説明

試験システム

【課題】問題用紙と解答用紙が別用紙となっている場合、受験者が問題の解答欄を間違えず確実に問題に対応する解答欄へ解答を記入することを可能とする。
【解決手段】試験実施装置は試験問題の配信、受験者の認証を行うもので、インターネット等の無線ネットワークに接続されている。試験会場には多数の電子ペーパが用意され、これらは問題用と解答用がある。問題用電子ペーパは試験実施装置と無線ネットワークを介して接続されている。問題用電子ペーパは、受験者情報の入力、問題表示をするためのものであり、解答用電子ペーパは、解答入力、受験者情報入力をするためのものである。また、UPnP等の機器間通信を介して受験者毎の問題用電子ペーパと解答用電子ペーパを認識し、問題と解答欄が同期して表示することを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、試験実施時に受験者が問題に対する解答欄を間違えることなく、記入ができる試験実施方式に関する。
【背景技術】
【0002】
集合試験において、マークシート方式やパソコンを利用した問題と解答用紙が分かれた試験方式があるが、同じような解答欄が並んでいるため、解答欄を間違えて記入してしまうことがある。
【0003】
また、パソコンを利用し、問題と回答を一画面で表示する試験実施システム技術は、多く提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−53578号公報
【特許文献2】特開2007−108273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術では、パソコンなどの1画面で問題と解答欄を表示となる。また、解答入力は、キーボードで入力する方式であるため、記述式では操作に公平さが保てない場合もある。
【0006】
上記を考慮し、パソコンなどを用いて問題と解答用紙を分けて試験を実施する場合、問題はパソコンなどで表示をし、解答は筆記できるものなどを用意するという方法となり、問題文と解答欄の見比べが困難となる。
【0007】
また、問題用紙と解答用紙が分かれている試験実施では、問題の解答欄を誤って記入してしまうということは多々あるため、これを防止する試験方式を実現することが課題となる。
【0008】
この発明は、問題用紙と解答用紙が分かれている試験方式において、受験者が問題の解答欄を誤って記入する問題を解決することができる試験方式の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、各受験者に問題用電子ペーパと解答用電子ペーパを用意し、問題用電子ペーパと解答用電子ペーパが機器間通信(たとえばUPnP)をすることにより、相互間で情報を通信しあうことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、問題用電子ペーパが受信した問題を解答用電子ペーパが認識し、該当する解答欄を表示することで受験者は問題の解答を正しい解答欄に記入することができるという効果を有する。
【0011】
ネットワークが遮断された場合においても電子ペーパ自体に情報が保存できる。また、保存された電子ペーパを回収することも容易である。
【0012】
問題用紙と解答用紙を分けた試験実施方式を問題用紙・解答用紙に電子ペーパを用いて実現することにより、受験者は、問題と解答欄を机上に置き、見比べながら解答することができる。
【0013】
電子ペーパに電子ペンなどで入力する方式をとることで、キーボードの入力操作が不要となるため、受験者に公平さを保てる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良な形態を図面に基づいて詳細に説明する。各受験者には問題用電子ペーパと解答用電子ペーパを配布する。また、電子ペーパへの入力は、画面に電子ペンで記入し、入力文字を認識する(タッチパネルなど)機能を有するものとする。
【0015】
図1は、本発明の一実施例を示す全体構成図である。
【0016】
試験実施装置10は、無線ネットワーク40を介して問題用電子ペーパ20と接続されている。
【0017】
解答用電子ペーパ30は、機器間通信(たとえばUPnP(Universal Plug and Play))50を介して問題用電子ペーパ20と接続されている。
【0018】
試験実施装置10は、試験問題管理サーバの試験問題制御部11、時間経過制御部12、通信制御部13、認証部14および問題情報データベース15、受験者情報データベース16、試験時間データベース17で構成されている。
【0019】
問題用電子ペーパ20は、表示制御部20a、入出力部20b、通信制御部20c、記憶部20dで構成されている。
【0020】
解答用電子ペーパ30は、表示制御部30a、入出力部30b、通信制御部30c、記憶部30dで構成されている。
【0021】
解答用電子ペーパ30には、予め全問題の解答欄が記憶部30dに記録されている。
【0022】
図2は本発明における一実施例を一連の流れで示したものである。詳細は、図3、図4の説明で記述する。
【0023】
ステップ101では、受験者が受験対象者であるかを確認し、認証する。
【0024】
ステップ102では、受験者毎の問題用電子ペーパ20と解答用電子ペーパを認識させ、通信を開始する。
【0025】
ステップ103では試験開始の通知をし、ステップ104で問題が問題用電子ペーパ30に配信される。
【0026】
ステップ105では、解答用電子ペーパ30に解答を入力し記録する。
【0027】
ステップ106では、試験終了の通知をし、ステップ107で問題用電子ペーパ20と解答用電子ペーパ30は非表示となる。
【0028】
図3は、図2のステップ101、102の詳細を示したものである。
【0029】
受験者は問題用電子ペーパ20の受験番号811、電話番号812の入力箇所(図9)に受験者情報を入力し、入出力部20bから試験実施装置10の認証部14へ無線ネットワーク40を介して送信ボタン813により送信する(ステップ201)。
【0030】
試験実施装置10の認証部14は、受信した受験者情報と受験者情報DB16(図6)の受験番号510、電話番号512を照合し、判定をする(ステップ202、203)。
【0031】
判定結果が不一致であった場合は、問題用電子ペーパ20へ判定結果を通知し、再度、問題用電子ペーパ20に受験番号、電話番号の入力画面(図9)を表示する(ステップ204、201)。
【0032】
判定結果が一致した場合は、試験実施装置10は無線ネットワーク40を介して受験者情報DB16(図6)の受験番号510、生年月日513を問題用電子ペーパ20に送信する(ステップ205)。
【0033】
問題用電子ペーパ20は、受験番号510、生年月日513を受信し、記憶部20dに記録した上で、解答用電子ペーパ30の受験番号861、生年月日862への入力をお願いするメッセージ画面(図10)を表示する(ステップ206)。
【0034】
受験者は、解答用電子ペーパ30の受験番号861、生年月日862の入力箇所(図14)に受験者情報を入力し、入出力部30bから問題用電子ペーパ20に機器間通信50を介して送信する(ステップ207)。
【0035】
問題用電子ペーパ20の通信制御部20cは、受信した受験番号861、生年月日862と問題用電子ペーパ20の記憶部にある受験番号510、生年月日513と照合し、判定する(ステップ208)。
【0036】
判定結果が不一致であった場合は、解答用電子ペーパ30へ判定結果を通知し、再度、解答用電子ペーパ30に受験番号、生年月日の入力画面(図14)を表示する(ステップ209、207)。
【0037】
判定結果が一致した場合は、問題用電子ペーパ20から試験実施装置10に無線ネットワーク40を介して試験準備完了を通知する(ステップ210)。
【0038】
試験実施装置10は、問題用電子ペーパ20からの通知を受信し、準備完了を確認(ステップ211)。
【0039】
試験実施装置10は、準備完了確認により、問題用電子ペーパ20に無線ネットワーク40を介して受験開始までの待ち画面(図11)表示を通知する(ステップ212)。
【0040】
試験実施装置10から通知を受信した問題用電子ペーパ20は受験開始待ち画面(図11)を表示し、試験準備完了となる(ステップ213)。
【0041】
図4は、図2のステップ103から107までの詳細を示したものである。
【0042】
試験実施装置10は、時間経過制御部12により開始時間を試験問題制御部11に通知する。試験問題制御部11は受験者情報DB16(図6)の問題コード515と問題情報DB15(図5)の問題コード410を照合し、一致する設問番号411、設問内容412を問題情報DB15から抽出して、問題用電子ペーパ20に配信する(ステップ301、302)。
【0043】
問題用電子ペーパ20は、受信した問題情報410、411、412を記憶部20dに記録した上で、記憶部20dから問題目次の画面(図12)を呼び出し表示する(ステップ303、304)。
【0044】
受験者は、問題用電子ペーパ20に表示された問題画面(図12)から設問に進む、または、試験終了を選択できる(ステップ305)。
【0045】
終了ボタン842を選択した場合は、解答用電子ペーパ30へ終了通知を送信する(ステップ311)。
【0046】
設問に進む場合は、841で選択(チェックボックスにチェック)した設問または次頁ボタン842により最初の設問に遷移する(ステップ305)。
【0047】
設問を選択すると、問題用電子ペーパ20に選択した設問が記憶部20dから呼び出され表示(図13)される(ステップ306)。
【0048】
本画面(図13)からは、TOPボタン852を押すことにより、問題目次画面(図12)に遷移する。
【0049】
また、前頁ボタン853を押すことにより、前の設問に遷移し、次頁ボタン854を押すことにより、次の設問に遷移する。
【0050】
問題用電子ペーパ20に表示した設問は機器間通信50を介して解答用電子ペーパ30に設問に対応する解答欄872(図15)を表示する(ステップ307)。
【0051】
解答欄表示画面870には、全設問に対する解答欄が用意されていて、ステップ306で表示された設問に対応する解答欄が高輝度表示される。ステップ306で表示された設問に対応する解答欄以外は、低輝度表示となり、書き込み不可となる。
【0052】
解答用電子ペーパ30に表示された解答欄872(図15)に解答を入力し、解答を記録部30dに記録する(ステップ308、309)。
【0053】
解答用電子ペーパ30への入力は、マークシートおよび記述に対応できる。
【0054】
解答の修正は、各設問の解答欄毎にある訂正ボタン873を押し、修正する升目を押すと、押した升目を消すことができる。修正終了は、再度訂正ボタンを押し、終了させる。
【0055】
また、未解答番号表示ボタン874を押し、未解答欄を高輝度表示させ、解答欄を選択することにより、問題用電子ペーパ20へ選択した解答欄に対応する問題を表示させるようにしても良い。
【0056】
試験終了時間となると、試験実施装置10は、時間経過制御部12から終了時間を問題用電子ペーパ20に通知する(ステップ310)。
【0057】
問題用電子ペーパ20は、解答用電子ペーパ30に機器間通信50を介して終了通知をする(ステップ311)。
【0058】
解答用電子ペーパ30は、終了通知を受信し、表示制御部30aは非表示処理をした上で、処理完了したことを問題用電子ペーパ20に通知する(ステップ312、313)。
【0059】
問題用電子ペーパは、処理完了通知を受信すると、表示制御部20aは非表示処理をし、記憶部20dに記録した問題情報は消去される。また、終了処理が完了したことを試験実施装置10に通知する(ステップ314、315)。
【0060】
試験実施装置10は、終了処理完了通知を受信し、試験終了を確認する(ステップ316)。
【0061】
なお、上記図4では、設問全体を一括して送信する例を示したが、外国語のヒアリングテストのように1問ずつ解答時間が決められているような場合は、一問ごとに設問を問題用電子ペーパに送付するようにしても良い。
【0062】
図5は、試験実施装置10の問題情報データベース15のデータテーブルを示したものである。
【0063】
問題情報データベース15は、問題種別のための問題コード410と問題の設問番号411、設問内容412、問題に対応する解答欄番号413、解答欄情報414を有する。
【0064】
図6は、試験実施装置10の受験者情報データベース16のデータテーブルを示したものである。
【0065】
受験者情報データベース16は、受験者の受験番号510、氏名511、電話番号512、生年月日513、受験場所を表す受験場所コード514、問題種別のための問題コード515を有する。
【0066】
図7は、試験実施装置10の試験時間データベース17のデータテーブルを示したものである。
【0067】
試験時間データベース17は、問題種別のための問題コード610、試験の開始時間611、終了時間612を有する。
【0068】
図8は、問題用電子ペーパ20と解答用電子ペーパ30の間での機器間通信50において交換する情報の項目を示したものである。
【0069】
機器間通信50における交換情報の項目として、受験者の受験番号710、問題種別のための問題コード711、問題の設問番号712、解答欄番号713、解答欄情報714を有する。
【0070】
図9は、図3のステップ201で表示される問題用電子ペーパ20の初期表示画面を示したものである。
【0071】
初期表示画面810は、問題用電子ペーパ20が予め記憶部20dに記憶されている。
【0072】
初期表示画面810は、受験番号入力欄811、電話番号の入力欄812を表示する。
【0073】
初期表示画面810は、送信ボタン813を有する。
【0074】
図10は、図3のステップ206で表示する画面を示したものである。
【0075】
受験情報記入願い画面820は、問題用電子ペーパ20が予め記憶部20dに記憶されている。
【0076】
受験情報記入願い画面820は、受験者に解答用電子ペーパ30の受験番号860、生年月日861の入力を促すメッセージ821を表示する。
【0077】
図11は、図3のステップ213で表示する画面を示したものである。
【0078】
受験開始待ち画面830は、問題用電子ペーパ20が予め記憶部20dに記憶されている。
【0079】
受験開始待ち画面830は、受験者に受験準備が完了および、試験開始待ちを知らせるメッセージ831を表示する。
【0080】
図12は、図4のステップ304で表示する画面を示したものである。
【0081】
問題目次画面840は、問題用電子ペーパ20が試験実施装置10から取り込んだ問題情報から試験問題の目次(全設問の番号および設問内容の概略など)841を表示する。
【0082】
問題目次画面840は、終了ボタン842、次頁ボタン842を有する。
【0083】
図13は、図4のステップ306で表示する画面を示したものである。
【0084】
問題選択後画面850は、問題用電子ペーパ20が試験実施装置10から取り込んだ問題情報からステップ305で選択された設問851を表示する。
【0085】
問題選択後画面850は、TOPボタン852、前頁ボタン853、次頁ボタン854を有する。
【0086】
図14は、図3のステップ207で表示される解答用電子ペーパ20の初期表示画面を示したものである。
【0087】
初期表示画面860は、解答用電子ペーパ30が予め記憶部30dに記憶されている。
【0088】
初期表示画面860は、受験番号入力欄861、生年月日入力欄862を表示する。
【0089】
初期表示画面860は、送信ボタン863を有する。
【0090】
図15は、図4のステップ307で表示される解答用電子ペーパ20の画面を示したものである。
【0091】
解答欄表示画面870は、解答用電子ペーパ30が予め記憶部30dに記憶されている。
【0092】
受験番号欄871には、ステップ207で入力した受験番号を表示する。
【0093】
解答欄872には、解答用電子ペーパ30が予め記憶部30dに記憶されている全問の解答欄を表示する。
【0094】
解答欄表示画面870は、訂正ボタン873、未解答番号表示ボタン874を有する。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の全体構成を示した説明図である。
【図2】本発明の実施形態の流れを示した説明図である。
【図3】試験開始までの準備処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】試験開始から終了までの処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図1における問題情報データベース15に記憶されている問題情報テーブル。
【図6】図1における受験者情報データベース16に記憶されている受験者情報テーブル。
【図7】図1における試験時間データベース17に記憶されている試験時間テーブル。
【図8】図1における各受験者の問題用電子ペーパと解答用電子ペーパ間での通信情報の項目を示すものである。
【図9】ステップ201で問題用電子ペーパ10が表示する画面のイメージ図である。
【図10】ステップ206で問題用電子ペーパ10が表示する画面のイメージ図である。
【図11】ステップ212で問題用電子ペーパ10が表示する画面のイメージ図である。
【図12】ステップ304で問題用電子ペーパ10が表示する画面のイメージ図である。
【図13】ステップ306で問題用電子ペーパ10が表示する画面のイメージ図である。
【図14】ステップ207で解答用電子ペーパ10が表示する画面のイメージ図である。
【図15】ステップ207で解答用電子ペーパ10が表示する画面のイメージ図である。
【符号の説明】
【0096】
10…試験実施装置、11…試験問題制御部、12…時間経過制御部、13…通信制御部、14…認証部、15…問題情報DB、16…受験者情報DB、17…試験時間DB、20、21、22…問題用電子ペーパ、30、31、32…解答用電子ペーパ、20a、21a、22a、30a、31a、32a…表示制御部、20b、21b、22b、30b、31b、32b…入出力部、20c、21c、22c、30c、31c、32c…通信制御部、20d、21d、22d、30d、31d、32d…通信制御部、40…無線ネットワーク、50、51、52…機器間通信。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受験者を集合させて実施する試験で、問題用紙と解答用紙に電子ペーパを利用し、受験者に割り当てられた問題用紙と解答用紙は受験者が受験者情報を入力することで、通信回線をとおして同期をとり、問題用紙から選択した問題の解答欄のみ、解答用紙に表示させ、解答記入欄の間違えを防止する試験システム。
【請求項2】
問題用紙と解答用紙に電子ペーパを利用することで、電子ペーパの特性により少ない消費電力で実施できる試験システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−258393(P2009−258393A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107394(P2008−107394)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】