説明

評価装置および操作画面改善装置

【課題】緊急時や定型業務時の操作手順などの所定の操作手順を考慮して操作画面の操作性を評価できる評価装置を提供する。
【解決手段】この評価装置10は、複数の画面を階層的に切替表示する方式の操作画面を有する装置11に対して前記操作画面の操作性の評価を行うものであって、操作画面に対する所定の操作手順を規定したシナリオを格納したシナリオ格納装置4と、装置11に格納された複数の画面の画面データおよび装置11に格納され前記複数の画面に形成された各ボタン部が選択された際の遷移先の画面を設定した画面遷移情報により構成される操作画面に対し、シナリオ格納装置4に格納されたシナリオを実行した場合の操作コストを計算するシナリオ操作コスト計算装置6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画面を切替表示する方式の操作画面を有する装置において、前記操作画面の操作性の評価を行う評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
操作画面は、複数の画面を階層的に切替表示する方式のものと、複数の画面を同時に分割表示する方式のものとに大別される。前者は、後者に比べ、画面の広さを有効に活用できると共に特定の場面でのユーザの操作を制限できる等の利点があり、監視制御、Webアプリケーションおよび携帯電話などで幅広く用いられている。
【0003】
この様な操作画面の操作性の評価方法として、特許文献1,2の様に、ユーザの画面遷移の履歴等のログをもとに評価する方法や、特許文献3の様に、ユーザの主観的な評価を入力可能とし、その情報に基づき評価する方法が知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−51876号公報
【特許文献2】特開平8−161197号公報
【特許文献3】特開2004−13242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の評価方法は、ユーザによるばらつきや主観が大きいので、妥当な評価を得るためには、十分な数のユーザによる評価が必要である。
【0006】
また操作画面を改良する度に、再度、ユーザによる評価を実施する必要がある。
【0007】
また監視制御の分野では、緊急時や定型業務時の操作手順など、予め操作手順が決められているものが少なくない。そのため、上記の評価方法では、必ずしもこれらの操作手順を考慮して、操作画面の操作性を評価することができない。とりわけ、緊急時の操作手順の操作性は、監視対象となるシステムの経済的損失を最小にするため重要である。
【0008】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、第1に、緊急時や定型業務時の操作手順などの所定の操作手順を考慮して操作画面の操作性を評価できる評価装置を提供すること、第2に、ユーザによる評価を必要とせず、客観的に、操作画面の操作性を評価できる評価装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する為に、本発明の第1の形態は、複数の画面を切替表示する方式の操作画面を有する装置に対して前記操作画面の操作性の評価を行う評価装置であって、操作画面に対する所定の操作手順を規定したシナリオを格納したシナリオ格納装置と、前記装置の画面の画面データおよび前記装置の前記複数の画面に配置された各ボタン部が選択された際の遷移先の画面を設定した画面遷移情報により構成される操作画面に対し、前記シナリオ格納装置に格納されたシナリオを実行した場合の操作コストを計算するシナリオ操作コスト計算装置と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の形態によれば、操作画面に対して、所定の操作手順を規定したシナリオを実行した場合の操作コストを計算して、操作画面の操作性を評価するので、所定の操作手順を考慮した場合の操作性を評価できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
<全体構成>
この実施の形態に係る評価装置10は、図1の様に、複数の画面を階層的に切替表示する方式の操作画面を有する装置(例えば監視制御装置)11に対して前記操作画面の操作性を評価するものである。装置11は、画面格納装置1と、画面遷移格納装置2と、画面表示装置3とを備える。評価装置10は、シナリオ格納装置4と、シナリオ操作コスト計算装置5と、画面部品仮配置装置7と、部品配置判断装置8と、画面・画面遷移変更装置9とを備える。尚、この評価装置10は、前記操作画面を改善する操作画面改善装置にもなっている。
【0012】
画面格納装置1は、評価対象の操作画面を階層的に構成する複数の画面の画面データを格納する。画面遷移格納装置2は、上記の複数の画面の各ボタン部が選択された際の遷移先(切替表示先)の画面を設定した画面遷移情報を格納する。
【0013】
図2は、上記の複数の画面(例えばA,B,C,D)と、それら各画面の各ボタン部が選択された際の遷移先の画面の設定との一例を示したものである。例えば画面Aは、画面Bに遷移するボタン部b1と、画面Eに遷移するボタン部b2とを有している。同様に各画面B〜Eも、他の画面に遷移するボタン部b3〜b8を有している。矢印s1は、画面Aの表示状態で、画面Aのボタン部b1が選択されると、表示画面が画面Aから画面Bに遷移することを示している。他の矢印s2〜s9も同様である。
【0014】
操作画面が図2の様に構成される場合は、画面格納装置1には、各画面A〜Eの画面データが格納される。また画面遷移格納装置2には、上記の画面遷移情報として、各画面A〜Eの各ボタン部b1〜b9とその各ボタン部が選択された際の遷移先の画面を設定した情報(例えば画面Aのボタンb1が選択された際の遷移先は画面Bであることなど)の情報が格納される。
【0015】
画面表示装置3は、画面格納装置1に格納された画面を表示すると共に、所定の入力装置に入力されたユーザの操作と、画面遷移格納装置2に格納された画面遷移情報とに基づき表示画面を切替制御する。
【0016】
シナリオ格納装置4は、操作画面に対する所定の操作手順を簡略化して表現したシナリオの情報を格納する。
【0017】
上記のシナリオは、例えば図3の様に、先ず画面Aで、…をし、次に画面Cに遷移して画面Cで、…をし、次に画面Dに遷移して画面Dで、…をする、の様に操作手順を規定したものであり、例えば図9の様に、操作対象の画面A,C,Dとその各画面で実行すべき操作内容との対応関係が、操作順に上から順に設定されて構成されている。尚、上記の「…」には、当該画面で実行すべき所定の操作内容が入るが、便宜上「…」で略記されている。
【0018】
画面部品仮配置装置5は、評価対象の操作画面を階層的に構成する複数の画面の何れかの画面に、他の画面に画面遷移させるボタン部を仮配置するものである。例えば、画面部品仮配置装置5は、評価対象の操作画面に対して上記のシナリオを実行した場合に、そのシナリオの操作手順において、指定された画面に直接に遷移できない箇所を検出し、その箇所の遷移元の画面に、その指定された画面に直接に遷移するためのボタン部を仮配置する。
【0019】
シナリオ操作コスト計算装置6は、上記のボタン部が仮配置される前の操作画面に対して上記のシナリオを実行した場合の操作コストと、上記のボタン部が仮配置された後の操作画面に対して上記のシナリオを実行した場合の操作コストとを計算する。
【0020】
部品配置判断装置8は、シナリオ操作コスト計算装置5が計算した、上記のボタン部の仮配置前の操作画面に対する操作コストと、上記のボタン部の仮配置後の操作画面に対する操作コストとを比較し、その比較結果に基づき、仮配置したボタン部を実際に配置するか否かの判断を行う(例えば上記のボタン部の仮配置後の操作コストの方が小さい場合に上記のボタン部を実際に配置する旨の判断を行う)。
【0021】
画面・画面遷移変更装置9は、部品配置判断装置8が、仮配置したボタン部を実際に配置すると判断した場合に、画面格納装置1に格納された画面データおよび画面遷移格納装置2に格納された画面遷移情報をそれぞれ当該ボタン部を配置した場合のものに変更する。
【0022】
この評価装置10は、ハードウエア的には、図8の様に、CPU801と、出力装置802と、入力装置803と、外部記憶装置804と、主記憶装置805と、外部入出力装置806と備えて構成される。
【0023】
外部記憶装置804により、図1の画面格納装置1、画面遷移格納装置2およびシナリオ格納装置4が構成されている。またCPU801および主記憶装置805により、図1の画面遷移コスト計算装置5およびシナリオ操作コスト計算装置6が構成されている。また出力装置802により図1の画面表示装置3が構成されている。また入力装置830により上記の所定の入力装置が構成されている。
【0024】
入力装置830は、例えば、ユーザが、出力装置802から表示出力される操作画面を視認しながら、操作を入力するためのマウスやキーボード等である。外部入出力装置806は、ネットワーク等と接続して、外部から必要なデータ等の入出力を行うものである。
【0025】
<シナリオ操作コスト計算装置6の動作>
まず操作コストの定義および計算方法について説明する。
【0026】
操作コストは、一般的には、画面を遷移させない操作に関する操作コスト(以後、画面操作コストと呼ぶ)と、画面を遷移させる操作に関する操作コスト(画面遷移コスト)との和で表されるが、ここでは、画面遷移コストのみを考える。
【0027】
画面遷移コストは、表示画面において、他の画面への遷移を簡単に起こせるか否かを表す尺度である。画面の遷移が表示画面のボタン部(画面遷移用のボタン部)の選択により起こる場合は、そのボタン部が大きく目立つならば、画面遷移コストは低く、他に多数のボタン部が有る場合は、多数のボタン部の中から当該ボタン部を選び出す作業が必要となり、画面遷移コストは高くなる。
【0028】
その様な画面遷移コストの計算方法として、例えば、表示画面の各ボタン部がランダムに一回選択されたときのその事象の発生確率の情報量を画面遷移コストと見なして、その情報量の計算方法を用いることができる。
【0029】
即ち、発生確率Pの情報量QはQ=−logPで表されるので、表示画面上の各ボタン部は互いに等しい確率で選択されるとすれば、表示画面にN個のボタン部が有る場合は、各ボタン部が選択される確率PはP=1/Nとなり、その確率Pの情報量(即ち画面遷移コスト)Qは、Q=−log1/N=logNとなる。尚、下記の計算では、情報量の対数の底を2とする。
【0030】
そして操作コストは、実行されるシナリオ中で発生する全ての画面遷移コストの総和で与えられる。そして操作コストが小さいほど、そのシナリオに関しては、その操作画面の操作性は優れていることになる。
【0031】
例えば図2の操作画面に対して図3のシナリオを実行した場合の操作コストC1を計算すると、下記の様になる。即ち、各画面A,C,Dはそれぞれ2個(従ってN=2)のボタン部を有するので、各画面A〜Dで各ボタン部が選択される事象の情報量(即ち画面遷移コスト)Qは、Q=log2となる。
【0032】
画面Aから画面Cに遷移する際の画面遷移コストQA→Cは、画面A→画面B→画面Cの順に遷移する必要があるので、画面Aから画面Bに遷移する際の画面遷移コストQA→B(=log2)と、画面Bから画面Cに遷移する際の画面遷移コストQB→C(=log2)との和となり、QA→C=QA→B+QB→C=2log2となる。また画面Cから画面Dに遷移する際の画面遷移コストQC→Dは、QC→D=log2となる。従って、操作コストC1は、C1=QA→C+QC→D=3log2=3となる。
【0033】
また例えば図4の操作画面に対して図3のシナリオを実行した場合の操作コストC2を計算すると、下記の様になる。尚、図4の操作画面は、図2の操作画面の画面Aに、画面Cに直接に遷移するためのボタン部b10を追加したものである。
【0034】
即ち図4の操作画面では、画面Aは3個(従ってN=3)のボタン部を有するので、画面Aで各ボタン部が選択される事象の情報量(即ち画面遷移コスト)Qは、Q=log3となる。また画面B〜Dは2個(従ってN=2)のボタン部を有するので、各画面B〜Dで各ボタン部が選択される事象の情報量(即ち画面遷移コスト)Qは、Q=log2となる。従って操作コストC2は、C2=QA→C+QC→D=log3+log2=log3+log2=2.58となる。
【0035】
これらの結果から、図4の操作画面に対する操作コストC2の方が、図2の操作画面に対する操作コストC1よりも小さいので、図3のシナリオに関しては、図4の操作画面の方が、図2の操作画面よりも優れていることになる。
【0036】
上記の説明では、評価対象の操作画面に対して1つのシナリオを実行して操作コストを計算したが、互いに独立した複数のシナリオ(独立シナリオ)を実行して操作コストを計算する場合は、それら各シナリオを個別に実行した場合の個別の操作コストを計算し、それら各シナリオに対する個別の操作コストに、そのシナリオの重要度に応じて設定された重みを掛け、その重みを掛けた個別の操作コストを加算した合計が、評価対象の操作画面に当該複数のシナリオを実行した場合の操作コストになる。
【0037】
例えば、図2の操作画面に対して図3および図5のシナリオを実行した場合の操作コストC3を計算すると、下記の様になる。尚、図3および図5のシナリオは、共に重要度が同じで、共に重み1が設定されている。即ち、操作コストC3=(図2の操作画面に対して図3のシナリオを実行した場合の個別の操作コスト)×1+(図2の操作画面に対して図5のシナリオを実行した場合の個別の操作コスト)×1=(3log2)×1+(log2)×1=4となる。
【0038】
また図4の操作画面に対して図3および図5のシナリオを実行した場合の操作コストC5を計算すると、C5=(図4の操作画面に対して図3のシナリオを実行した場合の個別の操作コスト)×1+(図4の操作画面に対して図5のシナリオを実行した場合の個別の操作コスト)×1=(log3+log2)×1+(log3)×1=4.16となる。
【0039】
これらの結果から、図2の操作画面に対する操作コストC3の方が、図4の操作画面に対する操作コストC5よりも小さいので、図3および図5のシナリオに関しては、図2の操作画面の方が、図4の操作画面よりも優れていることになる。
【0040】
また上記の説明では、図3および図5のシナリオの各々の重みを共に1とした場合で説明したが、図3のシナリオの重みを3とし、図5のシナリオの重みを1とした場合は、操作コストC3は、C3=(3log2)×3+(log2)×1=10となり、操作コストC5は、C5=(log3+log2)×3+(log3)×1=9.32となる。
【0041】
これらの結果から、この場合は、図4の操作画面の方が、図2の操作画面よりも優れていることになる。
【0042】
この様に、どの操作画面が優れているかは、シナリオの重要度に応じて設定した重みの値にも依存する。発生確率、重要度および緊急度等を考慮して各シナリオの重要度に設定される重みの値を決定することで、実際の運用状況を反映して、操作画面の操作性を評価することができる。
【0043】
尚、上記の説明では、画面のボタン部がランダムに選択されたときのその事象の情報量を用いて画面遷移コストを計算したが、ボタン部の面積やハイライト表示などにより選択のし易さに差がある場合、例えば情報量に重みを掛けることで、これらの要素を情報量に反映させて、画面遷移コストを計算しても良い。
【0044】
また画面遷移コストの計算に、上記の様に、ボタン部の選択のし難さや画面遷移のし難さに対応した情報量を用いる代わりに、ボタン部の選択の易さや画面遷移のし易さを反映した値(一般的には、ボタン部がそのボタン部の形成された画面の中から選択される確率を反映した確率反映値)を用いても良い。
【0045】
次に、図6に基づき、シナリオ操作コスト計算装置6の動作(即ち、評価対象の操作画面に対して1つ以上のシナリオを実行した場合の操作コストCを計算する動作)を説明する。
【0046】
ステップT1で、これから計算する操作コストCの値をゼロにセットする。
【0047】
そしてステップT2で、n=1と設定して、ステップT3で、n(n=1)番目のシナリオに対する個別の操作コスト(以後、1番目の個別の操作コストと呼ぶ)を計算する前に、そのい1番目の個別の操作コストの値をゼロにセットする。
【0048】
そしてステップT4で、1番目のシナリオ中の全ての画面遷移コストを前述の様に計算して、1番目の個別の操作コストに加算する。
【0049】
そしてステップT5で、1番目のシナリオ中の全ての画面遷移コストを1番目の個別の操作コストに加算したかを判定する。そしてその判定の結果、全ての画面遷移コストを1番目の個別の操作コストに加算していない場合は、ステップTT4に戻り、他方、全ての画面遷移コストを1番目の個別の操作コストに加算した場合(即ち1番目の個別の操作コストが計算された場合)は、ステップT6に進む。
【0050】
ステップT6では、上記の計算された1番目の個別の操作コストに、そのシナリオの重要度の応じて設定された重みを掛け、その重みを掛けた1番目の個別の操作コストを操作コストCに加算する。
【0051】
そしてステップT7で、全てのシナリオに対する個別の操作コストを操作コストCに加算したかの判定を行う。そしてその判定の結果、全てのシナリオに対する個別の操作コストを操作コストCに加算していない場合は、ステップT8で、n→n+1の置換をしてステップT3に戻り、次のシナリオに対する個別の操作コストを計算する。他方、全てのシナリオに対する個別の操作コストを操作コストCに加算した場合(即ち操作コストCが計算された場合)は、ステップT9に進み、操作コストCを得る。
【0052】
この様にして評価対象の操作画面に対して1つ以上のシナリオを実行した場合の操作コストCを計算する。
【0053】
<全体動作>
次に図7に基づき、この評価装置10の動作を説明する。
【0054】
ステップU1で、シナリオ操作コスト計算装置6により、画面格納装置1から画面データが読み出され、画面遷移格納装置2から画面遷移情報が読み出され、シナリオ格納装置4からシナリオが読み出され、その読み出された画面データおよび画面遷移情報により構成される操作画面(評価対象の操作画面)に対して、その読み出されたシナリオが実行された場合の操作コストCが計算される。
【0055】
例えば上記の操作画面が図2の操作画面であり、上記のシナリオが図3および図5の複数のシナリオであり、図3のシナリオに設定された重みが3で、図5のシナリオに設定された重みが1の場合は、前述の通り、上記の操作コストCはC=10となる。
【0056】
そしてステップU2で、画面部品仮配置装置5により、上記の操作画面に対し、上記のシナリオの操作手順で指定された画面に直接に遷移できない箇所の検出が行われる。そして、上記のシナリオの操作手順で指定された画面に直接に遷移できない箇所が検出されない場合は、操作コストCの計算を終了し、他方、上記のシナリオの操作手順で指定された画面に直接に遷移できない箇所が検出された場合は、ステップU3に進む。
【0057】
ステップU3では、画面部品仮配置装置5により、上記の操作画面を階層的の構成する各画面のうち、上記の検出された箇所(直接に遷移できない箇所)の遷移元の画面に、上記の指定された画面に直接に遷移するためのボタン部が仮配置される。
【0058】
例えば、上記の操作画面が図2の操作画面の場合は、図3のシナリオの操作手順では、画面Aから、指定された画面Cに直接に遷移できないので、図4の様に、遷移元の画面Aに、画面Cに直接に遷移するためのボタン部b10が仮配置される。
【0059】
そしてステップU4で、シナリオ操作コスト計算装置6により、その仮配置後の操作画面に対して上記のシナリオが実行された場合の操作コストCaが計算される。
【0060】
ここでは、仮配置後の操作画面は図4の操作画面なので、図4の操作画面に対して図3および図5のシナリオを実行した場合の操作コストCaが計算され、その計算結果として、前述の通り、Ca=9.32が計算される。
【0061】
そしてステップU5で、部品配置判断装置8により、シナリオ操作コスト計算装置6により計算された、仮配置前の操作画面に対する操作コストCと、仮配置後の操作画面に対する操作コストCaとが比較され、その比較の結果に基づき、仮配置された当該ボタン部を実際に配置するか否かの判断が行われる。即ち、その比較の結果、仮配置後の操作画面に対する操作コストCaの方が小さい場合は、仮配置されたボタン部を実際に配置する旨の判断が行われ、他方、仮配置前の操作画面に対する操作コストCの方が小さい場合は、仮配置されたボタン部を実際に配置しない旨の判断が行われる。
【0062】
例えば前述の例では、図4の操作画面(仮配置後の操作画面)に対する操作コストCa=9.32の方が、図2の操作画面(仮配置前の操作画面)に対する操作コストC=10よりも小さいので、仮配置されたボタン部b10を実際に配置する旨の判断が行われる。
【0063】
そしてステップU5で、仮配置されたボタン部を実際に配置しない旨の判断が行われた場合は、ステップU6に進み、画面部品仮配置装置5により、上記の評価対象の操作画面に対し、上記の箇所以外に、上記のシナリオの操作手順で指定された画面に直接に遷移できない箇所が有るかの検出が行われる。そしてその検出の結果、上記の箇所以外にその様な箇所が無い場合は、操作コストCの計算を終了し、他方、上記の箇所以外にその様な箇所が有る場合は、ステップU3に進み、その検出された箇所に対して上記と同様の処理が行われる。
【0064】
他方、ステップU5で、仮配置されたボタン部を実際に配置する旨の判断が行われた場合は、ステップU7に進み、画面・画面遷移変更装置9により、画面格納装置1に格納された画面データおよび画面遷移格納装置2に格納された画面遷移情報がそれぞれ当該ボタン部を配置した場合のものに変更される。
【0065】
例えば前述の例では、画面格納装置1に格納された画面データおよび画面遷移格納装置2に格納された画面遷移情報がそれぞれ、図2の操作画面に対応するものから、図4の操作画面に対応するものに変更される。
【0066】
そしてその変更後、ステップU1に戻り、その変更された画面データおよび画面遷移情報により構成される操作画面を評価対象の操作画面として、上記と同様の処理が繰り返される。
【0067】
この様にして、評価対象の操作画面に対してシナリオを実行した場合の操作コストCを計算することで、評価対象の操作画面の操作性の評価を行い、更に、操作コストCがより小さくなる様にボタン部を配置することで、評価対象の操作画面を改良する。
【0068】
尚、上記の説明では、操作コストのより小さい操作画面を発見する方法として、シナリオの操作手順で指定された画面に直接遷移できない箇所を検出し、その箇所の遷移元の画面に、その指定された画面に直接遷移するためのボタン部を配置(追加)する方法を用いたが、その様に限定するものではない。例えば、操作画面を階層構成する各画面にランダムに他の画面に遷移するボタン部を追加、または各画面からランダムに他の画面に遷移するボタン部を削除する方法を用いても良い。
【0069】
<主な効果>
以上の様に構成された評価装置10によれば、操作画面に対して、所定の操作手順を規定したシナリオを実行した場合の操作コストCを計算して、操作画面の操作性を評価するので、所定の操作手順を考慮した場合の操作性を評価できる。
【0070】
また、操作画面の各ボタン部がそのボタン部の形成された画面の中から選択される確率を反映した確率反映値(ここではその確率の情報量)に基づき、操作コストCを計算するので、従来の様にユーザによる操作画面の実行を必要とせず、操作画面の操作性を客観的に評価できる。
【0071】
また操作コストCは、シナリオの実行中に画面遷移用の各ボタン部が選択される毎にそのボタン部が選択される確率の情報量を合計して計算されるので、簡単な計算で操作コストCを計算できる。
【0072】
また、シナリオが互いに独立した複数の独立シナリオである場合は、操作コストCは、各独立シナリオを個別に実行した場合の操作コスト(個別の操作コスト)に、その独立シナリオの重要度に応じて設定された重みを掛け、それら重みを掛けた個別の操作コストを合計して計算されるので、各独立シナリオの重要度を考慮して操作コストCを計算できる。
【0073】
また、操作画面を構成する複数の画面のうちの何れかの画面に対し、画面遷移させるボタン部を仮配置または仮削除し、そのボタン部の仮配置または仮削除の前の操作画面に対する操作コストと、そのボタン部の仮配置または仮削除の後の操作画面に対する操作コストとを比較し、その比較結果に応じて、その仮配置または仮削除されたボタン部を実施に配置または削除するか否かを判断し、そのボタン部を実際に配置または削除すると判断した場合に、画面格納装置に格納された画面データおよび画面遷移格納装置に格納された画面遷移情報を、そのボタン部を配置または削除した場合のものに変更するので、操作画面をより操作性の評価の高いものに改良できる。
【0074】
また画面部品仮配置装置5は、シナリオ中の操作手順で指定された画面に直接に遷移できない箇所を検出し、その箇所の当該遷移元の画面に対し、その指定された画面に直接遷移するためのボタン部を仮配置するので、高い確率で、操作画面をより操作性の高いものに改良できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】実施の形態1に係る評価装置の機能ブロック図である。
【図2】操作画面の一例図であって、その操作画面を階層的に構成する各画面と、それら各画面の遷移先の画面との関係を示した図である。
【図3】操作手順を簡略化して表現したシナリオの一例を示した図である。
【図4】操作画面の他の一例図であって、その操作画面を階層的に構成する各画面と、それら各画面の遷移先の画面との関係を示した図である。
【図5】操作手順を簡略化して表現したシナリオの他の一例を示した図である。
【図6】図1のシナリオ操作コスト計算装置の動作を説明する図である。
【図7】実施の形態1に係る評価装置の動作を説明する図である。
【図8】実施の形態1に係る評価装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図9】図3のシナリオのシナリオ格納装置4に格納する際のフォーマットの一例を示した図である。
【符号の説明】
【0076】
1 画面格納装置、2 画面遷移格納装置、3 画面表示装置、4 シナリオ格納装置、5 画面部品仮配置装置、6 シナリオ操作コスト計算装置、8 部品配置判断装置、9 画面・画面遷移変更装置、10 評価装置、11 装置、801 CPU、802 出力装置、803 入力装置、804 外部記憶装置、805 主記憶装置、806 外部入出力装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画面を切替表示する方式の操作画面を有する装置に対して前記操作画面の操作性の評価を行う評価装置であって、
操作画面に対する所定の操作手順を規定したシナリオを格納したシナリオ格納装置と、
前記装置の画面の画面データおよび前記装置の前記複数の画面に配置された各ボタン部が選択された際の遷移先の画面を設定した画面遷移情報により構成される操作画面に対し、前記シナリオ格納装置に格納されたシナリオを実行した場合の操作コストを計算するシナリオ操作コスト計算装置と、
を備えることを特徴とする評価装置。
【請求項2】
前記シナリオ操作コスト計算装置は、前記各ボタン部がそのボタン部の形成された画面の中から選択される確率を反映した確率反映値に基づき、前記操作コストを計算することを特徴とする請求項1に記載の評価装置。
【請求項3】
前記確率反映値は、前記各ボタン部がそのボタン部の形成された画面の中から選択される確率の情報量であり、
前記操作コストは、前記シナリオの実行中に前記各ボタン部が選択される毎にそのボタン部が選択される確率の情報量を合計して計算されることを特徴とする請求項2に記載の評価装置。
【請求項4】
前記シナリオが互いに独立した複数の独立シナリオである場合は、前記操作コストは、前記各独立シナリオを個別に実行した場合の前記操作コストに、その独立シナリオの重要度に応じて設定された重みを掛け、それら重みを掛けた操作コストを合計して計算されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の評価装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の評価装置を用いた操作画面改善装置であって、
前記操作画面を構成する前記複数の画面のうちの何れかの画面に対し、画面遷移させるボタン部を仮配置または仮削除する画面部品仮配置装置を備え、
前記シナリオ操作コスト計算装置は、前記画面部品仮配置装置により前記ボタン部が仮配置または仮削除された前記操作画面に対して前記シナリオを実行した場合の前記操作コストを更に計算し、
前記シナリオ操作コスト計算装置により計算された、前記ボタン部の仮配置または仮削除の前の前記操作画面に対する前記操作コストと、前記ボタン部の仮配置または仮削除の後の前記操作画面に対する前記操作コストとを比較し、その比較結果に応じて、仮配置または仮削除された前記ボタン部を実施に配置または削除するか否かを判断する部品配置判断装置と、
前記部品配置判断装置が前記ボタン部を実際に配置または削除すると判断した場合に、前記装置の前記画面データおよび前記装置の前記画面遷移情報を、前記ボタン部を配置または削除した場合のものに変更する画面・画面遷移変更装置と、
を更に備えることを特徴とする操作画面改善装置。
【請求項6】
前記画面部品仮配置装置は、前記シナリオ中の操作手順で指定された画面に直接に遷移できない箇所を検出し、その箇所の当該遷移元の画面に対し、前記指定された画面に直接遷移するためのボタン部を仮配置することを特徴とする請求項5に記載の操作画面改善装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−259064(P2009−259064A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108482(P2008−108482)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】