説明

誘引物質

本発明はダニ、特にチリダニ、をおびき出し、ある環境においては、殺傷する誘引物質に関する。本誘引物質は蟻酸ネリル及び/又はリモネンを含み、通常は、ダニを含む領域上に散布することが可能な粉末状に調製される。また、乾燥しうる液体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチリダニを罠で捕らえるのに有用な組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アレルギー誘発物質と関連性のある喘息といったアトピー性疾患は公衆衛生の問題となりつつあり、英国における喘息に費やされる現在の経済的コストは、ほぼ10億5千万ポンドと試算される(WHO、2006)。ヤケヒョウヒダニ(Trouessart)(ヨーロッパチリダニ)及びコナヒョウヒダニ(Hughes)(アメリカチリダニ)は先進諸国を通じて見出されており(Fain et al. 1990; Hart, 1995; Arlian and Morgan 2003)、アトピー性疾患を引き起こすアレルギー誘発物質を排出することが知られている(Voorhorst et al. 1964; Tovey et al. 1981; Robinson et al. 1997) 。世界的な研究により、英国や、オーストラリア、ニュージーランド及び米国といったその他の先進国で喘息の高い罹患率を示すことを結論付けている(ISSAC, 1998)。
【0003】
チリダニ個体数を制御し、減少するための多くの異なる方法が存在する:環境要因によるもの、生育環境を操作するもの、毒性を伴う作用形態によって作用する化学物質を直接投与するもの、アレルギー誘発物質を除去するもの、そして不透過性のベッドカバーといった物理的な障害物を利用するもの、等である。相対湿度はチリダニのライフサイクルに影響することが知られている(Colloff, 1987; Arlian, 1992; Oribe and Miyazaki, 2000)。このため、湿度を51%以下に下げることにより、実験においては、ダニ及びアレルギー誘発物質レベルの有意な減少が認められた(Arlian et al. 2001)。近年、ヤケヒョウヒダニの個体数を制御するために温度及び湿度を制御することが発展してきた(Crowther et al., 2006)。ダニの個体数を減少することを目的として、すでに実験的試行が実施されている環境による方法には、下地床の暖房(de Boer, 2003)、蒸気洗浄(Coloff et al., 1995)、55度以上での衣服及びベッドリネンの洗濯(McDonald and Tovey, 1992)及びぬいぐるみ類の凍結(Nagakura et al., 1996)が挙げられる。商業的な市販品に見られる安息香酸ベンジルやピレスロイド(ペルメトリン及びδ−フェノスリン)といった化学合成のダニ駆除剤はまた、これらをチリダニの生息環境(絨毯、マットレス、カーテン)に投与することによって、チリダニを制御するのに使用することができる(Colloff, 1990; Fain et al., 990; Chang et al., 1996; Heide et al., 1997)。ペルメトリンはまた、マットレスの裏地にしみ込ませることができ、臨床試験において、少なくとも27カ月間、チリダニ駆除に成功したとの報告がある(Cameron and Hill, 2002)。通常の掃除機による清掃によって、ベッドや絨毯上に蓄積したアレルギー誘発物質を、週一回の清掃により減じることができ、これは月一回の清掃に比べ、より大きな効果があった(Bellanti et al., 2000)。報告によると、通常の掃除機よりも、直径1ミクロン以上の漏れを防ぐ超高性能(HEPA)フィルターシステムを備えた、推奨されている医療用掃除機の方がよりよく機能する(Colloff et al., 1995)。しかしながら、HEPAフィルター装備の掃除機の機種間でも効果の差は甚だしく、あるモデルでは通常の掃除機と遜色がない(Hill and Cameron, 1999)。ウエットタイプの吸引方式の方が、ヤケヒョウヒダニのアレルギー誘発物質であるDer p1をより多く除去でき、これはDer p1が高い水溶性の性質を持っているからであるが、その他のダニのアレルギー誘発物質では、より溶けにくい場合もある(Colloff et al., 1995)。現行におけるより好ましいやり方としては、アレルギー誘発物質非透過性のベッドカバーを用いることにより、ベッドでのアレルギー誘発物質の露出を軽減する、というものであるが、試験結果は、臨床的な効能にばらつきがあることを示している。例えば、ある研究においては、有意なアレルギー誘発物質レベルの減少が見出されたが、患者のアレルギー性鼻炎に有意な改善は認められなかった(Terreechorst et al., 2003)。一方で、別の研究では、また、有意なアレルギー誘発物質レベルの減少と共に、喘息症状の改善が確認された(van den Bemt et al., 2004)。しかしながら、Luczynska et al.,(2003)は、アレルギー誘発物質非透過性カバーがアレルギー誘発物質レベルの減少も喘息症状を軽減もしないことを見出している。
【0004】
チリダニを駆除する多くの方法があるが、これらで何ら制限が無いものは無い。環境により制御する方法はきちんと維持しなければならず、さもなければ、ダニの個体数は再び戻ってしまう。また、家庭がダニ駆除のための環境制御に関する知識を得たとしても、これは必ずしも本方法が実践されるということを意味しない(Callahan et al., 2003)。化学的に制御するには、ダニ駆除剤を定期的に投与する必要があり、さもなければ、殺卵性の活性が不足するためか(Colloff et al., 1992)、家具の奥深くへの薬剤処理の浸透が足らなくなることにより(de Boer, 1998)、ダニの再増殖が生じてしまう。さらに喘息患者の多くはこうした化合物の使用を、特に共同寝室エリアで、嫌がる(Colloff, 1990)。掃除機は定期的にかける必要があり、こうした掃除機は、掃除機から大気中にチリダニのアレルギー誘発物質をまき散らすため、問題を生じる(kalra et al., 1990)。臨床試験は、非透過性ベッドカバーを用いることによるアトピー性疾患の症状の軽減効果の程度に幅があり、ある患者においては、居心地の悪さを感じうることを示している。最後に、全ての駆除方法に当てはまる問題として、チリダニがイヌ(Jackson et al., 2005)、車のシート(Arlian and Morgan, 2003)、病院(Custovic et al., 1998)及び旅客列車(Uehara et al., 2000)といった外部因子から補充されてしまう点がある。
【0005】
現行のよく用いられている方法とともに、これに代わる方法が研究され、試されている。例えば、チリダニ駆除方法におとりを導入することは、ダニを家具やマットレスの深部からおびき出し、天然合成のダニ駆除剤に晒した後、掃除機で吸い取るといったことができる可能性を有している。誘引物質(行動調整化合物)はチリダニの行動を操作し、こうした医学的に重要な節足動物を駆除する既存の方法に代わる自然な方法を提供しうる可能性を有している。しかしながら、チリダニの化学生態学はほとんど注目されておらず、成功例も限られている。研究にはコナヒョウヒダニ及びヤケヒョウヒダニの化学特性(Kuwahara et al., 1990; Kuwahara, 1997; Kuwahara,2004)やコナヒョウヒダニの性フェロモン(Tatami et al., 2001)の同定、及び集合行動を誘起する化学物質の同定は無いものの該物質による集合行動の観察(Reka et al., 1992; Glass et al., 2001)がある。本出願の発明者はチリダニの誘引物質を同定し、ダニ駆除に対する誘引−殺傷戦略を開発した。
【発明の概要】
【0006】
本発明においては、蟻酸ネリルを含むチリダニの誘引組成物で粉末状のものを提供する。また、これに代わるものとして、乾燥させると該粉末となる液状のものであってもよい。
また、その大部分がR−(+)−リモネン光学異性体からなるリモネンを含むチリダニの誘引組成物も提供する。
該誘引組成物は蟻酸ネリル及びリモネンの両方を含むものでもよい。
【0007】
ダニはいかなるダニでもよく、特にはチリダニ又はコナダニである。
チリダニはヒトの住居にある絨毯および椅子の座面で一般に見出される有害な節足動物である。本明細書で用いられている該用語はいかなるチリダニをも含むが、特にはヤケヒョウヒダニ、ヨーロッパチリダニ及びコナヒョウヒダニ、アメリカチリダニが該当する。
コナダニもまた、有害な節足動物であり、通常は貯蔵穀物やカビ臭い環境に見出される。
【0008】
蟻酸ネリルはチリダニから得られた誘引物質である。これはまた(Z)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル蟻酸としても知られており、以下の化学式で表わされる:
【化1】

リモネンは2つの光学異性体であるR−(+)−リモネンとS−(−)−リモネンを伴うキラル分子である。リモネンのラセミ体(両光学異性体を同量含むもの)はジペンテンとして知られている。リモネンはテルペンであり、当業者にはよく知られている。誘引組成物に含まれるリモネンは、好ましくは、その大部分がR−(+)−光学異性体であり、すなわち、好ましくは、少なくとも65%のリモネンがR−(+)−光学異性体であり、より好ましくは、少なくとも75%、さらに好ましくは、少なくとも85%、さらに好ましくは、少なくとも95%である。最も好ましくは、該組成物にS−(−)−リモネンを含んでいないものである。本明細書において、リモネンなる用語を使用しているが、これは、好ましくは、R−(+)−光学異性体(エナンチオマー)を指すものとして使用されている。
【0009】
本誘引組成物は、好ましくは、粉末状である。この形状であれば、チリダニが隠れている絨毯や家具に容易にまぶしたり、振りかけたりすることができる。該チリダニは該組成物に誘引され、絨毯や家具の表面に引き寄せられることにより、容易に除去することが可能である。普段は、チリダニは、例えば、絨毯、マットレス及び枕の中になる線維にしがみついており、容易に除去することはできない。しかしながら、チリダニを表面に引き寄せることにより、該チリダニを掃除機によって容易に除去することが可能である。
【0010】
ある環境においては、蟻酸ネリル又はリモネンが噴霧したり、まぶしたりするのに適当な粉末産物に処方されることが望ましい。これは、少量の蟻酸ネリル(例えば、数%重量/上量)と適当な不活性粉末、例えば、鉱物粘土、Fuller’s土類、タルク、硫酸カルシウム及び/又はデンプンといった、噴霧/散布しうる性質を損なわない程度に凝集化しない不活性粉末とを単純に混合することにより作成しうる。別の方法として、蟻酸ネリルは、水溶性媒質に両親媒性担体(例えば、修飾デンプン)と共にあることで、懸濁液/乳濁液に処方されうる。該懸濁液/乳濁液は噴霧乾燥することもでき、この産物は部分的又は完全に担体内に被包された蟻酸ネリルを含んだ散布可能な粉末である。多くの例において、粉末に処方する好ましい方法は、顆粒を調製することである。これらは、例えば、蟻酸ネリルを希釈用粉末(例として、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、デンプン又は微晶性セルロース(この全ては不溶性である)、そして好ましくは、例えばラクトース、マンニトール、スクロース、ソルビトール又はブドウ糖)及び少量の結合剤(例えば、コーンスターチ、ゼラチン、スクロース、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、マルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール又はポリエチレングリコールの水溶液、アルコール溶液、水アルコール溶液)と混合し、そうすることで湿り気のある塊を作成、該塊を粗く選別し、結果として得られた湿り気のある顆粒を乾燥させ、乾燥した顆粒を選別し、オプションとして滑剤(例えば、タルク、エアレイテッドシリカ又はステアリン酸マグネシウム)と混合することにより調製されうる。
【0011】
特に、本組成物は、例えば、蟻酸ネリル及び/又はリモネンをワックスに処方し、その後粒状化することによって、粉末状に製造してもよい。特に、ケイ酸塩による粒子に処方するのでもよい。
【0012】
別の処方としては、本組成物は液体状であってもよく、特にそれが乾燥すると、粉末状となるように調製されている溶液でもよい。特に、該組成物は噴霧用又はエアゾール用ノズルといったノズルを備えた容器に入れて提供されるのでもよく、該ノズルを通して、該組成物を散布することができる。本組成物は、ポンプ又はその他のいかなる適当な方法によって、ノズルを通じて散布されうる。
【0013】
本組成物は、さらに、ダニ駆除剤のようなチリダニに対して毒性のある化合物を含んでいてもよい。ダニ駆除剤とは、ダニを殺傷するのに使用される試薬である。本明細書で用いられているダニ駆除剤は、天然ピレスロイドやエッセンシャルオイルといった、いかなるタイプのダニ駆除剤を含む。使用される中で、ある特定のダニ駆除剤としては除虫菊粉がある。その他のダニ駆除剤の使用についても想定することができ、特に想定されるのが植物由来のダニ駆除剤である。
【0014】
蟻酸ネリル及び/又はリモネンとダニ駆除剤を含む、ダニを誘引し、かつ殺傷する組成物もまた、本発明によって提供される。
本組成物は粉末又はその他の形状を有しうる。該組成物は、これに加えて、適当な担体を含んでいてもよい。
本発明の組成物は、好ましくは、蟻酸ネリル及びリモネン、特にリモネンのR−(+)−鏡像異性体を含んでいる。
【0015】
本発明における組成物は、好ましくは、有効な用量の、蟻酸ネリル及び/又はリモネン及び/又はダニ駆除剤を含んでいる。すなわち、本組成物は、好ましくは、該組成物を投与する対象の表面にチリダニを誘い出すのに十分量の蟻酸ネリル及び/又はリモネンを含んでいる。本組成物は、好ましくは、表面に誘引したチリダニの少なくとも50%を殺傷するのに十分なダニ駆除剤を含んでいる。該組成物は、好ましくは、少なくとも0.01%の蟻酸ネリルを含み、より好ましくは、少なくとも0.05%、さらに好ましくは、少なくとも0.5%、さらに好ましくは、少なくとも1%の蟻酸ネリルを含む。
【0016】
本組成物は、また、1または2以上のその他のダニ誘引物質を含んでいてもよく、特に、1または2以上のその他の誘引剤を含んでいてもよい。
本発明はさらに蟻酸ネリル及び/またはリモネンのチリダニに対する誘引物質または誘引剤としての使用を提供する。
チリダニに対する誘引物質または誘引剤とは、チリダニを引きつける組成物のことである。
【0017】
また、チリダニに対する誘引−殺傷組成物を製造するための、蟻酸ネリル及び/またはリモネン及びダニ駆除剤の使用も提供する。誘引−殺傷組成物とは、チリダニを誘引した後、これらを殺傷する組成物のことである。誘引−殺傷という用語は当業者にとって周知である。
さらに、チリダニを蟻酸ネリル及び/またはリモネンに暴露することからなるチリダニの誘引方法も提供する。
チリダニの蟻酸ネリル及び/またはリモネンへの暴露とは、好ましくは、蟻酸ネリル及び/またはリモネンをチリダニのそばに置くことを意味する。特に、蟻酸ネリル及び/またはリモネンをダニから5センチ以内においてもよく、より好ましくは、ダニから4センチ以内においてもよく、さらに好ましくは、ダニから3センチ以内においてもよい。
【0018】
これに加えて、本方法は、チリダニをダニ駆除剤に暴露する段階を含んでいてもよい。好ましくは、チリダニは、蟻酸ネリル及び/またはリモネンへの暴露と同時またはその後にダニ駆除剤に暴露される。
本発明は、例示のみとしてであるが、以下に示す図を参照するにより更に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】時間経過に伴う誘引領域(20ミリ径の円盤状絨毯)中のコナヒョウヒダニの捕獲量の割合を示すグラフである。
【図2】時間経過に伴う誘引領域(20ミリ径の円盤状絨毯)中のヤケヒョウヒダニの捕獲量の割合を示すグラフである。
【図3】3種の処方における放出速度を示すグラフである。
【図4】0.05%蟻酸ネリル処方に暴露後の“散布領域”中で回収されるコナヒョウヒダニの全数を示すグラフである。
【図5】A)(R)−リモネン+ヤケヒョウヒダニ、B)リモネンラセミ体及びC)(R)−リモネンのGCトレースを示すグラフである。
【図6】除虫菊粉暴露後のコナヒョウヒダニの死亡率データを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施例1−蟻酸ネリル
材料と方法
チリダニ:コナヒョウヒダニは既に報じられた方法に従い(Skelton et al., 2007)飼育した。ヤケヒョウヒダニには細かく砕いた酵母細胞(Allison)と魚肉フレーク(TetraMin)の混合物をエサとして与え、23−25℃及び70−75%相対湿度にて飼育し(Spieksma, 1967; Arlian et al., 1990)、行動学上のバイオアッセイ及び化学分析に必要になるまで、該条件下にて維持した。
【0021】
チリダニ抽出物の調製。培養コナヒョウヒダニ及びヤケヒョウヒダニ(0.1g)を別々に飽和NaCl溶液(80ml)で満たしたガラス製計量シリンダー(100ml)の上層に置いた(Hart and Fain, 1987; Fain and Hart, 1986)。10−15分後、浮遊し続けているダニをピペットにてガラス製バイアルに回収した。蒸留ヘキサン(10ml)を加え、4℃にて一晩静置した。各抽出物の溶媒層を清浄なバイアルに移し、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。該抽出物をフィルター処理し、窒素の緩やかな噴射により50μlまたは100μlになるまで濃縮した。コナヒョウヒダニ抽出物は液体クロマトグラフィーによりFlorisilR(60−100メッシュ、Aldrich Chemical Company, Gillingham, UK)に蒸留ヘキサン(100%)、ヘキサン:ジエチルエーテル(5, 10, 20, 50%)、ジエチルエーテル(100%)及びジクロロメタン(100%)を溶出液として用いることにより分画した。
【0022】
チリダニ揮発成分の回収。コナヒョウヒダニ及びヤケヒョウヒダニをガラス製ピペットチップにて優しく吸引し、ペトリ皿からPTFEチューブに移した。シラン処理したガラスウールをPTFEチューブの両端に充填し、一端をTenax TAチューブに装着し、もう一端をSwagelokコネクタにより密閉した。対照として、空か魚肉フレークを含んだ別のPTFEチューブをガラスウールで充填し、同時に評価に供した。加湿した正方向の気流を該PTFEチューブに100ml/分の速度で流入させ、コンタミを軽減するべくチャコールフィルターを通した。一方で、PTFEチューブを通る気流の速度を表示するべく、負方向の気流を100ml/分で同時にPTFEチューブに流した。大気への同調化は24時間続け、その後、Tenax TAチューブを外した。
【0023】
ガスクロマトグラフィー(GC)。ダニ抽出物及びクロマトグラフィー画分は、クールオンカラムインジェクター及び水素炎イオン化型検出器(FID)を装備し、架橋メチルシリコンキャピラリーカラム(50m, 0.32mm i.d, 0.52μmフィルム厚)を装着したHewlett Packard 6890 GCを用いて分析した。本GCの加熱装置は30℃から230℃まで10℃/分にて加熱し、230℃で30分維持するようプログラムした。キャリアガスは水素であった。Tenax TAサンプルは、架橋メチルシリコンキャピラリーカラム(50m, 0.32mm i.d, 0.82μmフィルム厚)及びFIDを装着したHewlett Packard 6890 GC機を用いて分析した。熱による脱離は温度設定式気化ユニット(PTV)内で行い、30℃から220℃まで急速に(16℃/秒)加熱するようプログラムした。本GCの加熱装置は30℃にて30秒維持した後、5℃/分の速度で120℃まで上昇するようプログラムされ、その後、10℃/分にて240℃まで上昇した。キャリアガスは水素を用いた。
【0024】
ガスクロマトグラフィー−質量分析(GC−MS)。ダニ抽出物及び画分はクールオンカラムインジェクターを装備したHewlett Packard 5890 GCと組み合わせたVG AutoSpec質量分析機(Fisons Instruments, Manchester, UK)を用いて分析した。イオン化は電子衝突(70eV, 250℃)により行った。本GCの加熱装置は30℃で5分加熱後、5℃/分にて250℃に達するようにプログラムされた。キャリアガスはヘリウムを用いた。ダニ特異的なピークについての予備的な同定は最新のMSデータベース(NIST, 2005)または文献として刊行されているMSデータにある既知のマススペクトルとの比較に基づいた。該同定は基準試料を用いたピーク増大により確認された(Pickett, 1990)。
【0025】
蟻酸ネリルの合成及び定量。蟻酸ネリルは市販のネロール(GCによる純度>97%、Aldrich Chemical Company, Gillingham, UK)から蟻酸及び1,3−ジクロロヘキシルカルボジイミドを用いて1段階にて合成した。ダニ抽出物に存在する蟻酸ネリルの定量には、既知のGCトレースからのピーク領域データを用いて、一点外部標準定量方法(Alltech Association, 1998)を利用した。能力解析は、能力80%、有意性95%を基準として実施した。
【0026】
チリダニの行動。以前記載した方法(Skelton et al., 印刷中)に従い、チリダニによる行動反応を観察するために、Y−チューブオルファクトメーターを使用した。各実験において、処置刺激及び対照刺激(1μl)を別々の円盤状のフィルターペーパー(1.5センチ径)に加え、1分間乾燥した後、オルファクトメーターの各アームに設置した。効果において40%の差異(処理刺激に対して70%)を見るのに適当なサンプルサイズを計算するために、能力解析は能力80%、有意性95%にて実施した(STATA 8.2ソフトウエア)。そのため、選択することのできた20匹のダニも出来なかったダニも、各処理群での実験ごとに、記録を取った。処理群には以下のものを含まれる:(1)コナヒョウヒダニ抽出物由来のクロマトグラフィー画分 対 ヘキサン、(2)蟻酸ネリル(10及び100ng/μl) 対 ヘキサン、(3)メスのコナヒョウヒダニ抽出物 対 蟻酸ネリル、(4)オスのコナヒョウヒダニ抽出物 対 蟻酸ネリル、(5)メスのヤケヒョウヒダニ抽出物 対 蟻酸ネリル。
【0027】
統計解析。Y−チューブオルファクトメーターによるバイオアッセイの分類別データは適合性を判断すべく、イエイツの修正因子(特定のアームに対する選好)を伴うカイ二乗検定にて評価した(Fowler et al., 1998)。時間データは、パラメトリックデータ解析を行う前にlog10への変換を行った。処理群(蟻酸ネリル)のアームにおける判断決定までの対数時間が蟻酸ネリル濃度、性別及び検討したチリダニの種による影響を受けるかを解析するべく、3要因の分散分析(Windows版のMinitab 11)を行った。
【0028】
結果
蟻酸ネリルの確認及び定量。コナヒョウヒダニ画分の連結GC−MS分析により、蟻酸ネリルは画分4に見出された。その同定は画分4と蟻酸ネリルの標準サンプルを極性の異なる2つのカラムに同時投与することにより確認された。一点外部標準定量方法を用いて、コナヒョウヒダニ1匹当たりの蟻酸ネリル量を計算したところ、オス及びメスでそれぞれ1.32±0.2ng及び3.3±0.3ngであった。ヤケヒョウヒダニ1匹当たりの蟻酸ネリル量はオス及びメスでそれぞれ0.5±0.01ng及び1.13±0.11ngであった。大気で同調化したサンプルの定量分析により、蟻酸ネリルはコナヒョウヒダニ及びヤケヒョウヒダニ抽出物のどちらにも含まれていることが明らかとなった。
【0029】
チリダニ由来画分の行動に対する活性。処理群のアームにおける全体的な反応(コナヒョウヒダニのオス及びメス)は、画分4を検定した場合にのみ有意であった(χ=4.05、df=1、P<0.05、n=20)。評価したその他の画分には有意な差異は見いだせなかった。
【0030】
蟻酸ネリルに対するチリダニの嗅覚反応。10ng(χ=9.025、df=1、P<0.01、n=40)及び100ng(χ=4.225、df=1、P<0.05、n=40)蟻酸ネリルに暴露した時のオス及びメスのコナヒョウヒダニの全体的な反応は蟻酸ネリルに対して有意なものであった(図3)。10ng(χ=11.025、df=1、P<0.01、n=40)及び100ng(χ=11.025、df=1、P<0.01、n=40)蟻酸ネリルに暴露した時の全体的な反応(オス及びメスのヤケヒョウヒダニ)もまた蟻酸ネリルを含むアームに対して有意であった(図3)。しかしながら、反応に対してオスメス間で明らかな差異が認められた。コナヒョウヒダニのオスは100ng(χ=6.05、df=1、P<0.05、n=20)蟻酸ネリルにのみ有意な反応を示し、メスは10ng(χ=6.05、df=1、P<0.05、n=20)にのみ有意な反応を示した。ヤケヒョウヒダニのオスは10ng(χ=6.05、df=1、P<0.05、n=20)蟻酸ネリルにのみ有意な反応を示したのに対し、ヤケヒョウヒダニのメスは10ng(χ=4.05、df=1、P<0.05、n=20)及び100ng(χ=8.45、df=1、P<0.01、n=20)の両方で有意な反応を示した。濃度(蟻酸ネリルの100ngに対する10ng) (F=2.38、df=1、P=0.125)又は性差の影響(F=1.60、df=1、P=0.208)を分析したところ、コナヒョウヒダニ及びヤケヒョウヒダニが、蟻酸ネリルを含んだアームに沿って、1センチの印をつけた場所を通過するのに要する対数時間には有意な差はなかった。しかしながら、コナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニの間で、蟻酸ネリルを含んだアームの1センチの印をつけた場所を通過するのに要する対数時間に有意な差が認められた(F=10.30、df=1、P<0.02)。
【0031】
合成蟻酸ネリル対同種の抽出物由来の蟻酸ネリルに対するチリダニの臭覚反応。コナヒョウヒダニのオスにおいて、合成蟻酸ネリル又は天然産生蟻酸ネリルを含むオスのコナヒョウヒダニ抽出物に対する反応には有意な差はなかった(χ=0.10、df=1、P=0.75、n=14)。同様に、コナヒョウヒダニのメスにおいても、蟻酸ネリル又はメスのコナヒョウヒダニ抽出物に対する反応に有意な差はなかった(χ=1.38、df=1、P=0.24、n=18)(図3)。合成ネリル又はメスのヤケヒョウヒダニ抽出物に対するヤケヒョウヒダニのメスによる反応は有意な差が無かった(χ=0.06、df=1、P=0.80、n=16)。
【0032】
議論
コナヒョウヒダニは、コナヒョウヒダニ抽出物由来の画分1、2、3、5及び6に対して有意な行動活性を示さなかったが、画分4に対し有意に反応した。GC−MSを用いることにより、画分4中に蟻酸ネリルを予備的に同定し、HP−1及びDBワックスカラムの両方を用いたピーク増強反応により蟻酸ネリルであることを確認した。これまでに蟻酸ネリルはコナヒョウヒダニ及びヤケヒョウヒダニ抽出物両方の因子として予備的にのみ同定されているが(Kuwahara et al., 1990; Tatami et al., 2001)、ピーク増強反応は実施されていない。本研究において、蟻酸ネリルは、濃度10ng及び100ngで、コナヒョウヒダニ及びヤケヒョウヒダニのオス及びメスによる有意な志向性反応を誘起した。その他のコナダニ類の集合フェロモンもこれらの濃度で活性がある:例えば、ゴミコナダニは10ngのβ−acaridialに対し有意に反応し(Shimizu et al., 2001)、コオノホシカダニは10ppm(10ng/μl)の(1R,3R,5R,7R) lardolureに対し有意に反応する(Kuwahara et al., 1991)。合成蟻酸ネリルを、これと同程度の濃度で含んでいる同種の抽出物に対して、行動反応につき評価したところ、ヤケヒョウヒダニにおいても、コナヒョウヒダニにおいても、いずれのアームに対しても有意な優位性は示されなかった。この結果より、最初の画分を用いた実験で観察された行動を引き起こした化学物質は、蟻酸ネリルの存在により誘発されたことが確認された。時間データの解析により、ヤケヒョウヒダニ及びコナヒョウヒダニは、蟻酸ネリルに暴露した場合、有意に異なる時間でアームに沿って移動したことが示されたが、ダニが移動する軌跡を測定していないので、このことからヤケヒョウヒダニがより速く歩いているとは結論付けることはできない。
【0033】
両チリダニ種とも蟻酸ネリルに反応したため、定義からすると、該化学物質は集合フェロモンとして作用しているのではないが、誘引物質は近縁種において類似の行動を誘発することが知られている。例としては、蟻酸ネリル及びシトラールは4種のネダニにおいて同一の行動反応を惹起する(Akiyama et al., 1997)。しかしながら、蟻酸ネリルのチリダニ行動における役割は不明なままである。コナヒョウヒダニでは実験室においてクラスタリングが観察されており(Glass et al., 1998; Rek et al., 1992)、本研究においても、コナヒョウヒダニ及びヤケヒョウヒダニの両方においてクラスタリングが観察された(A. Skelton, 個人的観察による)。クラスタリング行動は、チリダニの糞中にある定着物質−集合フェロモンによって開始されることが示唆されているが、この行動を観察した研究においては、これに関連する化学物質(群)を同定はしていない(Reka et al., 1992)。このため、チリダニ揮発成分の収集物中に蟻酸ネリルが存在することに加えて、蟻酸ネリルで観察される行動反応より、チリダニのクラスタリング行動に蟻酸ネリルが関与している可能性が示唆される。チリダニによるクラスタリングの生態学的な利点としては、乾燥から身を守ることや防御機構としての点が想定しうる。ダニは、共にクラスターを形成することで、より乾燥した環境に晒されている体表部分を減らし、それによって乾燥を防いでいるのかもしれない。節足動物が集合体を作ることで、“超生命体”を形成し、それによって個々の節足動物の体表部分を減らすことにより、水分消失を減らしていることを示唆する証拠が存在し、こうした行動はStenotarus rotundusという熱帯性食菌甲虫において観察されている(Yoder et al., 1992)。しかしながら、オスのコナヒョウヒダニのコロニーにおいて、乾燥条件でクラスタリングが観察された(75% RT)。このことから、温度及び湿度はクラスタリング行動反応及び示唆されている誘引物質を誘導する因子としては除外しうる(Glass et al., 1998)。これに代わるものとして、集まってクラスターを形成することは、潜在的な捕食者から身を守る防衛機構として役立つのかもしれず、例としては、ツメダニ(Colloff, 1991)やチリダニが巣で巨大なクラスターを形成することにより、捕食者が個々のダニの位置を認識することを混乱させることができる(Franz et al., 2001)。しかしながら、蟻酸ネリルはダニのクラスタリングに何の役割も果たしていないかもしれない。該化学物質は一般にチリダニに見出されており(Kuwahara, 2004)、最近では、ネダニの集合フェロモンとして発見された(Kuwahara, 2006) 。蟻酸ネリルは集団の存在を認識するのに関与し、その後、例えば、オスのコナヒョウヒダニにおいて交尾行動を開始させる2−ヒドロキシ−6−メチルベンドアルデヒドのように(Tatami et al., 2001)、つがいの一方を見出すのに利用される種族特異的な誘引物質となる可能性がある。
【0034】
生息地に関する研究を含め、チリダニの行動に関する研究は不足しており、このことが、チリダニ制御に関する問題に影響している。しかしながら、本研究は、チリダニの個体数を制御する方法を見出し、最終的にはアトピー性疾患に付随する症状を緩和することへの一助となりえるものである。
【0035】
実施例2−蟻酸ネリル
誘引物質評価のための現場に準じたバイオアッセイ系の開発
まず、バイオアッセイ系は、蟻酸ネリルが絨毯断片からアメリカチリダニであるコナヒョウヒダニ及びヨーロッパチリダニであるヤケヒョウヒダニの集団を誘引する効力を評価するべく設計された。該バイオアッセイ系は、コナヒョウヒダニ及びヤケヒョウヒダニを、湿度を保つべくガラス製ペトリ皿の下に敷いた、円盤状にカットした絨毯(5センチ径)の上に放つ過程を含む。2種類の絨毯(どちらもHeuga Home Glooring BVより入手)を評価した:すなわち、カットパイル(Simply Soft Aquarius)及びループパイル(Working Week Boucle Ink Pad)である。10ng/10μl蟻酸ネリル溶液(ヘキサンに溶解)を分取し、誘引処理に用い、ヘキサン単独を対照として用いた。両溶液を円盤状のろ紙(2センチ径)に染み込ませ、円盤状の絨毯の中央に置いた。規定した時間後(1、5、10、20又は40分)、絨毯の上に接着力のあるトラップを押し付け、ダニを捕獲、続いて顕微鏡下にてダニの数と位置を記録することで、ダニが初めにいた場所から移動しているかを確認した。データは、二項分布を前提とし、ロジットの連結及び分散パラメーターを1.0とする一般化線形モデルを用いて解析した(表1参照)。2つの反応間のずれの解析は、GenStat 8.0(Rothamsted Research)にて実行されるMODELプロシージャーを用いて得られた。
【0036】
【表1】

【0037】
本データより、蟻酸ネリルがあることで、粘着性のあるトラップに回収されるダニ数が有意に増加し、この誘引因子がループパイル絨毯よりもカットパイル絨毯にてより効果的に働くことが示唆された(図1及び2参照)。実際にトラップを用いることの実用性を、これらの実験後に評価した。その結果、蟻酸ネリルを徐放性のある剤形に処方し、これを絨毯上に散布することで、ダニを表面に誘導し、その後掃除機でダニを除去することがより実現可能でユーザーフレンドリーなコンセプトであると提案される。
【0038】
蟻酸ネリルの徐放性粉末剤形の開発
蟻酸ネリルをワックスに調製し、その後、ケイ酸製の粒子(100μm径)に処方した。5%、0.5%及び0.05%という3通りの剤形を開発した。それぞれの剤形からの蟻酸ネリルの放出速度を決定するために、少量(1mg)を、吸収剤としてTENAX TAを用いた大気への同調化に供した。サンプリングの時間間隔は1、20そして40分とした。割り振られた時間後、TENAX TAチューブを外し、そこに吸着された揮発成分を、架橋メチルシリコンキャピラリーカラム(50m、0.25mm i.d、0.32μmフィルム厚)及びFIDを装備したHewlett Packard 6890 GCにて分析した。化合物は、30℃から220℃まで急速に熱する(16℃/秒)ようにプログラムされたPTVユニットを用いた熱による脱離によって、チューブからGCカラム上に移動した。GCの加熱装置は30℃にて30秒維持した後、5℃/分の速度で120℃まで上昇するようプログラムされ、その後、10℃/分にて240℃まで上昇した。キャリアガスは水素を用いた。3種類の剤形の放出速度を以下に示す(図3)。
【0039】
蟻酸ネリル0.05%の剤形を更なる検討に選んだ。上記したバイオアッセイを用いてこの剤形を評価する上で、何も含んでいない剤形を対照とし、評価する2時点としては20及び40分を選択した。
【0040】
【表1】

【0041】
本データより、40分よりも20分で、コナヒョウヒダニが有意により多く、散布領域中で回収されたことが示唆された(図4)。
【0042】
実施例3−リモネン
チリダニ。
ヤケヒョウヒダニには細かく砕いた酵母細胞(Allison)と魚肉フレーク(TetraMin)の混合物をエサとして与え、23−25℃及び70−75%相対湿度にて飼育し(Spieksma, 1967; Arlian et al., 1990)、行動学上のバイオアッセイ及び化学分析に必要になるまで、該条件下にて維持した。
【0043】
チリダニ抽出物の調製。
培養ヤケヒョウヒダニ(0.1g)を別々に飽和NaCl溶液(80ml)で満たしたガラス製計量シリンダー(100ml)の上層に置いた(Hart and Fain, 1987; Fain and Hart, 1986)。10−15分後、浮遊し続けているダニをピペットにてガラス製バイアルに回収した。蒸留ヘキサン(10ml)を加え、4℃にて一晩静置した。各抽出物の溶媒層を清浄なバイアルに移し、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。該抽出物をフィルター処理し、窒素の緩やかな噴射により50μlまたは100μlになるまで濃縮した。ヤケヒョウヒダニ抽出物は液体クロマトグラフィーによりFlorisilR(60−100メッシュ、Aldrich Chemical Company, Gillingham, UK)に蒸留ヘキサン(100%)、ヘキサン:ジエチルエーテル(5, 10, 20, 50%)、ジエチルエーテル(100%)及びジクロロメタン(100%)を溶出液として用いることにより分画した。
【0044】
チリダニ揮発成分の回収。
ヤケヒョウヒダニをガラス製ピペットチップにて優しく吸引し、ペトリ皿からPTFEチューブに移した。シラン処理したガラスウールをPTFEチューブの両端に充填し、一端をTenax TAチューブに装着し、もう一端をSwagelokコネクタにより密閉した。対照として、空か魚肉フレークを含んだ別のPTFEチューブをガラスウールで充填し、同時に評価に供した。加湿した正方向の気流を該PTFEチューブに100ml/分の速度で流入させ、コンタミを軽減するべくチャコールフィルターを通した。一方で、PTFEチューブを通る気流の速度を表示するべく、負方向の気流を100ml/分で同時にPTFEチューブに流した。大気への同調化は24時間続け、その後、Tenax TAチューブを外した。
【0045】
ガスクロマトグラフィー(GC)。
ダニ抽出物及びクロマトグラフィー画分は、クールオンカラムインジェクター及び水素炎イオン化型検出器(FID)を装備し、架橋メチルシリコンキャピラリーカラム(50m, 0.32mm i.d, 0.52μmフィルム厚)を装着したHewlett Packard 6890 GCを用いて分析した。本GCの加熱装置は30℃から230℃まで10℃/分にて加熱し、230℃で30分維持するようプログラムした。キャリアガスは水素であった。Tenax TAサンプルは、架橋メチルシリコンキャピラリーカラム(50m, 0.32mm i.d, 0.82μmフィルム厚)及びFIDを装着したHewlett Packard 6890 GC機を用いて分析した。熱による脱離は温度設定式気化ユニット(PTV)内で行い、30℃から220℃まで急速に(16℃/秒)加熱するようプログラムした。本GCの加熱装置は30℃にて30秒維持した後、5℃/分の速度で120℃まで上昇するようプログラムされ、その後、10℃/分にて240℃まで上昇した。キャリアガスは水素を用いた。
【0046】
ガスクロマトグラフィー−質量分析(GC−MS)。
ダニ抽出物及び画分はクールオンカラムインジェクターを装備したHewlett Packard 5890 GCと組み合わせたVG AutoSpec質量分析機(Fisons Instruments, Manchester, UK)を用いて分析した。イオン化は電子衝突(70eV, 250℃)により行った。本GCの加熱装置は30℃で5分加熱後、5℃/分にて250℃に達する様プログラムされた。キャリアガスはヘリウムを用いた。ダニ特異的なピークについての予備的な同定は最新のMSデータベース(NIST, 2005)または文献として刊行されているMSデータにある既知のマススペクトルとの比較に基づいた。該同定は基準試料を用いたピーク増大により確認された(Pickett, 1990)。
【0047】
ヤケヒョウヒダニ抽出物中のリモネンの確認。
リモネンはGC−MSによってヤケヒョウヒダニ抽出物中に予備的に同定されたが、ピーク増強を用いた確認が必要であった。
材料と方法
装置
R(+)リモネン97%(Sigma Aldrich)
S(−)リモネン98%(Sigma Aldrich)
ヤケヒョウヒダニ抽出物
手順
リモネンのラセミ混合物は、クールオンカラムインジェクター及びFIDを装備したHP5890 GC(Agilent Technologies, UK)を用いて、β−シクロデクストランキラルキャピラリーカラム(30m×0.25mm ID ×0.25μmフィルム厚)上で分析した。本GCの加熱装置の温度は、サンプル投与後、30℃で1分間維持し、その後、0.5℃/分ずつ40℃まで上昇させ、そのまま20分維持した。キャリアガスは水素を用いた。
結果
図1のグラフに示した通り、R−(+)−リモネンはヤケヒョウヒダニ抽出物中に存在する光学異性体であった。R−(+)−リモネンはまたニワトリのダニであるワクモの抽出物にも見出されている。
R−(+)−リモネンはヤケヒョウヒダニに特異的であり、溶媒にも、大気に同調化したものの抽出物でも同定されたが、コナヒョウヒダニ抽出物中には見いだせなかった。
【0048】
実施例4−ダニ駆除剤
誘引−殺傷システムに組み込むことが可能なダニ駆除剤の同定
既に確立しているバイオアッセイを用いて、殺虫剤としての特徴が知られている天然の除虫菊やインドセンダンの活性成分であるアザジラクチンの致死量を評価した。除虫菊はアザジラクチンよりも効果的であり、アザジラクチンでは死亡例はほとんど見られなかった。暴露後1、2、3時間後の除虫菊のLD50値はそれぞれ、384.53ppm、20.829ppm及び0.219ppmであった(図6参照)。暴露後2及び3時間後の除虫菊のLD90値はそれぞれ、2663.9ppm及び225.86ppmであった。
【0049】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
蟻酸ネリルを含み、粉末状又は乾燥時に粉末状となる、ダニを誘引するための組成物。
【請求項2】
リモネンを含み、該リモネンがR−(+)−リモネン光学異性体の形状である、だにを誘引するための組成物。
【請求項3】
粉末状で3或る、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
さらにダニに対して毒性を有する化合物を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
蟻酸ネリル及び/又はリモネン及びダニ駆除剤を含む、ダニを誘引し殺傷するための組成物。
【請求項6】
前記リモネンがR−(+)−リモネン光学異性体の形状である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
1または2以上の追加の誘引物質を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
蟻酸ネリル及び/又はリモネンの供給手段及びダニ駆除剤の供給手段を含む、ダニを誘引し殺傷するためのキット。
【請求項9】
ダニに対するおとり又は誘引物質としての蟻酸ネリル及び/又はリモネンの使用。
【請求項10】
ダニに対する誘引−殺傷組成物を産生するための蟻酸ネリル及び/又はリモネン及びダニ駆除剤の使用。
【請求項11】
ダニを蟻酸ネリル及び/又はリモネンに暴露することを含む、チリダニを誘引する方法。
【請求項12】
さらに、ダニをダニ駆除剤に暴露する段階をふくむ、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ダニがチリダニである、請求項1から7に記載の組成物、請求項9又は10に記載の使用、あるいは請求項11又は12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−509987(P2011−509987A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542687(P2010−542687)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【国際出願番号】PCT/GB2009/000140
【国際公開番号】WO2009/090412
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(510144742)
【氏名又は名称原語表記】LONDON SCHOOL OF HYGIENE & TROPICAL MEDICINE
【出願人】(510197771)ロザムステッド リサーチ リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】ROTHAMSTED RESEARCH LIMITED
【Fターム(参考)】