説明

試薬シート体

【課題】被検査者が検査結果を手軽に確認することができながらも詳細な検査を被検査者の手間をかけずに行う。
【解決手段】第1シート部10aと第2シート部10bとを、折り部30を介して折り畳まれた場合に周囲に塗布された粘着剤40によって剥離可能に互いに貼着されるように構成し、第1シート部10aの第2シート部10bとの貼着面に試薬部20を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試薬を用いた検査に用いられる試薬シート体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、病院等の医療機関において、病気の診療や検査等のために血液や尿等の検体を採取することが行われている。このように採取された検体は検体容器に収容され、検体の検査を行う検査機関に送られ、検査機関にて検体の検査が行われることになる。
【0003】
近年においては、検体として唾液を用いて検査を行う検査用具が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。唾液を用いた検査は、血液や尿を用いた検査と比べて容易にかつ抵抗なく検体を採取できることから、被検査者が医療機関や検査機関によらずに自分で手軽に検査することができる。そのため、このような唾液を用いた検査用具は、今後様々な種類の検査を対象としたものが普及していく可能性がある。
【0004】
唾液を用いた検査用具によって検査を行う場合は、被検査者の唾液を検査用具の所定の領域に付着させ、検査用具の反応を見ることにより検査を行うことになる。
【特許文献1】特開2000−329763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような検査用具は、例えば、唾液を付着させた際の試薬による色の変化によって検査結果を示すものであるため、陽性/陰性の判断程度しかすることができず、陽性であった場合、さらに詳細な検査を行うためには医療機関や検査機関に出向かなければならず、被検査者にとって手間がかかってしまうという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、被検査者が検査結果を手軽に確認することができながらも詳細な検査を被検査者の手間をかけずに行うことができる試薬シート体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、
剥離可能に互いに貼着される第1及び第2のシート基材と、
前記第1のシート基材と前記第2のシート基材の少なくともいずれか一方の貼着面に設けられた試薬部とを有する。
【0008】
上記のように構成された本発明においては、被検査者は試薬部に検体を付着させて検査を行い、その後さらに詳細な検査を行う場合は、第1のシート基材と第2のシート基材とを貼着させて検査機関等に送付する。この際、試薬部は第1のシート基材と第2のシート基材との貼着面に設けられているため、被検査者が行った検査結果は外部から隠蔽された状態となっている。検査機関等に試薬シート体が届けられると、第1のシート基材と第2のシート基材とが剥離され、試薬部に付着している検体を用いて詳細な検査が行われることになる。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明においては、剥離可能に互いに貼着される第1及び第2のシート基材と、第1のシート基材と第2のシート基材の少なくともいずれか一方の貼着面に設けられた試薬部とを有する構成としたため、被検査者が検査を行う場合は、試薬部に検体を付着させて検査を行い、その後さらに詳細な検査を行う場合は、第1のシート基材と第2のシート基材とを貼着させて検査機関等に送付するだけで、検査機関等において、第1のシート基材と第2のシート基材とが剥離され、試薬部に付着している検体を用いて詳細な検査が行われることになり、それにより、被検査者が検査結果を手軽に確認することができながらも詳細な検査を被検査者の手間をかけずに行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の試薬シート体の第1の実施の形態を示す図であり、(a)は折り畳み状態内側となる面を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は折り部30を介して折り畳んだ状態を示す図である。
【0012】
本形態は図1に示すように、第1のシート基材となる第1シート部10aと第2のシート基材となる第2シート部10bとが折り部30を介して折り畳み可能に連接し、第1シート部10a及び第2シート部20bそれぞれの4辺のうち折り部30に沿わない3辺に沿う領域に、貼着後の剥離が可能な粘着剤40が塗布されて構成されている。なお、折り部30は、筋押し加工による折り線やミシン目等によって形成することが考えられる。
【0013】
第1シート部10aは、折り畳み状態内側となる面のうち粘着剤40が塗布されていない領域に、検体となる唾液を吸収可能な紙等の吸湿部材に検査用の試薬が浸透した試薬部20と、検査情報を記入するための情報記入領域11が設けられている。試薬部20の試薬は、例えば、検査種別に応じてその検査結果に基づいて色が変化するものが用いられる。
【0014】
以下に、上記のように構成された試薬シート体の使用方法について説明する。なお、本形態においては、試薬部20の吸湿部材に浸透した試薬として、検査結果が陽性であれば発色し、陰性であれば発色しないものを用いることとする。
【0015】
検査を実施したい被検査者は、図1に示した試薬シート体を取得し、唾液を試薬部20に付着させる。なお、試薬部20は、唾液を滴下することにより付着させる場合に唾液を滴下しやすいようにくぼみを有するものであれば好ましい。また、試薬部20の吸湿部材に浸透した試薬は、その種類によっては外気に長時間触れていると、唾液が付着した際に反応の程度が低下してしまうものがあるため、そのような試薬を用いたものにおいては、被検査者が唾液を試薬部20に付着させる前の状態においては、フィルム等で覆うことにより試薬部20を外気に触れないようにしておくことが好ましい。
【0016】
被検査者が唾液を試薬部20に付着させてから所定時間が経過すると、検査結果が陽性であれば試薬部20が発色し、陰性であれば試薬部20が発色しない。なお、被検査者がこの時間を計る目安として、試薬部20にコントロールラインを設けることが考えられる。コントロールラインとは、試薬部20に唾液が付着してから、試薬が反応するまでの時間が経過した場合に、検査結果が陽性/陰性のいずれの場合でも発色するものであって、被検査者はこのコントロールラインが発色したことで、検査時間が経過したことを認識することができる。
【0017】
このようにして、被検査者は、試薬部20の反応によって検査結果の概略(陽性/陰性)を容易に知ることができる。
【0018】
試薬部20の試薬が反応して発色した場合、すなわち、検査結果が陽性であった場合であって、その後、被検査者がさらなる詳細な検査を希望する場合は、被検査者は情報記入領域11に、検査日時や氏名、年齢等の必要事項を記入し、この試薬部20及び情報記入領域11が設けられた面が内側となるように折り部30を介して第1シート部10aと第2シート部10bとを折り畳み、粘着剤40によって第1シート部10aと第2シート部10bとを剥離可能に貼着する。
【0019】
試薬部20及び情報記入領域11が設けられた面が内側となるように折り部30を介して第1シート部10aと第2シート部10bとを折り畳むと、図1(c)に示すように、第2シート部10bに印字された宛先情報12が表出した状態となり、この試薬シート体は、この宛先情報12に従って検査機関に送付されることになる。
【0020】
この際、試薬部20が、第1シート部10aの第2シート部10bとの貼着面に設けられているため、試薬部20における検査結果が試薬シート体の送付途中において外部から見られてしまうことがない。また、同様に、情報記入領域11が第1シート部10aの第2シート部10bとの貼着面に設けられているため、検査情報となる検査日時や被検査者の氏名、年齢等においても試薬シート体の送付途中において外部から見られてしまうことがない。
【0021】
検査機関においては、この試薬シート体が届けられると、第1シート部10aと第2シート部10bとが剥離される。第1シート部10aと第2シート部10bとは、貼着後の剥離が可能な粘着剤40によって貼着されているため、第1シート部10aと第2シート部10bとを剥離することができる。
【0022】
第1シート部10aと第2シート部10bとが剥離されると、第1シート部10aに設けられた試薬部20が表出する。試薬部20には、吸湿部材に検体となる唾液が吸収されているため、この唾液を試薬部20から採取して詳細な検査が行われることになる。
【0023】
このように、試薬部20が反応することにより示された検査結果に応じてさらに詳細な検査を行う場合は、被検査者は、第1シート部10aと第2シート部10bとを貼着させて検査機関に送付するだけで、検査機関において、試薬部20に付着している検体を用いて詳細な検査が行われることになる。
【0024】
なお、上述したような詳細な検査を行うために試薬シート体を被検査者が自ら検査機関に送付するのではなく、被検査者が試薬シート体の配布元に提出し、試薬シート体の配布元から検査機関に送付することも考えられる。また、被検査者が試薬シート体の購入先に試薬シート体を提出し、試薬シート体の購入先において、検査機関に試薬シート体を送付したり、試薬シート体を用いた検査を行ったりすることも考えられる。
【0025】
また、シート基材10の試薬部20が設けられた領域の表裏の少なくともいずれか一方や、折り部30を介してシート基材10が折り畳まれた場合に試薬部20に対向する領域の表裏の少なくともいずれか一方に濃色の印刷を施しておけば、試薬シート体の送付途中において、試薬部20における検査結果がシート基材10を透かすことにより見られてしまうことがなくなるとともに、この印刷を遮光性を有するように施せば、試薬部20や試薬部20に付着した唾液が変色、変化してしまうことを回避することができる。また、印刷ではなく、濃色のフィルムを貼着しておく構成とすれば、上記効果に加えて試薬部20や試薬部20に付着した唾液が外気に触れることがなく、試薬部20の色が外気によって変化してしまったり、試薬部20に付着した唾液が乾燥してしまったりすることを防ぐことができる。
【0026】
また、本形態においては、シート基材10の周縁部に沿うように粘着剤40が塗布されており、この粘着剤40によって第1シート部10aと第2シート部10bとが貼着されているが、第2シート部10bに、表面に強粘着剤が塗布された2層構造の擬似接着フィルムを貼着しておき、試薬部20に唾液を滴下した後に、2層構造の擬似接着フィルムによって第1シート部10aと第2シート部10bとを貼着することによって試薬部20を2層構造の擬似接着フィルムで覆い、その後この試薬シート体の送付先にて、擬似接着フィルムを剥離して隠蔽状態を解除することも考えられる。なお、上述した有色の遮光フィルムと合わせれば、試薬部20及び試薬部20に付着した唾液の乾燥を抑制しながら、覗き見を防ぐことができる。
【0027】
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の試薬シート体の第2の実施の形態を示す図であり、(a)は折り畳み状態内側となる面を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)はミシン目130を介して折り畳んだ状態を示す図である。
【0028】
本形態は図2に示すように、第1のシート基材となる第1シート部110aと第2のシート基材となる第2シート部110bとが折り部となるミシン目130を介して折り畳み可能に連接し、第1シート部110a及び第2シート部110bそれぞれの4辺のうちミシン目130に沿わない3辺に沿う領域に、貼着後の剥離が可能な粘着剤140が塗布されて構成されている。
【0029】
また、第1シート部110a及び第2シート部110bに跨るように、検体となる唾液を吸収可能な吸湿部材に検査用の試薬が浸透した試薬部120が設けられている。この試薬部120は、第1シート部110a及び第2シート部110bに跨るようにシート基材110上に設けられた接着構造によってシート基材110に貼着されている。この接着構造は、この試薬シート体がミシン目130を介して折り畳まれた場合に内側となる面上に、接着力の強い粘着剤121bによってポリエチレンやポリエステル等の合成樹脂からなる透明フィルム122bが剥離不能に貼着され、この透明フィルム122b上には、同じくポリエチレンやポリエステル等の合成樹脂からなる透明フィルム122aが、不完全な溶着、あるいは接着力の弱い粘着剤等の適宜な手段によって剥離可能に貼着され、さらに透明フィルム122a上には、接着力の強い透明な粘着剤121aが塗布されて構成されている。そして、粘着剤121aによって透明フィルム122a上に試薬部120が貼着されている。なお、試薬部120の形状はこの接着構造の形状よりも小さく、それにより、粘着剤120aの一部が試薬部120の周囲にて露出した状態となっている。また、折り部となるミシン目130は、この接着構造のうち、粘着剤121b及び透明フィルム122bまで形成されている。また、試薬部120の試薬は、例えば、検査種別に応じてその検査結果に基づいて色が変化するものが用いられる。
【0030】
第1シート部110aには、粘着剤140が塗布されていない領域に、検査情報を記入するための情報記入領域111が設けられている。
【0031】
以下に、上記のように構成された試薬シート体の使用方法について説明する。なお、本形態においては、試薬部120の吸湿部材に浸透した試薬として、検査結果が陽性であれば発色し、陰性であれば発色しないものを用いることとする。
【0032】
検査を実施したい被検査者は、図2に示した試薬シート体を取得し、唾液を試薬部120に付着させる。なお、試薬部120は、唾液を滴下することにより付着させる場合に体液を滴下しやすいようにくぼみを有するものであれば好ましい。また、試薬部120の吸湿部材に浸透した試薬は、その種類によっては外気に長時間触れていると、唾液が付着した場合に反応の程度が低下してしまうものがあるため、そのような試薬を用いたものにおいては、被検査者が唾液を試薬部120に付着させる前の状態においては、フィルム等で覆うことにより外気に触れないようにしておくことが好ましい。また、粘着剤120aの一部が試薬部120の周囲にて露出した状態となっているが、この状態では、粘着剤120aの露出した部分が乾燥してしまったり、無関係な物が付着してしまったりするため、粘着剤120aの露出した部分に剥離紙を貼着しておくことが好ましい。
【0033】
被検査者が唾液を試薬部120に付着させてから所定時間が経過すると、検査結果が陽性であれば試薬部120が発色し、陰性であれば試薬部120が発色しない。なお、被検査者がこの時間を計る目安として、試薬部120にコントロールラインを設けることが考えられる。コントロールラインとは、試薬部120に唾液が付着してから、試薬が反応するまでの時間が経過した場合に、検査結果が陽性/陰性のいずれの場合でも発色するものであって、被検査者はこのコントロールラインが発色したことで、検査時間が経過したことを認識することができる。
【0034】
このようにして、被検査者は、試薬部120の反応によって検査結果の概略(陽性/陰性)を容易に知ることができる。
【0035】
試薬部120の試薬が反応して発色した場合、すなわち、検査結果が陽性であった場合であって、その後、被検査者がさらなる詳細な検査を希望する場合は、被検査者は情報記入領域111に、検査日時や氏名、年齢等の必要事項を記入し、この試薬部120及び情報記入領域111が設けられた面が内側となるようにミシン目130を介して第1シート部110aと第2シート部110bとを折り畳み、粘着剤140によって第1シート部110aと第2シート部110bとを剥離可能に貼着する。またこの際、試薬部120においては、試薬部120から露出した粘着剤121aによって、接着構造の第1シート部110aの領域と接着構造の第2シート部110bの領域とが剥離困難に貼着されることになる。これにより、試薬部120は、透明フィルム122a,122bによって覆われた状態となる。なお、本明細書でいう剥離困難とは、人間の手によって基材を剥離した場合に、基材自体が裂かれたり厚み方向に分割されたりする程度に強接着されていることである。
【0036】
そして、試薬部120及び情報記入領域111が設けられた面が内側となるようにミシン目130を介して第1シート部110aと第2シート部110bとを折り畳むと、図2(c)に示すように、第2シート部110bに印字された宛先情報112が表出した状態となり、この試薬シート体は、この宛先情報112に従って検査機関に送付されることになる。
【0037】
この際、試薬部120が、第1シート部110aの第2シート部110bとの貼着面に設けられているため、試薬部120における検査結果が試薬シート体の送付途中において外部から見られてしまうことがない。また、同様に、情報記入領域111が第1シート部110aの第2シート部110bとの貼着面に設けられているため、検査情報となる検査日時や被検査者の氏名、年齢等においても試薬シート体の送付途中において外部から見られてしまうことがない。さらに、本形態においては、試薬部120が透明フィルム122a,122bによって覆われて粘着剤121aによって密閉された状態となっているため、試薬部120に付着した唾液や試薬が外気に触れることがなく、試薬部120の色が外気によって変化してしまったり、試薬部120に付着した唾液が乾燥してしまったりすることを防ぐことができる。
【0038】
検査機関においては、この試薬シート体が届けられると、ミシン目130のうち、接着構造が設けられた領域が破断される。
【0039】
図3は、図2に示した試薬シート体のミシン目130が破断される状態を説明するための断面図であり、(a)は破断前の状態を示す図、(b)は破断後の状態を示す図である。
【0040】
試薬部120及び情報記入領域111が設けられた面が内側となるようにミシン目130を介して第1シート部110aと第2シート部110bとが折り畳まれた状態においては、図3(a)に示すように、接着構造の第1シート部110aの領域と接着構造の第2シート部110bの領域とが貼着され、試薬部120が透明フィルム122a,122bによって覆われた状態となっている。
【0041】
この状態からミシン目130の接着構造が設けられた領域を破断すると、図3(b)に示すように、ミシン目130によってシート基材110及び透明フィルム122bが破断し、剥離可能に接着された透明フィルム122aと透明フィルム122bとが離反し、透明フィルム122bが粘着剤121bによってシート基材110に残り、また、透明フィルム122aが粘着剤121aによって試薬部120に貼着された状態でシート基材110から剥離される。
【0042】
そして、シート基材110から透明フィルム122aとともに剥離された試薬部120が、図3(c)に示すような状態で取り出される。シート基材110から透明フィルム122aとともに剥離された試薬部120は、透明フィルム122aによって覆われて粘着剤121aによって密閉された状態となっているため、試薬部120に付着した唾液や試薬が外気に触れることがなく、試薬部120の色が外気によって変化してしまったり、試薬部120に付着した唾液が乾燥してしまったりすることを防ぐことができる。また、試薬部120が透明フィルム122aを介して外部から視認可能となっているため、試薬部120を透明フィルム122aから取り出さない状態においても、試薬部120の状態を認識することができる。
【0043】
その後、透明フィルム122aから試薬部120が取り出され、試薬部120の吸湿部材に吸収された唾液が採取され、この唾液を用いて詳細な検査が行われることになる。
【0044】
このように、試薬部120が反応することにより示された検査結果に応じてさらに詳細な検査を行う場合は、被検査者は、第1シート部110aと第2シート部110bとを貼着させて検査機関に送付するだけで、検査機関において、試薬部120に付着している唾液を用いて詳細な検査が行われることになる。
【0045】
なお、本形態においては、折り部としてミシン目130を設け、このミシン目を接着構造の透明フィルム122bまで形成しておくことにより折り部側から2層の透明フィルム122a,122bを離反させて試薬部120を取り出す構成としたが、その反対側から2層の透明フィルム122a,122bを離反させて試薬部120を取り出す構成とすることも考えられる。その場合、まず、第1シート部110aと第2シート部110bとが剥離可能な粘着剤140によって貼着されているため、第1シート部110aと第2シート部110bとを剥離し、その後、2層の透明フィルム122a,122bを離反させて試薬部120を取り出すことになる。そのため、2層の透明フィルム122a,122bのうち折り畳み状態の内側となる透明フィルム122aの長さを長くしておけば、2層の透明フィルム122a,122bを離反する際、その領域を摘み部として容易に離反することができるようになる。
【0046】
また、接着構造上の領域にて第1シート部110aと第2シート部110bに跨るように試薬部120を設けずに、第1シート部110aと第2シート部110bの一方の側のみに試薬部120を設ける構成としてもよい。ただし、この場合においても、ミシン目130を介して折り畳まれた場合に試薬部120に対向する領域は非粘着領域としておく必要がある。
【0047】
また、本形態における透明フィルム122a、122bを有色の遮光フィルムとすれば、試薬部120及び試薬部120に付着した唾液の乾燥を抑制しながら、覗き見を防ぐことができる。
【0048】
また、上述した2つの実施の形態においては、シート基材10,110の周囲に、貼着後の剥離が可能な粘着剤40,140を塗布しておくことにより、第1シート部10a,110aと第2シート部10b,110bとを剥離可能に貼着しているが、常温、常圧において自着性を有し他着性を有さない粘着剤を用いることも考えられる。その一例としては、リカボンドAP−P217(中央理化製)が挙げられる。この自着性を有する粘着剤においては筆記性を有するため、情報記入領域11,111上にも塗布することができる。
【0049】
また、シート基材10,110の周囲のうち、第1のシート部10a,110a及び第2のシート部10b,110bのいずれか一方のみに貼着後の剥離が困難な粘着剤を塗布するとともに、他方に剥離剤を塗布しておくことにより、第1シート部10a,110aと第2シート部110bとを剥離可能に貼着する構成とすることも考えられる。
【0050】
また、上述した2つの実施の形態においては、シート基材10,110の周囲にて第1シート部10a,110aと第2シート部10b,110bとを貼着する構成を示したが、第1シート部10a,110aと第2シート部10b,110bとは、少なくとも周囲が貼着していればよく、上述の構成により、適宜全面貼着する構成にしてもよい。
【0051】
また、上述した2つの実施の形態においては、第1シート部10a,110aと第2シート部10b,110bとが折り部30あるいはミシン目130を介して連接した構成としたが、第1シート部10a,110aと第2シート部10b,110bとが連接していない構成とすることも考えられる。
【0052】
また、上述した2つの実施の形態においては、検体として唾液を例に挙げて説明したが、検体としては、唾液以外の血液や尿等の体液を用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の試薬シート体の第1の実施の形態を示す図であり、(a)は折り畳み状態内側となる面を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は折り部を介して折り畳んだ状態を示す図である。
【図2】本発明の試薬シート体の第2の実施の形態を示す図であり、(a)は折り畳み状態内側となる面を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)はミシン目を介して折り畳んだ状態を示す図である。
【図3】図2に示した試薬シート体のミシン目が破断される状態を説明するための断面図であり、(a)は破断前の状態を示す図、(b)は破断後の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
10,110 シート基材
10a,110a 第1シート部
10b,110b 第2シート部
11,111 情報記入領域
12,112 宛先情報
20,120 試薬部
30 折り部
40,121a,121b,140 粘着剤
122a,122b 透明フィルム
130 ミシン目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離可能に互いに貼着される第1及び第2のシート基材と、
前記第1のシート基材と前記第2のシート基材の少なくともいずれか一方の貼着面に設けられた試薬部とを有する試薬シート体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−212392(P2007−212392A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35206(P2006−35206)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】