説明

調光器

【課題】可変抵抗器の回転性の低下を抑制しつつスイッチを省スペースで配置できる調光器を提供する。
【解決手段】つまみ16の回転操作部58を可変抵抗器28の回転軸28aと異なる位置を中心として回転可能とする。回転操作部58の回転をギヤ17によって可変抵抗器28の回転軸28aの回転に変換する。つまみ16の操作によって可変抵抗器28の回転軸28aに直接力が加わることを防止して、回転軸28aの傾斜などに伴う可変抵抗器28の回転性の低下を抑制できる。つまみ16の押圧部57を軸方向へと移動可能とする。押圧部57の移動によってつまみ16の背面側に配置したスイッチ27を操作することが可能になる。つまみ16の背面側のスペースを有効に利用し、スイッチ27を省スペースで配置できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源を調光可能な調光回路の操作用の調光器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の調光器としては、調光用の調光回路への時定数を、コンデンサおよび可変インピーダンス素子である可変抵抗器により設定し、可変抵抗器の抵抗値を変化させることで時定数を変化させることにより、ダイアックおよびトライアックなどを制御するものが知られている。このような調光器は、回転式の可変抵抗器の回転軸に、操作部であるつまみを直接取り付け、このつまみを回転させることによって可変抵抗器の抵抗値を直接変化させるように構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−266075号公報(第2−3頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の調光器では、可変抵抗器の回転軸につまみを直接取り付けるため、一般につまみを操作する際に力が均等に加わらず、つまみの操作によって長尺状の回転軸を傾斜状に操作することがある。このため、可変抵抗器に引っ掛かり感が発生して回転操作性を低下させるおそれがある。
【0004】
また、調光器は、光源の調光状態の連続性を図るため、光源が最も暗くなる位置近傍までつまみ(可変抵抗器)を回転させたときに主回路のオンオフのスイッチが切り換えられるように構成されているため、所望の調光状態、すなわち可変抵抗器の抵抗値を保持したままの状態で主回路のオンオフを切り替えることができず、調光状態に無関係に、あるいは調光状態を維持したままの状態で主回路をオンオフさせるためには、つまみの外方に別途スイッチを要するなど、小型化が容易でないという問題点を有している。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、可変インピーダンス素子の回転性の低下を抑制しつつ被操作体を省スペースで配置できる調光器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の調光器は、光源を調光可能な調光回路の調光用の時定数を、回転軸の回転に対応して可変させる可変インピーダンス素子と;少なくとも一部が可変インピーダンス素子の回転軸と異なる位置を中心として回転可能で、かつ、少なくとも一部が軸方向へ移動可能な操作部と;この操作部の少なくとも一部の回転を可変インピーダンス素子の回転軸の回転に変換する変換手段と;操作部の背面側に配置され、この操作部の少なくとも一部の軸方向への移動によって操作される被操作体と;を具備しているものである。
【0007】
光源は、例えば、白熱灯、蛍光ランプ、あるいはLEDなどが用いられる。
【0008】
調光回路は、例えばコンデンサ、抵抗器、ダイアックおよびトライアックなどを備え、可変インピーダンス素子によるインピーダンス値の変化に伴って時定数を変化させ、トライアックなどを制御している。
【0009】
可変インピーダンス素子は、例えば可変抵抗器であり、この可変抵抗器は、長尺状の回転軸を有しており、この回転軸の回転角度に応じてインピーダンス値が可変するように構成されている。
【0010】
操作部の少なくとも一部が可変インピーダンス素子の回転軸と異なる位置を中心として回転可能で、かつ、少なくとも一部が軸方向へ移動可能であるとは、回転可能な部分と軸方向へ移動可能な部分とが同一でもよいし、別個でもよいことをいう。
【0011】
変換手段は、例えば操作部と可変インピーダンス素子とを接続するように操作部あるいは可変インピーダンス素子の回転軸に一体に形成したものなどでもよいし、操作部および可変インピーダンス素子と別体としたギヤなどでもよい。
【0012】
被操作体は、例えば調光回路を含む主回路のオンオフ用のスイッチなどが好適に用いられるが、これに限定されるものではない。
【0013】
請求項2記載の調光器は、請求項1記載の調光器において、操作部および変換手段が取り付けられる取付体と;取付体に取り付けられ、操作部および変換手段を囲む四角形状の取付領域を区画するカバー部と;を具備し、操作部は、円形に形成され、取付領域の幅方向の略中心に位置し、変換手段は、取付領域の角部側にずれた位置で可変インピーダンス素子の回転軸に取り付けられ、操作部側と歯合されるギヤであるものである。
【0014】
取付体は、調光器を配置する壁面などに取り付けられるもので、例えば化粧カバーなどによって覆われている。
【0015】
変換手段となるギヤは、例えば平歯車などが好適に用いられる。
【0016】
請求項3記載の調光器は、請求項1または2記載の調光器において、操作部の背面側に配置された照明光源を具備し、操作部は、照明光源からの光を透過させる透光部を少なくとも一部に備えているものである。
【0017】
照明光源は、例えばネオンランプなどが好適に用いられるが、これに限定されるものではない。
【0018】
透光部は、例えば操作部の回転位置を示すためのもので、操作部を二色成形したり、操作部に空洞を形成したりすることで構成される。なお、透光部は、操作部全体としてもよい。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の調光器によれば、操作部の少なくとも一部を可変インピーンス素子の回転軸と異なる位置を中心として回転可能とし、この操作部の回転を変換手段によって可変インピーンス素子の回転軸の回転に変換することにより、操作部の操作によって可変インピーンス素子の回転軸に直接力が加わることを防止して、回転軸の傾斜などに伴う可変インピーンス素子の回転性の低下を抑制できるとともに、操作部の少なくとも一部を軸方向へと移動可能とすることにより、この移動によって操作部の背面側に配置した被操作体を操作することが可能になり、操作部の背面側のスペースを有効に利用し、被操作体を省スペースで配置できる。
【0020】
請求項2記載の調光器によれば、請求項1記載の調光器の効果に加えて、円形に形成した操作部を四角形状の取付領域の幅方向の略中心に配置するとともに、変換手段を、取付領域の角部側にずれた位置で可変インピーンス素子の回転軸に取り付けたギヤとすることにより、取付領域の角部近傍のスペースを有効に利用して、ギヤを省スペースで配置できる。
【0021】
請求項3記載の調光器によれば、請求項1または2記載の調光器の効果に加えて、操作部の背面側に配置した照明光源からの光を、操作部の透光部を介して透過させることにより、透光部を介して光を用いた表示が可能となり、操作部の視認性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1ないし図3に第1の実施の形態を示し、図1は調光器の正面図、図2は図1のA−A断面図、図3は調光器の分解斜視図である。
【0024】
図1ないし図3において、11は調光器を示し、この調光器11は、調光器本体12と、この調光器本体12の前側に配置される取付体としての板状の取付枠13と、この取付枠13の前側の周囲を覆う四角形枠状のプレート枠14と、このプレート枠14の前側を覆う四角形枠状の化粧カバー15と、これらプレート枠14および化粧カバー15の内方で取付枠13の前側に配置される操作部としてのつまみ16および変換手段としてのギヤ17と、これらつまみ16とギヤ17とを取付枠13に取り付けるための取付部としてのボックス部18とを備えている。そして、この調光器11は、室内の壁面などに取り付けられている。
【0025】
調光器本体12は、壁面などに埋め込まれる部分であり、四角形箱状の収容部21と、この収容部21に収容される基板部22とを有している。
【0026】
収容部21は、例えば合成樹脂などにより形成されており、開口部21aを前側、すなわち取付枠13側として配置されている。また、この収容部21は、取付枠13の背面側に、図示しないねじなどの固定手段によって固定されている。
【0027】
基板部22は、収容部21の内壁に沿う四角形状の基板本体25と、この基板本体25に実装された照明光源26と、基板本体25に実装され調光回路を構成する被操作体としてのスイッチ27、可変インピーダンス素子としての可変抵抗器28および図示しない各種電子部品とを有している。
【0028】
基板本体25は、収容部21内に、一主面25a側を開口部21a側に向けて収容されている。
【0029】
照明光源26は、つまみ16の一部を背面側から照明する例えばネオンランプなどであり、基板本体25の一主面25aの略中央部に実装されている。
【0030】
スイッチ27は、調光回路を含む主回路のオンオフを切り替えるためのもので、基板本体25の一主面25aの左右幅方向の中央位置で、かつ、照明光源26の上方に配置されている。また、このスイッチ27には、このスイッチ27を操作するためのスイッチ片部27aが前方に向けて突出している。
【0031】
可変抵抗器28は、いわゆるロータリボリュームであり、回転軸28aの回転に対応してインピーダンス値すなわち抵抗値が可変することにより、調光回路の調光用の時定数を可変させるように構成されている。また、この可変抵抗器28は、基板本体25の一主面25aの左右幅方向の一側寄りで、かつ、照明光源26の下方に配置され、回転軸28aが前方に向けて突出している。なお、この可変抵抗器28の回転軸28aは、抵抗値最小から抵抗値最大となるまで、所定の角度、例えば270°程度回転するように構成されている。
【0032】
調光回路は、図示しない照明器具の光源を調光するための回路であり、光源を点灯させるための主回路に接続されている。
【0033】
調光回路に用いる電子部品は、例えば抵抗器、コンデンサ、ダイアックおよびトライアックなどである。
【0034】
取付枠13は、例えば金属、あるいは合成樹脂などにより、正面視で上下方向に長手状の四角形状に形成されており、上側寄りの位置に、つまみ16およびギヤ17を取り付けるための取付部31が形成されているとともに、この取付部31の下方でかつ下側寄りの位置に、JIS規格により規格化された図示しない大角連用形のスイッチなどを取り付けるための取付孔32が形成されている。また、この取付枠13の左右幅方向の略中央位置で、かつ、この取付枠13の上端および下端のそれぞれには、取付枠13とプレート枠14とを図示しないねじなどの取付手段によって互いに固定するための孔部33,33が形成されている。さらに、この取付枠13の前側面である一主面13aの取付部31の外方には、ボックス部18の取り付け用の複数のボス部34が形成されている。また、取付枠13には、収容部21を取り付けるための複数の収容部取付孔35がボス部34の外方に形成されている。さらに、取付枠13の取付孔32の両側部には、この取付孔32に取り付けられるスイッチなどに設けられた爪部などの係合部を係合するための切欠部36,37が切り欠き形成されている。
【0035】
取付部31は、取付枠13の一主面13aに形成されており、つまみ16が嵌合する操作部用凹部である正面視で円形状のつまみ用凹部41と、ギヤ17が嵌合する変換手段用凹部である正面視で円形状のギヤ用凹部42とを、互いに連続して備えている。そして、この取付部31の前側には、ボックス部18が取り付けられる。
【0036】
つまみ用凹部41は、取付枠13の左右幅方向の略中心位置に形成されており、中央部に、照明光源26が露出してつまみ16の背面側に対向する丸孔状の対向孔部44が形成されており、この対向孔部44から上部に亘って、つまみ16の一部が挿入される挿入切欠部45が形成されているとともに、対向孔部44の下方でかつ左右両側に、つまみ16の他の一部が挿入される丸孔状の挿入孔46,46が形成されている。また、このつまみ用凹部41の外周縁部には、つまみ16との摺接面積を抑制するための複数の突部47が前側に突出して形成されている。
【0037】
ギヤ用凹部42は、取付枠13の左右幅方向の一側寄りで、かつ、つまみ用凹部41の下方に形成されており、中央部に、可変抵抗器28の回転軸28aが挿通される丸孔状の回転軸挿通孔49が形成されている。
【0038】
各突部47は、例えば周方向に互いに略等間隔に離間され、4箇所に形成されている。
【0039】
取付孔32は、左右幅方向に長手状の四角形状に形成されている。なお、この取付孔32は、大角連用形のスイッチなどを取り付けない状態で、図示しないカバーであるブランクチップによって覆っていてもよい。
【0040】
また、プレート枠14は、例えば合成樹脂などにより形成されており、取付枠13を前側に露出させるための四角形状の露出開口51が中央部に形成され、左右幅方向の略中央部で、かつ、露出開口51の上端および下端に、取付枠13の孔部33,33と位置合わせされてこの取付枠13とプレート枠14とを固定するための取付孔部52,52が形成されている。さらに、このプレート枠14の外周縁部全体には、化粧カバー15の背面側を嵌合させるための嵌合段部53が段差状に形成されている。
【0041】
化粧カバー15は、プレート枠14の前側全体を覆うもので、例えば合成樹脂などにより形成されている。この化粧カバー15は、露出開口51よりも若干小さくこの露出開口51に連通して取付枠13を前側に露出させるための四角形状の開口部55が中央部に形成されている。
【0042】
つまみ16は、スイッチ27を押圧操作するための正面視で円形状の可動部としての押圧部57と、この押圧部57の外周に沿って形成され使用者が回転操作することで照明器具の光源を調光するための円筒状の回転操作部58とを備えている。
【0043】
押圧部57は、例えば透光性を有する合成樹脂などにより、前側が閉塞されて後側が開口された略有蓋円筒状に形成されており、前後方向に沿って軸方向を有している。また、この押圧部57は、回転操作部58に対して背面側から挿入されている。さらに、この押圧部57の前後方向、すなわち軸方向の略中心位置の外周部には、この押圧部57を回転操作部58に対して前方に抜け止めするための段差部61が全周に亘って形成されている。そして、この押圧部57の外周縁部の後部には、取付枠13の挿入切欠部45に挿入される押圧接触部としての挿入片部62と、取付枠13の挿入孔46,46に挿入される円柱状のガイド突部63(一方のみ図示)とが後方に向けて突出している。したがって、この押圧部57は、前後方向すなわち軸方向に沿って移動可能となっている。また、この押圧部57は、図示しないコイルばねなどの付勢手段により前方に向けて付勢されている。さらに、この押圧部57の前面部57aは、図示しないが、例えばつまみ16の操作方法などの表示内容を表示可能な表示部となっている。
【0044】
挿入片部62は、押圧部57の縁部に沿って円弧状に形成されており、左右両側が挿入切欠部45の左右両側により規制されることにより、押圧部57を周方向に回り止めしている。また、この挿入片部62は、スイッチ27のスイッチ片部27aの前方に対向しており、押圧部57を後方へと押圧することによって、スイッチ片部27aを押圧してスイッチ27をオンオフさせるように構成されている。
【0045】
各ガイド突部63は、押圧部57の前後方向への移動の際のガイドとなっているとともに、押圧部57を周方向に回り止めしている。
【0046】
回転操作部58は、押圧部57と同軸状に配置されている。したがって、回転操作部58の回転中心は、押圧部57の中心軸と一致している。すなわち、この回転操作部58の回転中心は、可変抵抗器28の回転軸28aと平行で、かつ、この回転軸28aと異なる位置となっている。また、この回転操作部58の内周部には、押圧部57の段差部61と対向して押圧部57を抜け止めするための抜止段差部66が全周に亘って形成されている。さらに、この回転操作部58の後端寄りの外周部には、回転操作部58(つまみ16)をボックス部18に対して前方に抜け止めするための鍔部67が全周に亘ってフランジ状に突出して形成されている。そして、この回転操作部58の後端部には、ギヤ17が外周側に歯合される連結部としての歯合部であるギヤ部68が同軸状に形成されている。さらに、回転操作部58には、この回転操作部58の回転位置を示すための目印部である透光部69が径方向に沿って溝状に形成されている。
【0047】
ギヤ部68は、後端部が平坦状に形成され、取付枠13の取付部31のつまみ用凹部41の突部47のそれぞれに摺接する。したがって、回転操作部58は、取付枠13に対して複数箇所で点状に摺接するように構成されている。
【0048】
透光部69は、光透過性を有し、照明光源26からの光を使用者へと透過させることが可能となっている。すなわち、この透光部69は、照明光源26からの光が漏れる部分である。
【0049】
ギヤ17は、取付枠13の取付部31のギヤ用凹部42に嵌合する平歯車であり、このギヤ用凹部42とつまみ用凹部41との連続部でつまみ16の回転操作部58のギヤ部68と歯合されている。また、このギヤ17は、可変抵抗器28の回転軸28aが圧入されるD字状の回転軸接続孔71が中央部に形成されている。したがって、このギヤ17は、つまみ16の回転操作部58の回転操作を、可変抵抗器28の回転軸28aの回転に変換するように配置されている。
【0050】
ボックス部18は、取付枠13の一主面13aに取り付けられるカバー部74と、このカバー部74の前側を覆う前部カバー部75と、この前部カバー部75の前側を覆うパネル部76とを備えている。
【0051】
カバー部74は、ギヤ17の前側を覆うとともに、つまみ16を抜け止めするもので、例えば合成樹脂などにより形成されている。また、このカバー部74は、正面視で四角形状のカバー部本体81と、このカバー部本体81の四辺から後方へと突出するカバー側面部82とを一体に備えている。そして、このカバー部74の外郭は、正面視でつまみ16およびギヤ17(取付部31)を囲む四角形状の取付領域83を、取付枠13の取付孔32の上側の位置に区画している。この取付領域83において、つまみ16は、左右幅方向の略中心で、かつ、上側寄りに位置し、ギヤ17は、下側寄りで、かつ、一側の角部83a寄りにずれて位置している。換言すれば、ギヤ17は、正面視で円形状のつまみ16と、四角形状の取付領域83の角部83aとの間のスペースに配置されている。
【0052】
カバー部本体81は、化粧カバー15の開口部55と幅寸法が略等しく設定されており、取付枠13に取り付けた状態で開口部55の上側寄りの位置に嵌合している。また、このカバー部本体81には、つまみ16を突出させる丸孔状のカバー開口部85が略中央部に形成されている。さらに、このカバー部本体81には、カバー開口部85の周囲に、取付枠13の各ボス部34に対応する丸孔状の取付開口部86がそれぞれ形成されている。そして、このカバー部本体81には、可変抵抗器28の回転軸28aの先端側が挿通される丸孔状の挿通孔部87が形成されている。
【0053】
カバー開口部85は、つまみ16の回転操作部58の外周よりも大きく、かつ、鍔部67よりも小さい径寸法を有しており、この鍔部67が後方から係合されて、回転操作部58(つまみ16)を抜け止め保持している。また、このカバー開口部85の縁部の後側の鍔部67と摺接する位置には、鍔部67との摺接面積を抑制するための複数の摺接突部89が突出して形成されている。すなわち、つまみ16の回転操作部58は、回転性が向上するように、各摺接突部89と各突部47とによって、鍔部67の前後で点状に支持されている。
【0054】
取付開口部86は、ボス部34と位置合わせされ、図示しないねじなどのカバー部取付手段が取り付けられることでカバー部74を取付枠13に固定するものである。
【0055】
摺接突部89は、例えば周方向に互いに略等間隔に離間され、4箇所に形成されている。したがって、回転操作部58は、カバー部74に対して複数箇所で点状に摺接するように構成されている。
【0056】
また、カバー側面部82の左右両側には、上下方向の略中心位置に、上下方向に長手状の凹部91(一方のみ図示)が形成され、これら凹部91には、前部カバー部75の側部と係合される爪部92(一方のみ図示)が突出し、上下方向に長手状に形成されている。
【0057】
前部カバー部75は、カバー部74のカバー部本体81と略等しい左右幅寸法でかつこのカバー部本体81よりも上下に長い正面視四角形状の前部カバー部本体94と、この前部カバー部本体94の上部および左右両側の上部から後方に突出する突出部95と、前部カバー部本体94の左右両側でかつ突出部95の下方から後方へと突出した係止部96(一方のみ図示)とを有している。
【0058】
前部カバー部本体94の略中央部には、つまみ16を突出させる丸孔状の突出用開口98が開口形成されている。
【0059】
係止部96は、カバー部74の凹部91にそれぞれ嵌合する部分であり、上下方向に長手状に形成されている。そして、この係止部96には、爪部92が係止される係合孔99が上下方向に長手状に形成されている。
【0060】
パネル部76は、前部カバー部本体94と略等しい四角形状に形成された板状体であり、この前部カバー部本体94の前側全体を覆ってこの前部カバー部本体94に貼着されている。また、このパネル部76の略中央部には、つまみ16を突出させるための丸孔状のパネル開口101が形成され、このパネル開口101の周縁部が、後方へと傾斜した傾斜面102となっている。さらに、このパネル部76の前面部76aは、例えばつまみ16の回転操作部58の透光部69の位置を合わせることで照明器具の光源の調光の度合いを示す表示などがなされたパネル表示部となっている。
【0061】
次に、上記第1の実施の形態の作用を説明する。
【0062】
使用者は、壁面などに設置した調光器11の押圧部57を押圧することにより、押圧部57の挿入片部62がスイッチ片部27aを後方へと押圧することでスイッチ27がオンされ、照明器具の調光回路を含む主回路が駆動する。
【0063】
そして、使用者が、透光部69をパネル部76の表示に合わせるようにつまみ16の回転操作部58を周方向に回転させると、この回転操作部58のギヤ部68と歯合しているギヤ17が、ギヤ部68とギヤ17とのギヤ比に応じて、この回転操作部58の回転方向と反対方向に回転し、ギヤ17に一体的に接続された可変抵抗器28の回転軸28aが回転することで、可変抵抗器28の抵抗値が変化する。
【0064】
このため、可変抵抗器28の抵抗値などにより設定される調光用の調光回路への時定数が変化することで、照明器具の光源が調光される。
【0065】
このとき、つまみ16の押圧部57は、回転操作部58が回転しても回転することがなく、この押圧部57の前面部57aに表示された表示の角度が変わって読み取りにくくなることがない。
【0066】
照明器具を消灯する際には、押圧部57を押圧することにより、押圧部57の挿入片部62がスイッチ片部27aを後方へと押圧することでスイッチ27がオフされ、主回路がオフされる。
【0067】
このとき、つまみ16の回転操作部58により、可変抵抗器28の回転軸28aの回転位置が維持されたままの状態となっているので、次回押圧部57を押圧して照明器具の光源を点灯させた際には、消灯したときの調光状態のまま再点灯させることができる。
【0068】
以上のように、つまみ16の一部である回転操作部58を可変抵抗器28の回転軸28aと異なる位置を中心として回転可能とし、このつまみ16の回転操作部58の回転をギヤ17によって可変抵抗器28の回転軸28aの回転に変換することにより、つまみ16の回転操作部58の操作によって可変抵抗器28の回転軸28aに直接力が加わることを防止して、回転軸28aの傾斜などに伴う可変抵抗器28の引っ掛かりなどの回転性の低下を抑制できるとともに、つまみ16の一部である押圧部57を軸方向へと移動可能とすることにより、この移動によってつまみ16の背面側に配置したスイッチ27を操作することが可能になり、つまみ16の背面側のスペースを有効に利用し、スイッチ27を省スペースで配置できる。
【0069】
すなわち、つまみを可変抵抗器の回転軸に直接接続する従来の場合では、光源の調光状態の連続性を図るため、つまみを、光源を最も暗くする位置まで回転させなければ主回路のオンオフをすることができなかったのに対して、上記第1の実施の形態では、つまみ16を可変抵抗器28に直接的に接続せずに、つまみ16と可変抵抗器28とを別個に配置することにより、つまみ16の背面側に空間を形成できる。このため、その空間にスイッチ27を取り付けることにより、調光量の操作と主回路のオンオフ操作とを1箇所で行うことが可能で、かつ、調光状態とは無関係に主回路のオンオフ操作を行うことができる。
【0070】
そして、スイッチ27を省スペースで配置できるので、別途スイッチを配置する場合と比較して、調光器11の小型化が可能になる。
【0071】
さらに、つまみ16と可変抵抗器28とを別個に配置しているため、つまみ16自体に中心軸を設けることとなり、つまみ16の中央部に回転しない押圧部57を形成できるので、つまみ全体が回転する従来の場合では、つまみ自体に動作表示などをしても視認性が良好でないのに対して、回転しない押圧部57の前面部57aにつまみ16の操作方法などを表示すると、この表示が回転することがなく視認性を確保できるので、この表示によって、つまみ16の操作方法などを明確に説明できる。
【0072】
また、ギヤ17とギヤ部68とのギヤ比を変えることで、可変抵抗器28の操作感に影響されることなくつまみ16の回転操作部58の目的の操作感を実現できる。
【0073】
すなわち、従来の場合には、つまみの動作範囲が可変抵抗器の回転軸の動作範囲に依存しているだけでなく、調光スピードや調光動作範囲を変更することが容易でないのに対して、上記第1の実施の形態によれば、ギヤ17とギヤ部68とのギア比を変えるだけで、おなじつまみ16の回転操作部58の回転角度でも、急峻に調光状態を変化させたり、緩やかに変化させたりすることも可能になる。
【0074】
また、円形に形成したつまみ16を四角形状の取付領域83の幅方向の略中心に配置するとともに、ギヤ17を、取付領域83の角部83a側にずれた位置で可変抵抗器28の回転軸28aに取り付けることにより、取付領域83の角部83a近傍のスペースを有効に利用して、ギヤ17を省スペースで配置できる。
【0075】
すなわち、つまみ16とギヤ17とを、取付領域83の幅方向の略中心など、同一の幅方向位置に上下に配置すると、取付領域83の上下方向長さを、少なくともつまみ16の径寸法とギヤ17の径寸法との和以上としなければならないのに対して、ギヤ17を角部83a側に寄せて配置することにより、四角形状の取付領域83の対角の長さを利用することが可能になるので、取付領域83の上下方向長さを必要以上に大きくすることなく、つまみ16とギヤ17とを取付領域83内に配置できる。
【0076】
そして、つまみ16の背面側に配置した照明光源26からの光を、つまみ16の回転操作部58に形成した透光部69を介して透過させることにより、透光部69を介して光を用いた表示が可能となり、つまみ16の視認性を向上できる。この結果、回転操作部58に溝やシルクの印刷などを施すことなく、透光部69を介して、明確に調光状態が表示可能となる。
【0077】
次に、図4および図5に第2の実施の形態を示し、図4は調光器の正面図、図5は図4のB−B断面図である。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0078】
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、押圧部57の略中央部に、中心軸となる軸部105が形成され、この軸部105に対して径方向に離間された位置に、ガイド突部63,63が形成されているものである。
【0079】
軸部105は、押圧部57から後方へと突出しており、取付枠13の取付部31のつまみ用凹部41の略中央部に形成された対向孔部44に挿通可能となっている。
【0080】
また、対向孔部44の後部には、スイッチ27が配置され、このスイッチ27のスイッチ片部27aの前端側が軸部105の後部に対向し、押圧部57の押圧による移動によって、軸部105がスイッチ片部27aを押圧操作することで、スイッチ27がオンオフされるように構成されている。すなわち、スイッチ27は、つまみ16の押圧部57の後側の略中心位置に対向して配置されている。
【0081】
そして、このように構成することで、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0082】
なお、上記各実施の形態において、変換手段としては、ギヤ17だけでなく、例えばつまみ16と可変抵抗器28とを接続するようにつまみ16あるいは可変抵抗器28の回転軸28aに一体に形成したものなどでもよく、また、複数のギヤにより形成したギヤ列などでもよい。
【0083】
さらに、被操作体としては、スイッチ27だけでなく、押圧操作する任意のものを適用することが可能である。
【0084】
そして、つまみ16全体を、透光性を有する合成樹脂などにより形成して透光部としてもよい。
【0085】
また、つまみ16全体を回転および移動可能としてもよい。この場合には、つまみ16の回転軸を、被操作体の操作用として用いることで、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0086】
さらに、つまみ16の回転操作部58を光源が最も暗くなる位置に回転させた位置でオンオフを切り換えるスイッチを可変抵抗器28に設けてもよい。この場合には、スイッチ27のオンオフとともに、可変抵抗器28でのスイッチのオンオフも可能となり、2系統のオンオフができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す調光器の正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】同上調光器の分解斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す調光器の正面図である。
【図5】図4のB−B断面図である。
【符号の説明】
【0088】
11 調光器
13 取付体としての取付枠
16 操作部としてのつまみ
17 変換手段としてのギヤ
26 照明光源
27 被操作体としてのスイッチ
28 可変インピーダンス素子としての可変抵抗器
28a 回転軸
69 透光部
74 カバー部
83 取付領域
83a 角部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を調光可能な調光回路の調光用の時定数を、回転軸の回転に対応して可変させる可変インピーダンス素子と;
少なくとも一部が可変インピーダンス素子の回転軸と異なる位置を中心として回転可能で、かつ、少なくとも一部が軸方向へ移動可能な操作部と;
この操作部の少なくとも一部の回転を可変インピーダンス素子の回転軸の回転に変換する変換手段と;
操作部の背面側に配置され、この操作部の少なくとも一部の軸方向への移動によって操作される被操作体と;
を具備していることを特徴とする調光器。
【請求項2】
操作部および変換手段が取り付けられる取付体と;
取付体に取り付けられ、操作部および変換手段を囲む四角形状の取付領域を区画するカバー部と;を具備し、
操作部は、円形に形成され、取付領域の幅方向の略中心に位置し、
変換手段は、取付領域の角部側にずれた位置で可変インピーダンス素子の回転軸に取り付けられ、操作部側と歯合されるギヤである
ことを特徴とする請求項1記載の調光器。
【請求項3】
操作部の背面側に配置された照明光源を具備し、
操作部は、照明光源からの光を透過させる透光部を少なくとも一部に備えている
ことを特徴とする請求項1または2記載の調光器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−102996(P2010−102996A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274387(P2008−274387)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】