPの特異的領域、特に二量化領域を認識し得る。本発明の目的では、OFA/iLRPの領域は、その領域に由来するポリペプチドが免疫応答を引き起こし得、かつ本発明の抗体を産生するために用いられ得る場合、免疫原性である。例えば、表2に列挙される4つの免疫原性ペプチドによって生成される抗体は、完全長のOFA/iLRPタンパク質、そのそれぞれの免疫原性ペプチド、およびこれらのペプチドを含むOFA/iLRPの領域を認識し得る。
【0024】
本発明の目的では、「抗体」は、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を介して、受容体、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどの標的に特異的に結合し得る、免疫グロブリン分子である。本明細書において用いられる場合、この用語は、無傷のポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体だけではなく、その断片(Fab、Fab’、F(ab’).sub.2、Fvなど)、一本鎖(ScFv)、その突然変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、および、抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子のあらゆる他の修飾された形状も含む。抗体には、IgG、IgA、またはIgMなどの、あらゆるクラスの抗体(またはそのサブクラス)が含まれ、抗体は、何らかの特定のクラスのものである必要はない。抗体の重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを、異なるクラスに割り当てることができる。IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMという、免疫グロブリンの5つの主要なクラスがあり、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2にさらに分けることができる。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖の定常ドメインは、それぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニットの構造および三次元形状は、周知である。
【0025】
本発明の抗体は、さらに、抗体の少なくとも1つのOFA/iLRP領域によって付与される、ポリペプチドに対する親和性を有する、二重特異性分子、多特異性分子、一本鎖分子、ならびにキメラおよびヒト化分子を含むことを意図したものである。本発明の抗体にはまた、抗体の重鎖の可変ドメインまたは抗体の軽鎖の可変ドメインである、単一ドメイン抗体が含まれる。抗体の6つの天然の相補性決定領域のうち3つを含有する、抗体の重鎖の可変ドメインまたは抗体の軽鎖の可変ドメインを含むドメイン抗体を作製する方法もまた、当技術分野において公知である。例えば、Muyldermans、Rev. Mol. Biotechnol.、74巻:277〜302頁、2001年を参照されたい。
【0026】
1つの実施形態では、OFA/iLRPに対して発生した抗体は、モノクローナル抗体である。2C6および3G7などのモノクローナル抗体はまた、完全長のOFA/iLRPタンパク質、そのそれぞれの免疫原性ペプチド、およびこれらのペプチドを含むOFA/iLRPの領域を認識し得る。しかし、モノクローナル抗体3G7は、成熟形態のLRP(二量体形態)を認識せず、一方、モノクローナル抗体2C6は認識する。しかし、高用量の3G7抗体は、OFA/iLRP二量体を崩壊させ得る。
【0027】
本明細書において用いられる場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均質な複数の抗体の1抗体を言い、すなわち、集団を含む個別の抗体は、わずかに存在し得る考えられる天然の突然変異を除いて、同一である。モノクローナル抗体は、一般に、非常に特異的であり、単一の抗原部位に対するものである。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。「モノクローナル」という修飾語は、抗体が、実質的に均質な抗体集団から得られ、かつ、何らかの特定の方法による抗体の産生が必要であるとは解釈されないという、抗体の特徴を示す。例えば、本発明に従って用いられるモノクローナル抗体は、米国特許第4,816,567号において記載されているような組換えDNA法によって作製することができる。モノクローナル抗体はまた、例えばMcCaffertyら、1990年、Nature、348巻:552〜554頁において記載されている技術を用いて生成されるファージライブラリーから単離することができる。
【0028】
本発明の抗体は、選択された基準に基づいてペプチドに対して免疫化することによって産生される。ペプチドの選択および選択基準は、本願と同時に出願された、「Oncofetal Antigen/Immature Laminin Receptor Peptides For The Sensitization Of Dendritic Cells For Cancer Therapy」という発明の名称の特許出願において完全に開示されており、この出願の関連する内容は、本明細書に完全に組み込まれる。一般に、OFA/iLRPのアミノ酸配列の少なくとも一部、すなわち全体または一部を含むポリペプチドまたはペプチドが、特異的な抗体応答を引き起こし得るならば、これを抗原として用いることができ、このようにして生成された抗体は、完全長OFA/iLRPおよびこれにおいて用いられる免疫原性ペプチドの両方を認識し得る。本発明の実施形態に従うと、免疫原性ペプチドは、OFA/iLRPの異なる推定エピトープ領域に基づいて生成される。単独で、またはOFA/iLRPの二量化領域に対する抗体と組み合わせて用いるための、OFA/iLRPに対する多重機能抗体の再現性および機会を増大させるために、好ましくは、抗体は、表1に列挙される領域またはエピトープに対して開発される。1つの実施形態では、1)FREPRLLVVTDPR、2)VTDPRADHQPLTE、3)YRDPEEIEKEEQ、4)FPTEDWSAQPATEDの4つのペプチドが、本発明の抗体の生成に用いられる。
【0029】
本発明のペプチドは、Escherichia coliなどを用いる化学的合成または生化学的合成によって調製することができる。当業者に周知の方法を、合成に用いることができる。
【0030】
本発明のペプチドを化学的に合成する場合、ペプチド合成の分野において周知の方法を用いることができる。例えば、アジド法、酸塩化物法、酸無水物法、混合酸無水物法、DCC法、活性エステル法、カルボジイミダゾール法、および酸化還元法などの方法を挙げることができる。固相合成または液相合成を用いることができる。市販されているペプチド合成器(例えば、Shimadzu PSSM−8)もまた用いることができる。
【0031】
反応の後、本発明のペプチドを、溶媒抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、または再結晶化などの従来の精製方法の組み合わせによって精製することができる。
【0032】
本発明のペプチドは、その免疫原性応答を増大させるために修飾することができる。1つの実施形態では、ペプチドの改変体は、いずれかの末端にシステイン残基を含み得、これによって、キーホールリンペットヘモシアニン、オボアルブミン、血清アルブミン、またはペプチドの免疫原性応答を増大させるために用いられる他の結合体への結合体化が可能になる。表2には、結合体化のための修飾ペプチドの例が列挙されている。
【0033】
ペプチドは、抗体を生じさせるために、様々な異なる生物において用いることができる。抗体はまた、周知のタンパク質技術に基づいて様々な異なる組換え抗体を生成させるためにクローニングすることができる。本発明の目的の1つは、完全長タンパク質に対して免疫化するのではなく、本発明のペプチドに対して免疫化し、そして、OFA/iLRPの特異的領域に対する免疫特異性に基づいて抗体を選択することによって、OFA/iLRPの特異的領域に対する抗体を開発することである。
【0034】
本発明のモノクローナル抗体は、当技術分野において公知の方法を用いて生成することができる。例えば、本発明のモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ細胞を培養することによって生成することができ、ハイブリドーマ細胞によって分泌される抗体はさらに、単離または精製することができる。抗体は、例えば、タンパク質A−セファロース.RTM.、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティークロマトグラフィーなどの、従来の免疫グロブリン精製手順によって、培養培地または腹水から単離または精製することができる。
【0035】
本発明の抗体はまた、参照することによって本明細書に組み込まれる米国特許第4,816,567号および米国特許第6,331,415号において記載されているような組換えDNA法によって作製することができ、例えば、本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合し得るオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)、容易に単離および配列決定することができる。本発明のハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい由来源として役立つ。DNAは、単離されると、発現ベクター内に置くことができ、この発現ベクターを次に、本来は免疫グロブリンタンパク質を産生しない、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞などの宿主細胞内に移して、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を得る。DNAはまた、例えば、ヒトの重鎖および軽鎖の定常ドメインのコード配列を相同なマウス配列の代わりに用いることによって(米国特許第4,816,567号)、または非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全てもしくは一部を、免疫グロブリンをコードする配列に共有結合させることによって、修飾することができる。このような非免疫グロブリンポリペプチドを、本発明の抗体の定常ドメインの代用とするか、または、本発明の抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインの代用として、キメラ二価抗体を生じさせることができる。
【0036】
本発明の抗体は、様々な異なる機能のために用いることができる。1つの実施形態では、本発明の抗体は、化学的アジュバント、放射線学的アジュバント、および核性アジュバントとの結合体化を介して、悪性組織を検出するために用いることができる。さらに、これらの抗体は、治療的に用いて、受動免疫、すなわち、その固有のもしくは改変された形での増大した免疫応答をもたらすために用いることができるか、または、化学的、放射線学的「種」源、微小電気装置、銀コロイド、金、二酸化チタンコロイド、バイオポリマーコロイド(すなわち、デンプン、コラーゲン、アガロースなど)、ペプチド配列、もしくはタンパク質配列に結合体化している場合には、悪性細胞の標的化された破壊を助けるために用いることができる。OFA/iLRPの、高度に保存される性質に起因して、抗体はまた、試薬としても用いることができ、タンパク質を発現する全ての生物と交差反応をする。
【0037】
したがって、本発明の別の態様は、本明細書において記載される抗体またはポリペプチドを含む医薬組成物を提供する。組成物の抗体またはポリペプチドは、単独で、または、化学的、放射線学的「種」源、微小電気装置、銀コロイド、金、二酸化チタンコロイド、バイオポリマーコロイド(すなわち、デンプン、コラーゲン、アガロースなど)、ペプチド配列、もしくはタンパク質配列に結合体化して使用することができ、これは、悪性細胞の標的化された破壊を助けるために用いることができる。
【0038】
組成物はまた、薬学的に許容される担体または賦形剤を含み得る。薬学的に許容される賦形剤は、当技術分野において公知であり、薬学的に効果的な物質の投与を容易にする、比較的不活性な物質である。例えば、賦形剤は、形態もしくは硬さをもたらし得るか、または、希釈剤として作用し得る。適切な賦形剤には、限定はしないが、安定剤、湿潤剤および乳化剤、浸透圧を変化させるための塩、カプセル化剤、緩衝液、ならびに皮膚浸透増強剤が含まれる。非経口的および経口的な薬物送達のための賦形剤および製剤は、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Mack Publishing(2000年)において説明されている。
【0039】
本発明の組成物は、その意図された投与経路に適合するように製剤される。投与経路の例には、非経口投与、例えば、静脈内投与、皮内投与、皮下投与、経口投与(例えば、吸入)、経皮投与(局所的)、経粘膜投与、および直腸投与が含まれる。非経口適用、皮内適用、または皮下適用に用いられる溶液または懸濁液には、注射のための水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒などの無菌希釈剤、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤、酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩などの緩衝液、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張性を調整するための作用物質という構成要素が含まれ得る。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調整することができる。非経口調製物を、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、または複数回用量のバイアル内に入れることができる。
【0040】
注射での使用に適した組成物には、無菌水性溶液(水溶性の)または分散液、および無菌の注射用溶液または分散液を即時調製するための無菌粉末が含まれる。静脈内投与では、適切な担体には、生理食塩水、滅菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany、NJ)、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれる。全てのケースにおいて、組成物は無菌でなくてはならず、注射容易性が存在する限りは流体である。これは、製造および保存の条件下で安定であり、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されなくてはならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびその適切な混合物を含有する、溶媒または分散媒質であり得る。例えば、レシチンなどの被覆を用いることによって、分散液のケースでは所要の粒子サイズを維持することによって、および界面活性剤を用いることによって、適切な流動性を維持することができる。微生物の作用の予防は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって実現することができる。多くのケースでは、組成物内に、等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、または塩化ナトリウムを含めることが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、組成物内に、吸収を遅らせる作用物質、例えばアルミニウムモノステアレートおよびゼラチンを含めることによってもたらされ得る。
【0041】
無菌の注射用溶液は、所要の量の化合物を、上記に列挙した成分の1つまたは組み合わせを有する適切な溶媒に組み込み、必要に応じて、その後に濾過滅菌を行うことによって、調製することができる。一般に、分散液は、化合物を、基礎となる分散媒質および上記に列挙した他の成分のうち所要のもの含有する無菌媒体内に組み込むことによって、調製される。無菌の注射用溶液を調製するための無菌粉末のケースでは、好ましい調製方法は真空乾燥および凍結乾燥であり、これにより、活性成分とあらゆるさらなる所望の成分との粉末が、先に滅菌濾過されたその溶液からもたらされる。
【0042】
経口組成物には一般に、不活性の希釈剤または食用の担体が含まれる。経口的な治療的投与の目的では、化合物は、賦形剤と組み合わせることができ、錠剤、トローチ、またはカプセル、例えばゼラチンカプセルの形態で用いることができる。経口組成物はまた、マウスウォッシュとして用いるために、流体担体を用いて調製することができる。薬学的に適合した結合作用物質、および/またはアジュバント材料を、組成物の一部として含めることができる。錠剤、ピル、カプセル、トローチなどは、微結晶性セルロース、トラガカントガム、もしくはゼラチンなどの結合剤、デンプンもしくは乳糖などの賦形剤、アルギン酸、Primogel、もしくはコーンスターチなどの崩壊剤、マグネシウムステアレートもしくはSterotesなどの潤滑剤、コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤、ショ糖もしくはサッカリンなどの甘味料、またはペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジ香料などの香料という成分または類似の性質を有する化合物のいずれかを含有し得る。
【0043】
吸入による投与のためには、組成物は、適切な推進剤、例えば二酸化炭素などのガスを含有する加圧された容器もしくはディスペンサー、または噴霧器から、エアロゾルスプレーの形態で送達される。
【0044】
全身投与はまた、経粘膜手段または経皮手段によるものであり得る。経粘膜投与または経皮投与のためには、透過するべき障壁に適した浸透剤が、製剤において用いられる。このような浸透剤は、当技術分野において一般に公知であり、例えば、経粘膜投与では、洗浄剤、胆汁塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、鼻腔内スプレーまたは坐剤を用いることで達成することができる。経皮投与では、化合物は、当技術分野において一般に公知であるような軟膏剤、軟膏、ゲル、またはクリームに製剤される。
【0045】
本発明の組成物はまた、直腸送達のために、坐剤(例えば、ココアバターおよび他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を伴った)または停留浣腸の形態で調製することができる。
【0046】
1つの実施形態では、組成物は、インプラントおよびマイクロカプセル化された送達系を含む制御放出製剤などの、身体からの迅速な排出から化合物を保護する担体と共に調製される。エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの、生分解可能な、生体適合性ポリマーを用いることができる。このような製剤を調製するための方法は、当業者には明らかである。材料はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.から商業的に入手することができる。リポソーム懸濁液(感染細胞に標的化されたリポソームとウイルス抗原に対するモノクローナル抗体とを含む)もまた、薬学的に許容される担体として用いることができる。
【0047】
投与を容易にするため、および投薬の均一性のために、経口組成物または非経口組成物を投薬単位形態で製剤することが有利である。本明細書において用いられる「投薬単位形態」は、治療すべき被験体への単位投薬として適した、物理的に個別の単位を言う。各単位は、所要の医薬用担体を伴って、所望の治療効果をもたらすように計算された、所定の量の活性化合物を含有する。
【0048】
本発明の組成物は、投与のための指示と共に容器、パック、またはディスペンサーに含めて、包装された製品とすることができる。他の活性化合物もまた、組成物内に組み込むことができる。
【0049】
本発明のさらなる態様は、正常な試料と比較して増大しているかもしくは低下しているOFA/iLRPのエピトープ発現、ならびに/または、エピトープの発現を普段は欠いている組織(複数可)および/もしくは細胞(複数可)における発現の存在などの不適切な発現に関連する、疾患、障害、または症状を検出、診断、およびモニタリングするために、本発明の抗体およびポリペプチドを使用する方法を提供する。
【0050】
いくつかの実施形態では、本方法は、癌またはOFA/iLRPに関連するあらゆる疾患を有していることが疑われる被験体から得られた試料においてエピトープ発現を検出するステップを含む。好ましくは、この検出方法は、OFA/iLRPのエピトープ領域への抗体の結合を可能にする条件下で、試料と本発明の抗体またはポリペプチドとを接触させるステップ、および、結合のレベルが対照試料または比較試料のレベルと異なるかどうかを決定するステップを含む。本方法はまた、本明細書において記載される抗体またはポリペプチドが患者にとって適切な治療であるかどうかを決定するために有用である。
【0051】
診断の目的では、抗体を含むポリペプチドは、限定はしないが、当技術分野において公知の放射性同位体、蛍光標識、および様々な酵素−基質標識を含む、検出可能な部分で標識することができる。標識を抗体に結合体化させる方法は、当技術分野において公知である。
【0052】
いくつかの実施形態では、本発明の抗体を含むポリペプチドは、標識されている必要はなく、その存在は、本発明の抗体に結合する標識された抗体を用いて検出することができる。
【0053】
本発明の抗体は、競合的結合アッセイ、直接および間接サンドイッチアッセイ、ならびに免疫沈降アッセイなどの、あらゆる公知のアッセイ方法において採用することができる。Zola、Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques、147〜158頁(CRC Press, Inc. 1987年)。
【0054】
抗体およびポリペプチドはまた、in vivoでのイメージングなどの、in vivoでの診断アッセイに用いることができる。一般に、抗体またはポリペプチドは、放射性核種(111In、99Tc、14C、131I、125I、またはHなど)で標識され、その結果、目的の細胞または組織を、免疫シンチグラフィーを用いて位置決定することができる。
【0055】
抗体はまた、当技術分野において周知の技術を用いる、病理学における染色試薬として用いることができる。
【0056】
本発明を、以下の詳細な実施形態および実施例を参照することによって、さらに説明する。これらの実施形態および実施例は、例示のみを目的として提供されるものであり、本明細書において記載される本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【0057】
OFA/iLRPの特異的領域に対する抗体の開発
OFA/iLRPの一連の異なる推定エピトープ領域に対する異なるペプチドの領域を用いて、OFA/iLRPに対して抗体を作製する。表1は、このようなペプチドのリストを示す。ペプチドは、標準的なプロトコールに従って、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に結合体化される[37〜39]。KLH−OFA/iLRPペプチドを用いて、標準的なプロトコールに従って、マウスを免疫化する[37、39]。KLH−OFA/iLRPペプチドに対する3回目の免疫化の後、マウス尾部の出血から単離された血清を、標準的なプロトコールを用いて間接ELISA技術を用いて、ウシ血清アルブミン(BSA)に結合体化したOFA/iLRPペプチドに対してスクリーニングする(図1および表1)。簡潔に述べると、OFA/iLRPをNunc Star Immunosorpプレート上に、4℃で一晩被覆した。プレートを洗浄し、水で3回ブロックした。尾部の出血を介して得られたマウス血清を、BSAを有するPBS−t内に希釈し、室温で1時間にわたりインキュベートした。プレートを洗浄し、ビオチン化した二次抗体を用いて、標準的な方法を用いて、抗体抗原相互作用を検出した(図1A〜B)。吸光度を、Beckman DTX 880で、A620で読み取り、Prism Graph 5を用いてグラフにした(図1C)。バーは、免疫化ペプチド当たりの、2頭の動物からの2つの独立した実験の平均を示す。陽性対照は、BSAおよびBSA抗体で被覆した。陰性対照は、タンパク質の被覆を有していなかった。
【0058】
ペプチドのスクリーニングに加えて、標準的なプロトコールを用いて単離されたOFA/iLRPに対して、尾部の出血を試験する[1〜3、5、26、29、30]。簡潔に述べると、完全長のOFA/iLRPを、Nunc−Immuno Star MaxiSorpプレート上に被覆し、37℃で2時間にわたり、アジ化ナトリウムを有するPBS内に5μg/mlまで希釈する。プレートを18.2メガオームの水で3回洗浄し、5%乾燥乳粉末を有するPBS−tを用いて、25℃で1時間にわたりブロックする。プレートをPBS−tで3回洗浄する。尾部の出血から得られた血清を、ブロック緩衝液(上記)内に希釈し、4℃で一晩インキュベートする。プレートを、上記のPBS−tを用いて洗浄する。抗体−抗原複合体を、ビオチンヤギ抗マウス抗体を用いて検出し、ブロック緩衝液内に希釈し、25℃で1時間にわたりインキュベートする。プレートをPBS−tを用いて3回洗浄する。二次抗体を、ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)を用いて検出し、ブロック緩衝液内に希釈し、25℃で30分間にわたりインキュベートする。プレートを上記のように洗浄する。最終的な検出ステップは、Sigma FAST(商標)OPDシステムを用いる標準的なプロトコールに従い、SpectraMax 384で読み取る。
【0059】
OFA/iLRPを検出するための抗体−サンドイッチELISAにおいて用いられる抗体
OFA/iLRPのRNAおよびタンパク質の発現は、より侵攻性の形態の癌に関連している[2、3、5、6、8、10、13、15〜17、20、21、23、25、26、29、40]。しかし、タンパク質の作用は、67kDaの形態および免疫組織化学に主に集中している。本発明の目的の1つは、異なる領域に対して設計された2つのOFA/iLRP抗体を用いる、標準的なサンドイッチELISAを開発することである。OFA/iLRPに特異的な捕捉抗体用いて、存在する37kDaのOFA/iLRPの量を定量することができ、この領域外の捕捉抗体を用いて、存在する全OFA/iLRPを定量することができる。
【0060】
簡潔に述べると、抗体−サンドイッチELISAは、以下の標準的な技術に従う。捕捉抗体を、Nunc Star Immunosorbプレート(または類似のもの)上に被覆し、それを次に、炭酸塩緩衝液内で、FREPRLLVVTDRADHQPLTペプチドに対する様々な異なる濃度の捕捉抗体で被覆し、4℃で一晩インキュベートする。捕捉抗体および検出抗体の最適な濃度は、「criss−cross」希釈法を用いて決定する[39]。プレートを水で3回洗浄し、PBS−tで3回洗浄する。洗浄したら、プレートを、標準的なブロック緩衝液を用いて、1時間にわたりブロックする。ブロックされたプレートをPBS−tで3回洗浄する。可溶性タンパク質の溶解物を、標準的なブロック緩衝液で試験し、OFA/iLRPを、室温で1時間から4℃で一晩、インキュベートする。最初のインキュベーションが完了したら、プレートをPBS−tで3回洗浄する。OFA/iLRPと捕捉抗体との相互作用を検出するために、二次抗体/検出抗体をブロック緩衝液内に希釈し、少なくとも1時間にわたり室温でインキュベートする。プレートをPBS−tを用いて3回洗浄する。検出抗体をビオチンに結合体化させる(または他の方法)。ビオチン結合体を、ストレプトアビジン/ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)または同等物で検出する。ストレプトアビジンを、適切なブロック内に希釈し、室温で30分間にわたりインキュベートする。プレートを洗浄し、ストレプトアビジンに対するHRPの酵素的結合体を、標準的なプロトコールに従って、SIGMA FAST(商標)OPDシステムを用いて検出する。存在するOFA/iLRPの量を、SpectraMax 384または同等物で読み取る。検量線当てはめ法に従って、精製OFA/iLRPから作成された検量線を用いてOFA/iLRPの濃度を逆算し、希釈因子を乗じる[37]。非特異的な捕捉抗体を用い、その後、モノマー領域に対する検出抗体を用いることによって、OFA/iLRPのモノマー形態を検出することも可能である。二量化領域外の領域に対する捕捉抗体と検出抗体との組み合わせを用いて、生体液または組織溶解物内に存在するOFA/iLRPの総量を決定することができる。
【0061】
OFA/iLRPの固有の二量体形態を検出するために、標準的なELISAを上記のように用いる。しかし、モノマー領域に対して発生した抗体を用いる代わりに、用いられる抗体はこの領域外のものであるが、上記で用いられる検出抗体から十分な距離を有するため、適切な結合が可能となる。67kDaのOFA/iLRPを、以下の標準的なプロトコールに従って精製する[2、3、26、29]。サイズは、固有のゲル電気泳動またはサイズ排除クロマトグラフィーを用いて、上記のように検証する。二量体を捕捉するための、FREPRLLVVTDRADHQPLTとは異なるエピトープに対する捕捉抗体を用いて、標準的なELISAを行い、次に、モノマーの検出において用いられるビオチン化検出抗体を用いる。ELISAは、標準的なプロトコールに従って行う[39]。これによって、生体液および組織溶解物内に存在する二量体OFA/iLRPの量が決定される。性質、転移量、および他の臨床的に関連する情報についてのさらなる情報は、全OFA/iLRPに対するモノマーOFA/iLRPの比率によって得ることができる。
【0062】
OFA/iLRPの免疫組織化学的検出
上記に列挙した抗体を、癌および癌の可能性をin situで検出する方法としての免疫組織化学(IHC)に用いることができる。類似の技術が、癌を同定するために用いられているが、それらは、67kDaのタンパク質を検出する[5、17、41]。IHC法は、OFA/iLRPの検出にカスタマイズされている標準的なプロトコールに従う。プロトコールは、以下に列挙するものに類似している。
【0063】
切断した組織を、キシレンなどの、組織の組織学的分析のための標準的なプロトコールに従って脱パラフィン化し、その後、エタノールの濃度を低下させ、少なくともI型のラボウォーター内に入れる。抗原の賦活化は、pH6.0に調整した0.01Mのクエン酸緩衝液内での熱誘導型エピトープ賦活化(HIER)を用いて、標準的なプロトコールに従う。エピトープ(複数可)は、直接的な加熱方法(ホットプレート)または間接的な加熱方法(マイクロ波)を用いて賦活化することができる[37]。簡潔に述べると、脱パラフィン化した組織切片をスライドホルダー内に置き、90℃超のクエン酸緩衝液で満たした染色皿内に置く。組織を加熱し、約10分間にわたり90℃超を維持する。処理時間は、組織のタイプ、組織の厚さ、および様々な他の因子に依存する。適切に処理したら、組織を、標準的な方法に従って、0.1%Tween−20を有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS−t)内で3回洗浄する。組織を、湿潤チャンバ内で、標準的なIHCブロック緩衝液(BSAまたは非特異的な抗体/タンパク質相互作用を減少させるために用いる他の試薬を有するPBS−t)と共に、室温でインキュベートする。スライドをPBS−t内で3回洗浄する。OFA/iLRP抗体を、BSAまたは同等物を有するPBS−t内に適切に希釈し、処理した組織と共にインキュベートする。スライドを上記のように洗浄する(3×PBS−t)。組織を、ビオチン化されたユニバーサル二次抗体(または同等物)と共にインキュベートして、ストレプトアビジンに基づいた系を用いる検出を可能にする。スライドを上記のように洗浄し、OFA/iLRP|Ab|2°抗体複合体を、アルカリホスファターゼ(AP)、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、Quantum Dot、フルオロフォア、放射性核種、または他の検出方法のいずれかに結合体化した標準的なストレプトアビジンを用いて検出する[37、39、42]。組織を、標準的なプロトコールに従って可視化する。
【0064】
蛍光偏光の定量のためのOFA/iLRP抗体の使用
抗体を、存在するOFA/iLRPの量を決定するための蛍光偏光(FP)実験のために用いることができる。さらに、モノマーのFPと二量体のFPとの比率も可能であり得る。FPはまた、細胞表面上のOFA/iLRPの可動性を決定するためにも用いることができる。蛍光偏光実験における抗体の使用の決定は、これまでの研究に基づくが、OFA/iLRPの定量のために特異的に開発されている[43〜49]。OFA/iLRP抗体の使用を決定するために、モノクローナル抗体を標準的なフルオロフォアに結合体化させ、標識された抗体を、SM−2バイオビーズプロトコールに従って、遊離標識から取り除くことができる[50]。精製したら、タンパク質の濃度および蛍光の取り込みを、フルオロフォアに対するタンパク質の比率として決定することができる。結合体化したら、抗体を適切に保存し、後に使用することができる。
【0065】
FP実験において用いる抗体の能力を試験するために、抗体を、ELISA技術に一般に用いられる抗体濃度の決定に類似の適切な量と混合することができる[39]。簡潔に述べると、一方の軸に沿ってはOFA/iLRPタンパク質の量で、および他方の軸に沿っては標識された抗体の量での、二倍希釈を有する、蛍光のために設計された96ウェルプレートを用いる。希釈は、標準的なFP緩衝液で行い、非特異的な結合を防ぐための様々な異なる添加物を含有し得る。原型的な緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水、NP40、ウシ血清アルブミン、ウシガンマグロブリン、グリセロール、またはバックグラウンドのノイズを減少させ特異性を増大させるための他の作用物質を含有し得る。混合したら、プレートをBeckman DTX 880内に置き、含まれるFP(フルオロセイン)フィルターを用いて、用いるフルオロフォアに応じて、ウェル当たり約1秒またはその他の読み取り時間にセットする。偏光値を、mP=[(Is−IsB)−(Ip−IpB]/[(Is−IsB)+(Ip−IpB)]×1000という方程式を用いて計算されるミリ偏光単位(mP)で測定する[47〜49]。最初の実験では、抗体およびOFA/iLRPの濃度に基づいた用量応答曲線が作成される。その後、過剰な未標識抗体を競合物質として用いて、特異性および平衡を決定することができる。さらに、これから生じたデータを用いて、結合分析プロット(すなわち、スキャッチャードプロットまたは類似のもの)を逆算することができ、次にそれを抗体の有効性を決定する方法として用いることができる。最初の条件が決定されたら、FP法を用いて、異なる生体液および組織溶解物内に存在するOFA/iLRPの量を計算することができる。
【0066】
OFA/iLRP陽性細胞を単離/分離するため、または血液内のOFA/iLRP陽性癌細胞量を決定するための、フローサイトメトリー分析における使用
循環性の血液型の癌の総癌量を決定するために、または、転移量を決定するために、フローサイトメトリーを用いることができる。簡潔に述べると、細胞懸濁液または末梢血を得る。細胞懸濁液を300×gで8から10分間遠心分離し、上清を取り除く。細胞をフローサイトメトリー染色緩衝液(フェノールレッド、0.1%アジ化ナトリウム、および1%ウシ血清アルブミンを有さないHBBS)内で1回洗浄し、丸底の96ウェルプレートまたは同等物の底に、細胞懸濁液1mlまたは50から100μl当たり約2×10個の細胞で再懸濁する。細胞懸濁液に、染色緩衝液に希釈した、フルオロセインイソチオシアネート(FITC)または同等物で標識したOFA/iLRP抗体を添加する。バックグラウンドのための対照として、抗体を全く用いずに、未標識のアイソタイプ対照抗体または同等物を用いて(過剰な未標識抗体または競合ペプチド)、細胞を試験する。細胞懸濁液および適切に希釈された抗体を、穏やかに混合しながら、氷上または4℃で、20から60分間にわたりインキュベートする。染色された細胞懸濁液を100μlの染色緩衝液で3回洗浄し、300から500×gで3から10分間遠心分離する。最後の洗浄の後、細胞を約400μlの染色緩衝液内に懸濁し、分析するまで、4℃で蓋をして、暗所で保存する。さらなるステップは、死滅細胞を検出するためのヨウ化プロピジウムでの対比染色、または固定ステップの追加を含み得る。製造者の指示に従って、データを回収し、標準的なプロトコールに従って分析する[30、39、51]。FITCの直接的な結合体化、またはビオチン/ストレプトアビジン−FITCを用いる検出を用いて、末梢血、細胞懸濁液、または他の由来源におけるOFA/iLRP陽性細胞の数を検出し得ることが予想される。OFA/iLRP陽性細胞の総数によって、OFA/iLRP陽性疾患の侵攻性および/または進行についての洞察を得ることができる。
【0067】
この方法の代替的適用もまた、センチネルリンパ節の分析を介して乳癌の転移量を決定するために用いることができる。簡潔に述べると、センチネルリンパ節(または初期癌病巣に近いあらゆるリンパ節)を、標準的なプロトコールに従って、5mlの染色緩衝液内で穏やかに崩壊させる。細胞のスラリーを、100μmのメッシュを通して濾過し、上記のように約2回洗浄する。得られた細胞懸得濁液を用いて、局所的な転移を定量する。
【0068】
抗体は、OFA/iLRPまたはOFA/iLRPに結合した他のタンパク質を除去し得る
FREPRLLVVTDRADHQPLT抗体の位置および設計によって、タンパク質が、相互作用しているOFA/iLRPタンパク質を除去し得る可能性が出てくる。さらに、他の領域に対して設計された抗体を用いて、相互作用しているタンパク質を除去するかまたは前記タンパク質の結合を防ぐことができる。最初の方法は、OFA/iLRPのホモ二量体的な相互作用の除去または予防に焦点を合わせたものである。
【0069】
抗体が、相互作用しているOFA/iLRP分子を除去し得るという可能性を試験するために、2つの個別の実験を行う。まず、OFA/iLRP二量体を、OFA/iLRPの二量体形態を精製する標準的なプロトコールに従って精製する。タンパク質の二量体形態を、濃度を増大させていった、OFA/iLRPに対する抗体と共にインキュベートする。標準的な抗体結合緩衝液(NP−40、Tween−20、BSA、BGG、または他の添加物を含有するPBS)内で、37℃で1時間インキュベートした後、抗体による、二量体形態からモノマー形態への変換を、標準的なプロトコールに従って、非変性ポリアクリルアミドゲル上をランさせることによって決定する[37、38]。
【0070】
用い得る第2の方法は、分子サイズに応じた、蛍光偏光における推定される変化を活用するものである。二量体の存在下では、主FPは、抗体の回転のみに由来する。抗体が二量体を除去すると、モノマーへのシフトが生じ、蛍光偏光は変化する。
【0071】
近接に起因する発光スペクトルを消失させるかまたは変化させるために、フルオロフォアをさらに用いることができる。2つ以上の抗体を用いて発光スペクトルを変化させることができるか、または、消失を用いてOFA/iLRP分子の状態および/もしくは安定性を決定することができる。
【0072】
抗体を癌治療として用いる
OFA/iLRP配列を標的化するように設計された抗体を、OFA/iLRP陽性疾患のための治療または考えられる予防の形態として用いることができる。例えば、OFA/iLRP陽性癌を予防または治療するための試験は、標準的な細胞系を用いて、類似の動物モデルを用いて行うことができる。癌のOFA/iLRPの予防について試験するために、抗体を、癌のチャレンジの前に齧歯動物(マウスまたはラット)に注射することができる。治療について試験するために、OFA/iLRP抗体を癌のチャレンジの後に注射することができる。癌のチャレンジは、いくつかは接着性であり、いくつかは非接着性である、様々な異なる公知の癌性細胞系である。細胞を成長させ、齧歯動物モデル系に導入する。OFA/iLRP陽性癌細胞の量は、様々な異なる方法を介して定量することができる。さらに、尾部の静脈を介して注射された接着細胞では、肺のコロニー形成が増大する。OFA/iLRP抗体の治療および/予防能力は、未治療の動物に対する、治療された肺に存在する癌細胞の数によって計算することができる。さらなる対照は、OFA/iLRP抗体と同一のスケジュールでの、非特異的アイソタイプ対照抗体の注射であり得る。さらに、OFA/iLRP抗体は、現在の癌治療法を補強する。考えられるアレルギー反応を減少させるために、ヒトにおいて用いる前に、標準的なプロトコールに従って、抗体をクローニングおよびヒト化することができる。
【0073】
抗体は、生物学的機能を改変させ、OFA/iLRPを発現する関連する疾患により生じる、改変した効果をもたらし得る
抗体は、全体的な浸潤性または標準化された基質への結合能力を改変させ得る。標準的な細胞系を、標準的なプロトコールに従って試験することができる。哺乳動物細胞および非哺乳動物細胞に対する、考えられる薬理学的影響を決定するために行われる1つの試験は、成長速度、例えば様々な異なる濃度のペプチドの存在下および不存在下での細胞の成長に対する効果と、アポトーシス、壊死、および細胞増殖に対する影響を測定することである。OFA/iLRP陽性癌細胞は、様々な用量のペプチドを伴う様々な異なる基底膜上で、in vitroで成長し得る。ペプチドの効果は、標準的な方法に従って、限定はしないが、DNAラダー、細胞死検出ELISA、カスパーゼ測定、TUNELアッセイ、アネキシン−V膜改変、DNA染色、FAS、p53、細胞傷害性アッセイ、細胞増殖、および細胞の生存能力を含む、様々な異なる方法によって測定することができる。
【0074】
ペプチドは、OFA/iLRP陽性癌細胞の浸潤性を増大または減少させる能力を有し得る。これは、他のタンパク質を伴ういくつかの研究に類似した[52〜55]、変更されたボイデンチャンバーを用いて、様々な異なる濃度のペプチドの存在下または不存在下でOFA/iLRP陽性細胞を成長させることによって測定することができる。ペプチドはまた、細胞の接着に影響し得、標準的な方法を用いて測定され得る。接着性の培養されたOFA/iLRP陽性癌細胞を、異なる細胞外マトリクスタンパク質(ECM)の存在下で、ペプチドと共に培養する。細胞を次に、ペプチドの存在下での細胞系の相対的な付着を決定するための標準的な方法に従ってアッセイする[56〜59]。いくつかの他の一般に用いられる技術を、細胞の生存能力、増殖、細胞の死滅、およびアポトーシスに対するOFA/iLRPの影響を決定するために適用することができる[37〜39、42]。
【0075】
抗体をコロイドに連結させて、抗癌活性を持たせるか、または、in vivoでの癌マーカーを提供する
抗体は、様々な異なるコロイドに付着または架橋し得る。例えば、金コロイドまたは銀コロイドを用いて、共鳴光散乱または代替的方法を介して、OFA/iLRP陽性細胞を同定することができる。コロイドのさらなる使用には、酸素フリーラジカルまたは類似物が含まれ得る。抗体に連結したコロイド剤は、可能性を増大させ、OFA/iLRP陽性癌細胞は、フリーラジカルに曝露される。
【0076】
抗体を、X線不透過性の染料、またはX線と共に用いるための類似のタイプの結合体に連結させる
抗体を、放射線不透過性の染料または類似物に結合体化する[60]。癌性状態を初期におよび正確に検出する能力は、患者の治療の選択に役立つ。抗体を放射線不透過性の染料または同等物に結合体化して、現在のx線に基づいた技術の有効性を増大させることが可能である。さらに、抗体を、MRIによって検出される特異的な共鳴周波数に「同調」し得る分子に連結させることができる。考えられる結合体には、限定はしないが、蛍光染料への結合体化に用いられるものに類似の抗体に付着し得る、化学的に反応性のガドリニウムに基づいた系が含まれる。一般に用いられる技術は、抗体上に見られる第1級アミンと反応するテトラフルオロフェニル(TFP)エステル部分の付加である。未反応のTFPガドリニウムは、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて取り除くことができる。ヒトにおいて臨床的に用いるために、抗体はヒト化されている必要があり得る。上記に記載される方法は、標準的なプロトコールに従う。
【0077】
概念の証拠として、活性な免疫系を有する動物モデルは必要なく、このことによって、標準的な技術の使用が可能となる[61]。最初の研究は、x線を用いる必要はないが、OFA/iLRP抗体の、in vivoで結合する能力を実証する必要がある。抗体または同等物は、フルオロフォア、コロイド、酵素結合体、または容易に検出され得る他の方法に結合体化する。結合体化した抗体は、様々な異なる用量で、また規定された時点で、動物に注射され、誘発された腫瘍は、抗体の結合を探すために試料採取され得る。この結合は、これを用いて診断イメージングのために腫瘍を標的化し得ることを示し得る。さらなる方法には、抗体への共有結合による連結のためにエポキシシラン誘導体または類似物で被覆され得る、金ナノ粒子の使用が含まれる[62]。
【0078】
抗体を化学療法剤に連結させて、および化学療法剤と結合体化させて、OFA/iLRP陽性癌細胞に対するものとする
従来の化学療法に関連する副作用の数を減少させるために、標的化されたアプローチを採用することができる。抗癌薬のための標的化作用物質としてOFA/iLRP抗体を用いることによって、現在の治療法の安全性および効力が増大し得る。この効率を試験する方法として、かつ概念の証拠として、抗体を、リポソーム型の系に組み込むことができ、ここで、リポソームは、化学療法剤を含有する。標的化の能力を示すために、OFA/iLRP細胞、OFA/iLRP癌細胞の混合物、および正常なヒト細胞を、細胞培養プレート内で混合することができる。混合物を添加し、類似の用量の化学療法剤、またはアイソタイプ対照抗体が組み込まれたリポソームでの細胞の治療と比較することができる。標的アプローチは、正常細胞に対する大きな影響を伴うことなく、OFA/iLRP陽性細胞の高い死亡率をもたらすことが予想される。この効果は、様々な異なる標準的な技術を介して決定することができる。標準的な化学療法剤を用いることができる一方で、別の技術は、OFA/iLRP抗体への放射性分子の付着を用いることができる。例えば、抗体は、標準的なプロトコールに従ってヨウ素化される。
【0079】
化学療法剤に直接的に連結させること、抗体作用物質を有するリポソーム、または化学療法剤に浸したポリアクリルアミド/アガロースビーズを生じさせることに加え、抗体を代替的送達方法に付着させることができる。カーボンナノチューブ、または化学療法剤を坦持し得る同等物を用いることが可能であり得る。OFA/iLRP陽性細胞と相互作用させると、シグナルが生じて、ナノチューブが共鳴し、含有される抗癌剤が放出され得る。引き金は、様々な異なる方法であり得る。抗体は、ナノカーボン、ナノゴールド、ならびに他のナノチューブおよびナノ作用物質に連結させることができ、およびそれと結合体化させることができ、OFA/iLRP陽性癌細胞を標的化するために、マイクロエレクトロ/電波感受性装置または類似の装置に供することができる。抗体と抗癌剤との間で直接的に連結すると、反応性のリンカー分子は、標的化されて、抗癌剤を放出する。この例は、UVまたはx線により切断可能な、抗体と抗癌剤との間のリンカーであり得る。x線(放射線療法)の存在下では、リンカーは切断され、抗癌剤を放出し得る。別の方法は、腫瘍の微小環境にあるときに切断されるプロテアーゼ切断部位を有するペプチドリンカーを用いる。
【0080】
抗体を、標的細胞の生物学的機能を改変する他のタンパク質に連結することができ、かつ前記タンパク質と結合体化させることができる
抗体は、特定のタイプの免疫応答のみを指示し得る。DNAワクチン接種をもたらすための、2つの異なる配列の融合が、以前に用いられている[63]。この分子は、腫瘍または周辺領域を調節し得る生物学的に活性な配列に融合された、OFA/iLRP抗体結合領域のハイブリッドである。1対の可能性は、ヒト化OFA/iLRP抗体の活性領域をクローニングすることと、それを免疫系の調節因子、細胞周期の調節因子、またはアポトーシスを誘発するタンパク質配列に融合することである。非特異的な事象を予防するためには、タンパク質を操作して、腫瘍の微小環境内になるまで不活性であり続けるようにする。OFA/iLRP抗体は、プロテアーゼ切断部位のリンカーに融合され、それは次に、アポトーシスを誘発するペプチドまたは小分子に付着して、腫瘍に対する免疫応答を誘発する。2つの異なる分子の融合によって、癌細胞に対する増大した特異性を伴って標的化され得る多価抗体が可能になり得る。
【0081】
OFA/iLRP抗体とマイクロエレクトロ流体装置または同等の装置との使用を、診断的に、または現在行われているスクリーニング方法として用いる
OFA/iLRP抗体または活性領域を、マイクロエレクトロ流体装置上に被覆して、血流におけるリアルタイムなOFA/iLRPの発現を測定する。装置は、癌を確認するためのモニタリング装置として機能するように、内蔵型である。抗体は、フィルムまたは他のマイクロ装置上に被覆されて、癌の検出を可能にする。1対の方法に基づいて、結合した量を決定することが可能である。まず、抗体を、規定された流量を通す分子カンチレバー上に被覆することができる。抗原と抗体との間のリアルタイムでの相互作用が生じると、被覆されたレバー上のトルクが増大する。これが次に、抵抗の変化または電荷の誘発を介して測定され得る。類似の技術を、OFA/iLRP抗体で被覆された薄いフィルムと共に用いることができ、抗原が結合すると、フィルム上の電荷または相互作用または電圧の変化を測定し、OFA/iLRPの発現の変化と相関させることができる。これらの技術はOFA/iLRPに限定されないが、あらゆる癌分子をマイクロ移植型装置として用いることができ、前記装置は、臨床医によって必要に応じて読み取られて、臨床医に、再発または転移性の疾患の進行を警告し得る。
【0082】
腫瘍の切除において医師を支援するための、放射能、蛍光、または同等の分子に付着したOFA/iLRP抗体の使用
癌の切除の際に外科医を支援するものとして、OFA/iLRP抗体の使用をフルオロフォア、放射性マーカー、染料、または同等物に組み合わせて、外科医が癌性の成長を容易に同定することを可能にする。さらに、この技術は、転移性の疾患を含有し得るリンパ節を迅速に同定するために用いることができ、例えば、現行の放射能などの、同定を可能にするための適切な結合体に連結した抗癌抗体が、センチネルリンパ節の生検に用いられる。注射した後、患者を、通常通りの手順で手術する。しかし、癌の発見またはリンパ節の検査が困難であれば、ガイガーカウンター、UV、または癌性領域の迅速な同定を可能にする他の光源を用いることができる。癌は、適切な外科治療を用いて切除される。この方法は、癌の同定/切除において非常に役立ち得る。
【0083】
免疫沈降のための抗体の使用
OFA/iLRP抗体は、新規な治療標的を同定するための免疫沈降に用いられる。細胞溶解物を、標準的なプロトコールに従って免疫沈降させる[37、39]。得られたタンパク質は、SDS−PAGE、2dゲル電気泳動、質量分析、または他の方法で分析することができる。得られた情報は、臨床的な診断または治療に用いることができる、OFA/iLRPに関連する考えられるメカニズムについての洞察をもたらし得る。
【0084】
以下の実施例は、限定はしないが本発明の範囲を例示することを意図したものである。このような実施例は、用いられ得るものの典型であるが、当業者に公知の他の手順を代わりに用いることができる。実際、当業者であれば、必要以上の実験を行うことなく、本明細書における教示に基づいて、さらなる実施形態を容易に想像し、もたらすことができる。
【実施例】
【0085】
(実施例1)
OFA/iLRPモノクローナル抗体2C6および3G7を作製する方法
OFA/iLRPモノクローナル抗体2C6および3G7を、標準的な方法およびプロトコールを用いて、Precision Antibodyで作製した。FREPRLLVVTDPRCのペプチドを用いて、モノクローナル抗体3G7を生成させた。YRDPEEIEKEEQCのペプチドを用いて、モノクローナル抗体2C6を生成させた。
【0086】
合成されたペプチドを、標準的なプロトコールを用いて、マレイミドで活性化したKLHに結合体化した(Pierce/Thermo、Rockfork、IL)。結合体化したら、KLH−OFAペプチドを用いて、ペプチド当たり2頭の異なるマウスを免疫化した。免疫化した後、尾部の出血を介して血清を得、血清を用いて、BSA結合体ペプチドに対する抗体力価についてスクリーニングした(図1)。ペプチドに対して陽性であれば、組換えヒトOFA/iLRPを用いて間接ELISAを行って、抗体がタンパク質と反応することを検証した。これは、抗体が小ペプチドおよび完全長タンパク質に対して反応することを確実にするために行った。ペプチドおよびタンパク質に対する反応性を検証した後、脾臓細胞を骨髄腫細胞系と融合し、96ウェル培養プレート内で選択した。生存能力を有するコロニーを生きたまま維持し、次に、ペプチドおよびOFA/iLRPに対してスクリーニングした(上記に類似)。OFA/iLRPに対して高い活性を有するがBSAで被覆したウェルに対しては高い活性を有していない、ハイブリドーマ組織培養物の上清を、免疫グロブリンの分類(IgGまたはIgM)のために選択した。IgMであったあらゆるクローンをスクリーニングから排除し、IgGを産生するハイブリドーマを、標準的なプロトコールに従って成長させた。培地から抗体をさらに精製するために、タンパク質Gの選択を、標準的なプロトコールに従って行った(Pierce/Thermo、Rockford、IL)。溶出した抗体の濃度を、A260の吸光度を用いて決定し、これを2C6抗体および3G7抗体の産生のために用いた。
【0087】
(実施例2)
rHu OFAに対する活性についての尾部出血の分析
この研究において、組換え完全長ヒトOFA/iLRPに対する活性を分析した。Nunc−Immunostar MaxiSorpプレートを、アジ化ナトリウムを有するPBS内の10μg/mlの濃度のOFA/iLRPタンパク質で被覆した。プレートを37℃で2時間にわたりインキュベートした。プレートを水で3回洗浄し、次に、PBS−t内で、5%脱脂粉乳(NFDM)で少なくとも1時間にわたりブロックした。プレートをPBS−tで3回洗浄し、尾部出血および陽性対照を5%NFDMに添加した。プレートを、振とうしながら、4℃で一晩インキュベートした。プレートを上記のように洗浄し、5%NFDM内に1:100で希釈したユニバーサル二次抗体内で、室温で1時間にわたりインキュベートした。プレートを洗浄し、ストレプトアビジン−HRP(1:200 R&D systems)と共に室温で30分間にわたりインキュベートした。プレートを洗浄し、200μlのSIGMA FAST(商標)OPDを各ウェルに添加した。反応についてプレートを観察し、50μlの停止液(2nのHSO)でプレートを停止させたが、低いバックグラウンドは依然として存在した。塩基性の終点ELISA w/OPDおよび酸性停止液のための機器上で、標準的なプロトコールに従って、SpectraMax 384でプレートを読み取り、分析した。
【0088】
OFA/iLRPに対して設計された免疫化ペプチドの全て(表2)は、組換え完全長OFAタンパク質と反応し得る尾部出血血清を産生した。Coggin博士、Rohrer博士、およびBarsoum博士によって提供された、これまでに開発されたモノクローナル抗体(陽性対照)と比較すると、モノクローナル抗体が2mg/mlを超える濃度であったにもかかわらず、尾部出血血清は、同様の、またはわずかに良好な結果を示した(図2)。この実験はさらに、患者および診断試料の抗体力価を決定するための、捕捉抗原としてのOFA/iLRPの使用を実証する。
【0089】
結果は、OFA/iLRPに対するペプチド由来の抗体が、組換え完全長タンパク質を認識し得ることを示す。さらに、プレートへの組換え完全長OFAの被覆は、さらなる抗体の開発または抗OFA免疫応答のモニタリングのためのスクリーニング方法として用いることができる。
【0090】
(実施例3)
モノクローナル抗体の反応性を決定するためのrOFA/iLRPの間接ELISA
この研究において、組換えOFA/iLRPへのOFA/iLRPの特異的領域に対して設計されたモノクローナル抗体の免疫反応性を決定した。簡潔に述べると、Immulon 4HBXプレートを、PBS内に2μg/mlの濃度のOFA/iLRPタンパク質で被覆した。プレートを4℃で一晩インキュベートした。プレートを水で3回洗浄し、次に、PBS−t内の1%BSAで少なくとも1時間にわたりブロックした。プレートをPBS−tで3回洗浄し、モノクローナル抗体の5倍希釈シリーズを、1:10の高濃度および1:781250の低濃度で、8個のウェルに沿ってランさせた。プレートを、振とうしながら、4℃で一晩インキュベートした。プレートを上記のように洗浄し、1:50000のビオチン化した抗マウスIgG二次抗体と共に1時間にわたりインキュベートした。プレートを洗浄し、ストレプトアビジン−HRP(1:250000)と共に、室温で30分間にわたりインキュベートした。プレートを洗浄し、100μlのTMB Two Component HRPマイクロウェル基質(BioFX Laboratories、Owings Mills、MD)を各ウェルに添加した。反応についてプレートを観察し、50μlの停止液(2nのH2SO4)でプレートを停止させたが、低いバックグラウンドは依然として存在した。塩基性の終点ELISA w/HRPおよびTMBのための機器上で、標準的なプロトコールに従って、SpectraMaxでプレートを読み取り、分析した。
【0091】
図3の結果は、rHu OFA/iLRPに対する間接ELISAでのモノクローナル抗体2C6および3G7のランの希釈曲線を示す(n=4)。1:10から開始し1:781250まで低下する5倍希釈物での8点の希釈シリーズは、OFAに対するモノクローナル2C6の強い反応があること、およびこのアッセイにおいて2C6抗体を用いると検出のダイナミックレンジが存在することを示す。
【0092】
図3はまた、OFA/iLRPに対する間接ELISAでランされたモノクローナル抗体3G7の希釈曲線を示す。上記のものと同一の8点の希釈シリーズは、OFAに対するモノクローナル3G7の強い反応があること、およびこのアッセイにおいて3G7抗体を用いると検出のダイナミックレンジが存在することを示す(n=4)。
【0093】
このデータは、これらのモノクローナル抗体(2C6および3G7)の両方が、完全長OFA/iLRPを認識し結合する能力を有することを示す。このデータは、操作された抗体を、広範な下流の診断試験に用い得る特異的様式でOFAを検出するために用いることができることを実証する。これらはまた、様々な生体液において抗OFA抗体の存在を探すための標準として用いることができる。
【0094】
(実施例4)
モノクローナル抗体の反応性を決定するためのrOFA/iLRPのサンドイッチELISA
Immulon 4HBXプレートを、PBS内に10μg/mlの濃度の2C6モノクローナル抗体で被覆した。プレートを室温で一晩インキュベートした。プレートを水で3回洗浄し、次に、PBS−t内の1%BSAで1時間にわたりブロックした。プレートをPBS−tで3回洗浄し、OFA/iLRPの2倍希釈シリーズを、5000ng/mlの高濃度および78.125ng/mlの低濃度で、8個のウェルに沿ってランさせた。OFA/iLRP標準をPBS内の5%BSA内で調製して、血清濃度をシミュレートした。プレートを、振とうしながら、室温で2時間インキュベートした。プレートを上記のように洗浄し、ビオチン化した3G7モノクローナル抗体と共に2時間にわたりインキュベートした。プレートを洗浄し、ストレプトアビジン−HRP(1:200)(R&D)と共に、室温で30分間にわたりインキュベートした。プレートを洗浄し、100μlのTMB Two Component HRPマイクロウェル基質(BioFX Laboratories、Owings Mills、MD)を各ウェルに添加した。反応についてプレートを観察し、50μlの停止液(2nのHSO)でプレートを停止させたが、低いバックグラウンドは依然として存在した。塩基性の終点ELISA w/HRPおよびTMBのための機器上で、標準的なプロトコールに従って、SpectraMaxで、450nmでプレートを読み取り、分析した。
【0095】
図4は、広範な濃度のOFA/iLRPの検量線、および、サンドイッチELISAを用いて本発明のモノクローナル抗体がそれを検出する能力を示す。このデータは、これらのモノクローナル抗体(2C6および3G7)の両方が、サンドイッチELISAを用いて検出され得る様式で完全長OFA/iLRPを認識し結合する能力を有することを示す。逆にすると(すなわち、3G7捕捉/2C6検出)、同様の結果が見られたが、反応の吸光度は、2C6を捕捉抗体として用いた場合よりも有意に低かった(データは示していない)。同様に、このデータは、操作された抗体を、広範な下流の診断試験に用い得る特異的様式でOFAを検出するために用いることができることを実証する。このタイプのELISAは、様々な生体液および組織溶解物においてOFA/iLRPの存在を探すために用いることができる。さらに、この技術は、OFA/iLRPに基づいた治療法についての組み入れ基準/除外基準に適用することができるか、または、癌の診断として用いることができる。抗体は、タンパク質の保存領域に対して設計され、OFA/iLRPを発現する全ての種と交差反応する。
【0096】
(実施例5)
ペプチド由来のモノクローナル抗体を用いた、癌胎児抗原未熟ラミニン受容体の蛍光偏光
この実験は、蛍光偏光におけるOFA/iLRPの2C6クローンの有用性を実証するものである。血清試料をシミュレートするために、全ての標準を、リン酸緩衝生理食塩水内の5%ウシ血清アルブミン(BSA)内に希釈した。実験は、一部はHSP90の研究に基づくものであったが、フルオレセイン(fluorsceine)−5−マレイミド標識抗体を、HSP90に結合し得る小さな蛍光分子であるゲルダナマイシン−BODIPYの代わりに用いた[49、45]。
【0097】
OFA/iLRPモノクローナル抗体2C6および3G7を、標準的なプロトコールに従って、フルオレセイン−5−マレイミド(Pierce/Thermo、Rockford、IL)で標識した。結合していない染料は、製造者のプロトコールに従って、標準的な染料除去カラムを用いて取り除いた。抗体を標識した後、これを蛍光偏光の実験において用いた。
【0098】
OFA/iLRPをPBS内の5%BSA内に、40000ng/mlに希釈し、50μlを最上部のウェルに添加し、96ウェルブラックプレート(Cliniplate、Thermo Scientific)において、PBS内の5%BSA内に6倍希釈した。高濃度の血清アルブミン(5%超の血清アルブミン)を用いて、血清濃度をシミュレートした。標識された抗体を、0.1%の正常なヒト血漿および0.01%Tween−20を有するPBS内に20μg/mlに希釈した。希釈された抗体溶液(50μl)をウェルに分配し、混合し、密封し、光から覆い、4℃で一晩インキュベートした。プレートは、室温に調整できるようにし、蛍光偏光は、DTX−880(Beckman Instruments、Palo Alto、Ca)で測定した。蛍光の取り込み時間が0.0001秒であったことを除いて、製造者の蛍光プロトコールを用いた。データをエクセルにエクスポートし、これまでに概説されているようにしてmPを計算した[49]。生のデータを、Prism 5.0(GraphPad Software,Inc)を用いてlog表示のx軸にプロットし(図5A)、一元ANOVAを用いて分析して、計算されたmP値に対してバックグラウンドを比較し、4パラメータロジスティックが可能になるように変換した(図5B)(r=0.975)n=2。
【0099】
5%BSA/PBSにおけるOFAの濃度は、40000から0.85ng/mlにわたり、1000ng/ml(飽和による)未満から30.86ng/ml未満の範囲を示した(図5A)。1000ng/mlを超える濃度では、シグナルは飽和し、データを変換し、4パラメータロジスティックを実施し、r2>0.95である場合、30.6ng/ml(5.1ng/ml)未満では、シグナルはバックグラウンドと有意には異ならなかった(図5B)。
【0100】
結果は、ペプチド由来のOFA/iLRP抗体を、蛍光偏光を用いてOFA/iLRPの濃度を決定するために用い得ることを実証する。検量線によってもたらされるデータは、血清、血漿、組織溶解物、またはOFA/iLRPを含有するあらゆる溶解可能な由来源からの未知数を計算するために用いることができる、許容されるr値を有していた。
【0101】
(実施例6)
OFA/iLRPの免疫組織化学的染色
この研究の目的は、正常な隣接組織においては反応を限られたものとしながら、ホルマリンで固定されパラフィン包埋された(FFPE)6ミクロンの厚さの腫瘍切片においてOFA/iLRPを検出する、本発明のモノクローナル抗体の能力を分析するためのものであった。
【0102】
マウス一次抗体(Rockland Immunochemicals、Gilbertsville、PA)と共に用いるためのMaxTag Histoキットが提供されるプロトコールに従って、実験を行った。簡潔に述べると、FFPEの6ミクロンの腫瘍スライドを、キシレンで脱パラフィン化し、次に、濃度を減少させていったエタノール(EtOH)で再水和し、次に水で希釈し、最後にPBS内に置いた。全てのインキュベーションステップは、湿潤チャンバ内で実施した。スライド上の、組織を含有する領域にPAPペンで印を付け、次に、PBS内の1%過酸化水素および1%正常ヤギ血清内で5分間にわたりブロックして、内因性ペルオキシダーゼの活性を取り除いた。次に、スライドをPBS内で5分間にわたり3回洗浄した。一次抗体をPBS+1%正常ヤギ血清内に1:250で希釈し、4℃で一晩、スライド上でインキュベートした。これまでの実験は、1:10および1:50の一次抗体希釈物でランし、非常に高いバックグラウンド染色を有していた。(データは示していない)。次に、スライドをPBS内で5分間にわたり3回洗浄し、次に、キットにおいて提供される二次抗体を添加し、それらを室温で30分間にわたりインキュベートした。スライドを再び洗浄し、希釈した、キットのストレプトアビジンペルオキシダーゼ試薬を添加し、室温で30分間にわたりインキュベートした。スライドを再び洗浄し、供給されたDAB試薬を添加し、発色についてモニタリングしながら、15分間にわたりインキュベートした。DABの反応は、正常な隣接組織の真のバックグラウンド染色を決定するために、製造者の推奨よりも10分長くインキュベートすることが可能であった。次に、スライドを蒸留水で2分間にわたり3回洗浄した。ヘマトキシリン対比染色液を添加し、スライドを5分間にわたりインキュベートした。スライドを水で2分間にわたり3回、再び洗浄し、それぞれ2分間にわたり4回、100%EtOHで脱水し、次に、それぞれ2分間にわたりキシレンを4回交換して、クリアにした。組織を顕微鏡下で観察し、茶色の沈殿物として可視化される陽性反応およびライトブルーの核染色で評価した。
【0103】
染色は複数の腫瘍タイプに対してランした。図6に示されるスライドは、一次抗体としての3G7モノクローナル抗体で染色されている、中度に分化した浸潤性の乳管癌腫であるT2N1M0を示す代表的な切片である。スライドの染色は、アイソタイプ対照のランスライド(データは示していない)と同様に、非常に暗い黒い沈殿物から非常に明るいものにわたる。OFA/iLRFの発現は、これまでに試験された全ての腫瘍タイプにおいて見られている。
【0104】
結果は、モノクローナル抗体が、IHC染色プロトコールに適しており、様々な異なる実験上および診断上の適用において用いられ得ることを示す。1つの考えら得る適用は、OFA/iLRP療法への適用性のためのものであるか、または、スクリーニング/診断試験としてのものである。OFA/iLRPは保存領域に対して特異的に設計されるため、これらの抗体は、全ての種と交差反応する。
【0105】
(実施例7)
細胞の生存能力に対するOFA/iLRPモノクローナル抗体の効果
この実験の目的は、OFA/iLRPに対して設計されたモノクローナル抗体が細胞の生存能力に対して何らかの影響を有しているかを決定することである。OFA/iLRPの性質に起因して、OFA|OFAからLRへの変換を混乱させるために設計されたモノクローナル抗体および他のタンパク質|タンパク質相互作用を阻害するモノクローナル抗体が活性を有するであろうことが予想された。
【0106】
全ての細胞を、湿潤チャンバ(Mediatech,Inc.Manassas、VA)内で、37℃で、L−グルタミン、100I.U.のペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、および10%ウシ胎児血清を有するRPMI1640内で成長させた。DU145細胞を、American Type Culture Collection(ATCC、Manassas、VA)から入手し、標準的なプロトコールに従って、培地において成長させた。DU145細胞を75から85%の間の密度まで成長させ、標準的なプロトコールに従って回収し、変更されたNeubauerブライトライン血球計を用いて計数し、400000個細胞/mlで懸濁させた。
【0107】
モノクローナル抗体(2C6および3G7)を完全培地内に溶解した。適切な濃度まで希釈した後、50μlを、ラミニン/エンタクチン複合体(50μg/ml)で被覆されているかまたは未処理の(透明な底部を有する黒色)96ウェルアッセイプレート内に分配し(Corning Life Sciences、Corning、NY)、50μlの細胞(20000個細胞/ウェル)を一晩成長させた。20μlのCellTiter−Blue((Promega、Madison、WI))を細胞に添加し、それを37℃でさらに2時間にわたりインキュベートした。細胞を、標準的な蛍光プロトコールに従って、0.001秒の取り込み時間で、DTX−880(Beckman Inc.)で読み取った。カスパーゼ活性が誘発されたかどうかを決定するために、カスパーゼ3/7の活性を、ApoOneアッセイ(Promega、Madison、WI)を用いて決定した。データをエクセルにエクスポートし、次に、Prism5.0(GraphPad Software、Inc)にエクスポートし、そこでプロットし、一元ANOVAを用いて、バックグラウンド対照(ペプチドに用いられた希釈物)との間の統計上の差について分析した。対照群(0)と処理群との間の差を決定するために、Dunnets事後試験を行った。全てのp<0.05()は有意であると考えられた。
【0108】
DU145細胞の全てを、被覆されていないかまたはラミニン/エンタクチンで被覆された96ウェルプレート上で成長させた。2C6または3G7の存在下で、細胞の生存能力に対する影響が存在した(図7AおよびB)。一元ANOVAによって統計的に分析すると、2C6抗体および3G7抗体は、高い濃度でも、対照群と比較して生存能力を低下させた。しかし、3G7(0.32mg/ml)と2C6(1.29mg/ml)との間の濃度差を考慮すると、3G7は、より優れた活性を有すると考えられる。ApoOneカスパーゼ3/7アッセイにおいて、いずれの群においても有意差は見られなかった。
【0109】
DU145細胞をいずれかの抗体の存在下で成長させると、この細胞は、PBS単独と比較して、細胞の生存能力に対して有意な影響を有していると考えられる。カスパーゼ3/7の活性化はなく、ApoOneアッセイにおいて有意な変化は見られなかった。このことは、OFA/iLRP抗体が、抗癌療法として用いられる能力を有し得ることを示す。
【0110】
本明細書においてこれまでに説明された発明の多くの変更および変形が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく行われ得、したがって、添付の特許請求の範囲によって示されるような限定のみが課せられる。
【0111】
本明細書において引用される全ての特許および論文の参考文献は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0112】
参考文献
【0113】
【化1】

【0114】
【化2】

【0115】
【化3】

【0116】
【化4】

【0117】
【化5】

【0118】
【化6】

【0119】
【表1】

【0120】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌胎児抗原/未熟ラミニン受容体タンパク質(OFA/iLRP)の免疫原性である領域に特異的に結合する、単離された抗体。
【請求項2】
前記免疫原性領域が、OFA/iLRPの二量化領域に位置する、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項3】
OFA/iLRPの前記領域が、(a)FFREPRLLVVTDPR、(b)VTDPRADHQPLTE、(c)YRDPEEIEKEEQ、または(d)FPTEDWSAQPATEDのポリペプチド配列を含む、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項4】
OFA/iLRPの前記領域が、免疫原性応答を増大させるペプチドに結合体化している、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項5】
OFA/iLRPが、キーホールリンペットヘモシアニン、オボアルブミン、または血清アルブミンに結合体化している、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項6】
モノクローナル抗体である、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項7】
前記モノクローナル抗体が2C6または3G7である、請求項6に記載の単離された抗体。
【請求項8】
前記領域が、FREPRLLVVTDPRCまたはYRDPEEIEKEEQCのポリペプチド配列を含む、請求項6に記載の単離された抗体。
【請求項9】
請求項1に記載の抗体を含む医薬組成物。
【請求項10】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記モノクローナル抗体が3G7または2C6である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
試料においてOFA/iLRPを検出する方法であって、
(a)前記試料を、OFA/iLRPの領域に特異的に結合する第1の抗体および第2の抗体と接触させるステップであって、前記抗体の少なくとも一方がOFA/iLRPに特異的である、ステップ、
(b)前記抗体をOFA/iLRPに結合させ、OFA/iLRPとのサンドイッチを形成させるステップ、ならびに
(c)OFA/iLRPに特異的な前記抗体を用いて、前記試料におけるOFA/iLRの発現を検出するステップ
を含む、方法。
【請求項14】
前記抗体の一方が、OFA/iLRPおよび成熟LRPの両方に結合する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記抗体がOFA/iLRPおよび成熟LRPの両方を認識し、捕捉抗体として働き、OFA/iLRPに特異的な前記抗体が検出抗体として働く、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の抗体が3G7であり、前記第2の抗体が2C6である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
試料において癌を検出する方法であって、
(a)前記試料を、OFA/iLRPに特異的な抗体と接触させるステップ、
(b)前記試料を、ビオチン化された二次抗体と接触させるステップ、および
(c)ストレプトアビジンを用いて、前記試料におけるOFA/iLRPを検出するステップ
を含み、前記試料におけるOFA/iLRPの検出が癌を示す、方法。
【請求項18】
試料におけるOFA/iLRPの量を決定する方法であって、
(a)OFA/iLRPに特異的な抗体をフルオロフォアに結合体化させるステップ、
(b)結合体化した前記抗体を試料と接触させるステップ、および
(c)蛍光偏光を用いて、前記試料におけるOFA/iLRPの量を決定するステップ
を含む、方法。
【請求項19】
血液試料におけるOFA/iLRP陽性癌細胞の量を決定する方法であって、
(a)血液試料を、OFA/iLRPに特異的な抗体と接触させるステップ、および
(b)フローサイトメトリーを用いて、前記試料におけるOFA/iLRPの量を決定するステップ
を含む、方法。
【請求項20】
OFA/iLRP陽性癌を治療する方法であって、前記OFA/iLRP陽性癌を治療するために十分な量である、OFA/iLRPに特異的なある量の抗体を、前記癌を有する被験体に投与するステップを含む、方法。
【請求項21】
前記抗体が、抗癌特性を有するコロイドに連結している、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記抗体が化学療法剤と結合体化している、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記抗体がタンパク質と結合体化している、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
被験体においてOFA/iLRP陽性癌を検出する方法であって、
(a)OFA/iLRPに特異的な抗体を、放射線不透過性の染料に結合体化させるステップ、
(b)結合体化した前記抗体を被験体に投与するステップ、および
(c)x線を用いて、結合体化した前記抗体を検出するステップ
を含み、前記x線によるOFA/iLRPの検出が癌を示す、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−522017(P2012−522017A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502313(P2012−502313)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/028948
【国際公開番号】WO2010/111671
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(511232488)クアンタム イミュノロジクス, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】