説明

話用の原稿表示フォーム

【課題】話の内容を書いた原稿を読む場合に抑揚をつけて話をできるような話用の原稿表示フォームを提供する。
【解決手段】1行ずつ話し言葉の文章が記述された話し言葉表示エリアと、文章で抑揚をつけるべき位置に対応して、文章に隣接して抑揚を表わす音楽記号を表示した抑揚表示エリアと、を有する。音楽記号には、少なくとも、強弱を表わす記号、休符記号のいずれかが含まれる。文章に隣接して、顔の表情を表わす顔文字表示エリアを更に有する。音楽記号は、拍子記号と休符記号により構成され、拍子と話し言葉を対応させて表示してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人前で話をするときに使用する原稿の表示フォームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
人前で話をするときに、予め作成しておいた原稿を読みながら話をすることがある。あるいは、予め原稿を作成して話の練習をすることがある。例えば、ピアノ演奏の発表会で、演奏の前や後に、演奏者が自己紹介をしたり、曲目の紹介を聴衆者の前で行うことがある。あるいは、発表会の司会者が演奏者の紹介や曲目の説明を行うことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特に子供が聴衆を前に話をするときに、原稿を棒読みにしがちであり、抑揚のない話し方になってしまうことが往々にしてある。
【0004】
そこで、本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、話の内容(話し言葉)を書いた原稿を読む場合に抑揚をつけて話をできるような話用の原稿表示フォームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明に係る話用の原稿表示フォームは、
1行ずつ話し言葉の文章が記述された話し言葉表示エリアと、
上記文章で抑揚をつけるべき位置に対応して、文章に隣接して抑揚を表わす音楽記号を表示した抑揚表示エリアと、を有することを特徴とするものである。
【0006】
この原稿表示フォームによれば、話し言葉の文章に隣接して音楽記号が表示されている。音楽記号としては、例えば、f(フォルテ)を表示すれば、その部分を強く(大きな声で)話すべきことが分かる。このような音楽記号は、学校の音楽の時間でも学習する一般的なものであり、ましてや楽器演奏を習っている子供たちにとっても容易に理解できるものである。このような音楽記号を文章と一緒に表示させておけば、実際に人前で話をするときにも自然に抑揚のついた話し方になり、生き生きとした話を人前ですることが可能になる。したがって、話の内容(話し言葉)を書いた原稿を読む場合に抑揚をつけて話をできるようになる。
【0007】
本発明において、前記音楽記号には、少なくとも、強弱を表わす記号、休符記号のいずれかが含まれることが好ましい。
【0008】
強弱を表わす記号としては、例えば、f(フォルテ)、アクセント、クレッシェンド、デクレッシェンドなどがあげられる。休符記号としては、例えば、4分休符があげられる。強弱を表わす記号により、特定の箇所で声を大きくしたり、徐々に声を大きくあるいは小さくしながら話をできるようになる。また、休符記号により、文章と文章の間に間を置くことができ、聞き手に対して抑揚のある話をできるように導くことができる。また、メリハリをつけて話ができるようになる。
【0009】
本発明において、上記文章に隣接して、顔の表情を表わす顔文字表示エリアを更に有することが好ましい。
【0010】
話をするときに表情が硬くなったりすると、聞き手の側にもあまり良い印象を与えない。そこで、例えば、微笑みを入れるべき個所などを顔文字で示すことにより、話すときの抑揚だけでなく、表情の豊かに話をすることができ、聞き手の側もリラックスして話を聞くことができる。
【0011】
本発明において、前記音楽記号は、拍子記号と休符記号により構成され、拍子と話し言葉を対応させて表示することが好ましい。
【0012】
音楽記号として、拍子記号と休符記号を用い、これらを話し言葉と対応させて表示することができる。このような表示フォームは、話し言葉を利用してリズム感を養うことに応用することができ、特に楽器演奏の初心者等に対してリズム感を上達させるのに役立たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態に係る表示フォームを示す図
【図2】第1実施形態に係る表示フォームを示す図
【図3】第2実施形態に係る表示フォームを示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る話用の原稿表示フォームの好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、原稿表示フォームの第1実施形態を示す図である。このような原稿表示フォームは、紙、シートなどの上に表記される。
【0015】
人前で話をする場合に、原稿を見ながら、あるいは原稿を手元に置いた状態で話をすることがある。例えば、ピアノやバイオリンなどの楽器の演奏会、発表会などで、演奏者が演奏に先立ち、あるいは、演奏が終了した後、自己紹介や曲目の紹介などを聴衆に対して行う。また、演奏会等の司会者が演奏者や曲目の紹介を行うこともある。
【0016】
かかる場合において、話をする人が子供の場合、原稿の棒読みになりがちであり、声の調子に抑揚がなく、聞き手に対してよい印象を与えられないことが多い。そこで、原稿の棒読みにならないように、原稿の表示フォームに工夫を行っている。
【0017】
具体的には、抑揚をつけやすくするために音楽記号を用いている。音楽記号には、強弱を表わす記号や休符記号がある。
図1(a)(b)に、文章例を2つ例示している。文章は話し言葉であり、横書きの日本語が1行ずつ記述されている。作成例(a)では、全部で7行構成の文章が示され、作成例(b)では、全部で8行構成の文章が話し言葉で書かれている。これらの文章が書かれている領域が、話し言葉表示エリアに相当するものである。
【0018】
作成例(a)において、「こんにちは」の左側に隣接して、音楽記号f(フォルテ)が表記されている。したがって、ここは大きな声で(強調して)話すことが分かる。さらに、「こんにちは」の右側に隣接して、笑顔マーク(顔文字)が表記されている。したがって、ここは微笑みながらしゃべることがわかる。
【0019】
1行目の文章の一番最後(右側)に4分音符の休符記号が表記されている。これにより、2行目の文章を話し始める前に一呼吸置くべきことがわかる。このような一呼吸を置くことで、落ち着いて話をさせるようにもできる。
【0020】
2行目の文章の「人形」の上にテヌート(−)がある。これは、若干ゆっくり目に話すことを示すものである。また、文章の一番最後に休符記号が2つ表記されている。これにより、3行目の文章を話し始める前に二呼吸置くべきことが分かる。文章と文章の間の切れ目の長さは、休符記号の種類や個数により表記することができる。
【0021】
3行目の文章の「女」の上に音楽記号としてアクセント記号が表記されている。これにより、この部分を強調(強く発音)すべきことが分かる。また、「くるみ割り人形」の下に隣接して、音楽記号としてクレッシェンドが表記されており、徐々に声を大きくして話をすべき個所であることを示している。また、「をもらいました」の下に隣接して、デクレッシェンドが表記されており、徐々に声を小さくして話をすべき個所であることを示している。
【0022】
4行目の文章の「すると」の箇所に、音楽記号としてスラーが表記されており、すこし音を伸ばして(例えば、「する〜と」)話すことを示している。5行目、6行目の文章にも、他と同様に休符記号、強調記号が表記されている。また、6行目の文章では、途中の「そこで」の次に、休符記号が表記されている。このように、文章の合間にも休符記号を入れることで、メリハリのある話し方をさせることができる。
【0023】
7行目の「こんぺいとう」の下には、音楽記号として(subit)が表記されている。これは、すぐに、という意味である。
【0024】
図1(b)の作成例も同様に、種々の音楽記号や顔文字が表記されている。また、話し言葉とは関係ない文章は<>でくくっている。
【0025】
図2は別の作成例である。五線譜の上に、話し言葉の文章が記述されている。ピアノ演奏の発表会でたくさんの子供が発表をする場合、話の内容のパターンを決めておくことがある。この作成例において、冒頭の音楽記号(con spirito)は、話をするときのスピードを示している。
【0026】
1行目の文章があいさつ、2行目〜3行目は、曲目の紹介(作曲者と曲名)、4行目は、作曲者の誕生した国を聴衆に問いかけるときの文章を示している。5行目の文章は曲の雰囲気を説明する文章である。6行目〜8行目は、聴衆に聞いてほしい点をアピールする文章である。9行目は作曲者の誕生した国を説明する文章であり、10行目〜12行目は、曲の生まれた由来を聴衆に説明するための文章である。
【0027】
文章中()で表記している空白部分は、発表者により異なるものであるが、その他の部分は共通して使用できる文章である。このような原稿を用意しておけば、共通して使用できるので原稿を準備する時間も省くことができ便利である。ここに例示される作成例においても、フォルテやクレッシェンド、デクレッシェンド等の強調記号、アクセント、休符記号、顔文字が表記されている。
【0028】
この図2の作成例では、五線譜の上に文章を記述しているので、音楽を学んでいる者にとってはなじみやすく、話の練習においても取り組みやすいということができる。
【0029】
図1、図2の作成例において、文章は1行ずつ表示されており、この表示されているエリアが話し言葉表示エリアに相当する。文章は日本語であるが、外国語(英語、中国語、韓国語、ドイツ語、フランス語など)の場合にも適用できるものである。
【0030】
音楽記号が表記されているエリアが抑揚表示エリアに相当するものである。表記されている音楽記号を見ながら、抑揚をつけて話をすることができるようになる。音楽記号とは、例示されているもの限定されるものではなく、種々の音楽記号を使用することができる。例えば、強弱を表わす記号としては、フォルテの他に、ff(フォルティッシモ)や、小さめの声で話した方がよい場合は、p(ピアノ)やpp(ピアニッシモ)などを用いることができる。
【0031】
音楽記号は、対応する文章に隣接して表記するのがよい。図1,2にも示しているように、文章の上下左右の任意の箇所に隣接して表記することができる。また、文章の中(例えば、図1(a)の6行目の文章における休符記号)に隣接して表記することもできる。要するに、対応関係が明確になるように表記すればよい。
【0032】
顔文字が表示されている領域が顔文字表示エリアに相当するものである。本実施形態では、1種類の顔文字(微笑み)のみを例示したが、顔文字には多数の種類があり、任意のものを使用することができる。実施形態では、文章の最後に顔文字を表記しているが、文章の途中に顔文字を挿入してもよい。
【0033】
<第2実施形態>
図3は、第2実施形態を示す図である。話し言葉の文章が表記されている行の上に、拍子記号と休符記号が表記されている。この表示フォームは、リズム感を養うために用いるものである。
【0034】
図3(a)(b)は4分の2拍子の例であり、(c)(d)は4分の3拍子の例である。話し言葉に対応して、拍子を表わす音楽記号が表示されている。話し言葉は、標準語よりも方言(図では関西弁を例示)が好ましい。「やっぱり」のように、促音「っ」の箇所は、休符記号を対応させ、その他は、1音に対して1つの8分音符が対応させられる。また、必要に応じてアクセント記号も表記できる。
【0035】
図3の表示フォームにより、話し言葉を発しながら拍子を取ることで、リズム感の上達に役立てることができる。特に、子供たちにとっては、楽しみながら学習に励むことができる。拍子に当てはめる話し言葉は、種々の例が考えられ、図示の言葉に限定されるものではない。また、図3の作成例では、五線譜が表示されていないが、五線譜の上に休符記号等を表示させてもよい。また、話し言葉は、音楽記号の上側に表記してもよい。
【0036】
<別実施形態>
本実施形態では、子供が音楽会での発表に用いる原稿の表示フォームとして説明したが、これに限定されるものではない。また、実際の本番で原稿を使用するか否かに限定されるものではなく、例えば、人前で話をするときの練習用の原稿表示フォームとしても使用できるものである。もちろん、子供が話すときだけでなく、大人の場合にも使用できるものである。したがって、音楽会における発表会だけでなく、演劇の発表会の練習用、結婚式や忘年会、歓迎会スピーチにおける原稿、記念行事における挨拶等、種々の場面において応用できるものである。
【0037】
音楽記号については、義務教育における音楽の時間においても学習するものであり、楽譜に精通している人のみが対象になるものでもなく、特に音楽に精通していなくても使用できるものである。
【0038】
原稿としては、紙、シート(樹脂製のフィルムシートなど)などに手書きもしくはパソコンで作成した文章を印刷したものを用いることができる。原稿の形(矩形、正方形、円形等)・大きさ(A5,A4,A3,B4等)も特定のものに限定されるものではない。
【0039】
原稿として、話し言葉を横書きで表記しているが、縦書きの場合にも応用できるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1行ずつ話し言葉の文章が記述された話し言葉表示エリアと、
上記文章で抑揚をつけるべき位置に対応して、文章に隣接して抑揚を表わす音楽記号を表示した抑揚表示エリアと、を有する話用の原稿表示フォーム。
【請求項2】
前記音楽記号には、少なくとも、強弱を表わす記号、休符記号のいずれかが含まれる請求項1に記載の話用の原稿表示フォーム。
【請求項3】
上記文章に隣接して、顔の表情を表わす顔文字表示エリアを更に有する請求項1又は2に記載の話用の原稿表示フォーム。
【請求項4】
前記音楽記号は、拍子記号と休符記号により構成され、拍子と話し言葉を対応させて表示した請求項1に記載の話用の原稿表示フォーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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