説明

読影レポート作成装置

【課題】読影レポートの作成に関する手間を軽減することを可能とする。
【解決手段】制御部15は、医用画像に付された図形と注釈とを入力し、記憶部13は、前記医用画像に付された図形と定型文との関連付けを記憶し、制御部15は、入力された前記図形に応じた前記定型文と前記注釈とから前記医用画像に関する所見を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像の読影レポートを作成する読影レポート作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院内の放射線科等では読影医等が、X線コンピュータ断層撮影装置やMRI装置等の種々の医用画像発生装置で発生された医用画像の読影を行い、読影結果等の所見をまとめた読影レポートを作成している。一般的に読影レポートの作成は、PC(Personal Computer)等の端末装置で行なわれる。
【0003】
読影レポートを作成するには、まず、読影医等は、PCのモニタに表示された医用画像を読影し、医用画像に対して注目部位を示す図形や注目部位に対する注釈(コメント)等を手動で付加する。この注目部位を示す図形は、アノテーションと称されている。次に読影医等は、医用画像に付加したアノテーションとは別に、読影結果としての所見の文章を手動で入力し、読影レポートを作成する。
【0004】
所見として記載される情報には、アノテーションや注釈(コメント)の詳細情報や補足情報も多い。読影医等は、医用画像のアノテーション及び注釈(コメント)と読影レポートの所見とにそれぞれ同じ意味合いの文章を入力するため、操作が二度手間となり、読影レポート作成に手間がかかる。
【0005】
読影レポート作成に関して、予め所見用の定型文に関連付けられているアノテーションを医用画像に付加すると、医用画像に付加したアノテーションに応じた定型文を自動的に読影レポートの所見に付加する技術も開示されている(例えば、特許文献1を参照)。この技術においても、読影医等によって医用画像に手動で入力された注釈(コメント)は、所見に付加されない。そのため、所見を作成する際、所見の文章は読影医等によって手動で入力される。
【特許文献1】特開2005−148990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、読影レポートの作成に関する手間を軽減することを可能とする読影レポート作成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の読影レポート作成装置は、ある局面において、医用画像に付された図形と注釈とを入力する入力部と、前記医用画像に付された図形と定型文との関連付けを記憶する記憶部と、前記入力部により入力された前記図形に応じた前記定型文と前記注釈とから前記医用画像に関する所見を作成する所見作成部と、を具備することを特徴とする読影レポート作成装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、読影レポートの作成に関する手間を軽減することを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る読影レポート作成装置1を図面を参照しながら説明する。図1は、読影レポート作成装置1に係る病院内のネットワークシステム100の構成図である。図1に示すように、読影レポート作成装置1に係るネットワークシステム100においては、医用画像発生装置110、画像サーバ120、レポートサーバ130、読影レポート作成装置1、医用画像参照装置70等が、ネットワーク140を介して接続されている。なお、医用画像発生装置110や読影レポート作成装置1、医用画像参照装置70は、複数あってもよい。
【0010】
ネットワーク140は、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)、インターネット等の回線形態が適用可能である。ネットワーク140により、ネットワークシステム100の各装置が有するデータが各装置間で送受信可能となる。
【0011】
医用画像発生装置110は、X線診断装置、X線コンピュータ断層撮影装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置、ガンマカメラ、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)或いはPET(Positron Emission Tomography)等の医用画像を発生するための装置である。
【0012】
画像サーバ120は、医用画像発生装置110により発生された医用画像や後述するアノテーションが入力された医用画像(以下、読影後の医用画像という)等のデータを記憶及び管理する。医用画像は、画像データと付帯情報とを含み、付帯情報には、検査部位、検査日、患者ID、患者氏名、検査ID、画像番号等が含まれる。また、医用画像は、この付帯情報によって、管理されている。
【0013】
レポートサーバ130は、後述する読影レポートの所見のデータを記憶及び管理する。
【0014】
医用画像参照装置70は、アノテーション付加処理を行う。アノテーション付加処理において医用画像参照装置70は、読影結果として、医用画像に対して注目領域を示す図形や注目領域等に関する注釈(以下、コメントと呼ぶ)を医用画像に付加する。図形は、アノテーションと称されており、画像データである。コメントは、テキストデータである。典型的には、医用画像参照装置70は、PC(Personal Computer)等の端末装置である。
【0015】
図2は、医用画像参照装置70の構成を示す図である。図2に示すように、医用画像参照装置70は、画像表示部71、操作部72、記憶部73、通信部74及び制御部75を有する。
【0016】
画像表示部71は、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)等からなるモニタを備えている。
【0017】
操作部72は、マウス等のポインティングデバイスを備え、画像表示部71上に表示されるカーソルやポインターの座標を検出し、検出した座標を制御部75に出力する。また、操作部72はCRT又はLCD等により構成される画像表示部71を覆うように設けられたタッチパネルを備えるものとしてもよく、電磁誘導式、磁気歪式、感圧式等の座標読取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標を位置信号として制御部75に出力する。また操作部72は、カーソルキー及び各種機能キーを備えたキーボードを備えるものとしてもよい。
【0018】
記憶部73は、プログラムや各種データ等が記憶されている記録媒体を有している。この記録媒体は磁気的記録媒体、光学的記録媒体等である。記憶部73は、制御部75により実行される制御プログラム、アノテーション付加処理のためのアノテーション付加アプリケーションプログラムを記憶する。記憶部73は、画像サーバ120から取得された医用画像記憶する。
【0019】
通信部74は、ネットワーク140により接続された各種装置と通信を行ない、各種データの送受信を行なう。具体的には、操作者等から所見作成処理の開始要求を受けると、その開始要求をネットワーク100を通じて読影レポート作成装置1に送信する。
【0020】
制御部75は、医用画像参照装置70としての動作を実現するように各構成要素を制御する。75制御部は、各構成要素を制御するための制御機能に加えて、アノテーション付加機能を備える。制御部75は、例えばCPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)を含み、記憶部73からアノテーション付加アプリケーションプログラム読み出して上記RAM上に展開し、このプログラムに従ったアノテーション付加処理を上記CPUが実行することによって、これらの各機能を実現する。
【0021】
読影レポート作成装置1は、所見作成処理を行う。所見作成処理は、医用画像参照装置70からのアノテーション入力処理の後に行なわれる。所見作成処理において読影レポート作成装置1は、医用画像参照装置70から医用画像に付加された複数のアノテーションやコメントのデータ等を取得(入力)し、取得した複数のアノテーションやコメントから読影レポートの所見を作成する。典型的には、読影レポート作成装置1は、PC等の端末装置である。
【0022】
図3は、読影レポート作成装置1の構成を示す図である。図3に示すように、読影レポート作成装置1は、画像表示部11、操作部12、記憶部13、通信部14及び制御部15を有する。
【0023】
画像表示部11は、CRTやLCD等からなるモニタを備えている。
【0024】
操作部12は、マウス等のポインティングデバイスやカーソルキー及び各種機能キーを備えたキーボードである。また、操作部12はCRT又はLCD等により構成される画像表示部11を覆うように設けられたタッチパネルを備えるものとしてもよい。
【0025】
記憶部13は、プログラムや各種データ等が記憶されている記録媒体を有している。この記録媒体は磁気的記録媒体、光学的記録媒体等である。記憶部13は、制御部15により実行される制御プログラム、所見作成処理のための所見作成アプリケーションプログラムを記憶する。また、記憶部13は、アノテーションの種類を示すデータ又はコメントのみであることを示すデータと、アノテーションの種類又はコメントのみに応じた所見用の定型文のデータとを関連付けて記憶する。また、記憶部13は、通信部14を介して取得されたアノテーションやコメント、医用画像の付帯情報、例えば医用画像の番号等のデータを記憶する。
【0026】
図4は、アノテーションの種類又はコメントのみを示すデータと、アノテーションの種類又はコメントのみに応じた所見用の定型文との一例を示す図である。図4に示すように、アノテーションの種類としては、例えば、注目領域のエリアを示すためのアノテーション(以下、エリアのアノテーションと呼ぶ)、注目領域の計測範囲を示すためのアノテーション(以下、計測のアノテーションと呼ぶ)、注目領域に対する所見の確信度を示すアノテーション(以下、確信度のアノテーションと呼ぶ)等の図形のアノテーションがある。確信度のアノテーションは、例えば、確信度「大」のアノテーション、確信度「中」のアノテーション、確信度「小」のアノテーションがある。
【0027】
コメントは、図形のアノテーションに対する注釈(コメント)であり、操作部12により付加されるテキストデータである。なお、コメントは、それ単独で用いてもよい。
【0028】
図4に示すように、各アノテーション又はコメントのみには、関連付けられた所見用の定型文がある。例えば、記憶部13は、エリアのアノテーションのデータと「スライスNo.<xx>にエリア指定の所見あり」という定型文のデータとを関連付けて記憶している。なお、定型文中の<xx>には、医用画像の付帯情報の一つである医用画像の番号を示す数字が挿入される。
【0029】
通信部14は、ネットワーク140により接続された各種装置と通信を行ない、各種データの送受信を行なう。
【0030】
制御部15は、読影レポート作成装置1としての動作を実現するように各構成要素を制御する。制御部15は、各構成要素を制御するための制御機能に加えて、入力機能及び所見作成機能を備える。制御部15は、例えばCPU及びRAMを含み、記憶部13からプログラム読み出して上記RAM上に展開し、このプログラムに従った処理を上記CPUが実行することによって、これらの各機能を実現する。以下、各機能について説明する。
【0031】
入力機能において制御部15は、医用画像参照装置70から所見作成処理の開始要求を受けると、通信部14を通じて医用画像参照装置70から、医用画像に付加されたアノテーションと注釈とのデータを読影レポート作成装置1の記憶部13に入力する。
【0032】
所見作成機能において制御部15は、所見作成処理を行う。所見作成処理は、所見センテンス作成処理と所見センテンス結合処理とからなる。所見センテンス作成処理において制御部15は、医用画像に付加されたアノテーションに関連付けられた定型文と、そのアノテーションに対するコメントを結合して、所見用の文章(以下、所見センテンスと呼ぶ)を作成する。また制御部15は、コメントのみに関連付けられた定型文と、そのコメントとを結合して、所見センテンスを作成する。所見センテンス結合処理において制御部15は、作成された全ての所見センテンスを結合し所見を作成する。本実施形態において所見は、所見センテンスの集まりであるとする。
【0033】
以下、本実施形態における処理の一例を説明する。
【0034】
まず、医用画像参照装置70によるアノテーション付加処理について説明する。なお、読影の対象となる医用画像は、予め通信部74により画像サーバ120から取得され、記憶部73に記憶されているとする。
【0035】
読影医等が操作部72を介してアノテーション付加処理の開始を促すことを契機として、制御部75は、アノテーション付加アプリケーションプログラムを実行してアノテーション付加処理を開始する。
【0036】
図5は、アノテーション付加処理における表示画面の一例を示す図である。図5に示すように、アノテーション付加処理における表示画面には、複数種類のアノテーションが表示されるアノテーション表示領域20、コメント付加ボタン27、医用画像表示領域30及び所見インサートボタン40が表示される。アノテーション表示領域20には、エリアのアノテーション21、計測のアノテーション22、確信度「大」のアノテーション23、確信度「中」のアノテーション24、確信度「小」のアノテーション25、注目領域を示すための矢印のアノテーション26を示すボタンが表示されている。
【0037】
操作部72のマウス等を介して読影医等は、アノテーション表示領域に表示されている所望のアノテーションのボタンを選択して、選択したアノテーションを医用画像表示領域上の所望の領域に付す。コメント付加ボタン27が選択された場合、読影医等は、コメントを付加したい位置を指定し、操作部72を介して手動でコメント文を入力する。エリアのアノテーションや計測のアノテーション、矢印のアノテーション等の図形のアノテーションは、操作部72のマウス等の操作により自由に拡大や縮小等可能である。
【0038】
例えば、図5に示すように、読影医等は、浸潤影が描出されている領域にエリアのアノテーション31を付し、コメント付加ボタン27を押し、エリアのアノテーション31に対するコメント(浸潤影を見る)を付加する。エリアのアノテーション31とコメントとは矢印のアノテーション33によって対応付けられる。なお、アノテーションの対応付けの方法は、矢印のアノテーションを用いる方法以外でもよく、既存のどの方法を用いて行なってもよい。また、読影医等は、腫瘍の計測範囲を示すために計測のアノテーション34を腫瘍の領域に付加し、それに対するコメント(腫瘍の径 20mm)を付加する。また、例えば読影医等は、腫瘍の疑いがある領域に確信度「中」のアノテーション36を付加し、それに対するコメント(腫瘍)を付加する。アノテーションを付加し終わった後の医用画像である読影後の医用画像は、記憶部73や画像サーバ120に記憶される。
【0039】
所見インサートボタン40は、ネットワーク140を介して読影レポート作成装置1に所見作成処理を開始させるためのボタンである。
【0040】
以下、所見作成処理を説明する。図6は、所見作成処理の流れを示す図である。図6に示すように、読影レポート装置1の制御部15は、読影医等からの所見作成処理の要求を待機している(ステップS01)。例えば、読影医等により医用画像参照装置70のアノテーション付加処理における表示画面上の所見インサートボタン(図5の40)が選択されることを契機として、制御部15は、所見作成アプリケーションプログラムを実行し、所見作成処理を開始する(ステップS01:YES)。なお、読影レポート作成装置1の操作部12や所見作成アプリケーションプログラムの実行画面等に所見インサートボタンを設け、この所見インサートボタンが選択されることを契機として制御部16は、所見作成処理を開始しても良い。
【0041】
制御部15は、通信部14を介して、医用画像参照装置70から読影後の医用画像に付加されているアノテーションのデータ、コメントのデータ及び医用画像の付帯情報のデータを取得し、記憶部13に入力する(ステップS02)。アノテーション付加処理において矢印のアノテーション等によって互いに対応付けられたアノテーションとコメントとは、一まとめにして処理される。取得されるアノテーションのデータは、具体的には、アノテーションの種類やコメントのみを示すコードである。なお、説明の簡単のため、ステップS02にて取得したデータにコメントのみに分類されるデータは含まれていないとする。また、医用画像の付帯情報は、医用画像の番号であるとする。
【0042】
次に制御部15は、ステップS02にて入力した複数のアノテーションのデータのうち、所見センテンスを作成していないアノテーション(以下、未処理のアノテーションと呼ぶ)のデータがあるか否かを判断する(ステップS03)。未処理のアノテーションがあると判断すると制御部15は、その未処理のアノテーションがエリアのアノテーションであるか否かを判断する(ステップS04)。アノテーションには、その種類ごとにコードが付されているので、アノテーションに付されたコードを識別することにより、未処理のアノテーションがエリアのアノテーションであるか否かを判断することができる。典型的に、アノテーションは、アノテーション付加処理にて付加された順番に処理される。
【0043】
未処理のアノテーションがエリアのアノテーションであると判断すると、制御部15は所見センテンス作成処理を行う。所見センテンス作成処理において制御部15は、エリアのアノテーションに応じた定型文のデータを記憶部13から取得する(ステップS05)。そして制御部15は、ステップS05にて取得した定型文と、エリアのアノテーションに対応付けられたコメント及びステップS02にて入力した画像の番号とを結合して、所見センテンスを作成する(ステップS06)。
【0044】
具体的に、図4に示したエリアのアノテーション(「浸潤影を見る」というコメントが対応付けられているエリアのアノテーション)を挙げてステップS06を説明する。ステップS06において、エリアのアノテーションに応じた定型文「スライスNo.<xx>にエリア指定の所見あり」と、コメント「浸潤影を見る」と、医用画像の番号、例えば「3」とが結合される。その結果、
・スライスNo.3にエリア指定の所見あり
「浸潤影を見る」
という所見センテンスが作成される。
【0045】
ステップS06が終了すると制御部は、ステップS03の処理を再び行なう。
【0046】
ステップS04にて未処理のアノテーションがエリアのアノテーションでないと判断すると、制御部16は、未処理のアノテーションがコメントのみのアノテーション、計測のアノテーション又は確信度のアノテーションの何れかであるかを判断する(ステップS07)。
【0047】
未処理のアノテーションが計測のアノテーション又は確信度のアノテーションの何れかであると判断すると制御部15は、所見センテンス作成処理を行う(ステップS07:YES)。
【0048】
所見センテンス作成処理において制御部15は、それぞれのアノテーションに応じた定型文を記憶部13から取得する(ステップS08)。そして制御部15は、ステップS08にて取得した定型文と、それぞれのアノテーションに対応付けられたコメントと、ステップS02にて入力した画像の番号とを結合して、所見センテンスを作成する(ステップS09)。ステップS09における所見センテンス作成処理もステップS06の所見センテンス作成処理と同様に行なわれる。例えば、図5に示した確信度「中」のアノテーション(「腫瘍」というコメントが対応付けられている確信度「中」のアノテーション)に関する所見センテンスは、画像番号を「3」とすると、
・スライスNo.3に確信度「中」の所見あり
「腫瘍」
である。
【0049】
同様に、図5に示した測定のアノテーション(「腫瘍の径 20mm」というコメントが対応付けられている測定のアノテーション)に関する所見センテンスは、
・スライスNo.3に計測あり
「腫瘍の径 20mm」
である。
【0050】
医用画像に付加された全てのアノテーションについて所見センテンスが作成されステップS03にて未処理のアノテーションがないと判断すると、制御部15は、所見センテンス結合処理を行う。所見センテンス結合処理において制御部15は、ステップS06及びステップS09にて作成した全ての所見センテンスを結合し、読影レポートの所見を作成する(ステップS10)。ステップS10にて所見が作成されると、制御部15は、画像表示部11に作成した所見を表示させる(ステップS11)。図7は、ステップS11にて表示される所見の一例を示す図であり、図5に示すアノテーションが付加された医用画像に関する所見である。図7に示すように、所見51には、アノテーション付加処理において付加されたアノテーションに対応する所見センテンス(52、53及び54)が全て結合される。所見センテンスの並び順は、作成された順やアノテーションの種類ごとに並べてもよい。また、操作者は、操作部12を介して、所見51に更に文章を入力することも可能である。
【0051】
読影レポートの所見が表示されると、所見作成処理は終了する。
【0052】
なお、本実施形態の処理の一例では、コメントのみに分類されるデータは含まないとした。しかしながらこれに限定する必要はなく、アノテーション付加処理にて、アノテーションに対応付けないコメントを付加してもよい。以下、医用画像にアノテーションに対応付けされていない「腫瘍あり」というコメントを付加した場合を例にとって、所見センテンス作成処理を説明する。所見センテンス作成処理において制御部15は、コメントのみのデータに応じた定型文を記憶部13から取得する。そして制御部15は、取得した定型文と、それぞれのアノテーションに対応付けられたコメントと、図5のステップS02にて入力した画像の番号とを結合して、所見センテンスを作成する。具体的に、画像の番号を3とすると、所見センテンスは、
・スライスNo.3にコメントあり
「腫瘍あり」
となる。
【0053】
なお、記憶部13に記憶されている定型文は、必要に応じて操作部12により随時書き換えることが可能である。
【0054】
また、上記実施形態では、医用画像の付帯情報として医用画像の番号を例に挙げて説明したが、それに限定する必要はない。例えば、付帯情報として検査部位や、検査日、患者ID、患者氏名等やそれらの組み合わせであってもよい。
【0055】
以上述べた構成によれば、医用画像に付加されたアノテーションに基づいて自動的に所見センテンスを作成し、自動的に作成した全ての所見センテンスを結合し、自動的に読影レポートの所見を作成することができる。その結果、読影レポートの作成に関する手間を軽減することができる。
【0056】
なお本実施形態においては、医用画像参照装置70にアノテーション付加アプリケーションプログラム、読影レポート作成装置1に所見作成アプリケーションプログラムが記憶(インストール)されているとし、それぞれがアノテーション付加処理、所見作成処理を実行するとした。しかしながらこれに限定する必要はなく、上述のアノテーション付加アプリケーションプログラムと所見作成アプリケーションプログラムとが1つの記憶部に記憶(インストール)され、上述のアノテーション付加処理と所見作成処理とを行なう読影レポート作成装置(以下、医用画像読影装置と呼ぶ。)(PC)であってもよい。
【0057】
医用画像読影装置は、病院内ネットワークシステム100に接続される。図示はしないが、医用画像読影装置は、画像表示部、操作部、記憶部、通信部及び制御部を有する。以下、簡単に医用画像読影装置の各構成要素を説明する。
【0058】
医用画像読影装置の画像表示部は、CRTやLCD等からなるモニタを備えている。
【0059】
医用画像読影装置の操作部は、マウス等のポインティングデバイスやカーソルキー及び各種機能キーを備えたキーボードである。また、医用画像読影装置の操作部はCRT又はLCD等により構成される医用画像読影装置の画像表示部を覆うように設けられたタッチパネルを備えるものとしてもよい。
【0060】
医用画像読影装置の記憶部は、プログラムや各種データ等が記憶されている記録媒体を有している。医用画像読影装置の記憶部は、医用画像読影装置の制御部により実行される制御プログラム、アノテーション付加処理のためのアノテーション付加アプリケーションプログラム及び所見作成処理のための所見作成アプリケーションプログラムを記憶する。また、医用画像読影装置の記憶部は、図4に示すようなアノテーションの種類又はコメントを示すデータとアノテーションの種類又はコメントに応じた所見用の定型文のデータとを関連付けて記憶する。
【0061】
医用画像読影装置の通信部は、ネットワーク140により接続された各種装置と通信を行ない、各種データの送受信を行なう。
【0062】
医用画像読影装置の制御部は、医用画像読影装置としての動作を実現するように各構成要素を制御する。医用画像読影装置の制御部は、各構成要素を制御するための制御機能に加えて、入力機能及び所見作成機能を備える。医用画像読影装置の制御部は、例えばCPU及びRAMを含み、医用画像読影装置の記憶部からプログラム読み出して上記RAM上に展開し、このプログラムに従った処理を上記CPUが実行することによって、これらの各機能を実現する。以下、各機能について説明する。
【0063】
入力機能において医用画像読影装置の制御部は、操作者から所見作成処理の開始要求を受けると、アノテーション付加アプリケーションからアノテーションや図形等のデータを取得し、所見作成アプリケーションへ取得したデータを入力する。
【0064】
所見作成機能において医用画像読影装置の制御部は、所見センテンス作成処理と所見センテンス結合処理とからなる所見作成処理を行なう。所見センテンス作成処理において医用画像読影装置の制御部は、医用画像に付加された図形のアノテーションに関連付けられた定型文と、その図形のアノテーションに対するコメントを結合して、所見センテンスを作成する。また医用画像読影装置の制御部は、コメントのみに関連付けられた定型文と、そのコメントとを結合して、所見センテンスを作成する。所見センテンス結合処理において医用画像読影装置の制御部は、作成された全ての所見センテンスを結合し所見を作成する。
【0065】
また、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施形態における読影レポート作成装置1に関する病院内のネットワークシステム100の構成図を示す図。
【図2】図1の医用画像参照装置70の構成を示す図。
【図3】図1の読影レポート作成装置1の構成を示す図である。
【図4】図3の記憶部13に記憶されるアノテーションの種類又はコメントのみを示すデータとアノテーションの種類又はコメントのみに応じた所見用の定型文のデータとを示す図。
【図5】本実施形態に係わるアノテーション付加処理における表示画面の一例を示す図である。
【図6】本実施形態に係わる所見作成処理の流れを示す図。
【図7】図6のステップS11にて表示される所見の一例を示す図。
【符号の説明】
【0067】
1…読影レポート作成装置、11…画像表示部、12…操作部、13…記憶部、14…通信部、15…制御部、70…医用画像参照装置、71…画像表示部、72…操作部、73…記憶部、74…通信部、75…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像に付された図形と注釈とを入力する入力部と、
前記医用画像に付された図形と定型文との関連付けを記憶する記憶部と、
前記入力部により入力された前記図形に応じた前記定型文と前記注釈とから前記医用画像に関する所見を作成する所見作成部と、
を具備することを特徴とする読影レポート作成装置。
【請求項2】
前記所見作成部は、前記医用画像の付帯情報と前記図形に応じた前記定型文と前記注釈とから前記所見を作成することを特徴とする請求項1記載の読影レポート作成装置。
【請求項3】
前記所見作成部は、前記図形に応じた前記定型文と前記注釈とを結合することにより前記所見を作成することを特徴とする請求項1記載の読影レポート作成装置。
【請求項4】
前記図形は画像データであり、前記注釈はテキストデータであることを特徴とする請求項1記載の読影レポート作成装置。
【請求項5】
前記付帯情報は、画像番号であることを特徴とする請求項2記載の読影レポート作成装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記図形の複数の種類それぞれと前記定型文との関連付けを記憶するものであることを特徴とする請求項1記載の読影レポート作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−257579(P2008−257579A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100726(P2007−100726)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】