説明

課金システム及び方法

【課題】情報セキュリティと使い勝手に優れたキャリア課金の技術を提供する。
【解決手段】情報提供者用サーバが提供する情報提供者用入力画面からのリンクにより、利用料金情報などの案件識別情報と共に、キャリア用サーバが提供するキャリア用入力画面にアクセスを画面遷移させたうえ、キャリア用サーバが端末識別情報を端末から直接取得して課金処理を行い、その結果を情報提供者用サーバへ送信する。これにより、キャリア以外の情報提供者用サーバなどで端末識別情報について予めデータベースを保持したり端末から読み取ることが無く、プライバシー上の懸念や情報漏洩等のセキュリティリスクが回避でき、情報提供者用サーバにおける処理負荷も軽減できる。また、画面表示される数字列などの認証情報をサービス利用時に改めて入力する煩雑な手間が省けるので使い勝手も改善できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークにおける課金の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話の普及と高機能化に伴い、着信メロディなど各種有料サービスが進展している。特に、サービスの利用料を携帯電話の利用料金と一緒に携帯電話会社(「キャリア」とも呼ばれる)経由で収納する制度は、キャリア課金などと呼ばれる。その一例は、キャリアが用いる課金用設備と、決済事業者や決済事業者を兼ねる情報提供者が用いる決済用設備と、を用いるものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この例では、情報提供者の決済用設備において、端末識別情報(端末シリアル番号、個体識別情報、端末製造番号、契約者固有IDなど)のデータベースをキャリアから得て予め保持しておき、サービスを利用しようとするアクセス元である端末から端末識別情報を取得し上記データベースと照合してアクセス元の端末を認証する。そのうえで、決済用設備からキャリアの課金用設備へ、端末識別情報や課金額などを送信してそのユーザの合計課金額に計上させたうえ、課金済を表す数字列などの認証情報をキャリアの課金用設備から端末画面に表示させ、その認証情報をユーザが、情報提供者のウェブページで入力することによりサービスを利用するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3671375号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、キャリア以外の決済事業者が、利用金額の情報以外に、個体製造番号や端末IDなどの端末識別情報について、端末から取得したり、多数のユーザを網羅するデータベースとして保持することは、プライバシーを含めて情報セキュリティ上の懸念に加え、設備の負荷となる問題もあった。また、ユーザが、数字などの認証情報を書き留めたり、コピーや貼付処理などでサービス利用時に入力するのは煩雑で、使い勝手の改善が潜在的に望まれていた。さらに、端末識別情報での認証では、サービスを利用できる端末が一つに限られ、この点でも使い勝手の改善が望まれていた。
【0006】
上記の課題に対し、本発明の目的は、情報セキュリティと使い勝手に優れたキャリア課金の技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的をふまえ、本発明の一態様(1)は、情報提供者用サーバと、キャリア用サーバと、を有する課金システムであって、前記情報提供者用サーバは、携帯端末からのアクセスに対し、その情報提供者用サーバが提供する情報提供者用入力画面を送信する画面送信手段を有し、前記情報提供者用入力画面は、前記キャリア用サーバが提供するキャリア用入力画面のリクエスト及び課金処理案件を識別する案件識別情報を前記キャリア用サーバに送信するリンクを含むものであり、前記キャリア用サーバは、送信された前記リクエスト及び前記案件識別情報を受信するリクエスト等受信手段と、受信した前記リクエストに係る前記携帯端末に対し前記キャリア用入力画面を送信すると共に、前記携帯端末から端末識別情報を取得する端末識別情報取得手段と、転送された前記案件識別情報と、取得された前記携帯端末の前記端末識別情報と、を用いて、その携帯端末について課金処理を行う課金処理手段と、前記課金処理の結果を、前記転送の元となった前記情報提供者用サーバへ通知する結果通知手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の他の態様(4)は、上記態様を方法のカテゴリで捉えたもので、情報提供者用サーバと、キャリア用サーバと、を通信ネットワーク経由で組み合わせて実行する課金方法であって、前記情報提供者用サーバが、携帯端末からのアクセスに対し、その情報提供者用サーバが提供する情報提供者用入力画面を送信する画面送信処理を実行し、前記情報提供者用入力画面は、前記キャリア用サーバが提供するキャリア用入力画面のリクエスト及び課金処理案件を識別する案件識別情報を前記キャリア用サーバに送信するリンクを含むものであり、前記キャリア用サーバが、送信された前記リクエスト及び前記案件識別情報を受信するリクエスト等受信処理と、受信した前記リクエストに係る前記携帯端末に対し前記キャリア用入力画面を送信すると共に、前記携帯端末から端末識別情報を取得する端末識別情報取得処理と、転送された前記案件識別情報と、取得された前記携帯端末の前記端末識別情報と、を用いて、その携帯端末に適用する課金処理と、前記課金処理の結果を、前記転送の元となった前記情報提供者用サーバへ通知する課金結果通知処理と、を実行することを特徴とする。
【0009】
このように、情報提供者用サーバが提供する情報提供者用入力画面からのリンクにより、利用料金情報などの案件識別情報と共に、キャリア用サーバが提供するキャリア用入力画面にアクセスを画面遷移させたうえ、キャリア用サーバが端末識別情報を端末から直接取得して課金処理を行い、その結果を情報提供者用サーバへ送信する。
【0010】
これにより、キャリア以外の情報提供者用サーバなどで端末識別情報について予めデータベースを保持したり端末から読み取ることが無く、プライバシー上の懸念や情報漏洩等のセキュリティリスクが回避でき、情報提供者用サーバにおける処理負荷も軽減できる。また、画面表示される数字列などの認証情報をユーザがサービス利用時に改めて入力する煩雑な手間が省けるので使い勝手も改善できる。以上、情報セキュリティと使い勝手に優れたキャリア課金の技術を提供することが可能となる。
【0011】
本発明の他の態様(2)は、上記いずれかの態様において、前記課金処理手段は、前記携帯端末から入力されるユーザ認証用の暗証情報によりユーザ認証を行ったうえで、前記課金処理を行うことを特徴とする。
【0012】
このように、課金処理に先立ち、キャリア用サーバから交換機用暗証番号やネットワーク暗証番号などの暗証情報の入力を求めてユーザ認証を行うことにより、本人以外の操作による予期せぬ課金を防止しセキュリティが強化できる。
【0013】
本発明の他の態様(3)は、上記いずれかの態様において、前記情報提供者用サーバは、ユーザID及びパスワードでユーザを識別するユーザ識別手段を有し、前記キャリア用サーバにより所定の前記課金処理が完了したユーザについて課金済である旨の情報を記憶する課金ユーザ記憶手段と、前記ユーザ識別手段により識別されたユーザについて前記課金ユーザ記憶手段に前記課金済である旨の情報が記憶されているか判断する課金判断手段と、前記課金済である旨の情報が記憶されていると判断されたユーザに係るアクセスに対して所定の有料コンテンツを提供する判断提供手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
このように、端末識別情報とは別に、情報提供者用サーバにおいてユーザIDなどでユーザを特定し、そのように識別されるユーザに対し課金済である旨の情報を記憶して有料コンテンツの提供に用いる。これにより、キャリア用サーバによる課金完了後、同じユーザから同じ月額料金などの範囲内で再度のアクセスがあった時は、キャリア用サーバとのアクセスなどのやりとりが省略でき、負荷軽減と応答迅速化が図れる。
【0015】
また、他の端末からのアクセスでもユーザID等で同じユーザと確認できればコンテンツ提供に応じられるなど、使い勝手が柔軟となる。加えて、ユーザID等の識別手段の利用により、コンテンツ利用履歴に基づく広告配信など他のサービスとの効果的な連携も可能となる。
【0016】
なお、上記の各態様は、明記しない他のカテゴリ(方法、プログラム、システムなど)としても把握することができ、方法やプログラムのカテゴリについては、装置のカテゴリで示した「手段」を、「処理」や「ステップ」のように適宜読み替えるものとする。また、処理やステップの実行順序は本出願に直接明記するものに限定されず、処理順序を変更したり、一部の処理をまとめてもしくは随時一部分ずつ実行するなど、変更可能である。さらに、方法やプログラムのカテゴリにおいて、個々の処理やステップを実行するサーバや端末などのコンピュータは共通でもよいし、処理ごとにもしくはタイミングごとに異なってもよい。加えて、本発明は、後述するさらに具体的な各態様を含むものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、情報セキュリティと使い勝手に優れたキャリア課金の技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態について構成を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の実施形態におけるデータ例を示す図。
【図3】本発明の実施形態における処理手順を示すフローチャート。
【図4】本発明の実施形態における画面表示例を示す図(情報提供者用入力画面)。
【図5】本発明の実施形態における画面表示例を示す図(キャリア用入力画面)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」と呼ぶ)について図に沿って例示する。なお、背景技術や課題などで既に述べた内容と共通の前提事項は適宜省略する。
【0020】
〔1.構成〕
本実施形態は、図1の構成図に示すように、情報提供者用サーバ1と、キャリア用サーバ2と、を通信ネットワークN(例えば、携帯電話、PHS、公衆無線LANなどの移動通信網、インターネットなど)を経由して組み合わせた課金システムであって、各サーバ1及び2は、コンピュータの構成として少なくとも(図1)、CPUなどの演算制御部6と、主メモリや補助記憶装置等の記憶装置7と、通信ネットワークNとの通信手段8(移動通信網との通信回路、通信ゲートウェイ装置、無線LANアダプタなど)と、を有する。
【0021】
また、携帯端末T(以下「端末T」や「端末」とも呼ぶ)は、従来からの携帯電話端末(いわゆるガラケー:ガラパゴスケータイ)、スマートフォン、タブレットPCなどのモバイル情報端末で、図示はしないが、上記のようなコンピュータの構成に加え、液晶表示パネルやタッチパネル、押ボタンなどを用いた入出力部と、携帯電話向けやスマートフォン向けなどのウェブページを表示する機能と、を有する。端末Tは、模式的な図1に拘らず、実際はユーザ数に応じ多数存在する。また、サーバ1や2が、事業者数に応じ複数存在してもよい。
【0022】
各サーバ1及び2では、それぞれ、記憶装置7に記憶(インストール)した所定のコンピュータ・プログラムが演算制御部6を制御することで、図1に示す各手段などの要素(10,20ほか)を実現する。それら要素のうち情報の記憶手段は、記憶装置7上のファイルなど任意のデータ形式で実現できるほか、ネットワークコンピューティング(クラウド)によるリモート記憶でもよい。また、記憶手段は、データの格納領域だけでなく、データの入出力や管理などの機能を含んでもよい。また、本出願に示す記憶手段の単位は説明上の便宜によるもので、適宜、構成を分けたり一体化できるほか、明示する記憶手段以外にも、各手段の処理データや処理結果などを記憶する記憶手段を適宜用いるものとする。
【0023】
そして、記憶手段のうち、情報提供者用サーバ1の課金ユーザ記憶手段65は、図2(1)に例示するように、情報提供者用サーバ1で用いる固有のユーザIDごとに、課金の状態を表す情報(仮に「課金ユーザ情報」と呼ぶ)を記憶する手段である。ユーザID及びパスワード(いわゆるログインに用いるユーザ登録情報)は、端末T等のユーザにより、情報提供者用サーバ1に対して予め登録されている。キャリア用サーバ2のユーザ情報記憶手段35は、図2(3)に例示するように、端末Tをキャリアと契約しているユーザごとに、回線番号や端末識別情報などの登録情報(仮に「キャリアユーザ情報」と呼ぶ)を記憶している手段である。キャリア用サーバ2のキャリア課金記憶手段45は、図2(2)に例示するように、端末Tごとにキャリア用サーバ2で行った課金処理の履歴を表す情報(仮に「キャリア課金情報」と呼ぶ)記憶する手段である。
【0024】
これら各データ例のうち、課金ユーザ情報(図2(1))とキャリア課金情報(図2(2))、キャリア課金情報(図2(2))とキャリアユーザ情報(図2(3))は、矢印で示す項目同士が対応している。
【0025】
なお、図中(例えば図1)の矢印は、データや制御などの流れについて主要な方向を補助的に示すもので、他の流れを否定するものでも、方向の限定を意味するものでもない。例えばデータをある方向に取得する場合、事前のデータリクエストや事後のアクノリッジ(ACK)が逆方向に送信される。また、記憶手段以外の各手段は、以下に説明するような情報処理の機能・作用を実現・実行する処理手段であるが、これらは説明のために整理した機能単位であり、実際のハードウェア要素やソフトウェアモジュールとの一致は問わない。
【0026】
〔2.作用及び効果〕
上記のように構成された本実施形態において、端末Tのユーザが、情報提供者用サーバ1が提供する有料コンテンツを利用するにあたり、キャリア用サーバ2を用いた課金を受ける場合の作用を、図3のフローチャートに示す。
【0027】
〔2−1.概要〕
まず、作用の概要を抽出して説明する。
〔2−1−1.情報提供者用サーバでの処理〕
すなわち、情報提供者用サーバ1では、有料のコンテンツやサービスを利用しようとするアクセス元である端末Tのユーザが未課金の場合(ステップS13:「NO」)、画面送信手段10が、端末Tからのアクセスに対し、その情報提供者用サーバ1が提供する情報提供者用入力画面G1(以下「サイト画面G1」や「サイト画面」とも呼ぶ)を送信する(ステップS15)。
【0028】
このサイト画面G1は、端末Tの表示画面Dに表示されるもので、ユーザが利用したい有料コンテンツ(例えば、ニュース、着信メロディ、ゲーム、占い、投資情報など)の購入を確認して先へ進む内容である(例えば図4)。そして、サイト画面G1は、キャリア用サーバ2が提供するキャリア用入力画面G2(以下「キャリア画面G2」や「キャリア画面」とも呼ぶ)のリクエスト及び課金処理案件を識別する案件識別情報をキャリア用サーバ2に送信するリンクを含むものである。
【0029】
ここで、案件識別情報は、具体的には自由であるが、典型的には、情報提供者用サーバ1が課金処理案件に割り当てたセッションID(案件ID)などで、利用料金情報(例えば、金額、ユーザ向け明細表示に用いる摘要欄の文字列など)などを含む。図2に示す課金ユーザ情報(図2(1))及びキャリア課金情報(図2(2))の例では、案件識別情報である文字列が、破線の楕円で示すように、末尾に課金額(例えば¥294)を「294」のように文字列として含むので、課金ユーザ情報(図2(1))のように課金額の情報項目を省略可能であり記憶容量や処理効率が改善できる。
【0030】
また、情報をキャリア用サーバ2へ送信する「リンク」としては、例えば、図4に示す「課金へ進む」ボタンB4が操作されたときの遷移先(飛び先)のURLとして、キャリア用サーバ2が提供するキャリア画面G2のURL(ドメイン名、サブドメイン名、ディレクトリなど)に、引数として、上記のような案件識別情報を表す英数字などの文字列を付加したものが考えられる。このようなリンクは、キャリア画面G2を表すHTMLやそのサブセットなどによるマークアップ記述に含めればよい。
【0031】
また、「リンク」は、他のウェブページ又は画面ページにアクセス先を遷移する情報であり、ハイパーリンクに代表されるが、他の種別や形式などを任意に採用してよい。このようなリンクの働きにより、端末Tのユーザがサイト画面G1において有料コンテンツの購入を確認し、先へ進む操作を行うと(例えば図4)、端末Tは、キャリア用サーバ2が提供するキャリア画面G2のリクエスト及び課金処理案件を識別する案件識別情報(案件IDや利用料金情報など)を、キャリア用サーバ2に送信することとなる。
【0032】
〔2−1−2.キャリア用サーバでの処理〕
キャリア用サーバ2では、リクエスト等受信手段20が、上記のように情報提供者用サーバ1から送信されたリクエスト及び案件識別情報を受信すると(ステップS21)、受信したリクエストに係る端末Tに対し、端末識別情報取得手段30が、キャリア画面G2(例えば図5)を送信すると共に(ステップS22)、端末Tから端末識別情報を取得する(ステップS23)。キャリア画面G2の送信と端末識別情報の取得はどちらが先でもよく、リクエストの受信(ステップS21)と同時に、ユーザーエージェントなどページリクエストのパラメータとして取得してもよい。
【0033】
そして、キャリア用サーバ2の課金処理手段40が、転送された案件識別情報と、取得された端末Tの端末識別情報と、を用いて、その端末Tについて課金処理を行う(ステップS27)。課金処理としては、例えば、キャリア用サーバ2のユーザ情報記憶手段35に記憶されている携帯電話ユーザの端末識別情報と、端末Tから取得した端末識別情報と、を照合して一致し、かつ、保護者による課金サービス利用停止その他の否定的情報の登録もユーザ情報記憶手段35に無いこと、など所定条件の成立を確認のうえ、その案件識別情報に基づく課金金額など必要な情報項目をキャリア課金情報として(例えば図2(2))、キャリア課金記憶手段45に記憶させる(ステップS27)。
【0034】
そして、上記のような課金処理の正常な完了を待って、結果通知手段50が、課金処理の肯定的な結果を(ステップS28)、リクエストが転送されてくる元となった情報提供者用サーバ1へ通知する。なお、課金処理がエラーなど否定的な結果に終わった場合や(ステップS27及び破線矢印)、後述するユーザ認証(ステップS25)の結果が否定的だった場合(ステップS26:「NO」)、結果通知手段50は、それら否定的な結果の通知を行う(ステップS29)。
【0035】
〔2−1−3.情報提供者用サーバでの情報提供と効果〕
情報提供者用サーバ1では、課金情報更新手段51が、上記のように通知される課金処理の結果を受信し(ステップS16)、その結果が肯定的なら(ステップS17:「YES」)、課金ユーザ記憶手段65に記憶されている課金ユーザ情報(図2(1))を、ユーザIDに関連付けて案件識別情報や課金済フラグを登録することなどで更新する(ステップS18)。例えば、図2(1)の例では、ユーザID「a123」に対応し、案件識別情報と、課金済サービスとして「○○お試しコース」が登録されている。そして、肯定的な結果に対応し所定の謝辞などを表示のうえ(ステップS19)、課金に対応する有料のコンテンツやサービスを提供する(ステップS14)。
【0036】
一方、認証や課金処理の失敗などで、否定的な結果がキャリア用サーバ2から通知された場合(ステップS16)、課金OKではないので(ステップS17:「NO」)、否定的な結果に対応し理由や所定のお断りの文言などを表示する(ステップS20)。
【0037】
以上のように、本実施形態では、情報提供者用サーバ1が提供するサイト画面G1からのリンクにより(ステップS15)、利用料金情報などの案件識別情報と共に、キャリア用サーバ2が提供するキャリア画面G2にアクセスを画面遷移させたうえ(ステップS21)、キャリア用サーバ2が端末識別情報を端末Tから直接取得して(ステップS23)課金処理を行い(ステップS27)、その結果を情報提供者用サーバ1へ送信する(ステップS28,S29)。
【0038】
これにより、キャリア以外の情報提供者用サーバ1などで端末識別情報について予めデータベースを保持したり端末Tから読み取ることが無く、プライバシー上の懸念や情報漏洩等のセキュリティリスクが回避でき、情報提供者用サーバ1における処理負荷も軽減できる。また、画面表示される数字列などの認証情報をユーザがサービス利用時に改めて入力する煩雑な手間が省けるので使い勝手も改善できる。以上、情報セキュリティと使い勝手に優れたキャリア課金の技術を提供することが可能となる。
【0039】
〔2−2.暗証情報によるユーザ認証〕
また、上記のような課金処理に際しキャリア用サーバ2から端末Tに表示させるキャリア用入力画面としては、例えば単に「処理中です」「承りました」などの確認画面(図示省略)でもよいが、ユーザ認証用の暗証情報の入力を求めるキャリア画面G2(例えば図5)とすることが望ましい。
【0040】
この場合、キャリア用サーバ2の課金処理手段40は、端末Tから入力されるユーザ認証用の暗証情報(ステップS24)を用いて、例えばユーザ情報記憶手段内の暗証情報(例えば図2(3))との照合などによりユーザ認証を行ったうえで(ステップS25,S26)、課金処理を行う(ステップS27)。例えば、図5の画面例では、暗証情報として入力欄Rにユーザが、携帯電話の契約時に届け出て記憶している暗証番号を入力し、「課金確定」ボタンB5を操作すると、その暗証番号によるユーザ認証に進む。
【0041】
ユーザ認証用の暗証情報は、具体的には自由であるが、モバイルネットワークサービスで用いられるいわゆる交換機用暗証番号やネットワーク暗証番号などが考えられる。それ以外でも、秘密の質問と答えや、複数の候補画像から予め認証用に本人が選んでおいた画像を当てさせるなど、他の種類の暗証情報を用いることもできる。また、入力する暗証情報は、端末のセンサで検知する指紋パターンや網膜血管パターンなど生体認証(バイオメトリクス認証)用の情報でもよい。
【0042】
このように、課金処理に先立ち、キャリア用サーバ2から交換機用暗証番号やネットワーク暗証番号などの暗証情報の入力を求めてユーザ認証を行うことにより(ステップS24からS26)、本人以外の操作による予期せぬ課金を防止しセキュリティが強化できる。
【0043】
〔2−3.以後の課金ユーザの確認〕
情報提供者用サーバ1において、このサーバ1で各ユーザに割り当てる固有のユーザIDなど、キャリア用サーバ2とは異なるユーザ識別手段でユーザを識別すれば、課金済のユーザについて次回以降はキャリア用サーバ2へのアクセスが不要となる。この場合、情報提供者用サーバ1では、ユーザ識別手段60が、上記のようなユーザID及びパスワードでユーザを識別する(ステップS12)。
【0044】
そして、キャリア用サーバ2により所定の課金処理(ステップS27)が完了したユーザについては、既に説明したように、受信した課金処理の結果(ステップS16)が肯定的であることを受けて(ステップS17:「YES」)、課金済である旨の情報として課金ユーザ情報(図2(1))を課金ユーザ記憶手段65に記憶しておく(ステップS18)。
【0045】
そして、課金判断手段70は、アクセスに係るユーザであってユーザ識別手段60により識別されたユーザについて(ステップS11,S12)、課金ユーザ記憶手段65に課金済である旨の情報が記憶されている課金済ユーザか否か判断する(ステップS13)。そして、課金済である旨の情報が記憶されている課金済ユーザと判断(ステップS13:「YES」)されたユーザに係るアクセスに対しては、コンテンツ提供手段80が、所定の有料コンテンツ(サービスなど任意の対象でよい)を提供する(ステップS14)。
【0046】
このように、端末識別情報とは別に、情報提供者用サーバ1においてユーザIDなどでユーザを特定し(ステップS12)、そのように識別されるユーザに対し課金済である旨の情報を記憶して(ステップS18)有料コンテンツの提供に用いる(ステップS13,S14)。これにより、キャリア用サーバ2による課金完了後、同じユーザから同じ月額料金などの範囲内で再度のアクセスがあった時は、キャリア用サーバ2とのアクセスなどのやりとりを省略して(ステップS13:「YES」)有料コンテンツ等を提供できるので(ステップS14)、負荷軽減と応答迅速化が図れる。
【0047】
また、他の端末からのアクセスでもユーザID等で同じユーザと確認できればコンテンツ提供に応じられるなど、使い勝手が柔軟となる。加えて、ユーザID等の識別手段の利用により、コンテンツ利用履歴に基づく広告配信など他のサービスとの効果的な連携も可能となる。
【0048】
〔3.他の実施形態〕
なお、上記実施形態は例示に過ぎず、本発明は、以下に例示するものやそれ以外の他の実施態様も含むものである。例えば、本出願における構成図、データの図、フローチャートなどは例示に過ぎず、各要素の有無、その配置や処理実行などの順序、具体的内容などは適宜変更可能である。一例として、図1に示した各サーバ1,2を構成する個々の手段をそれぞれ独立した装置で実現する構成も一般的である。例えば、サーバ1と2の間に適宜な仲介の事業者やシステムが介在してもよいし、そのようなシステムを含めてキャリア用サーバ2として把握してもよい。
【0049】
また、外部のプラットフォーム等をAPI(アプリケーション・プログラム・インタフェース)やネットワークコンピューティング(いわゆるクラウドなど)で呼び出すことで、上記実施形態で示した各手段を実現するなど、本発明の構成は柔軟に変更できる。さらに、本発明に関する手段などの各要素は、コンピュータの演算制御部に限らず物理的な電子回路など他の情報処理機構で実現してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 情報提供者用サーバ
2 キャリア用サーバ
6 演算制御部
7 記憶装置
8 通信手段
10 画面送信手段
20 リクエスト等受信手段
30 端末識別情報取得手段
35 ユーザ情報記憶手段
40 課金処理手段
45 キャリア課金記憶手段
50 結果通知手段
51 課金情報更新手段
60 ユーザ識別手段
65 課金ユーザ記憶手段
70 課金判断手段
80 コンテンツ提供手段
B4,B5 ボタン
G1 情報提供者用入力画面(サイト画面)
G2 キャリア用入力画面(キャリア画面)
N 通信ネットワーク
R 入力欄
T 携帯端末(端末)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報提供者用サーバと、キャリア用サーバと、を有する課金システムであって、
前記情報提供者用サーバは、携帯端末からのアクセスに対し、その情報提供者用サーバが提供する情報提供者用入力画面を送信する画面送信手段を有し、
前記情報提供者用入力画面は、前記キャリア用サーバが提供するキャリア用入力画面のリクエスト及び課金処理案件を識別する案件識別情報を前記キャリア用サーバに送信するリンクを含むものであり、
前記キャリア用サーバは、
送信された前記リクエスト及び前記案件識別情報を受信するリクエスト等受信手段と、
受信した前記リクエストに係る前記携帯端末に対し前記キャリア用入力画面を送信すると共に、前記携帯端末から端末識別情報を取得する端末識別情報取得手段と、
転送された前記案件識別情報と、取得された前記携帯端末の前記端末識別情報と、を用いて、その携帯端末について課金処理を行う課金処理手段と、
前記課金処理の結果を、前記転送の元となった前記情報提供者用サーバへ通知する結果通知手段と、
を有することを特徴とする課金システム。
【請求項2】
前記課金処理手段は、前記携帯端末から入力されるユーザ認証用の暗証情報によりユーザ認証を行ったうえで、前記課金処理を行う
ことを特徴とする請求項1記載の課金システム。
【請求項3】
前記情報提供者用サーバは、
ユーザID及びパスワードでユーザを識別するユーザ識別手段を有し、
前記キャリア用サーバにより所定の前記課金処理が完了したユーザについて課金済である旨の情報を記憶する課金ユーザ記憶手段と、
前記ユーザ識別手段により識別されたユーザについて前記課金ユーザ記憶手段に前記課金済である旨の情報が記憶されているか判断する課金判断手段と、
前記課金済である旨の情報が記憶されていると判断されたユーザに係るアクセスに対して所定の有料コンテンツを提供する判断提供手段と、
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の課金システム。
【請求項4】
情報提供者用サーバと、キャリア用サーバと、を通信ネットワーク経由で組み合わせて実行する課金方法であって、
前記情報提供者用サーバが、携帯端末からのアクセスに対し、その情報提供者用サーバが提供する情報提供者用入力画面を送信する画面送信処理を実行し、
前記情報提供者用入力画面は、前記キャリア用サーバが提供するキャリア用入力画面のリクエスト及び課金処理案件を識別する案件識別情報を前記キャリア用サーバに送信するリンクを含むものであり、
前記キャリア用サーバが、
送信された前記リクエスト及び前記案件識別情報を受信するリクエスト等受信処理と、
受信した前記リクエストに係る前記携帯端末に対し前記キャリア用入力画面を送信すると共に、前記携帯端末から端末識別情報を取得する端末識別情報取得処理と、
転送された前記案件識別情報と、取得された前記携帯端末の前記端末識別情報と、を用いて、その携帯端末に適用する課金処理と、
前記課金処理の結果を、前記転送の元となった前記情報提供者用サーバへ通知する課金結果通知処理と、
を実行することを特徴とする課金方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−45193(P2013−45193A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181079(P2011−181079)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)
【Fターム(参考)】