説明

試料受けパッドと試験帯片との間の流体運動を制御するための試料パッドシステム

試料受けパッドと試験帯片との間の流体流の運動を制御するためのシステムに関する。本システムは、狭幅部分によって区分された第1部分および第2部分を有する試料受けパッドと、試料受けパッドの第1部分に接する吸収パッドと、試料受けパッドの第2部分に接する試験帯片と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験機器内の流体流制御システムに関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明は、試料受けパッドと試験帯片との間の流体流の運動を制御するシステムであって、狭幅部分によって区分された第1部分および第2部分を有する試料受けパッドと、試料受けパッドの第1部分に接する吸収パッドと、試料受けパッドの第2部分に接する試験帯片と、を備えるシステムを提供している。
【0003】
本発明は、2005年5月4日に「流体検体計に用いられる試験帯片の流体制御機構を有する機械的カートリッジ」の表題で出願された米国特許出願第11/121,972号に示されるシステムに新規の特許され得る改良をもたらすものである。従って、本願は、米国特許出願第11/121,972号に関連しているが、該米国特許出願の優先権を主張するものではない。
【0004】
種々の態様では、吸収パッドは、試料受けパッドの第1部分に重なって接するようにされている。例えば、吸収パッドは、試料受けパッドの第1部分の上(または下)に配置されるとよい。試験帯片の端は、試料受けパッドの第2部分に重なるようにされるとよい。
【0005】
種々の態様では、試料受けパッド、吸収パッド、および試験帯片は、全て、カートリッジ内に配置され、カートリッジは、試料受けパッドの第2部分の上方に位置する試料受け孔を有している。
【0006】
種々の態様では、試料受けパッドの第2部分は、試料受けパッドの第1部分と第2部分とを区分する試料受けパッドの狭幅部分に隣接して、内方に湾曲した後縁を有している。
【0007】
種々の態様では、カートリッジは、試料受けパッドを圧縮する挟圧壁を備えている。挟圧壁は、任意選択的に、試料受けパッドの試料受け部分を、試験帯片から離れて位置する試料受けパッドの一部から仕切る第1壁部と、試料受けパッドの試料受け部分を、試験帯片に隣接して位置する試料受けパッドの一部から仕切る第2壁部と、を備え、挟圧壁の第2壁部は、第1壁部よりも弱く、試料受けパッドを圧縮するように構成される。
【0008】
種々の態様では、挟圧壁の第1壁部および第2壁部は、相互に連続して試料受けパッドの試料受け部分を連続的に包囲するように構成される。挟圧壁は、好ましくは、試料受けパッド上に受け取られた流体が、試料受けパッドの試料受け部分から、試験帯片に隣接して位置する試料受けパッドの一部内に流れる傾向が優先的になり、試料受けパッドの試料受け部分から、試験帯片から離れて位置する試料受けパッドの一部に、より少なく流れるように、試料受けパッドを圧縮するように構成される。
【0009】
任意選択的な態様では、挟圧壁の第1壁部は、試料受けパッドの高さの60%〜90%を圧縮し、挟圧壁の第2壁部は、試料受けパッドの高さの2%〜30%を圧縮するように構成される。他の任意選択的な態様では、挟圧壁の第1壁部は、試料受けパッドの高さの70%〜80%を圧縮し、挟圧壁の第2壁部は、試料受けパッドの高さの5%〜15%を圧縮するように構成される。
【0010】
任意選択的な態様では、挟圧壁の第1壁部は、流体が吸収パッド内に流れるのを可能にするために、吸収パッドに隣接する切欠を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】米国特許出願第11/121,972号に見られるようなシステムの分解斜視図である。
【図2】図1の設計に対してなされた新規の変更を示す、本発明の分解斜視図である。
【図3】米国特許出願第11/121,972号に見られるようなシステムのカートリッジ上部の下面を示す分解斜視図である。
【図4】図3の設計に対してなされた新規の変更を示す、本発明のカートリッジ上部の下面を示す分解斜視図である。
【図5】米国特許出願第11/121,972号に見られるようなシステムのカートリッジ下部の上面を示す分解斜視図である。
【図6】図5の設計に対してなされた新規の変更を示す、本発明のカートリッジ下部の上面を示す分解斜視図である。
【図7】本発明に係る斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
米国特許出願第11/121,972号に記載されるようなシステムの実施形態が、図1,3,5に示されている。本発明に含まれる特許性され得る新規の改良が、図2,4,6,7に示されている。
【0013】
図1は、カートリッジ上部40およびカートリッジ下部20を有するシステム30を示している。1つまたは複数の試料受けパッド32が、カートリッジ上部40の試料受け孔44の下方に配置されている。
【0014】
図2は、試料受けパッドと試験帯片との間の流体流の運動を制御するシステム30Aが設けられている本発明を示している。このシステムは、狭幅部分55によって区分された第1部分52および第2部分54を有する試料受けパッド50を備えている。吸収パッド60が、試料受けパッド50の第1部分52に接触している。1つ(または複数)の試験帯片34が、図示されるように、試料受けパッド50の第2部分54に接触している。一実施形態では、1つ(または複数)の試験帯片34は、試料受けパッド50の第2部分54に重なっている。
【0015】
好ましくは、吸収パッド60は、試料受けパッド50の第1部分52に重なって接触している。例えば、吸収パッド60は、試料受けパッド50の第1部分52の上に配置されているとよい。試料受けパッド50、吸収パッド60、および1つ(または複数)の試験帯片34は、全て、図示されるように、カートリッジ内に配置されている。
【0016】
任意選択的な態様では、試料受けパッド50の第2部分54は、第1部分52と第2部分54とを区分する試料受けパッド50の狭幅部分55に隣接して、内方に湾曲した後縁57を有している。
【0017】
図3は、米国特許出願第11/121,972号に見られるようなシステムのカートリッジ上部40の下面を示している。(第1壁部45Aおよび第2壁部45Bを備える)挟圧壁45が設けられている。
【0018】
図4は、本発明を示している。ここでも、カートリッジ40Aは、(第1壁部45Aおよび第2壁部45Bを備える)挟圧壁45を有している。図3に示される実施形態と同様、挟圧壁45は、試料受けパッド50を圧縮するように構成されている。加えて、挟圧壁45は、試料受けパッド50の試料受け部を、1つ(または複数)の試験帯片34から離れて位置する試料受けパッド50の一部から仕切る第1壁部45Aと、試料受けパッド50の試料受け部を、1つ(または複数)の試験帯片34に隣接して位置する試料受けパッド50の一部から仕切る第2壁部45Bと、を備え、挟圧壁の第2壁部45Bは、第1壁部45Aよりも弱く、試料受けパッド50を圧縮するように構成されている。
【0019】
従って、挟圧壁45は、試料受けパッド50上に受け取られた流体が、試料受けパッドの試料受け部分から、1つ(または複数)の試験帯片34に隣接して位置する試料受けパッドの一部内に流れる傾向が優先的になり、試料受けパッド50の試料受け部分から、1つ(または複数)の試験帯片34から離れて位置する試料受けパッドの一部に、より少なく流れるように、試料受けパッド50を圧縮することになる。
【0020】
任意選択的な態様では、挟圧壁の第1壁部45Aは、試料受けパッド50の高さの60%〜90%を圧縮し、挟圧壁の第2壁部45Bは、試料受けパッドの高さの2%〜30%を圧縮するように構成されている。他の任意選択的な態様では、挟圧壁の第1壁部45Aは、試料受けパッド50の高さの70%〜80%を圧縮し、挟圧壁の第2壁部45Bは、試料受けパッド50の高さの5%〜15%を圧縮するように構成されている。
【0021】
本発明によれば、挟圧壁部分45Aは、切欠47を備えている。この切欠47によって、流体は、吸収パッド60内に直接流れることが可能になる。従って、第2部分54の上にあるどのような過剰な流体試料も、吸収パッド60内に直接吸収されることが可能である。本発明のこの特徴は、試験帯片34に溢流が生じないことを確実にするのに役立つ。従って、(装置の溢流限界を大きくすることによって)、過剰な量の試料を十分に取り扱うことができる。
【0022】
図4から分かるように、吸収パッド60を適所に保持するために、任意選択的な芯パッド(wick pad)圧縮凹み49が用いられてもよい。
【0023】
図5は、米国特許出願第11/121,972号に示されるようなシステムのカートリッジ下部20の上面を示している。図6は、吸収パッド60を適所に保持するのに用いられる芯パッド位置決め壁61および試料パッド位置決めピン62を備える本発明の任意選択的な機構を示している。また、隆起した試料パッド床63も含まれている。隆起した試料パッド床63は、有利には、(1つ(または複数)の試験帯片に溢流を生じさせることなく)、わずかな量の流体が本発明に用いられることを可能にする。また、1つ(または複数)の試験帯片34を位置決めする帯片斜面64も含まれている。
【0024】
最後に、図7は、組み立てられたシステム30Aの斜視図を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料受けパッドと試験帯片との間の流体流の運動を制御するためのシステムであって、
狭幅部分によって区分された第1部分および第2部分を有する試料受けパッドと、
前記試料受けパッドの前記第1部分に接する吸収パッドと、
前記試料受けパッドの前記第2部分に接する試験帯片と、
を備える、システム。
【請求項2】
前記吸収パッドは、前記試料受けパッドの前記第1部分に重なって接する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記吸収パッドは、前記試料受けパッドの前記第1部分の上に配置される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記試料受けパッド、前記吸収パッド、および前記試験帯片は、全て、カートリッジ内に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記カートリッジは、前記試料受けパッドの前記第2部分の上方に位置する試料受け孔を有する本体を備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記試験帯片の端が、前記試料受けパッドの前記第2部分に重なる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記試料受けパッドの前記第2部分は、前記第1部分と前記第2部分とを区分する前記試料受けパッドの前記狭幅部分に隣接して、内方に湾曲した後縁を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記試料受けパッドの前記第2部分に接する第2の試験帯片をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記カートリッジは、前記試料受けパッドを圧縮する挟圧壁を備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項10】
前記挟圧壁は、
前記試料受けパッドの試料受け部分を、前記試験帯片から離れて位置する前記試料受けパッドの一部から仕切る第1壁部と、
前記試料受けパッドの前記試料受け部分を、前記試験帯片に隣接して位置する前記試料受けパッドの一部から仕切る第2壁部と、
を備え、
前記挟圧壁の前記第2壁部は、前記第1壁部よりも弱く、前記試料受けパッドを圧縮するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記挟圧壁の前記第1壁部および前記第2壁部は、相互に連続して前記試料受けパッドの前記試料受け部分を包囲するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記挟圧壁は、前記試料受けパッド上に受け取られた流体が、前記試料受けパッドの前記試料受け部分から、前記試験帯片に隣接して位置する前記試料受けパッドの前記一部内に流れる傾向が優先的になり、前記試料受けパッドの前記試料受け部分から、前記試験帯片から離れて位置する前記試料受けパッドの前記一部に、より少なく流れるように、前記試料受けパッドを圧縮するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記挟圧壁の前記第1壁部は、前記試料受けパッドの高さの60%〜90%を圧縮し、前記挟圧壁の前記第2壁部は、前記試料受けパッドの高さの2%〜30%を圧縮するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記挟圧壁の前記第1壁部は、前記試料受けパッドの高さの70%〜80%を圧縮し、前記挟圧壁の前記第2壁部は、前記試料受けパッドの高さの5%〜15%を圧縮するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記挟圧壁の前記第1壁部は、流体が前記吸収パッド内に流れるのを可能にするために、前記吸収パッドに隣接する切欠を備える、請求項10に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−540294(P2009−540294A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514354(P2009−514354)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/013307
【国際公開番号】WO2007/145988
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(506373114)バイエル・ヘルスケア・リミテッド・ライアビリティー・カンパニー (3)
【Fターム(参考)】