試験装置および試験方法
【課題】入力軸の回転に応じて出力軸が動力伝達装置を介して回転するエンコーダについて、入力軸の回転位置と出力軸の回転位置との誤差を検出することができる試験装置を提供する。
【解決手段】入力軸の回転に応じて出力軸が動力伝達装置を介して回転するエンコーダを試験する試験装置が、入力軸の回転を制御するとともに、入力軸の回転位置と出力軸の回転位置との誤差を検出する制御部を備える。
【解決手段】入力軸の回転に応じて出力軸が動力伝達装置を介して回転するエンコーダを試験する試験装置が、入力軸の回転を制御するとともに、入力軸の回転位置と出力軸の回転位置との誤差を検出する制御部を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力軸の回転に応じて出力軸が動力伝達装置を介して回転するエンコーダを試験する試験装置および試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被試験物としてインバータの出荷自動試験装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−27474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、被試験物として、入力軸の回転に応じて出力軸が動力伝達装置を介して回転するエンコーダの試験を行う場合、動力伝達装置のバックラッシュや負荷変動等が原因となり、入力軸の回転位置と出力軸の回転位置との間には誤差が生じる可能性がある。しかしながら、従来技術においては、入力軸の回転に応じて出力軸が動力伝達装置を介して回転するエンコーダの試験において、このような入力軸の回転位置と出力軸の回転位置との誤差を検出することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、入力軸の回転に応じて出力軸が動力伝達装置を介して回転するエンコーダについて、入力軸の回転位置と出力軸の回転位置との誤差を検出することができる試験装置および試験方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、入力軸の回転に応じて出力軸が動力伝達装置を介して回転するエンコーダを試験する試験装置であって、前記入力軸の回転を制御するとともに、前記入力軸の回転位置と前記出力軸の回転位置との誤差を検出する制御部、を備えることを特徴とする試験装置である。
【0007】
また、この発明は、入力軸の回転に応じて出力軸が動力伝達装置を介して回転するエンコーダを試験する試験装置において用いられる試験方法であって、制御部が、前記入力軸の回転を制御するとともに、前記入力軸の回転位置と前記出力軸の回転位置との誤差を検出する、ことを特徴とする試験方法である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、入力軸の回転に応じて出力軸が動力伝達装置を介して回転するエンコーダについて、入力軸の回転位置と出力軸の回転位置との誤差を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の第1実施形態による試験装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の図1における制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の図2におけるコンピュータの構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の図3に示すパターン記憶部に記憶されているパターンの第1例と、このパターンの場合の測定結果の一例を示す波形図である。
【図5】本発明の図3に示すパターン記憶部に記憶されているパターンの第2例と、このパターンの場合の測定結果の一例を示す波形図である。
【図6】本発明の図3に示すパターン記憶部に記憶されているパターンの第3例と、このパターンの場合の測定結果の一例を示す波形図である。
【図7】本発明の図3に示すパターン記憶部に記憶されているパターンの第4例と、このパターンの場合の測定結果の一例を示す波形図である。
【図8】本発明の第1実施形態による試験装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】この発明の第2実施形態による試験装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の図9における制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【図11】この発明の第3実施形態による試験装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の図11における制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、この発明の一実施形態による試験装置1の構成を示す概略ブロック図である。ここでは、試験装置1が、エンコーダ12を試験する場合について説明する。
【0011】
まず、試験対象であるエンコーダ12の構成について説明する。入力軸エンコーダ(第1エンコーダ)12a、モータ12b、動力伝達装置12c、および、出力軸エンコーダ(第2エンコーダ)12d、を備えている。モータ12bは、試験装置1からの制御に基づいて、入力軸12x(不図示)を回転させる。
【0012】
動力伝達装置12cは、予め定められている比率で、入力軸12xの回転に応じて出力軸12yを回転させる。動力伝達装置12cは、たとえば、歯車、プーリー、タイミングベルト等、または、これらを組み合わせたものを用いて減速する装置である。エンコーダ12の出力軸12yは、後述するように軸継手13を介して負荷部18の負荷機16に接続されている。
【0013】
第1エンコーダ12aは、入力軸12xの1回転内における回転位置を検出する。第2エンコーダ12dは、出力軸12yの1回転内における回転位置を検出する。この第1エンコーダ12aまたは第2エンコーダ12dは、たとえば、光学式または磁気式のロータリーエンコーダである。
【0014】
このエンコーダ12は、たとえば、第1エンコーダ12aと第2エンコーダ12dとの出力を動力伝達装置12cの伝達比率に基づいて合成することにより、第2エンコーダ12dが1回転する間において、任意の角度位置を検出することができるエンコーダとして機能することができる。このようなエンコーダ12は、バッテリーが不要なアブソリュートエンコーダであって、たとえば、ロボット等の関節部分に用いられる。
【0015】
次に、試験装置1の構成について説明する。試験装置1は、制御部11、軸継手13、および、負荷部18を備えている。この負荷部18は、負荷機16と負荷制御装置17とを備えている。
【0016】
負荷機16は、負荷制御装置17とケーブルを介して接続されている。また、制御部11は、エンコーダ12とケーブルを介して接続されており、負荷制御装置17ともケーブルを介して接続されている。
【0017】
軸継手13は、負荷部18の負荷機16とエンコーダ12の出力軸12yとを接続する。この軸継手13は、たとえば、カップリングまたはジョイントである。
【0018】
負荷機16は、制御部11による負荷制御装置17を介した制御に基づいて、出力軸12yに負荷をかける。この負荷機16は、たとえば、サーボモータであり、制御部11からの制御に基づいて、出力軸12yの1回転内における任意の入力軸12xの角度位置において、当該角度位置に対応する負荷を出力軸12yにかけることができる。
【0019】
負荷制御装置17は、制御部11からの制御に基づいて、負荷機16を制御する。この負荷制御装置17は、たとえば、電子負荷装置であり、制御部11からの制御に基づいて、出力軸12yの1回転内における任意の入力軸12xの角度位置において、負荷機16を制御することができる。
【0020】
上述した負荷機16と負荷制御装置17とを備える負荷部18は、制御部11の制御に基づいて、軸継手13を介して、出力軸12yに負荷をかける。特に、負荷機16は、たとえば、サーボモータであって、出力軸12yの1回転内における任意の入力軸12xの角度位置において、当該角度位置に対応する負荷を出力軸12yにかけることができるくらいに応答が速い。また、負荷制御装置17は、たとえば、電子負荷装置であって、出力軸12yの1回転内における任意の入力軸12xの角度位置において、負荷機16を制御することができるくらいに応答が速い。そのために、この負荷部18は、出力軸12yの1回転内における任意の入力軸12xの角度位置において、制御部11の制御に基づいて、軸継手13を介して、出力軸12yに任意の負荷をかけることができる。
【0021】
このように負荷部18について、応答の速い負荷機16(サーボモータ)と応答の速い負荷制御装置17を使用することにより、この試験装置1は、出力軸12yに、一定の負荷だけではなく回転動作中に急速に負荷を加えたり、急速に無負荷状態にしたりするなどの試験を行うことができる。よって、後述するように、本実施形態による試験装置1が試験を行うエンコーダ12を、たとえば、ロボットなどに組み込んだ状態を再現し試験を行うことでより正確な補正値を得ることができる。
【0022】
制御部11は、入力軸12xの回転と負荷部18を介して出力軸12yにかける負荷とを制御するとともに、入力軸12xの回転位置と出力軸12yの回転位置との誤差を検出する。具体的には、制御部11は、入力軸エンコーダ12aが検出した入力軸12xの回転位置に基づいて算出される出力軸12yの回転位置と、出力軸エンコーダ12dが検出した出力軸12yの回転位置との差を算出することにより、入力軸12xの回転位置と出力軸12yの回転位置との誤差を検出する。
【0023】
ここでいう誤差とは、上述した入力軸エンコーダ12aが検出した入力軸12xの回転位置に基づいて算出される出力軸12yの回転位置、すなわち、理想的な出力軸12yの回転位置に対しての、出力軸エンコーダ12dが検出した出力軸12yの回転位置、すなわち、実際に測定された出力軸12yの回転位置の、誤差である。
【0024】
なお、制御部11が、入力軸エンコーダ12aが検出した入力軸12xの回転位置に基づいて算出される出力軸12yの回転位置を算出するには、動力伝達装置12cの予め定められている比率を用いて、算出される。
【0025】
または、制御部11は、負荷部18を介して出力軸12yに負荷をかけた場合とかけない場合との差に基づいて、入力軸12xの回転位置と出力軸12yの回転位置との誤差を検出してもよい。すなわち、制御部11は、出力軸12yにかける負荷を無負荷とした状態で検出した入力軸12xまたは出力軸12yの回転位置と、負荷をかけた状態で検出した入力軸12xまたは出力軸12yの回転位置との差を、それぞれの場合において、入力軸エンコーダ12aが検出した入力軸12xの回転位置に基づいて算出される出力軸12yの回転位置が同じ回転位置で算出し、この算出した差を、各角度位置における誤差として検出してもよい。
【0026】
ここでいう誤差とは、上述した誤差に、更に、負荷がある場合とない場合とにおける誤差を含めた、誤差である。
【0027】
また、制御部11は、負荷制御装置17を介して負荷機16に印加する電圧または電流に基づいて、負荷機16が出力軸12yにかける負荷を算出し、当該算出した負荷に基づいて、負荷機16による出力軸12yにかける負荷を制御する。
【0028】
次に、図2と図3とを用いて、制御部11の構成の一例について説明する。なお、以降の図において、対応する構成には同一の符号を付け、その説明を省略する。
【0029】
まず、図2に示すように、制御部11は、コンピュータ19と、制御器(入力軸制御部)11aと、計測器11bと、モータドライバ11cと、負荷制御部11dと、登録部11eと、を備えている。
【0030】
また、図3に示すように、このコンピュータ19は、CPU19aと、RAM19bと、記憶部19cと、バスインタフェース19dと、を備えている。CPU19aは、たとえば、CPU(Central Processing Unit)であり、コンピュータ19内の各構成を制御する。RAM19bは、たとえば、RAM(Random Access Memory)であり、コンピュータ19で処理される情報を、一時的に記憶する場合に用いられる。
【0031】
記憶部19cは、試験プログラム記憶部19c1と、パターン記憶部19c2と、結果記憶部19c3とを、備えている。この記憶部19cは、たとえば、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリや、CD−ROM等の読み出しのみが可能な記憶媒体、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成されている。
【0032】
試験プログラム記憶部19c1には、本実施形態においてエンコーダ12を試験するためのプログラムであって、制御部11内の上述した各構成を制御するプログラムが予め記憶されている。CPU19aは、試験プログラム記憶部19c1から読み出したプログラムに基づいて、制御部11内の上述した各構成を制御する。
【0033】
パターン記憶部19c2には、入力軸12xの回転位置を示す第1情報と関連付けて、負荷部18を介して出力軸12yにかける負荷を示す第2情報が予め記憶されている。このパターン記憶部19c2には、たとえば、第1情報と関連付けられて、複数のパターンの第2情報が予め記憶されている。また、このパターン記憶部19c2には、第1情報と関連付けて、エンコーダ12が使用される場合に生じる負荷に基づいた第2情報が予め記憶されている。このパターンは、たとえば、エンコーダ12が実際に使用される場合に、エンコーダ12の出力軸12yにかかる負荷を再現するようにして、予め作成されている。
【0034】
たとえば、図4(b)、図5(b)、図6(b)、および、図7(b)に示すように、パターン記憶部19c2には、第1情報と関連付けられて、複数のパターンの第2情報が予め記憶されている。
【0035】
図4(b)は、たとえば、出力軸12yにかける負荷が無負荷の場合に、パターン記憶部19c2に記憶されているパターンである。なお、たとえば、上述したように、制御部11は、出力軸12yにかける負荷を無負荷とする状態で検査する場合があるが、この場合、制御部11は、この図4(b)に示すパターンを用いるようにしてもよい。
【0036】
図5(b)は、たとえば、出力軸12yにかける負荷が、出力軸12yの角度位置が0度から90度までは0であり、角度位置が90度から270度までは所定の値の固定値であり、角度位置が270度から360度までは0である場合に、パターン記憶部19c2に記憶されているパターンである。
【0037】
図6(b)は、たとえば、出力軸12yにかける負荷が、出力軸12yの角度位置が0度から80度までは0であり、80度から150度までは第1の所定の値から第2の所定の値まで線形に負荷が増大し、角度位置が150度から210度までは第2の所定の値で固定値であり、角度位置が210度から360度までは0である場合に、パターン記憶部19c2に記憶されているパターンである。
【0038】
図7(b)は、たとえば、出力軸12yにかける負荷が、出力軸12yの角度位置が0度から20度までは0であり、20度から100度までは0から第3の所定の値まで線形に負荷が増大し、100度から180度までは0から第3の所定の値まで線形に負荷が増大し、180度から260度までは0から第3の所定の値まで線形に負荷が増大し、260度から340度までは0から第3の所定の値まで線形に負荷が増大する場合に、パターン記憶部19c2に記憶されているパターンである。すなわち、図7(b)は、たとえば、出力軸12yにかける負荷が、ノコギリ状の場合に、パターン記憶部19c2に記憶されているパターンである。
【0039】
結果記憶部19c3には、後述する検出部19a1により検出された、計測器11bから入力された入力軸12xの回転位置と出力軸12yの回転位置との間の誤差が記憶される。また、この結果記憶部19c3には、パターンを示す情報ととともに、当該パターンの負荷をかけた場合に測定された誤差が、関連付けられて記憶されてもよい。
【0040】
たとえば、図4(b)に示すパターンの場合に検出された誤差が、図4(a)として、結果記憶部19c3には記憶される。また、たとえば、図5(b)に示すパターンの場合に検出された誤差が、図5(a)として、結果記憶部19c3には記憶される。また、たとえば、図6(b)に示すパターンの場合に検出された誤差が、図6(a)として、結果記憶部19c3には記憶される。また、たとえば、図7(b)に示すパターンの場合に検出された誤差が、図7(a)として、結果記憶部19c3には記憶される。
【0041】
図3に示すバスインタフェース19dは、図2に示した制御器11a、計測器11b、登録部11eと、自コンピュータ19とを接続させる。たとえば、CPU19aは、バスインタフェース19dを介して、図2の制御器11a、計測器11b、登録部11eと接続されており、バスインタフェース19dを介して、これら構成を制御する。
【0042】
図2の説明にもどり、制御器11aは、コンピュータ19に制御されて、パターン記憶部19c2から読み出した第1情報に基づいて入力軸12xの回転位置を制御する。たとえば、制御器11aは、モータドライバ11cを介して、モータ12bを制御して回転させることにより、入力軸12xの回転位置を制御する。モータドライバ11cは、制御器11aの制御に基づいて、モータ12bの種類や制御方法にあわせて、モータ12bを回転させる。
【0043】
負荷制御部11dは、コンピュータ19に制御されて、第1情報と関連付けられている第2情報をパターン記憶部19c2から読み出し、当該読み出した第2情報に基づいて、負荷部18を介して出力軸12yにかける負荷を制御する。また、負荷制御部11dは、複数のパターンのうちから選択されたいずれかのパターンの第2情報に基づいて、負荷部18を介して出力軸12yにかける負荷を制御する。本実施形態においては、負荷制御部11dは、複数のパターンから順に選択されたパターンの第2情報に基づいて、負荷部18を介して出力軸12yにかける負荷を制御する。
【0044】
計測器11bは、第1エンコーダ12aから入力軸12xの角度位置を示す第1信号を入力され、この入力された第1信号を、CPU19aが読み取れるような形式に変換して、入力軸12xの回転位置としてCPU19aに出力する。また、計測器11bは、第2エンコーダ12dから出力軸12yの角度位置を示す第2信号を入力され、この入力された第2信号を、CPU19aが読み取れるような形式に変換して、出力軸12yの回転位置としてCPU19aに出力する。
【0045】
たとえば、計測器11bは、入力された第1信号および第2信号を、それぞれAD変換してもよい。また、この計測器11bは、たとえば、第1信号および第2信号を、それぞれ内挿処理して、入力軸12xの回転位置と出力軸12yの回転位置とを求めるようにしてもよい。
【0046】
図3に示すCPU19aが有する検出部19a1は、計測器11bから入力された入力軸12xの回転位置と出力軸12yの回転位置との間の誤差を検出する。この検出部19a1は、検出した誤差を、結果記憶部19c3に記憶させる。なお、この検出部19a1は、検出した誤差を、結果記憶部19c3に記憶させる場合に、当該選択されたパターンを示す情報とともに、このパターンを用いて検出された誤差を、結果記憶部19c3に記憶させる。
【0047】
図2に示す登録部11eは、検出された誤差をエンコーダ12またはエンコーダ12を制御する上位制御装置に登録する。たとえば、図3に示すCPU19aが結果記憶部19c3に記憶された結果を読み出し、CPU19aが、この読み出した結果を、登録部11eを介して、エンコーダ12またはエンコーダ12を制御する上位制御装置に登録させる。
【0048】
次に、図8を用いて、上述した試験装置1の動作の一例を説明する。ここでは、制御部11が、負荷部18を介して出力軸12yに負荷をかけた場合とかけない場合との差に基づいて、入力軸12xの回転位置と出力軸12yの回転位置との誤差を検出する場合について説明する。
【0049】
まず、制御部11のコンピュータ19において、CPU19aは、記憶部19cの試験プログラム記憶部19c1に格納されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムを実行することにより、その後の処理を順に実行する(ステップS1)。
【0050】
次に、CPU19aは、記憶部19cのパターン記憶部19c2から順に読み出して選択したパターンに基づいて、まず、負荷部18による負荷をエンコーダ12の出力軸12yにかけない状態で、制御器11aを介して、エンコーダ12を正転逆転の回転駆動をさせる(ステップS2)。
【0051】
たとえば、CPU19aは、記憶部19cのパターン記憶部19c2から読み出した図4(b)に示したパターンに基づいて、負荷部18による負荷をエンコーダ12の出力軸12yにかけない状態で、制御器11aを介して、エンコーダ12を正転逆転の回転駆動をさせる。
【0052】
次に、CPU19aは、出力軸エンコーダ12dからの角度信号と入力軸エンコーダ12aからの角度信号を計測部11bとを、計測器11bを介して読み取り、読み取った信号を、コンピュータ19内の記憶部(たとえば、RAM19b)に記憶する(ステップS3)。
【0053】
次に、CPU19aは、負荷部18を用いた測定を行う。たとえば、CPU19aは、負荷制御部11dを介して負荷制御装置17に指令を出して、負荷機16への電流値を変更した後、エンコーダ12を回転させる(ステップS4)。
【0054】
たとえば、CPU19aは、記憶部19cのパターン記憶部19c2から図5(b)、図6(b)、および、図7(b)に示したパターンを順に読み出し、この読み出して選択したパターンに基づいて、負荷制御部11dを介して負荷制御装置17に指令を出して、負荷機16への電流値を変更した後、エンコーダ12を回転させる。
【0055】
なお、このステップS4において、CPU19aは、ステップS3の場合と同様に、出力軸エンコーダ12dからの角度信号と入力軸エンコーダ12aからの角度信号を、コンピュータ19内の記憶部(たとえば、RAM19b)に記憶する。
【0056】
上述したように、本実施形態による試験装置1は、負荷機16としてサーボモータを使用している。そして、外部からの力で回転した時、サーボモータから出る電流値を測定し、サーボモータのトルク定数と測定した電流値を乗算した値を負荷(負荷トルク)値としている。よって、この場合、CPU19aは、実際にエンコーダ12に加えている負荷に基づいて、負荷制御部11dを介して、負荷機16としてサーボモータを制御することができる。
【0057】
次に、CPU19aは、記憶部(たとえば、RAM19b)内に記憶されている最初の測定(ステップS2での無負荷の場合の測定)の値と、負荷機16を用いた測定(ステップS4で負荷をかけた場合の測定)の値とを、比較する(差を算出する)(ステップS5)。
【0058】
これは、たとえば、取り付け誤差や、バックラッシュや、負荷変動の影響で、出力軸エンコーダ12dの角度信号にズレが発生する可能性があるためである。そして、CPU19aは、この値をコンピュータ19内部の記憶部で入力軸エンコーダ12aの値を基に、出力軸エンコーダ12dのズレ量を算出し補正値を算出する。
【0059】
次に、CPU19aは、上述したステップS4の操作と同様に、コンピュータ19からの負荷制御装置17へ指令を出して別の電流値に変更し、負荷部18を用いた測定を何度か繰り返し行う(ステップS6)。
【0060】
最終的に、CPU19aは、負荷を加えた状態で補正値を算出し、この補正値を、エンコーダ12内部にある記憶部、または、エンコーダ12を制御する上位装置が有する記憶部に、登録部11eを介して書き込みを行う(ステップS7)。
【0061】
このようにエンコーダ12ごとの補正値が記憶されることになる。そして、このエンコーダ12を実際に用いる場合に、エンコーダ12、または、エンコーダ12を制御する上位装置が、この記憶されている補正値により、入力軸の回転位置に基づいて出力軸の回転位置を補正する。
【0062】
これにより、本実施形態による試験装置1によりエンコーダ12ごとの補正値が記憶されたエンコーダ12は、動力伝達装置のバックラッシュや負荷変動等が原因となり、入力軸の回転位置と出力軸の回転位置との間には誤差が生じる可能性がある場合であっても、入力軸の回転位置を制御することにより、出力軸の回転位置を制御することが可能となる。
【0063】
上述した第1実施形態による試験装置1によれば、入力軸12xの回転に応じて出力軸12yが動力伝達装置12cを介して回転するエンコーダ12を試験する試験装置1の制御部11が、入力軸12xの回転を制御するとともに、入力軸12xの回転位置と出力軸12yの回転位置との誤差を検出する。これにより、第1実施形態による試験装置1は、入力軸12xの回転に応じて出力軸12yが動力伝達装置12cを介して回転するエンコーダ12について、入力軸12xの回転位置と出力軸12yの回転位置との誤差を検出することができる。
【0064】
なお、上述した負荷機16は、たとえば、減速機付きサーボモータで構成されていることが好ましい。これは、次のような理由のためである。エンコーダ12は動力伝達装置12cを使用しているため、エンコーダ12の出力軸12yには、大きなトルクが発生する。このため、このエンコーダ12の出力軸12yに付加をかける負荷機16には、大きな負荷トルクが必要になる。このように、負荷機もこれに見合う大きな負荷トルクを発生する必要があるため、減速機付きサーボモータを使用している。なお、サーボモータ側では、減速比分だけ増速されることになるので、高速で速やかに回転する必要があり、サーボモータを使用することで正確な負荷トルクを発生することが出来る。
【0065】
また、上述した第1実施形態によれば、負荷機および電子負荷装置は、コンピュータなどを用いた制御装置により制御されているので、プログラムの設定により負荷装置による負荷量を可変させながら、2つのエンコーダ誤差検出が可能である。また、この誤差量から出力軸エンコーダの補正量を算出し、モータ側入力エンコーダへの補正値入力が可能である。
【0066】
なお、たとえば、試験装置が試験対象とするエンコーダが、ロボット等に用いられる場合には、このエンコーダを試験するための負荷変動のパターン数は膨大となる。そして、試験装置が、この膨大なパターン数の負荷変動について誤差を測定するには、多くの時間を要する可能性がある。
【0067】
上述した第1実施形態による試験装置1によれば、予め設定された複数のパターンの中から順に選択されたパターンによって、試験を行う。よって、膨大なパターン数がある場合であっても、容易に、かつ、短時間で、試験することができる。
【0068】
<第2実施形態>
次に図9を用いて、第2実施形態による試験装置1の構成について説明する。この図9に示す第2実施形態においては、図1に示す第1実施形態による試験装置1に、更に、トルク検出器(負荷検出器)21が取り付けられている。例えば、図1に示す軸継手13と負荷機16との間にトルク検出器21と第2軸継手20とを取り付け、トルク検出器21と制御部11とは、ケーブルによって接続されている。
【0069】
具体的には、トルク検出器21の第1の接続端子には、軸継手13を介して、エンコーダ12の出力軸12yが接続されている。そして、トルク検出器21の第2の接続端子には、第2軸継手20を介して、負荷機16が接続されている。そして、このトルク検出器21は、第1の接続端子と第2の接続端子との間のねじれに基づいて負荷を検出し、この検出した負荷を出力する。
【0070】
このようにして、トルク検出器21は、出力軸12yと負荷部18との間に、出力軸12yにかかる負荷を測定する。また、制御部11は、トルク検出器21が測定した負荷に基づいて、負荷部18を介して出力軸12yにかける負荷を制御する。
【0071】
トルク検出器21とコンピュータ19との接続として、たとえば、図10に示す様にトルク検出器21をコンピュータ19に接続する。これ以外に、トルク検出器21を、制御器11aや計測器11bに接続してもよい。
【0072】
図1の第1実施形態では、サーボモータのトルク定数と測定した電流値を乗算した値を、エンコーダ12の出力軸12yにかける負荷トルク値としているが、実際にはモータが回転することで生じる摩擦トルクや、減速機が回転することで生じる摩擦トルクなどを加味して負荷トルクを決定しないと、正確な負荷トルクを加える事ができない可能性がある。このような場合、エンコーダ12の出力軸12yに、高精度の負荷トルクを加えるには、トルク検出器を取り付けると好適である。
【0073】
この第2実施形態では、軸継手13と負荷機16との間に、トルク検出器21を取り付けることにより、負荷機16で発生している負荷トルクを直接に高精度な実測値を用いて試験ができる。
【0074】
次に、図9に示す第2実施形態による試験装置1の動作を説明する。主な動作は図8を用いて説明した第1実施形態による試験装置1の動作と同様であるが、図8のステップS4における負荷トルクの制御時において、負荷制御装置17の電流値と負荷機16のサーボモータのトルク定数を乗算した値を用いず、トルク検出器21にコンピュータ19から指令を出し、より正確な実測負荷トルク値をトルク検出器21からコンピュータ19へ送るようにする点が異なる。
【0075】
上述したように、第2実施形態による試験装置1は、トルク検出器21を備えていることにより、モータが回転することで生じる摩擦トルクや、減速機が回転することで生じる摩擦トルクなどを加味して負荷トルクを決定しないと、正確な負荷トルクを加える事ができない可能性がある場合であっても、エンコーダ12の出力軸12yに、正確な負荷トルクを加える事ができる。よって、エンコーダ12の試験を、より正確にできる。
【0076】
<第3実施形態>
次に、図11を用いて、第3実施形態による試験装置1の構成について説明する。この図11に示す第3実施形態においては、図1に示す第1実施形態による試験装置1に、更に、エンコーダ12の入力軸xの回転角度を正確に検出する第1基準エンコーダ23が追加されている。
【0077】
この第1基準エンコーダ23は、試験する段階のみエンコーダ12に取り付けられるエンコーダであり、入力軸エンコーダ12aよりも高精度のエンコーダである。そして、第3実施形態による試験装置1は、この第1基準エンコーダ23の角度信号を基準にして減速機の角度誤差や組み立て誤差を測定する。
【0078】
このように、第1基準エンコーダ23は、入力軸12xの回転位置を検出する。そして、制御部11は、第1基準エンコーダ23が検出した入力軸12xの回転位置に基づいて、入力軸12xの回転位置と出力軸12yの回転位置との誤差を検出する。
【0079】
このような第1基準エンコーダ23を使用することにより、入力軸エンコーダ12aの回転角度誤差やモータ12bへの取り付け誤差の影響が無くなり、さらに高精度で角度誤差を検出できるという特徴がある。
【0080】
次に、図9に示す第3実施形態による試験装置1の動作を説明する。主な動作は図8を用いて説明した第1実施形態による試験装置1の動作と同様であるが、図8のステップS3における出力軸エンコーダ12dからの角度信号と入力軸エンコーダ12aからの角度信号とを、コンピュータ19内の記憶部に記憶する際、追加した第1基準エンコーダ23の角度信号も同時にコンピュータ19内の記憶部に取り込む点が異なる。
【0081】
そして、図8のステップS5において、CPU19aは、追加した第1基準エンコーダ23の角度信号を用いることにより、入力軸エンコーダ12aがもつ角度誤差を検出する。また、図8のステップS7において、CPU19aは、エンコーダ12内部にある記憶部、または、エンコーダ12を制御する上位制御装置が有する記憶部に、書き込む。
【0082】
このような第1基準エンコーダを使用することにより、入力軸エンコーダ12aの回転角度誤差やモータ12bへの取り付け誤差の影響が無くなり、さらに高精度で角度誤差を検出できるという特徴がある。
【0083】
なお、上記に説明した第3実施形態においては、エンコーダ12の入力軸xの回転角度を正確に検出する第1基準エンコーダ23を備える場合について説明したが、エンコーダ12の出力軸12yの回転角度を正確に検出する第2基準エンコーダを備えるようにしてもよい。
【0084】
すなわち、出力軸12yの回転位置を検出する第2基準エンコーダを備えるようにしてもよい。そして、制御部11は、第2基準エンコーダ12が検出した出力軸12yの回転位置に基づいて、入力軸12xの回転位置と出力軸12yの回転位置との誤差を検出するようにしてもよい。
【0085】
このような第2基準エンコーダを使用することにより、出力軸エンコーダ12dの回転角度誤差やモータ12bへの取り付け誤差の影響が無くなり、さらに高精度で角度誤差を検出できるという特徴がある。
【0086】
なお、本実施形態による試験装置1として、第3の実施形態においては、上述した第1基準エンコーダと第2基準エンコーダとのうちいずれか一方のみを用いてもよいし、両方を組み合わせて用いてもよい。また、本実施形態による試験装置1として、第1から第3の実施形態を、それぞれ、任意に組み合わせて用いてもよい。
【0087】
なお、負荷制御部11dは、複数のパターンから所定のパターンと同一又は類似するパターンの第2情報に基づいて、負荷部18を介して出力軸12yにかける負荷を制御してもよい。たとえば、パターン記憶部19c2には、入力軸12xの回転位置を示す第1情報と関連付けて、負荷部18を介して出力軸12yにかける負荷を示す第2情報が予め記憶されているが、このパターンとして、同一又は類似する第1パターンと第2パターンとがあるとしてもよい。
【0088】
そして、制御部11は、パターン記憶部19c2から読み出した第1パターンと第2パターンとに基づいて、それぞれ測定する。その後、制御部11は、第1パターンで測定した結果と、第2パターンで測定した結果との差を求めて、これを誤差とする。このようにすることにより、試験装置1は、同一のパターンにおける誤差、または、類似しているパターン間の誤差に基づいて、エンコーダ12の誤差を検出することができる。
【0089】
また、上述した実施形態の説明では、電子負荷装置と負荷機を用いた装置を述べたが、負荷として磁性流体や摩擦負荷などを用いてもよい。
【0090】
なお、上述したように、制御部11はメモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、制御部11の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよいし、また、この制御部11は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよい。
【0091】
また、図1における制御部11の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、制御部11による上述した処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0092】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0093】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0094】
11…制御部、11a…制御器(入力軸制御部)、11b…計測器、11c…モータドライバ、11d…負荷制御部、11e…登録部、12…エンコーダ、12a…入力軸エンコーダ(第1エンコーダ)、12b…モータ12b…動力伝達装置、12d…出力軸エンコーダ(第2エンコーダ)、12x…入力軸、12y…出力軸、13…軸継手、16…負荷機、17…負荷制御装置、18…負荷部、19…コンピュータ、20…第2軸継手、23…第1基準エンコーダ
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力軸の回転に応じて出力軸が動力伝達装置を介して回転するエンコーダを試験する試験装置および試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被試験物としてインバータの出荷自動試験装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−27474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、被試験物として、入力軸の回転に応じて出力軸が動力伝達装置を介して回転するエンコーダの試験を行う場合、動力伝達装置のバックラッシュや負荷変動等が原因となり、入力軸の回転位置と出力軸の回転位置との間には誤差が生じる可能性がある。しかしながら、従来技術においては、入力軸の回転に応じて出力軸が動力伝達装置を介して回転するエンコーダの試験において、このような入力軸の回転位置と出力軸の回転位置との誤差を検出することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、入力軸の回転に応じて出力軸が動力伝達装置を介して回転するエンコーダについて、入力軸の回転位置と出力軸の回転位置との誤差を検出することができる試験装置および試験方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、入力軸の回転に応じて出力軸が動力伝達装置を介して回転するエンコーダを試験する試験装置であって、前記入力軸の回転を制御するとともに、前記入力軸の回転位置と前記出力軸の回転位置との誤差を検出する制御部、を備えることを特徴とする試験装置である。
【0007】
また、この発明は、入力軸の回転に応じて出力軸が動力伝達装置を介して回転するエンコーダを試験する試験装置において用いられる試験方法であって、制御部が、前記入力軸の回転を制御するとともに、前記入力軸の回転位置と前記出力軸の回転位置との誤差を検出する、ことを特徴とする試験方法である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、入力軸の回転に応じて出力軸が動力伝達装置を介して回転するエンコーダについて、入力軸の回転位置と出力軸の回転位置との誤差を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の第1実施形態による試験装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の図1における制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の図2におけるコンピュータの構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の図3に示すパターン記憶部に記憶されているパターンの第1例と、このパターンの場合の測定結果の一例を示す波形図である。
【図5】本発明の図3に示すパターン記憶部に記憶されているパターンの第2例と、このパターンの場合の測定結果の一例を示す波形図である。
【図6】本発明の図3に示すパターン記憶部に記憶されているパターンの第3例と、このパターンの場合の測定結果の一例を示す波形図である。
【図7】本発明の図3に示すパターン記憶部に記憶されているパターンの第4例と、このパターンの場合の測定結果の一例を示す波形図である。
【図8】本発明の第1実施形態による試験装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】この発明の第2実施形態による試験装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の図9における制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【図11】この発明の第3実施形態による試験装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の図11における制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、この発明の一実施形態による試験装置1の構成を示す概略ブロック図である。ここでは、試験装置1が、エンコーダ12を試験する場合について説明する。
【0011】
まず、試験対象であるエンコーダ12の構成について説明する。入力軸エンコーダ(第1エンコーダ)12a、モータ12b、動力伝達装置12c、および、出力軸エンコーダ(第2エンコーダ)12d、を備えている。モータ12bは、試験装置1からの制御に基づいて、入力軸12x(不図示)を回転させる。
【0012】
動力伝達装置12cは、予め定められている比率で、入力軸12xの回転に応じて出力軸12yを回転させる。動力伝達装置12cは、たとえば、歯車、プーリー、タイミングベルト等、または、これらを組み合わせたものを用いて減速する装置である。エンコーダ12の出力軸12yは、後述するように軸継手13を介して負荷部18の負荷機16に接続されている。
【0013】
第1エンコーダ12aは、入力軸12xの1回転内における回転位置を検出する。第2エンコーダ12dは、出力軸12yの1回転内における回転位置を検出する。この第1エンコーダ12aまたは第2エンコーダ12dは、たとえば、光学式または磁気式のロータリーエンコーダである。
【0014】
このエンコーダ12は、たとえば、第1エンコーダ12aと第2エンコーダ12dとの出力を動力伝達装置12cの伝達比率に基づいて合成することにより、第2エンコーダ12dが1回転する間において、任意の角度位置を検出することができるエンコーダとして機能することができる。このようなエンコーダ12は、バッテリーが不要なアブソリュートエンコーダであって、たとえば、ロボット等の関節部分に用いられる。
【0015】
次に、試験装置1の構成について説明する。試験装置1は、制御部11、軸継手13、および、負荷部18を備えている。この負荷部18は、負荷機16と負荷制御装置17とを備えている。
【0016】
負荷機16は、負荷制御装置17とケーブルを介して接続されている。また、制御部11は、エンコーダ12とケーブルを介して接続されており、負荷制御装置17ともケーブルを介して接続されている。
【0017】
軸継手13は、負荷部18の負荷機16とエンコーダ12の出力軸12yとを接続する。この軸継手13は、たとえば、カップリングまたはジョイントである。
【0018】
負荷機16は、制御部11による負荷制御装置17を介した制御に基づいて、出力軸12yに負荷をかける。この負荷機16は、たとえば、サーボモータであり、制御部11からの制御に基づいて、出力軸12yの1回転内における任意の入力軸12xの角度位置において、当該角度位置に対応する負荷を出力軸12yにかけることができる。
【0019】
負荷制御装置17は、制御部11からの制御に基づいて、負荷機16を制御する。この負荷制御装置17は、たとえば、電子負荷装置であり、制御部11からの制御に基づいて、出力軸12yの1回転内における任意の入力軸12xの角度位置において、負荷機16を制御することができる。
【0020】
上述した負荷機16と負荷制御装置17とを備える負荷部18は、制御部11の制御に基づいて、軸継手13を介して、出力軸12yに負荷をかける。特に、負荷機16は、たとえば、サーボモータであって、出力軸12yの1回転内における任意の入力軸12xの角度位置において、当該角度位置に対応する負荷を出力軸12yにかけることができるくらいに応答が速い。また、負荷制御装置17は、たとえば、電子負荷装置であって、出力軸12yの1回転内における任意の入力軸12xの角度位置において、負荷機16を制御することができるくらいに応答が速い。そのために、この負荷部18は、出力軸12yの1回転内における任意の入力軸12xの角度位置において、制御部11の制御に基づいて、軸継手13を介して、出力軸12yに任意の負荷をかけることができる。
【0021】
このように負荷部18について、応答の速い負荷機16(サーボモータ)と応答の速い負荷制御装置17を使用することにより、この試験装置1は、出力軸12yに、一定の負荷だけではなく回転動作中に急速に負荷を加えたり、急速に無負荷状態にしたりするなどの試験を行うことができる。よって、後述するように、本実施形態による試験装置1が試験を行うエンコーダ12を、たとえば、ロボットなどに組み込んだ状態を再現し試験を行うことでより正確な補正値を得ることができる。
【0022】
制御部11は、入力軸12xの回転と負荷部18を介して出力軸12yにかける負荷とを制御するとともに、入力軸12xの回転位置と出力軸12yの回転位置との誤差を検出する。具体的には、制御部11は、入力軸エンコーダ12aが検出した入力軸12xの回転位置に基づいて算出される出力軸12yの回転位置と、出力軸エンコーダ12dが検出した出力軸12yの回転位置との差を算出することにより、入力軸12xの回転位置と出力軸12yの回転位置との誤差を検出する。
【0023】
ここでいう誤差とは、上述した入力軸エンコーダ12aが検出した入力軸12xの回転位置に基づいて算出される出力軸12yの回転位置、すなわち、理想的な出力軸12yの回転位置に対しての、出力軸エンコーダ12dが検出した出力軸12yの回転位置、すなわち、実際に測定された出力軸12yの回転位置の、誤差である。
【0024】
なお、制御部11が、入力軸エンコーダ12aが検出した入力軸12xの回転位置に基づいて算出される出力軸12yの回転位置を算出するには、動力伝達装置12cの予め定められている比率を用いて、算出される。
【0025】
または、制御部11は、負荷部18を介して出力軸12yに負荷をかけた場合とかけない場合との差に基づいて、入力軸12xの回転位置と出力軸12yの回転位置との誤差を検出してもよい。すなわち、制御部11は、出力軸12yにかける負荷を無負荷とした状態で検出した入力軸12xまたは出力軸12yの回転位置と、負荷をかけた状態で検出した入力軸12xまたは出力軸12yの回転位置との差を、それぞれの場合において、入力軸エンコーダ12aが検出した入力軸12xの回転位置に基づいて算出される出力軸12yの回転位置が同じ回転位置で算出し、この算出した差を、各角度位置における誤差として検出してもよい。
【0026】
ここでいう誤差とは、上述した誤差に、更に、負荷がある場合とない場合とにおける誤差を含めた、誤差である。
【0027】
また、制御部11は、負荷制御装置17を介して負荷機16に印加する電圧または電流に基づいて、負荷機16が出力軸12yにかける負荷を算出し、当該算出した負荷に基づいて、負荷機16による出力軸12yにかける負荷を制御する。
【0028】
次に、図2と図3とを用いて、制御部11の構成の一例について説明する。なお、以降の図において、対応する構成には同一の符号を付け、その説明を省略する。
【0029】
まず、図2に示すように、制御部11は、コンピュータ19と、制御器(入力軸制御部)11aと、計測器11bと、モータドライバ11cと、負荷制御部11dと、登録部11eと、を備えている。
【0030】
また、図3に示すように、このコンピュータ19は、CPU19aと、RAM19bと、記憶部19cと、バスインタフェース19dと、を備えている。CPU19aは、たとえば、CPU(Central Processing Unit)であり、コンピュータ19内の各構成を制御する。RAM19bは、たとえば、RAM(Random Access Memory)であり、コンピュータ19で処理される情報を、一時的に記憶する場合に用いられる。
【0031】
記憶部19cは、試験プログラム記憶部19c1と、パターン記憶部19c2と、結果記憶部19c3とを、備えている。この記憶部19cは、たとえば、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリや、CD−ROM等の読み出しのみが可能な記憶媒体、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成されている。
【0032】
試験プログラム記憶部19c1には、本実施形態においてエンコーダ12を試験するためのプログラムであって、制御部11内の上述した各構成を制御するプログラムが予め記憶されている。CPU19aは、試験プログラム記憶部19c1から読み出したプログラムに基づいて、制御部11内の上述した各構成を制御する。
【0033】
パターン記憶部19c2には、入力軸12xの回転位置を示す第1情報と関連付けて、負荷部18を介して出力軸12yにかける負荷を示す第2情報が予め記憶されている。このパターン記憶部19c2には、たとえば、第1情報と関連付けられて、複数のパターンの第2情報が予め記憶されている。また、このパターン記憶部19c2には、第1情報と関連付けて、エンコーダ12が使用される場合に生じる負荷に基づいた第2情報が予め記憶されている。このパターンは、たとえば、エンコーダ12が実際に使用される場合に、エンコーダ12の出力軸12yにかかる負荷を再現するようにして、予め作成されている。
【0034】
たとえば、図4(b)、図5(b)、図6(b)、および、図7(b)に示すように、パターン記憶部19c2には、第1情報と関連付けられて、複数のパターンの第2情報が予め記憶されている。
【0035】
図4(b)は、たとえば、出力軸12yにかける負荷が無負荷の場合に、パターン記憶部19c2に記憶されているパターンである。なお、たとえば、上述したように、制御部11は、出力軸12yにかける負荷を無負荷とする状態で検査する場合があるが、この場合、制御部11は、この図4(b)に示すパターンを用いるようにしてもよい。
【0036】
図5(b)は、たとえば、出力軸12yにかける負荷が、出力軸12yの角度位置が0度から90度までは0であり、角度位置が90度から270度までは所定の値の固定値であり、角度位置が270度から360度までは0である場合に、パターン記憶部19c2に記憶されているパターンである。
【0037】
図6(b)は、たとえば、出力軸12yにかける負荷が、出力軸12yの角度位置が0度から80度までは0であり、80度から150度までは第1の所定の値から第2の所定の値まで線形に負荷が増大し、角度位置が150度から210度までは第2の所定の値で固定値であり、角度位置が210度から360度までは0である場合に、パターン記憶部19c2に記憶されているパターンである。
【0038】
図7(b)は、たとえば、出力軸12yにかける負荷が、出力軸12yの角度位置が0度から20度までは0であり、20度から100度までは0から第3の所定の値まで線形に負荷が増大し、100度から180度までは0から第3の所定の値まで線形に負荷が増大し、180度から260度までは0から第3の所定の値まで線形に負荷が増大し、260度から340度までは0から第3の所定の値まで線形に負荷が増大する場合に、パターン記憶部19c2に記憶されているパターンである。すなわち、図7(b)は、たとえば、出力軸12yにかける負荷が、ノコギリ状の場合に、パターン記憶部19c2に記憶されているパターンである。
【0039】
結果記憶部19c3には、後述する検出部19a1により検出された、計測器11bから入力された入力軸12xの回転位置と出力軸12yの回転位置との間の誤差が記憶される。また、この結果記憶部19c3には、パターンを示す情報ととともに、当該パターンの負荷をかけた場合に測定された誤差が、関連付けられて記憶されてもよい。
【0040】
たとえば、図4(b)に示すパターンの場合に検出された誤差が、図4(a)として、結果記憶部19c3には記憶される。また、たとえば、図5(b)に示すパターンの場合に検出された誤差が、図5(a)として、結果記憶部19c3には記憶される。また、たとえば、図6(b)に示すパターンの場合に検出された誤差が、図6(a)として、結果記憶部19c3には記憶される。また、たとえば、図7(b)に示すパターンの場合に検出された誤差が、図7(a)として、結果記憶部19c3には記憶される。
【0041】
図3に示すバスインタフェース19dは、図2に示した制御器11a、計測器11b、登録部11eと、自コンピュータ19とを接続させる。たとえば、CPU19aは、バスインタフェース19dを介して、図2の制御器11a、計測器11b、登録部11eと接続されており、バスインタフェース19dを介して、これら構成を制御する。
【0042】
図2の説明にもどり、制御器11aは、コンピュータ19に制御されて、パターン記憶部19c2から読み出した第1情報に基づいて入力軸12xの回転位置を制御する。たとえば、制御器11aは、モータドライバ11cを介して、モータ12bを制御して回転させることにより、入力軸12xの回転位置を制御する。モータドライバ11cは、制御器11aの制御に基づいて、モータ12bの種類や制御方法にあわせて、モータ12bを回転させる。
【0043】
負荷制御部11dは、コンピュータ19に制御されて、第1情報と関連付けられている第2情報をパターン記憶部19c2から読み出し、当該読み出した第2情報に基づいて、負荷部18を介して出力軸12yにかける負荷を制御する。また、負荷制御部11dは、複数のパターンのうちから選択されたいずれかのパターンの第2情報に基づいて、負荷部18を介して出力軸12yにかける負荷を制御する。本実施形態においては、負荷制御部11dは、複数のパターンから順に選択されたパターンの第2情報に基づいて、負荷部18を介して出力軸12yにかける負荷を制御する。
【0044】
計測器11bは、第1エンコーダ12aから入力軸12xの角度位置を示す第1信号を入力され、この入力された第1信号を、CPU19aが読み取れるような形式に変換して、入力軸12xの回転位置としてCPU19aに出力する。また、計測器11bは、第2エンコーダ12dから出力軸12yの角度位置を示す第2信号を入力され、この入力された第2信号を、CPU19aが読み取れるような形式に変換して、出力軸12yの回転位置としてCPU19aに出力する。
【0045】
たとえば、計測器11bは、入力された第1信号および第2信号を、それぞれAD変換してもよい。また、この計測器11bは、たとえば、第1信号および第2信号を、それぞれ内挿処理して、入力軸12xの回転位置と出力軸12yの回転位置とを求めるようにしてもよい。
【0046】
図3に示すCPU19aが有する検出部19a1は、計測器11bから入力された入力軸12xの回転位置と出力軸12yの回転位置との間の誤差を検出する。この検出部19a1は、検出した誤差を、結果記憶部19c3に記憶させる。なお、この検出部19a1は、検出した誤差を、結果記憶部19c3に記憶させる場合に、当該選択されたパターンを示す情報とともに、このパターンを用いて検出された誤差を、結果記憶部19c3に記憶させる。
【0047】
図2に示す登録部11eは、検出された誤差をエンコーダ12またはエンコーダ12を制御する上位制御装置に登録する。たとえば、図3に示すCPU19aが結果記憶部19c3に記憶された結果を読み出し、CPU19aが、この読み出した結果を、登録部11eを介して、エンコーダ12またはエンコーダ12を制御する上位制御装置に登録させる。
【0048】
次に、図8を用いて、上述した試験装置1の動作の一例を説明する。ここでは、制御部11が、負荷部18を介して出力軸12yに負荷をかけた場合とかけない場合との差に基づいて、入力軸12xの回転位置と出力軸12yの回転位置との誤差を検出する場合について説明する。
【0049】
まず、制御部11のコンピュータ19において、CPU19aは、記憶部19cの試験プログラム記憶部19c1に格納されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムを実行することにより、その後の処理を順に実行する(ステップS1)。
【0050】
次に、CPU19aは、記憶部19cのパターン記憶部19c2から順に読み出して選択したパターンに基づいて、まず、負荷部18による負荷をエンコーダ12の出力軸12yにかけない状態で、制御器11aを介して、エンコーダ12を正転逆転の回転駆動をさせる(ステップS2)。
【0051】
たとえば、CPU19aは、記憶部19cのパターン記憶部19c2から読み出した図4(b)に示したパターンに基づいて、負荷部18による負荷をエンコーダ12の出力軸12yにかけない状態で、制御器11aを介して、エンコーダ12を正転逆転の回転駆動をさせる。
【0052】
次に、CPU19aは、出力軸エンコーダ12dからの角度信号と入力軸エンコーダ12aからの角度信号を計測部11bとを、計測器11bを介して読み取り、読み取った信号を、コンピュータ19内の記憶部(たとえば、RAM19b)に記憶する(ステップS3)。
【0053】
次に、CPU19aは、負荷部18を用いた測定を行う。たとえば、CPU19aは、負荷制御部11dを介して負荷制御装置17に指令を出して、負荷機16への電流値を変更した後、エンコーダ12を回転させる(ステップS4)。
【0054】
たとえば、CPU19aは、記憶部19cのパターン記憶部19c2から図5(b)、図6(b)、および、図7(b)に示したパターンを順に読み出し、この読み出して選択したパターンに基づいて、負荷制御部11dを介して負荷制御装置17に指令を出して、負荷機16への電流値を変更した後、エンコーダ12を回転させる。
【0055】
なお、このステップS4において、CPU19aは、ステップS3の場合と同様に、出力軸エンコーダ12dからの角度信号と入力軸エンコーダ12aからの角度信号を、コンピュータ19内の記憶部(たとえば、RAM19b)に記憶する。
【0056】
上述したように、本実施形態による試験装置1は、負荷機16としてサーボモータを使用している。そして、外部からの力で回転した時、サーボモータから出る電流値を測定し、サーボモータのトルク定数と測定した電流値を乗算した値を負荷(負荷トルク)値としている。よって、この場合、CPU19aは、実際にエンコーダ12に加えている負荷に基づいて、負荷制御部11dを介して、負荷機16としてサーボモータを制御することができる。
【0057】
次に、CPU19aは、記憶部(たとえば、RAM19b)内に記憶されている最初の測定(ステップS2での無負荷の場合の測定)の値と、負荷機16を用いた測定(ステップS4で負荷をかけた場合の測定)の値とを、比較する(差を算出する)(ステップS5)。
【0058】
これは、たとえば、取り付け誤差や、バックラッシュや、負荷変動の影響で、出力軸エンコーダ12dの角度信号にズレが発生する可能性があるためである。そして、CPU19aは、この値をコンピュータ19内部の記憶部で入力軸エンコーダ12aの値を基に、出力軸エンコーダ12dのズレ量を算出し補正値を算出する。
【0059】
次に、CPU19aは、上述したステップS4の操作と同様に、コンピュータ19からの負荷制御装置17へ指令を出して別の電流値に変更し、負荷部18を用いた測定を何度か繰り返し行う(ステップS6)。
【0060】
最終的に、CPU19aは、負荷を加えた状態で補正値を算出し、この補正値を、エンコーダ12内部にある記憶部、または、エンコーダ12を制御する上位装置が有する記憶部に、登録部11eを介して書き込みを行う(ステップS7)。
【0061】
このようにエンコーダ12ごとの補正値が記憶されることになる。そして、このエンコーダ12を実際に用いる場合に、エンコーダ12、または、エンコーダ12を制御する上位装置が、この記憶されている補正値により、入力軸の回転位置に基づいて出力軸の回転位置を補正する。
【0062】
これにより、本実施形態による試験装置1によりエンコーダ12ごとの補正値が記憶されたエンコーダ12は、動力伝達装置のバックラッシュや負荷変動等が原因となり、入力軸の回転位置と出力軸の回転位置との間には誤差が生じる可能性がある場合であっても、入力軸の回転位置を制御することにより、出力軸の回転位置を制御することが可能となる。
【0063】
上述した第1実施形態による試験装置1によれば、入力軸12xの回転に応じて出力軸12yが動力伝達装置12cを介して回転するエンコーダ12を試験する試験装置1の制御部11が、入力軸12xの回転を制御するとともに、入力軸12xの回転位置と出力軸12yの回転位置との誤差を検出する。これにより、第1実施形態による試験装置1は、入力軸12xの回転に応じて出力軸12yが動力伝達装置12cを介して回転するエンコーダ12について、入力軸12xの回転位置と出力軸12yの回転位置との誤差を検出することができる。
【0064】
なお、上述した負荷機16は、たとえば、減速機付きサーボモータで構成されていることが好ましい。これは、次のような理由のためである。エンコーダ12は動力伝達装置12cを使用しているため、エンコーダ12の出力軸12yには、大きなトルクが発生する。このため、このエンコーダ12の出力軸12yに付加をかける負荷機16には、大きな負荷トルクが必要になる。このように、負荷機もこれに見合う大きな負荷トルクを発生する必要があるため、減速機付きサーボモータを使用している。なお、サーボモータ側では、減速比分だけ増速されることになるので、高速で速やかに回転する必要があり、サーボモータを使用することで正確な負荷トルクを発生することが出来る。
【0065】
また、上述した第1実施形態によれば、負荷機および電子負荷装置は、コンピュータなどを用いた制御装置により制御されているので、プログラムの設定により負荷装置による負荷量を可変させながら、2つのエンコーダ誤差検出が可能である。また、この誤差量から出力軸エンコーダの補正量を算出し、モータ側入力エンコーダへの補正値入力が可能である。
【0066】
なお、たとえば、試験装置が試験対象とするエンコーダが、ロボット等に用いられる場合には、このエンコーダを試験するための負荷変動のパターン数は膨大となる。そして、試験装置が、この膨大なパターン数の負荷変動について誤差を測定するには、多くの時間を要する可能性がある。
【0067】
上述した第1実施形態による試験装置1によれば、予め設定された複数のパターンの中から順に選択されたパターンによって、試験を行う。よって、膨大なパターン数がある場合であっても、容易に、かつ、短時間で、試験することができる。
【0068】
<第2実施形態>
次に図9を用いて、第2実施形態による試験装置1の構成について説明する。この図9に示す第2実施形態においては、図1に示す第1実施形態による試験装置1に、更に、トルク検出器(負荷検出器)21が取り付けられている。例えば、図1に示す軸継手13と負荷機16との間にトルク検出器21と第2軸継手20とを取り付け、トルク検出器21と制御部11とは、ケーブルによって接続されている。
【0069】
具体的には、トルク検出器21の第1の接続端子には、軸継手13を介して、エンコーダ12の出力軸12yが接続されている。そして、トルク検出器21の第2の接続端子には、第2軸継手20を介して、負荷機16が接続されている。そして、このトルク検出器21は、第1の接続端子と第2の接続端子との間のねじれに基づいて負荷を検出し、この検出した負荷を出力する。
【0070】
このようにして、トルク検出器21は、出力軸12yと負荷部18との間に、出力軸12yにかかる負荷を測定する。また、制御部11は、トルク検出器21が測定した負荷に基づいて、負荷部18を介して出力軸12yにかける負荷を制御する。
【0071】
トルク検出器21とコンピュータ19との接続として、たとえば、図10に示す様にトルク検出器21をコンピュータ19に接続する。これ以外に、トルク検出器21を、制御器11aや計測器11bに接続してもよい。
【0072】
図1の第1実施形態では、サーボモータのトルク定数と測定した電流値を乗算した値を、エンコーダ12の出力軸12yにかける負荷トルク値としているが、実際にはモータが回転することで生じる摩擦トルクや、減速機が回転することで生じる摩擦トルクなどを加味して負荷トルクを決定しないと、正確な負荷トルクを加える事ができない可能性がある。このような場合、エンコーダ12の出力軸12yに、高精度の負荷トルクを加えるには、トルク検出器を取り付けると好適である。
【0073】
この第2実施形態では、軸継手13と負荷機16との間に、トルク検出器21を取り付けることにより、負荷機16で発生している負荷トルクを直接に高精度な実測値を用いて試験ができる。
【0074】
次に、図9に示す第2実施形態による試験装置1の動作を説明する。主な動作は図8を用いて説明した第1実施形態による試験装置1の動作と同様であるが、図8のステップS4における負荷トルクの制御時において、負荷制御装置17の電流値と負荷機16のサーボモータのトルク定数を乗算した値を用いず、トルク検出器21にコンピュータ19から指令を出し、より正確な実測負荷トルク値をトルク検出器21からコンピュータ19へ送るようにする点が異なる。
【0075】
上述したように、第2実施形態による試験装置1は、トルク検出器21を備えていることにより、モータが回転することで生じる摩擦トルクや、減速機が回転することで生じる摩擦トルクなどを加味して負荷トルクを決定しないと、正確な負荷トルクを加える事ができない可能性がある場合であっても、エンコーダ12の出力軸12yに、正確な負荷トルクを加える事ができる。よって、エンコーダ12の試験を、より正確にできる。
【0076】
<第3実施形態>
次に、図11を用いて、第3実施形態による試験装置1の構成について説明する。この図11に示す第3実施形態においては、図1に示す第1実施形態による試験装置1に、更に、エンコーダ12の入力軸xの回転角度を正確に検出する第1基準エンコーダ23が追加されている。
【0077】
この第1基準エンコーダ23は、試験する段階のみエンコーダ12に取り付けられるエンコーダであり、入力軸エンコーダ12aよりも高精度のエンコーダである。そして、第3実施形態による試験装置1は、この第1基準エンコーダ23の角度信号を基準にして減速機の角度誤差や組み立て誤差を測定する。
【0078】
このように、第1基準エンコーダ23は、入力軸12xの回転位置を検出する。そして、制御部11は、第1基準エンコーダ23が検出した入力軸12xの回転位置に基づいて、入力軸12xの回転位置と出力軸12yの回転位置との誤差を検出する。
【0079】
このような第1基準エンコーダ23を使用することにより、入力軸エンコーダ12aの回転角度誤差やモータ12bへの取り付け誤差の影響が無くなり、さらに高精度で角度誤差を検出できるという特徴がある。
【0080】
次に、図9に示す第3実施形態による試験装置1の動作を説明する。主な動作は図8を用いて説明した第1実施形態による試験装置1の動作と同様であるが、図8のステップS3における出力軸エンコーダ12dからの角度信号と入力軸エンコーダ12aからの角度信号とを、コンピュータ19内の記憶部に記憶する際、追加した第1基準エンコーダ23の角度信号も同時にコンピュータ19内の記憶部に取り込む点が異なる。
【0081】
そして、図8のステップS5において、CPU19aは、追加した第1基準エンコーダ23の角度信号を用いることにより、入力軸エンコーダ12aがもつ角度誤差を検出する。また、図8のステップS7において、CPU19aは、エンコーダ12内部にある記憶部、または、エンコーダ12を制御する上位制御装置が有する記憶部に、書き込む。
【0082】
このような第1基準エンコーダを使用することにより、入力軸エンコーダ12aの回転角度誤差やモータ12bへの取り付け誤差の影響が無くなり、さらに高精度で角度誤差を検出できるという特徴がある。
【0083】
なお、上記に説明した第3実施形態においては、エンコーダ12の入力軸xの回転角度を正確に検出する第1基準エンコーダ23を備える場合について説明したが、エンコーダ12の出力軸12yの回転角度を正確に検出する第2基準エンコーダを備えるようにしてもよい。
【0084】
すなわち、出力軸12yの回転位置を検出する第2基準エンコーダを備えるようにしてもよい。そして、制御部11は、第2基準エンコーダ12が検出した出力軸12yの回転位置に基づいて、入力軸12xの回転位置と出力軸12yの回転位置との誤差を検出するようにしてもよい。
【0085】
このような第2基準エンコーダを使用することにより、出力軸エンコーダ12dの回転角度誤差やモータ12bへの取り付け誤差の影響が無くなり、さらに高精度で角度誤差を検出できるという特徴がある。
【0086】
なお、本実施形態による試験装置1として、第3の実施形態においては、上述した第1基準エンコーダと第2基準エンコーダとのうちいずれか一方のみを用いてもよいし、両方を組み合わせて用いてもよい。また、本実施形態による試験装置1として、第1から第3の実施形態を、それぞれ、任意に組み合わせて用いてもよい。
【0087】
なお、負荷制御部11dは、複数のパターンから所定のパターンと同一又は類似するパターンの第2情報に基づいて、負荷部18を介して出力軸12yにかける負荷を制御してもよい。たとえば、パターン記憶部19c2には、入力軸12xの回転位置を示す第1情報と関連付けて、負荷部18を介して出力軸12yにかける負荷を示す第2情報が予め記憶されているが、このパターンとして、同一又は類似する第1パターンと第2パターンとがあるとしてもよい。
【0088】
そして、制御部11は、パターン記憶部19c2から読み出した第1パターンと第2パターンとに基づいて、それぞれ測定する。その後、制御部11は、第1パターンで測定した結果と、第2パターンで測定した結果との差を求めて、これを誤差とする。このようにすることにより、試験装置1は、同一のパターンにおける誤差、または、類似しているパターン間の誤差に基づいて、エンコーダ12の誤差を検出することができる。
【0089】
また、上述した実施形態の説明では、電子負荷装置と負荷機を用いた装置を述べたが、負荷として磁性流体や摩擦負荷などを用いてもよい。
【0090】
なお、上述したように、制御部11はメモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、制御部11の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよいし、また、この制御部11は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよい。
【0091】
また、図1における制御部11の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、制御部11による上述した処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0092】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0093】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0094】
11…制御部、11a…制御器(入力軸制御部)、11b…計測器、11c…モータドライバ、11d…負荷制御部、11e…登録部、12…エンコーダ、12a…入力軸エンコーダ(第1エンコーダ)、12b…モータ12b…動力伝達装置、12d…出力軸エンコーダ(第2エンコーダ)、12x…入力軸、12y…出力軸、13…軸継手、16…負荷機、17…負荷制御装置、18…負荷部、19…コンピュータ、20…第2軸継手、23…第1基準エンコーダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸の回転に応じて出力軸が動力伝達装置を介して回転するエンコーダを試験する試験装置であって、
前記入力軸の回転を制御するとともに、前記入力軸の回転位置と前記出力軸の回転位置との誤差を検出する制御部、
を備えることを特徴とする試験装置。
【請求項2】
前記出力軸に負荷をかける負荷部、
を備え、
前記制御部は、
前記入力軸の回転と前記負荷部を介して前記出力軸にかける負荷とを制御するとともに、前記入力軸の回転位置と前記出力軸の回転位置との誤差を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の試験装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記負荷部を介して前記出力軸に負荷をかけた場合とかけない場合との差に基づいて、前記入力軸の回転位置と前記出力軸の回転位置との誤差を検出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の試験装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記入力軸の回転位置を示す第1情報と関連付けて、前記負荷部を介して前記出力軸にかける負荷を示す第2情報が予め記憶されている記憶部と、
前記記憶部から読み出した第1情報に基づいて前記入力軸の回転位置を制御する入力軸制御部と、
前記第1情報と関連付けられている前記第2情報を読み出し、当該読み出した第2情報に基づいて、前記負荷部を介して前記出力軸にかける負荷を制御する負荷制御部と、
前記入力軸の回転位置と前記出力軸の回転位置との間の誤差を検出する検出部と、
を備えることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の試験装置。
【請求項5】
前記記憶部には、
前記第1情報と関連付けられて、複数のパターンの前記第2情報が予め記憶されており、
前記負荷制御部は、
前記複数のパターンのうちから選択されたいずれかのパターンの前記第2情報に基づいて、前記負荷部を介して前記出力軸にかける負荷を制御する、
ことを特徴とする請求項4に記載の試験装置。
【請求項6】
前記負荷制御部は、
前記複数のパターンから順に選択されたパターンの前記第2情報に基づいて、前記負荷部を介して前記出力軸にかける負荷を制御する、
ことを特徴とする請求項5に記載の試験装置。
【請求項7】
前記負荷制御部は、
前記複数のパターンから所定のパターンと同一又は類似するパターンの前記第2情報に基づいて、前記負荷部を介して前記出力軸にかける負荷を制御する、
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の試験装置。
【請求項8】
前記記憶部には、
前記第1情報と関連付けて、前記エンコーダが使用される場合に生じる負荷に基づいた前記第2情報が予め記憶されている、
ことを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項9】
前記負荷部は、
前記制御部からの制御に基づいて、前記出力軸に負荷をかける負荷機、
を備えており、
前記制御部は、
前記負荷機に印加する電圧または電流に基づいて、前記負荷機が前記出力軸にかける負荷を算出し、当該算出した負荷に基づいて、前記負荷機による前記出力軸にかける負荷を制御する、
ことを特徴とする請求項2から請求項8のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項10】
前記負荷機は、
前記制御部からの制御に基づいて、前記出力軸の1回転内における任意の角度位置において、当該角度位置に対応する負荷を前記出力軸にかける、
ことを特徴とする請求項9に記載の試験装置。
【請求項11】
前記負荷部は、
前記制御部からの制御に基づいて、前記負荷機を制御する負荷制御装置、
を備えており、
前記負荷制御装置は、
前記制御部からの制御に基づいて、前記出力軸の1回転内における任意の角度位置において、前記負荷機を制御する、
ことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の試験装置。
【請求項12】
前記負荷制御装置は、
電子負荷装置である、
ことを特徴とする請求項11に記載の試験装置。
【請求項13】
前記負荷機は、
サーボモータである、
ことを特徴とする請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項14】
前記出力軸と前記負荷部との間に、前記出力軸にかかる負荷を測定する負荷検出器、
を備え、
前記制御部は、
前記負荷検出器が測定した負荷に基づいて、前記負荷部を介して前記出力軸にかける負荷を制御する、
ことを特徴とする請求項2から請求項13のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項15】
前記負荷部と前記出力軸とを接続する軸継手、
を備えることを特徴とする請求項2から請求項14のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項16】
前記エンコーダは、
前記入力軸の回転位置を検出する第1エンコーダと、
前記出力軸の回転位置を検出する第2エンコーダと、
を備えており、
前記制御部は、
前記第1エンコーダが検出した前記入力軸の回転位置に基づいて算出される前記出力軸の回転位置と、前記第2エンコーダが検出した前記出力軸の回転位置との差を算出することにより、前記入力軸の回転位置と前記出力軸の回転位置との誤差を検出する、
ことを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項17】
前記入力軸の回転位置を検出する第1基準エンコーダ、
を備え、
前記制御部は、
前記第1基準エンコーダが検出した前記入力軸の回転位置に基づいて、前記入力軸の回転位置と前記出力軸の回転位置との誤差を検出する、
ことを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項18】
前記出力軸の回転位置を検出する第2基準エンコーダ、
を備え、
前記制御部は、
前記第2基準エンコーダが検出した前記出力軸の回転位置に基づいて、前記入力軸の回転位置と前記出力軸の回転位置との誤差を検出する、
ことを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項19】
前記検出された誤差を前記エンコーダに登録する登録部、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項20】
入力軸の回転に応じて出力軸が動力伝達装置を介して回転するエンコーダを試験する試験装置において用いられる試験方法であって、
制御部が、前記入力軸の回転を制御するとともに、前記入力軸の回転位置と前記出力軸の回転位置との誤差を検出する、
ことを特徴とする試験方法。
【請求項1】
入力軸の回転に応じて出力軸が動力伝達装置を介して回転するエンコーダを試験する試験装置であって、
前記入力軸の回転を制御するとともに、前記入力軸の回転位置と前記出力軸の回転位置との誤差を検出する制御部、
を備えることを特徴とする試験装置。
【請求項2】
前記出力軸に負荷をかける負荷部、
を備え、
前記制御部は、
前記入力軸の回転と前記負荷部を介して前記出力軸にかける負荷とを制御するとともに、前記入力軸の回転位置と前記出力軸の回転位置との誤差を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の試験装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記負荷部を介して前記出力軸に負荷をかけた場合とかけない場合との差に基づいて、前記入力軸の回転位置と前記出力軸の回転位置との誤差を検出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の試験装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記入力軸の回転位置を示す第1情報と関連付けて、前記負荷部を介して前記出力軸にかける負荷を示す第2情報が予め記憶されている記憶部と、
前記記憶部から読み出した第1情報に基づいて前記入力軸の回転位置を制御する入力軸制御部と、
前記第1情報と関連付けられている前記第2情報を読み出し、当該読み出した第2情報に基づいて、前記負荷部を介して前記出力軸にかける負荷を制御する負荷制御部と、
前記入力軸の回転位置と前記出力軸の回転位置との間の誤差を検出する検出部と、
を備えることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の試験装置。
【請求項5】
前記記憶部には、
前記第1情報と関連付けられて、複数のパターンの前記第2情報が予め記憶されており、
前記負荷制御部は、
前記複数のパターンのうちから選択されたいずれかのパターンの前記第2情報に基づいて、前記負荷部を介して前記出力軸にかける負荷を制御する、
ことを特徴とする請求項4に記載の試験装置。
【請求項6】
前記負荷制御部は、
前記複数のパターンから順に選択されたパターンの前記第2情報に基づいて、前記負荷部を介して前記出力軸にかける負荷を制御する、
ことを特徴とする請求項5に記載の試験装置。
【請求項7】
前記負荷制御部は、
前記複数のパターンから所定のパターンと同一又は類似するパターンの前記第2情報に基づいて、前記負荷部を介して前記出力軸にかける負荷を制御する、
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の試験装置。
【請求項8】
前記記憶部には、
前記第1情報と関連付けて、前記エンコーダが使用される場合に生じる負荷に基づいた前記第2情報が予め記憶されている、
ことを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項9】
前記負荷部は、
前記制御部からの制御に基づいて、前記出力軸に負荷をかける負荷機、
を備えており、
前記制御部は、
前記負荷機に印加する電圧または電流に基づいて、前記負荷機が前記出力軸にかける負荷を算出し、当該算出した負荷に基づいて、前記負荷機による前記出力軸にかける負荷を制御する、
ことを特徴とする請求項2から請求項8のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項10】
前記負荷機は、
前記制御部からの制御に基づいて、前記出力軸の1回転内における任意の角度位置において、当該角度位置に対応する負荷を前記出力軸にかける、
ことを特徴とする請求項9に記載の試験装置。
【請求項11】
前記負荷部は、
前記制御部からの制御に基づいて、前記負荷機を制御する負荷制御装置、
を備えており、
前記負荷制御装置は、
前記制御部からの制御に基づいて、前記出力軸の1回転内における任意の角度位置において、前記負荷機を制御する、
ことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の試験装置。
【請求項12】
前記負荷制御装置は、
電子負荷装置である、
ことを特徴とする請求項11に記載の試験装置。
【請求項13】
前記負荷機は、
サーボモータである、
ことを特徴とする請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項14】
前記出力軸と前記負荷部との間に、前記出力軸にかかる負荷を測定する負荷検出器、
を備え、
前記制御部は、
前記負荷検出器が測定した負荷に基づいて、前記負荷部を介して前記出力軸にかける負荷を制御する、
ことを特徴とする請求項2から請求項13のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項15】
前記負荷部と前記出力軸とを接続する軸継手、
を備えることを特徴とする請求項2から請求項14のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項16】
前記エンコーダは、
前記入力軸の回転位置を検出する第1エンコーダと、
前記出力軸の回転位置を検出する第2エンコーダと、
を備えており、
前記制御部は、
前記第1エンコーダが検出した前記入力軸の回転位置に基づいて算出される前記出力軸の回転位置と、前記第2エンコーダが検出した前記出力軸の回転位置との差を算出することにより、前記入力軸の回転位置と前記出力軸の回転位置との誤差を検出する、
ことを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項17】
前記入力軸の回転位置を検出する第1基準エンコーダ、
を備え、
前記制御部は、
前記第1基準エンコーダが検出した前記入力軸の回転位置に基づいて、前記入力軸の回転位置と前記出力軸の回転位置との誤差を検出する、
ことを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項18】
前記出力軸の回転位置を検出する第2基準エンコーダ、
を備え、
前記制御部は、
前記第2基準エンコーダが検出した前記出力軸の回転位置に基づいて、前記入力軸の回転位置と前記出力軸の回転位置との誤差を検出する、
ことを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項19】
前記検出された誤差を前記エンコーダに登録する登録部、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項20】
入力軸の回転に応じて出力軸が動力伝達装置を介して回転するエンコーダを試験する試験装置において用いられる試験方法であって、
制御部が、前記入力軸の回転を制御するとともに、前記入力軸の回転位置と前記出力軸の回転位置との誤差を検出する、
ことを特徴とする試験方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−22069(P2011−22069A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168826(P2009−168826)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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