説明

詰め替え用器具、及び詰め替え用器具を備えた容器

【課題】 容器内の液体をこれと異なる容器に詰め替えをする際に、液体が零れる可能性が極めて低くくできる詰め替え用器具を提供。
【解決手段】 全体がエラストマーにより構成されたチューブ形状のものであり、両端部分が中央部に比べて大きな拡大径部としてあると共に、一方の拡大径部には先端先細のテーパ状チューブ体が液密状態に接続され、他方の拡大径部は容器の注ぎ出し口部に液密状態に圧入されるようにしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
この発明は、容器内の液体をこれと異なる容器に詰め替えるための詰め替え用器具、及び詰め替え用器具を備えた容器に関するものである。
これらは、詰め替え用液体を収容した柔軟な袋状容器(簡易容器)から実際に使われる使用容器(硬質容器)への詰め替え、又は、大きな容器から小さな容器へ小分けするときに有効である。
【背景技術】
近年、シャンプー液を入れる容器は硬質樹脂により構成されており、キャップ部には手動ポンプが備えられたものとなっている。従来は、シャンプー液を使いきると、硬質容器及び手動ポンプを廃棄し、同様のものを新たに購入して使用していた。
ところで、近年、環境問題や資源の有効利用等の観点から、消費者は空になった硬質容器を捨ておかずに残しておき、簡易容器に入った詰め替え用シャンプー液などを購入して硬質容器に詰め替えるシステムに変わりつつある。
しかしながら、簡易容器は保形性に乏しいことから多くの場合、シャンプー液を硬質容器に詰め替える際に、シャンプー液をこぼしてしまうという問題があった。
上記問題は、一方の手で硬質容器が倒れないように支え、他方の手で保形性に乏しい簡易容器の開封口を硬質容器の開口部に位置させるようにしてシャンプー液を移し替なければならなかったからである。
上記問題を解決するものとしては、被詰め替え用容器体との連結構造を備えた詰め替えボトルがある(例えば、特許文献1。)。この構造を備えた詰め替え用ボトルは、図13に示すように、被詰め替え用容器体の口部9内に挿入可能な口頚部8を起立すると共に、口頚部8外周下部に、容器体口部9内周に嵌合可能で且つ口部嵌合状態で排気路aを形成する嵌合突部7を突設している。したがって、液の詰め替えに当たり、迅速に被詰め替え用の容器体内へ液の詰め替えを行えることができる。
しかしながら、上記連結構造では、口部9内に口頚部8を挿入する際に液が零れる可能性が高いと考えられる。
なお、上記した内容はシャンプー液を対象としたものであるが、簡易容器を使用する場合、液体の種類にかかわらず同様のことが言え、また、大きな容器から小さな容器へ小分けする場合にも同様のことが言える。
【特許文献1】特開2000−313422号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明では、容器内の液体をこれと異なる容器に詰め替えをする際に、液体が零れる可能性が極めて低くくできる詰め替え用器具を提供することを課題とする。
また、この発明では、容器内の液体をこれと異なる容器に詰め替えをする際に、液体が零れる可能性が極めて低くくできる詰め替え用器具を備えた容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
(請求項1記載の発明)
この発明の詰め替え用器具は、全体がエラストマーにより構成されたチューブ形状のものであり、両端部分が中央部に比べて大きな拡大径部としてあると共に前記した両方の拡大径部が各容器の注ぎ出し口部に液密状態に圧入されるものとしてある。
(請求項2記載の発明)
この発明の詰め替え用器具は、全体がエラストマーにより構成されたチューブ形状のものであり、両端部分が中央部に比べて大きな拡大径部としてあると共に、一方の拡大径部には先端先細のテーパ状チューブ体が液密状態に接続され、他方の拡大径部は容器の注ぎ出し口部に液密状態に圧入されるようにしてある。
(請求項3記載の発明)
この発明の詰め替え用器具は、上記請求項1又は2記載の発明に関し、両端部に位置する拡大径部相互は、同径又は異径であることを特徴とする請求項1又は2記載の詰め替え用器具。
(請求項4記載の発明)
この発明の詰め替え用器具を備えた容器は、詰め替え用液体を収容した容器の注ぎ出し口部に、薄いゴム材で構成された先端閉塞の袋状体を液密状態に融着して成り、前記袋状体の先端部分が切り取られることによりできた開封部分が他の容器の注ぎ出し口部に外挿されるものである。
【発明の効果】
この発明の詰め替え用器具によると、容器内の液体をこれと異なる容器に詰め替えをする際に、液体が零れる可能性が極めて低くくできる。
この発明の詰め替え用器具を備えた容器によると、容器内の液体をこれと異なる容器に詰め替えをする際に、液体が零れる可能性が極めて低くくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
以下にこの発明の詰め替え用器具、及び詰め替え用器具を備えた容器を実施するための最良の形態としての実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
図1はこの発明の実施例1の詰め替え用器具1の外観斜視図、図2は前記詰め替え用器具1の分解斜視図、図3は前記詰め替え用器具1を容器Yに取り付けた状態の外観斜視図、図4は前記詰め替え用器具1を容器Yに取り付けた状態の部分断面図、図5はテーパ状チューブ体4を簡易容器yの注ぎ出し口部mに圧入した状態の斜視図を示している。
(この詰め替え用器具1の構成について)
この詰め替え用器具1は、図1や図3に示すように、全体がエラストマー(常温で弾性を有するゴム又は樹脂)により構成されたチューブ体2と、前記チューブ体2に接続される硬質樹脂製のテーパチューブ体3とから構成されている。
チューブ体2は、図1や図2に示すように、中央部の細径部20と、両端部の拡大径部21,22とから構成されており、容器Yの注ぎ出し口部mの径が多少相違するものでも液漏れすることなく圧入接続できるようにすべく、優れた弾性を有する材料(例えば、各種ゴム等)で且つ構成壁の厚みを0.2〜1.0mm(好ましくは0.05〜1.0mm)程度に設定してある。ここで、上記拡大径部22は、その内径を注ぎ出し口部mの雄ネジ部を含めた直径よりも少し小径に設定してあり、また、拡大径部21は、図3や図4に示すようにその内径をテーパチューブ体3の最大径部(後述する鍔部30,31)の直径よりも少し小径に設定してある(図4参照)。また、この実施例では、細径部20の直径:拡大径部21,22の直径の比率を、1:2程度に設定してある。
なお、拡大径部21,22相互は同径であっても異径であってもよい。このことは、以下の実施例においても同様である。
テーパ状チューブ体3はポリプロピレン、ナイロン等の比較的硬質の合成樹脂により構成されており、図2や図4に示すように、拡大径部21に圧入される部分には当該拡大径部21の内径よりも少し大径の二本の鍔部30,31を設けてある。ここで、このテーパ状チューブ体3のテーパ角度は、10〜20°に設定してある。
(この詰め替え用器具1の使用態様について)
この詰め替え用器具1を使用して、詰め替え用液体(シャンプー液)を収容した柔軟な袋状容器yから実際に使われる使用容器Y(シャンプーのポンプ付き容器)への詰め替えを行う場合は以下のようにすればよい。
(1)テーパ状チューブ体3の二本の鍔部30,31が形成された部分を、拡大径部21内に押し込む。ここで、上述した如く、拡大径部21は、その内径をテーパチューブ体3の鍔部30,31の直径よりも少し小径に設定してあり、チューブ体2全体が優れた弾性を有する材料で且つ構成壁の厚みを上記程度に設定してあるから、拡大径部21の内周面と二本の鍔部30,31との間は液密状態となっている(図4参照)。したがって、拡大径部21の内周面と二本の鍔部30,31との間からシャンプー液が漏れるようなことはない。
(2)拡大径部22に使用容器Yの注ぎ出し口部mを圧入する。ここで、上述した如く、拡大径部22は、その内径を注ぎ出し口部mの雄ネジ部を含めた直径よりも少し小径に設定してあり、チューブ体2全体が優れた弾性を有する材料で且つ構成壁の厚みを上記程度に設定してあるから、拡大径部22の内周面と使用容器Yの注ぎ出し口部mとの間は液密状態となっている(図4参照)。したがって、拡大径部22の内周面と使用容器Yの注ぎ出し口部mとの間からシャンプー液が漏れるようなことはない。
(3)図5に示すように、テーパ状チューブ体3の先端側部分を袋状容器yの開封口k内に強く押し込む。このテーパ状チューブ体3のテーパ角度は、上記程度に設定してあることから、前記押込み力により、テーパ状チューブ体3の外周面と開封口kの構成面との間には間隙がなくなってしっかりと密着した状態となっている。
(4)前記(3)の密着状態を維持しながら、袋状容器yを上に、使用容器Yを下に位置させる。すると、テーパ状チューブ体3の先端開口部を介して、シャンプー液は袋状容器yから使用容器Yに流れ落ち、シャンプー液の詰め替え作業は完了する。なお、テーパ状チューブ体3の外周面と開封口kの構成面との間には間隙がなくなってしっかりと密着した状態となっているので、シャンプー液は漏れ落ちるようなことはない。
(5)なお、上記詰め替え用器具1を使用すると、大きな容器から小さな容器へ小分けできることは明らかである。
【実施例2】
図6はこの発明の実施例2の詰め替え用器具1により二つの容器Y1,Y2相互間に取り付けた状態の正面図、図7は前記詰め替え用器具1により二つの容器Y1,Y3相互間に取り付けた状態の正面図を示している。
この詰め替え用器具1は、実施例1に示されたチューブ体2のみで構成されており、図6や図7に示すように、チューブ体2の拡大径部21,22のうちの、一方を容器Y1の注ぎ出し口部mに対して外周液密状態に、他方を容器Y2(又は容器Y3)の注ぎ出し口部mに外周液密状態に、圧入接続したものである。なお、図6に示したものでは、容器Y1,Y2は同じ形態の硬質容器としているが、図7に示したものでは、容器Y1は硬質容器であり、容器Y3は簡易容器である。図7の容器Y3の注ぎ出し口部mは袋体からパイプ状のものを突出させて成るものであり、このパイプ状部分に拡大径部22を外周気密状態に圧入接続する。
【実施例3】
図8はこの発明の実施例3の詰め替え用器具1の外観斜視図、前記詰め替え用器具1の断面図、図10は前記詰め替え用器具1を折り畳んだ状態の断面図、図11は前記詰め替え用器具1を畳んだ状態の外観図を示している。
この詰め替え用器具1は、実施例1に示されたチューブ体2のみで構成されており、使用態様は実施例1や実施例2と同じである。
このチューブ体2は、図8や図9に示すように、中央部の細径部20と、両端部の拡大径部21,22とから構成されているが、この実施例のものでは拡大径部22の内径が拡大径部21の外径よりも大きくしてあると共に、細径部20が折り畳み可能な蛇腹状になっている。
したがって、この詰め替え用器具1では、細径部20を折り畳み、その後図10に示すように、拡大径部21を包囲すべく拡大径部22を折り返す(同図の矢印で示す)と、折り畳まれた細径部20及び拡大径部21の大部分が拡大径部22により包皮されることとなり、全体として非常にコンパクトになる。
【実施例4】
図12はこの発明の実施例の詰め替え用器具を備えた容器の正面図を示している。
この詰め替え用器具を備えた容器Y4は、図12に示すように、簡易容器の注ぎ出し口部mに、薄いゴム材で構成された先端閉塞の袋状体2’を外周気密状態に融着(融着部を符号28で示す)して成るものであり、前記袋状体2’の先端部分に開封用の切込み29を設けている。
この容器Y4では、切込み29を利用して開封した後、その開封部分を広げて他の容器の注ぎ出し口部に外挿すれば、上記実施例1と同等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1の詰め替え用器具の外観斜視図。
【図2】 前記詰め替え用器具の分解斜視図。
【図3】 前記詰め替え用器具を容器に取り付けた状態の外観斜視図。
【図4】 前記詰め替え用器具を容器に取り付けた状態の部分断面図。
【図5】 テーパ状チューブ体を簡易容器の排出口に圧入した状態の斜視図。
【図6】 この発明の実施例2の詰め替え用器具により二つの容器相互間に取り付けた状態の正面図。
【図7】 前記詰め替え用器具により二つの容器相互間に取り付けた状態の正面図。
【図8】 この発明の実施例3の詰め替え用器具の外観斜視図。
【図9】 前記詰め替え用器具の断面図。
【図10】 前記詰め替え用器具を畳んだ状態の断面図。
【図11】 前記詰め替え用器具を畳んだ状態の外観図。
【図12】 この発明の実施例の詰め替え用器具を備えた容器の正面図。
【図13】 従来の容器の断面図。
【符号の説明】
Y 容器
1 詰め替え用器具
2 チューブ体
20 細径部
21 拡大径部
22 拡大径部
3 テーパチューブ体
30 鍔部
31 鍔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体がエラストマーにより構成されたチューブ形状のものであり、両端部分が中央部に比べて大きな拡大径部としてあると共に前記した両方の拡大径部が各容器の注ぎ出し口部に液密状態に圧入されるものとしてあることを特徴とする詰め替え用器具。
【請求項2】
全体がエラストマーにより構成されたチューブ形状のものであり、両端部分が中央部に比べて大きな拡大径部としてあると共に、一方の拡大径部には先端先細のテーパ状チューブ体が液密状態に接続され、他方の拡大径部は容器の注ぎ出し口部に液密状態に圧入されるようにしてあることを特徴とする詰め替え用器具。
【請求項3】
両端部に位置する拡大径部相互は、同径又は異径であることを特徴とする請求項1又は2記載の詰め替え用器具。
【請求項4】
詰め替え用液体を収容した容器の注ぎ出し口部に、薄いゴム材で構成された先端閉塞の袋状体を液密状態に融着して成り、前記袋状体の先端部分が切り取られることによりできた開封部分が他の容器の注ぎ出し口部に外挿されることを特徴とする詰め替え用器具を備えた容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−119055(P2007−119055A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341070(P2005−341070)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(505437527)
【Fターム(参考)】