説明

診療支援装置

【課題】区分なり診療行為なりを予め設定した色でカルテ2号紙画面に表示する診療支援装置を提供することを目的とする。
【解決手段】入力手段と表示手段と記憶手段とを備え、入力された患者の診療情報を記録し表示する診療支援装置であって、表示対象の項目に応じて表示する際の文字修飾情報を設定する文字修飾設定手段と、この文字修飾設定手段により設定された表示対象項目と文字修飾情報とを記憶する設定情報記憶手段と、入力手段により診療情報が入力されたことに応じて、その診療情報に対応する表示対象項目について前記文字修飾情報が登録されている場合はその表示対象項目を設定された文字修飾情報に従って表示する表示制御手段とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の診療情報を記録する診療支援装置いわゆる電子カルテ装置に係り、特に入力した診療データのテキストに自動で修飾を付けることができる同装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関において、患者に対する治療内容等を記録する診療支援装置いわゆる電子カルテ装置が普及しつつある。この診療支援装置では、医師が患者を診療した際に診立てた患者の傷病名や患者の主訴や医師の所見、経過等のデータ、及び患者に実施した処置、処方、検査等の治療内容を表す診療データを記録する。そして、従来の診療支援装置では、傷病名を入力するための病名入力画面や、処置、処方等を入力するための処方等入力画面、及び主訴、所見、経過データを入力するための経過等入力画面が通常用意されている。
【0003】
図6は診療支援装置において診療データを表示するカルテ2号紙画面の一例である。紙のカルテでカルテ2号紙と呼ばれる、診療行為を日々記録する用紙があり、それに似せて画面を構成しているので、カルテ2号紙画面と呼んでいる。画面右側は処置や処方、検査等の当日患者に実施した診療行為を入力し表示する処方等表示領域である。左側はその患者の過去の診療履歴を表示する履歴等表示領域である。診療データは通常、患者が来院して診療した診療日単位に記録するので、過去の診療データを参照する際は画面左に表示された診療日から所望の日付を指定して右側の処方等表示領域に表示させることができる。
【0004】
カルテは後で参照したときに何が記載されているか容易に分るように記載する必要がある。また、他人が見ることを前提に記載するのがよい。これは手書きのカルテでも電子カルテでも同じである。そこで、診療支援装置においては、入力した診療データがそれぞれ何のデータか分るように記録しておき、それを呼び出して表示するときもそれが何のデータか分るようにラベルを付けて表示している。例えば、体温のデータを記録するときは、「体温」のラベルと、「37.6」等の実測値と、単位「℃」とをひとまとめにして記録する。但し、医師が「体温」や「℃」などをいちいち入れるのは面倒なので、従来は、診療データの入力に際して、テンプレートと呼ぶ定型の入力枠を用意しておいて、そこに実測値だけを入力すればよいようにしていた。例えば、特許文献1を参照。
【0005】
ところで、医療機関あるいは医師によっては、特定の区分や特定の診療コードに注目して観察することがある。そこで、カルテの記載においてそれら注目する診療コードが容易に見分けられるように、表示する文字の色を変えて電子カルテに記録するものがあった。例えば、内服処方の区分や特定の医薬品に注目している場合、後からカルテを見直した際にそれらが容易に区別できるように、処方等表示領域に表示されている文字を範囲指定し、その表示色を変えることができた。そして、それをカルテデータ即ち診療データとして記録することができた。例えば、特許文献2を参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−181972
【特許文献2】特開2000−194787
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、区分あるいは医薬品コードを入力してそれらを処方等表示領域に表示させ、それを後から1つ1つ選んで文字の表示色を変えていく作業は結構面倒であった。また、個々の診療行為について表示色を設定することはできたが、処方区分に表示色を設定することはできなかった。また、通常入力しただけでは表示色は変わらず、表示を変えるよう指示する必要があった。そこで、本願は、特定の区分や診療コードを予め登録しておくことで、それらが処方等入力処理画面で入力されれば、その区分なり診療行為なりを予め設定した色で処方等表示領域に表示する診療支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、入力手段と表示手段と記憶手段とを備え、入力された患者の診療情報を記録し表示する診療支援装置であって、表示対象の項目に応じて表示する際の文字修飾情報を設定する文字修飾設定手段と、この文字修飾設定手段により設定された表示対象項目と文字修飾情報とを記憶する設定情報記憶手段と、入力手段により診療情報が入力されたことに応じて、その診療情報に対応する表示対象項目について前記文字修飾情報が登録されている場合はその表示対象項目を設定された文字修飾情報に従って表示する表示制御手段とを備えることで、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の診療支援装置によれば、特定の区分や診療コードを予め登録しておくことで、それらを処方等入力処理で入力すればその区分や診療行為が自動的に予め設定した色で表示されるようになる。したがって、診療コードの入力後に、その表示された文字の色を1つ1つ変える手間がなくなり、作業の効率が高まるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態の診療支援装置のブロック構成図である。
【図2】実施形態の設定登録画面の表示例である。
【図3】実施形態の対象設定画面の表示例である。
【図4】実施形態の対象設定画面のもう1つの表示例である。
【図5】実施形態の表示色設定画面の表示例である。
【図6】実施形態のカルテ2号紙画面の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態における診療支援装置10のブロック構成を図1に示す。図において4はLCD等で構成した情報表示手段としての表示装置、5はデータ入力手段としてのキーボード、6はマウス等のポインティングデバイス、1は制御手段としてのCPU2と、ROM及びRAM等のメモリ3とを備えた制御装置、7はハードディスク装置等の記憶手段で構成したファイル装置である。このファイル装置7には、マスタファイル11と、患者ファイルと、診療情報ファイル15と、管理設定ファイル14とを記憶している。ファイル装置は診療情報記憶手段、設定情報記憶手段として機能する。
【0012】
制御装置1は、キーボード5やポインティングデバイス6からの入力を受け付ける機能、表示装置4の表示を制御する機能、ファイル装置への記憶を制御する機能、装置10全体を制御する機能を有する。キーボード5とポインティングデバイス6は以下の説明において入力手段として機能する。診療支援装置10はパーソナルコンピュータ等の一般のコンピュータを基本ハードウェアとすることもできる。そして、本装置に特有の機能を奏するプログラムを予めROMあるいはファイル装置7にインストールしておいてもよいし、CD−ROM等の記憶媒体に格納して供給してもよい。あるいはネットワークを介してダウンロード可能にしてもよい。制御装置1が同プログラムを導入して実行することで本装置に特有の機能を発揮する構成である。
【0013】
ファイル装置7に記憶されたマスタファイル11は、この医療機関で使う可能性がある全傷病名と、カルテに記録する項目である処置や検査等の診療行為、薬剤や処方、そして、主訴、所見、バイタル等の項目を、それぞれの名称と固有の診療コードとともに予め登録したファイルである。患者ファイル12は、患者の氏名や住所、保険に関する情報等の患者固有の情報を記憶するファイルである。診療情報ファイル13は、患者に実施した処置や処方、検査さらに患者の病名等の診療に係る情報を患者別に記憶するファイルである。患者ファイル12と診療情報ファイル13とは固有の患者IDにより関連付けられている。そして、管理設定ファイル14は、診療支援装置の動作を規定する各種の設定情報を記憶するファイルである。本実施形態では、特に、診療情報を画面表示する際の文字の色に係る設定情報(文字修飾情報)を登録する。
【0014】
次に、本実施形態の動作について説明する。本装置では、診療行為等を処方等入力画面で入力し、処方等表示領域に表示する際に、その表示する文字の色(文字修飾)を任意の色で表示させることができる。そこで、表示する際の文字の色等の文字修飾情報を予めコードごとに設定登録する。
【0015】
図2は、制御装置1が表示装置4に表示制御する、ユーザが文字修飾情報を設定するための設定登録画面の表示例である。処方区分の自動文字修飾として文字を表示する際の色を設定する。ここでユーザが設定ボタンを指示すると、それに応じて、制御装置1は図3に示す対象設定画面を表示する。ここでは、自動文字修飾する対象として処方の区分か、処方の単体コード(診療コード)を選択し、それぞれ指定することができる。区分としては、図示されているように、介護、診察、在宅、内服、頓服等があるので、所望の区分をマウスカーソルで指示選択すればよい。
【0016】
一方、単体の診療コード毎に設定する場合は、図4に示すように、「コード設定」タブを指示して表示させ、所望のコードを検索して指定する。もちろんここで複数の診療コードをまとめて指定することもできる。図示の例では、「カロナール細粒」の診療コードに対して文字修飾を設定する。ユーザがOKボタンを指示すると、制御装置1は図5に示す表示色設定画面を表示する。そこで、ユーザは、所望の表示色を指示選択する。本実施形態では24種類の色と、それぞれの濃淡が指定できるようになっている。そして、ユーザがOKボタンを指示すると、それに応じて、制御装置1は、指定された診療コードあるいは区分と色と濃淡の設定情報(文字修飾情報)を管理設定ファイル14に記憶制御する。
【0017】
図6は、カルテ2号紙画面の表示例である。本日(H.21.7.27)実施した内服処方と外用処方が入力されている。そして、上述した処方区分の自動文字修飾の設定に応じて、符号Aで示す内服処方の「カロナール細粒」の診療コードが、設定登録された色及び濃淡で表示されている。即ち、処方等入力処理において区分や診療コードが入力されると、それに応じて制御装置1は、管理設定ファイル14の文字修飾情報を参照し、当該区分や診療コードが登録されていれば、その登録されている色及び濃淡でその区分や診療コードの文字の色を設定して表示制御するのである。尚、図6は、「外用」の区分も文字修飾情報が設定登録されている例であり、符号Bで示す「−外用−」の文字が通常とは異なる青色で表示されている。これにより、それら区分や診療コードが容易に識別できるようになるものである。
【0018】
尚、本実施形態では、文字修飾情報として文字の色を設定する場合を説明したが、これに限るものではない。例えば、文字の背景色(地の色)を設定するようにしてもよいし、文字を太字またはハイライトあるいは斜体に設定するようにしても良い。また、これらの組合せでもよい。
【符号の説明】
【0019】
1 制御装置
4 表示装置
5 キーボード
6 ポインティングデバイス
7 ファイル装置
11 マスタファイル
12 患者ファイル
13 診療情報ファイル
14 管理設定ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力手段と表示手段と記憶手段とを備え、入力された患者の診療情報を記録し表示する診療支援装置であって、表示対象の項目に応じて表示する際の文字修飾情報を設定する文字修飾設定手段と、この文字修飾設定手段により設定された表示対象項目と文字修飾情報とを記憶する設定情報記憶手段と、前記入力手段により診療情報が入力されたことに応じて、その診療情報に対応する表示対象項目について前記文字修飾情報が登録されている場合はその表示対象項目を設定された文字修飾情報に従って表示する表示制御手段とを備えたことを特徴とする診療支援装置。
【請求項2】
前記表示対象項目は、処方区分及び処方の単体コードを含むものである請求項1に記載の診療支援装置。
【請求項3】
前記文字修飾情報は、少なくとも文字の表示色を含むものである請求項2に記載の診療支援装置。
【請求項4】
入力手段と表示手段と記憶手段とを備え、入力された患者の診療情報を記録し表示する診療支援装置の表示制御方法であって、表示対象の項目に応じて表示する際の文字修飾情報を設定する文字修飾設定手段により文字修飾情報を設定する手順と、この文字修飾設定手順により設定された表示対象項目と文字修飾情報とを設定情報記憶手段に記憶する手順と、前記入力手段により診療情報が入力されたことに応じて、その診療情報に対応する表示対象項目について前記文字修飾情報が登録されている場合はその表示対象項目を設定された文字修飾情報に従って前記表示手段に表示する表示制御手順とを含むことを特徴とする表示制御方法。
【請求項5】
前記表示対象項目は、処方区分及び処方の単体コードを含むものである請求項4に記載の表示制御方法。
【請求項6】
前記文字修飾情報は、少なくとも文字の表示色を含むものである請求項5に記載の表示制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−34347(P2011−34347A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179855(P2009−179855)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】