説明

誤搭載防止装置、誤搭載防止方法および誤搭載防止プログラム

【課題】誤搭載時における入れ替え作業の負担を軽減しつつ、適切に誤搭載を検出することを課題とする。
【解決手段】ラック1の搭載検出部5は、機器2がラックに搭載されたことを検知するとともに、機器2の搭載位置を検出する。読出部6は、搭載検出部5によって検出された搭載位置の機器2から識別情報を読み出す。特定部7は、読出部6によって読み出された識別情報が複数存在する場合には、搭載管理テーブル記憶部4を検索し、読み出された複数の識別情報のうち、ラック1に未搭載である機器の識別情報を特定する。比較部8は、特定部7によって特定された機器2の識別情報および機器2の搭載位置が、搭載位置リスト記憶部3に記憶された識別情報および機器の搭載位置と一致するか比較する。出力部9は、比較部8によって比較された結果を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誤搭載防止装置、誤搭載防止方法および誤搭載防止プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省スペース化のために、サーバ装置やストレージ装置、ネットワークスイッチ等の複数の機器を搭載するラックが利用されている。このようなラックに複数の機器を搭載する方法として、ラック内に搭載すべき機器とその位置を示す構成図を事前に作成し、構成図を参照しながらラックに搭載する方法が実施されている。このような方法で機器を搭載した場合には、構成図通りに搭載されているかをチェックするために、各機器の搭載位置を目視で確認することが行われている。
【0003】
ところが、各機器の搭載位置を目視で確認する方法では、ラック内の機器を確認する作業を人手で行うので、誤搭載を見逃す場合がある。このため、各機器の搭載位置を自動で確認する技術が知られている。例えば、各機器に自装置に関する情報を格納した非接触型ICタグを貼り付け、非接触ICタグに格納された情報を読み取るリーダをラックの棚ごとに設ける。また、ラックは、搭載すべき機器とその機器を搭載すべき位置を示す機器搭載位置リストを記憶する。
【0004】
このような構成のもと、ラックは、全ての機器が搭載された後に、各機器に貼り付けられた非接触型ICタグに格納された情報をリーダでそれぞれ読み取る。そして、ラックは、非接触ICタグから読み取った情報を用いて、機器搭載位置リストの通りに各機器が正しく搭載されているか確認し、機器が正しく搭載されているか否かを出力する。その後、機器が正しく搭載されていないと出力された場合には、機器を再度搭載し直す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−226582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した各機器の搭載位置を自動で確認する技術では、全ての機器が搭載された後に、各機器に貼り付けられた非接触型ICタグに格納された情報を読み取るので、誤搭載が存在する場合には、入れ替え作業の負担が大きいという問題があった。
【0007】
例えば、図14の例では、ラックの搭載位置1〜7に対して、機器a〜gを順に搭載することが正しい搭載位置であるものとする(図14(1)参照)。このようなラックにおいて、ラックの搭載位置1〜搭載位置6に対して機器a、機器c〜機器gの順に搭載した場合に誤搭載してしまうと(図14(2)参照)、機器c〜機器gを一台ずつ下に移動する作業を行うこととなる(図14(3)参照)。このため、全ての機器が搭載された後に、入れ替え作業を行うと、入れ替え作業の負担が大きいという問題があった。
【0008】
また、各機器に貼り付けられた非接触型ICタグに格納された情報を読み取った場合に、別の棚に搭載された搭載機器の非接触型ICタグをリーダが読み取ってしまう場合があり、適切に誤搭載を検出することができないという問題があった。
【0009】
例えば、図15の例では、搭載位置4のリーダが搭載位置4に搭載された機器bの情報を読み出すとともに、搭載位置3、5に搭載された機器aおよび機器cの情報も読み取ってしまう。このため、ラックは、搭載位置4に搭載された機器が機器a、機器b、機器cのいずれかを特定することができず、適切に誤搭載を検出することができないという問題があった。
【0010】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、誤搭載時における入れ替え作業の負担を軽減しつつ、適切に誤搭載を検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の開示する誤搭載防止装置は、一つの態様において、機器がラックに搭載されたことを検知するとともに、該機器の搭載位置を検出し、機器がラックに搭載されたことを検知すると、検出された搭載位置の機器から識別情報を読み出す。そして、読み出された識別情報が複数存在する場合には、搭載管理テーブルを検索し、読み出された複数の識別情報のうち、ラックへの搭載が完了していない機器の識別情報を特定する。その後、特定された機器の識別情報および機器の搭載位置が、搭載位置リスト記憶部に記憶された識別情報および機器の搭載位置と一致するか比較し、比較された結果を出力する。
【発明の効果】
【0012】
本願の開示する誤搭載防止装置の一つの態様によれば、誤搭載時における入れ替え作業の負担を軽減しつつ、適切に誤搭載を検出するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施例1に係るラックの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施例2に係るラックの構成を示す全体図である。
【図3】図3は、レールに設けられたマイクロスイッチについて説明する図である。
【図4】図4は、USBメモリから読み出された機器搭載位置リストの一例を示す図である。
【図5】図5は、初期化状態の機器搭載管理テーブルの一例を示す図である。
【図6】図6は、機器搭載後の機器搭載管理テーブル図を示す図である。
【図7】図7は、パネルに表示する機器搭載位置リストの一例を示す図である。
【図8】図8は、パネルに表示する機器搭載位置リストの一例を示す図である。
【図9】図9は、パネルに表示する機器搭載位置リストの一例を示す図である。
【図10】図10は、パネルに表示する機器搭載位置リストの一例を示す図である。
【図11】図11は、パネルに表示する機器搭載位置リストの一例を示す図である。
【図12】図12は、搭載された機器の機器情報を特定する処理について説明する図である。
【図13】図13は、実施例2に係るラックの処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図14】図14は、誤搭載発生時の入れ替え作業について説明する図である。
【図15】図15は、別棚の搭載機器を読み取る例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
下に、本願の開示する誤搭載防止装置、誤搭載防止方法および誤搭載防止プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、以下の例では、誤搭載防止装置をラックに適用した例について説明する。
【実施例1】
【0015】
まず、図1を用いて、実施例1に係るラックの構成について説明する。図1は、実施例1に係るラックの構成を示すブロック図である。ラック1は、複数の機器を搭載するための複数の棚を有する。図1の例では、ラック1には、機器2が一番下の棚に搭載されている。
【0016】
また、実施例1のラック1は、搭載位置リスト記憶部3、搭載管理テーブル記憶部4、複数の搭載検出部5、複数の読出部6、特定部7、比較部8および出力部9を有する。なお、搭載検出部5および読出部6は、機器が搭載される棚ごとに一つずつ設置されている。
【0017】
搭載位置リスト記憶部3は、ラック1に搭載される機器の搭載位置と機器を一意に識別する識別情報とが対応付けられた搭載位置リストを記憶する。つまり、搭載位置リスト記憶部3は、正しい機器の搭載位置とその搭載位置に搭載される正しい機器の識別情報とが対応付けられた搭載位置リストを記憶する。
【0018】
搭載管理テーブル記憶部4は、ラックに搭載された機器の識別情報と該機器がラックへの搭載が完了済みであるか否かを示す搭載情報とが対応付けられた搭載管理テーブルを記憶する。つまり、搭載管理テーブル記憶部4は、ラック1に機器を搭載したことが完了した状態であるか未だ完了していない状態であるかを記憶する。
【0019】
搭載検出部5は、機器2がラック1に搭載されたことを検知するとともに、機器2の搭載位置を検出する。読出部6は、搭載検出部5によって検出された搭載位置の機器2から識別情報を読み出す。つまり、読出部6は、搭載検出部5によって検出されるたびに、搭載位置の機器2から識別情報を読み出している。
【0020】
特定部7は、読出部6によって読み出された識別情報が複数存在する場合には、搭載管理テーブルを検索し、読み出された複数の識別情報のうち、ラック1への搭載が完了していない機器の識別情報を特定する。つまり、特定部7は、読出部6が誤って別棚の機器の識別情報を読み出した場合であっても、搭載済みの機器の識別情報を除外することで、搭載済みの別棚の機器の識別情報を除外して、ラック1へ新たに搭載した機器の識別情報を特定することができる。
【0021】
比較部8は、特定部7によって特定された機器2の識別情報および機器2の搭載位置が、搭載位置リスト記憶部3に記憶された識別情報および機器の搭載位置と一致するか比較する。出力部9は、比較部8によって比較された結果を出力する。
【0022】
つまり、ラック1は、機器2が搭載されたことを検出するたびに、搭載位置リスト通りに搭載されているか比較する処理を行うので、誤搭載が発生した場合でも、直前に搭載された機器の搭載位置を入れ替えるのみでよく、入れ替え作業の負担を軽減することができる。
【0023】
また、ラック1は、読出部6によって読み出された識別情報が複数存在する場合には、搭載管理テーブル記憶部4を検索し、読み出された複数の識別情報のうち、ラック1に未搭載である機器の識別情報を特定する。このため、読出部6によって複数の識別情報が読み出された場合であっても、搭載された機器の識別情報を特定することができ、適切に誤搭載を検出することができる。
【0024】
このように、ラック1は、機器がラックに搭載されたことを検知するとともに、該機器の搭載位置を検出し、機器がラックに搭載されたことを検知すると、検出された搭載位置の機器から識別情報を読み出す。そして、ラック1は、読み出された識別情報が複数存在する場合には、搭載管理テーブルを検索し、読み出された複数の識別情報のうち、ラックに未搭載である機器の識別情報を特定する。その後、ラック1は、特定された機器の識別情報および機器の搭載位置が、搭載位置リスト記憶部に記憶された識別情報および機器の搭載位置と一致するか比較し、比較された結果を出力する。このため、誤搭載時における入れ替え作業の負担を軽減しつつ、適切に誤搭載を検出することが可能である。
【実施例2】
【0025】
以下の実施例では、実施例2に係るラックの構成および処理の流れを順に説明し、最後に実施例2による効果を説明する。
【0026】
[ラックの構成]
次に、図2を用いて、実施例2に係るラック10の構成を説明する。図2は、実施例2に係るラック10の構成を示すブロック図である。図2に示すように、このラック10は、レール11、マイクロスイッチ12、リーダ装置13、USBメモリ接続口14、矢印キー15、搭載開始キー16、搭載終了キー17、決定キー18、パネル19、スピーカ20および制御部21を有する。また、ラック10に搭載される機器30は、レール31およびタグ32を有する。
【0027】
機器30は、レール31をラック10のレール11に滑合されて、ラック10に搭載される。また、機器30は、自装置に関する機器情報を格納した非接触型のタグ32が側面部に貼り付けられており、後述するリーダ装置13によって機器情報が読み取られる。以下では、ラック10の各部について説明する。
【0028】
レール11は、機器30が搭載される棚ごとに設置されており、機器30のレール31に滑合させて、機器30が搭載される。マイクロスイッチ12は、レール11上に設置されている。また、マイクロスイッチ12は、機器30が搭載されると、機器30がラックに搭載されたことを検知するとともに、機器30の搭載位置を検出する。
【0029】
ここで、図3を用いて、レール11に設けられたマイクロスイッチ12について説明する。図3は、レールに設けられたマイクロスイッチ12について説明する図である。図3に示すように、マイクロスイッチ12は、機器30が設置されるレール上31に突出した板およびバネを有する。マイクロスイッチ12は、機器30のレール31がレール11に沿ってラック10に搭載されると、レール31に板が押し付けられて、バネが縮み、マイクロスイッチ12が押下される。
【0030】
リーダ装置13は、マイクロスイッチ12によって機器30がラック10に搭載されたことを検知すると、検出された搭載位置の機器30から機器情報を読み出す。具体的には、リーダ装置13は、設置者が機器30をレール11にのせて押し込むと、レール11上のマイクロスイッチ12が押され、後に詳述するパネル19上で選択された搭載位置のマイクロスイッチ12が押されたかをチェックする。
【0031】
この結果、リーダ装置13は、パネル19で選択された搭載位置のマイクロスイッチ12と異なる棚のマイクロスイッチ12が押された場合には、パネル19に搭載順序ミスと表示する指示を通知し、スピーカ20に警告音を鳴らす指示を通知する。また、リーダ装置13は、パネル19で選択された搭載位置におけるマイクロスイッチ12が押下された場合には、その搭載位置のリーダ装置13が装置情報を読み取る。その後、リーダ装置13は、読み取った情報を制御部21に通知する。
【0032】
USBメモリ接続口14は、USBメモリが差し込まれるための接続口である。具体的には、USBメモリ接続口14は、ラック設置者の作成した搭載位置リストを格納したUSBメモリから搭載位置リストを読み込み、搭載位置リストを制御部21に通知する。
【0033】
ここで、図4の例を用いて、USBメモリから読み出された機器搭載位置リストについて説明する。図4は、USBメモリから読み出された機器搭載位置リストの一例を示す図である。図4に示すように、ラック10に搭載されるべき機器の「搭載位置」と、ラック10に搭載されるべき機器の「装置名」とが対応付けて記憶されている。例えば、図4の例では、機器搭載位置リストは、搭載位置「3」に「装置a」を搭載することを示しており、搭載位置「1」には、機器を搭載しないこと(図4の例では装置名「0」と記憶)を示している。
【0034】
矢印キー15および決定キー18は、パネル19上に表示されるカレントを操作するためのキーである。具体的には、矢印キー15は、上下左右のキーを押下されると、押下されたキーに応じて、カレントが上下左右に移動するようにパネル19上で表示させ、決定キー18は、押下されると、カレントが示す機器を搭載する機器として選択する(後に説明する図8参照)。
【0035】
搭載開始キー16は、押下されると、機器30の誤搭載を防止するための処理を開始する。具体的には、搭載開始キー16は、設置者に押下されると、全てのリーダ装置13の電源をONにし、機器搭載テーブルが初期化し、機器搭載位置リストをパネル19に表示させる。
【0036】
ここで、機器搭載管理テーブルとは、後述する制御部21が保持するテーブルであり、ラック10に搭載された機器30の装置名と機器30がラック10に搭載済みであるか未搭載であるかを示す搭載情報とが対応付けられている。具体的には、機器搭載管理テーブルは、図5および図6に示すように、ラック10に搭載されるべき機器の「搭載位置」と、ラック10に搭載されるべき機器の「装置名」と、機器30がラック10に搭載済みであるか未搭載であるかを示す「搭載フラグ」とが対応付けて記憶されている。
【0037】
例えば、図5の例では、機器搭載管理テーブルは、機器30をラック10に搭載する前の初期化状態であるため、全ての装置名が「0」、全ての搭載フラグが「0」であることを記憶している。
【0038】
また、図6に示すように、機器搭載管理テーブルは、搭載位置3に装置aが搭載されると、搭載位置「3」について、装置名「装置a」、搭載フラグ「1」が記憶される。また、図6に示すように、機器搭載管理テーブルは、搭載位置5に装置cが搭載されると、搭載位置「5」について、装置名「装置c」、搭載フラグ「1」が記憶される。
【0039】
搭載終了キー17は、押下されると、機器30の誤搭載を防止するための処理を終了する。具体的には、搭載終了キー17は、設置者に押下されると、全てのリーダ装置13の電源をOFFにし、パネル19の表示内容を消去する。
【0040】
パネル19は、搭載開始キー16が押下されると、機器搭載位置リストと、機器の実装状態を表示する。具体的には、パネル19は、搭載開始キー16が押下されると、機器搭載位置リストと状態(搭載済、未搭載)とを表示する。
【0041】
ここで、図7〜図11の例を用いて、パネルに表示する機器搭載位置リストの一例を説明する。図7〜図11は、パネルに表示する機器搭載位置リストの一例を示す図である。例えば、図7の例では、パネル19は、機器30をラック10に搭載する前の機器搭載位置リストを表示している。図7に示すように、パネル19は、ラック10に搭載されるべき機器の搭載位置と、ラック10に搭載されるべき機器の装置名とが表示されている。また、図7に示すように、パネル19は、機器30をラック10に搭載する前であるため、各搭載位置の状態が「未実装」となっている。
【0042】
また、図8の例では、パネル19は、ラック10に搭載する機器30をカレントで選択した場合の表示例を示している。図8に例示するように、パネル19は、矢印キー15および決定キー18によってカレントが操作され、搭載位置「5」の装置名「装置c」が選択されると、選択された機器搭載位置リストの列を点滅するように表示する。
【0043】
また、図9の例では、パネル19は、設置者がカレントで選択した搭載位置でない位置に機器30を搭載した場合の表示例を示している。図9に例示するように、パネル30は、カレントによって搭載位置「5」の装置名「装置c」が選択された場合に、搭載位置「5」以外の位置に機器30を搭載されると、状態の項目に「搭載順序ミス」であることを表示する。
【0044】
また、図10の例では、パネル19は、設置者がカレントで選択した装置名と異なる装置名の機器30を搭載した場合の表示例を示している。図10に例示するように、パネル30は、カレントによって搭載位置「5」の装置名「装置c」が選択された場合に、装置名「装置c」以外の機器30が搭載されると、状態の項目に「誤搭載」であることを表示する。
【0045】
また、図11の例では、パネル19は、設置者がカレントで選択した機器30を正しく搭載した場合の表示例を示している。図11に例示するように、パネル30は、カレントによって搭載位置「5」の装置名「装置c」が選択された場合に、ラック10の搭載位置「5」に装置名「装置c」の機器30が搭載されると、状態の項目に「搭載済」であることを表示する。
【0046】
スピーカ20は、機器の誤搭載が発生した場合に、警告音を鳴らす。具体的には、スピーカ20は、警告音を鳴らす指示をリーダ装置13または制御部21から受信すると、警告音を鳴らす。そして、スピーカ20は、誤搭載した機器30を棚からおろしてマイクロスイッチ12がOFFになると、警告音を停止する。
【0047】
制御部21は、搭載位置リスト記憶部21a、搭載管理テーブル記憶部21b、特定部21c、比較部21dを有しており、ラック10に搭載された機器を特定し、搭載された機器の誤搭載を検出する。
【0048】
搭載位置リスト記憶部21aは、ラック10に搭載される機器30の搭載位置と機器30の装置名とが対応付けられた搭載位置リストを記憶する。具体的には、搭載位置リスト記憶部21aは、USBメモリ接続口14に接続されたUSBメモリから読み出した機器搭載位置リストを記憶する。搭載位置リスト記憶部21aは、図4を用いて上述したように、ラック10に搭載されるべき機器の「搭載位置」と、ラック10に搭載されるべき機器の「装置名」とが対応付けられた機器搭載位置リストを記憶する。
【0049】
搭載管理テーブル記憶部21bは、ラック10に搭載された機器30の装置と機器30がラック10に搭載済みであるかラック10に未搭載であるかを示す搭載フラグとが対応付けられた搭載管理テーブルを記憶する。具体的には、搭載管理テーブル記憶部21bは、図5および図6を用いて上述したように、ラック10に搭載されるべき機器の「搭載位置」と、ラック10に搭載されるべき機器の「装置名」と、機器30がラック10に搭載済みであるか未搭載であるかを示す「搭載フラグ」とが対応付けられた搭載管理テーブルを記憶する。
【0050】
特定部21cは、リーダ装置13によって読み出された機器情報が複数存在する場合には、搭載管理テーブルを検索し、読み出された複数の機器情報のうち、ラックに未搭載である機器の機器情報を特定する。具体的には、特定部21cは、リーダ装置13によって読み出された機器情報である装置名が複数存在する場合には、装置名が一致するものを搭載管理テーブルから検索する。この結果、特定部21cは、読み出された複数の機器情報のうち、搭載フラグが「1」である機器情報を除外していき、残った機器情報を搭載された機器の装置名であると特定する。
【0051】
ここで、図12の例を用いて、搭載された機器の機器情報を特定する処理について説明する。図12は、搭載された機器の機器情報を特定する処理について説明する図である。また、以下の例では、図6に例示する搭載管理テーブルが搭載管理テーブル記憶部21bに記憶されているものとして説明する。図12に示すように、搭載位置4のリーダ装置13は、搭載位置4に搭載中の機器bから機器情報を読み出すとともに、搭載位置3および搭載位置5に搭載済みの機器a、cの機器情報を読み出す。
【0052】
そして、特定部21cは、機器情報a〜cと一致する機器情報を搭載管理テーブルから検索する。この検索の結果、特定部21cは、図6に例示する搭載管理テーブルから装置aおよび装置cを読み出し、装置aおよび装置cの搭載フラグを確認する。この結果、特定部21cは、装置aおよび装置cの搭載フラグが「1」であるため、搭載済みである機器であるものとして除外する。そして、特定部21cは、残った機器情報bが、搭載された機器の機器情報であると特定する。
【0053】
比較部21dは、特定部21cによって特定された機器情報および該機器の搭載位置が、搭載位置リストに記憶された機器情報および機器の搭載位置と一致するか比較する。具体的には、比較部21dは、特定部21cによって特定された装置名と機器搭載位置リストに記憶された装置名とを比較し、同一である場合には、機器が正しく搭載されたと判定し、異なる場合には、機器が誤搭載されたと判定する。そして、比較部21は、この比較の結果をパネル19に表示させる。
【0054】
例えば、比較部21dは、図8に例示するように、カレントによって機器搭載位置リストから搭載位置「5」の装置名「装置c」が選択された場合に、機器搭載位置リストに記憶された装置名「装置c」と搭載位置「5」のリーダ装置13が読み出した装置名とが同一であるか比較する。
【0055】
この結果、比較部21dは、搭載位置「5」のリーダ装置13が読み出した装置名「装置c」でない場合には、機器搭載位置リストに記憶された装置名「装置c」と搭載位置「5」のリーダ装置13が読み出した装置名とが同一でないと判定する。このため、図10に例示するように、「誤搭載」であることをパネル19に表示させる。
【0056】
また、比較部21dは、搭載位置「5」のリーダ装置13が読み出した装置名「装置c」である場合には、機器搭載位置リストに記憶された装置名「装置c」と搭載位置「5」のリーダ装置13が読み出した装置名とが同一であると判定する。このため、図11に例示するように、「搭載済」であることをパネル19に表示させる。
【0057】
このように、ラック10では、機器30を搭載されると同時に誤搭載チェックを行い、その結果をラックに設けたパネルと警告音で通知することで搭載中にミスを報知する。また、ラック10では、搭載フラグを用いて搭載された機器の情報を特定することで、誤って別棚の搭載機器を誤認識することがなくなる。このため、搭載ミスによる装置入れ替えの負担を軽減して環境構築作業の遅延をなくし、適切に誤搭載を検出する検出ことができる。
【0058】
[ラックによる処理]
次に、図13を用いて、実施例2に係るラック10による処理を説明する。図13は、実施例2に係るラック10の処理動作を示すフローチャートである。
【0059】
図13に示すように、ラック10は、USBメモリ接続口14にUSBメモリが接続されると、USBメモリに格納された機器搭載位置リストを読み込む(ステップS101)。そして、ラック10は、搭載開始キー16が押下されると、リーダ装置13の電源をONにし(ステップS102)、機器搭載リストを制御部21内のCF(Compact Flash)に格納する(ステップS103)。
【0060】
そして、ラック10は、機器搭載管理テーブルを初期化し(ステップS104)、機器搭載位置リストをパネルに表示する(ステップS105)。続いて、ラック10は、搭載する機器の選択を待ち(ステップS106)、パネル19のカレントが操作され、搭載する機器が選択されると、選択された機器30の文字列を点滅表示する(ステップS107)。
【0061】
そして、ラック10は、レール11のマイクロスイッチ12が機器30の重さで押されるのを待ち(ステップS108)、機器30が棚に搭載されると、マイクロスイッチ12がONとなる(ステップS109)。続いて、ラック10は、パネル19で選択された機器の棚のマイクロスイッチ12が押下されたか判定する(ステップS110)。
【0062】
この結果、パネル19で選択された機器の棚のマイクロスイッチ12が押下されていないと判定した場合には(ステップS110否定)、パネル19に搭載順序ミスと表示し(ステップS122)、警告音を発生させる(ステップS123)。そして、ラック10は、マイクロスイッチ12がOFFになるのを待ち(ステップS124)、誤って搭載した機器が棚から下ろされると、警告音を停止して(ステップS125)、ステップS108に戻る。
【0063】
また、ラック10は、パネル19で選択された機器の棚のマイクロスイッチ12が押下されたと判定した場合には(ステップS110肯定)、マイクロスイッチ12が押下された棚のリーダ装置13で機器情報を読み込む(ステップS111)、読み込んだ機器情報のなかで機器搭載管理テーブルの搭載フラグが立っている機器を対象から外す(ステップS112)。そして、ラック10は、残った機器の装置情報を選択し(ステップS113)、残った装置情報に対応する機器が、マイクロスイッチ12がONになった位置に挿入されたと判別する(ステップS114)。
【0064】
そして、ラック10は、機器搭載位置リストに記憶された装置名とリーダ装置13に読み込まれた装置名とが同一であるか判定し(ステップS115)、同一である場合には(ステップS115肯定)、機器搭載管理テーブルの搭載フラグを立てる(ステップS116)。
【0065】
続いて、ラック20は、パネル19に搭載済みと表示し(ステップS117)、継続するか選択を待ち(ステップS118)、搭載終了キー17が押下されて継続しないと判定した場合には(ステップS119否定)、リーダ装置13の電源をOFFにして(ステップS120)、処理を終了する。また、ラック10は、搭載終了キー17が押下されずに搭載を継続すると判定した場合には(ステップS119肯定)、ステップS106に戻って処理を繰り返す。
【0066】
ステップS115の説明に戻ると、ラック10は、機器搭載位置リストに記憶された装置名とリーダ装置13に読み込まれた装置名とが同一でないと判定した場合には(ステップS115否定)、パネルに誤搭載と表示し(ステップS121)、警告音を発生させる(ステップS123)。そして、ラック10は、マイクロスイッチがOFFになるのを待ち(ステップS124)、誤って搭載した機器が棚から下ろされると、警告音を停止して(ステップS125)、ステップS108に戻る。
【0067】
[実施例2の効果]
上述してきたように、ラック10は、機器30が搭載されたことを検知するとともに、機器30の搭載位置を検出し、機器30が搭載されたことを検知すると、検出された搭載位置の機器30から機器情報を読み出す。そして、ラック10は、読み出された機器情報が複数存在する場合には、搭載管理テーブルを検索し、読み出された複数の機器情報のうち、ラック10に未搭載である機器30の識別情報を特定する。その後、ラック10は、特定された機器30の機器情報および機器の搭載位置が、搭載位置リストに記憶された識別情報および機器の搭載位置と一致するか比較し、比較された結果を出力する。このため、誤搭載時における入れ替え作業の負担を軽減しつつ、適切に誤搭載を検出することが可能である。
【0068】
また、実施例2によれば、ラック10は、機器30を搭載するためのレール11上に設置されたマイクロスイッチ12が押下されると、機器30がラック10に搭載されたことを検知するので、機器30の搭載を瞬時に検知することが可能である。
【0069】
また、実施例2によれば、ラック10は、読み込んだ機器情報と搭載位置リストとが比較された結果、読み込んだ機器情報および搭載位置が搭載位置リストに記憶された機器情報および搭載位置と一致しない場合には、誤搭載である旨をスピーカ20で報知する。このため、搭載者に誤搭載であることを報知することが可能である。
【0070】
また、実施例2によれば、読み込んだ機器情報と搭載位置リストとが比較された結果、読み込んだ機器情報および搭載位置が、搭載位置リストに記憶された機器情報および搭載位置と一致しない場合には、誤搭載である旨を表示する。また、読み込んだ機器情報および搭載位置が、搭載位置リストに記憶された機器情報および搭載位置と一致する場合には、搭載が完了した旨を表示する。このため、機器30をラック10に搭載するたびに、搭載が正しかったのか、誤搭載であったのかを知らせることが可能である。
【実施例3】
【0071】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では実施例3として本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0072】
(1)システム構成等
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、特定部21cと比較部21dを統合してもよい。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0073】
(2)プログラム
なお、本実施例で説明した誤搭載防止方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【符号の説明】
【0074】
1 ラック
2 機器
3 搭載位置リスト記憶部
4 搭載管理テーブル記憶部
5 搭載検出部
6 読出部
7 特定部
8 比較部
9 出力部
10 ラック
11 レール
13 リーダ装置
14 USBメモリ接続口
15 矢印キー
16 搭載開始キー
17 搭載終了キー
18 決定キー
19 パネル
20 スピーカ
21 制御部
21a 搭載位置リスト記憶部
21b 搭載管理テーブル記憶部
21c 特定部
21d 比較部
30 機器
31 レール
32 タグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラックに搭載される機器の搭載位置と前記機器を一意に識別する識別情報とが対応付けられた搭載位置リストを記憶する搭載位置リスト記憶部と、
ラックに搭載された機器の識別情報と該機器がラックへの搭載が完了済みであるか否かを示す搭載情報とが対応付けられた搭載管理テーブルを記憶する搭載管理テーブル記憶部と、
機器がラックに搭載されたことを検知するとともに、該機器の搭載位置を検出する搭載検出部と、
前記搭載検出部によって機器がラックに搭載されたことを検知すると、前記検出された搭載位置の機器から識別情報を読み出す読出部と、
前記読出部によって読み出された識別情報が複数存在する場合には、前記搭載管理テーブルを検索し、読み出された複数の識別情報のうち、ラックへの搭載が完了していない機器の識別情報を特定する特定部と、
前記特定部によって特定された機器の識別情報および該機器の搭載位置が、前記搭載位置リスト記憶部に記憶された機器の識別情報および機器の搭載位置と一致するか比較する比較部と、
前記比較部によって比較された結果を出力する出力部と、
を有することを特徴とする誤搭載防止装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記機器を搭載するためのレール上に設置されたスイッチが押下されると、当該機器がラックに搭載されたことを検知することを特徴とする請求項1に記載の誤搭載防止装置。
【請求項3】
前記比較部によって比較された結果、前記特定部によって特定された機器の識別情報および該機器の搭載位置が、前記搭載位置リスト記憶部に記憶された識別情報および機器の搭載位置と一致しない場合には、誤搭載である旨を報知する報知部をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の誤搭載防止装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記比較部によって比較された結果、前記特定部によって特定された機器の識別情報および該機器の搭載位置が、前記搭載位置リスト記憶部に記憶された識別情報および機器の搭載位置と一致しない場合には、誤搭載である旨を表示し、記特定部によって特定された機器の識別情報および該機器の搭載位置が、前記搭載位置リスト記憶部に記憶された識別情報および機器の搭載位置と一致する場合には、搭載が完了した旨を表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の誤搭載防止装置。
【請求項5】
機器がラックに搭載されたことを検知するとともに、該機器の搭載位置を検出する搭載検出ステップと、
前記搭載検出ステップによって機器がラックに搭載されたことを検知すると、前記検出された搭載位置の機器から識別情報を読み出す読出ステップと、
前記読出ステップによって読み出された識別情報が複数存在する場合には、前記ラックに搭載された機器の識別情報と該機器がラックへの搭載が完了済みであるか否かを示す搭載情報とが対応付けられた搭載管理テーブルを検索し、読み出された複数の識別情報のうち、ラックへの搭載が完了していない機器の識別情報を特定する特定ステップと、
前記特定ステップによって特定された機器の識別情報および該機器の搭載位置が、前記ラックに搭載される機器の搭載位置と前記機器を一意に識別する識別情報とが対応付けられた搭載位置リストと一致するか比較する比較ステップと、
前記比較ステップによって比較された結果を出力する出力ステップと、
を含んだことを特徴とする誤搭載防止方法。
【請求項6】
機器がラックに搭載されたことを検知するとともに、該機器の搭載位置を検出する搭載検出手順と、
前記搭載検出手順によって機器がラックに搭載されたことを検知すると、前記検出された搭載位置の機器から識別情報を読み出す読出手順と、
前記読出手順によって読み出された識別情報が複数存在する場合には、前記ラックに搭載された機器の識別情報と該機器がラックへの搭載が完了済みであるか否かを示す搭載情報とが対応付けられた搭載管理テーブルを検索し、読み出された複数の識別情報のうち、ラックへの搭載が完了していない機器の識別情報を特定する特定手順と、
前記特定手順によって特定された機器の識別情報および該機器の搭載位置が、前記ラックに搭載される機器の搭載位置と前記機器を一意に識別する識別情報とが対応付けられた搭載位置リストと一致するか比較する比較手順と、
前記比較手順によって比較された結果を出力する出力手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする誤搭載防止プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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