調剤管理システム
【課題】 調剤をできるだけ自動化しつつ、手動調剤が混在する場合であっても、適切に監査を行い、同一処方を過誤なく確実に包装する。
【解決手段】 監査装置2を、携帯端末4から送信されるピッキング監査の済んだピッキング監査用処方データと、処方データに基づいて作成したピッキング監査用処方データとを照合することにより自動包装装置3での包装を開始させる制御部8を備えた構成とする。
【解決手段】 監査装置2を、携帯端末4から送信されるピッキング監査の済んだピッキング監査用処方データと、処方データに基づいて作成したピッキング監査用処方データとを照合することにより自動包装装置3での包装を開始させる制御部8を備えた構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機関に於ける薬局で処方される薬剤を適切に管理するための調剤管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療品関連卸業者側によって管理されている調剤薬局毎のマスタファイルと医療機関側からの処方箋から得られる調剤に関するコードとの紐付けを行う調剤薬局端末と、前記紐付けされたコードと薬品棚に付されている薬品情報とを読み取り、これらコード及び薬品情報の照合を行う照合端末とを備えた構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−62044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、処方箋の内容と、実際に調剤する薬品との照合を行っているだけである。調剤は、薬剤師が調剤薬局にて行う点が開示されているに過ぎず、自動分包するための散薬分包装置には言及されていない。つまり、処方すべき薬品を自動包装する発想がない。したがって、処方箋に、自動分包(調剤)できる薬品が含まれているとしても、全て薬剤師自身が調剤しなければならない。また、自動分包可能な装置を装備しても対応不可能である。
【0005】
そこで、本発明は、調剤をできるだけ自動化しつつ、手動調剤が混在する場合であっても、適切に監査を行い、同一処方を過誤なく確実に包装することのできる調剤管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、処方データに基づいて、包装装置での自動調剤のための散薬監査用処方データと、手動調剤しなければならないピッキング監査用処方データとを作成する制御部、前記処方データ、散薬監査用処方データ、及び、ピッキング監査用処方データを記憶する記憶部、及び、ピッキング監査用処方データを送受信可能な送受信部を備えた監査装置と、前記監査装置の送受信部との間で手動調剤データを送受信する送受信部、薬品が収容されるカセットに設けられ、収容される薬品に関連付けたコードに対応する識別部を検出する読取部、及び、該読取部で識別部を読み取り、前記送受信部で受信したピッキング監査用処方データと照合することによりピッキング監査を行う制御部を備えた携帯端末とを備え、前記監査装置の制御部は、前記携帯端末から送信されるピッキング監査の済んだピッキング監査用処方データと、処方データに基づいて作成したピッキング監査用処方データとを照合することにより自動包装装置での包装を開始させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、処方データを、散薬監査用処方データとピッキング監査用処方データとに分離し、携帯端末でのピッキング監査処理が完了することにより監査装置でのピッキング監査用処方データと照合するようにしたので、自動調剤を行いつつ、手動調剤を間違いなく適切に監査することができると共に、過誤なく同一処方で包装することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。
【0009】
<全体構成>
図1Aは、本実施形態に係る調剤管理システムの全体を示す概略図である。この調剤管理システムでは、レセプトコンピュータ1から受信した処方データ(医師が作成した処方箋の内容に関するデータ)に基づいて、散薬監査装置2と、散薬分包装置3、あるいは、ピッキング監査手段である携帯端末4(PDA:Personal Digital Assistance)との間で、データの送受信を行うことにより調剤管理を行うようにしている。
【0010】
レセプトコンピュータ1は、図示しない記憶部に各種マスタファイル等が記憶され、図示しないホストコンピュータから入力され、あるいは、手入力した処方データ(医師が作成した処方箋の内容)を散薬監査装置2へと送信する。
【0011】
散薬監査装置2は、図1Bに示すように、送受信部5、ゲートウェイ6、記憶部7、制御部8、及び、プリンタ9を備える。送受信部5は、レセプトコンピュータ1から処方データを受信し、散薬分包装置3及び携帯端末4との間でデータの(無線による)送受信を行う。ゲートウェイ6は、送信されてきた処方データをピッキング用と散薬監査用とにそれぞれ振り分ける。ここでは、ヒートシール剤(ヒートシールにより包装した薬品)と、それ以外の包装されていない散薬及び錠剤とにそれぞれ振り分けている。記憶部7には、各種マスタファイル及び各種テーブルファイルが格納されている。マスタファイルには、薬品マスタ、患者マスタ、充填マスタ等が格納されている。薬品マスタには、薬品の名称等のほか、その薬品の属する調剤コーナーが登録されている。調剤コーナーには、例えば、散薬ヒート(散薬をヒートシールにより袋詰したもの)、錠剤・カプセルヒート(錠剤又はカプセル剤をヒートシールにより袋詰したもの)、外用(湿布等)、水剤等が含まれる。また、薬品マスタには、規格カセットマスタ、規格JANマスタ、薬瓶マスタが含まれる。規格カセットマスタには、ピッキング監査処理の対象となる薬品の名称(薬品コード)、充填数等が格納されている。規格JANマスタには、製薬会社から入荷された薬品箱に付されたバーコード(JANコード:Japanese Article Number Code:わが国の共通商品コード)と関連付けされた薬品の名称、規格量等が格納されている。薬瓶マスタには、薬瓶に収容する薬品の名称、数量等が格納されている。制御部は、レセプトコンピュータ1から受信した処方データに基づいて、散薬分包装置3とPDA4とに送信するデータを振り分け、後述する各処理を実行する。なお、前記薬品コードは、電算コード、厚生省コード、YJコード、HOT番号、JANコード等で構成することができる。
【0012】
散薬分包装置3は、従来周知の構成で、散薬監査装置2からの入力信号に基づいて、薬品を1包分ずつ包装する。
【0013】
携帯端末4は、図1Bに示すように、送受信部10、バーコードリーダー11(読取部)、表示部12、記憶部13、及び、制御部14を備える。携帯端末4は、各調剤者に割り当てられ、複数台が稼働可能となっている。送受信部10は、前記散薬監査装置2の送受信部5と送受信を行い、処方データ(監査完了前のピッキング監査用処方データ)を受信し、ピッキング情報(監査完了後のピッキング監査用処方データ)を送信する。バーコードリーダー11は、薬品が収容されるカセット15に付したバーコード(カセット番号:識別部)や薬品箱に付されたバーコード(JANコード)を読み取る。表示部12は、液晶等の画面で構成され、後述する各処理に応じて表示内容を変更する。
【0014】
<動作>
次に、前記構成を備えた調剤管理システムの動作について説明する。
【0015】
このシステムでは、図2のプロセスフローに示すように、レセプトコンピュータ1から送信された処方データを散薬監査装置2で受信し、散薬監査用処方データとピッキング用処方データとに分離する「データ分離処理」を行う。そして、散薬監査用処方データに基づいて「散薬監査処理」を行い、ピッキング用処方データに基づいて「ピッキング監査処理」を行う。ピッキング監査処理が終了すれば、そのデータがPDA4から散薬監査装置2に送信されるので、必要に応じて「データ統合処理」を行った後、散薬分包装置3にて「分包処理」を開始する。なお、ピッキングとは、処方箋に指示された薬を取り揃えることである、また、監査とは、調剤した薬品の種類や量が処方箋の内容が合っているか否かを確認することである。但し、前記ピッキング監査処理では、PDA4を使用してピッキング及び監査を同時に行うようにしている。
【0016】
(データ分離処理)
前記データ分離処理は、図3のフローチャートに従って行う。すなわち、処方データに含まれる薬品を順次1つずつ抽出し(ステップS1)、処方データの用法及び調剤指示内容を参照して割り付ける(ステップS2)。そして、錠散系であるか否かを判断する(ステップS3)。つまり、薬品がヒートシールにより袋詰していない散薬又は錠剤であれば、散薬分包装置3によって分包処理を行うことができるので、そのまま散薬分包装置3に送信可能とする。一方、ヒートシール剤であれば、散薬分包装置3によって直接分包処理を行うことができないので、ピッキング対象薬品データとして確定する(ステップS4)。これにより、処方データを散薬監査用処方データとピッキング用処方データとに分離することができ、それぞれ監査を開始することが可能となる。
【0017】
(散薬監査処理)
前記散薬監査処理については従来同様であるので、その説明を省略する(例えば、特開2004−148036号公報、特開2002−85526号公報等参照)。
【0018】
(ピッキング監査処理)
ピッキング監査処理では、調剤処理、発行処理、充填処理を順次行う。
【0019】
(調剤処理)
調剤処理には、連動処理、単体処理、DO処理の3種類がある。
【0020】
連動処理は、図4A及び図4Bのフローチャートに従って行う。まず、調剤コーナーマスタを参照して、いずれの調剤モードが選択されたのかを判断する(ステップS11)。調剤モードの選択は、図5に示す調剤モード選択画面で行う。調剤モードには、ある患者についての処方データの全てを選択する「処方選択」と、その処方データに含まれるいずれかの薬剤を個別に選択する「調剤コーナー選択」とがある。選択された調剤モードに従って、受信処方テーブル、受信処方明細テーブル、及び、薬品瓶マスタを参照して該当する処方データを抽出し、図6に示す処方選択画面を表示させる(ステップS12)。
【0021】
PDA4の処方選択画面では、初期表示として調剤者(患者)の全てが患者欄に一覧表示される。表示範囲が限られているため、ここでは患者ID番号の小さい順に4名表示され、「▲」ボタン、「▼」ボタンの操作によりスクロール表示させることが可能である。患者は、患者名(カナ)の頭文字により絞り込むことが可能である。すなわち、調剤者欄を操作すると、行名(ア行〜ワ行)がプルダウン表示されるので、所望の行を選択して調剤する薬剤師を絞り込むことが可能である。また、引換券欄あるいは患者ID欄で、直接、引換券番号あるいは患者ID番号を入力し、検索ボタンを操作して検索することも可能である。更新ボタンを操作すると、レセプトコンピュータ1から受信した処方データを再読み込みし、表示内容を更新する。削除ボタンを操作すると、患者一覧で選択した患者の処方データが削除される。全削除ボタンを操作すると、読み込んだ全患者の処方データが削除される。なお、削除ボタン及び全削除ボタンでは、調剤モードが選択されている場合、選択した調剤コーナーの薬品のみが削除される。
【0022】
処方選択画面での操作により患者が特定され(ステップS13)、OKボタンが操作されることにより、図7に示す処方薬品一覧画面に切り替える。
【0023】
処方薬品一覧画面では、調剤状況(ここでは、「調剤中」と表示)、調剤者名(ここでは、「鈴木薬太郎」と表示)、患者名(ここでは、「湯山三郎」と表示)、調剤モード(ここでは、「全て」と表示)、処方薬品一覧がそれぞれ表示される。調剤者ボタンを操作することにより調剤する薬剤師を変更することが可能である。承認量ボタンを操作すると、図示しないピッキング対象設定画面が表示される。ピッキング対象設定画面では、対象薬品とするか否かについての設定、その薬品についての調剤設定や規格設定を行うことが可能となっている。
【0024】
前記処方選択画面で、患者が選択されてOKボタンが操作された際、受信した処方データをコピーし、処理中フラグを立てる。すなわち、患者単位で、受信処方テーブルと受信処方明細テーブルとを合体したものを一時保管テーブルに格納し、処理中フラグを立てることにより他の調剤者が同じ処方を調剤しないようにする(ステップS14)。
【0025】
続いて、処方薬品一覧画面を表示させた状態で、前記一時保管テーブルと、薬品マスタ及び患者マスタとを読み込む(ステップS15)。そして、これから調剤しようとする薬品を収容したカセット15について、PDA4に設けたバーコードリーダー11によりカセット番号を読み込む。この読み込み操作により、薬品マスタ(規格カセットマスタ、規格JANマスタ、薬瓶マスタを含む)を参照し、エラーチェックを行う(ステップS16)。エラーチェックでは、読み込まれたカセット番号に基づいて呼び出されたデータが、薬品に関するものであるか否か(ステップS17)、処方にあるか否か(ステップS19)、処方薬品と規格が同じか否か(ステップS21)をそれぞれ判断する。エラーであると判断すれば、それぞれ図示しない対応する画面によって警告表示する(ステップS18,S20,S22)。
なお、前記エラーチェックでは、承認量マスタを参照して患者に投与する薬品量のチェックも行う。承認量マスタは、患者マスタからの患者情報(年齢・性別・身長・体重)と、薬品マスタからの薬品情報(規定量)とで構成されている。
【0026】
処方データに合致する適切な薬品が収容されたカセット15のカセット番号が読み込まれた場合、その薬品データを取得し、図8に示す薬品詳細画面で薬品名等を表示する(ステップS23)。薬品詳細画面では、薬品名のほかに、薬品の種別(ここでは、画面右上に「劇」が表示され、劇薬であることが喚起されている。)、コメント(ここでは、「肝硬変症ある患者には慎重投与!!」と表示され、患者に薬品を投与する際の注意事項が表示されている。)、服用時期、ピッキング数等が表示される。これにより、調剤内容が適切か否かをチェックして調剤を進めることができる。ここで、OKボタンを操作すると、メモリ上のセッション変数に保存し(ステップS24)、ピッキング情報(薬品詳細画面で表示された内容)がセッション変数に保持される(ステップS25)。すなわち、ピッキング情報が散薬監査装置2のメモリに一時的に格納される。
【0027】
このようにして、処方薬品一覧画面に表示させた薬品の全てについてピッキング監査処理が終了すれば、送信ボタンを操作することによりピッキングされた全薬品の名称、数量を前記セッション変数から取得してデータベースに反映する(ステップS26)。具体的に、処方済みの処方データをピッキングクエリーに、ピッキング用の印刷データをプリントピッキングクエリーにそれぞれ格納する。また、前述のようにして処理中フラグを立ててロックした受信処方テーブルを解放する。
【0028】
なお、処方薬品一覧画面に表示させた薬品の全てについてピッキング監査処理が終了していない状態で、送信ボタンがクリックされた場合、未処理データがある旨を警告表示する。未処理データがある場合でも終了する場合には警告表示画面でOKボタンを操作することにより調剤を完了することなく終了させることも可能である。
【0029】
前記単体処理は、前記連動処理で行った調剤モードの選択を行わず、患者単位で調剤する場合の処理である。したがって、初期画面で、患者マスタを参照して図6に示す処方選択画面を表示させ、患者を特定することにより、前記同様の処理を行う。
【0030】
前記DO処理は、ある患者について過去に行った処方を参照して同様な処方を行う場合の処理である。すなわち、初期画面でDO処方を操作すると、過去に処方を行った患者の一覧表が表示されるので、前記処方選択画面で該当する患者を選択し、以下同様な処理を行う。
【0031】
(発行処理)
発行処理は、お薬確認票を印刷するために行う。お薬確認票は、服薬指導用紙とは別に発行するもので、調剤で実際に行われたピッキング監査処理がコンピュータ処理の内容と一致するか否かを確認するために発行する。これにより、調剤者(薬剤師)の業務が適切に行われているか否かを確認することができ、又、調剤者(薬剤師)が調剤業務を過誤なく適切に行うための動機付けとなる。発行処理は、通常、全てのピッキング監査処理が完了してから自動的に行うが、再発行の場合等に必要に応じて図9のフローチャートに従って行う。
【0032】
まず、PDA4のバーコードリーダー11により、薬品を充填しようとするカセット15に付したバーコード(カセット番号)を読み込む(ステップS31)。そして、読み込んだカセット番号に基づいて、散薬監査装置2の記憶部7に格納してある規格カセットマスタから一時保管テーブルに薬品データを抽出し、図10に示すお薬確認票画面を表示させる(ステップS32)。続いて、お薬確認票画面で、お薬確認票を発行する患者を選択すると(ステップS33)、選択された患者の処方データがプリントクエリーテーブルにコピーされる(ステップS34)。これにより、プリンタ9で選択した患者のお薬確認票が印刷される。但し、同一患者について、散薬監査用処方データとピッキング用処方データの両方を処理する必要があれば、両データがプリントクエリーテーブルにコピーされた場合にのみお薬確認票が印刷される。図11に、お薬確認票の例を示す。なお、このお薬確認票は調剤完了後に患者に手渡すためのものである。
【0033】
(充填処理)
充填処理は、薬品をカセット15に充填する際に行う処理で、図12のフローチャートに従って行う。まず、PDA4のバーコードリーダー11でカセット15に付したバーコード(カセット番号)を読み込む(ステップS42)。そして、読み込んだカセット番号に基づいて散薬監査装置2の記憶部7に記憶した規格カセットマスタ(薬瓶に収容する場合、薬瓶マスタ)を参照し、前記カセット15に収容すべき薬品の名称及び在庫量を表示する(ステップS43)。また、これから収容しようとする薬品のJANコードを読み込む(ステップS44)。JANコードは、製薬会社から供給される薬品が収容された薬品箱に付したバーコードを、PDA4のバーコードリーダー11で読み取り、前記散薬監査装置2の記憶部7に記憶した薬品マスタの規格JANマスタを参照することにより読み込む。
【0034】
このようにしてカセット番号とJANコードが読み込まれれば、両者を比較することにより、同一薬品(薬品コード)であって、かつ、同一規格(JANコード)であるか否かを判断する(ステップS45)。すなわち、薬品コード(各薬品に特有のコード番号)が同じでも、規格(薬品の処方量)が異なれば、処方内容としては全く異なるものになるので、薬品コードとJANコードとを比較する。また、カセット15に、JANコードではなくカセット番号を使用したのは、誤って薬品箱のJANコードをバーコードリーダー11で2回読み取ることにより判断されることを防止するためである。
【0035】
薬品コードとJANコードが一致しなければ、一時的に格納したデータをクリアし、ステップS41に戻って前記処理を繰り返す。また、両コードが一致すれば、図13に示す薬品充填画面で「充填中」と表示し、充填数、ロット番号、有効期限の入力を行う(ステップS46)。そして、充填ボタンを操作し、薬品名及び充填数をデータベース(散薬監査装置2の記憶部7に記憶した充填マスタ)に反映すると共に、充填情報をメモリ上のセッション変数に保持する(ステップS47)。
【0036】
以上の充填処理が全ての薬品について終了すれば、完了ボタンを操作することにより(ステップS48)、前記セッション変数を参照して、充填された薬品名及び充填数を充填記録ファイルに一括保管し、プリンタ9による充填記録紙の出力に備える(ステップS49)。
【0037】
(データ統合処理)
データ統合処理は、処方データに散薬監査とピッキング監査の両処理の対象となる薬品が含まれている場合、特に、同一薬品について、前記両処理を行った後、同包する場合に必要となる。
【0038】
すなわち、前記両処理を行う場合、データ分離処理で、散薬監査用処方データとピッキング監査用処方データとに分離する際、散薬監査用処方データにピッキング薬品を含めておく。この時点では、散薬監査用処方データのピッキング薬品にはフラグを立てる等により、正規の散薬監査用処方データとは区別しておく。そして、ピッキング監査処理が終了し、ピッキング薬品が用意された時点で、散薬監査用処方データに含まれるピッキング薬品を正規データに変更する。これにより、散薬監査とピッキング監査とで別々に処理を行っていた同一薬品を、確実に過誤なく統合することが可能となる。ピッキング監査の対象となった薬品については、収容するトレイにICチップ等の記憶部を設けることにより、どの薬品であるのかを特定しておく。そして、トレイを散薬分包装置3に搬送した際、前記記憶部7に記憶させた情報を読み取ることにより、散薬監査用処方データに含まれるピッキング薬品を正規データに変更すればよい。なお、ピッキング薬品は、ヒートシールによって包装されているため、一旦、取り出して用意し、散薬分包装置3へとセットすることになる。
【0039】
なお、前記実施形態では、自動調剤可能な装置として散薬分包装置3のみを開示したが、錠剤包装装置等、他の自動調剤可能な装置であってもシステムに組み込むことができる。
【0040】
また、前記実施形態では、処方データを散薬監査装置で受信するようにしたが、例えば、各調剤機器と連動した制御装置等であっても処方データを受信して前記同様の処理を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1A】本実施形態に係る調剤管理システムの全体を示す概略図である。
【図1B】図1の散薬監査装置、携帯端末を示すブロック図である。
【図2】図1の調剤管理システムに於けるプロセスフローを示す図である。
【図3】データ分離処理を示すフローチャート図である。
【図4A】調剤処理に於ける連動処理を示すフローチャート図である。
【図4B】調剤処理に於ける連動処理を示すフローチャート図である。
【図5】調剤処理の連動処理で表示される調剤モード選択画面を示す図である。
【図6】調剤処理で表示される処方選択画面を示す図である。
【図7】調剤処理で表示される処方薬品一覧画面を示す図である。
【図8】調剤処理で表示される薬品詳細画面を示す図である。
【図9】発行処理を示すフローチャート図である。
【図10】発行処理で表示されるお薬確認票画面を示す図である。
【図11】図10の発行処理で発行されるお薬確認票の一例を示す図である。
【図12】充填処理を示すフローチャート図である。
【図13】充填処理で表示される薬品充填画面を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1…レセプトコンピュータ
2…散薬監査装置
3…散薬分包装置
4…携帯端末
5…送受信部
6…ゲートウェイ
7…記憶部
8…制御部
9…プリンタ
10…送受信部
11…バーコードリーダー(読取部)
12…表示部
13…記憶部
14…制御部
15…カセット
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機関に於ける薬局で処方される薬剤を適切に管理するための調剤管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療品関連卸業者側によって管理されている調剤薬局毎のマスタファイルと医療機関側からの処方箋から得られる調剤に関するコードとの紐付けを行う調剤薬局端末と、前記紐付けされたコードと薬品棚に付されている薬品情報とを読み取り、これらコード及び薬品情報の照合を行う照合端末とを備えた構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−62044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、処方箋の内容と、実際に調剤する薬品との照合を行っているだけである。調剤は、薬剤師が調剤薬局にて行う点が開示されているに過ぎず、自動分包するための散薬分包装置には言及されていない。つまり、処方すべき薬品を自動包装する発想がない。したがって、処方箋に、自動分包(調剤)できる薬品が含まれているとしても、全て薬剤師自身が調剤しなければならない。また、自動分包可能な装置を装備しても対応不可能である。
【0005】
そこで、本発明は、調剤をできるだけ自動化しつつ、手動調剤が混在する場合であっても、適切に監査を行い、同一処方を過誤なく確実に包装することのできる調剤管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、処方データに基づいて、包装装置での自動調剤のための散薬監査用処方データと、手動調剤しなければならないピッキング監査用処方データとを作成する制御部、前記処方データ、散薬監査用処方データ、及び、ピッキング監査用処方データを記憶する記憶部、及び、ピッキング監査用処方データを送受信可能な送受信部を備えた監査装置と、前記監査装置の送受信部との間で手動調剤データを送受信する送受信部、薬品が収容されるカセットに設けられ、収容される薬品に関連付けたコードに対応する識別部を検出する読取部、及び、該読取部で識別部を読み取り、前記送受信部で受信したピッキング監査用処方データと照合することによりピッキング監査を行う制御部を備えた携帯端末とを備え、前記監査装置の制御部は、前記携帯端末から送信されるピッキング監査の済んだピッキング監査用処方データと、処方データに基づいて作成したピッキング監査用処方データとを照合することにより自動包装装置での包装を開始させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、処方データを、散薬監査用処方データとピッキング監査用処方データとに分離し、携帯端末でのピッキング監査処理が完了することにより監査装置でのピッキング監査用処方データと照合するようにしたので、自動調剤を行いつつ、手動調剤を間違いなく適切に監査することができると共に、過誤なく同一処方で包装することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。
【0009】
<全体構成>
図1Aは、本実施形態に係る調剤管理システムの全体を示す概略図である。この調剤管理システムでは、レセプトコンピュータ1から受信した処方データ(医師が作成した処方箋の内容に関するデータ)に基づいて、散薬監査装置2と、散薬分包装置3、あるいは、ピッキング監査手段である携帯端末4(PDA:Personal Digital Assistance)との間で、データの送受信を行うことにより調剤管理を行うようにしている。
【0010】
レセプトコンピュータ1は、図示しない記憶部に各種マスタファイル等が記憶され、図示しないホストコンピュータから入力され、あるいは、手入力した処方データ(医師が作成した処方箋の内容)を散薬監査装置2へと送信する。
【0011】
散薬監査装置2は、図1Bに示すように、送受信部5、ゲートウェイ6、記憶部7、制御部8、及び、プリンタ9を備える。送受信部5は、レセプトコンピュータ1から処方データを受信し、散薬分包装置3及び携帯端末4との間でデータの(無線による)送受信を行う。ゲートウェイ6は、送信されてきた処方データをピッキング用と散薬監査用とにそれぞれ振り分ける。ここでは、ヒートシール剤(ヒートシールにより包装した薬品)と、それ以外の包装されていない散薬及び錠剤とにそれぞれ振り分けている。記憶部7には、各種マスタファイル及び各種テーブルファイルが格納されている。マスタファイルには、薬品マスタ、患者マスタ、充填マスタ等が格納されている。薬品マスタには、薬品の名称等のほか、その薬品の属する調剤コーナーが登録されている。調剤コーナーには、例えば、散薬ヒート(散薬をヒートシールにより袋詰したもの)、錠剤・カプセルヒート(錠剤又はカプセル剤をヒートシールにより袋詰したもの)、外用(湿布等)、水剤等が含まれる。また、薬品マスタには、規格カセットマスタ、規格JANマスタ、薬瓶マスタが含まれる。規格カセットマスタには、ピッキング監査処理の対象となる薬品の名称(薬品コード)、充填数等が格納されている。規格JANマスタには、製薬会社から入荷された薬品箱に付されたバーコード(JANコード:Japanese Article Number Code:わが国の共通商品コード)と関連付けされた薬品の名称、規格量等が格納されている。薬瓶マスタには、薬瓶に収容する薬品の名称、数量等が格納されている。制御部は、レセプトコンピュータ1から受信した処方データに基づいて、散薬分包装置3とPDA4とに送信するデータを振り分け、後述する各処理を実行する。なお、前記薬品コードは、電算コード、厚生省コード、YJコード、HOT番号、JANコード等で構成することができる。
【0012】
散薬分包装置3は、従来周知の構成で、散薬監査装置2からの入力信号に基づいて、薬品を1包分ずつ包装する。
【0013】
携帯端末4は、図1Bに示すように、送受信部10、バーコードリーダー11(読取部)、表示部12、記憶部13、及び、制御部14を備える。携帯端末4は、各調剤者に割り当てられ、複数台が稼働可能となっている。送受信部10は、前記散薬監査装置2の送受信部5と送受信を行い、処方データ(監査完了前のピッキング監査用処方データ)を受信し、ピッキング情報(監査完了後のピッキング監査用処方データ)を送信する。バーコードリーダー11は、薬品が収容されるカセット15に付したバーコード(カセット番号:識別部)や薬品箱に付されたバーコード(JANコード)を読み取る。表示部12は、液晶等の画面で構成され、後述する各処理に応じて表示内容を変更する。
【0014】
<動作>
次に、前記構成を備えた調剤管理システムの動作について説明する。
【0015】
このシステムでは、図2のプロセスフローに示すように、レセプトコンピュータ1から送信された処方データを散薬監査装置2で受信し、散薬監査用処方データとピッキング用処方データとに分離する「データ分離処理」を行う。そして、散薬監査用処方データに基づいて「散薬監査処理」を行い、ピッキング用処方データに基づいて「ピッキング監査処理」を行う。ピッキング監査処理が終了すれば、そのデータがPDA4から散薬監査装置2に送信されるので、必要に応じて「データ統合処理」を行った後、散薬分包装置3にて「分包処理」を開始する。なお、ピッキングとは、処方箋に指示された薬を取り揃えることである、また、監査とは、調剤した薬品の種類や量が処方箋の内容が合っているか否かを確認することである。但し、前記ピッキング監査処理では、PDA4を使用してピッキング及び監査を同時に行うようにしている。
【0016】
(データ分離処理)
前記データ分離処理は、図3のフローチャートに従って行う。すなわち、処方データに含まれる薬品を順次1つずつ抽出し(ステップS1)、処方データの用法及び調剤指示内容を参照して割り付ける(ステップS2)。そして、錠散系であるか否かを判断する(ステップS3)。つまり、薬品がヒートシールにより袋詰していない散薬又は錠剤であれば、散薬分包装置3によって分包処理を行うことができるので、そのまま散薬分包装置3に送信可能とする。一方、ヒートシール剤であれば、散薬分包装置3によって直接分包処理を行うことができないので、ピッキング対象薬品データとして確定する(ステップS4)。これにより、処方データを散薬監査用処方データとピッキング用処方データとに分離することができ、それぞれ監査を開始することが可能となる。
【0017】
(散薬監査処理)
前記散薬監査処理については従来同様であるので、その説明を省略する(例えば、特開2004−148036号公報、特開2002−85526号公報等参照)。
【0018】
(ピッキング監査処理)
ピッキング監査処理では、調剤処理、発行処理、充填処理を順次行う。
【0019】
(調剤処理)
調剤処理には、連動処理、単体処理、DO処理の3種類がある。
【0020】
連動処理は、図4A及び図4Bのフローチャートに従って行う。まず、調剤コーナーマスタを参照して、いずれの調剤モードが選択されたのかを判断する(ステップS11)。調剤モードの選択は、図5に示す調剤モード選択画面で行う。調剤モードには、ある患者についての処方データの全てを選択する「処方選択」と、その処方データに含まれるいずれかの薬剤を個別に選択する「調剤コーナー選択」とがある。選択された調剤モードに従って、受信処方テーブル、受信処方明細テーブル、及び、薬品瓶マスタを参照して該当する処方データを抽出し、図6に示す処方選択画面を表示させる(ステップS12)。
【0021】
PDA4の処方選択画面では、初期表示として調剤者(患者)の全てが患者欄に一覧表示される。表示範囲が限られているため、ここでは患者ID番号の小さい順に4名表示され、「▲」ボタン、「▼」ボタンの操作によりスクロール表示させることが可能である。患者は、患者名(カナ)の頭文字により絞り込むことが可能である。すなわち、調剤者欄を操作すると、行名(ア行〜ワ行)がプルダウン表示されるので、所望の行を選択して調剤する薬剤師を絞り込むことが可能である。また、引換券欄あるいは患者ID欄で、直接、引換券番号あるいは患者ID番号を入力し、検索ボタンを操作して検索することも可能である。更新ボタンを操作すると、レセプトコンピュータ1から受信した処方データを再読み込みし、表示内容を更新する。削除ボタンを操作すると、患者一覧で選択した患者の処方データが削除される。全削除ボタンを操作すると、読み込んだ全患者の処方データが削除される。なお、削除ボタン及び全削除ボタンでは、調剤モードが選択されている場合、選択した調剤コーナーの薬品のみが削除される。
【0022】
処方選択画面での操作により患者が特定され(ステップS13)、OKボタンが操作されることにより、図7に示す処方薬品一覧画面に切り替える。
【0023】
処方薬品一覧画面では、調剤状況(ここでは、「調剤中」と表示)、調剤者名(ここでは、「鈴木薬太郎」と表示)、患者名(ここでは、「湯山三郎」と表示)、調剤モード(ここでは、「全て」と表示)、処方薬品一覧がそれぞれ表示される。調剤者ボタンを操作することにより調剤する薬剤師を変更することが可能である。承認量ボタンを操作すると、図示しないピッキング対象設定画面が表示される。ピッキング対象設定画面では、対象薬品とするか否かについての設定、その薬品についての調剤設定や規格設定を行うことが可能となっている。
【0024】
前記処方選択画面で、患者が選択されてOKボタンが操作された際、受信した処方データをコピーし、処理中フラグを立てる。すなわち、患者単位で、受信処方テーブルと受信処方明細テーブルとを合体したものを一時保管テーブルに格納し、処理中フラグを立てることにより他の調剤者が同じ処方を調剤しないようにする(ステップS14)。
【0025】
続いて、処方薬品一覧画面を表示させた状態で、前記一時保管テーブルと、薬品マスタ及び患者マスタとを読み込む(ステップS15)。そして、これから調剤しようとする薬品を収容したカセット15について、PDA4に設けたバーコードリーダー11によりカセット番号を読み込む。この読み込み操作により、薬品マスタ(規格カセットマスタ、規格JANマスタ、薬瓶マスタを含む)を参照し、エラーチェックを行う(ステップS16)。エラーチェックでは、読み込まれたカセット番号に基づいて呼び出されたデータが、薬品に関するものであるか否か(ステップS17)、処方にあるか否か(ステップS19)、処方薬品と規格が同じか否か(ステップS21)をそれぞれ判断する。エラーであると判断すれば、それぞれ図示しない対応する画面によって警告表示する(ステップS18,S20,S22)。
なお、前記エラーチェックでは、承認量マスタを参照して患者に投与する薬品量のチェックも行う。承認量マスタは、患者マスタからの患者情報(年齢・性別・身長・体重)と、薬品マスタからの薬品情報(規定量)とで構成されている。
【0026】
処方データに合致する適切な薬品が収容されたカセット15のカセット番号が読み込まれた場合、その薬品データを取得し、図8に示す薬品詳細画面で薬品名等を表示する(ステップS23)。薬品詳細画面では、薬品名のほかに、薬品の種別(ここでは、画面右上に「劇」が表示され、劇薬であることが喚起されている。)、コメント(ここでは、「肝硬変症ある患者には慎重投与!!」と表示され、患者に薬品を投与する際の注意事項が表示されている。)、服用時期、ピッキング数等が表示される。これにより、調剤内容が適切か否かをチェックして調剤を進めることができる。ここで、OKボタンを操作すると、メモリ上のセッション変数に保存し(ステップS24)、ピッキング情報(薬品詳細画面で表示された内容)がセッション変数に保持される(ステップS25)。すなわち、ピッキング情報が散薬監査装置2のメモリに一時的に格納される。
【0027】
このようにして、処方薬品一覧画面に表示させた薬品の全てについてピッキング監査処理が終了すれば、送信ボタンを操作することによりピッキングされた全薬品の名称、数量を前記セッション変数から取得してデータベースに反映する(ステップS26)。具体的に、処方済みの処方データをピッキングクエリーに、ピッキング用の印刷データをプリントピッキングクエリーにそれぞれ格納する。また、前述のようにして処理中フラグを立ててロックした受信処方テーブルを解放する。
【0028】
なお、処方薬品一覧画面に表示させた薬品の全てについてピッキング監査処理が終了していない状態で、送信ボタンがクリックされた場合、未処理データがある旨を警告表示する。未処理データがある場合でも終了する場合には警告表示画面でOKボタンを操作することにより調剤を完了することなく終了させることも可能である。
【0029】
前記単体処理は、前記連動処理で行った調剤モードの選択を行わず、患者単位で調剤する場合の処理である。したがって、初期画面で、患者マスタを参照して図6に示す処方選択画面を表示させ、患者を特定することにより、前記同様の処理を行う。
【0030】
前記DO処理は、ある患者について過去に行った処方を参照して同様な処方を行う場合の処理である。すなわち、初期画面でDO処方を操作すると、過去に処方を行った患者の一覧表が表示されるので、前記処方選択画面で該当する患者を選択し、以下同様な処理を行う。
【0031】
(発行処理)
発行処理は、お薬確認票を印刷するために行う。お薬確認票は、服薬指導用紙とは別に発行するもので、調剤で実際に行われたピッキング監査処理がコンピュータ処理の内容と一致するか否かを確認するために発行する。これにより、調剤者(薬剤師)の業務が適切に行われているか否かを確認することができ、又、調剤者(薬剤師)が調剤業務を過誤なく適切に行うための動機付けとなる。発行処理は、通常、全てのピッキング監査処理が完了してから自動的に行うが、再発行の場合等に必要に応じて図9のフローチャートに従って行う。
【0032】
まず、PDA4のバーコードリーダー11により、薬品を充填しようとするカセット15に付したバーコード(カセット番号)を読み込む(ステップS31)。そして、読み込んだカセット番号に基づいて、散薬監査装置2の記憶部7に格納してある規格カセットマスタから一時保管テーブルに薬品データを抽出し、図10に示すお薬確認票画面を表示させる(ステップS32)。続いて、お薬確認票画面で、お薬確認票を発行する患者を選択すると(ステップS33)、選択された患者の処方データがプリントクエリーテーブルにコピーされる(ステップS34)。これにより、プリンタ9で選択した患者のお薬確認票が印刷される。但し、同一患者について、散薬監査用処方データとピッキング用処方データの両方を処理する必要があれば、両データがプリントクエリーテーブルにコピーされた場合にのみお薬確認票が印刷される。図11に、お薬確認票の例を示す。なお、このお薬確認票は調剤完了後に患者に手渡すためのものである。
【0033】
(充填処理)
充填処理は、薬品をカセット15に充填する際に行う処理で、図12のフローチャートに従って行う。まず、PDA4のバーコードリーダー11でカセット15に付したバーコード(カセット番号)を読み込む(ステップS42)。そして、読み込んだカセット番号に基づいて散薬監査装置2の記憶部7に記憶した規格カセットマスタ(薬瓶に収容する場合、薬瓶マスタ)を参照し、前記カセット15に収容すべき薬品の名称及び在庫量を表示する(ステップS43)。また、これから収容しようとする薬品のJANコードを読み込む(ステップS44)。JANコードは、製薬会社から供給される薬品が収容された薬品箱に付したバーコードを、PDA4のバーコードリーダー11で読み取り、前記散薬監査装置2の記憶部7に記憶した薬品マスタの規格JANマスタを参照することにより読み込む。
【0034】
このようにしてカセット番号とJANコードが読み込まれれば、両者を比較することにより、同一薬品(薬品コード)であって、かつ、同一規格(JANコード)であるか否かを判断する(ステップS45)。すなわち、薬品コード(各薬品に特有のコード番号)が同じでも、規格(薬品の処方量)が異なれば、処方内容としては全く異なるものになるので、薬品コードとJANコードとを比較する。また、カセット15に、JANコードではなくカセット番号を使用したのは、誤って薬品箱のJANコードをバーコードリーダー11で2回読み取ることにより判断されることを防止するためである。
【0035】
薬品コードとJANコードが一致しなければ、一時的に格納したデータをクリアし、ステップS41に戻って前記処理を繰り返す。また、両コードが一致すれば、図13に示す薬品充填画面で「充填中」と表示し、充填数、ロット番号、有効期限の入力を行う(ステップS46)。そして、充填ボタンを操作し、薬品名及び充填数をデータベース(散薬監査装置2の記憶部7に記憶した充填マスタ)に反映すると共に、充填情報をメモリ上のセッション変数に保持する(ステップS47)。
【0036】
以上の充填処理が全ての薬品について終了すれば、完了ボタンを操作することにより(ステップS48)、前記セッション変数を参照して、充填された薬品名及び充填数を充填記録ファイルに一括保管し、プリンタ9による充填記録紙の出力に備える(ステップS49)。
【0037】
(データ統合処理)
データ統合処理は、処方データに散薬監査とピッキング監査の両処理の対象となる薬品が含まれている場合、特に、同一薬品について、前記両処理を行った後、同包する場合に必要となる。
【0038】
すなわち、前記両処理を行う場合、データ分離処理で、散薬監査用処方データとピッキング監査用処方データとに分離する際、散薬監査用処方データにピッキング薬品を含めておく。この時点では、散薬監査用処方データのピッキング薬品にはフラグを立てる等により、正規の散薬監査用処方データとは区別しておく。そして、ピッキング監査処理が終了し、ピッキング薬品が用意された時点で、散薬監査用処方データに含まれるピッキング薬品を正規データに変更する。これにより、散薬監査とピッキング監査とで別々に処理を行っていた同一薬品を、確実に過誤なく統合することが可能となる。ピッキング監査の対象となった薬品については、収容するトレイにICチップ等の記憶部を設けることにより、どの薬品であるのかを特定しておく。そして、トレイを散薬分包装置3に搬送した際、前記記憶部7に記憶させた情報を読み取ることにより、散薬監査用処方データに含まれるピッキング薬品を正規データに変更すればよい。なお、ピッキング薬品は、ヒートシールによって包装されているため、一旦、取り出して用意し、散薬分包装置3へとセットすることになる。
【0039】
なお、前記実施形態では、自動調剤可能な装置として散薬分包装置3のみを開示したが、錠剤包装装置等、他の自動調剤可能な装置であってもシステムに組み込むことができる。
【0040】
また、前記実施形態では、処方データを散薬監査装置で受信するようにしたが、例えば、各調剤機器と連動した制御装置等であっても処方データを受信して前記同様の処理を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1A】本実施形態に係る調剤管理システムの全体を示す概略図である。
【図1B】図1の散薬監査装置、携帯端末を示すブロック図である。
【図2】図1の調剤管理システムに於けるプロセスフローを示す図である。
【図3】データ分離処理を示すフローチャート図である。
【図4A】調剤処理に於ける連動処理を示すフローチャート図である。
【図4B】調剤処理に於ける連動処理を示すフローチャート図である。
【図5】調剤処理の連動処理で表示される調剤モード選択画面を示す図である。
【図6】調剤処理で表示される処方選択画面を示す図である。
【図7】調剤処理で表示される処方薬品一覧画面を示す図である。
【図8】調剤処理で表示される薬品詳細画面を示す図である。
【図9】発行処理を示すフローチャート図である。
【図10】発行処理で表示されるお薬確認票画面を示す図である。
【図11】図10の発行処理で発行されるお薬確認票の一例を示す図である。
【図12】充填処理を示すフローチャート図である。
【図13】充填処理で表示される薬品充填画面を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1…レセプトコンピュータ
2…散薬監査装置
3…散薬分包装置
4…携帯端末
5…送受信部
6…ゲートウェイ
7…記憶部
8…制御部
9…プリンタ
10…送受信部
11…バーコードリーダー(読取部)
12…表示部
13…記憶部
14…制御部
15…カセット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処方データに基づいて、包装装置での自動調剤のための散薬監査用処方データと、手動調剤しなければならないピッキング監査用処方データとを作成する制御部、前記処方データ、散薬監査用処方データ、及び、ピッキング監査用処方データを記憶する記憶部、及び、ピッキング監査用処方データを送受信可能な送受信部を備えた監査装置と、
前記監査装置の送受信部との間で手動調剤データを送受信する送受信部、薬品が収容されるカセットに設けられ、収容される薬品に関連付けたコードに対応する識別部を検出する読取部、及び、該読取部で識別部を読み取り、前記送受信部で受信したピッキング監査用処方データと照合することによりピッキング監査を行う制御部を備えた携帯端末とを備え、
前記監査装置の制御部は、前記携帯端末から送信されるピッキング監査の済んだピッキング監査用処方データと、処方データに基づいて作成したピッキング監査用処方データとを照合することにより自動包装装置での包装を開始させることを特徴とする調剤管理システム。
【請求項1】
処方データに基づいて、包装装置での自動調剤のための散薬監査用処方データと、手動調剤しなければならないピッキング監査用処方データとを作成する制御部、前記処方データ、散薬監査用処方データ、及び、ピッキング監査用処方データを記憶する記憶部、及び、ピッキング監査用処方データを送受信可能な送受信部を備えた監査装置と、
前記監査装置の送受信部との間で手動調剤データを送受信する送受信部、薬品が収容されるカセットに設けられ、収容される薬品に関連付けたコードに対応する識別部を検出する読取部、及び、該読取部で識別部を読み取り、前記送受信部で受信したピッキング監査用処方データと照合することによりピッキング監査を行う制御部を備えた携帯端末とを備え、
前記監査装置の制御部は、前記携帯端末から送信されるピッキング監査の済んだピッキング監査用処方データと、処方データに基づいて作成したピッキング監査用処方データとを照合することにより自動包装装置での包装を開始させることを特徴とする調剤管理システム。
【図1B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図9】
【図12】
【図1A】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図13】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図9】
【図12】
【図1A】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図13】
【公開番号】特開2006−81837(P2006−81837A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−272145(P2004−272145)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(592246705)株式会社湯山製作所 (202)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(592246705)株式会社湯山製作所 (202)
【Fターム(参考)】
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