説明

証券情報表示装置

【課題】利用者が、表示される証券情報の表示形式を自由に変更することができる証券情報表示装置を提供する。
【解決手段】利用者は、所望の銘柄の証券情報を表示させる際に、板画面や複数気配画面等の注文状況の表示形式として代表的な画面を選択することができる。表示処理制御部は、利用者によって入力される銘柄の注文状況を選択された画面形式で表示させる。また、表示処理制御部は、利用者によって、注文状況の表示行数として、例えば売買3件が選択された場合、表示銘柄の注文状況の表示行数を現在値を中心として売り買いそれぞれ3件ずつ表示するよう表示画面を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、証券情報を表示する証券情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、全国の証券取引所で行われる株取引等に関する証券情報を送信する証券情報送信システムと、証券情報送信システムから取得する証券情報を表示する表示装置とが知られている(例えば特許文献1を参照)。利用者は、表示装置に表示される証券情報を参考にしながら株等の売買を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−188889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、表示装置に表示される証券情報の表示形式は予め決まっており、利用者が表示形式を自由に変更することができなかった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、利用者が表示装置に表示される証券情報の表示形式を自由に変更することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の証券情報表示装置は、証券情報を表示する証券情報表示装置であって、利用者によって設定された表示形式で前記証券情報の注文状況を表示させる表示処理制御手段を備え、前記表示処理制御手段は、利用者によって設定された表示行数で前記注文状況を表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、利用者が表示装置に表示される証券情報の表示形式を自由に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る実施形態の証券情報表示システムの全体構成を示すシステム構成図である。
【図2】図1に示す証券情報表示システムの証券情報を示す電文の一例である。
【図3】図1に示す証券情報表示システムの表示装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図3に示す表示装置の基準値段情報テーブルの構成例である。
【図5】図3に示す表示装置の株価情報テーブルの構成例である。
【図6】図3に示す表示装置の呼値の刻みテーブルの構成例である。
【図7】図3に示す表示装置の発行株数テーブルの構成例である。
【図8】図3に示す表示装置のパラメータテーブルの構成例である。
【図9】図3に示す表示装置の約定件数テーブルの構成例である。
【図10】図3に示す表示装置の株数テーブルの構成例である。
【図11】図3に示す表示装置の参照回数テーブルの構成例である。
【図12】図3に示す表示装置のログテーブルの構成例である。
【図13】図3に示す表示装置の優劣表示色テーブルの構成例である。
【図14】図3に示す表示装置の板画面の表示例である。
【図15】図3に示す表示装置の複数気配画面の表示例である。
【図16】図3に示す表示装置の複数気配画面の表示例であり、(a)は表示行数2行の表示形式で注文状況を表示する画面例であり、(b)は表示行数3行の表示形式で注文状況を表示する画面例である。
【図17】図3に示す表示装置の複数気配画面を複数並べて表示させた画面例である。
【図18】図3に示す表示装置の板画面で買/売数量倍率を表示させた買い優勢の画面例である。
【図19】図3に示す表示装置の板画面で買/売数量倍率を表示させた売り優勢の画面例である。
【図20】図3に示す表示装置の表示処理制御部における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の証券情報表示システムの全体構成を示すシステム構成図である。証券情報表示システムは、証券情報を送信する証券取引所システム1と、証券取引所システム1からの証券情報を配信サーバ3に送信する受信サーバ2と、受信サーバ2からの証券情報を通信ネットワーク4を介して表示装置5に送信する配信サーバ3と、受信する証券情報を表示する表示装置5とで構成される。
【0011】
証券取引所システム1は、東京証券取引所に設置された東証システム1aや、大阪証券取引所に設置された大証システム1b、ジャスダック証券取引所に設置されたジャスダックシステム1c等であり、各証券取引所に設置されている。各証券取引所システム1は、各証券取引所で行われる株取引等に関する証券情報をリアルタイムで送信する。証券取引所システム1から送信された証券情報は、受信サーバ2や、配信サーバ3、通信ネットワーク4を介して表示装置5に送信される。
【0012】
表示装置5は、通信ネットワーク4を介して配信サーバ3から取得する証券情報に基づいて、株取引等における注文状況等を表示する。表示装置5は、例えば証券会社や個人投資家等が有する株価ボードや証券端末等である。
【0013】
証券情報は、株取引等に関する種々の情報で構成され、例えば、売り注文情報や買い注文情報、基準値段情報等が電文形式で送信される。図2は、証券取引所システム1から送信される証券情報を示す電文の一例であり、図2(a)は、売り注文情報を示す電文であり、図2(b)は、買い注文情報を示す電文であり、図2(c)は、基準値段情報を示す電文である。
【0014】
図2(a)に示す売り注文情報の電文は、銘柄コード等がセットされたヘッダと、売り注文値段や、売り注文件数、時刻等の売り注文の内容を示すデータ部とで構成される。また、図2(b)に示す買い注文情報の電文は、銘柄コード等がセットされたヘッダと、買い注文値段や、買い注文件数、時刻等の買い注文の内容を示すデータ部とで構成される。また、図2(c)に示す基準値段情報の電文は、銘柄を識別するための銘柄コードとその基準値段や制限値段(制限値段上限及び制限値段下限)等とが銘柄毎に複数セットされた構成になっている。また、各電文には、各銘柄が取引される証券取引所を識別する取引所コードも含まれている。
【0015】
図3は、表示装置5の構成を示す機能ブロック図である。表示装置5は、証券情報受信処理制御部51と操作部55と表示処理制御部54と証券情報記憶部52と表示設定記憶部53とを備える。
【0016】
証券情報受信処理制御部51は、証券取引所システム1からリアルタイムで送信される証券情報を、受信サーバ2、配信サーバ3及び通信ネットワーク4を介して受信し、証券情報記憶部52に記憶する。
【0017】
証券情報記憶部52は、メモリ等で構成され、基準値段情報テーブル521と株価情報テーブル522と呼値の刻みテーブル523と発行株数テーブル524とを有する。
【0018】
図4は、基準値段情報テーブル521の構成例である。基準値段情報テーブル521は、証券情報の例えば基準値段情報の電文に基づくデータで構成される。
【0019】
基準値段情報テーブル521では、取引所コードと銘柄コードと基準値段と制限値段上限と制限値段下限とを対応付けて記憶している。取引所コードは、東京証券取引所や大阪証券取引所等の各証券取引所の識別コードである。銘柄コードは、各銘柄の識別コードである。基準値段は、一般的には前日の株取引の終値等であり、当日の株取引における制限値段の基準となる値段である。制限値段上限は、当日の株取引で売買可能な値段の上限値であり、いわゆるストップ高値である。制限値段下限は、当日の株取引で売買可能な値段の下限値であり、いわゆるストップ安値である。この制限値段上限又は制限値段下限を超えた売買は、制度上行えないことになっている。つまり、制限値段上限又は制限値段下限を超えた約定値段が発生することはない。例えば、取引所コード“1”の銘柄コード“130×”は、基準値段“121円”に対して、制限値段上限“71円”、制限値段下限“171円”となっており、基準値段に対し±50円の範囲で売買が可能である。
【0020】
図5は、株価情報テーブル522の構成例である。株価情報テーブル522は、証券情報の例えば買い注文情報の電文や、売り注文情報の電文に基づくデータで構成される。株価情報テーブル522は、取引所コードと銘柄コードと始値と高値と安値と現在値と売買高と複数の売り注文と複数の買い注文とを対応付けて記憶している。各売り注文は、売り注文値段を示す売値段と数量とで構成される。また、各買い注文は、買い注文値段を示す買値段と数量とで構成される。各売り注文及び各買い注文において、各値段で発注されている注文件数や、成行注文数量及び成行注文件数が証券情報に含まれている場合、共に株価情報テーブル522に記憶されてもよい。なお、図5では、便宜的に株価情報テーブル522を(a)と(b)とに分けて示しているが、各情報を対応付けて記憶できれば、1つのテーブルで記憶しても複数のテーブルで記憶してもよい。
【0021】
図6は、呼値の刻みテーブル523の構成例である。呼値の刻みテーブル523は、値段の水準と呼値の刻みとを対応付けて記憶している。呼値は、株取引の売買における値段である。呼値の刻みは、注文可能な最小の値幅(刻み値)を示しており、株の値段の水準によって何円刻みとするか予め決められている。例えば、株価が4000円である銘柄に対しては、5円単位でしか売買の注文を出すことができないので、4005円、4010円等の注文を出せるが、4001円、4002円等の注文を行えない。株価が1000円である銘柄に対しては、呼値の刻みが1円単位であるから、999円、1000円、1001円等で注文を出すことができる。呼値の刻みテーブル523は、予め証券情報記憶部52に記憶されている。
【0022】
図7は、発行株数テーブル524の構成例である。発行株数テーブル524は、銘柄コードと発行株数とを対応付けて記憶している。発行株数テーブル524は、予め証券情報記憶部52に記憶されている。
【0023】
図3に戻り、操作部55は、キーボードやマウス等で構成され、利用者によって入力される銘柄名や銘柄コード等の銘柄情報や表示形式等を取得して表示処理制御部54に渡す。
【0024】
表示処理制御部54は、CPU(Central Processing Unit)等で構成され、不図示のROM(Read Only Memory)等に予め格納されたプログラムを読み出して実行することで、後述する各機能を実現する。表示処理制御部54は、操作部55を介して銘柄情報と表示形式等とを取得すると、証券情報記憶部52を参照し、取得した銘柄情報に対応する証券情報を取得する。また、表示処理制御部54は、表示設定記憶部53を参照し、表示部56に証券情報を表示させる際の表示形式を取得する。
【0025】
表示設定記憶部53は、メモリ等で構成され、パラメータテーブル531と約定件数テーブル532と株数テーブル533と参照回数テーブル534とログテーブル535と優劣表示色テーブル536とを有する。
【0026】
図8は、パラメータテーブル531の構成例である。パラメータテーブル531は、該当するパラメータに応じて表示行数を自動的に決定するためのテーブルである。利用者は、不図示の設定画面により、パラメータテーブル531の各値を設定することができる。パラメータテーブル531は、表示行数の決定用のパラメータと、そのパラメータを有効とするか無効とするかを設定する有効/無効とを対応付けて記憶している。表示行数の決定用のパラメータは、売り板及び買い板の画面上の表示行数(売り/買い表示行数)を自動設定する際の基準を示す。表示行数の決定用のパラメータには、例えば、「自動設定無効」、「単位時間当たり約定件数」、「発行株数」、「参照回数」、「6756日立国際電気/東証」、「東証1部銘柄すべて10行設定」等がある。
【0027】
パラメータテーブル531の「自動設定無効」は、自動的に表示行数が変化しないように設定するパラメータである。「自動設定無効」パラメータが、「有効」に設定されると、自動的に表示行数が変化しない設定となり、「無効」に設定されると、後述する例えば「単位時間当たり約定件数」等のパラメータに応じて、表示行数が自動的に変化する設定となる。
【0028】
パラメータテーブル531の「単位時間当たり約定件数」は、単位時間当たり(例えば、1分間当たり等)の約定件数に応じて表示行数を自動設定するパラメータである。「単位時間当たり約定件数」パラメータが「有効」に設定されている場合、図9の約定件数テーブル532が参照され、単位時間当たりの約定件数に対応する表示行数で表示が行われる。「単位時間当たり約定件数」パラメータが「無効」に設定されている場合、当該パラメータの設定は反映されない。
【0029】
図9は、単位時間当たり(例えば1分間当たり)の約定件数と表示行数(売り/買い表示行数)とを対応付けて記憶する約定件数テーブル532の構成例である。図9に示す約定件数テーブル532では、一例として、単位時間当たりに1〜3件約定した場合の表示行数を3件とし、4〜10件約定した場合の表示行数を5件とし、11〜20件約定した場合の表示行数を8件とし、21〜30件約定した場合の表示行数を10件としている。単位時間当たりの約定件数が多いということは活発な取引が行われていることを示すから、ここでは、表示行数が約定件数に比例して表示されるよう設定されている。
【0030】
パラメータテーブル531の「発行株数」は、銘柄の発行株式数に応じて表示行数を自動設定するパラメータである。「発行株数」パラメータが「有効」に設定されている場合、図10の株数テーブル533が参照され、発行株数に対応する表示行数で表示が行われる。「発行株数」パラメータが「無効」に設定されている場合、当該パラメータの設定は反映されない。
【0031】
図10は、発行株数と表示行数(売り/買い表示行数)とを対応付けて記憶する株数テーブル533の構成例である。図10に示す株数テーブル533では、発行株数が50億株以上である場合の表示行数を10件とし、30〜50億株である場合の表示行数を8件とし、10〜30億株である場合の表示行数を5件とし、5〜10億株である場合の表示行数を3件とし、〜5億株である場合の表示行数を3件としている。発行株数が多い銘柄は、一般的に注文件数が多く、また値段の分布が広くなる傾向がある。そのため、ここでは、表示行数が発行株数に比例して表示されるよう設定されている。
【0032】
パラメータテーブル531の「参照回数」は、利用者によって銘柄が参照された回数に応じて表示行数を自動設定するパラメータである。「参照回数」とは、具体的には、例えば、銘柄の証券情報を表示した画面(ウィンドウ)が利用者によりマウスでクリック等されて指定された回数である。「参照回数」パラメータが「有効」に設定されている場合、図11の参照回数テーブル534が参照され、参照回数に対応する表示行数で表示が行われる。「参照回数」パラメータが「無効」に設定されている場合、当該パラメータの設定は反映されない。
【0033】
図11は、参照回数と表示行数(売り/買い表示行数)とを銘柄毎に対応付けて記憶する参照回数テーブル534の構成例である。図11に示す参照回数テーブル534では、参照回数が50回以上である場合の表示行数を10件とし、参照回数が30〜50回である場合の表示行数を8件とし、参照回数が20〜30回である場合の表示行数を5件とし、参照回数が10〜20回である場合の表示行数を3件とし、参照回数が0〜10回である場合の表示行数を3件としている。利用者によって参照される回数が多い銘柄ということは、利用者の注目度が高い銘柄であるから、ここでは、表示行数が参照回数に比例して表示されるよう設定されている。
【0034】
パラメータテーブル531の「6756日立国際電気/東証」は、東京証券取引所で取引される「日立国際電気」という個別銘柄がパラメータとして設定されていることを示す。「6756日立国際電気/東証」パラメータが「10行固定」に設定されている場合、東京証券取引所における「日立国際電気」の証券情報が常に表示行数「10行固定」で表示される。このように、個別銘柄を固定表示行数で常に表示することが設定されている場合、他の表示行数の決定用のパラメータ値の設定よりも優先される。そのため、例えば「単位時間当たり約定件数」パラメータが「有効」に設定されていても、東京証券取引所における「日立国際電気」の証券情報は、「日立国際電気」銘柄の単位時間当たりの約定件数に関わらず、常に表示行数「10行固定」で表示される。
【0035】
パラメータテーブル531の「東証1部銘柄すべて10行設定」は、東京証券取引所の1部上場銘柄すべてを表示行数10行で表示するパラメータである。このように、所定市場の全銘柄の表示行数を所定行数で表示するパラメータが「有効」に設定されている場合、設定された市場の銘柄を表示する際の表示行数が所定行数で自動的に表示され、「無効」に設定されている場合、当該パラメータの設定は反映されない。仮に、「東証1部銘柄すべて10行設定」パラメータが「有効」に設定されていた場合、東京証券取引所の1部上場銘柄の証券情報を表示する際に表示行数10行で自動的に表示がされる。
【0036】
このように、パラメータテーブル531では、利用者が表示行数を変更するための操作を極力省略できるように、各パラメータ値に連動して表示行数が自動的に決定される構成となっている。その結果、パラメータ値に連動する表示行数で自動的に表示されるので、各銘柄の証券情報に応じた適切な画面サイズ(ウィンドウサイズ)で表示され、一律の画面サイズとなることを避けることができる。また、これにより、例えば、約定件数に比例して表示行数が自動的に決定される設定では、表示された表示行数(画面サイズ)で約定件数が多いか否か等の証券情報を瞬時に感覚的に判断することができる。なお、このパラメータテーブル531のパラメータ値は一例であり、他にも単位時間当たりの注文数量に比例して表示行数が増加するよう設定されていてもよい。
【0037】
図3のログテーブル535は、表示部56に表示された証券情報の表示形式を銘柄毎に記録するものである。ログテーブル535は、表示された証券情報の表示形式とその表示形式における累積参照時間と累積参照回数とを銘柄毎に対応付けて記録している。例えば、図12は、銘柄Aのログテーブル535を示している。図12に示すログテーブル535では、利用者が使用した表示形式として、「約定件数」パラメータに対応する表示形式の約定件数比例表示形式、「発行株数」パラメータに対応する表示形式の発行株数比例表示形式、板画面/10行固定表示形式等が記録されており、それぞれの累積参照時間と累積参照回数とが対応付けられて記録されている。ログテーブル535の累積参照時間や累積参照回数が多い表示形式が、証券情報を表示する際のデフォルトの表示形式として設定されるようにしてもよい。
【0038】
図3の優劣表示色テーブル536は、買/売数量倍率に対応して表示する色を記憶している。買/売数量倍率は、銘柄の買い合計注文数量と売り合計注文数量との比率を表し、当該銘柄が買い優勢であるのか売り優勢であるのかを示す。
【0039】
図13は、買/売数量倍率と表示色とを対応付けて記憶する優劣表示色テーブル536の構成例である。図13では、買い合計注文数量>売り合計注文数量であるとき、すなわち、買い合計注文数量÷売り合計注文数量の計算結果が、2.0より大きい場合に表示色を赤系5とし、1.5より大きく2.0以下である場合に表示色を赤系4とし、1.3より大きく1.5以下である場合に表示色を赤系3とし、1.2より大きく1.3以下である場合に表示色を赤系2とし、1.0より大きく1.2未満である場合に表示色を赤系1としている。また、売り合計注文数量>買い合計注文数量であるとき、すなわち、売り合計注文数量÷買い合計注文数量の計算結果が、2.0より大きい場合に表示色を青系5とし、1.5より大きく2.0以下である場合に表示色を青系4とし、1.3より大きく1.5以下である場合に表示色を青系3とし、1.2より大きく1.3以下である場合に表示色を青系2とし、1.0より大きく1.2以下である場合に表示色を青系1としている。また、売り注文数量=買い注文数量であるとき、すなわち、買い合計注文数量÷売り合計注文数量(売り合計注文数量÷買い合計注文数量)の計算結果が1.0である場合に表示色を色なし(例えばデフォルト色等)としている。ここで、赤系1〜5は、赤系統色で濃さ等が異なる色値が設定されている。同様に、青系1〜5は、青系統色で濃さ等が異なる色値が設定されている。
【0040】
表示処理制御部54は、利用者によって設定された上記の表示設定記憶部53の表示設定に従った表示形式で証券情報を表示させる。このとき、利用者は、操作部55を介して入力する銘柄の証券情報を表示させる際に、注文状況の代表的な表示形式として板画面や複数気配画面等を指定して表示させることができる。
【0041】
図14は、板画面の表示例である。画面上部には、銘柄欄iが配置され、証券市場、銘柄コード、銘柄名等が表示される。また、銘柄欄iの下には、注文状況覧が配置され、銘柄の注文状況が表示される。注文状況欄jは、画面左側に売り注文数量、画面中央に値段、画面右側に買い注文数量が配置され、表示銘柄の注文状況が売と買とに分かれて表示される。板画面の値段は、表示銘柄の基準値段に対応する呼値の刻みで縦に降順に配置され、注文の存在する値段が注文の存在しない値段より太字で表示されている。また、値段帯にストップ値段(制限値段上限又は制限値段下限)が表示される場合、ストップ値段を示す所定の色表示や文字の強調表示等がなされる。これは、後述する複数気配画面においても同様である。板画面では、デフォルト設定として、少なくともすべての注文状況が表示されるように構成されている。また、画面下部には、[板]ボタンと[複数気配]ボタンとが設けられている。利用者によって、[板]ボタンが操作されると、表示銘柄の証券情報が板画面で表示され、[複数気配]ボタンが操作されると、表示銘柄の証券情報が複数気配画面で表示される。
【0042】
図15は、複数気配画面の表示例である。複数気配画面は、板画面と同様に、画面上部に銘柄欄iが配置され、銘柄欄iの下に注文状況欄jが配置され、画面下部に[板]ボタンと[複数気配]ボタンとが配置されている。ただし、複数気配画面の注文状況欄jは、注文の存在する値段のみが、設定された表示行数分、現在値を中心として縦に降順に配置され、表示された値段に対応する売り注文数量と買い注文数量とが対応付けられて表示される。また、値段の最上段に“OVER”が配置され、最下段に“UNDER”が配置され、設定された表示行数を超える値段の注文数量を合算した合計注文数量がそれぞれに表示される。図15の複数気配画面は、表示行数(売り/買い表示行数)として5行が設定されている場合の表示例である。そのため、図15では、売り買いそれぞれ各5件表示され、“409円”を上回るすべての売り注文値段の売り合計注文数量15000が“OVER”に表示され、“394円”を下回るすべての買い注文値段の買い合計注文数量20000が“UNDER”に表示されている。そのため、表示行数が制限されている場合でも、表示行数を超える注文の総数量が合算されて表示されるので、常に銘柄の全体注文数量を確認することができる。
【0043】
このように、板画面では、値段が注文の有無に関わらず呼値の刻みで連続して表示されるため、利用者が画面を見たときに注文状況の値段分布状況を瞬間的に把握しやすい。一方、複数気配画面では、注文の存在する値段のみを表示するため、例えば値段が飛んで注文されている場合に、値段に注文数量が表示されない行がなく、無駄な表示エリアを消費せずに済む。利用者は、所望の銘柄の注文状況を表示させる際に、銘柄の特徴等に応じて板画面か複数気配画面かを選択して表示させることができる。また、利用者は、銘柄の注文状況を表示させた後でも、[板]ボタン又は[複数気配]ボタンにより、画面の表示形式を切り換えることができる。
【0044】
また、利用者は、板画面又は複数気配画面内で、例えばマウスを右クリックすることにより表示されるポップアップ画面lで、板画面又は複数気配画面に画面の表示形式を切り換えることができる。さらに、利用者は、ポップアップ画面lで画面形式を選択する際に表示されるプルダウンメニューmにより、選択した画面形式における表示行数を選択して表示させることができる。プルダウンメニューmで選択可能な最大の表示行数は、表示銘柄の制限値幅に対応する行数とするとよい。また、売り注文件数と買い注文件数とを別々に選択可能としてもよい。図15では、ポップアップ画面lで複数気配を選択し、更にプルダウンメニューmに表示される例えば、売買1件、売買2件、売買3件・・・の中から売買4件を選択すると、画面が更新され、表示行数4行の複数気配画面が表示される。
【0045】
図16(a)は表示行数2行の表示形式で注文状況を表示する画面例であり、図16(b)は表示行数3行の表示形式で注文状況を表示する画面例である。図16(a)は、表示行数2行の設定であるから、現在値を中心とする売り買い各2件の値段にその注文数量が対応付けられて表示されている。また、売り買い各2件を超える値段の表示形式として、売り合計注文数量15000が“OVER”に表示され、買い合計注文数量20000が“UNDER”に表示されている。同様に、図16(b)では、現在値を中心とする売り買い各3件の値段と、売り買い各3件を超える値段の位置にそれぞれ“OVER”と“UNDER”とが表示され、それぞれに対応する注文数量、合計注文数量が表示される。図16(a)では、画面全体で必要な表示行数が8行であり、図16(b)では、画面全体で必要な表示行数が10行である。
【0046】
このように、例えば、注文数の少ない銘柄や注文状況を見る必要がない場合等については、表示行数を少なく設定して画面表示することで、画面上で表示される行数を減らして画面の表示領域を節約できる。これにより、多くの銘柄の注文状況を画面に一度に表示可能な表示領域を確保できる。例えば、図17は、複数の銘柄の注文状況を並べて表示した画面例である。図17では、注文状況を表示した複数の画面を2行3列に並べて表示しており、上段の画面の表示行数が売り買い各2件で設定され、下段の画面の表示行数が売り買い各1件で設定されている。これにより、利用者は、同時に多数の銘柄の注文状況を表示させて監視することができる。また、この際に、利用者は、例えば、重点的に売買する銘柄を板画面で表示させ、参考銘柄等として補助的に扱う銘柄を複数気配画面で表示させる等、利用目的に応じて複数の銘柄を異なる画面形式で同時に表示させることができる。
【0047】
また、銘柄毎の売買単位は予め設定されているので、例えば1000株単位の注文数量の銘柄について、1000株を1000として全桁表示するか、又は1000株を1として(2000株の場合2として)省略表示するかを利用者が設定可能としてもよい。この場合、売買単位を省略表示することで、画面の横方向の表示エリアを節約することができるので、さらにより多くの銘柄を一度に表示することが可能となる。
【0048】
また、利用者は、上記の板画面及び複数気配画面の表示形式において、買い注文数量が優勢であるのか売り注文数量が優勢であるのかを示す買/売数量倍率を表示させることができる。買/売数量倍率は、買い合計注文数量÷売り合計注文数量で計算される。表示処理制御部54は、買/売数量倍率を表示する表示形式が設定されている場合、買/売数量倍率を算出し、優劣表示色テーブル536を参照して、買/売数量倍率に対応する優劣表示色で画面上の所定エリアを強調表示する。
【0049】
図18は、板画面で買/売数量倍率を表示させた画面例であり、買い注文数量が優勢である場合の表示画面例である。図18では、値段帯の最上部には成行欄nが設けられ、現在注文されている成行注文数量とその件数とが売買別に表示される。値段帯の最下部には累積欄oが設けられ、成行注文を含む現在の合計注文数量と合計注文件数とが売買別に表示される。また、画面下部には、現在値と買/売数量倍率と基準値段とが表示される。また、優劣表示色テーブル536が参照され、算出された買/売数量倍率に対応する優劣表示色で銘柄欄iと買欄qとが強調表示される。
【0050】
図19は、板画面で買/売数量倍率を表示させた画面例であり、売り注文数量が優勢である場合の表示画面例である。ここで、買/売数量倍率は、買い合計注文数量(100000)÷売り合計注文数量(220000)≒0.45(売り合計注文数量÷買い合計注文数量=2.2)であるから、売り優勢を示している。そのため、図19では、算出された買/売数量倍率に対応する優劣表示色で、銘柄欄iと売欄pとが強調表示されている。
【0051】
このように、買/売数量倍率を表示させる表示形式では、算出された買/売数量倍率の値が表示されるともに、買/売数量倍率に対応する優劣表示色で所定エリアを強調表示することで、表示銘柄が買い優勢であるのか売り優勢であるのか一見して分かるように表示される。複数気配画面で買/売数量倍率を表示させる際は、算出された買/売数量倍率の値を表示せずに、銘柄欄iと買欄q又は売欄pとを優劣表示色で強調表示するのみとしてもよい。これにより、表示行数を少なく設定して、同時に複数の銘柄の画面を表示させた場合に、銘柄欄iや買欄q又は売欄pを一見して各銘柄が買い優勢であるのか売り優勢であるのかを判断することができる。
【0052】
上記で説明した表示処理制御部54の処理の流れについて、図20を参照して説明する。なお、証券情報記憶部52及び表示設定記憶部53には、予め各種情報が記憶されているものとする。
【0053】
まず、ステップS10で、表示処理制御部54は、操作部55を介して利用者によって入力される銘柄情報と板画面又は複数気配画面の表示形式とを取得する。
ステップS11で、表示処理制御部54は、証券情報記憶部52を参照して、入力された銘柄に対応する証券情報を取得する。
ステップS12で、表示処理制御部54は、パラメータテーブル531を参照して、表示すべき表示行数を取得する。
ステップS13で、表示処理制御部54は、利用者によって入力された表示形式が板画面である場合、ステップS14に進み、証券情報記憶部52から取得した証券情報に基づいて、基準値段に対応する呼値の刻みで、銘柄の現在値を中心として上下にそれぞれ表示行数分の値段を表示させて、ステップS16に進む。
一方、ステップS13で、表示処理制御部54は、利用者によって入力された表示形式が複数気配画面である場合、ステップS15に進み、証券情報記憶部52から取得した証券情報に基づいて、現在値を中心として、買い又は売りの注文の存在する値段のみを上下にそれぞれ表示行数分表示させ、ステップS16に進む。
ステップS16では、表示処理制御部54は、表示させた値段に対応する買い注文数量と売り注文数量とを表示させる。
【0054】
次に、ステップS17で、表示処理制御部54は、表示行数を超える買い注文(表示されていない買い注文)があるかを判定し、表示行数を超える買い注文がないと判定した場合(ステップS17でNO)、ステップS19に進む。
一方、ステップS17で、表示処理制御部54は、表示行数を超える買い注文があると判定した場合(ステップS17でYES)、ステップS18に進み、OVERを表示させ、表示行数を超える買い注文(表示されていない買い注文)の合計数量をOVERに対応付けて表示させ、ステップS19に進む。
ステップS19で、表示処理制御部54は、表示行数を超える売り注文(表示されていない売り注文)があるかを判定し、表示行数を超える売り注文がないと判定した場合(ステップS19でNO)、ステップS21に進む。
一方、ステップS19で、表示処理制御部54は、表示行数を超える売り注文があると判定した場合(ステップS19でYES)、ステップS20に進み、UNDERを表示させ、表示行数を超える売り注文の合計数量をUNDERに対応付けて表示させる。
【0055】
ステップS21で、表示処理制御部54は、買/売数量倍率を表示させる設定になっているか判定し、買/売数量倍率を表示させる必要がないと判定した場合(ステップS21でNO)、ステップS25に進む。
一方、ステップS21で、表示処理制御部54は、買/売数量倍率を表示させる設定になっていると判定した場合(ステップS21でYES)、ステップS22に進み、当該銘柄の買/売数量倍率を算出する。
ステップS23で、表示処理制御部54は、計算した買/売数量倍率の値を表示させる。
ステップS24で、表示処理制御部54は、優劣表示色テーブル536を参照して、買/売数量倍率に対応する優劣表示色で所定エリアを強調表示する。
【0056】
ステップS25で、表示処理制御部54は、表示させた表示形式をログテーブル535に記録する。
ステップS26で、表示処理制御部54は、表示行数の変更があるか判定する。ここで、表示行数の変更がある場合とは、利用者によって表示行数が入力されたり、証券情報記憶部52の証券情報が更新される等して、表示行数の設定に関するパラメータの値が変更されたり等する場合である。
ステップS26で、表示処理制御部54は、表示行数の変更があると判定すると(ステップS26でYES)、ステップS10に戻り、上述の処理を繰り返し、表示画面の更新を行う。
一方、ステップS26で、表示処理制御部54は、表示行数の変更がないと判定すると(ステップS26でNO)、本処理を終了する。
【0057】
このように、本実施形態によれば、利用者が利用目的に応じて、表示される証券情報の表示形式を自由に変更することができる。
【0058】
以上、本実施形態を概説すると、
(1)本実施形態の証券情報表示装置は、証券情報を表示する証券情報表示装置であって、利用者によって設定された表示形式で前記証券情報の注文状況を表示させる表示処理制御手段を備え、前記表示処理制御手段は、利用者によって設定された表示行数で前記注文状況を表示させることを特徴とする。
(2)前記表示形式として、前記証券情報の所定項目の値に応じて前記表示行数が自動的に変化するよう設定されてもよい。
(3)前記表示形式として、前記注文状況の買い注文数量と売り注文数量との比率に応じて所定色で所定表示エリアを強調表示するよう設定されてもよい。
(4)前記表示形式として、前記表示行数を超える注文が存在する場合、前記注文の合計数量を表示するよう設定されてもよい。
(5)前記表示形式として、前記証券情報の制限値段が区別可能な色で表示されるよう設定されてもよい。
【0059】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々様々に変更が可能であることは言うまでもない。例えば、操作部55と表示部56とがインターネット等のネットワークを介して設置されていてもよく、この場合、表示処理制御部54は、インターネット等のネットワークを介して、操作部55から入力される銘柄情報及び表示形式を取得し、上記の表示処理を行って、インターネット等のネットワークを介して表示部56に証券情報を表示させてもよい。なお、上記実施形態において、同様の機能を示す構成には、同一の符号を付してある。
【符号の説明】
【0060】
1:証券取引所システム
1a:東証システム
1b:大証システム
1c:ジャスダックシステム
2:受信サーバ
3:配信サーバ
4:通信ネットワーク
5:表示装置
51:証券情報受信処理制御部
52:証券情報記憶部
53:表示設定記憶部
54:表示処理制御部
55:操作部
56:表示部
521:基準値段情報テーブル
522:株価情報テーブル
523:呼値の刻みテーブル
524:発行株数テーブル
531:パラメータテーブル
532:約定件数テーブル
533:株数テーブル
534:参照回数テーブル
535:ログテーブル
536:優劣表示色テーブル
i:銘柄欄
j:注文状況欄
l:ポップアップ画面
m:プルダウンメニュー
n:成行欄
o:累積欄
p:売欄
q:買欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
証券情報を表示する証券情報表示装置であって、
利用者によって設定された表示形式で前記証券情報の注文状況を表示させる表示処理制御手段を備え、
前記表示処理制御手段は、利用者によって設定された表示行数で前記注文状況を表示させる
ことを特徴とする証券情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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