調整可能なアンカーシステム及び方法
【課題】 近位端から遠位端に向かって延びる少なくとも1つの通路を有するアンカーを含む、組織を骨に固定するための調整可能なアンカーシステムを提供する。
【解決手段】通路は、制限された開口部などの制限部を画定する。アンカーは、近位端と遠位端との間に配置される少なくとも1つの骨係合機構を有する。このシステムは、閉ループとして形成され、かつ組織の一部を通して設置される第1の材料と、終端部と、ポストリム部と、前記終端部と前記ポストリム部との間で結ばれる摺動結び目と、を有して、前記アンカーの前記近位端を越えて延び、かつ前記第1の材料の前記閉ループを捕捉する細長い調整可能な長さのループを確定する、第2のフィラメントと、を更に含む。第2のフィラメントの結び目は、細長いループを短くして組織をアンカーに向かって引き寄せるために、ポストリム部に所望されるように張力が加えられるとき、制限された開口部によって拘束される。
【解決手段】通路は、制限された開口部などの制限部を画定する。アンカーは、近位端と遠位端との間に配置される少なくとも1つの骨係合機構を有する。このシステムは、閉ループとして形成され、かつ組織の一部を通して設置される第1の材料と、終端部と、ポストリム部と、前記終端部と前記ポストリム部との間で結ばれる摺動結び目と、を有して、前記アンカーの前記近位端を越えて延び、かつ前記第1の材料の前記閉ループを捕捉する細長い調整可能な長さのループを確定する、第2のフィラメントと、を更に含む。第2のフィラメントの結び目は、細長いループを短くして組織をアンカーに向かって引き寄せるために、ポストリム部に所望されるように張力が加えられるとき、制限された開口部によって拘束される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織を骨に固定するためのシステム及び方法に関し、より具体的には、ユーザーによる糸結びの必要性を排除する、組織への調整可能な張力付加に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な損傷は、特にスポーツ選手の間では、骨からの腱、靱帯、又は他の軟組織の完全又は部分的な脱離である。組織の脱離は、過剰な運動又は様々な他の理由によって、落下中に発生し得る。組織がその関連する骨から完全に脱離した場合、外科的介入が必要であることが多い。組織付着に現在入手可能なデバイスには、ねじ、ステープル、縫合糸アンカー、及びタックが挙げられる。管状の縫合糸アンカーの例は、Cauldwellらによる米国特許出願公開第2008/0147063号に記載されている。
【0003】
「結び目のない」(即ち、手術中に外科医が結び目を作る必要がない)と公表している、多くの縫合糸移植システムが存在する。そのような多くのシステムは、アンカーが骨に打ち込まれる深さによって組織上の張力を制御する。Lizardiによる米国特許第5,782,864及び同第7,381,213号は、縫合糸の固定長のループを捕捉する、特定のタイプの縫合糸アンカーを開示している。スリーブ内に挿入されたアンカー要素を利用する、調整可能なループの、結び目のないアンカーアセンブリは、Thalにより米国特許第5,569,306号及び同第6,045,574号、並びに米国特許出願公開第2009/0138042号に記載されている。
【0004】
引き裂かれた、又は損傷した組織の修復、特に半月板の修復のための摺動結び目を備える縫合糸アンカーシステムは、Selvitelliらによる米国特許第7,390,332号に開示されており、DePuy Mitek Inc.(325 Paramount Drive,Raynham,Massachusetts 02767)から市販されているOmniSpan(商標)半月板修復システムに採用されている。組織の修復を目的とした摺動及び係止結び目を備える他の縫合糸アンカーシステムは、Wenstrom,Jr.による米国特許第6,767,037号を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、特に関節鏡視下処置中に外科医が任意の結び目を結ぶ必要なしに、アンカーが骨に固定された後に組織にかかる張力を調整するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、アンカーの固定とは独立して、また処置中に結び目を結ぶことなく、組織に加えられる張力を調整できるようにすることである。
【0007】
本発明の別の目的は、アンカー駆動装置又は他の送達器具が、組織及びアンカーの視野から除去された後に、組織の張力を調整できるようにすることである。
【0008】
本発明は、バントラインハーフヒッチ結び目(bunt line half hitch knot)などの摺動結び目を備え、アンカーが骨の中に固定された後に所望されるように引っ張られることができるポストリム部(post limb)を有する、縫合糸などのフィラメントの細長い調整可能な長さのループを使用することによって、アンカーを骨の中に固定するのとは独立して、正確な張力を組織に加えることができるという認識からの結果である。ポストリム部が引っ張られると、アンカーは結び目を拘束してそれを定位置に保持し、調整可能なループは、閉じた、好ましくは固定長のループを通って摺動し、この固定長のループは組織を貫通して、所望の張力が達成されるまで組織をアンカーに向かって引き寄せる。調整可能なループが張力下にある間、アンカーは結びを拘束し続け、それによって、結び目を係止させるのを助ける。
【0009】
本発明は、近位端から遠位端に向かって延びる少なくとも1つの通路を有するアンカーを含む、組織を骨に固定するための調整可能なアンカーシステムを特徴とする。通路は、制限された開口部などの制限部を画定する。アンカーは、近位端と遠位端との間に配置される少なくとも1つの骨係合機構を有する。該システムは、閉ループとして形成され、かつ組織の一部を通して設置されることができる第1の材料と、終端部と、ポストリム部と、終端部とポストリム部との間で結ばれる摺動結び目と、を有して、アンカーの近位端を越えて延び、かつ第1の材料の閉ループを捕捉する細長い調整可能な長さのループを確定する、第2のフィラメントと、を更に含む。第2のフィラメントの結び目は、細長いループを短くして組織をアンカーに向かって引き寄せるために、ポストリム部に張力が加えられるとき、制限部によって拘束可能である。
【0010】
いくつかの実施形態において、第1の材料は第1のフィラメントである。第1のフィラメントの閉ループは、第2のフィラメントの細長いループよりも実質的に短い。多くの実施形態において、第1のフィラメントは、第2のフィラメントの直径と少なくとも同じ直径を有する。特定の実施形態において、第1のフィラメントは、第2のフィラメントの研磨特性よりも低い表面の研磨特性を有するように形成される。好ましくは、第1の材料は第1の縫合糸から形成され、第2のフィラメントは第2の縫合糸から形成される。いくつかの実施形態において、第1の縫合糸は、第2の縫合糸の組成とは異なる組成を有する。
【0011】
特定の実施形態において、摺動結び目は、バントラインハーフヒッチ結び目である。いくつかの実施形態において、通路は、アンカーの中の少なくとも1つの内部ルーメンによって画定される。別の実施形態において、制限部は、少なくとも部分的には、アンカーが骨の中に固定された際の骨との係合によって画定され、通路は、アンカーの外側表面に沿って骨係合要素を横切って延び、骨係合機構は、少なくとも1つのチャネルを通路の一部として画定する。
【0012】
本発明は、近位端から遠位端に向かって延び、制限された開口部を確定する少なくとも1つの通路を有するアンカーを含む、組織を骨に固定するための調整可能なアンカーシステムとしても表わすこともできる。アンカーは、外周と、近位端と遠位端との間に配置される少なくとも1つの骨係合機構と、を有する。該システムは、アンカーの外周よりも大きい開口部を有する閉ループとして形成され、かつ組織の一部を通して設置されることができる、第1のフィラメントと、終端部と、ポストリム部と、終端部とポストリム部との間で結ばれる摺動結び目と、を有して、アンカーの近位端を越えて延びる細長いループを確定する、第2のフィラメントと、を更に含む。細長いループは、第1のフィラメントを捕捉し、かつ長さが第1のフィラメントの閉ループよりも最初は実質的に長い。第2のフィラメントの結び目は、細長いループを短くして組織をアンカーに向かって引き寄せるために、アンカーが骨の中に固定された後にポストリム部に近位張力が加えられるとき、制限された開口部によって拘束可能である。
【0013】
本発明は、近位端から遠位端に向かって延び、制限部を画定する少なくとも1つの通路と、近位端と遠位端との間に配置される少なくとも1つの骨係合機構と、を有するアンカーを選択すること、を含む、組織を骨に固定する方法を更に特徴とする。該方法は、閉ループとして形成される第1のフィラメントを選択することと、終端部と、ポストリム部と、終端部とポストリム部との間で結ばれる摺動結び目と、を有して、第1の位置において第1のフィラメントの閉ループを捕捉し、かつ長さが閉ループよりも最初は実質的に長い、細長いループを確定する、第2のフィラメントを選択することと、を更に含む。該方法は、閉ループの第1の部分が、アンカーが内部を通り抜ける及び内部を通って係合するのうちの一方である(即ち、アンカーが開口部を完全に通り抜けるか、又は第1の部分がアンカーによって係合されるのいずれかである)開口部を形成するように、第1のフィラメントの閉ループの少なくとも第1の部分を、固定されるべき組織の一部を通して設置すること、を更に含む。次に、第2のフィラメントの結び目が制限部によって拘束され、かつ閉ループが、第2の位置においてアンカー及び細長いループのうちの一方と係合するように、アンカーが骨の中に固定される。該方法は、細長いループを短くして組織をアンカーに向かって引き寄せるために、アンカーが骨の中に固定された後に、ポストリム部に所望されるように張力を加えることを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下に、図面を参照して本発明の好ましい実施形態をより詳細に説明する。
【図1】フィラメントの閉ループ及び調整可能なループを有する、本発明による調整可能なアンカーシステムの斜視図。
【図1A】本発明による代替的なアンカーシステムの概略断面図。
【図2】本発明による代替的なアンカーシステムの概略断面図。
【図3】本発明による代替的なアンカーシステムの概略断面図。
【図4】調整可能なループの一部を組織を通して引き出し得る、骨に固定されるべき組織の一部を通して引っ張られた後の閉ループの概略図。
【図5】固定ループに通され、骨の中に形成された穴部に向けられているアンカー。
【図6】張力がポストリム部に加えられて骨の中に固定されたアンカー。
【図7】ポストリム部がトリミングされた後、最終張力下で所望の位置にある組織。
【図8】図6及び図7に例示されたものの代替技術。図中、アンカーは、閉ループを通り抜ける代わりに、閉ループと係合している。
【図8A】図8Bに拡大図で示されるように、閉ループが、アンカーから組織まで及び組織を通って延びるのに十分な長さを有する更に他の実施形態、並びに閉ループが排除されており、図8Cに示されるように、調整可能なループが組織を完全に貫通している別のあまり好ましくない実施形態。
【図8B】図8Bに拡大図で示されるように、閉ループが、アンカーから組織まで及び組織を通って延びるのに十分な長さを有する更に他の実施形態、並びに閉ループが排除されており、図8Cに示されるように、調整可能なループが組織を完全に貫通している別のあまり好ましくない実施形態。
【図8C】図8Bに拡大図で示されるように、閉ループが、アンカーから組織まで及び組織を通って延びるのに十分な長さを有する更に他の実施形態、並びに閉ループが排除されており、図8Cに示されるように、調整可能なループが組織を完全に貫通している別のあまり好ましくない実施形態。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、近位端から遠位端に向かって延びる少なくとも1つの通路を有するアンカーを含む、組織を骨に固定するための調整可能なアンカーシステムによって達成され得る。この通路は、制限された開口部又は閉鎖要素などの制限部を画定する。アンカーは、近位端と遠位端との間に配置される少なくとも1つの骨係合機構を有する。このシステムは、閉じたループ、好ましくは固定長のループとして形成され、かつ組織の一部を通して設置されることができる、第1の縫合糸などの第1の材料と、終端部と、ポストリム部と、終端部とポストリム部との間で結ばれる摺動結び目と、を有して、アンカーの近位端を越えて延び、かつ第1の材料の閉ループを捕捉する細長い調整可能な長さのループを確定する、第2のフィラメントと、を更に含む。第2のフィラメントの結び目は、細長いループを短くして所望の張力が達成されるまで組織をアンカーに向かって引き寄せるために、ポストリム部に所望されるように張力が加えられるとき、制限された開口部又は閉鎖要素によって拘束される。
【0016】
調整可能なアンカーシステム10(図1)は、縫合糸アンカー12、第1の材料で作られる閉じた固定長のループ14、並びに終端部18と、ポストリム部20と、摺動するバントラインハーフヒッチ結び目22と、ループのリム部26及び28を有する調整可能なループ24とを有する第2のフィラメント16を有する。一構造では、縫合糸アンカー12は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2008/0147063号(Cauldwellら)に開示されている管状の縫合糸アンカーと類似している。しかしながら、本発明によるアンカーシステムでは、ポスト様縫合糸係合部材又は他の閉鎖要素(1つ以上の縫合糸若しくは縫合糸リムがその上を通過して、近位移動に対する制限部して働く)を有することは必要ではなく、多くの構造において、特に図1A〜図3に関してより詳細に後述されるような、結び目22の抜けを防止するための制限された開口部46を有することで十分である。
【0017】
縫合糸アンカー12は、近位端30と遠位端32とを有し、対向する遠位アーム34及び36は、それらの間に切欠き部38を画定する。通路40は、近位端30から遠位の切欠き部38まで延びる内部ルーメンである。説明の目的で、図1では、結び目22は切欠き部38を越えて延びて示されているが、骨係合機構42、又はアンカー12の他の外側表面、及び縫合糸アンカー12が固定される骨と、結び目22と、による干渉を最小限にするために、結び目22は、アンカーシステム10を患者の中に挿入する間、アーム34と36との間の制限された開口部46に接触して設置される、又は別の方法で空洞若しくは他の機構によって遠位端32の位置で維持されるのが好ましい。
【0018】
1つ以上の骨係合機構42、例えば螺旋状のねじ切り(図1に図示)、又は他の機構、例えば歯、隆起部、若しくは他の突隆起部がアンカー12の外側上に形成されて、骨への固定を強化する。ある構造では、縫合糸アンカーは回転してその近位端において骨内にトグルで留められて、抜けを最小限にする。多くの構造では、アンカー挿入に先立って穴部が骨に形成され、他の構造では、縫合糸アンカーは、直接骨内に挿入される。
【0019】
例えば、図1に仮想線で図示されるチャネル44のような、骨係合要素42を横切る1つ以上の通路又はチャネルが、縫合糸アンカーの外面上に形成されてもよい。本発明による調整可能なアンカーシステム10a、10b及び10cのその他の構造が、図1A、図2及び図3にそれぞれ示されており、これらの構造は、第1の固定長のループ14a、14b、14cと、第2の調整可能な長さのフィラメント16a、16b、16cとをそれぞれ有している。図1Aのアンカー12aは、内部ルーメン40a、及びアンカー12aの遠位端から近位端まで延びる外側通路50を画定する。この構造では、第2のフィラメント16aに形成された摺動結び目22aは、制限された開口部46aに接触して設置され、調整可能なループ24aは、通路40aを通って延びて閉ループ14aを捕捉し、ポストリム部20aは、外側チャネル50内に位置している。
【0020】
図1Aの終端部18aのような終端部が、挿入中に骨に捕捉される少なくとも1つの骨係合機構42aの外面と接触して置かれるのに十分な長さで維持されるか、又はより短い長さにトリミングされるかどうかは、外科医の好みの問題である。終端部の長さの異なる例が、以下の図6〜図8に提供されている。更に、制限された開口部46aなどの制限部は、少なくとも部分的には、アンカー12aが骨の中に固定された際の骨との係合によって画定されて、本発明によるアンカーシステムを使用した処置に関して以下により詳細に記載されているように、ポストリム部20aに張力が加えられたときに、結び目22aがポストリム部20aと共に移動するのを防止することができる。
【0021】
図2のアンカーシステム10bは、少なくとも3つの外側通路又はチャネル52、54及び56を有しており、この構造では内部通路は存在しない。結び目22bは、少なくとも部分的にはアンカー12bの遠位面によって画定される閉鎖部51によって、アンカー12bの遠位端に維持されており、ループ24bのリム部26b、28bは、通路52、54内に位置しており、第2のフィラメント16bのポストリム部20bは、通路56内に位置している。上述のように、閉鎖部51は、部分的には、固定後のアンカー12bと骨の係合によって画定されてもよい。
【0022】
図3のアンカーシステム10cは、内部通路40cを有し、その内部を通ってポストリム部20cが、結び目22cを保持する制限された開口部46cから延びる。外側通路58、60は、調整可能なループ16cのリム部26c、28cを坦持する。アンカー12a、12b及び12cは、これらの構造では遠位方向に延びるアームを有さずに示されているが、他の構造では、一部の構造において前掲のCauldwellらと同様に、又はこれも参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,381,213号(Lizardi)と同様に、1つ以上のかかる遠位延長部又は他の突出部が設けられる。更に他の構造では、挿入及び固定中に結び目22を設置するために、円筒形、又は別の方法で周辺を取り巻く空洞、窪み、若しくは皿穴機構が、アンカーの遠位端に設けられる。
【0023】
好ましい構造では、第1のフィラメントとも呼ばれるループ14、及び第2のフィラメント16は、1種類以上の縫合糸で形成される。第2のフィラメント16の許容可能な直径には、サイズ0又はサイズ2の縫合糸(例えばDePuy Mitekから市販のOrthocord(商標)縫合糸)が挙げられるが、ループ14には、サイズ2〜サイズ5といった同じかより大きな直径の縫合糸(例えばEthiconから入手可能なEthibond(商標)縫合糸)が好ましい。Orthocord(商標)縫合糸は、約55〜65パーセントが生体吸収性のPDS(商標)ポリジオキサノンであり、残りのパーセントが超高分子量のポリエチレンであり、Ethibond(商標)縫合糸は、主に高強度のポリエステルである。特に肩修復処置を目的とするいくつかの構造では、ループ14は約2.54cm(1インチ)の固定長を有し、調整可能なループ24は、少なくとも45.7cm(18インチ)の長さを有する。第1及び第2のフィラメントで利用される生体吸収性材料の量及び種類は(存在する場合)、主に、実施される特定の外科処置に対する外科医の好みの問題である。
【0024】
同じ種類の縫合糸を、ループ14及びフィラメント16の両方に使用することが可能であるが、表面の研磨特性がより低い縫合糸が、閉ループ14を形成する第1の材料には好ましい。より低い磨耗特性は、より大きな直径、より柔軟な組成物、より柔軟な編組、ひだ若しくはストランドのパターン、又はそのような特質の組み合わせによって達成され得る。いくつかの構造では、閉ループ14の縫合糸材料は、固定節点で結ばれて、固定長のループ14を形成する。他の構造では、ループ14は、材料の輪として成形されるないしは別の方法で形成される。
【0025】
摺動自在な結び目22は、一部の構造ではバントラインハーフヒッチ結び目として記載されてきたが、本発明を検討した後に、縫合糸結束技術における当業者には、他の好適な結び目も容易に明らかとなろう。用語「摺動自在」は、本明細書で使用するとき、摺動自在な結び目はもちろん、摺動自在で係止可能な結び目を含むことが意図される。何種類かの好適な結び目が、DePuy Mitekから入手可能なArthroscopic Knot Tying Manual(2005)、並びにWenstrom,Jr.による米国特許第6,767,037号に記載されている。
【0026】
図1に示されるものと類似の管状アンカーシステムを使用することに関する、本発明による1つの処置が、組織68を骨80に取り付けることに関して図4〜図7に例示されている。簡潔に及び明確にするために、この処置に関して示されるシステムを説明するために使用される参照番号は、図1のシステム10で使用した番号と同じであるが、他の図に示されるような様々なフィラメントリム部の構成を備える多くの他の種類のアンカーもまた、同様に用いることができる。遠位端に針72を有する図4の初期の縫合糸70は、組織68に通されて、少なくとも閉ループ14を、少なくとも部分的に組織68を通して引き抜く。あるいは、閉ループ14を把持し組織68を通して引っ張るために、縫合糸通過器具が組織68を通して挿入される。細長い調整可能なループ24が組織68を通して引き抜かれる程度、及びアンカーが閉ループ14又は調整可能なループ24を通過するか又はこれと係合するかどうかは、図8〜図8Cに関連して以下により詳細に記載されている。
【0027】
この処置では、穴部82(図4)は、所望の修復位置で、骨80の緻密層84を貫通して海綿層86の中に形成される。図5のアンカー12は、矢印90で示されるように、閉ループ14の開口部89に通され、図6に示されるように骨の中に固定される。好ましくは、アンカー12が閉ループ14の開口部89を通り抜けた後、ポストリム部20は閉ループ14から引き出され(図5)、その結果、ポストリム部20は調整可能なループのリム部の一方を、閉ループ14によって制約されることなく結び目22を通して直接引っ張ることができる。この構造では、終端部18は、骨86と、アンカー12の遠位端32の一部との間に捕捉され、摺動結び目22は、内部ルーメン40内の制限された開口部によって保持される。あるいは、終端部18は、長さ18dとして仮想線で示されているように、複数の骨係合機構42を通り越してアンカー12の外面に沿って近接して延びるように、十分な長さを有するか、又は図8に示されるように、より短い長さ18eである。
【0028】
アンカー12の固定後(図6)、矢印92で示されるように、ポストリム部20に近位張力が加えられる。ポストリム部20が近位方向に移動する際、リム部26及び28が短くされると、調整可能なループ24は閉ループ14を通って容易に摺動する。それによって、図7に示されるように所望の張力下で所望の最終位置が達成されるまで、組織68はアンカー12に向かって引き寄せられる。閉ループ14は、第1の位置96及び第2の位置98において、細長いループ24と係合する。
【0029】
本発明による他のシステム及び方法が、図7に示される最終構成の代替として、図8〜図8Cに示されている。図8の終端部18e(図8)は、アンカー12と骨80との間に捕捉されないように、意図的に短くなっている。この構造では、終端部18eは、骨の穴部82の中に残り、どのような種類の張力下にも置かれていない。
【0030】
アンカー12が閉ループ14を完全に通過することができるように、閉ループ14の開口部89(図5)が、アンカー12の周囲よりも大きくされる必要がある代わりに、他の構造では、図8に示されるように、遠位端32が閉ループ14の一部と係合する。フィラメントの係合は、Lizardiによる米国特許第7,381,213号の図11及び図12に示されるように達成され得る。しかしながら、本発明により達成される1つの利点は、調整可能なループのポストリム部を引っ張ることにより、アンカーの固定後に、組織68への更なる張力付加が可能になることである。本発明の別の利点は、修復されるべき組織の最終的な張力付加及び位置決めの前に、アンカー挿入具又はアンカー駆動装置、及び関連駆動器具を除去して、外科医に改善された視覚的及び触覚的フィードバックを提供することである。
【0031】
フィラメントの他の構成が、図8A〜図8Cに例示されている。図8Aのアンカー12は、組織68を通り抜けて他方の近位側の100で示される丸く囲まれた領域内で表面に出るフィラメント部分118と係合する。この丸く囲まれた領域100に関して図8Bに示される構造では、調整可能なループ124は、閉ループ114の一部を通り抜ける。換言すれば、同じフィラメントのリム部が、単一の閉じた固定長のループの一部114及び118を形成する。調整可能なループ124のリム部は、調整可能なループ124の寸法が小さくなる際、組織を通り抜けずに閉ループのフィラメントの上を位置116において摺動することができるので、この構成は好ましい。
【0032】
これに対して、図8Aの代替的構成を示している図8Cでは、調整可能な部分124のリム部は組織68を通過し、この調整可能なリム部は表面に出て部分118を形成し、この部分118は、アンカー12の遠位端32によって係合される。換言すれば、図8Cで示される構成では、閉ループを使用しない。しかしながら、調整可能なループは、それ自体に係止する傾向があり得、また、このループが通り抜ける軟組織に結合する又はこれに損傷を与える可能性があるので、固定長のループを排除することは、あまり望ましくない。たとえアンカーが調整可能なループを完全に通過させられるとしても、調整可能なループは、それ自体に係止する傾向があり得る。更に、部分118のリム部が、アンカー12に沿ったチャネル又はその他の外面通路内で適切に位置合わせされない場合、部分118(図8C)の調整機能は、骨との締まり嵌めによって更に阻害される可能性がある。
【0033】
このように、本発明の基礎となる新規な特徴を、本発明の好ましい実施形態に適用されるように図示し、説明し、指摘したが、当業者は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、例示される装置の形態及び詳細並びにその操作の様々な省略、代用及び変更を行うことができることを理解するであろう。例えば、本発明の範囲内と同様の結果を得るために、実質的に同じ方法で、実質的に同じ機能を行う要素及び/又は工程の全ての組み合わせが明確に意図される。ある記載された実施形態の要素を別の実施形態の要素に置き換えることも十分意図され、想到される。また、図面は必ずしも縮尺通りではないが、実際には単に概念的なものであることが理解されるべきである。よって、添付の請求項の範囲によって示されているようにのみ限定されることが意図される。
【0034】
本明細書に引用される全ての発行済み特許、係属中の特許出願、刊行物、論文、書籍、又はその他の任意の参照文献はそれぞれ、その全文が参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
〔実施の態様〕
(1) 組織を骨に固定するための調整可能なアンカーシステムであって、
近位端から遠位端に向かって延び、かつ制限部を含む少なくとも1つの通路と、前記近位端と前記遠位端との間に配置される少なくとも1つの骨係合機構と、を有するアンカーと、
閉ループとして形成され、かつ前記組織の一部を通して設置されることができる第1の材料と、
終端部と、ポストリム部と、前記終端部と前記ポストリム部との間で結ばれる摺動結び目と、を有して、前記アンカーの前記近位端を越えて延び、かつ前記第1の材料の前記閉ループを捕捉する細長い調整可能な長さのループを確定する、第2のフィラメントと、
前記細長いループを短くして前記組織を前記アンカーに向かって引き寄せるために、前記ポストリム部に張力が加えられるとき、前記制限部によって拘束可能である前記第2のフィラメントの前記結び目と、
を含む、調整可能なアンカーシステム。
(2) 前記第1の材料が第1のフィラメントである、実施態様1に記載のアンカーシステム。
(3) 前記第1のフィラメントの前記閉ループが、前記第2のフィラメントの前記細長いループよりも実質的に短い、実施態様2に記載のアンカーシステム。
(4) 前記第1のフィラメントが、前記第2のフィラメントの直径と少なくとも同じ直径を有する、実施態様2に記載のアンカーシステム。
(5) 前記第1のフィラメントが、前記第2のフィラメントの研磨特性よりも低い表面の研磨特性を有するように形成される、実施態様2に記載のアンカーシステム。
(6) 前記第1の材料が第1の縫合糸から形成され、前記第2のフィラメントが第2の縫合糸から形成される、実施態様1に記載のアンカーシステム。
(7) 前記第1の縫合糸が、前記第2の縫合糸の組成とは異なる組成を有する、実施態様6に記載のアンカーシステム。
(8) 前記摺動結び目が、バントラインハーフヒッチ結び目である、実施態様1に記載のアンカーシステム。
(9) 前記通路が、前記アンカーの中の少なくとも1つの内部ルーメンによって画定される、実施態様1に記載のアンカーシステム。
(10) 前記制限部が、少なくとも部分的には、前記アンカーが骨の中に固定された際の骨との係合によって画定される、実施態様1に記載のアンカーシステム。
【0036】
(11) 前記通路が、前記アンカーの外側表面に沿って前記骨係合機構を横切って延び、前記骨係合機構が、少なくとも1つのチャネルを前記通路の一部として画定する、実施態様1に記載のアンカーシステム。
(12) 組織を骨に固定するための調整可能なアンカーシステムであって、
近位端から遠位端に向かって延び、かつ制限された開口部を画定する少なくとも1つの通路と、外周と、前記近位端と前記遠位端との間に配置される少なくとも1つの骨係合機構と、を有するアンカーと、
前記アンカーの前記外周よりも大きい開口部を有する閉ループとして形成され、かつ前記組織の一部を通して設置されることができる、第1のフィラメントと、
終端部と、ポストリム部と、前記終端部と前記ポストリム部との間で結ばれる摺動結び目と、を有して、前記アンカーの前記近位端を越えて延び、前記第1のフィラメントを捕捉し、かつ長さが前記第1のフィラメントの前記閉ループよりも最初は実質的に長い、細長い調整可能な長さのループを確定する、第2のフィラメントと、
前記細長いループを短くして前記組織を前記アンカーに向かって引き寄せるために、前記アンカーが前記骨の中に固定された後に前記ポストリム部に近位張力が加えられるとき、前記制限された開口部によって拘束可能な前記第2のフィラメントの前記結び目と、
を含む、調整可能なアンカーシステム。
(13) 前記第1のフィラメントが第1の縫合糸から形成され、前記第2のフィラメントが第2の縫合糸から形成される、実施態様12に記載のアンカーシステム。
(14) 前記第1の縫合糸が、前記第2の縫合糸の組成とは異なる組成を有する、実施態様13に記載のアンカーシステム。
(15) 前記摺動結び目が、バントラインハーフヒッチ結び目である、実施態様13に記載のアンカーシステム。
(16) 前記通路が、前記アンカーの中の少なくとも1つの内部ルーメンによって画定される、実施態様12に記載のアンカーシステム。
(17) 組織を骨に固定する方法であって、
近位端から遠位端に向かって延び、制限部を画定する少なくとも1つの通路と、前記近位端と前記遠位端との間に配置される少なくとも1つの骨係合機構と、を有するアンカーを選択することと、
閉ループとして形成される第1のフィラメントを選択することと、
終端部と、ポストリム部と、前記終端部と前記ポストリム部との間で結ばれる摺動結び目と、を有して、第1の位置において前記第1のフィラメントの前記閉ループを捕捉し、かつ長さが前記閉ループよりも最初は実質的に長い、細長い調整可能な長さのループを確定する、第2のフィラメントを選択することと、
前記閉ループの第1の部分が、前記アンカーが内部を通り抜ける及び内部を通って係合するのうちの一方である開口部を形成するように、前記第1のフィラメントの前記閉ループの少なくとも前記第1の部分を、固定されるべき前記組織の一部を通して設置することと、
前記第2のフィラメントの前記結び目が前記制限部によって拘束され、かつ前記閉ループが、第2の位置において前記アンカー及び前記細長いループのうちの一方と係合するように、前記アンカーを骨の中に固定することと、
前記細長いループを短くして前記組織を前記アンカーに向かって引き寄せるために、前記アンカーが前記骨の中に固定された後に、前記ポストリム部に所望されるように張力を加えることと、
を含む、方法。
(18) 張力を加えることが、前記第2のフィラメントが実質的に前記組織を貫通することなく前記閉ループを通って摺動するように、前記閉ループを前記組織の両側から延びるように位置付けることを含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記アンカーが前記閉ループの前記開口部に通され、前記アンカーが固定された後に、前記閉ループが前記第1及び第2の位置において前記細長いループと係合する、実施態様17に記載の方法。
(20) 前記アンカーが、内部ルーメンを前記通路として有するように選択され、前記制限部が、実質的に前記アンカーの前記遠位端にある制限された開口部であり、前記ポストリム部及び調整可能なループの一部分が、前記ルーメンを通って延在する、実施態様17に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織を骨に固定するためのシステム及び方法に関し、より具体的には、ユーザーによる糸結びの必要性を排除する、組織への調整可能な張力付加に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な損傷は、特にスポーツ選手の間では、骨からの腱、靱帯、又は他の軟組織の完全又は部分的な脱離である。組織の脱離は、過剰な運動又は様々な他の理由によって、落下中に発生し得る。組織がその関連する骨から完全に脱離した場合、外科的介入が必要であることが多い。組織付着に現在入手可能なデバイスには、ねじ、ステープル、縫合糸アンカー、及びタックが挙げられる。管状の縫合糸アンカーの例は、Cauldwellらによる米国特許出願公開第2008/0147063号に記載されている。
【0003】
「結び目のない」(即ち、手術中に外科医が結び目を作る必要がない)と公表している、多くの縫合糸移植システムが存在する。そのような多くのシステムは、アンカーが骨に打ち込まれる深さによって組織上の張力を制御する。Lizardiによる米国特許第5,782,864及び同第7,381,213号は、縫合糸の固定長のループを捕捉する、特定のタイプの縫合糸アンカーを開示している。スリーブ内に挿入されたアンカー要素を利用する、調整可能なループの、結び目のないアンカーアセンブリは、Thalにより米国特許第5,569,306号及び同第6,045,574号、並びに米国特許出願公開第2009/0138042号に記載されている。
【0004】
引き裂かれた、又は損傷した組織の修復、特に半月板の修復のための摺動結び目を備える縫合糸アンカーシステムは、Selvitelliらによる米国特許第7,390,332号に開示されており、DePuy Mitek Inc.(325 Paramount Drive,Raynham,Massachusetts 02767)から市販されているOmniSpan(商標)半月板修復システムに採用されている。組織の修復を目的とした摺動及び係止結び目を備える他の縫合糸アンカーシステムは、Wenstrom,Jr.による米国特許第6,767,037号を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、特に関節鏡視下処置中に外科医が任意の結び目を結ぶ必要なしに、アンカーが骨に固定された後に組織にかかる張力を調整するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、アンカーの固定とは独立して、また処置中に結び目を結ぶことなく、組織に加えられる張力を調整できるようにすることである。
【0007】
本発明の別の目的は、アンカー駆動装置又は他の送達器具が、組織及びアンカーの視野から除去された後に、組織の張力を調整できるようにすることである。
【0008】
本発明は、バントラインハーフヒッチ結び目(bunt line half hitch knot)などの摺動結び目を備え、アンカーが骨の中に固定された後に所望されるように引っ張られることができるポストリム部(post limb)を有する、縫合糸などのフィラメントの細長い調整可能な長さのループを使用することによって、アンカーを骨の中に固定するのとは独立して、正確な張力を組織に加えることができるという認識からの結果である。ポストリム部が引っ張られると、アンカーは結び目を拘束してそれを定位置に保持し、調整可能なループは、閉じた、好ましくは固定長のループを通って摺動し、この固定長のループは組織を貫通して、所望の張力が達成されるまで組織をアンカーに向かって引き寄せる。調整可能なループが張力下にある間、アンカーは結びを拘束し続け、それによって、結び目を係止させるのを助ける。
【0009】
本発明は、近位端から遠位端に向かって延びる少なくとも1つの通路を有するアンカーを含む、組織を骨に固定するための調整可能なアンカーシステムを特徴とする。通路は、制限された開口部などの制限部を画定する。アンカーは、近位端と遠位端との間に配置される少なくとも1つの骨係合機構を有する。該システムは、閉ループとして形成され、かつ組織の一部を通して設置されることができる第1の材料と、終端部と、ポストリム部と、終端部とポストリム部との間で結ばれる摺動結び目と、を有して、アンカーの近位端を越えて延び、かつ第1の材料の閉ループを捕捉する細長い調整可能な長さのループを確定する、第2のフィラメントと、を更に含む。第2のフィラメントの結び目は、細長いループを短くして組織をアンカーに向かって引き寄せるために、ポストリム部に張力が加えられるとき、制限部によって拘束可能である。
【0010】
いくつかの実施形態において、第1の材料は第1のフィラメントである。第1のフィラメントの閉ループは、第2のフィラメントの細長いループよりも実質的に短い。多くの実施形態において、第1のフィラメントは、第2のフィラメントの直径と少なくとも同じ直径を有する。特定の実施形態において、第1のフィラメントは、第2のフィラメントの研磨特性よりも低い表面の研磨特性を有するように形成される。好ましくは、第1の材料は第1の縫合糸から形成され、第2のフィラメントは第2の縫合糸から形成される。いくつかの実施形態において、第1の縫合糸は、第2の縫合糸の組成とは異なる組成を有する。
【0011】
特定の実施形態において、摺動結び目は、バントラインハーフヒッチ結び目である。いくつかの実施形態において、通路は、アンカーの中の少なくとも1つの内部ルーメンによって画定される。別の実施形態において、制限部は、少なくとも部分的には、アンカーが骨の中に固定された際の骨との係合によって画定され、通路は、アンカーの外側表面に沿って骨係合要素を横切って延び、骨係合機構は、少なくとも1つのチャネルを通路の一部として画定する。
【0012】
本発明は、近位端から遠位端に向かって延び、制限された開口部を確定する少なくとも1つの通路を有するアンカーを含む、組織を骨に固定するための調整可能なアンカーシステムとしても表わすこともできる。アンカーは、外周と、近位端と遠位端との間に配置される少なくとも1つの骨係合機構と、を有する。該システムは、アンカーの外周よりも大きい開口部を有する閉ループとして形成され、かつ組織の一部を通して設置されることができる、第1のフィラメントと、終端部と、ポストリム部と、終端部とポストリム部との間で結ばれる摺動結び目と、を有して、アンカーの近位端を越えて延びる細長いループを確定する、第2のフィラメントと、を更に含む。細長いループは、第1のフィラメントを捕捉し、かつ長さが第1のフィラメントの閉ループよりも最初は実質的に長い。第2のフィラメントの結び目は、細長いループを短くして組織をアンカーに向かって引き寄せるために、アンカーが骨の中に固定された後にポストリム部に近位張力が加えられるとき、制限された開口部によって拘束可能である。
【0013】
本発明は、近位端から遠位端に向かって延び、制限部を画定する少なくとも1つの通路と、近位端と遠位端との間に配置される少なくとも1つの骨係合機構と、を有するアンカーを選択すること、を含む、組織を骨に固定する方法を更に特徴とする。該方法は、閉ループとして形成される第1のフィラメントを選択することと、終端部と、ポストリム部と、終端部とポストリム部との間で結ばれる摺動結び目と、を有して、第1の位置において第1のフィラメントの閉ループを捕捉し、かつ長さが閉ループよりも最初は実質的に長い、細長いループを確定する、第2のフィラメントを選択することと、を更に含む。該方法は、閉ループの第1の部分が、アンカーが内部を通り抜ける及び内部を通って係合するのうちの一方である(即ち、アンカーが開口部を完全に通り抜けるか、又は第1の部分がアンカーによって係合されるのいずれかである)開口部を形成するように、第1のフィラメントの閉ループの少なくとも第1の部分を、固定されるべき組織の一部を通して設置すること、を更に含む。次に、第2のフィラメントの結び目が制限部によって拘束され、かつ閉ループが、第2の位置においてアンカー及び細長いループのうちの一方と係合するように、アンカーが骨の中に固定される。該方法は、細長いループを短くして組織をアンカーに向かって引き寄せるために、アンカーが骨の中に固定された後に、ポストリム部に所望されるように張力を加えることを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下に、図面を参照して本発明の好ましい実施形態をより詳細に説明する。
【図1】フィラメントの閉ループ及び調整可能なループを有する、本発明による調整可能なアンカーシステムの斜視図。
【図1A】本発明による代替的なアンカーシステムの概略断面図。
【図2】本発明による代替的なアンカーシステムの概略断面図。
【図3】本発明による代替的なアンカーシステムの概略断面図。
【図4】調整可能なループの一部を組織を通して引き出し得る、骨に固定されるべき組織の一部を通して引っ張られた後の閉ループの概略図。
【図5】固定ループに通され、骨の中に形成された穴部に向けられているアンカー。
【図6】張力がポストリム部に加えられて骨の中に固定されたアンカー。
【図7】ポストリム部がトリミングされた後、最終張力下で所望の位置にある組織。
【図8】図6及び図7に例示されたものの代替技術。図中、アンカーは、閉ループを通り抜ける代わりに、閉ループと係合している。
【図8A】図8Bに拡大図で示されるように、閉ループが、アンカーから組織まで及び組織を通って延びるのに十分な長さを有する更に他の実施形態、並びに閉ループが排除されており、図8Cに示されるように、調整可能なループが組織を完全に貫通している別のあまり好ましくない実施形態。
【図8B】図8Bに拡大図で示されるように、閉ループが、アンカーから組織まで及び組織を通って延びるのに十分な長さを有する更に他の実施形態、並びに閉ループが排除されており、図8Cに示されるように、調整可能なループが組織を完全に貫通している別のあまり好ましくない実施形態。
【図8C】図8Bに拡大図で示されるように、閉ループが、アンカーから組織まで及び組織を通って延びるのに十分な長さを有する更に他の実施形態、並びに閉ループが排除されており、図8Cに示されるように、調整可能なループが組織を完全に貫通している別のあまり好ましくない実施形態。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、近位端から遠位端に向かって延びる少なくとも1つの通路を有するアンカーを含む、組織を骨に固定するための調整可能なアンカーシステムによって達成され得る。この通路は、制限された開口部又は閉鎖要素などの制限部を画定する。アンカーは、近位端と遠位端との間に配置される少なくとも1つの骨係合機構を有する。このシステムは、閉じたループ、好ましくは固定長のループとして形成され、かつ組織の一部を通して設置されることができる、第1の縫合糸などの第1の材料と、終端部と、ポストリム部と、終端部とポストリム部との間で結ばれる摺動結び目と、を有して、アンカーの近位端を越えて延び、かつ第1の材料の閉ループを捕捉する細長い調整可能な長さのループを確定する、第2のフィラメントと、を更に含む。第2のフィラメントの結び目は、細長いループを短くして所望の張力が達成されるまで組織をアンカーに向かって引き寄せるために、ポストリム部に所望されるように張力が加えられるとき、制限された開口部又は閉鎖要素によって拘束される。
【0016】
調整可能なアンカーシステム10(図1)は、縫合糸アンカー12、第1の材料で作られる閉じた固定長のループ14、並びに終端部18と、ポストリム部20と、摺動するバントラインハーフヒッチ結び目22と、ループのリム部26及び28を有する調整可能なループ24とを有する第2のフィラメント16を有する。一構造では、縫合糸アンカー12は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2008/0147063号(Cauldwellら)に開示されている管状の縫合糸アンカーと類似している。しかしながら、本発明によるアンカーシステムでは、ポスト様縫合糸係合部材又は他の閉鎖要素(1つ以上の縫合糸若しくは縫合糸リムがその上を通過して、近位移動に対する制限部して働く)を有することは必要ではなく、多くの構造において、特に図1A〜図3に関してより詳細に後述されるような、結び目22の抜けを防止するための制限された開口部46を有することで十分である。
【0017】
縫合糸アンカー12は、近位端30と遠位端32とを有し、対向する遠位アーム34及び36は、それらの間に切欠き部38を画定する。通路40は、近位端30から遠位の切欠き部38まで延びる内部ルーメンである。説明の目的で、図1では、結び目22は切欠き部38を越えて延びて示されているが、骨係合機構42、又はアンカー12の他の外側表面、及び縫合糸アンカー12が固定される骨と、結び目22と、による干渉を最小限にするために、結び目22は、アンカーシステム10を患者の中に挿入する間、アーム34と36との間の制限された開口部46に接触して設置される、又は別の方法で空洞若しくは他の機構によって遠位端32の位置で維持されるのが好ましい。
【0018】
1つ以上の骨係合機構42、例えば螺旋状のねじ切り(図1に図示)、又は他の機構、例えば歯、隆起部、若しくは他の突隆起部がアンカー12の外側上に形成されて、骨への固定を強化する。ある構造では、縫合糸アンカーは回転してその近位端において骨内にトグルで留められて、抜けを最小限にする。多くの構造では、アンカー挿入に先立って穴部が骨に形成され、他の構造では、縫合糸アンカーは、直接骨内に挿入される。
【0019】
例えば、図1に仮想線で図示されるチャネル44のような、骨係合要素42を横切る1つ以上の通路又はチャネルが、縫合糸アンカーの外面上に形成されてもよい。本発明による調整可能なアンカーシステム10a、10b及び10cのその他の構造が、図1A、図2及び図3にそれぞれ示されており、これらの構造は、第1の固定長のループ14a、14b、14cと、第2の調整可能な長さのフィラメント16a、16b、16cとをそれぞれ有している。図1Aのアンカー12aは、内部ルーメン40a、及びアンカー12aの遠位端から近位端まで延びる外側通路50を画定する。この構造では、第2のフィラメント16aに形成された摺動結び目22aは、制限された開口部46aに接触して設置され、調整可能なループ24aは、通路40aを通って延びて閉ループ14aを捕捉し、ポストリム部20aは、外側チャネル50内に位置している。
【0020】
図1Aの終端部18aのような終端部が、挿入中に骨に捕捉される少なくとも1つの骨係合機構42aの外面と接触して置かれるのに十分な長さで維持されるか、又はより短い長さにトリミングされるかどうかは、外科医の好みの問題である。終端部の長さの異なる例が、以下の図6〜図8に提供されている。更に、制限された開口部46aなどの制限部は、少なくとも部分的には、アンカー12aが骨の中に固定された際の骨との係合によって画定されて、本発明によるアンカーシステムを使用した処置に関して以下により詳細に記載されているように、ポストリム部20aに張力が加えられたときに、結び目22aがポストリム部20aと共に移動するのを防止することができる。
【0021】
図2のアンカーシステム10bは、少なくとも3つの外側通路又はチャネル52、54及び56を有しており、この構造では内部通路は存在しない。結び目22bは、少なくとも部分的にはアンカー12bの遠位面によって画定される閉鎖部51によって、アンカー12bの遠位端に維持されており、ループ24bのリム部26b、28bは、通路52、54内に位置しており、第2のフィラメント16bのポストリム部20bは、通路56内に位置している。上述のように、閉鎖部51は、部分的には、固定後のアンカー12bと骨の係合によって画定されてもよい。
【0022】
図3のアンカーシステム10cは、内部通路40cを有し、その内部を通ってポストリム部20cが、結び目22cを保持する制限された開口部46cから延びる。外側通路58、60は、調整可能なループ16cのリム部26c、28cを坦持する。アンカー12a、12b及び12cは、これらの構造では遠位方向に延びるアームを有さずに示されているが、他の構造では、一部の構造において前掲のCauldwellらと同様に、又はこれも参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,381,213号(Lizardi)と同様に、1つ以上のかかる遠位延長部又は他の突出部が設けられる。更に他の構造では、挿入及び固定中に結び目22を設置するために、円筒形、又は別の方法で周辺を取り巻く空洞、窪み、若しくは皿穴機構が、アンカーの遠位端に設けられる。
【0023】
好ましい構造では、第1のフィラメントとも呼ばれるループ14、及び第2のフィラメント16は、1種類以上の縫合糸で形成される。第2のフィラメント16の許容可能な直径には、サイズ0又はサイズ2の縫合糸(例えばDePuy Mitekから市販のOrthocord(商標)縫合糸)が挙げられるが、ループ14には、サイズ2〜サイズ5といった同じかより大きな直径の縫合糸(例えばEthiconから入手可能なEthibond(商標)縫合糸)が好ましい。Orthocord(商標)縫合糸は、約55〜65パーセントが生体吸収性のPDS(商標)ポリジオキサノンであり、残りのパーセントが超高分子量のポリエチレンであり、Ethibond(商標)縫合糸は、主に高強度のポリエステルである。特に肩修復処置を目的とするいくつかの構造では、ループ14は約2.54cm(1インチ)の固定長を有し、調整可能なループ24は、少なくとも45.7cm(18インチ)の長さを有する。第1及び第2のフィラメントで利用される生体吸収性材料の量及び種類は(存在する場合)、主に、実施される特定の外科処置に対する外科医の好みの問題である。
【0024】
同じ種類の縫合糸を、ループ14及びフィラメント16の両方に使用することが可能であるが、表面の研磨特性がより低い縫合糸が、閉ループ14を形成する第1の材料には好ましい。より低い磨耗特性は、より大きな直径、より柔軟な組成物、より柔軟な編組、ひだ若しくはストランドのパターン、又はそのような特質の組み合わせによって達成され得る。いくつかの構造では、閉ループ14の縫合糸材料は、固定節点で結ばれて、固定長のループ14を形成する。他の構造では、ループ14は、材料の輪として成形されるないしは別の方法で形成される。
【0025】
摺動自在な結び目22は、一部の構造ではバントラインハーフヒッチ結び目として記載されてきたが、本発明を検討した後に、縫合糸結束技術における当業者には、他の好適な結び目も容易に明らかとなろう。用語「摺動自在」は、本明細書で使用するとき、摺動自在な結び目はもちろん、摺動自在で係止可能な結び目を含むことが意図される。何種類かの好適な結び目が、DePuy Mitekから入手可能なArthroscopic Knot Tying Manual(2005)、並びにWenstrom,Jr.による米国特許第6,767,037号に記載されている。
【0026】
図1に示されるものと類似の管状アンカーシステムを使用することに関する、本発明による1つの処置が、組織68を骨80に取り付けることに関して図4〜図7に例示されている。簡潔に及び明確にするために、この処置に関して示されるシステムを説明するために使用される参照番号は、図1のシステム10で使用した番号と同じであるが、他の図に示されるような様々なフィラメントリム部の構成を備える多くの他の種類のアンカーもまた、同様に用いることができる。遠位端に針72を有する図4の初期の縫合糸70は、組織68に通されて、少なくとも閉ループ14を、少なくとも部分的に組織68を通して引き抜く。あるいは、閉ループ14を把持し組織68を通して引っ張るために、縫合糸通過器具が組織68を通して挿入される。細長い調整可能なループ24が組織68を通して引き抜かれる程度、及びアンカーが閉ループ14又は調整可能なループ24を通過するか又はこれと係合するかどうかは、図8〜図8Cに関連して以下により詳細に記載されている。
【0027】
この処置では、穴部82(図4)は、所望の修復位置で、骨80の緻密層84を貫通して海綿層86の中に形成される。図5のアンカー12は、矢印90で示されるように、閉ループ14の開口部89に通され、図6に示されるように骨の中に固定される。好ましくは、アンカー12が閉ループ14の開口部89を通り抜けた後、ポストリム部20は閉ループ14から引き出され(図5)、その結果、ポストリム部20は調整可能なループのリム部の一方を、閉ループ14によって制約されることなく結び目22を通して直接引っ張ることができる。この構造では、終端部18は、骨86と、アンカー12の遠位端32の一部との間に捕捉され、摺動結び目22は、内部ルーメン40内の制限された開口部によって保持される。あるいは、終端部18は、長さ18dとして仮想線で示されているように、複数の骨係合機構42を通り越してアンカー12の外面に沿って近接して延びるように、十分な長さを有するか、又は図8に示されるように、より短い長さ18eである。
【0028】
アンカー12の固定後(図6)、矢印92で示されるように、ポストリム部20に近位張力が加えられる。ポストリム部20が近位方向に移動する際、リム部26及び28が短くされると、調整可能なループ24は閉ループ14を通って容易に摺動する。それによって、図7に示されるように所望の張力下で所望の最終位置が達成されるまで、組織68はアンカー12に向かって引き寄せられる。閉ループ14は、第1の位置96及び第2の位置98において、細長いループ24と係合する。
【0029】
本発明による他のシステム及び方法が、図7に示される最終構成の代替として、図8〜図8Cに示されている。図8の終端部18e(図8)は、アンカー12と骨80との間に捕捉されないように、意図的に短くなっている。この構造では、終端部18eは、骨の穴部82の中に残り、どのような種類の張力下にも置かれていない。
【0030】
アンカー12が閉ループ14を完全に通過することができるように、閉ループ14の開口部89(図5)が、アンカー12の周囲よりも大きくされる必要がある代わりに、他の構造では、図8に示されるように、遠位端32が閉ループ14の一部と係合する。フィラメントの係合は、Lizardiによる米国特許第7,381,213号の図11及び図12に示されるように達成され得る。しかしながら、本発明により達成される1つの利点は、調整可能なループのポストリム部を引っ張ることにより、アンカーの固定後に、組織68への更なる張力付加が可能になることである。本発明の別の利点は、修復されるべき組織の最終的な張力付加及び位置決めの前に、アンカー挿入具又はアンカー駆動装置、及び関連駆動器具を除去して、外科医に改善された視覚的及び触覚的フィードバックを提供することである。
【0031】
フィラメントの他の構成が、図8A〜図8Cに例示されている。図8Aのアンカー12は、組織68を通り抜けて他方の近位側の100で示される丸く囲まれた領域内で表面に出るフィラメント部分118と係合する。この丸く囲まれた領域100に関して図8Bに示される構造では、調整可能なループ124は、閉ループ114の一部を通り抜ける。換言すれば、同じフィラメントのリム部が、単一の閉じた固定長のループの一部114及び118を形成する。調整可能なループ124のリム部は、調整可能なループ124の寸法が小さくなる際、組織を通り抜けずに閉ループのフィラメントの上を位置116において摺動することができるので、この構成は好ましい。
【0032】
これに対して、図8Aの代替的構成を示している図8Cでは、調整可能な部分124のリム部は組織68を通過し、この調整可能なリム部は表面に出て部分118を形成し、この部分118は、アンカー12の遠位端32によって係合される。換言すれば、図8Cで示される構成では、閉ループを使用しない。しかしながら、調整可能なループは、それ自体に係止する傾向があり得、また、このループが通り抜ける軟組織に結合する又はこれに損傷を与える可能性があるので、固定長のループを排除することは、あまり望ましくない。たとえアンカーが調整可能なループを完全に通過させられるとしても、調整可能なループは、それ自体に係止する傾向があり得る。更に、部分118のリム部が、アンカー12に沿ったチャネル又はその他の外面通路内で適切に位置合わせされない場合、部分118(図8C)の調整機能は、骨との締まり嵌めによって更に阻害される可能性がある。
【0033】
このように、本発明の基礎となる新規な特徴を、本発明の好ましい実施形態に適用されるように図示し、説明し、指摘したが、当業者は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、例示される装置の形態及び詳細並びにその操作の様々な省略、代用及び変更を行うことができることを理解するであろう。例えば、本発明の範囲内と同様の結果を得るために、実質的に同じ方法で、実質的に同じ機能を行う要素及び/又は工程の全ての組み合わせが明確に意図される。ある記載された実施形態の要素を別の実施形態の要素に置き換えることも十分意図され、想到される。また、図面は必ずしも縮尺通りではないが、実際には単に概念的なものであることが理解されるべきである。よって、添付の請求項の範囲によって示されているようにのみ限定されることが意図される。
【0034】
本明細書に引用される全ての発行済み特許、係属中の特許出願、刊行物、論文、書籍、又はその他の任意の参照文献はそれぞれ、その全文が参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
〔実施の態様〕
(1) 組織を骨に固定するための調整可能なアンカーシステムであって、
近位端から遠位端に向かって延び、かつ制限部を含む少なくとも1つの通路と、前記近位端と前記遠位端との間に配置される少なくとも1つの骨係合機構と、を有するアンカーと、
閉ループとして形成され、かつ前記組織の一部を通して設置されることができる第1の材料と、
終端部と、ポストリム部と、前記終端部と前記ポストリム部との間で結ばれる摺動結び目と、を有して、前記アンカーの前記近位端を越えて延び、かつ前記第1の材料の前記閉ループを捕捉する細長い調整可能な長さのループを確定する、第2のフィラメントと、
前記細長いループを短くして前記組織を前記アンカーに向かって引き寄せるために、前記ポストリム部に張力が加えられるとき、前記制限部によって拘束可能である前記第2のフィラメントの前記結び目と、
を含む、調整可能なアンカーシステム。
(2) 前記第1の材料が第1のフィラメントである、実施態様1に記載のアンカーシステム。
(3) 前記第1のフィラメントの前記閉ループが、前記第2のフィラメントの前記細長いループよりも実質的に短い、実施態様2に記載のアンカーシステム。
(4) 前記第1のフィラメントが、前記第2のフィラメントの直径と少なくとも同じ直径を有する、実施態様2に記載のアンカーシステム。
(5) 前記第1のフィラメントが、前記第2のフィラメントの研磨特性よりも低い表面の研磨特性を有するように形成される、実施態様2に記載のアンカーシステム。
(6) 前記第1の材料が第1の縫合糸から形成され、前記第2のフィラメントが第2の縫合糸から形成される、実施態様1に記載のアンカーシステム。
(7) 前記第1の縫合糸が、前記第2の縫合糸の組成とは異なる組成を有する、実施態様6に記載のアンカーシステム。
(8) 前記摺動結び目が、バントラインハーフヒッチ結び目である、実施態様1に記載のアンカーシステム。
(9) 前記通路が、前記アンカーの中の少なくとも1つの内部ルーメンによって画定される、実施態様1に記載のアンカーシステム。
(10) 前記制限部が、少なくとも部分的には、前記アンカーが骨の中に固定された際の骨との係合によって画定される、実施態様1に記載のアンカーシステム。
【0036】
(11) 前記通路が、前記アンカーの外側表面に沿って前記骨係合機構を横切って延び、前記骨係合機構が、少なくとも1つのチャネルを前記通路の一部として画定する、実施態様1に記載のアンカーシステム。
(12) 組織を骨に固定するための調整可能なアンカーシステムであって、
近位端から遠位端に向かって延び、かつ制限された開口部を画定する少なくとも1つの通路と、外周と、前記近位端と前記遠位端との間に配置される少なくとも1つの骨係合機構と、を有するアンカーと、
前記アンカーの前記外周よりも大きい開口部を有する閉ループとして形成され、かつ前記組織の一部を通して設置されることができる、第1のフィラメントと、
終端部と、ポストリム部と、前記終端部と前記ポストリム部との間で結ばれる摺動結び目と、を有して、前記アンカーの前記近位端を越えて延び、前記第1のフィラメントを捕捉し、かつ長さが前記第1のフィラメントの前記閉ループよりも最初は実質的に長い、細長い調整可能な長さのループを確定する、第2のフィラメントと、
前記細長いループを短くして前記組織を前記アンカーに向かって引き寄せるために、前記アンカーが前記骨の中に固定された後に前記ポストリム部に近位張力が加えられるとき、前記制限された開口部によって拘束可能な前記第2のフィラメントの前記結び目と、
を含む、調整可能なアンカーシステム。
(13) 前記第1のフィラメントが第1の縫合糸から形成され、前記第2のフィラメントが第2の縫合糸から形成される、実施態様12に記載のアンカーシステム。
(14) 前記第1の縫合糸が、前記第2の縫合糸の組成とは異なる組成を有する、実施態様13に記載のアンカーシステム。
(15) 前記摺動結び目が、バントラインハーフヒッチ結び目である、実施態様13に記載のアンカーシステム。
(16) 前記通路が、前記アンカーの中の少なくとも1つの内部ルーメンによって画定される、実施態様12に記載のアンカーシステム。
(17) 組織を骨に固定する方法であって、
近位端から遠位端に向かって延び、制限部を画定する少なくとも1つの通路と、前記近位端と前記遠位端との間に配置される少なくとも1つの骨係合機構と、を有するアンカーを選択することと、
閉ループとして形成される第1のフィラメントを選択することと、
終端部と、ポストリム部と、前記終端部と前記ポストリム部との間で結ばれる摺動結び目と、を有して、第1の位置において前記第1のフィラメントの前記閉ループを捕捉し、かつ長さが前記閉ループよりも最初は実質的に長い、細長い調整可能な長さのループを確定する、第2のフィラメントを選択することと、
前記閉ループの第1の部分が、前記アンカーが内部を通り抜ける及び内部を通って係合するのうちの一方である開口部を形成するように、前記第1のフィラメントの前記閉ループの少なくとも前記第1の部分を、固定されるべき前記組織の一部を通して設置することと、
前記第2のフィラメントの前記結び目が前記制限部によって拘束され、かつ前記閉ループが、第2の位置において前記アンカー及び前記細長いループのうちの一方と係合するように、前記アンカーを骨の中に固定することと、
前記細長いループを短くして前記組織を前記アンカーに向かって引き寄せるために、前記アンカーが前記骨の中に固定された後に、前記ポストリム部に所望されるように張力を加えることと、
を含む、方法。
(18) 張力を加えることが、前記第2のフィラメントが実質的に前記組織を貫通することなく前記閉ループを通って摺動するように、前記閉ループを前記組織の両側から延びるように位置付けることを含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記アンカーが前記閉ループの前記開口部に通され、前記アンカーが固定された後に、前記閉ループが前記第1及び第2の位置において前記細長いループと係合する、実施態様17に記載の方法。
(20) 前記アンカーが、内部ルーメンを前記通路として有するように選択され、前記制限部が、実質的に前記アンカーの前記遠位端にある制限された開口部であり、前記ポストリム部及び調整可能なループの一部分が、前記ルーメンを通って延在する、実施態様17に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を骨に固定するための調整可能なアンカーシステムであって、
近位端から遠位端に向かって延び、かつ制限部を含む少なくとも1つの通路と、前記近位端と前記遠位端との間に配置される少なくとも1つの骨係合機構と、を有するアンカーと、
閉ループとして形成され、かつ前記組織の一部を通して設置されることができる第1の材料と、
終端部と、ポストリム部と、前記終端部と前記ポストリム部との間で結ばれる摺動結び目と、を有して、前記アンカーの前記近位端を越えて延び、かつ前記第1の材料の前記閉ループを捕捉する細長い調整可能な長さのループを確定する、第2のフィラメントと、
前記細長いループを短くして前記組織を前記アンカーに向かって引き寄せるために、前記ポストリム部に張力が加えられるとき、前記制限部によって拘束可能である前記第2のフィラメントの前記結び目と、
を含む、調整可能なアンカーシステム。
【請求項2】
前記第1の材料が第1のフィラメントである、請求項1に記載のアンカーシステム。
【請求項3】
前記第1のフィラメントの前記閉ループが、前記第2のフィラメントの前記細長いループよりも実質的に短い、請求項2に記載のアンカーシステム。
【請求項4】
前記第1のフィラメントが、前記第2のフィラメントの直径と少なくとも同じ直径を有する、請求項2に記載のアンカーシステム。
【請求項5】
前記第1のフィラメントが、前記第2のフィラメントの研磨特性よりも低い表面の研磨特性を有するように形成される、請求項2に記載のアンカーシステム。
【請求項6】
前記第1の材料が第1の縫合糸から形成され、前記第2のフィラメントが第2の縫合糸から形成される、請求項1に記載のアンカーシステム。
【請求項7】
前記第1の縫合糸が、前記第2の縫合糸の組成とは異なる組成を有する、請求項6に記載のアンカーシステム。
【請求項8】
前記摺動結び目が、バントラインハーフヒッチ結び目である、請求項1に記載のアンカーシステム。
【請求項9】
前記通路が、前記アンカーの中の少なくとも1つの内部ルーメンによって画定される、請求項1に記載のアンカーシステム。
【請求項10】
前記制限部が、少なくとも部分的には、前記アンカーが骨の中に固定された際の骨との係合によって画定される、請求項1に記載のアンカーシステム。
【請求項11】
前記通路が、前記アンカーの外側表面に沿って前記骨係合機構を横切って延び、前記骨係合機構が、少なくとも1つのチャネルを前記通路の一部として画定する、請求項1に記載のアンカーシステム。
【請求項12】
組織を骨に固定するための調整可能なアンカーシステムであって、
近位端から遠位端に向かって延び、かつ制限された開口部を画定する少なくとも1つの通路と、外周と、前記近位端と前記遠位端との間に配置される少なくとも1つの骨係合機構と、を有するアンカーと、
前記アンカーの前記外周よりも大きい開口部を有する閉ループとして形成され、かつ前記組織の一部を通して設置されることができる、第1のフィラメントと、
終端部と、ポストリム部と、前記終端部と前記ポストリム部との間で結ばれる摺動結び目と、を有して、前記アンカーの前記近位端を越えて延び、前記第1のフィラメントを捕捉し、かつ長さが前記第1のフィラメントの前記閉ループよりも最初は実質的に長い、細長い調整可能な長さのループを確定する、第2のフィラメントと、
前記細長いループを短くして前記組織を前記アンカーに向かって引き寄せるために、前記アンカーが前記骨の中に固定された後に前記ポストリム部に近位張力が加えられるとき、前記制限された開口部によって拘束可能な前記第2のフィラメントの前記結び目と、
を含む、調整可能なアンカーシステム。
【請求項13】
前記第1のフィラメントが第1の縫合糸から形成され、前記第2のフィラメントが第2の縫合糸から形成される、請求項12に記載のアンカーシステム。
【請求項14】
前記第1の縫合糸が、前記第2の縫合糸の組成とは異なる組成を有する、請求項13に記載のアンカーシステム。
【請求項15】
前記摺動結び目が、バントラインハーフヒッチ結び目である、請求項13に記載のアンカーシステム。
【請求項16】
前記通路が、前記アンカーの中の少なくとも1つの内部ルーメンによって画定される、請求項12に記載のアンカーシステム。
【請求項1】
組織を骨に固定するための調整可能なアンカーシステムであって、
近位端から遠位端に向かって延び、かつ制限部を含む少なくとも1つの通路と、前記近位端と前記遠位端との間に配置される少なくとも1つの骨係合機構と、を有するアンカーと、
閉ループとして形成され、かつ前記組織の一部を通して設置されることができる第1の材料と、
終端部と、ポストリム部と、前記終端部と前記ポストリム部との間で結ばれる摺動結び目と、を有して、前記アンカーの前記近位端を越えて延び、かつ前記第1の材料の前記閉ループを捕捉する細長い調整可能な長さのループを確定する、第2のフィラメントと、
前記細長いループを短くして前記組織を前記アンカーに向かって引き寄せるために、前記ポストリム部に張力が加えられるとき、前記制限部によって拘束可能である前記第2のフィラメントの前記結び目と、
を含む、調整可能なアンカーシステム。
【請求項2】
前記第1の材料が第1のフィラメントである、請求項1に記載のアンカーシステム。
【請求項3】
前記第1のフィラメントの前記閉ループが、前記第2のフィラメントの前記細長いループよりも実質的に短い、請求項2に記載のアンカーシステム。
【請求項4】
前記第1のフィラメントが、前記第2のフィラメントの直径と少なくとも同じ直径を有する、請求項2に記載のアンカーシステム。
【請求項5】
前記第1のフィラメントが、前記第2のフィラメントの研磨特性よりも低い表面の研磨特性を有するように形成される、請求項2に記載のアンカーシステム。
【請求項6】
前記第1の材料が第1の縫合糸から形成され、前記第2のフィラメントが第2の縫合糸から形成される、請求項1に記載のアンカーシステム。
【請求項7】
前記第1の縫合糸が、前記第2の縫合糸の組成とは異なる組成を有する、請求項6に記載のアンカーシステム。
【請求項8】
前記摺動結び目が、バントラインハーフヒッチ結び目である、請求項1に記載のアンカーシステム。
【請求項9】
前記通路が、前記アンカーの中の少なくとも1つの内部ルーメンによって画定される、請求項1に記載のアンカーシステム。
【請求項10】
前記制限部が、少なくとも部分的には、前記アンカーが骨の中に固定された際の骨との係合によって画定される、請求項1に記載のアンカーシステム。
【請求項11】
前記通路が、前記アンカーの外側表面に沿って前記骨係合機構を横切って延び、前記骨係合機構が、少なくとも1つのチャネルを前記通路の一部として画定する、請求項1に記載のアンカーシステム。
【請求項12】
組織を骨に固定するための調整可能なアンカーシステムであって、
近位端から遠位端に向かって延び、かつ制限された開口部を画定する少なくとも1つの通路と、外周と、前記近位端と前記遠位端との間に配置される少なくとも1つの骨係合機構と、を有するアンカーと、
前記アンカーの前記外周よりも大きい開口部を有する閉ループとして形成され、かつ前記組織の一部を通して設置されることができる、第1のフィラメントと、
終端部と、ポストリム部と、前記終端部と前記ポストリム部との間で結ばれる摺動結び目と、を有して、前記アンカーの前記近位端を越えて延び、前記第1のフィラメントを捕捉し、かつ長さが前記第1のフィラメントの前記閉ループよりも最初は実質的に長い、細長い調整可能な長さのループを確定する、第2のフィラメントと、
前記細長いループを短くして前記組織を前記アンカーに向かって引き寄せるために、前記アンカーが前記骨の中に固定された後に前記ポストリム部に近位張力が加えられるとき、前記制限された開口部によって拘束可能な前記第2のフィラメントの前記結び目と、
を含む、調整可能なアンカーシステム。
【請求項13】
前記第1のフィラメントが第1の縫合糸から形成され、前記第2のフィラメントが第2の縫合糸から形成される、請求項12に記載のアンカーシステム。
【請求項14】
前記第1の縫合糸が、前記第2の縫合糸の組成とは異なる組成を有する、請求項13に記載のアンカーシステム。
【請求項15】
前記摺動結び目が、バントラインハーフヒッチ結び目である、請求項13に記載のアンカーシステム。
【請求項16】
前記通路が、前記アンカーの中の少なくとも1つの内部ルーメンによって画定される、請求項12に記載のアンカーシステム。
【図1】
【図1A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図1A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【公開番号】特開2012−130705(P2012−130705A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−281088(P2011−281088)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【出願人】(507083478)デピュイ・ミテック・インコーポレイテッド (47)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Mitek,Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive,Raynham,Massachusetts 02767 United States of America
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−281088(P2011−281088)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【出願人】(507083478)デピュイ・ミテック・インコーポレイテッド (47)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Mitek,Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive,Raynham,Massachusetts 02767 United States of America
【Fターム(参考)】
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