説明

評価装置、プログラム及び評価方法

【課題】再資源化プロセスで発生する非回収物を特定し、その非回収物が持つ価値を算出することで、処理プロセスで発生しているロスを定量的に把握することができる技術を提供すること。
【解決手段】製品を構成する部品から、回収することのできる材質と、回収することが困難な材質と、を特定する再資源化費用算出部121と、回収することが困難な材質の価値を当該材質の単価から算出する喪失価値算出部122と、を備える評価装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品を再資源化する際の費用から評価する技術である。
【背景技術】
【0002】
製品が使用済となった場合に発生する費用や環境負荷を定量化する技術が従来から知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された技術は、製品が使用済みとなった場合に行われる特定の処理プロセスにおいて、そのプロセスにかかる費用の評価を行なっている。
【0004】
【特許文献1】特開平9−160959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術は、製品の処理プロセスにおける費用を評価するものであるので、従来の処理プロセスでは回収することのできない非回収物の価値については考慮されていない。
【0006】
この点、近年、製品の高機能化、高性能化に対応するため、例えば、平面テレビの主要部品である液晶パネルやプラズマディスプレイパネルに透明電極として使われるインジウムのように、製品に種々の希少金属、希土類が多く利用されるようになっている。
【0007】
また同時に、需要の拡大の影響もあり、これら希少金属、希土類の単価が上昇し、単価及び量の両面から、製品に含有する希少金属、希土類の価値が拡大する傾向にある。
【0008】
しかし、これら希少金属、希土類は、従来の処理プロセスにおいては、その回収が十分に考慮されているわけではなく、例えば、特許文献1に記載の技術では、回収されない希少金属、希土類に関する十分な情報を提供することができない。
【0009】
そこで、本発明は、再資源化プロセスで発生する非回収物を特定し、その非回収物が本来持つ価値を算出することで、処理プロセスで発生しているロスを定量的に把握することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するために、本発明は、製品に含まれている材質のうち、再資源化のプロセスで回収することのできない材質を特定して、このような回収することのできない材質の有する価値を喪失価値として算出する。
【0011】
例えば、本発明は、記憶部及び制御部を備える評価装置であって、前記記憶部には、製品を構成する部品を特定する部品構成情報と、部品の材質を特定する部品属性情報と、部品の材質毎に回収する処理を特定する処理判断情報と、処理毎に回収が困難な材質を特定する処理能力情報と、材質毎の単価を特定する物単価情報と、が記憶されており、前記制御部は、前記部品構成情報より製品を構成する部品を特定する部品特定処理と、前記部品特定処理で特定した部品毎に、当該部品の材質を前記部品属性情報より特定する部品材質特定処理と、前記部品材質特定処理で特定した材質毎に、当該材質を回収する処理を前記処理判断情報より特定する処理特定処理と、前記処理特定処理で特定した処理毎に、当該処理により回収が困難な材質を前記処理能力情報より特定する非回収物特定処理と、前記非回収物特定処理で特定した材質毎に、当該材質の単価を前記物単価情報より特定し、前記製品を構成する部品に含まれる回収が困難な全ての材質において集計することで、前記製品に含まれる非回収物の価値を算出する喪失価値特定処理と、を行うこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、再資源化プロセスで発生する非回収物を特定し、その非回収物が持つ価値を算出することで、処理プロセスで発生しているロスを定量的に把握することができる技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態である評価装置100の概略図である。
【0014】
図示するように、評価装置100は、記憶部110と、制御部120と、入力部130と、出力部140と、を備える。
【0015】
記憶部110は、部品構成情報記憶領域111と、部品属性情報記憶領域112と、処理判断情報記憶領域113と、処理能力情報記憶領域114と、処理単位情報記憶領域115と、回収物単価情報記憶領域116と、算出情報記憶領域117と、を備える。
【0016】
部品構成情報記憶領域111には、製品毎に、当該製品を構成する部品と、当該部品の数と、を特定する情報が格納される。
【0017】
例えば、本実施形態においては、図2(部品構成テーブル111aの概略図)で示されるような部品構成テーブル111aが部品構成情報記憶領域111に記憶される。
【0018】
部品構成テーブル111aは、親部品ID欄111bと、子部品ID欄111cと、員数欄111dと、を有する。
【0019】
親部品ID欄111bには、製品と、当該製品を構成する部品と、をツリー構造で特定した際の親要素となる製品又は部品を特定する情報(ここでは、部品ID)が格納される。
【0020】
子部品ID欄111cには、製品と、当該製品を構成する部品と、をツリー構造で特定した際の子要素となる部品を特定する情報(ここでは、部品ID)が格納される。
【0021】
員数欄111dには、子部品ID欄111cで特定される部品の数を特定する情報が格納される。
【0022】
部品属性情報記憶領域112には、部品毎に、当該部品で使用されている材質を特定する情報(ここでは、材質ID)と、当該部品に当該材質が使用されている質量を特定する情報と、が記憶される。
【0023】
例えば、本実施形態においては、図3(部品属性テーブル112aの概略図)で示されるような部品属性テーブル112aが部品属性情報記憶領域112に記憶される。
【0024】
部品属性情報テーブル112aは、部品ID欄112bと、材質ID欄112cと、重量欄112dと、を有する。
【0025】
部品ID欄112bには、部品を特定するための情報(ここでは、部品ID)が格納される。
【0026】
材質ID欄112cには、部品ID欄112bで特定される部品で使用されている材質を特定する情報(ここでは、材質ID)が格納される。
【0027】
重量欄112dには、部品ID欄112bで特定される部品において、材質ID欄112cで特定される材質が使用されている量を特定する情報が格納される。ここで、本実施形態においては、質量(g)が本欄に格納される。
【0028】
処理判断情報記憶領域113aには、部品に使用されている材質毎に、当該材質を処理するために必要な条件を特定する情報と、当該条件を満たす場合に当該材質に対して行う処理を特定する情報と、が格納される。
【0029】
例えば、本実施形態においては、図4(処理判断テーブル113aの概略図)で示されるような処理判断テーブル113aが格納される。
【0030】
処理判断テーブル113aは、材質ID欄113bと、下限比率欄113cと、最低重量欄113dと、処理ID欄113eと、を有する。
【0031】
材質ID欄113bには、処理を行う材質を特定する情報(ここでは、材質ID)が格納される。なお、本実施形態において、本欄において「Mix」の文字列が格納されている行については、任意の材質を特定する(全ての材質が該当する)ものとする。
【0032】
下限比率欄113cには、材質ID欄113bで特定される材質が、部品において使用されている比率を特定する情報が格納される。ここで、本実施形態においては、部品に対する材質の重量の比率をパーセント(%)で特定して本欄に格納するようにしている。
【0033】
なお、本実施形態において、本欄に「−」の文字(記号)が格納されている行については、任意の比率を特定する(全ての比率が該当する)ものとする。
【0034】
最低重量欄113dには、材質ID欄113bで特定される材質が、部品において使用されている質量(単位は、グラム(g))を特定する情報が格納される。
【0035】
処理ID欄113eには、材質ID欄113bで特定される材質に対して行う処理を特定する情報(ここでは、処理ID)が格納される。ここで、当該処理は、例えば、材質ID欄113bで特定される材質を再資源化するために回収する処理である。
【0036】
処理能力情報記憶領域114には、部品に対して行う処理で回収することができる材質を特定する情報と、回収することができる材質の回収率と、部品に対して行う処理で回収することのできない材質と、を特定する情報が記憶される。
【0037】
例えば、本実施形態においては、図5(処理能力テーブル114aの概略図)で示されるような処理能力テーブル114aが格納される。
【0038】
処理能力テーブル114aは、処理ID欄114bと、回収ID欄114cと、材質ID欄114dと、回収率欄114eと、回収不得手材質ID欄114fと、を有する。
【0039】
処理ID欄114bには、部品に対して行う処理を特定する情報(ここでは、処理ID)が格納される。
【0040】
回収ID欄114cには、材質を回収するための一連の処理を特定する情報を格納する。本実施形態においては、処理ID欄114bに「SaS」の文字列が格納されている場合には、複数の材質を回収するための処理を特定するものとしているため、「SaS」の文字列で特定される処理のうち一連の処理となるものを本欄で識別できるようにしている。
【0041】
材質ID欄114dには、処理ID欄114b及び回収ID欄114cで特定される処理において回収される材質を特定する情報(ここでは、材質ID)が格納される。
【0042】
回収率欄114eには、処理ID欄114b及び回収ID欄114cで特定される処理において回収される材質の回収率を特定する情報が格納される。
【0043】
ここで、回収率は、部品に含まれる材質の質量に対する回収される質量をパーセント(%)で特定するようにしている。
【0044】
回収不得手材質ID欄114fには、処理ID欄114b及び回収ID欄114cで特定される処理において回収することが困難な材質を特定する情報(ここでは、材質ID)が格納される。
【0045】
処理単価情報記憶領域115には、部品に対する処理を行う場合の費用を特定する情報が記憶される。
【0046】
例えば、本実施形態においては、図6(処理単価テーブル115aの概略図)に示されるような処理単価テーブル115aが記憶される。
【0047】
処理単価テーブル115aは、処理ID欄115bと、単価欄115cと、を有する。
【0048】
処理ID欄115bには、部品に対して行う処理を特定する情報(ここでは、処理ID)が格納される。
【0049】
ここで、本実施形態においては、本欄に「非回収」の文字列が格納されている行があり、この行については、非回収物を適切に処理(例えば、焼却、埋め立て等)した場合の単価を特定する。
【0050】
単価欄115cには、処理ID欄115bで特定される処理の単価を特定する情報が格納される。ここで、単価を算出するための処理の単位については、部品の重量当たりといった任意のものを採用可能である。
【0051】
回収物単価情報記憶領域116には、回収した材質の単価を特定する情報が記憶される。
【0052】
例えば、本実施形態においては、図7(回収物単価テーブル116aの概略図)に示されるような回収物単価テーブル116aが記憶される。
【0053】
回収物単価テーブル116aは、材質ID欄116bと、単価欄116cと、を有する。
【0054】
材質ID欄116bには、材質を特定する情報(ここでは、材質ID)が格納される。 単価欄116cには、材質ID欄116bで特定される材質の買い取り単価を特定する情報が格納される。ここで、単価はグラム(g)当たりの価格が格納される。
【0055】
算出情報記憶領域117には、後述する制御部120で算出された情報が格納される。
【0056】
制御部120は、再資源化費用算出部121と、喪失価値算出部122と、出力データ生成部123と、を備える。
【0057】
再資源化費用算出部121は、製品毎に、当該製品を構成する部品を処理する方法と、処理する費用と、を特定することにより、当該製品を処理する費用を算出する。なお、具体的な算出方法については、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0058】
喪失価値算出部122は、再資源化費用算出部121で特定された処理では回収することのできない材質の価値を算出することで、処理による喪失価値(ロス価値)を算出する。なお、具体的な算出方法については、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0059】
出力データ生成部123は、再資源化費用算出部121及び喪失価値算出部122で算出された情報を所定の表示形式にまとめた出力データを生成する。具体的な出力データについては、後述する。
【0060】
入力部130は、評価装置100のオペレータより情報の入力を受け付ける。
【0061】
出力部130は、評価装置100のオペレータに情報を出力する。
【0062】
以上に記載した評価装置100は、例えば、図8(コンピュータ160の概略図)に示すような、CPU(Central Processing Unit)161と、メモリ162と、HDD(Hard Disk Drive)等の外部記憶装置163と、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)やDVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)等の可搬性を有する記憶媒体164から情報を読み出す読取装置165と、キーボードやマウスなどの入力装置166と、ディスプレイなどの出力装置167と、通信ネットワークに接続するためのNIC(Network Interface Card)等の通信装置168と、を備えた一般的なコンピュータ160で実現できる。
【0063】
例えば、記憶部110は、CPU161がメモリ162又は外部記憶装置163を利用することにより実現可能であり、制御部120は、外部記憶装置163に記憶されている所定のプログラムをメモリ162にロードしてCPU161で実行することで実現可能であり、入力部130は、CPU201が入力装置166を利用することで実現可能であり、出力部140は、CPU201が入力装置166を利用することで実現可能である。
【0064】
この所定のプログラムは、読取装置165を介して記憶媒体164から、あるいは、通信装置168を介してネットワークから、外部記憶装置163にダウンロードされ、それから、メモリ162上にロードされてCPU161により実行されるようにしてもよい。また、読取装置165を介して記憶媒体164から、あるいは、通信装置168を介してネットワークから、メモリ162上に直接ロードされ、CPU161により実行されるようにしてもよい。
【0065】
図9は、評価装置100での処理を示すフローチャートである。
【0066】
まず、再資源化費用算出部121は、記憶部110の部品構成情報記憶領域111、部品属性情報記憶領域112、処理判断情報記憶領域113、処理能力情報記憶領域114、処理単位情報記憶領域115、および、回収物単価情報記憶領域116、に記憶されている部品構成テーブル111a、部品属性テーブル112a、処理判断テーブル113a、処理能力テーブル114a、処理単位テーブル115a、および、回収物単価テーブル116a、を読み込む(S10)。
【0067】
次に、再資源化費用算出部121は、部品構成テーブル111aから製品を構成する部品を一つ特定する(S11)。
【0068】
次に、再資源化費用算出部121は、ステップS11で特定した部品の重量と、当該部品の材質及び当該材質の重量と、を部品属性テーブル112aより取得して、処理判断テーブル113aで特定されている条件を満たすか否かを判断して、当該条件を満たす処理を特定する(S12)。
【0069】
具体的には、再資源化費用算出部121は、部品属性テーブル112aから取得した部品の重量と、材質の重量と、から部品の重量に対する材質の重量の比率を計算して、計算した比率が下限比率欄113cに格納されている下限比率よりも高く、かつ、部品属性テーブル112aから取得した材質の重量が最低重量欄113dに格納されている最低重量よりも重い行の処理ID欄113eに格納されている処理を特定する。
【0070】
なお、これらの条件を満たす処理が複数ある場合には、任意の方法で処理を選択することが可能であるが、例えば、最も重量の重い材質に対応する処理を選択することも可能であり、また、下記の(1)式から材質毎に回収物の価値(回収物価値)を計算して、当該価値の高いものを選択することも可能である。
【0071】
(材質毎の回収物価値)=(材質毎の回収物の単価)×(材質毎の重量)・・・(1)
ここで、材質毎の回収物の単価は、回収物単価テーブル116aから取得すればよい。
【0072】
また、下限比率欄113cで特定される条件を満たさない場合には、部品自体の重量が最低重量欄113dで特定される条件を満たしていることを条件に、材質ID欄113bが「Mix」となっている行で特定される処理を選択する。
【0073】
次に、再資源化費用算出部121は、ステップS12で特定された処理に要する費用を算出する(S13)。
【0074】
具体的には、ステップS12で特定された処理の費用を、処理単価テーブル115aの単価から算出する。例えば、処理単価テーブル115aの単価が、処理する部品の重量で定められている場合には、下記の(2)式を用いて処理費用を算出する。
【0075】
(処理費用)=(処理単価)×(処理対象部品の重量)・・・(2)
なお、このようにして算出された処理費用は、部品毎に算出情報記憶領域117に記憶しておく。
【0076】
次に、再資源化費用算出部121は、ステップS12で特定した処理で回収される材質(以下、回収物)の重量を下記の(3)式を用いて算出し、また、ステップS12で特定された処理で回収されない材質の重量、を下記の(4)式と、部品属性テーブル112aの重量欄112dと、から算出する(S14)。
【0077】
(回収物の重量)=(部品内の回収物の重量)×(材質毎の回収率)・・・(3)
なお、部品内の回収物の重量は、部品属性テーブル112aの重量欄112dより取得し、また、回収率は、処理能力テーブル114aの回収率欄114eより取得する。
【0078】
(非回収物の重量)=(部品内の回収物の重量)−(回収物の重量)・・・(4)
ここで、(4)式は、ステップS12で特定された処理で回収される材質の残量を算出するものであり、ステップS12で特定された処理で回収困難な材質については、部品属性テーブル112aの重量欄112dで特定される重量が非回収物の重量となる。
【0079】
また、このようにして算出した重量については、材質毎に算出情報記憶領域117に記憶される。
【0080】
そして、再資源化費用算出部121は、ステップS11〜ステップS14の処理を、製品を構成する全ての部品について繰り返し行う(S15)。
【0081】
次に、再資源化費用算出部121は、ステップS14で算出された回収物の重量と、回収物単価テーブル116に格納されている当該回収物の単価と、から下記の(5)式で材質毎に回収物の価格を算出する(S16)。
【0082】
(回収物の価格)=(回収物の重量)×(材質毎の単価)・・・(5)
なお、このようにして算出された値は、算出情報記憶領域117に記憶される。
【0083】
次に、再資源化費用算出部121は、ステップS14で算出された非回収物の重量と、処理単価テーブル116aに格納されている非回収の場合の単価と、から下記の(6)式で非回収物を処理する際の費用を算出する(S17)。
【0084】
(非回収物の処理費用)=(非回収物の重量)×(非回収の処理単価)・・・(6)
なお、このようにして算出された値は、算出情報記憶領域117に記憶される。
【0085】
次に、再資源化費用算出部121は、ステップS13で算出された処理費用と、ステップS16で算出した回収物の価値と、ステップS17で算出された非回収物の価値と、を下記の(7)式のように集計することで、再資源化費用を算出する(S18)。
【0086】
(再資源化費用)=Σ(処理毎の処理費用)
−Σ(材質毎の回収物価格)+(非回収物の処理費用)・・・(7)
なお、このようにして算出された値は、算出情報記憶領域117に記憶される。
【0087】
次に、喪失価値算出部122は、非回収物の非回収物として抽出された材質を処理方法のロスとして捕らえ、これらが回収されたことを想定した場合の潜在価値を下記の(8)式で算出する(S19)。
【0088】
(非回収物の潜在価値)=
(材質毎の非回収物の重量)×(材質毎の非回収物の単価)・・・(8)
なお、このようにして算出された値は、算出情報記憶領域117に記憶される。
【0089】
次に、喪失価値算出部122は、ステップS19で算出された非回収物の潜在価値を下記の(9)式のように集計することで、非回収物の喪失価値を算出する(S20)。
【0090】
(非回収物の喪失価値)=Σ(材質毎の非回収物の潜在価値)・・・(9)
なお、このようにして算出された値は、算出情報記憶領域117に記憶される。
【0091】
そして、出力データ生成部123は、以上の処理で算出された値を算出情報記憶領域117から取得して、例えば、図10(算出結果出力画面150の概略図)に示すような算出結果出力画面150を生成して、出力部140を介して出力する(S21)。
【0092】
なお、図示するように、算出結果出力画面150は、図9のステップS12で特定した当該製品の処理方法の流れを示す領域(エリアA)と、ステップS13で算出された各処理工程における処理費用を示す領域(エリアB)と、ステップS14で算出される各処理工程における素材毎の回収率を示す領域(エリアC)と、各処理工程における非回収物の発生要因(処理能力テーブル114aの回収不得手材質ID欄114fより取得)を特定する領域(エリアD)と、ステップS14で特定される非回収物の一覧を示す領域(エリアE)と、ステップS19で算出される非回収物が持つ潜在価値を示す領域(エリアF)と、を備えるが、このような態様に限定されるわけではない。
【0093】
例えば、出力書式が例えば回収率でなく、それに投入量を乗じた回収量になっていても問題はなく、またこれらはすべての情報が必ずしも必要ではない。
【0094】
この方法によれば、製品構成情報、処理判断情報、処理能力情報、回収物価値などを入力情報として、再資源化工程において未回収が発生する部位、要因を定量的に示すことができ、その結果再資源化工程の改善や再資源化容易な製品設計、例えば構造の変更や構成材料の変更を促すことが可能となる。
【0095】
なお、以上に記載した実施形態と異なり、非回収物の処理単価を材質毎に定めた場合には、非回収物の処理費用を、(6)式に代わり下記の(10)式で算出する。
【0096】
材質毎の非回収物の処理費用=
(材質毎の非回収物重量)×(材質毎の非回収物の処理費用)・・・(10)
また、このような場合には、再資源化費用は、下記の(11)式のように集計することで算出することができる。
【0097】
(再資源化費用)=Σ(処理毎の処理費用)
−Σ(材質毎の回収物の価格)+Σ(材質毎の非回収物の処理費用)・・・(11)
また、以上に記載した実施形態では、非回収物の材質毎に重量を算出して、単価に乗算して、非回収物の材質毎に価値を算出するようにしているが、このような態様に限定されるわけではない。例えば、非回収物のおおよその単価(非回収物となる材質を予め定められた比率で混ぜ合わせた単価等)を記憶部110に記憶しておき、非回収物の重量の合計値を、記憶部110に記憶されている非回収物のおおよその単価に乗算することで、非回収物の価値を算出するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】評価装置100の概略図。
【図2】部品構成テーブル111aの概略図。
【図3】部品属性テーブル112aの概略図。
【図4】処理判断テーブル113aの概略図。
【図5】処理能力テーブル114aの概略図。
【図6】処理単価テーブル115aの概略図。
【図7】回収物単価テーブル116aの概略図。
【図8】コンピュータ160の概略図。
【図9】評価装置100での処理を示すフローチャート。
【図10】算出結果出力画面150の概略図。
【符号の説明】
【0099】
100 評価装置
110 記憶部
111 部品構成情報記憶領域
112 部品属性情報記憶領域
113 処理判断情報記憶領
114 処理能力情報記憶領域
115 処理単価情報記憶領域
116 回収物単価情報記憶領域
117 算出情報記憶領域
120 制御部
121 再資源化費用算出部
122 喪失価値算出部
123 出力データ生成部
130 入力部
140 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部及び制御部を備える評価装置であって、
前記記憶部には、
製品を構成する部品を特定する部品構成情報と、
部品の材質を特定する部品属性情報と、
部品の材質毎に回収する処理を特定する処理判断情報と、
処理毎に回収が困難な材質を特定する処理能力情報と、
材質毎の単価を特定する物単価情報と、
が記憶されており、
前記制御部は、
前記部品構成情報より製品を構成する部品を特定する部品特定処理と、
前記部品特定処理で特定した部品毎に、当該部品の材質を前記部品属性情報より特定する部品材質特定処理と、
前記部品材質特定処理で特定した材質毎に、当該材質を回収する処理を前記処理判断情報より特定する処理特定処理と、
前記処理特定処理で特定した処理毎に、当該処理により回収が困難な材質を前記処理能力情報より特定する非回収物特定処理と、
前記非回収物特定処理で特定した材質毎に、当該材質の単価を前記物単価情報より特定し、前記製品を構成する部品に含まれる回収が困難な全ての材質において集計することで、前記製品に含まれる非回収物の価値を算出する喪失価値特定処理と、を行うこと、
を特徴とする評価装置。
【請求項2】
請求項1に記載の評価装置であって、
前記部品属性情報は、さらに、部品の材質の重さを特定する情報を有しており
前記制御部は、前記喪失価値算出処理として、
前記非回収物特定処理で特定した材質毎に、当該材質の重さを前記部品属性情報より特定し、特定した当該材質の重さと、前記物単価情報より特定した当該材質の単価と、により当該材質の価値を特定し、前記製品を構成する部品に含まれる回収が困難な全ての材質において集計することで、前記製品に含まれる非回収物の価値を算出すること、
を特徴とする評価装置。
【請求項3】
請求項1に記載の評価装置であって、
前記記憶部には、さらに、処理の単価を特定する処理費用情報が記憶されており、
前記制御部は、さらに、前記処理特定処理で特定された処理の単価を前記処理費用情報より特定し、前記製品を構成する部品に対して行う全ての処理において集計することで、前記製品の処理費用を算出する処理費用特定処理を行うこと、
を特徴とする評価装置。
【請求項4】
請求項1に記載の評価装置であって、
前記部品属性情報は、さらに、部品の材質の重さを特定する情報を有しており
前記制御部は、さらに、
前記処理特定処理で特定された処理毎に、当該処理により回収される材質の重さを前記部品属性情報より特定する回収物重量特定処理と、
前記回収物重量特定処理で特定された当該材質の重さと、前記物単価情報より特定された当該材質の単価と、から回収される材質の価値を特定し、前記製品を構成する部品に含まれる回収される全ての材質において集計することで、前記製品の回収物価値を算出する回収物価値特定処理と、
前記処理費用特定処理で算出された前記製品の処理費用から、前記回収物価値特定処理で算出された前記製品の回収物価値を差し引くことで、前記製品の再資源化費用を算出する再資源化費用特定処理と、を行うこと、
を特徴とする評価装置。
【請求項5】
請求項4に記載の評価装置であって、
前記記憶部には、さらに、材質毎に非回収の処理の単価を特定する処理費用情報が記憶されており、
前記制御部は、前記再資源化費用特定処理として、
前記非回収物特定処理で特定した材質毎に、当該材質の重さを前記部品属性情報より特定し、特定した当該材質の重さと、前記処理費用情報より特定した当該材質の非回収の処理単価と、により当該材質の非回収の処理費用を特定し、前記製品を構成する部品に含まれる回収が困難な全ての材質において集計することで、前記製品に含まれる非回収物の処理費用を算出し、前記製品の処理費用から、前記製品の回収物価値を差し引き、前記製品に含まれる非回収物の処理費用を加えることで、前記製品の再資源化費用を算出すること、
を特徴とする評価装置。
【請求項6】
コンピュータを、
製品を構成する部品を特定する部品構成情報と、
部品の材質を特定する部品属性情報と、
部品の材質毎に回収する処理を特定する処理判断情報と、
処理毎に回収が困難な材質を特定する処理能力情報と、
材質毎の単価を特定する物単価情報と、
を記憶する記憶手段、
前記部品構成情報より製品を構成する部品を特定する部品特定処理と、
前記部品特定処理で特定した部品毎に、当該部品の材質を前記部品属性情報より特定する部品材質特定処理と、
前記部品材質特定処理で特定した材質毎に、当該材質を回収する処理を前記処理判断情報より特定する処理特定処理と、
前記処理特定処理で特定した処理毎に、当該処理により回収が困難な材質を前記処理能力情報より特定する非回収物特定処理と、
前記非回収物特定処理で特定した材質毎に、当該材質の単価を前記物単価情報より特定し、前記製品を構成する部品に含まれる回収が困難な全ての材質において集計することで、前記製品に含まれる非回収物の価値を算出する喪失価値特定処理と、
を行う制御手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムであって、
前記部品属性情報は、さらに、部品の材質の重さを特定する情報を有しており
前記制御手段は、前記喪失価値算出処理として、
前記非回収物特定処理で特定した材質毎に、当該材質の重さを前記部品属性情報より特定し、特定した当該材質の重さと、前記物単価情報より特定した当該材質の単価と、により当該材質の価値を特定し、前記製品を構成する部品に含まれる回収が困難な全ての材質において集計することで、前記製品に含まれる非回収物の価値を算出すること、
を特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項6に記載のプログラムであって、
前記記憶手段には、さらに、処理の単価を特定する処理費用情報が記憶されており、
前記制御手段は、さらに、前記処理特定処理で特定された処理の単価を前記処理費用情報より特定し、前記製品を構成する部品に対して行う全ての処理において集計することで、前記製品の処理費用を算出する処理費用特定処理を行うこと、
を特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項6に記載のプログラムであって、
前記部品属性情報は、さらに、部品の材質の重さを特定する情報を有しており
前記制御手段は、さらに、
前記処理特定処理で特定された処理毎に、当該処理により回収される材質の重さを前記部品属性情報より特定する回収物重量特定処理と、
前記回収物重量特定処理で特定された当該材質の重さと、前記物単価情報より特定された当該材質の単価と、から回収される材質の価値を特定し、前記製品を構成する部品に含まれる回収される全ての材質において集計することで、前記製品の回収物価値を算出する回収物価値特定処理と、
前記処理費用特定処理で算出された前記製品の処理費用から、前記回収物価値特定処理で算出された前記製品の回収物価値を差し引くことで、前記製品の再資源化費用を算出する再資源化費用特定処理と、を行うこと、
を特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムであって、
前記記憶手段には、さらに、材質毎に非回収の処理の単価を特定する処理費用情報が記憶されており、
前記制御手段は、前記再資源化費用特定処理として、
前記非回収物特定処理で特定した材質毎に、当該材質の重さを前記部品属性情報より特定し、特定した当該材質の重さと、前記処理費用情報より特定した当該材質の非回収の処理単価と、により当該材質の非回収の処理費用を特定し、前記製品を構成する部品に含まれる回収が困難な全ての材質において集計することで、前記製品に含まれる非回収物の処理費用を算出し、前記製品の処理費用から、前記製品の回収物価値を差し引き、前記製品に含まれる非回収物の処理費用を加えることで、前記製品の再資源化費用を算出すること、
を特徴とするプログラム。
【請求項11】
製品を構成する部品を特定する部品構成情報と、
部品の材質を特定する部品属性情報と、
部品の材質毎に回収する処理を特定する処理判断情報と、
処理毎に回収が困難な材質を特定する処理能力情報と、
材質毎の単価を特定する物単価情報と、
を記憶する記憶部と、制御部と、を備える評価装置が行う評価方法であって、
前記制御部が、前記部品構成情報より製品を構成する部品を特定する部品特定処理過程と、
前記制御部が、前記部品特定処理過程で特定した部品毎に、当該部品の材質を前記部品属性情報より特定する部品材質特定処理過程と、
前記制御部が、前記部品材質特定処理過程で特定した材質毎に、当該材質を回収する処理を前記処理判断情報より特定する処理特定処理過程と、
前記制御部が、前記処理特定処理過程で特定した処理毎に、当該処理により回収が困難な材質を前記処理能力情報より特定する非回収物特定処理過程と、
前記制御部が、前記非回収物特定処理過程で特定した材質毎に、当該材質の単価を前記物単価情報より特定し、前記製品を構成する部品に含まれる回収が困難な全ての材質において集計することで、前記製品に含まれる非回収物の価値を算出する喪失価値特定処理過程と、を備えること、
を特徴とする評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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