説明

調光装置

【課題】簡単な操作によって複数の電球型蛍光灯を一斉に任意の調光レベルに切り換えることができる調光装置を提供する。
【解決手段】消灯から点灯に切り換わるとき、あるいは相対的に低い調光レベルから相対的に高い調光レベルに切り換わるときに、制御部4が、当該調光レベルデータに対応する給電量よりも大きい所定の給電量を給電した後に当該調光レベルデータに応じた給電量を給電するように給電部11〜14を制御する。故に、給電量不足によって電球型蛍光灯La1〜La4が点灯しなかったり、立ち消えたりすることが無い。しかも、シーンデータに対応する操作入力が受け付けられると、当該シーンデータに含まれる調光レベルデータの調光レベルで複数の電球型蛍光灯La1〜La4が調光され、その結果、簡単な操作によって複数の電球型蛍光灯La1〜La4を一斉に任意の調光レベルに切り換えできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源を調光点灯する調光装置に関し、特に、蛍光灯電子安定器を内蔵した電球型蛍光灯を調光点灯する調光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギ化の観点から、電球(白熱灯)の代わりに電球型蛍光灯が使用されるようになってきている。電球型蛍光灯は、白熱灯と同種の口金並びに蛍光灯電子安定器を備えており、白熱灯が装着されていたソケットにそのまま装着して使用できるという特徴を有している。
【0003】
従来、白熱灯と電球型蛍光灯の双方を調光点灯することが可能な調光装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されている従来の調光装置は、商用交流電源から光源(白熱灯又は電球型蛍光灯)への給電路に挿入された双方向サイリスタの導通角(位相角)を調整する、いわゆる位相角制御方式により光源への給電量を増減することで調光するものであった。また、この従来装置では、消灯時における調光レベル(定格電力供給時を100%とした給電量の比率)を記憶し、次回の点灯時には前回消灯時における調光レベルで点灯(調光点灯)する機能を有している。そして、光源が電球型蛍光灯の場合、低い調光レベルで調光点灯しようとしても給電量が不足して始動・点灯できない虞がある。故に、上記従来装置においては、消灯状態から調光点灯する際、一旦定格点灯(調光レベル100%)させた後に目標とする調光レベル(前回消灯時の調光レベル)に到達するまで給電量を徐々に減少させている。これにより、人が操作して一旦調光レベルを100%に戻してから電球型蛍光灯を点灯した後、さらに人が操作して調光レベルを所望のレベルにするという作業が不要となって使い勝手が向上するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−17289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている従来装置は、スイッチ操作によって電球型蛍光灯を点灯する際に前回消灯時の調光レベルを再現することはできるが、一度のスイッチ操作によって複数の電球型蛍光灯を一斉に任意の調光レベルに切り換えることはできなかった。ここで、白熱灯については、一度のスイッチ操作によって複数の白熱灯を一斉に任意の調光レベルに切り換えることのできる調光装置が提供されているが、この種の調光装置では電球型蛍光灯を光源とした場合に給電量不足によって電球型蛍光灯を調光点灯できないことがあった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、簡単な操作によって複数の電球型蛍光灯を一斉に任意の調光レベルに切り換えることができる調光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、白熱灯と共通の口金を有し且つ蛍光灯電子安定器を内蔵した電球型蛍光灯を調光点灯する調光装置であって、商用交流電源から複数の電球型蛍光灯への給電量を各別に増減する複数の給電部と、それぞれの前記電球型蛍光灯の調光レベルデータを1組とする1乃至複数のシーンデータを記憶する記憶部と、操作入力を受け付ける操作入力受付部と、操作入力受付部で受け付けた操作入力に対応するシーンデータを記憶部から読み出すとともに当該シーンデータに含まれる調光レベルデータに応じた給電量となるように複数の給電部をそれぞれ制御する制御部とを備え、制御部は、調光レベルデータに応じて給電量を増加させる際、当該調光レベルデータに対応する給電量よりも大きい所定の給電量を給電した後に当該調光レベルデータに応じた給電量を給電するように給電部を制御することを特徴とする。
【0008】
請求項1の発明によれば、消灯から点灯に切り換わるとき、あるいは相対的に低い調光レベルから相対的に高い調光レベルに切り換わるときに、制御部が、当該調光レベルデータに対応する給電量よりも大きい所定の給電量を給電した後に当該調光レベルデータに応じた給電量を給電するように給電部を制御するので、給電量不足によって電球型蛍光灯が点灯しなかったり、立ち消えたりすることが無く、しかも、シーンデータに対応する操作入力が受け付けられると、当該シーンデータに含まれる調光レベルデータの調光レベルで複数の電球型蛍光灯が調光される。その結果、簡単な操作によって複数の電球型蛍光灯を一斉に任意の調光レベルに切り換えることができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、制御部は、調光レベルデータに応じて給電量を減少させる際は、前記所定の給電量を給電せずに当該調光レベルデータに応じた給電量を給電するように給電部を制御することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明によれば、調光レベルを下げる向きに切り換える際に明るさを自然に変化させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡単な操作によって複数の電球型蛍光灯を一斉に任意の調光レベルに切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態を示し、(a)は全体構成を示すブロック図、(b)は給電部のブロック図である。
【図2】同上を示し、(a)はカバーが閉位置にあるときの正面図、(b)はカバーが開位置にあるときの正面図である。
【図3】(a),(b)は同上の動作説明図である。
【図4】(a),(b)は同上の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0014】
本実施形態の調光装置Aは、図1(a)に示すように商用交流電源ACから複数(図示例では4つ)の電球型蛍光灯La1〜La4への給電量を各別に増減する複数(4つ)の給電部11〜14と、それぞれの電球型蛍光灯La1〜La4の調光レベルデータを1組とする複数のシーンデータを記憶する記憶部2と、操作入力を受け付ける操作入力受付部3と、操作入力受付部3で受け付けた操作入力に対応するシーンデータを記憶部2から読み出すとともに当該シーンデータに含まれる調光レベルデータに応じた給電量となるように各給電部11〜14をそれぞれ制御する制御部4と、給電部11〜14における調光レベルを表示する表示部5と、各部に直流電源を供給する直流電源部(図示せず)とを備えている。尚、商用交流電源ACから調光装置Aへの給電路にはブレーカBrが挿入されている。また、4つの給電部11〜14はそれぞれソケット100を介して電球型蛍光灯La1〜La4と電気的に接続される。
【0015】
電球型蛍光灯Lai(i=1,2,3,4)は従来周知のものであって、螺旋状のガラス管(図示せず)と、当該ガラス管の両端に設けられたフィラメント(図示せず)と、フィラメントに電気的に接続された蛍光灯電子安定器(図示せず)と、蛍光灯電子安定器を内蔵する円筒形状の胴体部200と、胴体部200の一端側に配設されてガラス管を覆う電球形状の外管201と、胴体部200の他端側に配設されてソケット100の受金(図示せず)に螺合する口金202とを備えている。但し、ソケット100は電球(白熱灯)に使用されるものと同一のものである。
【0016】
給電部1nは、図1(b)に示すように商用交流電源ACからソケット100(電球型蛍光灯Lai)への給電路に挿入された双方向サイリスタ(トライアック)TRと、双方向サイリスタTRを点弧(ターンオン)する駆動回路10とを具備している。そして、後述するように制御部4から与えられる調光レベル信号に応じて駆動回路10が双方向サイリスタTRの導通角(位相角)を調整することでソケット100(電球型蛍光灯Lai)への給電量を増減することができる。
【0017】
記憶部2は電気的に書換可能な不揮発性半導体メモリ(フラッシュメモリやEEPROMなど)からなり、4つの給電部11〜14と各々対応する4つの調光レベルデータを1組としたシーンデータを、それぞれのシーンデータを識別する符号(1番から4番のシーン番号)に対応付けて記憶している。
【0018】
操作入力受付部3は、複数の押釦スイッチ(図示せず)を具備しており、各押釦スイッチが押操作されたときに各々の押釦スイッチに対応した操作入力を受け付けて制御部4に出力する。
【0019】
制御部4はマイクロコンピュータを主構成要素とし、操作入力受付部3で受け付ける操作入力に応じて、給電部11〜14の制御や記憶部2へのシーンデータの記憶などの処理を実行する。
【0020】
本実施形態の調光装置Aは、図2に示すように扁平な矩形箱状に形成された本体6と、蝶番8,8によって本体6上部に連結され、本体6前面を覆う閉位置(図2(a)参照)と本体6前面を開放する開位置(図2(b)参照)との間で開閉自在である矩形板状のカバー7とで外郭が構成されている。そして、図1に示した各部1〜5が本体6に内蔵されている。
【0021】
本体6前面には操作入力受付部3が具備する複数の押釦スイッチを各別に押操作するための複数の操作釦9と、表示部5が具備する調光レベル表示用の発光ダイオード(図示せず)の光を前方へ照射するための複数の窓孔6aとが設けられている。
【0022】
本体6の前面下部において左右方向に並ぶ4つの操作釦91〜94はシーン選択用の押釦スイッチを押操作するためのものであって、例えば、左端の操作釦91を介して押釦スイッチが押操作されると、1番のシーン番号のシーンを選択する操作入力が操作入力受付部3で受け付けられる。また本体6の前面下部において右端に配設されている操作釦95は消灯用の押釦スイッチを押操作するためのものである。つまり、当該操作釦95を介して押釦スイッチが押操作されると、全ての給電部11〜14を停止して4つの電球型蛍光灯La1〜La4を一斉に消灯させる操作入力が操作入力受付部3で受け付けられる。尚、これら5つの操作釦91〜95の周縁部分は透光性を有する部材で形成され、それぞれの背面側には本体6に内蔵されている表示部5が具備する発光ダイオードが各別に配設されており、例えば、後述するように1番のシーン番号に対応するシーンデータが再現されているときに操作釦91の背面側に配設されている発光ダイオードが点灯して当該操作釦91の周縁部分が発光するようになっている。
【0023】
本体6の前面中央部において上下方向に2列、左右方向に4列で並ぶ合計8つの操作釦96〜913は各給電部11〜14に対する調光レベル設定用の押釦スイッチを押操作するためのものであって、例えば、上段左端の操作釦96を介して押釦スイッチが押操作されると給電部11に対する調光レベルを増大させる操作入力が操作入力受付部3で受け付けられ、下段左端の操作釦97を介して押釦スイッチが押操作されると給電部11に対する調光レベルを減少させる操作入力が操作入力受付部3で受け付けられる。
【0024】
さらに本体6前面における操作釦92,93の上方に設けられた操作釦914はシーンデータ記憶用の押釦スイッチを押操作するためのものである。すなわち、当該操作釦914を介して押釦スイッチが押操作されると、その時点で各給電部11〜14毎に設定されている調光レベルデータを1組とするシーンデータを記憶部2に記憶させる操作入力が操作入力受付部3で受け付けられる。
【0025】
ここで、カバー7の下端部には左右方向に並ぶ5つの窓孔70が貫設されており、カバー7が閉位置にあるときにおいても窓孔70を通して操作釦91〜95の押操作が可能となっている(図2(a)参照)。
【0026】
次に、本実施形態の動作を説明する。
【0027】
まず、それぞれの給電部1n(n=1,2,3,4)毎に調光レベルを設定する動作について説明する。例えば、カバー7を開位置にした状態で給電部11に対応する操作釦96が操作されると、操作釦96を介して押操作された押釦スイッチに対応する操作入力(給電部11の調光レベルを増大させる操作入力)が操作入力受付部3で受け付けられる。制御部4は、操作入力受付部3で受け付けた前記操作入力に応じて、調光レベルを所定値(例えば、15%)だけ増大した新たな調光レベルデータを生成して給電部11に出力する。一方、操作釦97が操作されると給電部11の調光レベルを減少させる操作入力が操作入力受付部3で受け付けられ、制御部4は、操作入力受付部3で受け付けた前記操作入力に応じて、調光レベルを所定値(例えば、15%)だけ減少した新たな調光レベルデータを生成して給電部11に出力する。このときに生成した調光レベルデータは、制御部4が具備するバッファメモリに記憶される。制御部4から調光レベルデータを受け取った駆動回路10は、当該調光レベルデータの調光レベルに対応した位相角で双方向サイリスタTRを点弧する。これにより、給電部11からソケット100(電球型蛍光灯La1)に供給される給電量が増加又は減少して電球型蛍光灯La1から放射される光束も増加又は減少する(明るく又は暗くなる)。このとき、制御部4は操作釦96,97の左隣に並置されている5つの発光ダイオードのうちで調光レベルデータに応じた位置の発光ダイオードを点灯させるように表示部5を制御する。故に、操作者は点灯している発光ダイオードの位置によって調光レベルの大凡の値を知ることができる。尚、他の給電部12〜14についても、それぞれの給電部12〜14に対応した操作釦98〜913が操作されることで同様にして調光レベルが増減される。
【0028】
例えば、給電部11〜14に対応する調光レベルがそれぞれ100%,80%,50%,30%に設定されている状況において、操作釦914が操作されてシーンデータを記憶する操作入力が操作入力受付部3で受け付けられた後、操作釦91が操作されて1番のシーン番号を選択する操作入力が操作入力受付部3で受け付けられたとすると、制御部4は、後者の操作入力が受け付けられた時点でバッファメモリに記憶されている各給電部11〜14毎の調光レベルデータ(100%,80%,50%,30%)を1組とするシーンデータを1番のシーン番号と対応付けて記憶部2に記憶させる。尚、2番〜4番のシーン番号のシーンデータについても上述した手順と同様にして記憶部2に記憶される。
【0029】
上述した手順で記憶部2にシーンデータを記憶した後、操作釦95が操作されて全ての電球型蛍光灯La1〜La4を一斉に消灯する操作入力が操作入力受付部3で受け付けられると、制御部4は、0%の調光レベルデータを生成して各給電部11〜14に出力する。そして、0%の調光レベルデータを受け取った各給電部11〜14が双方向サイリスタTRを消弧(ターンオフ)してソケット100への給電を停止することにより、全ての電球型蛍光灯La1〜La4が一斉に消灯する。
【0030】
全ての電球型蛍光灯La1〜La4が消灯している状態において、例えば、操作釦91が操作されて1番のシーン番号を再現する操作入力が操作入力受付部3で受け付けられると、制御部4は、1番のシーン番号に対応するシーンデータを記憶部2から読み出し、読み出したシーンデータにおける各給電部11〜14毎の調光レベルデータ(100%,80%,50%,30%)をそれぞれの給電部11〜14に出力する。このとき制御部4は、シーンデータにおける調光レベルデータが100%未満である給電部12〜14に対しては、当該調光レベルデータの調光レベルよりも高い調光レベル(例えば、100%の調光レベル)を出力し、その時点から所定の高出力制御時間T1(電球型蛍光灯La2〜La4が始動から安定点灯に至るまでに十分な時間<例えば、1〜3秒間>)が経過した後、本来の調光レベル(80%,50%,30%)の調光レベルデータを給電部12〜14へ出力する。
【0031】
給電部11の駆動回路10は、図3(a)に示すように制御部4から100%の調光レベルの調光レベルデータを受け取った時点で双方向サイリスタTRを点弧して常時オン状態とする。その結果、給電部11から給電される電球型蛍光灯La1は100%の調光レベルで定格点灯する。一方、他の給電部12〜14、例えば、給電部14の駆動回路10では、図3(b)に示すように制御部4から100%の調光レベルの調光レベルデータを受け取った時点で双方向サイリスタTRを点弧して常時オン状態とし、さらに高出力制御時間T1が経過した後に制御部4から30%の調光レベルの調光レベルデータを受け取ると、その時点から双方向サイリスタTRの位相角を数周期毎に大きくすることで給電部14の給電量を徐々に減少させ、最終的に所定の調光出力変化時間T2が経過した時点で30%の調光レベルに対応した給電量となる位相角に固定する。その結果、給電部14から給電される電球型蛍光灯La4は一旦100%の調光レベルで定格点灯した後に30%の調光レベルまで自動的に調光レベルが下げられ、最終的にシーンデータにおける調光レベルデータの調光レベル(30%)で調光点灯する。但し、残り2つの給電部12,13については給電部14と同様であるから説明を省略する。
【0032】
また、1番のシーン番号に対応したシーンデータが再現されているときに別のシーン番号(例えば、2番)に対応した操作釦92が操作されて当該2番のシーン番号を再現する操作入力が操作入力受付部3で受け付けられると、制御部4は、2番のシーン番号に対応するシーンデータを記憶部2から読み出し、読み出したシーンデータにおける各給電部11〜14毎の調光レベルデータ(例えば、30%,80%,80%,70%)をそれぞれの給電部11〜14に出力する。このとき制御部4は、1番のシーン番号のシーンデータから2番のシーン番号のシーンデータに変更されることで調光レベルが減少する給電部11に対しては本来の調光レベル(30%)の調光レベルデータを出力するが、調光レベルが増大する給電部13,14に対しては、当該調光レベルデータの調光レベルよりも高い調光レベル(例えば、100%の調光レベル)を出力し、その時点から高出力制御時間T1が経過した後、本来の調光レベル(80%,70%)の調光レベルデータを給電部13,14へ出力する。
【0033】
給電部11の駆動回路10は、図4(a)に示すように制御部4から30%の調光レベルの調光レベルデータを受け取った時点から双方向サイリスタTRの位相角を数周期毎に大きくすることで給電部11の給電量を徐々に減少させ、最終的に所定の調光出力変化時間T3(=T1+T2)が経過した時点で30%の調光レベルに対応した給電量となる位相角に固定する。その結果、給電部11から給電される電球型蛍光灯La1は100%の調光レベルから徐々に光束が減少して30%の調光レベルで調光点灯する。一方、他の給電部13,14、例えば、給電部14の駆動回路10では、図4(b)に示すように制御部4から100%の調光レベルの調光レベルデータを受け取った時点で双方向サイリスタTRを点弧して常時オン状態とし、さらに高出力制御時間T1が経過した後に制御部4から30%の調光レベルの調光レベルデータを受け取ると、その時点から双方向サイリスタTRの位相角を数周期毎に大きくすることで給電部14の給電量を徐々に減少させ、最終的に所定の調光出力変化時間T2が経過した時点で70%の調光レベルに対応した給電量となる位相角に固定する。その結果、給電部14から給電される電球型蛍光灯La4は30%の調光レベルで調光点灯している状態から一旦100%の調光レベルで定格点灯した後に70%の調光レベルまで自動的に調光レベルが下げられ、最終的にシーンデータにおける調光レベルデータの調光レベル(70%)で調光点灯する。但し、給電部13については給電部14と同様であるから説明を省略する。
【0034】
而して本実施形態の調光装置Aによれば、消灯から点灯に切り換わるとき、あるいは相対的に低い調光レベルから相対的に高い調光レベルに切り換わるときに、制御部4が、当該調光レベルデータに対応する給電量よりも大きい所定の給電量を給電した後に当該調光レベルデータに応じた給電量を給電するように給電部11〜14を制御するので、給電量不足によって電球型蛍光灯La1〜La4が点灯しなかったり、立ち消えたりすることが無い。しかも、シーンデータに対応する操作入力が受け付けられると、当該シーンデータに含まれる調光レベルデータの調光レベルで複数の電球型蛍光灯La1〜La4が調光され、その結果、簡単な操作によって複数の電球型蛍光灯La1〜La4を一斉に任意の調光レベルに切り換えることができる。尚、制御部4は、調光レベルデータに応じて給電量を減少させる際、例えば、調光レベルを100%から30%に切り換える際、前記所定の給電量(100%の調光レベルに対応する給電量)を給電せずに当該調光レベルデータ(30%の調光レベル)に応じた給電量を給電するように給電部11〜14を制御するので、調光レベルを下げる向きに切り換える際に明るさを自然に変化させることができるという利点がある。
【0035】
ここで、本実施形態では所定の給電量を給電した後に本来の調光レベルに対応した給電量を給電する際、給電量を一気に減少させるのではなく、1〜3秒間の調光出力変化時間T2をかけて徐々に減少させているため、電球型蛍光灯La1〜La4の明るさが急激に変化することによる不快感を緩和することができる。また、調光レベルを増大させるときと減少させるときとで光束の変化にヒステリシスを持つ電球型蛍光灯La1〜La4を用いる場合においては、上述のように調光レベルの変化が常に減少する向きの変化となるため、ヒステリシスの影響を受けることなく常に同じ明るさを再現することができる。これは、店舗用の照明のように常に同じ明るさで照明する用途に好適である。
【符号の説明】
【0036】
A 調光装置
1〜14 給電部
2 記憶部
3 操作入力受付部
4 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白熱灯と共通の口金を有し且つ蛍光灯電子安定器を内蔵した電球型蛍光灯を調光点灯する調光装置であって、
商用交流電源から複数の電球型蛍光灯への給電量を各別に増減する複数の給電部と、それぞれの前記電球型蛍光灯の調光レベルデータを1組とする1乃至複数のシーンデータを記憶する記憶部と、操作入力を受け付ける操作入力受付部と、操作入力受付部で受け付けた操作入力に対応するシーンデータを記憶部から読み出すとともに当該シーンデータに含まれる調光レベルデータに応じた給電量となるように複数の給電部をそれぞれ制御する制御部とを備え、
制御部は、調光レベルデータに応じて給電量を増加させる際、当該調光レベルデータに対応する給電量よりも大きい所定の給電量を給電した後に当該調光レベルデータに応じた給電量を給電するように給電部を制御することを特徴とする調光装置。
【請求項2】
制御部は、調光レベルデータに応じて給電量を減少させる際は、前記所定の給電量を給電せずに当該調光レベルデータに応じた給電量を給電するように給電部を制御することを特徴とする請求項1記載の調光装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−165592(P2010−165592A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7938(P2009−7938)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】