説明

評価装置およびプログラム

【課題】一方の通信網における通信品質と、他方の通信網における通信品質との差を客観的に評価可能にする。
【解決手段】第1のネットワークのPESQ値と遅延量を測定し、第2のネットワークのPESQ値と遅延量を測定する。測定したPESQ値の差の絶対値に100を乗じた値をXとする。また、測定した遅延量の差の絶対値をYとする。次に、PESQ値の差をX軸、遅延量の差をY軸とした散布図を作成し、Xの値とYの値の交点を散布図にプロットする。第1のネットワークと第2のネットワークで品質の差が小さいほど、点が原点(X軸とY軸の交点)に近い位置で表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信網を使用した音声通話の品質を評価する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)で規定されている3Gのコアネットワークは、回線交換(CS:Circuit Switching)とパケット交換(PS:Packet Switching)の2つのドメインに分離された構成となっている。CSドメインは音声通信やTV電話通信サービスを提供し、PSドメインはデータ通信系のサービスを提供する。つまり、CSドメインとその他のPSドメイン、WLAN(Wireless Local Area Network)、LTE(Long Term Evolution)が独立したコアネットワークを構築する必要があった。
これに対し、CSドメインをIMS(IP Multimedia Subsystem)へ収容する機能を実現する為にCS−GW(Circuit Switching GateWay)を配備することで、IMSを中心としたコアネットワークにて全てのアクセスネットワーク(CSドメイン、PSドメイン、WLAN、LTE)を統一的に収容することが実現可能となっている。
【0003】
IMSを中心としたネットワークでは、音声や映像などのマルチメディアサービスを携帯電話や無線LANなどの様々な端末に対して提供できるため、従来の3GのネットワークからIMSを中心としたネットワークへの移行が進められているが、3Gのネットワークからの移行時期においては、3GのネットワークとIMSを中心としたネットワークとが併存することとなる。
【0004】
このように、ネットワークが併存する通信システムを開示した文献として、例えば特許文献1がある。特許文献1に開示されているシステムは、3Gの通信網と、IMSの通信網とが接続されている。3Gの通信網ではATM(Asynchronous Transfer Mode)と呼ばれる方式で音声通話の通信が行われ、IMSの通信網ではIP(Internet Protocol)ベースで音声通話の通信が行われるが、このシステムにおいては、一方の通信網内で端末同士が通信を行うことは勿論、一方の通信網に接続した端末と他方の通信網に接続した端末とが通信を行うことも可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−55455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、異なる通信方式の通信網が併存する時期においては、音声通話サービスを提供する通信事業者としては、通信方式が異なる通信網が併存しても音声通話の品質を同等に保つことが要求される。
ここで、異なる2つの通信網で音声通話の品質を同等に保とうとする場合、まず、音声通話の品質について同等であるか否かを評価する必要が生じるが、主観的な評価では、評価者によって評価結果が異なることがある。また、主観的な評価では、評価者を集めるなど手間がかかることとなる。このため、異なる2つの通信網について、音声通話の品質が同等であるか否か客観的に評価する技術が求められている。
【0007】
本発明は、上述した背景の下になされたものであり、一方の通信ネットワークにおける音声通話と、他方の通信ネットワークにおける音声通話との差を客観的に評価できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1ネットワークを使用した音声通話の第1測定項目の測定値と、前記第1ネットワークを使用した音声通話の第2測定項目の測定値と、第2ネットワークを使用した音声通話の前記第1測定項目の測定値と、前記第2ネットワークを使用した音声通話の前記第2測定項目の測定値とを取得する取得手段と、前記第1ネットワークの前記第1測定項目の測定値と前記第2ネットワークの前記第1測定項目の測定値との差の絶対値である第1絶対値と、前記第1ネットワークの前記第2測定項目の測定値と前記第2ネットワークの前記第2測定項目の測定値との差の絶対値である第2絶対値を演算する演算手段と、前記第1ネットワークの前記第1測定項目の測定値と前記第2ネットワークの前記第1測定項目の測定値との差の絶対値をX軸に対応させ、前記第1ネットワークの前記第2測定項目の測定値と前記第2ネットワークの前記第2測定項目の測定値との差の絶対値をY軸に対応させた散布図に、前記第1絶対値と前記第2絶対値に対応した点を描き、該点が描かれた前記散布図を表示手段に表示させる制御手段とを有する評価装置を提供する。
【0009】
本発明においては、前記第1測定項目はPESQ値であり、前記第2測定項目は遅延量であってもよい。
また、本発明においては、前記音声通話の品質が予め定められた第1クラスである時の前記第1測定項目の測定値と前記音声通話の品質が前記第1クラスより劣る第2クラスである時の前記第1測定項目の測定値との差の絶対値である第3絶対値と、前記音声通話の品質が前記第1クラスである時の前記第2測定項目の測定値と前記音声通話の品質が前記第2クラスである時の前記第2測定項目の測定値との差の絶対値である第4絶対値と、に対応した点が前記散布図に描かれていてもよい。
【0010】
また、本発明は、コンピュータを、第1ネットワークを使用した音声通話の第1測定項目の測定値と、前記第1ネットワークを使用した音声通話の第2測定項目の測定値と、第2ネットワークを使用した音声通話の前記第1測定項目の測定値と、前記第2ネットワークを使用した音声通話の前記第2測定項目の測定値とを取得する取得手段と、前記第1ネットワークの前記第1測定項目の測定値と前記第2ネットワークの前記第1測定項目の測定値との差の絶対値である第1絶対値と、前記第1ネットワークの前記第2測定項目の測定値と前記第2ネットワークの前記第2測定項目の測定値との差の絶対値である第2絶対値を演算する演算手段と、前記第1ネットワークの前記第1測定項目の測定値と前記第2ネットワークの前記第1測定項目の測定値との差の絶対値をX軸に対応させ、前記第1ネットワークの前記第2測定項目の測定値と前記第2ネットワークの前記第2測定項目の測定値との差の絶対値をY軸に対応させた散布図に、前記第1絶対値と前記第2絶対値に対応した点を描き、該点が描かれた前記散布図を表示手段に表示させる制御手段として機能させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、一方の通信ネットワークにおける音声通話と、他方の通信ネットワークにおける音声通話との差を客観的に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る通信ネットワークと評価装置10を示した図。
【図2】評価装置10のハードウェア構成を示した図。
【図3】評価装置10が行う処理の流れを示したフローチャート。
【図4】評価装置10が表示する散布図を示した図。
【図5】評価装置10が表示する散布図を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態]
図1は、3Gに準拠したATM方式のコアネットワーク20と、従来のATM方式とIMSとを統合した統合ネットワーク30とが併存する通信ネットワークを示した図である。コアネットワーク20と統合ネットワーク30は、RAN(Radio Access Network)である無線アクセスネットワーク40に接続されている。
【0014】
無線アクセスネットワーク40は、3Gに準拠した無線アクセスネットワークであり、BS(Base Station)41やRNC(Radio Network Controller)42で構成されている。無線アクセスネットワーク40においては、BS41が3Gに準拠した携帯電話機MSと無線通信を行う。
【0015】
コアネットワーク20は、3Gに準拠した既存の通信網であり、MSC/VLR(Mobile Switching Center/Visitor Location Register)21、GMSC(Gateway Mobile Switching Center)22、HLR(Home Location Register)25などを有し、携帯電話機MSの位置制御や音声通信、データ通信などを司る。なお、MSC/VLR21は、図1においては接続線の図示を省略しているがRNC42に接続されている。
【0016】
統合ネットワーク30は、CS−GW(Circuit Switching GateWay)31と、CS−GWに接続されるIMS32を有する通信網である。なお、図1においては接続線の図示を省略しているが、RNC42とCS−GW31は接続されており、RNC42とCS−GW31との間の通信は、3Gに準拠した通信である。
CS−GW31は、呼制御(CC:Call Control)やモビリティ管理(MM:Mobility Managment)などについて、携帯電話機MSからの従来のATM方式のプロトコルをSIP(Session Initiation Protocol)に変換する。IMS32では、SIPによる呼制御を行い、携帯電話機MSに音声通話サービスを提供する。
【0017】
評価装置10は、コアネットワーク20を使用した音声通話の品質と、統合ネットワーク30を使用した音声通話の品質との差を求める装置である。評価装置10は、コアネットワーク20と統合ネットワーク30の各々について測定して得た通話の遅延量と、PESQ(Perceptual Evaluation of Speech Quality)の手法で測定して得たPESQ値を取得する。なお、コアネットワーク20と統合ネットワーク30の測定項目であるPESQ値や遅延量の測定は、周知の測定機器を用いて測定される。評価装置10は、取得した測定結果を用いて、コアネットワーク20を用いた音声通話の品質と統合ネットワーク30を用いた音声通話の品質との差を求める。
【0018】
図2は、評価装置10のハードウェア構成を示したブロック図である。図2に示したように、評価装置10の各部は、バス101に接続されている。評価装置10の各部は、このバス101を介して各部間でデータの授受を行う。
【0019】
インターフェース部108は、PESQの測定を行う測定機器や、遅延の測定を行う測定機器との通信を行うインターフェースの機能を有しており、通信ケーブルで測定機器に接続される。インターフェース部108は、CPU(Central Processing Unit)102により制御されて測定機器と通信を行い、PESQ値や遅延量など、測定機器の測定結果を取得する。また、インターフェース部108は、取得した測定結果をCPU102へ供給する。つまり、インターフェース部108は、測定機器の測定結果を取得する取得部(取得手段)として機能する。
操作部106は、テンキーなどの複数のキーを備えたキーボードやマウスを有している。評価装置10は、操作部106にされた操作に応じて動作する。また、評価装置10においては、操作者が操作部106を操作してPESQ値や遅延量などの測定結果を入力することも可能となっている。つまり、操作部106は、測定機器の測定結果を取得する手段としても機能する。
表示部107は、画像を表示する表示デバイス(例えば、液晶ディスプレイ)を有している。表示部107は、CPU102の制御の下、種々の情報を表示する表示手段として機能する。
【0020】
ROM(Read Only Memory)103には、CPU102により実行されるIPL(Initial Program Loader)が記憶されている。RAM(Random Access Memory)104は、CPU102がプログラムを実行するときの作業エリアとして使用される。
記憶部105は、ハードディスク装置を備えており、インターフェース部で取得されたPESQ値や遅延量、操作部106で入力されたPESQ値や遅延量を記憶する。また、記憶部105は、CPU102により実行される各種プログラムを記憶しており、例えば、オペレーティングシステムの機能を実現するプログラムや、PESQ値と遅延量から、コアネットワーク20を使用した音声通話の品質と、統合ネットワーク30を使用した音声通話の品質との差を求める機能を実現する評価プログラムなどを記憶している。なお、PESQ値や遅延量などの測定結果を記憶するのはハードディスク装置に限定されるものではなく、電力を供給しなくても情報を保持する不揮発性メモリーであってもよい。
【0021】
CPU102は、評価装置10の各部を制御するものである。評価装置10において図示を省略した電源が入れられると、CPU102が、ROM103からIPLを読み出して実行する。CPU102は、IPLを実行すると、ROMからオペレーティングシステムの機能を実現するプログラムを読み出して実行し、CPU102の初期化および評価装置10各部の初期化を行う。また、CPU102は、操作部106にされた操作に応じて、評価プログラムを実行する。このように、評価装置10は、プログラムに従って動作するコンピュータ装置の一例である。
【0022】
[実施形態の動作]
次に、本実施形態の動作について説明する。まず、評価装置10の操作者は、測定機器を評価装置10に接続し、測定機器を用いてコアネットワーク20のPESQ値と音声通話の遅延量を測定する。インターフェース部108は、測定機器により測定されたコアネットワーク20のPESQ値と音声通話の遅延量を取得する(図3のステップSA1)。また、インターフェース部108で取得されたPESQ値と遅延量は、記憶部105に記憶される。また、評価装置10の操作者は、測定機器を用いて統合ネットワーク30のPESQ値と音声通話の遅延量を測定する。インターフェース部108は、測定機器により測定された統合ネットワーク30のPESQ値と音声通話の遅延量を取得する(ステップSA1)。また、インターフェース部108で取得されたPESQ値と遅延量は、記憶部105に記憶される。
【0023】
次に評価装置10の操作者は、評価プログラムの実行を指示する操作を操作部106において行う。この操作が行われると、記憶部105に記憶されている評価プログラムがCPU102により実行される。
【0024】
次に、操作者は、操作部106を操作し、記憶部105に記憶されている測定項目の中から、評価対象となるネットワークのPESQ値と遅延量を選択する(ステップSA2)。例えば、操作者が、評価対象となる第1のネットワークをコアネットワーク20とする場合、このコアネットワーク20のPESQ値と遅延量を選択する。ここで、CPU102は、コアネットワーク20のPESQ値をP1とし、コアネットワーク20の遅延量をD1とする。また、操作者が、評価対象となる第2のネットワークを統合ネットワーク30とする場合、この統合ネットワーク30のPESQ値と遅延量を選択する。ここで、CPU102は、統合ネットワーク30のPESQ値をP2とし、統合ネットワーク30の遅延量をD2とする。
【0025】
次にCPU102は、以下の数式にP1、P2、D1およびD2の値を代入し、数式のXの値とYの値を求める(ステップSA3)。つまり、ここでCPU102は、Xの値とYの値を求める演算部(演算手段)として機能する。
【0026】
【数1】

【数2】

【0027】
次に、CPU102は、第1のネットワークのPESQ値と第2のネットワークのPESQ値との差の絶対値をX軸に対応させ、第1のネットワークの遅延量と第2のネットワークの遅延量との差の絶対値をY軸に対応させた散布図を作成する。ここで、CPU102は、数1のXの値をX軸にとり、数2のYの値をY軸にとって、Xの値とYの値の交点に点を描いた散布図を作成し、作成した散布図を表示部107に表示させる(ステップSA4)。つまり、ここでCPU102は、散布図を表示部107に表示させる制御部(制御手段)として機能する。
図4は、CPU102が作成した散布図の一例である。この散布図においては、第1のネットワークと第2のネットワークとでPESQ値の差が小さい場合、点のX軸方向の位置がY軸に近くなり、PESQ値の差が大きいと点のX軸方向の位置がY軸から遠くなる。また、この散布図においては、第1のネットワークと第2のネットワークとで遅延量の差が小さい場合、点のY軸方向の位置がX軸に近くなり、遅延量の差が大きいと点のY軸方向の位置がX軸から遠くなる。
つまり、第1のネットワークと第2のネットワークで音声通話の品質の差が小さいほど、点が原点(X軸とY軸の交点)に近い位置で表示されるため、評価装置10の操作者は、第1のネットワークを使用した音声通話の品質と第2のネットワークを使用した音声通話の品質の差を点の位置により評価できる。なお、以下の数3の式でZの値、即ち、散布図の原点から描いた点までの直線の長さを求め、求めた長さを表示してもよい。
【0028】
【数3】

【0029】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよく、各変形例を組み合わせて実施してもよい。
【0030】
評価装置10は、散布図を表示する際、品質の差が予め定めた範囲内にあるか否かを判断するための指標を散布図上に表示してもよい。
例えば、総務省の「IPネットワーク技術に関する研究会」の報告書には、IP電話の品質クラス分類が記載されている。この品質クラス分類は、音声通話の品質を分類したものである。品質クラス分類は、クラスA、クラスB、クラスCの3段階に分けられており、クラスAは固定電話並、クラスBは携帯電話並としている。なお、クラスAは、R値が「>80」、エンドトゥエンド遅延が「<100ms」、呼損率が「≦0.15」のネットワークである。また、クラスBは、R値が「>70」、エンドトゥエンド遅延が「<150ms」、呼損率が「≦0.15」のネットワークである。また、クラスCは、R値が「>50」、エンドトゥエンド遅延が「<400ms」、呼損率が「≦0.15」のネットワークである。
また、TTC標準JJ−201.01「IP電話の通話品質評価法」によれば、クラスAについてはPESQ値を「3.4」、クラスBについてはPESQ値を「3.1」、クラスCについてはPESQ値を「2.5」としている。
【0031】
通信ネットワークを使用した音声通話の品質について、一方のネットワークがクラスA(固定電話並)、他方のネットワークがクラスB(携帯電話並)であったと仮定し、上記数1と数2の式でXとYを求めると、X=30、Y=50となる。CPU102は、この値の交点について、指標となる点であることが区別されるように、図4に示した点とは別の形状の点D1を図5に示したように描く。
評価装置10が表示する散布図においては、描かれた点が原点に近い場合、第1のネットワークと第2のネットワークとの間で音声通話の品質の差が小さいことを示す。このため、描かれた点が点D1より原点に近い位置に表示されている場合には、第1のネットワークと第2のネットワークとの音声通話の品質の差が、クラスAとクラスBとの差より小さいことを表すこととなる。
【0032】
なお、通信ネットワークを使用した音声通話の品質について、一方のネットワークがクラスB、他方のネットワークがクラスCであったと仮定し、上記数1と数2の式でXとYを求めると、X=60、Y=250となる。CPU102は、この値の交点について指標となる点であることが区別されるように、図4に示した点とは別の形状の点D2を図5に示したように描いてもよい。
【0033】
上述した実施形態では、3Gに準拠した通信ネットワークと、ATM方式とIMSとを統合した通信ネットワークについて音声通話の品質の差を求めているが、音声通話の品質の差を求めるネットワークは、上述した構成に限定されるものではなく、他の構成の通信ネットワークであってもよい。
【0034】
上述した実施形態においては、PESQ値と遅延量を用いて音声通話の品質の差を求めているが、評価に使用する測定値は、PESQ値と遅延量に限定されるものではない。客観的な評価が可能な測定値であればよく、例えば、PESQ値に替えてPSQM(Perceptual Speech Quality Measure)評価値、PSQM+(Perceptual Speech Quality Measure plus)の評価値、PSQM99の評価値、PAMS(Perceptual Analysis. Measurement System)の評価値のいずれかを用いてもよい。また、PESQ値に替えて、PESQ値に関係する回線雑音量やランダムパケット損失率などを用いてもよい。
【0035】
上述した実施形態においては、P1とP2の差の絶対値に100を乗じた値をXとしているが、100を乗じないようにしてもよい。なお、100を乗じない場合には、散布図のX軸の目盛りを変更する。
また、上述した実施形態においては、PESQ値の絶対値の差に100を乗じたものをX軸に対応させ、遅延量の絶対値の差をY軸に対応させているが、PESQ値の絶対値の差に100を乗じたものをY軸に対応させ、遅延量の絶対値の差をX軸に対応させて散布図を作成してもよい。
【0036】
なお、PESQ値を低くする要因としては、回線雑音量やランダムパケット損失率などがある。散布図において、描かれた点の位置が、Y軸から離れている場合、ネットワークにおいて回線雑音量を増加させる原因と、ランダムパケット損失率を増加させる原因を分析し、音声品質の向上をはかるようにしてもよい。
【0037】
上述した評価プログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD(Hard Disk Drive)、FD(Flexible Disk))など)、光記録媒体(光ディスク(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk))など)、光磁気記録媒体、半導体メモリーなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供し、評価装置10にインストールしてもよい。また、このプログラムを通信回線を介してダウンロードしてインストールしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
10・・・評価装置、20・・・コアネットワーク、21・・・MSC/VLR、22・・・GMSC、25・・・HLR、30・・・統合ネットワーク、31・・・CS−GW、32・・・IMS、40・・・無線アクセスネットワーク、41・・・BS、42・・・RNC、101・・・バス、102・・・CPU、103・・・ROM、104・・・RAM、105・・・記憶部、106・・・操作部、107・・・表示部、108・・・インターフェース部、MS・・・携帯電話機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ネットワークを使用した音声通話の第1測定項目の測定値と、前記第1ネットワークを使用した音声通話の第2測定項目の測定値と、第2ネットワークを使用した音声通話の前記第1測定項目の測定値と、前記第2ネットワークを使用した音声通話の前記第2測定項目の測定値とを取得する取得手段と、
前記第1ネットワークの前記第1測定項目の測定値と前記第2ネットワークの前記第1測定項目の測定値との差の絶対値である第1絶対値と、前記第1ネットワークの前記第2測定項目の測定値と前記第2ネットワークの前記第2測定項目の測定値との差の絶対値である第2絶対値を演算する演算手段と、
前記第1ネットワークの前記第1測定項目の測定値と前記第2ネットワークの前記第1測定項目の測定値との差の絶対値をX軸に対応させ、前記第1ネットワークの前記第2測定項目の測定値と前記第2ネットワークの前記第2測定項目の測定値との差の絶対値をY軸に対応させた散布図に、前記第1絶対値と前記第2絶対値に対応した点を描き、該点が描かれた前記散布図を表示手段に表示させる制御手段と
を有する評価装置。
【請求項2】
前記第1測定項目はPESQ値であり、前記第2測定項目は遅延量であることを特徴とする請求項1に記載の評価装置。
【請求項3】
前記音声通話の品質が予め定められた第1クラスである時の前記第1測定項目の測定値と前記音声通話の品質が前記第1クラスより劣る第2クラスである時の前記第1測定項目の測定値との差の絶対値である第3絶対値と、
前記音声通話の品質が前記第1クラスである時の前記第2測定項目の測定値と前記音声通話の品質が前記第2クラスである時の前記第2測定項目の測定値との差の絶対値である第4絶対値と、
に対応した点が前記散布図に描かれていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の評価装置。
【請求項4】
コンピュータを、
第1ネットワークを使用した音声通話の第1測定項目の測定値と、前記第1ネットワークを使用した音声通話の第2測定項目の測定値と、第2ネットワークを使用した音声通話の前記第1測定項目の測定値と、前記第2ネットワークを使用した音声通話の前記第2測定項目の測定値とを取得する取得手段と、
前記第1ネットワークの前記第1測定項目の測定値と前記第2ネットワークの前記第1測定項目の測定値との差の絶対値である第1絶対値と、前記第1ネットワークの前記第2測定項目の測定値と前記第2ネットワークの前記第2測定項目の測定値との差の絶対値である第2絶対値を演算する演算手段と、
前記第1ネットワークの前記第1測定項目の測定値と前記第2ネットワークの前記第1測定項目の測定値との差の絶対値をX軸に対応させ、前記第1ネットワークの前記第2測定項目の測定値と前記第2ネットワークの前記第2測定項目の測定値との差の絶対値をY軸に対応させた散布図に、前記第1絶対値と前記第2絶対値に対応した点を描き、該点が描かれた前記散布図を表示手段に表示させる制御手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate