説明

調理器具

【課題】卵白のような粘性結合を有するゲル状食材を、安全でかつ短時間で簡単に略均一に混ぜ合わせることを可能とする調理器具を提供する。同一調理器具にて、粉体と液体を短時間で簡単に均一に混ぜ合わせること、更に、フライパンなどの上で集合した食材を分散させる機能をも持たせ、一つの調理器具にて複数の調理機能を有する。
【解決手段】本発明である調理器具は、柄をもって撹拌すると複数の撹拌棒にて同時に撹拌することができるため、効率的に撹拌できる。また、刃部付き撹拌棒を設けることによりゲル状の食材の粘性結合を断ち切って混ぜ合わせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲル状乃至略ゲル状の食材を切断しながら撹拌するとともに安全かつ短時間で撹拌を可能とする調理器具に関するものである。
併せて、短時間で粉と水などの食材の混ぜ合わせや炒め物の食材をほぐすことを可能とする調理器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、卵白のようなゲル状の食材を撹拌する際、箸や泡立て器を用いた場合、食材の粘性結合を断ち切ることが難しく均一な状態に撹拌することが難しく、均一状態にするために時間を要していた。
【0003】
従来技術として、撹拌する棒の数を多くするタイプの撹拌器がある(例えば特許文献1参照)。また、撹拌棒が細くて鋭利な刃物で構成されている切断撹拌調理器具がある(例えば特許文献2参照)。また、平面底板面から複数の撹拌用の棒が設けられている撹拌調理器具がある(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−23286
【特許文献2】特開2005−13759
【特許文献3】特開2010−178870
【特許文献3】特開2010−178870
【特許文献4】特開2009−11778
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
卵白のような粘性結合を有するゲル状食材を撹拌する際、棒状体で撹拌するとその結合を断ち切ることが難しく、略均一に混ぜ合わせるには時間を要している。撹拌棒が鋭利な刃物部を有するもので構成された切断撹拌調理器具(特許文献2参照)はあるが、撹拌に供する面積が小さいため、粘性結合を断ち切ることはできても撹拌という面では同じく時間を要していた。また、刃物部が鋭利であり、むき出しになっているので使用時のみならず非使用の収納時においても危険であった。本発明の課題の一つは粘性結合を有するゲル状の食材を、安全でかつ短時間で略均一に混ぜ合わせることである。
【0006】
集合した食材を分散させる場面、例えばひき肉でそぼろを作ったり、例えば薄切り肉の塊をフライパン上でほぐしたりする際、複数の攪拌棒により同時に攪拌することが有効である。この場合、複数の箸を使うことは一つの方法であるが、これは手で箸の間隔を広げることが必要でそのポジションを構成するのに難しい。また、平面底板面から複数の撹拌用の棒が設けられている撹拌調理用具(例えば特許文献3参照)は確かに機能を満たすことが出来るが、本体が大きく小さな器に対応しにくくまた、収納の為の場所をとりすぎる。本発明の課題の一つは集合した食材を簡単に分散させることであり、本体が収納時に場所をとりすぎないことである。
【0007】
また、粉体と液体を混ぜ合わす際、泡立て器は有効な道具であるが、泡立て器の内部に食材が溜まってしまうことがあり取り出すことが難しい。撹拌の際、内部に溜まった食材を取り出すため、2分割できる泡立て器もある(例えば特許文献4)。本発明の課題の一つは粉体と液体を混ぜ合わす際、調理器具本体内部に食材が溜まらないことである。
【0008】
調理に必要とされる機能を満たす専用器具を揃えると、たくさんの調理器具が必要となり、調理場の収納スペースを狭隘にしてしまう。ひとつの調理器具で複数の調理機能を満たし、また、調理器具が小型であることは調理場の収納スペースを有効に使うために役立つ。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明である調理器具は、攪拌する部位の構成部品として複数の棒材を用いている。結合部を中心あるいは分岐点として複数の棒材を設けている。柄をもってかき混ぜると、複数の棒材により同時に撹拌することができる。
【0010】
また、本発明である調理器具は攪拌する複数の棒材のうち、一部の棒材が刃部を有している。刃部はヘラ状になっており、食材をカットすることもできるし、混ぜることもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は複数の棒材を用いることにより、攪拌の効果を大きくし、粉体と液体を混ぜ合わす際、調理器内部に食材が溜まるという問題が発生しない。
また、フライパンなどで調理する際、集合した食材を容易に分散させることもできる。
【0012】
また、本発明を構成する棒材のうち、一部の棒材に刃部を設けることにより、粘性結合を有するゲル状の食材を刃部で切断し、混ぜ合わせを容易に行うことができる。
【0013】
このように本発明は、調理に必要な複数の機能を有しかつ、ハンドミキサーのように大型の装置ではないため、省スペースの調理器具として利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の斜視図
【図2】本発明の第1の正面図
【図3】本発明の第1の右側面図
【図4】本発明の第1の底面図
【図5】本発明の第2の斜視図
【図6】本発明の第3の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明である調理器具10は、図1に示すとおり、連結部1の上方に柄2が1本設けられており、連結部2の下方に攪拌棒3が3本および刃部付き攪拌棒4が1本設けられている。攪拌棒3および刃部付き攪拌棒4のそれぞれの下方先端は間隔が空いている(図2、図3、図4、追加参照)。
【0016】
本発明である調理器具は、少なくとも攪拌棒3を1本、刃部付き攪拌棒4を少なくとも1本有している。例えば図5に示すとおり調理器具10aは攪拌棒3を4本、刃部付き攪拌棒4を1本設けている。
【0017】
図1に示すように、刃部付き攪拌棒4は扁平面を有する棒であって、該扁平面の両端側が刃部となっている。刃部付き攪拌棒4は特許文献2にある如く鋭利な刃でなくともよい。ゲル状食材の粘着結合を断ち切るには鋭利な刃でなくても可能であるためである。刃先を強く握っても皮膚を切り裂かない程度の刃部であっても食材を混ぜるための用調理用具として十分に機能する。
調理器具10の柄2を持って撹拌する際、食材に対して刃部付き撹拌棒4の先方を構成する刃部が食材に当たるときは食材切断の機能が働き、刃部を構成する平面側が食材に当たるときはヘラのように混ぜる働きがある。即ち、柄2をもって撹拌すると、食材の切断と混合を同時に行う作用がある。
【0018】
本発明である調理器具の連結部1は複数の攪拌棒3および刃部付き撹拌棒4と柄2を連結する(或いは分岐する)部位である。連結部は球形には限るわけではなく、例えば図6に示すとおり、板状の連結部1bでも良い。
【0019】
撹拌棒3および刃部付き撹拌棒4の配置について、刃部付き攪拌棒4は刃部として扁平面を有するので、安全性と刃部の保護の観点から、攪拌棒3に囲まれた位置の方が望ましい。しかし、かき混ぜるという機能を果たすために、前記配置に限らない。
【実施例1】
【0020】
木製の球を連結部1とし、竹製の棒で柄4を構成し、竹製の撹拌棒3を3本、竹製の刃部付き撹拌棒4にて調理器具10を構成した。尚、このときの刃部付き撹拌棒4の刃部において最も薄い部分は1.2mmであり、刃部を強く指で挟んでも、皮膚を切り裂くほどの鋭利さは無かった。刃部付き撹拌棒4は、柄4と一直線の関係になるように配置し、3本の撹拌棒3は刃部付き撹拌棒4の周りを末広がり放射状になるように配置した。
ボウルに入れた3つの卵を前記調理器具10にて略均一に撹拌するために要した時間は約5秒であり、泡立て器を用いた場合の約半分の時間であった。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、簡素な構造であるにも関わらず複数の調理機能があるため、省スペースで使い勝手の良い調理用具である。
【0022】
本発明は、調理時のみならずゲル状の物質を混ぜるに際して応用が可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 連結部
1b 連結部
2 柄
3 撹拌棒
4 刃部付き撹拌棒
10 調理器具
10a 調理器具
10b 調理器具


【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄の下部に連結部があり、連結部の下部に少なくとも1本の撹拌棒および少なくとも1本の刃部付き撹拌棒を有し、該刃部付き撹拌棒は扁平面を有し該扁平面の両端側が刃部となっていることを特徴とした調理器具。
【請求項2】
請求項1に記載の調理器具であって、刃部付き撹拌棒を撹拌棒にて取り囲む配置であり、刃部を保護するとともに刃部が人体に当たり難くして安全性を高めたことを特徴とする調理器具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−100908(P2012−100908A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252519(P2010−252519)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(303020347)
【Fターム(参考)】